Five Cent Bull | The Rude Awakening [LINK]
【海外記事より】ニッケル市場がかつてない活況を呈しています。一般的にニッケルは硬貨やキッチンのステンレス素材として知られていますが、実は超高層ビルから戦闘機のエンジン、そして高性能な電気自動車(EV)のバッテリーに至るまで、現代社会を支える最も戦略的な金属の一つです。現在、金や銀に注目が集まる陰で、ニッケル先物価格は約2年ぶりの高値となる1トン当たり1万9200ドルを突破しました。この1ヶ月で11%以上、1年で23%も上昇しており、この勢いは今後も続くと見られています。
ニッケル需要の約3分の2は、橋や病院設備、食品加工場などに使われるステンレス鋼向けですが、近年は航空機エンジンやガスタービンなどの超合金分野、そしてEV用バッテリー向けの需要が急増しています。特に航続距離の長いプレミアムEVには高ニッケル正極材が不可欠であり、大手自動車メーカー各社はこの資源の確保に奔走しています。供給面では、これまで市場に安価な供給を続けてきた世界最大の生産国インドネシアが、鉱石の価格体系を引き上げ、採掘割当を削減するなど方針を転換しました。これにホルムズ海峡の混乱による物流コストの上昇が重なり、安価な供給というこれまでの前提が崩れつつあります。
市場環境も劇的に変化しています。国際ニッケル研究会は、2026年には世界全体でニッケル供給が不足に転じると予測しています。また、欧米諸国がカーボンボーダー税や調達規制を強化していることで、市場は「安価で環境負荷の高いニッケル」と「クリーンで高品質なクラス1ニッケル」の二つに分断されつつあります。後者は軍事防衛やエネルギー転換において不可欠な戦略資源と見なされており、構造的な供給不足が懸念されています。主要な産出国に地政学的リスクを抱える国が多いことも、価格を押し上げる要因となっています。
ニッケルの価格チャートは、以前の高値である1万8700ドルを明確に上抜けており、次の節目である2万2000ドル、さらには3万ドルの大台も視野に入ってきました。各国政府がニッケルを重要鉱物に指定し、国内プロジェクトへの補助金や備蓄を進める中で、この「5セントの金属」はもはや単なる工業原料ではなく、国家の安全保障とエネルギー転換の鍵を握る資産としての地位を確立しようとしています。派手な注目を浴びる投資先ではありませんが、着実にその価値を高めていく戦略的な資産であると紹介されています。
0 件のコメント:
コメントを投稿