https://www.myrmikan.com/pub/Myrmikan_Research_2026_04_13.pdf [LINK]
【海外記事より】アメリカの投資顧問会社、ミルミカン・キャピタルが発表したレポートの内容をご紹介します。同レポートによると、3月の金市場では中東情勢の緊迫化を背景に大きな価格調整が起こりました。金の価格は3月2日の1オンスあたり5,420ドルという高値から、3月23日には4,099ドルまで、わずか3週間で24.4%も下落しました。この背景には、安全資産としてのドル買いや、原油高に伴うドル需要の急増、インフレ懸念による連邦準備制度、いわゆるFedの引き締め期待など、流動性に関連する10の要因が挙げられています。しかし、レポートの著者であるダニエル・オリバー氏は、これらはあくまで流動性の問題であり、戦争によって確実に高まっている金そのものの価値を反映したものではないと指摘しています。
現在のアメリカ国内では、イランに対する軍事行動をめぐって意見が二分されています。政府主流派は、この戦略を現実政治に基づく成功と捉えています。たとえ体制崩壊に至らなくても、イランの軍事能力を削ぎ、ホルムズ海峡の封鎖によってエネルギー価格が上昇することは、アメリカの生産者に利益をもたらすと考えているからです。また、これによってエネルギーを依存する日本や欧州、韓国を経済的に従属させ、アメリカの利益に資するという冷徹な戦略が透けて見えます。トランプ政権は、他国への補助をやめ、自国の利益のみを追求するアメリカ第一主義を鮮明にしています。中東の紛争が終結すれば石油供給は再開されるものの、対立する国々には厳しいエネルギー価格を強いることで、世界を「味方か敵か」に分断しようとしています。一方で、トランプ氏の支持者の一部からは、この紛争は公約違反であり、経済崩壊を遅らせるための絶望的な軍事行動だとの批判も上がっています。
レポートは、こうした政治的な対立を超えて、深刻な債務問題に注目しています。アメリカの公的債務は2026年時点で40兆ドルに達しており、民間を含む総債務は120兆ドルを超えています。これまで多くの個人や企業が、ドルの価値低下を見越して借金を重ねてきました。現在、エネルギー価格の上昇によって企業の経営が圧迫される中、プライベート・クレジットの世界では投資家からの解約が相次ぎ、アポロやブラックロックといった大手でも払い戻しを制限する動きが出ています。このままではFedは、インフレが進んでいる状況であっても、金融システムを救済するために利下げと資金供給を行わざるを得ない状況に追い込まれると予測されています。
このような混乱の中、金鉱株も流動性不足から20%下落しましたが、今後は各地域のエネルギー事情によって選別が進む見通しです。例えば、燃料を輸入に頼るオーストラリアの鉱山などは操業停止のリスクがありますが、エネルギー資源が豊富な北米や中南米のプロジェクトは相対的に有利になると考えられています。レポートは、世界が経済圏ごとに分断され、インフレが深刻化する中で、中立的な資産としての金の必要性は今後さらに高まっていくと締めくくっています。たとえイラン情勢がどのような結果になろうとも、膨大な債務を抱える金融システムを支えるための通貨発行は避けられず、金はそうした先行きの不透明さを真っ先に反映する動きを見せるだろうと分析しています。
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