Will Donald Trump's Iran War Crash the Global Economy?, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]
【海外記事より】米国の政治評論家ロン・アンズ氏が、トランプ政権によるイランとの紛争が世界経済に及ぼす「見えない危機」について、独自の視点から分析しています。米・イスラエル連合とイランの戦いが続く中で、米国の金融市場が驚くほどの平穏を保ち、史上最高値を更新し続けている現状に対し、アンズ氏は「ハンセン病」という医学的な比喩を用いて警鐘を鳴らしています。ハンセン病が痛覚を破壊し、体が傷ついていることに気づかせないまま病状を悪化させるように、現在の株式市場はインフレや供給網の崩壊という「経済的な痛み」を感じる機能を失っており、それが将来の破滅的な事態を招く可能性があると指摘しています。
トランプ大統領は、株価の好調を背景に「戦争が燃料価格に影響するという懸念はフェイク(偽物)だ」と豪語しています。確かに、ベンチマークとなる原油先物価格は100ドル前後と、戦前の予想を大幅に下回る水準で推移しています。しかし、アンズ氏はここに巧妙な「数字の乖離」があることを暴いています。実際に石油を即時取引する「スポット市場」では、一時1バレル150ドルから200ドルという記録的な高値がついており、先物価格(紙の上の価格)と現物価格(実体経済の価格)がかつてないほど乖離しています。この異常な「安価な先物価格」こそが、投資家を安心させ、トランプ氏に強硬な姿勢を続けさせている「麻酔」の正体であると同氏は分析しています。
ホルムズ海峡の封鎖により、世界の石油供給の約10%が市場から消失しました。これは近代史上最大の供給停止ですが、トランプ政権は戦略備蓄の放出やロシア・イランへの制裁解除という、なりふり構わぬ「その場しのぎ」の対策でショックを緩和してきました。しかし、こうした一時的な供給源は数ヶ月で枯渇し、4月以降はインフレの波が世界を襲うことが不可避です。国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は、この状況を「過去最悪のエネルギー危機」と呼び、特に新興国経済への深刻な打撃を警告しています。
軍事・外交面でも、事態は混迷を極めています。トランプ氏はパキスタンを介した和平交渉に合意したものの、交渉団にJ.D.バンス副大統領や不動産開発業者のジャレッド・クシュナー氏といった、イスラエル寄りの「交渉の素人」を送り込みました。その結果、イラン側の要求を一切無視して米側の要求を押し付けるだけの交渉となり、わずか24時間で決裂しました。さらに、トランプ氏がSNS上で「イランが降伏し、海峡を完全に開放することに同意した」と一方的に勝利宣言を行った際には、市場は一時熱狂しましたが、直後にイラン側が全面否定し、海峡での発砲を再開するという失態も演じています。
アンズ氏は、トランプ氏がイランに対して核攻撃を含む極端な選択肢を検討している可能性や、中国向けの石油タンカーを公海上で拿捕するという「違法な海賊行為」に手を染めている現状を伝えています。一方で、米国内ではペンタゴン(国防総省)の予算が1.5兆ドルにまで膨れ上がり、民間投資ファンド出身の「ディール・チーム6」と呼ばれる専門家集団が国防予算を牛耳るという、国家の私物化も進行しています。市場が現実を無視して楽観を続ける中で、実体経済は確実に「氷山」に向かって突き進んでおり、この麻酔が切れた瞬間に、世界は1930年代の大恐慌を超える破滅的な経済崩壊に直面することになると、著者は結論づけています。
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