2022-12-31

外国の紛争にかかわるな

ネオコンの戦争屋や「民主主義」の擁護者、勘違いした「リバタリアン」までがこう言う。ロシアの「侵略」に抵抗する義務はないのかと。答えは明らかだ。義務はない。外国のあらゆる争いを評価し、誰が悪いかを判定する義務はない。既存の国境線を不変のものとして認めるよう要求する義務もない。
A Manufactured World Crisis | Mises Wire [LINK]

ウクライナが2004年と2014年に米主導のカラー革命に見舞われたように、台湾も2014年に同様のNED(全米民主主義基金)資金による「ひまわり革命」で政権交代が行われ、中国本土との経済統合協定の最終段階が確定したところで国民党が政権を奪取された。
The High Cost of Blowing Up the World: Ukraine and the 2023 NDAA - LewRockwell [LINK]

カナダ自由党政権は、第二次世界大戦の良い結果の一つが終わることを祝い、中国との対立を推し進めている。カナダ国際関係省はツイッターで、軍事費を大幅に増加させた日本を賞賛した。日本は攻撃的な兵器を獲得し、軍事費をGDPの2%に倍増させ、名目上の平和主義から脱却しようとしている。
Ottawa Cheers Rather Than Mourns End of Japanese Pacifism - Antiwar.com Original [LINK]

米議会で可決された一括法案には、両院で議論されなかった条項がある。外国で外国人被害者に対し行われた犯罪を、誰であろうと告発することを許可し、連邦裁判所に事件を審理させる。米大統領は敵対する人物を連れ出すために、どの国にでも合法的に、軍装の連邦捜査官を送り込めるようになった。
Searching for Monsters - Antiwar.com Original [LINK]

米国は1970年代、サウジアラビアから石油を買うことを約束し、その代わりサウジは全世界の石油をドル建て買うようにすると約束した。米国はサウジに軍事援助もした。サウジは何十億ドルものペトロダラー収入を米国債に戻し、米政権の過度の戦争・福祉支出をまかなった。
The Petrodollar-Saudi Axis Is Why Washington Hates Iran | Mises Wire [LINK]

新年に平和の兆しなし

ロシア軍とウクライナ軍の戦闘は10カ月以上続いているが、2023年にウクライナに平和が訪れる兆しはない。米国はウクライナへの援助を拡大し続け、戦争における同国の役割を強化し続けている。専門家は、核戦争の可能性は冷戦時代のどの時期よりも現在のほうが大きいと警告している。
No Sign of Peace in Ukraine as New Year Approaches - News From Antiwar.com [LINK]

ウクライナのゼレンスキー大統領と米投資運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOはビデオ会議を行い、ウクライナの復興について調整することで合意した。世界銀行は今月、5000億〜6000億ユーロの費用がかかると試算しており、戦争が長引けばこの数字は上昇する可能性がある。
Zelensky, Blackrock CEO Agree to Coordinate on Ukraine's Reconstruction - News From Antiwar.com [LINK]

ウクライナはマネーロンダリングにとって夢のような国だ。オリガルヒは政府補助のガス価格から数十億ドルをかすめ取る。腐敗した役人はオリガルヒと協力し事業を独占。ウクライナで利益を上げている企業は50%未満であり、全企業の9.8%が腐敗した官僚とオリガルヒに支配され、利益を得ている。
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Blackrock to Take Zelenskyy’s Panhandling Act to the Next Level [LINK]

2023年米国防権限法は、米宇宙軍の予算を数十億ドル増加させる。同軍トップの文民職員が部下にセクハラをし、職にとどまった後での予算増額だ。幹部職員のアンドリュー・コックス氏は、性具や「Gストリング」(ひもパン)がプレゼントされるような文化を作り上げたという。
Space Force Gets Massive Budget Boost Amid Sexual Harassment Scandal | The Libertarian Institute [LINK]

米中央軍(CENTCOM)が発表した年末の報告書によると、米軍はイラクとシリアで武装組織「イスラム国」(IS) に対して313の任務を遂行し、テロリスト集団のメンバーと思われる686人を殺害した。7月にバイデン米大統領は、米軍はもはや中東での戦闘行為に関与していないと虚偽の主張をしていた。
CENTCOM Says US Troops Killed 686 Suspected ISIS Members in 2022 - News From Antiwar.com [LINK]

2022-12-30

高まる核戦争のリスク

大惨事のリスクを評価するスウェーデンのグループは年次報告書で、核兵器使用のリスクは、1945年に米国が日本に核兵器を投下して以来、どの時点よりも高くなっていると警告した。核戦争のリスクは1962年のキューバ・ミサイル危機の時よりも大きいという。
Report Warns Risk of Nuclear War At Its Highest Since US Nuked Japan - News From Antiwar.com [LINK]

米CIAは2月のウクライナ侵攻以来、欧州のNATO諸国の情報機関を利用し、ロシア国内で破壊工作を行っている。調査ジャーナリストのジャック・マーフィー氏が報じた。潜伏工作員がどれだけの攻撃を行ったかは不明だが、侵攻以来、ロシアの軍事施設や発電所、鉄道などで謎の爆発が相次いでいる。
Report: The CIA Is Directing Sabotage Attacks Inside Russia - News From Antiwar.com [LINK]

グラム米上院議員は、プーチンが「新しいヒトラー」だからその暗殺を要求しているのではない。ロシアの隣にある米政府の傀儡国家(ウクライナ)が戦争に大敗しているからだ。グラムはプーチンがCIAの傭兵によって(シリアの)カダフィのようにサディスティックに切り刻まれることを望んでいる。
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Lindsey Graham, the Ugly American [LINK]

ウクライナがこの戦争に「勝つ」ために何かしなければならないという考えは、2008年のオバマ大統領の「アフガニスタンは我々が勝たなければならない戦争だ」という宣言と同じく危うい。米国人の善意からだが、ひどく利用された同情心は、ウクライナをアフガンのような泥沼に変えてしまわないか。
Noninterventionism Is Not Isolationism: The US Government Should Stop Arming Ukraine | Mises Wire [LINK]

平和と繁栄は国家の規模や強さに反比例する。国民国家で構成される世界では、これは(国家統合を目指す)政治的グローバリズムと正反対の結論を導く。つまり、できるだけ多くの国家が存在し、その一つ一つができるだけ弱く小規模(自治体レベルでもいい)であるべきだ。
Clausewitz, the UN Charter, and a Libertarian View on War | Mises Wire [LINK]

クリスマスはアナーキー

クリスマスは、人間には政府がいらないという事実に気づかせる。家族、友人、同僚のつながりが寛大さ、優しさ、もてなしの言葉や行いを提供し、私たちの自発的な結びつきこそ良き生活の中心であることを思い起こさせる。これらの交流はまさに無政府状態で、無国籍であり、暴力の脅威とは無縁だ。
Reclaiming the Antistate Roots of Christmas | Mises Wire [LINK]

英ビクトリア朝の中流階級が子供たちを重視するようになったことで、クリスマスに対する考えも変化した。当時の有名な詩で、サンタクロースはそりにおもちゃを満載し、子供たちの靴下に詰め込む。現代の子供中心の豊かで楽しいクリスマスは、工業化、資本主義化、先人の努力によって実現された。
How Capitalism Made Christmas a Holiday for Children | Mises Wire [LINK]

「贅沢」や「消費主義」の判断に明確な基準はない。昔、フォークを使うことは贅沢だといわれた。しかし今日、フォークは贅沢品とはいいにくい。同じく人工照明や小麦パンが贅沢品だという人はいない。かつて「不必要な」玩具を批判した人々も、今ではもっと大きく高価なものに標的を移している。
Capitalist Luxury vs. "The True Meaning of Christmas" | Mises Wire [LINK]

ホモ・エコノミクス(経済人)は効用を最大化しようとする。経済学者はしばしば効用を富や所得の量と同一視する。しかし効用は金銭だけの問題ではない。クリスマスの食卓で、友人や家族の笑顔からも効用を得ることができる。
Christmas Economics and the True Meaning of Utility - Foundation for Economic Education [LINK]

英作家ディケンズは『オリバー・ツイスト』など小説の登場人物を通じ、社会の最下層の人々の苦境を直視させようとしたが、その不幸を終わらせるために集団主義的な解決策を提案したわけではない。苦境を資本主義のせいにしたわけでもない。ディケンズが行ったのは強欲という悪徳への攻撃だった。
Was Dickens Really a Socialist? - Foundation for Economic Education [LINK]

ジャーナリストの怠慢

米軍から生涯現役を感謝されるほど、ジャーナリストの怠慢をはっきり示すものはない。腐敗し、残虐な米軍と記者との関係が対立と無縁で、米軍の記者に対する感情が敵視と無関係だとしたら、それはその記者がジャーナリストではなかったからだ。米軍の広報担当者だったのだ。 
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : US Military Thanks And Praises Retiring CNN 'Journalist' For Her Service [LINK]

軍産議会複合体はメディアと結託し、真実を隠す。悪いニュースは報道されない。あるいは機密扱いにされるか、さもなければ緘口令が敷かれる。ベトナムのソンミ村虐殺や、チェルシー・マニングとウィキリークスによって明らかにされたイラク戦争の「付随的殺人」の映像を考えてみるといい。
The Mainstream Media and the US Military - Antiwar.com Original [LINK]

ミリー米統合参謀本部議長、キッシンジャー元米国務長官、マクロン仏大統領、ショルツ独首相らの最近の発言は、ゼレンスキー氏の求める交渉の前提条件から脱却する可能性を示している。つまりクリミアとドンバスの地位や、ロシアの安全保障上の懸念について、議論を受け入れる可能性を示唆する。
Five Statements That Could Change the War - Antiwar.com Original [LINK]

米政府による半導体市場への介入は、産業自体や消費者の福利に悪影響を与えるだけでなく、米国の指導者が市場の力への信頼を失っていることを示す。これは非常に危険だ。自由な市場競争だけが労働生産性と国際分業の利益を高め、国際取引の制限は将来の戦争を助長する。
The US Chip Blockade against China Is Creating Unplanned Consequences | Mises Wire [LINK]

米政府が1917年4月、第一次世界大戦に正式に参戦した際、有権者のために行動していたわけではない。米国は深刻な攻撃の脅威にさらされていたわけではない。国民は平和への飽き、支配者への服従の習慣、米国参戦の結果に対する非現実的な考えから、戦争に同意した。
World War I: The Great War Was also the Great Enabler of Progressive Governance | Mises Wire [LINK]

2022-12-29

無意味な戦争

英国とドイツの兵士たちは、この戦争(第一次世界大戦)にほとんど意味を見出せなかった。何しろ英国の国王もドイツの皇帝も、ビクトリア女王の孫なのである。オーストリアの王室夫婦がセルビア訪問中に暗殺されたくらいで、なぜドイツと英国が戦争したり、憎み合ったりしなければならないのか?
The Christmas Truce of World War I | Mises Institute [LINK]

クリスマスに望むのは、必要な戦争だけを行い、それ以外の戦争には手を出さないことだ。脅威の水増し、エゴ、無謀な社会実験によって引き起こされる戦争の代償として、若者の命はあまりにも大きい。エゴ、虚栄心、傲慢といった見苦しい動機によって、不必要に戦うことを強いられてはならない。
All I Want For Christmas Is the End to Unnecessary War - Foundation for Economic Education [LINK]

ウクライナとロシアの戦争は、自由とは何の関係もない。むしろ危機を煽り、戦争を引き起こしたNATOと関係がある。米国防総省はウクライナのNATO編入に固執していた。ゼレンスキーもNATO加盟を望んでいた。ロシアは少なくとも過去25年間、ウクライナのNATO加盟は「最後の一線」だと明言してきた。
Ukraine’s War with Russia Has Nothing to Do With Freedom – The Future of Freedom Foundation [LINK]

ウクライナに対する米バイデン政権の無条件の支持は、1965年のジョンソン政権と同じような曲がり角を迎えている。1964年にジョンソン大統領が突然、東南アジアの平和と安全が米国の重要な利益と判断したのと似ている。1960年代の南ベトナムのように、ウクライナはロシアとの戦争に負けつつある。
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Washington Is Prolonging Ukraine's Suffering [LINK]

米国防総省は、民間人の犠牲者に関する透明性を高めると表明しているが、インターセプトの報道によると、160人以上の非戦闘員を殺害した2017年のナイジェリア空爆における米軍の役割を説明するよう3カ月の期限を設けた下院民主党のグループに対し、回答していない。透明性に疑問を呈されている。
Pentagon Blows Deadline To Explain US Role in Nigerian Airstrike That Killed 160 Civilians - Antiwar.com Blog [LINK]

ウクライナ危機と安全保障のジレンマ

反戦団体「コードピンク」共同設立者、メディア・ベンジャミン
ジャーナリスト、ニコラス・デービス
(2022年12月28日)

2022年12月27日、ロシアとウクライナの双方が、ウクライナでの戦争を終わらせるための呼びかけを行ったが、どちらも相手が拒否すると承知のうえで、交渉の余地がない条件を掲げている。

ウクライナのクレバ外相は、来年2月にグテレス国連事務総長を議長とする「和平サミット」を提案したが、その前提として、ロシアはまず国際法廷で戦争犯罪の訴追を受けなければならないとしている。一方、ロシアのラブロフ外相は、ウクライナがロシアの和平条件を受け入れなければ、「この問題はロシア軍が決定する」と冷ややかな最後通牒を発した。

しかし、もしこの紛争と解決策を理解する方法があるとしたら、それはすべての立場の意見を包含し、戦争を煽って激化させるだけの一方的な物語と提案を超えることができるとしたらどうだろうか。ウクライナの危機は、実は国際関係論の研究者が「安全保障のジレンマ」と呼ぶ典型的なケースであり、これによってより客観的な見方ができるようになる。

安全保障のジレンマとは、自国を守るために各国がとった行動が、相手国にとっては脅威と映るような状況のことである。攻撃用と防衛用の武器や兵力は区別されないことが多いので、一方の防衛力の増強は、他方の攻撃力の増強に見えやすい。互いに相手の行動に反応するため、結果として軍備の増強と拡大の連鎖に陥るが、双方とも自らの行動は防衛的であると主張し、そう信じてさえいるかもしれない。

ウクライナの場合、これはロシアとウクライナの国・地域政府との間で、またロシアと米国・NATO(北大西洋条約機構)との間で、地政学的により大きな規模で起こっている。

安全保障のジレンマの本質は、当事者間の信頼関係の欠如にある。米ソ冷戦時代、キューバ・ミサイル危機を契機に、深い不信感が残るなかで、軍備管理条約や 安全保障措置の交渉に着手し、事態の悪化を抑制することが求められた。相手が世界を破滅させるつもりでいるわけではないことを認識し、そうならないための交渉や保障措置に必要な最低限の土台を提供したのである。

冷戦終結後、双方は核兵器の大幅な削減に協力したが、米国は相次ぐ軍備管理条約からの脱退、NATOを東欧に拡大しないとの約束違反、国連憲章の「武力による威嚇または武力の行使」の禁止に直接違反する軍事力の行使に踏み切った。米国の指導者たちは、テロリズムと核・化学・生物兵器の存在が結びついたことで、「先制攻撃」を行う新しい権利が与えられたと主張したが、国連も他のいかなる国もそれに同意したことはない。

イラクやアフガニスタンなどにおける米国の侵略は、世界中の人々、さらには多くの米国人にとっても警戒すべきものであり、冷戦後の米国の新たな軍国主義にロシアの指導者が特に懸念を抱いたのも無理はないだろう。NATOが東欧諸国をどんどん取り込んでいくにつれて、古典的な安全保障のジレンマが生まれ始めた。

2000年に当選したプーチン大統領は、国際的な場を利用してNATOの拡大と米国の戦争行為に異議を唱え始め、NATOに加盟を要請された国だけでなく、欧州のすべての国の安全を確保するための新しい外交が必要であることを主張し始めた。

東欧の旧共産圏諸国は、ロシアの侵略に対する防衛的な懸念からNATOに加盟したが、これは、国境付近に集まる野心的で攻撃的な軍事同盟(NATO)に対するロシアの安全保障上の懸念を悪化させ、とくに米国とNATOがその懸念に対処しようとしないことから、その懸念はさらに大きくなった。

このような状況の中で、NATOの拡大に関する約束違反、中東やその他の地域における米国の一連の侵略、ポーランドとルーマニアにある米国のミサイル防衛砲台はロシアではなくイランから欧州を守るためだという不合理な主張が、ロシアに警戒の念を抱かせることになった。

米国が核軍備管理条約から離脱し、核先制攻撃政策を変更しようとしないことから、米国の新世代の核兵器は、米国がロシアに対する核先制攻撃能力を持つように設計されているのではないかという懸念がさらに高まった。

他方、ジョージアにおけるロシアの飛び地防衛のための軍事行動や同盟国アサド政権を守るためのシリアへの介入など、ロシアが世界の舞台で自己主張を強めていることは、他の旧ソ連邦諸国やNATO新加盟国を含む同盟国の安全保障上の懸念を高めている。ロシアは次にどこに介入してくるのだろうか。

米国がロシアの安全保障上の懸念に外交的に対処しようとしないため、それぞれが安全保障上のジレンマを悪化させる行動を取った。米国は2014年にウクライナのヤヌコビッチ大統領を暴力で倒し、クリミアとドンバスでクーデター後の政府に対する反乱を引き起こした。ロシアはクリミアを併合し、ドネツクとルハンスクの分離「人民共和国」を支援することでこれに対抗した。

このような緊張の高まりのなかで、「安全保障のジレンマ」モデルが予測するように、たとえすべての国が善意と防衛的配慮から行動していたとしても、有効な外交手段がない限り、互いの動機を最悪のものと仮定して危機はさらに制御不能な状態に陥った。

もちろん、安全保障のジレンマの核心は相互不信にあるため、当事者のいずれかが不誠実に行動しているとみなされれば、状況はさらに複雑になる。ドイツのメルケル前首相は最近、欧米の指導者は2015年のミンスク2協定の条件をウクライナに遵守させるつもりはなく、ウクライナの軍事力増強のための時間稼ぎとして協定に合意しただけであったと認めた。

ミンスク2和平合意の決裂と、米国、NATO、ロシアという大きな地政学的対立のなかで続く外交的行き詰まりは、関係を深い危機に陥れ、ロシアのウクライナ侵攻につながった。このような安全保障上のジレンマがあることを各関係者は認識していたはずだが、危機を解決するために必要な外交的行動をとることができなかった。

平和的・外交的な代替案は、当事者がそれを追求することを選べばつねに利用可能だったが、そうしなかった。だからといって、すべての当事者が意図的に平和よりも戦争を選んだというのだろうか。彼らは皆、それを否定するだろう。

しかし、毎日絶え間なく続く殺戮、何百万人もの市民の悲惨で悪化した状況、NATOとロシアの全面戦争という想像を絶する危険にもかかわらず、すべての当事者は現在、紛争を長引かせることに利点を見出しているようである。いずれの側も、自分たちは勝てる、あるいは勝たなければならないと確信しており、そのため、あらゆる影響と制御不能に陥る危険性を伴いながら、戦争を激化させ続けている。

バイデン大統領は、米国外交の新時代を約束して就任したが、かえって米国と世界を第三次世界大戦の瀬戸際に導いてしまった。

このような安全保障のジレンマに対する唯一の解決策は、殺戮を止めるための停戦と平和協定であることは明らかだ。1962年のキューバ・ミサイル危機から数十年の間に米ソ間で行われた外交は、1963年の部分的核実験禁止条約とその後の兵器管理条約につながった。元国連職員のアルフレッド・デ・ザヤス氏も、クリミア、ドネツク、ルハンスクの人々の意思を決定するために、国連が管理する住民投票を呼びかけている。

平和的共存への道に向けた交渉は、敵対者の行為や立場を是認するものではない。私たちは今日、ウクライナで絶対主義の代替案を目撃している。砲弾の衝突、負傷者の叫び、死臭から何千キロも離れた(アメリカ)帝国の首都で、スマートスーツと軍服を着た人々が管理・指揮し、実際に行っている容赦ない、際限のない大量殺戮に道徳的高みなどない。

和平交渉の提案が単なる広報活動以上のものになるには、すべての側の安全保障上のニーズに対する理解と、そうしたニーズが満たされ、根本的な対立のすべてに対処できるよう妥協する意志にしっかりと根ざしたものでなければならない。

(次を全訳)
The Ukraine Crisis Is a Classic 'Security Dilemma' - Antiwar.com Original [LINK]

2022-12-28

ウクライナ「内戦」を終わらせよう

元米下院議員、デビッド・ストックマン
(2022年12月23日)

繰り返し立証してきたように、ウクライナ戦争はロシアの侵略ではない。ソ連の共産主義による専制政治以前はつねに大ロシアの属国で、ときには不可欠な部分だった「辺境」(ロシア語で「ウクライナ」)における内戦なのである。じつは現在の内戦は、正規に選出された親露派の大統領に対し米政府がクーデターを起こした後、キエフに据えた非合法政権によって2014年に扇動されたものである。

米政府が演出するこの「政権交代」は、次は人工国家ウクライナの各地域を、言語、宗教、民族、経済などの長年の違いに基づき、互いに対立させるように仕向けた。クリミア、ドンバス、黒海沿岸地域のロシア語を話す住民が、キエフで政権を握ったウクライナの民族主義者やネオナチの政治家による弾圧を恐れて分離を求めると、ネオナチのアゾフ旅団を含むウクライナ軍の血生臭い暴力が住民たちに浴びせられたのである。

つまり、キエフ政権が東・南部のロシア語を話す住民に対して扇動した内戦は、公然の軍事支援を求める住民たちの嘆願にプーチン露大統領がようやく応えるまで8年間も続いた。それはキエフ政権の「自国民」に対する激しい攻撃によって、分離派の軍人と民間人が1万4000人以上殺された後でもあった。

プーチンが2007年のミュンヘン安全保障会議で、ウクライナのNATO加盟とモスクワから数分以内の核ミサイル配備は、越えてはならないレッドライン(最後の一線)だと主張して14年になる。しかし2020年2月には、レッドラインが越えられるのはほぼ確実となっていた。

そのうえ、ロシアの「侵攻」は、ウクライナ軍のドンバス砲撃が10日間にわたって大幅に強化された後に行われた。軍事行動と兵站のあらゆるシグナルが、キエフ政権による分離主義共和国への「侵攻」が差し迫っていることを暗示していたのである。

要するに、レーニン、スターリン、フルシチョフによって銃口で命を吹き込まれるまで存在しなかった専制的なソビエト社会主義共和国の「分割」は、つねに最終段階にあった。2014年以降、最終的に分裂のきっかけを作ったのは米国の不器用な覇権主義ネオコンであり、それはこの地域の歴史に対する深い無知によるものだった。

最後の合法的な選挙である2010年の大統領選で賽は投げられた。親露派のヤヌコビッチ候補が東部と南部(地図の青い部分)で60~90%の大差をつけて勝利し、ウクライナの民族主義者ティモシェンコ候補が中部と西部の経済的に豊かでない地域(赤い部分)で同様の60~90%の大差をつけて勝利した。

実際、地図の青い部分の都市名を見れば、ウクライナの戦争とは、ゼレンスキー同国大統領が昨夜(米議会演説で)笑止千万にも述べた「自由」をめぐる戦いではなく、分割をめぐる戦いであることがわかる。ハリコフ、ルハンスク、ドネツク、マリウポリ、ザポリージャ、クリビエリ、オデッサはいずれも2010年に大差で青(親露派候補)に投票し、2014年から内戦の前線となり、今年9月の住民投票ではほとんどがウクライナから離れ、ロシアに加わることを決めた。

米国の覇権主義者、ネオコン、戦争屋が住民投票は無効だと主張するのは間違いないが、それでは説明できないことがある。つまり、地図上のロシア語圏の青い地域では、ロシアの「占領者」や、分離派政府と民兵を動かす売国奴に反対する「抵抗」運動が地元住民の間で起こっているという報告はほとんどないのだ。どちらかといえば、住民たちは自分たちが「占領」されたのではなく、「解放」されたと考えている。

そして昨晩は米議会で究極の狂気といえる華やかな光景が繰り広げられ、米国・NATO(北大西洋条約機構)は1410億ドルを注ぎ、不幸な黒土の国の人々を事実上、大量虐殺しようとしている。つまり、外交的解決の明確な輪郭と、ありうべき休戦の境界線は、2010年の選挙で国民自身によって描かれたのである。

実際、プーチン氏の住民投票はすでに青い地域の大部分で終了しており、あとは戦闘をやめ、領土の現状を承認し、国際平和会議を開催し、2010年の選挙結果に含意されていた、共産主義後のウクライナの分割という論理的な結論を遂行できるようにすることだ。

共産主義後のユーゴスラビアやチェコスロバキアがそうだったように、(分離の)影響を受けたすべての国民ははるかに良い生活を送っている。レーニンが「ノボロシア」(帝政ロシア時代に征服された黒海北部地域)とロシア帝国の一部、第一次大戦後のガリツィア(ウクライナ南西部)から、スターリンが第二次大戦中のポーランド、ハンガリー、ルーマニアから、フルシチョフがロシアのクリミアから作った国境は、今こそ歴史のゴミ箱に入れなければならない。 世界が現在の危うい崖っぷちから退くためには、死後も残るソ連の虐殺者と暴君の影響力を消し去らなければならない。

(次より抄訳)
After the Zelensky Spectacle – Let the Partition Begin! - Antiwar.com Original [LINK]

2022-12-27

戦争福祉国家の巨大予算

元米下院議員、ロン・ポール
(2022年12月26日)

クリスマスに政府機関の閉鎖を望んでいた人々は、議会が4000ページ、1兆7000億ドルの一括予算法案を可決したとき、再び失望させられた。共和党の指導者はこの肥大化した怪物を称賛した。なぜなら戦争に8580億ドルを費やす一方で、福祉には7725億ドルしか使わないからである。

共和党が福祉よりも戦争に力を入れるからといって、民主党が戦争国家に反対しているとは誰も思わないはずだ。バイデン大統領と民主党が支配する議会の下で、「防衛」支出は過去2年間で4.3%増加している。同様に、近年のすべての共和党大統領(少なくとも任期の一部で共和党が議会を支配していた2人を含む)は、福祉国家への支出を大幅に増やすことを支持している。それぞれの党の支持者層をなだめるために、ほとんどの民主党員は戦争に反対するふりをし、ほとんどの共和党員は福祉に反対するふりをするだけである。

一括法案では、ウクライナに445億ドルもの予算を計上している。これはウクライナの軍事費に対する米国の総支出を1000億ドル以上にするもので、ロシアの軍事費全体の約50%以上にあたる。この資金は、米国の安全保障に影響を与えない紛争に費やされているが、この紛争は米国が以前この地域に干渉していなければ、おそらく発生しなかっただろう。

一括法案は連邦捜査局(FBI)に113億ドルを提供し、5億6960万ドルの増加、大統領の要請を5億2400万億ドル上回った。民主党指導部によると、この資金増額は、FBIが「過激派の暴力や国内のテロリスト」とよりよく闘えるようにするためのものだという。

最近、ツイッター関係者とFBIの間で交わされた電子メールが公開され、FBIが「過激派」と戦う適切な方法と考えていることが一般に知られるようになった。これらのメモによると、FBIはツイッターと、そしてほぼ間違いなく他のソーシャルメディア企業と協力して、(大統領の息子)ハンター・バイデン氏のノートパソコンのような特定のストーリーや、マスク着用、ロックダウン(都市封鎖)、ワクチンの義務付けに関する懐疑的な意見などを抑圧していた。このような「要請」を実行する費用をツイッター社に返済するために、納税者の資金を使用することさえあった。政府当局が民間企業と協力して米国市民を黙らせることは、明らかに合衆国憲法修正第1条(言論の自由)に違反する。

FBIが米国市民の憲法上の権利を侵害するのは、今回が初めてではない。実際、FBIは創設以来、マーティン・ルーサー・キング牧師のような政治活動家や指導者を標的にしてきた。活動家らの主張がFBIの腐敗した指導者によって「極端」または「危険」とみなされたからだ。政治信条を理由に米国人を標的にする権力のある国家警察という考えは、憲法の起草者たちを恐怖に陥れたことだろう。連邦政府は海賊行為、通貨偽造、反逆の場合を除き、刑法に関する憲法上の権限を持たない。リバタリアン(自由主義者)、護憲派、市民の自由を重視する左派の人々は、FBIの資金を削減するために協力するべきだ。

2022会計年度の一括予算法案は、政府を拡大し、自由を削減し、政府の負債を増やし、連邦準備理事会(FRB)にさらなる財政ファイナンスを強要し、さらなる物価高騰を引き起こす。米国の政治エリートは、FRBの破壊的な金融政策のような米国民が直面する問題への対処よりも、海外での軍国主義や国内での権威主義を優先している。これは政治体制に対する不満の増大に拍車をかけるだろう。経済が悪化し続け、世界を動かそうとする試みが失敗し続けるなかで、この不満は、福祉戦争体制が崩壊し、うまくいけば自由と平和と繁栄の新たな時代が幕を開けるまで、高まるだろう。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : Omnibus shows Congress’s Priorities: Authoritarianism and War [LINK]

2022-12-24

クリスマス休戦は問いかける

経済教育財団(FEE)、ジョン・ミルティモア
(2022年12月20日)

1914年12月7日、ローマ教皇ベネディクトがローマから欧州の指導者たちに「クリスマス休戦を宣言せよ」と訴えたとき、欧州ではすでに数カ月にわたって戦争(第一次世界大戦)が続いていた。

ベネディクト教皇は、たとえ一日でも平和が必要だと考えていたのだ。10月19日から11月22日にかけて行われた第一次イーペルの戦いだけでも、ドイツ兵とフランス兵を中心に、英国兵やベルギー兵など20万人の死傷者を出していた。第一次マルヌの戦いは、さらにひどいものだった。

このような殺戮を前に、教皇は「せめて天使の歌う夜には、銃声の静まらんことを」と嘆願したのである。

しかし欧州の指導者たちは、この願いを無視した。

ところがクリスマスの前夜、奇跡的なことが起こった。連合軍と同盟軍の塹壕の間にある「ノーマンズランド」(中間地帯)から、ドイツ軍が武器を置いて英国兵を招き入れ、一緒にクリスマスを祝うという行動が自然に起こったのである。これが今日、「クリスマス休戦」として記憶されている。

英国の漫画家ブルース・ベアンズファーザーは、この出来事を記録した多くの人の一人である。王立ウォリックシャー連隊第一大隊の機関銃手だったベアンズファーザーは寒い夜、三フィートの塹壕の泥の中で震えながら、古くなったビスケットを食べ、煙草を立て続けに吸っていたところ、夜10時頃、物音を聞いた。ヒストリーチャンネルによれば、次のとおりだ。

「私は耳を傾けた」とベアンズファーザーは回想している。「野原の向こう、暗い影の中から、声のざわめきが聞こえてきた」。塹壕の仲間の兵士に向かい、「あそこでボッシュ(ドイツ軍)が騒いでいるのが聞こえるか」と言った。「ああ」と返事があった。「ずっとやっているんだ」

ドイツ軍はクリスマス・イブということで、キャロルを歌っていた。暗闇の中で、英国兵の何人かが歌い返した。「突然、向こうから困惑させる叫び声が聞こえてきたんだ」とベアンズファーザーは思い返す。「私たちは皆、立ち止まって耳をそばだてた。叫び声がまた聞こえてきた」。その声は敵兵のもので、ドイツ語訛りの強い英語で話していた。「こっちへ来い」と言っているのだ。

何度かやり取りした後、英国軍は武器を置いて塹壕を抜け出し、鉄条網を越えてドイツ軍と合流した。握手と歌を交わし、煙草を噛み、ワインを飲み、笑い合った。その日までは、互いに殺し合うのが精一杯だった男たちがだ。

ドイツ兵と英国兵が仮設のグラウンドでサッカーをして遊んだという記述もある。また英国兵が床屋を開いて、煙草と引き換えに散髪を勧めたという話もある。どの記録にも共通しているのは、兵士たちの間に総じて陽気な雰囲気があったということだ。

「どちらの側にも憎しみは一切なかった」とベアンズファーザーは回想している。

そのような賑やかな光景を喜ぶ人ばかりではない。軍の指導者には、クリスマス休戦に歯がゆい思いをした者もいたという。しかしベアンズファーザーは、この休戦は兵士たちにとってとても大切なもので、その瞬間を切実に必要としていたと言う。

「参加した兵士たちは、地獄のような日々から解放されたのである。戦争が始まって半年も経てば、ほとんどの兵士は戦争がすぐに終わって、休みの日には家族のもとに帰れると考えていた。しかし戦争はさらに4年間も続いたばかりか、それまでで最も血生臭い戦争となったのである」

私はいつも、このクリスマス休戦に感動し、教訓を感じている。欧州の指導者たちは互いに憎み合っていたかもしれないが、ドイツと英国の人々はそうではなかった。少なくとも、一度出会った者同士はそうではなかった。

クリスマスの夜、ドイツ兵と英国兵が直接会い、取引し、笑い、酒を飲み、共通の人間性を発見したとき、兵士らを分裂させていたナショナリズムは消え去ったのである。

最近、『きよしこの夜ーークリスマス休戦の物語』を読んだ。ローリー・マーグラフが書いた新しい絵本で、末の息子に読ませた。息子はいろいろと質問したが、そのほとんどは、兵士たちがその場所で戦っていた理由だった(ベルギー人、ドイツ人、フランス人、英国人、その他多くの兵士たちが、戦争中に何度も同じことを疑問に思ったことだろう)。

息子にうまく答えることができなかった。しかしそれ以来、この問題について考えてきた。クリスマス休戦は、私たちがなぜ戦うのかについての手がかりを握っていると思う。

何週間も何カ月も互いに撃ち合い、爆撃し合っていた人たちが、気がついたら笑い、歌い、取引していた。悲しいことに、国家というものは歴史上、会ったこともない人々を敵だと信じ込ませるというご立派な仕事をしてきたが、多くの場合、平和には特に関心がない。

「戦争は国家の健康法である」と急進派の作家ランドルフ・ボーンが指摘したのは有名な話である。

戦争は政府が最も得意とするところであり、戦争を行い勝利した人々は歴史書で称賛を浴びることになる。もちろん、敗者はそうではない。だからこそ、始まってしまった戦争に勝つことが重要になるのである(戦争を宣言する者は、戦争中に自分の血が流れることがほとんどないという事実も重要である)。

戦争という深刻で恐ろしいものを単純化するつもりはないが、別の方法があることを示したい。クリスマス休戦が示すように、平和とはあらゆる形の国家主義、民族主義、集団主義を拒否することによって達成できる。私たちに共通する人間性と、私たちを結びつけるものを受け入れることによって、勝ち取ることができる。

私たちが暴力を否定し、人々をありのままの姿、すなわち個人として見るとき、敵対する者でさえも友人になることができる(とりわけクリスマスは、征服者の誕生ではなく、神の子羊の誕生を祝う祝日なのだから)。

1914年の大虐殺のさなかにあって、クリスマスイブに一夜の喜びを味わった英国軍とドイツ軍は、それを証明することができるだろう。

(次を全訳)
The Story of the Christmas Truce of 1914—and Its Eternal Message - Foundation for Economic Education [LINK]

2022-12-23

「戦時下」の大統領がやって来た

米空軍退役中佐、ウィリアム・アストア
(2022年12月22日)

ゼレンスキー(ウクライナ大統領)来訪に関する主要メディアの報道は数分しか見ていないが、幸運だったと思う。その短い時間の中で、ゼレンスキーが「戦時下」の大統領として好意的な言葉で表現されるのを二度聞いた。まるで、悲惨な戦争中にウクライナの指導者になることがすばらしいことであるかのように。

9・11同時テロの後、ジョージ・W・ブッシュが「戦時下」の大統領と表現されるのを好んでいたのを覚えているだろうか。主要メディアもこの言葉を好んで使っているようだ。戦時下の大統領とは、なんとすばらしい、称賛に値するものなのだろう。ゼレンスキーはオリーブ色の服を着て、まるで司令部から出てきたかのように、とてもシンプルな格好をしている。なんという男だろう。

海兵隊の衛兵が敬礼するなか、バイデン米大統領夫妻に挨拶するゼレンスキーの訪問を昨日報道で見たとき、私は弟と一緒にいた。弟のスティービーは精神を病んでいる。しかし弟の部屋でテレビ中継を見ながら、弟は戦争について煽るメディア連中よりもはるかに健全だし、ホワイトハウスで映し出されるいわゆるリーダーたちよりもはるかに賢明で、誠実な魂を持っていると思った。

「戦時下」のリーダーというのは、ある種の人々をグッと惹きつけるものがある。多くの指導者も明らかにそれを好む。戦時下は、戦争を遂行し「勝利」するという大義のために、はるかに大きな権限を与えられるからだ。そしてこれらすべてが、この戦争狂の社会では節度と正気の高みとして扱われる。

主要メディアはいつになったら、平時の大統領であることを理由に私たちのリーダーを称賛するのだろうか。イエス・キリストは何といっても、平和の君であった。私たちは今日、平和の君を必要としている。そしてまた、イエスがどのような扱いを受けたかも、思い出そう。

(次を全訳)
He's a 'Wartime' President! - Antiwar.com Blog [LINK]

2022-12-22

中国・イランのデモと左翼の偽善

ジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン
(2022年12月20日)

ニュースサイト「トゥルースアウト」は最近、「左翼はアメリカ帝国主義に肩入れすることなく、中国のデモ隊を支援できる」と題する記事を掲載し、「中国の労働者とウイグル人は世界中の左翼と連帯を必要としている」と副題で主張した。しかし主題・副題の主張のどちらもまったく論証しようとしていない。

記事はニューヨーク大学のレベッカ・カール氏のコメントを載せ、「異性愛規範家父長制」や「白人権力の覇権」といった左翼的な表現を多用しているが、左翼がアメリカ帝国主義に肩入れせずに中国のデモ参加者を支援できるという主張、デモ参加者が世界中の左翼から連帯を求められているという主張を実証する試みは、一切含まれていない。

なぜなら、これらの主張にはまったく根拠がないからだ。私はこのような主張にいつも遭遇し、しばしばそれに挑戦している。英語圏の左翼で、アメリカ中央集権帝国によって政権転覆を狙われている中国やイランのような国のデモ参加者を「支持」または「連帯」することによって、何が得られるのかを論理的かつ首尾よく説明できた人は一度もいない。左翼が、帝国に狙われた政府に対するプロパガンダキャンペーンを支援することなく、プロパガンダに利用されているストーリにどうやって肩入れできるのか、誰も一度もまともな説明をすることができなかった。

それは、きちんとした説明が存在しないからだ。

私はこの件でトゥルースアウトを特別扱いするつもりはない。帝国が標的にした政府を非難するために左翼を後押しすることは、西側の左翼・左派メディアによってつねに行われている。政治雑誌「ジャコバン」は先月、イランの抗議者たちに対して「国際的な左翼は連帯を有効に表現する方法を考えなければならない」と主張する記事を掲載したし、『ショック・ドクトリン』の著者ナオミ・クライン氏も最近、中国の抗議者たちについて同じことを主張している。帝国に狙われた国で抗議活動が行われるたびに、私たちは「公式左翼」から、抗議を応援する主流派の争いに加わらなければならないと諭されるのである。

その理由はいつも不明確で不明瞭だ。それは一般に「連帯」などという左翼的な響きを持つ専門用語で表現され、左翼が当然正しいと思うべきものとして組み立てられている。しかし西側からの連帯の表明によって、帝国の標的となった政府の抗議者たちにどのような実際の具体的な利益がもたらされるのか、誰も明らかにしないままだ。また、帝国が侵略に向けた世論の合意を捏造しようとしている外国政府に対する非難を増幅させる不利益を、利益がどのように勝るのかも説明されない。

左翼はたいてい、「連帯」が何を意味するのかさえ説明しない。おそらく、それらの国に飛んでいって実地支援をするという意味ではないだろうし、そうならそう言うだろう。では、どういう意味なのだろうか。関連するハッシュタグを付けて支援をツイートすることか。ちょっぴり連帯感を感じることか。声やネットで「連帯」を表明し、連帯感を感じれば、何か良いことが起こるという主張なのだろうか。その良いこととは何なのか。具体的にどのような物質的利益がもたらされるのだろうか。左翼は決して言わない。

もし十分な注目を浴びていない問題について話しているのであれば、この議論は理解できる。例えば、パレスチナ人の権利は、何世代にもわたって無視され、盛んにプロパガンダされてきた問題である。この問題にスポットライトを当てる草の根的な取り組みによって、イスラエルのアパルトヘイト(人種隔離政策)が今後必要とする支援を継続することは難しくなった。

しかしイランや中国のような、帝国から標的にされた国における抗議行動は、英米圏のあらゆる有力メディアと政府機関からすでに最大限の報道がなされている問題だ。西側のメディアは米国が好む国の抗議行動と比べ、好まない国の抗議行動に乱暴なほど不釣り合いな報道をするからである。

このようなプロパガンダキャンペーンが存在しないかのように振舞うことはできない。もしあなたがアメリカ中央集権同盟の加盟国の一つに住んでいるのなら、支持や連帯の表明が、中南米やアジア、アフリカの誰かから発信されるのと同じ意味であるかのように装うことはできない。同じではないのだ。あなたはこれまで存在したうちで最も強力な帝国の中から発言しているのであり、その帝国の世界征服キャンペーンやその車輪に油を差すプロパガンダ活動と、つねに何らかの関係を持たざるをえないのである。

あなたはその関係に対して責任を持つ必要がある。もしあなたが米国や英国、欧州連合(EU)、オーストラリア、カナダなど帝国に属する国に住んでいるなら、帝国に狙われた国の抗議者の大義に声を貸すことは、その抗議に関する帝国のプロパガンダキャンペーンを促進することなしには、単に不可能である。無理だ。あなたがこの現実と結ぶ関係は、責任あるものか無責任なものかの二つに一つだ。

帝国の宣伝活動の一環である抗議行動をわざわざ増幅させる西側左翼が現実と結ぶ関係は、無責任なものである。西側左翼は外国の人々を実際に助けるようなことは何もしていないが、傷つけかねないことは間違いなくしている。自分に正直なら、わかっているはずだ。それでもやめようとしない。プロパガンダに毒された左派の友人や信者の前では見栄えがするからだ。

爆弾を投下する前に、ストーリーを投下する。ミサイルを発射する前に、プロパガンダキャンペーンを行う。制裁を行う前に、認識管理を行う。もしあなたがプロパガンダキャンペーンに参加することで、これらの行為を助けることを選ぶなら、実行する軍人と同じように、その結果に加担することになる。その行為の理由について、どんな左翼的な言い訳をしようが関係ない。

これはゲームじゃない。世界はあなたが「いいね!」やリツイートをもらうために、左翼的「連帯」のファッションで着飾り、もったいぶって歩くランウェイではない。もしあなたが帝国の中で生きているのなら、そのプロパガンダとの関係に責任を持つ必要がある。そうでなければ、自分自身のことをかわいらしく語る、ありふれた帝国主義者にすぎない。

「左翼はアメリカ帝国主義に肩入れすることなく、中国のデモ隊を支援できる」だって? そんなことはできない。やめてくれ。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : You're Not Actually Helping When You 'Support' Protesters In Empire-Targeted Governments [LINK]

2022-12-21

ツイッター、米軍のプロパガンダ作戦を支援

RT
(2022年12月21日)

ツイッター社の幹部は米国防総省に対し、少なくとも5年間、オンラインでのひそかな影響力行使のために同社のソーシャルメディアプラットフォームを使用する特別権限を与えていたことが、新たに公開された同社の内部通信で明らかになった。

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調査ジャーナリストのリー・ファング氏は、ツイッターの新しいオーナーであるイーロン・マスク氏が、ツイッターの過去の意思決定について透明性を高めるために公開を許可した後、火曜日(12月20日)に第8弾の文書を公開した。

「ひそかに運営されている国営プロパガンダネットワークを閉鎖するという約束にもかかわらず、ツイッターの文書は、この巨大ソーシャルメディアが米軍の影響力作戦を直接支援した事実を示している」とファング氏は書いている。同氏がツイッター内部文書の閲覧が認められたのは弁護士経由だったため、「調査結果は完全ではないかもしれない」という。

暴露された共謀は少なくとも2017年から行われており、米中央軍に勤務するナサニエル・カーラー氏がツイッターにメールを送り、中央軍が「特定のメッセージを増幅するために」使用していた数十のアラブ語アカウントの認証と「ホワイトリスト化」を要求した。その日のうちに、ツイッター社の信頼性向上チームメンバーは、青いチェックマークが表示されない「特別除外タグ」を適用し、実質的にこれらのアカウントに認証の特権を付与した。

国防総省はこれらアカウントの所属を隠さないと約束したといわれるが、ある時点で何人かのプロフィールの経歴や写真が変更され、一般ユーザーや「公平な」意見・情報源を装うようになったという。

リストの中には、シリアで米国が支援する過激派や、イラクで反イランのプロパガンダを宣伝しているアカウントもあった。また、イエメンでは、米国の無人機による攻撃が「正確」であり、民間人ではなくテロリストだけを殺害していると正当化するために使用されているものもあった。

「国防総省は何か後ろ暗いことをしていたようで、当時同省がツイッターに説明した内容とは明らかに違っていた」。ツイッターの元従業員は米インターネットメディアのインターセプトにこう語った。

インターセプトが入手した他の電子メールによると、元信頼・安全責任者のヨエル・ロス氏、弁護士のステイシア・カーディル氏、副顧問のジム・ベイカー氏らツイッターの上層部は、その後の数年間、共謀を「問題になりうる」と議論したが、多くのアカウントの活動を許可していたことがわかった。

ある電子メールでは、ベイカー氏が「国防総省は、進行中の事業を危険にさらすことなく、また国防総省とのつながりを明らかにすることなく、時間をかけて(プロパガンダネットワークを)閉鎖する日程を示したいのかもしれない」と推測している。しかし、インターセプトに提供されたどのメールも、国防総省高官との機密会議で一体何が話し合われたのか、何も明らかにしていない。

この影響力作戦は、8月に調査会社グラフィカとスタンフォード大学インターネット観測所の研究者が最初に指摘。9月にワシントン・ポスト紙が調査したように、数十のツイッターアカウント以外にも、フェイスブック、ユーチューブ、テレグラムなど他の多くのインターネットプラットフォームにわたって行われた、より大規模な作戦と関連があると思われる。

ジャーナリストのマット・タイービ氏と同僚のバーリ・ワイス氏が先陣を切ったツイッター文書の報道は、同社の新しいオーナーである億万長者の起業家イーロン・マスク氏の賛同を得て、定期的に発表されている。この文書では、トランプ元大統領のアカウント停止、シャドウバン(利用者に知らせない利用制限)、バイデン大統領の息子ハンター・バイデン氏の海外取引に関するニューヨーク・ポスト紙の報道をサイト全体で禁止するなど、同社が行ったいくつかの物議を醸す決定について明らかにされている。

(次を全訳)
Twitter ‘directly assisted’ Pentagon’s propaganda campaign — RT World News [LINK]

2022-12-20

FBIを廃止せよ

元米連邦下院議員、ロン・ポール
(2022年12月19日)

「ツイッター文書」から多くのことがわかるにつれ、米連邦捜査局(FBI)などの米連邦機関が憲法修正第1条(言論の自由)を迷惑で邪魔なものとみなしていたことが、あまりにも明白になってきた。金曜日(12月16日)に公開されたイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)より前の時代の資料について、ジャーナリストのマット・タイービ氏が鋭い指摘をしている。ツイッターは実質的にFBIの子会社だった。

FBIはツイッターに執着していたことがわかっている。2020年から2022年にかけて、ツイッターのヨエル・ロス信頼安全責任者に捜査官が150通ほどのメールを送っていたことがわかった。それらのメールには、米政府関係者が「民間」ソーシャルメディア企業に対し、コメントの検閲や気に入らない発言者の追放を要求する内容が定期的に含まれていた。

海外影響力タスクフォース(FITF)は、FBIをはじめ、国内での活動を禁じられた他の米情報機関を含む米政府の組織で、80人の捜査官が定期的にツイッターにどのツイートを検閲し、どのアカウントを禁止すべきかを指示する業務に従事していた。国土安全保障省は、外部の政府委託業者や(政府出資の)非政府組織を引き入れ、米政府が好まない言論を弾圧するようツイッターに別途圧力をかけていた。

米連邦政府機関は、黙らせたい米国人のリストを文字どおりツイッターに手渡し、ツイッターはそれに従った。このことをよく覚えておいてほしい。

これは大規模なスキャンダルであるべきで、トランプ政権下で起きていたら、そうなっていた可能性が高い。実際、トランプ関連の職員がこのようなひどい行為に及んでいれば、議会は3度目の弾劾の準備を進めていることだろう。しかしこれら米政府職員は、概して親トランプ感情を抑えるよう行動していたため、気まずい沈黙だけが広がっている。

今回のツイッターの暴露で興味深いのは、FBIとその政府協力者がいかに風刺やユーモアにこだわっていたかということだ。フォロワー数の少ないマイナーなツイッターアカウントでさえ、連邦政府によって検閲や削除のフラグが立てられ続けていた。 しかし歴史を知れば、この強迫観念を理解することができる。ソ連時代、国民はつねに政治家の無能さ、腐敗、馬鹿さ加減をからかっていた。サミズダートと呼ばれる地下出版物は、風刺、ユーモア、嘲笑に富んでいた。

暴君はユーモアを嫌い、風刺に耐えることができない。FBI(と米中央情報局=CIA)がディープステート(闇の政府)をからかう米国人に対して厳しい態度で臨んだのは、明らかにこのためだ。

しかし良いニュースもある。憲法学のジョナサン・ターリー教授が週末に書いたように、ハーバード大学の新しいCAPS・ハリス世論調査によれば、主流メディアがツイッター文書を無視しているにもかかわらず、米国人はそうではない。回答者のほぼ3分の2は、ツイッターが2020年の大統領選に向けて政治的な動機による検閲に関与していたと考えている。世論調査対象者の約70%が、この企業・政府による検閲に対し議会が行動を起こすべきだと考えている。

ターリー教授が指摘するように、憲法修正第1条は米政府にしか適用されないが、「政府の代理人や代行者にも適用される。ツイッターは今、元職員と政府との間にそのような関係があったと認めている」

つまり、FBIが(米国情報機関や国土安全保障省とともに)「民間」ソーシャルメディア企業を通じ、米国人が互いにやり取りする際に許される発言を操作してきたという証拠がそろったわけだ。

これほどまでに非米国的なことがあるだろうか。個人的には、うんざりするようなことだと思う。

国民を敵とみなし、憲法を攻撃するFBIやCIAなどの連邦機関はいらない。連邦準備理事会(FRB=米中央銀行)を廃止しよう。そして連邦捜査局も廃止しよう。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : ‘Twitter Files’ Make it Clear: We Must Abolish the FBI [LINK]

2022-12-19

ウクライナ戦争に激化の圧力

米空軍退役中佐、ウィリアム・アストア
(2022年12月18日)

金曜日(12月16日)、ロシア・ウクライナ戦争に関連する3つの記事が目にとまった。

最初の記事は、NBCニュースで、パトリオットミサイルだけではウクライナを守るには十分ではないと主張している。この記事では、ウクライナに無人偵察機グレイイーグルを提供し、ロシアの奥深く、特に戦略爆撃機のある基地を攻撃できるようにするよう促している。この記事の副題は特に挑発的だ。「ウクライナに長距離攻撃能力を提供することに対する西側の制限は、無意味になりつつある」

おわかりいただけただろうか。この戦争がさらに激化する圧力をかけるような攻撃兵器の提供を心配するのは、「無意味」なのである。

二つ目の記事は、同じくNBCニュースで、近い将来ウクライナがロシアからクリミア半島を奪取するための軍事力を保有する可能性を示唆している。もしロシアのクリミア支配が脅かされた場合、プーチンは核兵器で対応する可能性があるという懸念も示されている。

三つ目の英ガーディアン紙の記事は、最近のロシアによるハルキウへの攻撃を取り上げ、次のように書いている。「ロシアの攻撃でハルキウは電力、暖房、水のない状態になり、『莫大な』被害が出ていると市長は述べている。ウクライナ第二の都市ハルキウでは、金曜日(12月16日)朝のロシアのミサイル攻撃でインフラに『巨大な」被害が出たため、電力、暖房、水が使えない状態になっていると、イホル・テレホフ市長が述べた」

このことは、ウクライナとロシアだけでなく、欧州と世界にとって、ますます危険で破壊的になりつつある戦争であることを意味している。

一方、友人が送ってくれたVoxの記事には、最近ワシントンで開かれたウクライナと戦争に焦点を当てたパーティーのことが書かれている。このパーティーの招待状は、米国の主要な兵器製造会社(この場合はノースロップ・グラマン、レイセオン、ロッキード・マーチン)がスポンサーになっていた。

不思議なことに、私はこの招待状を心から喜んでいる。スポンサーがはっきりしているからだ。

ロシアとウクライナに必要なのは、戦争を激化させる圧力ではなく、この戦争が本当に制御不能になる前に、話し合い、交渉し、終止符を打つための理由なのだ。

残念ながら、米国の多くの人々は、より多くの武器がその答えだと考えている。一つ確かなことは、上記の招待状に記載されている「支援者」からは、そのことについての反論は得られないということだ。

ベラ・ブリテン(英国の看護師・作家)が主張したように、復讐と暴力の連鎖を終わらせる勇気を持つことはできないのだろうか。殺人に「ノー」と言うことを学ばなければならない。戦争に「ノー」 と言うのだ。この精神にのっとり、私はウクライナのクリスマス休戦を求める宣言に署名した。この取り組みに関する反戦団体コードピンクの記事を紹介しておく。

クリスマス休戦の実現に期待したい。

(次を全訳)
Escalatory Pressures in the Russia-Ukraine War - Antiwar.com Blog [LINK]

2022-12-18

暴かれたFBIの言論統制

RT
(2022年12月17日)

記者にリークされたツイッター社の内部文書によると、同社は数年にわたり米連邦捜査局(FBI)をはじめとする米情報機関と「恒常的かつ広範な」接触を続けてきたという。この文書は、「誤情報」とレッテルを貼られたコンテンツをブラックリスト化する、政府の共同作戦を示すものと思われる。
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ジャーナリストのマット・タイービが金曜日(12月16日)に公開した「ツイッター文書」の第6弾は、2020年1月から先月までの間にFBIと国土安全保障省(DHS)がツイッターにかけたさらなる圧力を明らかにし、おもに米国の選挙について議論する特定の投稿やアカウントの適正化に重点を置いていることを指摘した。

以前の文書では、情報機関とツイッターの高度な連携が示されたが、最新の資料では、そうした共謀がこれまで知られていたよりも大規模に行われたことが示唆されている。3年弱の間に、同社の前信頼安全責任者ヨエル・ロスだけでも、FBIと150通以上のメールをやり取りしている。

金曜日以前は、ロスだけがFBIと定期的に直接コンタクトを取っていたと言われていたが、新しい資料によると、法務担当役員のステーシア・カーディルも9月からFBIだけでなく、国土安全保障省、司法省、国家情報長官室(ODNI)と毎週ミーティングを行っていたという。

ツイッター社の元副法律顧問ジム・ベイカー(元FBIの弁護士)に宛てた手紙の中で、カーディルは、機密情報を業界のパートナーに渡すことに「支障」はないかと尋ねたと記している。これに対し、FBIは「共有に支障はない」と「断固」とした態度を示したという。

「この一節は、ツイッター社とFBIの間の独特な『幸福な大家族』の雰囲気を浮き彫りにしている。機密情報の共有にFBIが『支障なし』とあっさり同意する会社が他にあるだろうか」とタイービは問いかけている。

FBIがツイッターに送ったメッセージの中には、特定の投稿を削除したり、アカウントを完全に禁止したりするような明確な要求が含まれているものが多数ある。あるケースでは、FBIはあまりにも多くの「違反の可能性があるコンテンツ」にフラグを立て、それをレビューする「記念碑的な仕事」に対してツイッターのスタッフが社内のチャットで祝福し合うのが目撃されている。

2022年11月5日にFBIの「国政選挙司令部」から送られた別のメッセージでは、「追加の行動を保証する可能性がある」25のアカウントのリストが提示された。ツイッターは早速、そのうちの7つのアカウントを永久追放し、もう1つを一時的に停止し、「民間誤情報方針違反」の疑いで8つのツイートを削除した。

最新の文書に詳述されているフラグを立てたコンテンツの多くは、11月の中間選挙に関連した、定期的に左派を馬鹿にする有名な風刺アカウント「クレア・フォスター博士」からの投稿を含む。「フォスター」は、自分が州の開票係であり、自分のツイートに残された「否定的なコメント」に対して「民主党にもう1票」追加すると冗談を言った後、FBIに報告された。

「明らかな風刺と現実を見分けられない人は、他人のために決断を下したり、FBIで働いたりする資格がない」と、フラグが立ったことを知らされた「フォスター」はタイービに語っている。

このパロディーアカウントは結局助かったが、他の多くのアカウントはそれほど幸運ではなかった。別の文書によると、ツイッターがFBIや国土安全保障省、提携する業者や非政府組織(NGO)のネットワークによる削除要求に屈したケースがいくつかある。

ツイッター文書は、タイービと同僚のバーリ・ワイス記者が中心となって、ツイッター社の新しいオーナーである億万長者の起業家イーロン・マスクの承認を得て、定期的に発行されている。この文書では、トランプ前大統領の活動停止、シャドウバン(利用者に知らせない利用制限)、バイデン大統領の息子ハンター・バイデンの海外取引に関するニューヨーク・ポスト紙の報道をサイト全体で禁止するなど、これまで同社が下したいくつかの決定が明らかにされ、論議を呼んでいる。

(次を全訳)
Twitter docs reveal FBI pressure to control speech — RT World News [LINK]

2022-12-16

聖戦が悪夢になるとき

ケイトー研究所主任研究員、テッド・ガレン・カーペンター
(2022年12月13日)

2022年秋にウクライナがロシア軍に対して驚くほど効果的な反攻を行ったことから、西側諸国の政府関係者やメディア関係者の間では、この戦争でウクライナが全面的に勝利した場合のロシアの対応について注目が高まっている。しかし米国と欧州の同盟国では、軍事的な運命が変わり、北大西洋条約機構(NATO)の代理人〔=ウクライナ〕が決定的な敗北に直面した場合、どのように対応するのかという議論はあまり行われていない。だが深刻な政策的失敗を避けるには、そうした議論が欠かせない。

欧米の外交専門家は、ウクライナでの軍事的事業が破綻した場合にロシアが取るだろう対応について、意見が分かれている。現実主義者たちは、プーチン大統領がロシアの取り組みを大幅に拡大させるのではないかと懸念している。その懸念は当然である。実際、2022年9月にプーチンが指示した部分的な国家総動員や、ウクライナの送電網などインフラへのミサイル攻撃の強化など、すでに拡大路線がとられている。心配するアナリストの中には、ロシアがウクライナで決定的な敗北を喫した場合、追い詰められたプーチンは屈辱的な破滅を避けるために戦術核兵器を使用する可能性さえあると警告する者もいる。バイデン大統領でさえ、その危険性の存在を指摘している。

しかし、よりタカ派的な人々は、プーチンはハッタリをかましていると主張し、ウクライナの反攻は輝かしい全面勝利の前哨戦にすぎないと称揚している。NATOの軍事力がロシアの戦力強化を阻むというのが、その暗黙の前提である。それどころか、ロシアという熊は、クリミアを含むウクライナの全占領地をウクライナの支配下に戻す外交解決を受け入れ、ずんぐりとした尻尾を巻いてはい出すだろうと考えているようだ。ジャーナリスト、アン・アップルバウムのようなタカ派は、最初からそのような性格の和解が唯一受け入れられる結果だと主張してきたのである。

ウクライナでロシアが敗北した場合に起こりうる結果についての外交政策エリートのバラ色のシナリオは心配である。しかし、ウクライナの将来の運命に関する過度の楽観論も同様に気がかりだ。現実には、プーチンがウクライナ軍の粘り強さ(およびNATOのウクライナへの軍事援助の程度と効果)を明らかに過小評価している一方で、ロシアは依然としてウクライナのインフラを荒廃させながら、ゆっくりと領土目標を達成しつつある。

ウクライナとその西側支援者にとってきわめて心配なのは、軍事的犠牲の度合いである。ミリー米統合参謀本部議長が2022年11月初めに発表した評価では、開戦以来、ロシア軍の死傷者は10万人以上に上ると結論づけている。米国の報道機関は、ミリーの報告書に関する見出しで、この数字を強調した。それよりも注目されなかったのは、ウクライナ軍も10万人以上の死傷者を出していると認めたことだ。ロシアの軍備はウクライナよりはるかに大きく、人口もウクライナの3倍以上あるため、この点は重要だった。つまり、ロシアはウクライナよりも容易に、そして長く、このような悲惨な損失を吸収することができる。戦争が長引き、人間の肉挽き器と化すと、ウクライナの運命は明るくなるどころか、しぼんでいく。

バイデン政権はこのような結果について皮肉るかもしれない。というのも、米政権がウクライナをロシアに対する軍事的代理人として利用する際の手本となったのは、1980年代にアフガニスタンのムジャヒディン(イスラム聖戦士)を使ってソ連の占領軍に血を流させたことだからである。この政策は、アフガンの人々にさまざまな点で大きな犠牲を払わせながらも、最終的には成功した。しかし他でも指摘したように、ロシアにとってウクライナは、アフガンよりもはるかに重要な利害関係国である。したがって、ロシアがウクライナからの屈辱的な撤退を受け入れる可能性はきわめて低い。

米政府幹部が「ウクライナを代理として使うのはその戦略が有効だと証明されたときだけ」と冷笑する現実主義者だとしても、ウクライナには外交政策エリートや報道機関の中に本物の崇拝者が大勢いる。ウクライナのゼレンスキー大統領をチャーチル元英首相のような高貴な人物として、ウクライナを悪質な侵略者に抵抗する勇敢な自由民主主義国家として描くインチキが広まっているため、たとえウクライナの運命が暗くなったとしても、米政府にとって代理人を見捨てるのは困難だ。米政府とその同盟国は繰り返し、ウクライナは民主主義と独裁主義の存亡をかけた世界的な戦いの最前線にあると主張してきたから、その姿勢を崩すことは難しいだろう。

もしロシアが差し迫った冬期攻撃、あるいはそれ以降の攻撃でウクライナ軍を追い詰めた場合、バイデン政権には、ウクライナに対する米国の支援を減らすのではなく、むしろ強化を求める大きな圧力がかかるという、非常に現実的なリスクが存在する。実際、この戦争にNATO軍が直接参加することを求める声は、ほぼ間違いなく高まるだろう。事態の拡大は、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設定する、あるいは同国に米軍を配備するという形をとるかもしれない。

このような劇的な動きに伴うリスクは明らかであり、恐ろしいことである。しかし、この戦争をロシアの侵略や独裁政治の世界的脅威に対する聖戦として受け入れてきた有力者たちは、そのような考えにはとらわれないかもしれない。米国の外交政策体制には、失敗した事業を喜んで放棄した良い実績がない。ベトナムにいる米政府の傀儡が勝てないと明らかになった後も、何年もベトナム戦争に執着した。最近では、アフガンにおける米国の政策の破綻を20年近くもかたくなに認めようとしなかった。

それと同じ精神構造の人々が、ウクライナを活力ある民主主義国家であり、重要な同盟国であるかのように見せるためにあらゆる努力を尽くした後に、同国を見捨てるとは想像しがたい。実際、下院の進歩的議員連盟が戦争を終わらせるために外交を重視するよう求めた控えめな呼びかけ(すぐに撤回された)に対し、そうした方面から敵意が津波となって押し寄せたことは、ウクライナに対する狂信的な支持の大きさを示している。米政府の関与を強化するよう求める声は、米国民に過大なリスクがあるにもかかわらず、外交政策エリートによって受け入れられる可能性が高い。自国がこれ以上ウクライナ紛争に巻き込まれるのを防ぎたい米国人は、そのような試みをはねつける覚悟を持たねばならない。

(次を全訳)
How Will the Blob React if Ukraine Faces Defeat? - Antiwar.com Original [LINK]

2022-12-15

ノーベル平和賞の裏切り

法律家・作家、フレドリック・ヘッファメール
(2022年12月9日)

ノルウェーのノーベル委員会が1922年、極地探検家、科学者、思想家であり、後に「世紀のノルウェー人」と称されたフリチョフ・ナンセンに平和賞を授与してから、今週で100年が経った。

ノルウェーの人々はナンセンの受賞に歓喜したものの、世界平和のために多大な貢献をしたアルフレッド・ノーベルに別れを告げるものとして、世界がその授与を残念がる理由もあった。

ノーベル委員会によると、ナンセンが平和賞を獲得したのは「戦争捕虜や飢餓に苦しむ人々のための活動」だった。戦争の結果を軽減するための偉大な人道的活動は価値あるものであるが、ノーベルはもっと高い志を持っていた。平和と軍縮に関する世界的な協力によって戦争を終わらせるための賞である。

予防は修復よりはるかに優れている。ノーベルは遺言の中で「平和の擁護者のための賞」の受賞者と平和活動のあり方について述べている。その中には、国家共同体、軍縮、平和会議に関する文言が多く含まれている。

委員会は、その最初の、そして最も基本的な義務を果たしていなかったのだ。 委員会は、遺言に記されたノーベル賞の趣旨を確認することもなかった。

その代わりに、平和という言葉に対する独自の解釈に基づいて、独自の賞を授与したのだ。この言葉は、長年にわたって、ますます自由で無限の内容を持つようになった。

遺言の執行者が、これほどひどい失態を犯したことがあるだろうか。

数え切れないほどの論文や受賞者のスピーチの中で、委員会は、世界的な非軍事化による平和というノーベルの構想をつねに思い出しながらも、それを無視し続けてきた。

私はこのことを、最新刊『戦争よさらば』(まだノルウェー語版しかない)のために委員会の内部資料を調査した際に知ったのである。

したがって1922年の委員会は、ノーベルの意志を尊重しないことを十分承知でナンセンを選んだとみてよいだろう。

新しい考え方が定着したのである。これ以後、ノーベルの遺書で示された意志は、賞の授与にほとんど影響を及ぼさなくなった。ノーベルの名前にときおり丁重にうなずくことはあっても、ノーベルの平和に対する考えを委員会が公表することは、当然のことながら一度もなかった。

2007年、私は遺書の文言を再発見した。しかし、ストーティング(ノルウェー国会)もノーベル委員会も、この件にまったく関心を示さない。

2008年、私は『ノーベルの遺書』を出版した。これは、この遺書を専門家が解釈した初めての本である。

ノーベル自身は、この賞を「平和の擁護者のための賞」と呼んでいた。しかし彼が亡くなった1896年、政治的な風向きは変わっていた。ノルウェーは当時、スウェーデンとの連合から脱却するために戦争が必要になるかもしれないと危惧していた。

私は最新の本の中で、ノルウェーの議会の議長たちが、遺言の中の「常備軍の縮小または廃止」という明確な言葉を無視することを静かに決定したのではないかと推測している。その代わりに「平和賞」と称して、5人の委員からなる授賞委員会の過半数を自分たちで選出し、自分たちの思うままに賞を授与したのである。

賞の歴史上、最悪の10年


1906年、米大統領セオドア・ルーズベルトが受賞したが、ノーベルが支持したような大衆的な平和活動に対しての授与ではなかった。1922年にナンセンが受賞したのを皮切りに、平和賞史上、最悪の10年間が始まった。

第一次世界大戦は、軍国主義を抑制できるという信念を弱めていた。タカ派の政治家への授賞が一般化したのである。

1929年、ノーベル平和賞は、画期的な反戦条約であるブリアン・ケロッグ協定(パリ不戦条約)に敬意を表して授与された。ノーベル委員会の資料の中に、この年の受賞候補者であったサーモン・レビンソン(法律家)、チャールズ・モリソン(牧師)、ジョン・デューイ(哲学者)の3人が受賞を拒否されたことが書かれてあった。

この知的巨人たちは、米国で戦争全面禁止を求める一大運動を巻き起こしていたのである。

代わりに、ノルウェーの首相と外相を兼ねたモーヴィンケル率いるノルウェー・ノーベル委員会は、政治家フランク・ケロッグ(米国務長官)に賞を授与したのである。

これによって、議会に管理される委員会が、政治指導者に対して世界平和を求める民衆の圧力を強めるのに最適なものではないことがはっきりしたのである。

「戦争は規制も制御もできない。戦争は自ら無慈悲な法を作り出す。戦争の機構は、権力の網と死の予兆とともに、その全体が根こそぎにされ、拒否され、違法とされ、廃絶されなければならない」。レビンソン、モリソン、デューイの3人の戦争違法化運動は当時、このような見解を示していた。

このように、今日の政治文化とはかけ離れた考えを表明する人たちが、長年にわたって多く存在した。国際政治の非軍事化の要求は、絶滅の危機に瀕している政治思想のように見えるかもしれない。

ノーベル委員会の主な任務は、平和な世界秩序の構築に関する開かれた議論を喚起することであるはずだ。しかし今回のロシアとベラルーシの反体制派、ウクライナのゼレンスキー大統領支持者の受賞のように、委員会が冷戦路線に回帰してしまうことがあまりにも多いのである。

賞は戦争に反対するのではなく、戦争に味方する参加者になる。この賞の授与を政治家の手から離すべきときが来たのかもしれない。

(次を全訳)
Taking ‘Peace’ Out of the Nobel Peace Prize [LINK]

2022-12-13

巨額負債と経済危機

元米連邦下院議員、ロン・ポール
(2022年12月12日)

国際通貨基金(IMF)の元顧問で、クリントン大統領(当時)の経済諮問委員会メンバーも務めたヌリエル・ルービニ氏は、住宅バブルの崩壊を予測した数少ない「主流派」経済学者の一人である。今ルービニ氏は、個人・企業・政府が抱える途方もない額の負債が、まもなく「すべての経済危機の母」をもたらすと警告している。

ルービニ氏は、債務に基づく経済が生まれたのは、米連邦準備理事会(FRB)をはじめとする中央銀行が推進してきたゼロかそれに近い低金利、あるいは量的緩和政策が原因だときちんと指摘している。ゼロ金利・量的緩和政策の必然的な結果が、米国民を大混乱に陥れる物価上昇である。

FRBは一連の利上げで物価上昇を解消しようとしている。これまでのところ、これらの利上げは物価上昇率を大きく低下させていない。金利が歴史的な低水準にとどまっているからである。しかし利上げは、新築住宅需要の減少など経済にマイナスの影響を及ぼしている。金利の上昇は、多くの中産階級や労働者階級の米国人にとって、比較的安価な住宅であっても毎月の住宅ローン支払いを行うことを不可能にする。

FRBが金利を自由市場の水準近くまで引き上げることができない主な理由は、連邦政府の債務管理能力に影響を及ぼすからである。米議会予算局(CBO)によると、国債の利子はすでに2052年までに連邦予算の40%を消費する勢いであり、2029年までには国防費を上回る見込みだ。わずかな金利の引き上げで、年間の連邦債務金利の支払いは何十億ドルも増加し、債務の返済のみに充てられる連邦予算の額が増えることになる。

連邦政府の財政状況は、社会保障の信託基金が2035年までに、高齢者向け公的医療保険(メディケア)の信託基金が2028年までに赤字になるという事実によって、さらに悪化している。二つの主要な給付金制度の破綻が迫っていることと、議会の大部分が福祉と戦争の支出のどちらも削減しようとしないことが相まって、FRBは窮地に立たされている。物価上昇に対抗するために必要な水準まで金利を上げれば、利払いの増加は個人と企業に困難をもたらし、連邦政府の利払いも持続不可能な水準まで上昇することになる。これは政府の債務不履行を含む大きな経済危機を引き起こし、ドルの世界基軸通貨の地位が否定されることになるだろう。また、FRBが財政ファイナンスで連邦政府の赤字を助長し続ければ、結果としてドルの価値の崩壊とドルの世界基軸通貨としての地位の否定による経済危機を引き起こすだろう。

この危機は社会不安と暴力を引き起こし、左派・右派を問わず権威主義的な運動が盛んに行われるようになる。これは市民の自由に対する政府の弾圧と、経済に対する政府の支配を強めることにつながる。唯一の明るい話題は、この危機が自由の思想への関心を高め、小さな立憲政府、自由な市場経済、個人の自由、万人との平和貿易という外交政策への回帰をもたらす可能性さえあることだ。真実を知っている私たちには、二つの責任がある。一つは、家族が来るべき混乱を生き延びられるように、必要な計画を立てることだ。もう一つは、できるだけ多くの人々に自由の理念を紹介するために、全力を尽くすことだ。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : The Mother of all Economic Crises [LINK]

ウクライナの危うい対露攻撃

米空軍退役中佐、ウィリアム・アストア
(2022年12月8日)

ウクライナがロシアの空軍基地を攻撃するために改造した無人機を発射しているという報道は、戦争の予測不可能性と激化する性質を浮き彫りにしている。ウクライナはもはやロシアの侵略から自国を守るだけでは満足できない。ロシアそのものを標的にしなければならず、それはおそらく、より厳しいロシアの反撃を引き起こすだろう。一方、米議会は民主主義と自由を守るためと称し、ウクライナに何十億ドルもの軍事支援を続けている。

戦争にはさまざまなものがあるが、民主的であることはめったにない。実際、〔アメリカ建国の父の一人〕ジェームズ・マディソンが警告したように、戦争は本質的に反民主主義的である。戦争は独裁的な勢力を強化し、権力の乱用と腐敗を助長する。ロシア・ウクライナ戦争は、明確な解決策が見えないまま進行しており、激化する可能性があるにもかかわらず、ウクライナはさらに苦しんでいる。

今必要なのは、ロシアとウクライナはもちろん、米国や北大西洋条約機構(NATO)も含めたすべての関係者による、戦争終結を目指す毅然とした外交努力である。この悲惨な戦争が長引けば長引くほど、予測不可能な事態が起こり、より残虐な行為が明らかになり、普通のウクライナ人やロシア人がさまざまな戦場や家庭で苦しみ、死んでいく可能性が高くなる。

交渉は弱さではないし、宥和でもない。交渉は賢明であり、合理的であり、生命を肯定するものである。しかし米国とNATOから白紙委任を受けているウクライナにとって、交渉する理由はほとんどない。

一方、ウクライナがロシアの奥深くへ攻撃を続ける今、米国の軍や情報機関がどの程度関与しているのか気になるところである。米国は技術を提供したのだろうか。標的の情報はどうか。諜報活動はどうか。それともウクライナは完全に自分たちだけでやっているのだろうか(このシナリオは安心できるものではない)。

米国とロシアが話し合っていることを願うばかりだ。戦争の混乱と混沌のなかで、ロシアはどうやって戦略空軍基地への攻撃がNATO領域からではなく、ウクライナから来ていると確信できるのだろうか。たとえウクライナからの攻撃であることが明らかであっても、こうした攻撃が米国やNATOによって可能にされたり承認されたりした場合、ロシアはこれを戦争行為とみなすだろうか。ロシアは軍事的に反応し、さらに圧力を高めることになるのだろうか。

奇妙なことに、ウクライナのロシアに対する防衛戦争は、米国の「良い」戦争、ウクライナの「民主主義」を守るためにロシアとプーチンを弱める機会として売り込まれてきた。しかしウクライナの戦術がより攻撃的になり、戦争の圧力によってウクライナ政府がより独裁的になる可能性が高いなか、米国が外交を抑制する一方で、大量の軍事支援を送り続けることは、どれほど賢明なことなのだろうか。

プーチンを懲らしめ、その力を削ぐという名目で、ロシア・ウクライナ戦争を長引かせることに終始する政策は、戦争がいかに反民主的であるかという教訓を我々に教えてくれるかもしれない。戦争は極限に達しており、自由と正義にかなう方法でそれを制御できると信じるのは、愚か者だけである。

(次を全訳)
Beware of Long Wars - Antiwar.com Original [LINK]

2022-12-12

使途不明の国防費、それでも予算は増える

ミーゼス研究所編集主任、ライアン・マクメイケン
(2022年12月6日)

米国防総省は11月、またもや監査に引っかかったと発表した。何年もかけて行動を起こしてきたにもかかわらず、何兆ドルもの納税者の資産と収入をどのように使い、どのように維持しているのか、まだわかっていないのである。防衛ニュースサイト、ブレーキング・ディフェンスが先月、こう指摘している。

国防総省は5年連続で年次監査に不合格となった。予想されたことではあるが、それでも当局が毎年少しずつでも着実に前進していくことを望んでいた取り組みにとっては、ある種の失望を示す結果となった。......ペンタゴン(国防総省)は2018年以降、同省の歴史上、初めて実施された監査でことごとく不合格となった。

このような会計処理ではもちろん、ほとんどの民間企業の経営幹部がさまざまな金融犯罪で刑務所に入ることになる。しかも、これは私たちの銀行取引のほとんどをスパイする特権があると主張し、最近では600ドル以上のベンモ(Venmo)やペイパルの取引をすべて報告するよう要求し始めたのと同じ政府なのである。しかし政府部門はそういうわけにはいかない。国防総省は文字通り何兆ドルもの監査に引っかかることがあるが、その意味は「改善の余地がある」ということだけだ。

実際、議会は今月、納税者のお金がどのように使われたかという正しい情報に資金を結びつけるのではなく、ほとんど国防費をどれだけ増やすかについて議論している。

先週、議会は国防予算の増額について、またもや妥協案を打ち出しはじめた。国防総省のコロナワクチンの義務付けや、ウクライナにあと何個兵器を送るかなどの議論が続いているが、提案された予算は2022年の予算より8%増加することになる。共和党の指導者の中には、3~5%というやや少なめの増加を求めていた人もいたものの、よくあることだが、同党は特定の利益団体に利益をもたらす限り、これまで以上に大きな予算にサインすることに満足している。ホワイトハウスは8020億ドルを要求していたが、最終的には8400億ドル以上になりそうである。

失敗に費やされる数兆ドル


この規模の予算は、現在のドル換算で史上最高額となる。エネルギー省を通じた核兵器への支出を含む国防機能全体を見ると、行政管理予算局(OMB)の2023年の試算は現在8270億ドルである。これは2022年に比べて7.8%の増加であり、米政府がアフガニスタンへの「増派」とイラクでのさまざまな占領・反乱作戦に忙殺されていた2009年に比べて14%の増加である。米国は2兆ドル以上を費やした後、結局この二つの戦争に負けた。さらに、これらの戦争は多額の借金で賄われており、米国の納税者は現在、6兆ドル以上の利払いを強いられているかもしれない。

現在アフガニスタンの政権は、2001年の米国の侵攻前と同じようにタリバンの手中にある。一方、イラクでは米国の侵攻で国家が破壊されたことにより、「イスラム国」(IS)が埋める権力の空白が生まれた。現在、サダム・フセインの世俗的な国家は、親イランのシーア派政権に取って代わられている。米政権がイランを不倶戴天の敵として扱っていることを考えると、米政権とその将兵がこれらの戦争でいかに有能でなかったかは想像に難くない。

戦争がもたらしたもう一つの副作用は、退役軍人関係の費用を増大させたことである。退役軍人関業務は、もちろん兵士の募集と維持に不可欠である。これらの費用は国防費と切り離して考えるべきではない。退役軍人費用は兵役時に兵士に約束される繰延報酬にすぎない。したがって退役軍人費用を当然のように含めると、防衛費はさらに膨れ上がっていることがわかる。2023年度には、退役軍人費用を含む国防費の総額は1兆2000億ドル以上に高騰すると試算されている。これは2022年会計年度から10%増、2009年からは42%増となる。

しかし、インフレはどうか?


しかし軍事費増加の支持者は、インフレが国防費を圧迫している、だからインフレ調整後のドルだけで支出を測るべきだ、と文句を言いそうである。もちろん、インフレの原因は政府そのものにあるのだから、道義的な意味はないはずだ。

民間の実質賃金は19カ月連続で低下しているが、軍事費のためにさらに税金を投入すべきだと主張されている。この考え方は、政府機関には政府が作り出したインフレによって支出力を奪われない「権利」があるはずだ、というものだ。

しかし議論の都合上、インフレ調整された軍事費を見てみよう。当然ながら、この指標では支出はほとんど増えていないことがわかる。しかし退役軍人の支出を含めると、2023年の国防費はこの指標でも過去最高となる。

OMBによると、2020年のドルの価値を基準にすると、2023年の支出は1兆300億ドルに達すると推定されている。これは2022年に比べて8%の増加だが、同じく支出が1兆ドル前後で推移した2010年と2020年の過去のピークからは「わずか」にしか増加していない。

この税金は何に使われるのだろうか。国防総省はその行き当たりばったりの会計処理からしてわかっていないが、少なくとも数十億ドルは、ウクライナ政権への援助にすでに費やされた650億ドルや、北大西洋条約機構(NATO)にただ乗りする欧州の加盟国に「保証」を続けるため、さらに数千億ドルを補うよう使われるとみて間違いないだろう。結局のところ、ドイツは最近、自国の軍事費を国内総生産(GDP)の2%という合意された基準まで引き上げる約束を履行しないことを発表した。NATOの連帯と欧州の防衛について、欧州の政治家たちがたくさんの美辞麗句を並べることが予想される。しかし欧州の人々が、米国の納税者がほぼすべての費用を負担することに満足していることは明らかだ。これに対し、NATOの大物であることを楽しんでいる米国は何もしない。言い換えれば、米国防総省が把握しきれないほどの何兆ドルもの金を納税者から騙し取ることに、米政府は何の問題も感じていないのである。しかし米政府は、米国が欧州のツケも払えという欧州の主張にも喜んで加担している。

(次を全訳)
As the Pentagon Fails Another Audit, Congress Wants to Spend Even More on "Defense" | Mises Wire [LINK]

2022-12-11

主流メディアのゆがんだ引用

ライター、テッド・スナイダー
(2022年12月8日)

12月1日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、バイデン政権となって初の米政府訪問のため、ワシントンに赴いた。華やかな演出、贈り物、握手、友愛と連帯を示すお世辞の後、マクロン大統領は集まった報道陣に向き合った。

「我々は、ウクライナ人が受け入れられないような妥協は決して促さない」。ニューヨーク・タイムズ紙のヘレン・クーパーは「これこそマネー・クォート(発言の肝)だ」と言った。

しかしそれは残念ながら発言の肝ではなかった。数日後、マクロンは米国の聴衆の前でバイデンと肩を並べるのではなく、フランスの聴衆を前に一人で立ったときに、肝となる発言をした。仏テレビ局TF1のインタビューで、ワシントン訪問中に撮影されたが、帰国時に放映された。「我々が備えなければならないのは、何を準備しなければならないか、同盟国と加盟国をどう守るか、ロシアが交渉のテーブルに戻る日をどう保証するかだ」と述べた。そしてマクロンはその意味を次のように明らかにした。「我々が対処しなければならない本質的な点の一つは、プーチン大統領がつねに言っているように、北大西洋条約機構(NATO)が間近に迫り、ロシアを脅かす恐れのある兵器が配備されるという恐怖だ」

発言の肝は、連帯の表示にもかかわらず、米国の指導者と忠実な欧州の反対派指導者の間に深い谷があったということだ。その谷は非常に深く、戦争の原因と解決策をめぐる意見の相違も含まれていた。バイデンもマクロンも「ロシアのウクライナに対する違法な侵略戦争を強く非難する」。しかしバイデンにとっては、そもそもあの戦争は完全にいわれのないものであり、最終的には、和解はそれを反映し、米国の核となる価値を守るものでなければならない。マクロンにとっては、戦争は違法だったが、ロシアにはNATOが押しつけてきた正当な安全保障上の懸念があり、和解はそれをも反映したものでなければならない。

マクロンはバイデンとの記者会見で、その決定的な分裂をほのめかした。その際もマクロンは「我々は平和を築きたいし、持続可能な平和とはウクライナの主権と領土の完全な尊重を意味する」と述べた。しかしその後、ロシアの懸念を真剣に受け止める新しい欧州安全保障構造に含まれることを求めるロシアの要求をほのめかしながら、「しかし同時に(それは)長期的に持続可能な平和を確保するための新しいアーキテクチャー(基本構造)を意味する」と付け加えた。しかし、それは発言の肝にはならなかった。

主流メディアのいう発言の肝は、欧州連合(EU)の最も強力な二つの加盟国の一つであるフランスが、戦争の交渉による解決は、国境に迫ったNATOや国境近くの兵器に関するロシアの安全保障上の懸念に対処するものだと主張していることを見逃している。

9月16日、上海協力サミットで、インドのモディ首相はロシアのプーチン大統領と会談を行った。モディ首相は「今は戦争の時代ではないことはわかっている。とくに電話での会話では、何度もこのことを話してきた。民主主義、外交、対話は、我々が解決策を見つけるための重要なツールだ。将来平和を実現するために必要なことであり、我々はこのことについて話し合うことができると確信している。あなたの視点をよりよく理解する機会を歓迎する」というのが発言の肝とされた。

しかし、その引用は部分的なものだった。モディの次の言葉が省略されているのだ。「ロシアとインドの関係は大幅に改善された。私たちは、この関係が非常に重要であると考えている。我々は友人であり、何十年もの間、つねに肩を並べ合ってきた。全世界がロシアとインドの関係の本質を知っているし、世界は深い友情、とくに私たちを結ぶ個人的な友好関係も知っている。...この地域、我々の国民、市民の幸福のために、我々は今日、特に上海協力サミットの枠組みの中で、再び努力を重ねている。...二国間関係については本日も議論するが、我々の関係が将来にわたって改善・強化されることを意味し、それは世界全体にとっても有益である」

これが発言の肝だ。インドは、米国が主導するロシアへの制裁と孤立に協力していたわけではない。ロシアとの関係を改善し、強化していた。

同じ上海協力サミットで、主流メディアは中国の習近平国家主席について発言の肝をひねり出した。プーチンは、中国がウクライナの「危機」について「疑問と懸念」を抱いていることを認めざるをえなかったという。

米国務省のネッド・プライス報道官は「プーチン大統領がそれをこれほど率直に認めるとは、いささか不思議なことだ」と述べた。

重要なのは、習近平が、中国は「ロシアと協力して、互いの核心的利益に関わる問題について強力な相互支援を行い、貿易、農業、連結性、その他の分野における実際的な協力を深める」と付け加えたことだ。中国にとっての核心的利益とは、米国とNATOの台湾での挑発行為や、米国が1972年から1982年にかけて中国と交渉した3つの共同コミュニケに対する違反行為などである。ロシアにとっての核心的利益とは、NATOが最も敏感な国境を侵犯していることや、冷戦終結時にNATOの東方拡大について交わされた約束に違反していることである。

マクロンと同様、習近平がロシアの中核的利益への強い支持を盛り込んだのは、戦争の解決にロシアの安全保障上の懸念が含まれることを主張したものである。中国の疑問や懸念は発言の肝として引用されたが、重要な問題に関する中国のロシア支持や、米中の立場に溝があることは引用されなかった。

(次より抄訳)
How the Mainstream Media Misses the Money Quote - Antiwar.com Original [LINK]

2022-12-09

アフガン戦争を忘れるな

自由の未来財団(FFF)創設者・代表、ジェイコブ・ホーンバーガー
(2022年12月8日)

米国防総省が北大西洋条約機構(NATO)を使ってロシアを刺激し、ウクライナに侵攻させた際、そのような侵攻がもたらす大きな利益の一つは、米国の兵器メーカーを豊かにすることだとわかっていたはずだ。兵器メーカーはもちろん、米国の安全保障国家という政府構造の重要かつ不可欠で、忠実な部分である。

そして案の定、その兵器メーカーは今、感謝されることがたくさんある。ウォールストリート・ジャーナル紙の記事によれば、こうである。

世界最大の兵器メーカーは、ロケットランチャー、戦車、弾薬の生産を拡大している。ウクライナ戦争に端を発した持続的な需要に対応するため、業界がシフトしているからだ。

国防総省はウクライナに170億ドル以上の武器とサービスを提供することを約束しており、そのほとんどは既存の在庫から引き出されたものである。また、国内および同盟国の在庫を補充するために、約34億ドルの新規契約を結んでいる。

ペンタゴン(国防総省)はアフガニスタンから撤退せざるを得なくなった際、その貧しい第三世界の国に死と破壊をもたらすために約20年間大量の兵器を使用してきた、忠実な兵器メーカーの軍隊が苦しみ始めるかもしれないことを理解していた。国防総省がウクライナで引き起こした危機は、明らかにその苦しみを和らげるのに役立っている。

しかしロシアのウクライナ侵攻には、もう一つの受益者、すなわち国防総省自身がいた。というのも、米国人が国防総省の20年にわたるアフガンでの壊滅的な大失敗に注目する前に、誰もがロシアのウクライナ侵攻にのみ注目し始めたからだ。ウクライナの危機のおかげで、アフガンの大失敗は記憶の彼方に追いやられてしまった。

私たちはアフガンの失敗を真剣に考え、検証し、分析する必要がある。国防総省がウクライナで引き起こした危機を、アフガンで起こった出来事から目をそらすために利用することは許されない。アフガンからただ「前進」し、国防総省が邪悪なロシアとそのウクライナ侵略にのみ私たちの注意を向けるのを許すのは、重大な誤りだろう。

バイデン大統領と民主党、そして一部の共和党員が突然発見し、崇め始めた合衆国憲法に注目することが重要だ。憲法は大統領が合法的に戦争を行う前に、議会による宣戦布告を要求している。アフガンに対して議会が宣戦布告をしたことは一度もない。そのため、国防総省のアフガンに対する戦争は、米国の立憲政府の形態の下では違法なものとなってしまった。

同様に重要なことは、もしジョージ・W・ブッシュ大統領が議会に対して宣戦布告を求めたとしても、それを取り付けることができなかったことは事実上確実である。なぜなら、ブッシュは9・11テロに〔アフガンのイスラム主義組織〕タリバンが加担したという証拠を何ら示すことができなかったからだ。そのような共犯関係の証拠がなければ、議会がアフガンに対して宣戦布告を行うとは考えにくい。特に、そのような戦争は、貧しい第三世界の国に大量の死と破壊をもたらすことが避けられないとわかっているからだ。

ブッシュはアフガン侵攻を「自衛」の原則のもとに道徳的に正当化すると主張した。だがそのためには、タリバン政権が9・11テロに関与していることを示す必要がある。しかしそのような証拠は存在せず、ブッシュもそれを知っていた。したがって、もしブッシュが議会で「自衛」に基づく宣戦布告を求めたとしても、証拠に関する限り、手ぶらで行ったことになる。

実際、もしブッシュが本当に、タリバン政権が米国を攻撃したと信じていたのなら、アフガン侵攻による自衛のために国連に承認を求めに行くことはなかっただろう。そんなことをする大統領はいない。

では、「犯人蔵匿」罪はどうだろうか。ブッシュは、アフガンがオサマ・ビンラディンを「かくまっている」ので、アフガン侵攻は道徳的に正当化されると主張した。ブッシュの主張には妥当性がない。「かくまう」ことを正当化するには、ブッシュは、タリバン政権が9・11テロを予知しており、故意にビンラディンと共謀してテロ計画のための基地を提供したという証拠を提出しなければならない。ブッシュは、そのような告発を支持する証拠がないことを知っていた。

ブッシュが実際に「かくまう」と言ったのは、タリバンがブッシュのビンラディン無条件引き渡し要求に応じないということである。しかし国際法の下では、タリバン政権にはブッシュの引き渡し要求を拒否する権利がある。それはアフガンと米国の間に引き渡し条約がなかったからだ。二国間に引き渡し条約がない場合、どちらも他方からの引き渡し要求に応じる必要はない。

9・11テロは「戦争行為」であり、したがって米国はアフガンに住んでいたビンラディンを殺害または捕獲するためにアフガンに侵攻する正当な権限があったという主張についてはどうだろうか。

これはアフガン侵攻正当化のためのインチキだった。米国の法律では、テロは犯罪行為であり、戦争行為ではない。そのため、テロリズムの訴追は米国の地方裁判所で行われる。いかなる国も、他国を侵略して、その国に居住している犯罪容疑者を殺害または捕らえる正当な権限を持っていないのである。

最も悪名高いテロリストの一人に、ポサダ・カリレスという米中央情報局(CIA)の人間がいる。ベネズエラの上空でキューバの航空会社を爆弾で墜落させた人物の1人と広く考えられている。ポサダはその後、無事に米国に身を寄せている。

ベネズエラがポサダの引き渡しを要求した際、米当局は、ベネズエラと米国の間に引き渡し条約があるにもかかわらず、これに応じないことでポサダを保護した。

ビンラディンを殺すか捕らえるかするために、壊滅的なアフガン侵攻を支持した介入主義者は、ポサダを殺すか捕らえるかするために同じく壊滅的なベネズエラの米国侵攻を支持しただろうか。そうは思えない。

ウクライナの危機を煽るためにNATOを利用するのは、十分に悪いことだ。米国の武器製造会社は明らかにこの危機から利益を得ているが、国防総省も同様だ。国防総省がアフガンの人々にしたことを忘れさせ、ロシアのウクライナ侵攻にただ「移行」させてしまったからだ。とりわけペンタゴンが貧しい第三世界の国に対する非道徳的で違法な戦争で大量の死と破壊を引き起こしたことを考えると、そのようなことをさせてはならない。

(次を全訳)
We Must Not Forget the U.S. War on Afghanistan – The Future of Freedom Foundation [LINK]

2022-12-08

代理人による検閲

ジョージ・ワシントン大学法学教授、ジョナサン・ターリー
(2022年12月6日)

検閲とは何か


検閲を擁護する人々が昔から言うことの一つに、政府が言論の自由の抑圧を指示しなければ、それは検閲ではない、というものがある。

これは明らかに事実に反する。全米市民自由連合(ACLU)のような多くの団体は、「検閲は政府によって行われることもあれば、民間の圧力団体によって行われることもある」と強調している。

同じ人々が、もし(政府にしか適用されない)合衆国憲法修正第1条の違反がなければ、言論の自由の侵害はないと主張している。修正第1条は決して言論の自由の独占的な定義ではない。言論の自由は私たちの多くが人権とみなしており、修正第1条はそれを制限する一つの原因を扱っているにすぎない。言論の自由は政府機関だけでなく、私企業によっても損なわれる可能性がある。

企業には明らかに言論の自由がある。皮肉なことに、民主党は長い間、企業に対するそのような権利に反対してきたが、検閲となると受け入れる。また、バイデン陣営がバイデン政権になった後も、検閲(およびツイッターとの裏ルート)は続いていたことも注目に値する——代理人による検閲の典型例である。さらに、民主党の上院・下院議員からは、批判者を黙らせ、ハンター・バイデンの利益誘導スキャンダルを葬り去ろうとする圧力もかかっていた。

カリフォルニア州の民主党議員ロー・カンナは、ツイッター最大の検閲官であるビジャヤ・ガッデに接触し、自らを「完全なバイデン党員」であるとしながらも、この行動を再考させようとした。カンナ議員は「これは憲法修正第1条の原則に違反しているように思える」と指摘した。

これは言論の自由の原則に反するものであり、カンナはこの論争において、政治の都合でその原則を捨てようとしない左派の数少ない一人であった。

「汚い写真がすべて」


もう一つの主張は、これは記事を検閲するための努力ではなく、ハンター・バイデンが売春婦とセックスしたり、身体を露出したりして撮影した下品な画像を封じるためだけだったというものである。

この主張には、検閲のほかにプロパガンダの側面もある。ツイッター社の文書から明らかになったように、ツイッター社の関係者は、この記事全体がロシアの偽情報かハッキングではないかと議論していた。元連邦捜査局(FBI)弁護士のジム・ベイカー( ロシア共謀の騒動後にツイッターに雇われた)にとっては、「注意が必要」という理由で、他の人がこの話を共有しないよう手助けすることがすべてだ。

弾圧の時点でも、この動きがハッキングという誤った主張によって正当化されていることは、左派の多くの人々にとって明らかだった。

カンナ議員はガッデへの手紙の中で、「ジャーナリストはハッキングを積極的に援助しない限り、情報源の違法行為について責任を負うべきでない」と指摘した。だから、その資料の配布を制限することは、とりわけ大統領候補に関することは、ニューヨーク・タイムズ対サリバン事件(公共問題に関する討論を禁圧してはならないとする最高裁判決)の流れを汲んでいないようだ」と述べている。

もっと重要なのは、このことがツイッターの従業員に伝わらなかったことで、ある従業員は、「彼らはただ(検閲を)自由にやっただけだ。ハッキングは言い訳だったが、数時間のうちに、ほとんどの人がそれが通用しないことに気づいた。しかし、誰もそれを覆す勇気がなかった」と述べた。

さらに、ツイッター社はその後、記事を抑えたのは間違いだったと認め、写真付きの記事も含め、共有を許可した。「バイデンチーム」は、「ハンター・バイデンのポルノ」といった言及を含むツイートの検閲を望んでいたが、大統領選前に同社が記事を抑制する原因となったのは、露骨な写真ではなかった。

しかしこの議論には、直感に反しているとはいえ、みごとな見解がある。ニュースサイト「サロン」 にあるように、「ハンター・バイデンのノートパソコンの『スキャンダル』は、ほとんどが汚い写真についてである」というものだ。もし、このスキャンダルがすべて汚い写真についてなら、汚い政治や影響力の行使は関係なくなる。検閲についてもそうだ。議論は終わりになる。

これらの開示を否定する取り組みは、この話自体を封じ込めようとした以前の取り組みと同様に、うまくいかないだろう。

まだ多くの文書が公開されるよう期待する。さらに下院は、これらの企業が民主党の仲間のために検閲を行うよう利用されていたことを調査する見込みだ。

この調査が重要なのは、(そのような調査の脅威をとっくに承知していた)ツイッターの関係者が、文書によるやりとりを避けたり、あるいは破棄したりした可能性がつねにあるからだ。

実際、「何もない」という声が日増しに強まることで、多くの懐疑的な市民はむしろ関心を強めるかもしれない。

結局のところ、茶番劇ほど人を引きつけるものはないのである。

(次より抄訳)
“Fool Me Once . . . ” Why the Public is Not Buying the Latest Media Campaign Against Twitter – JONATHAN TURLEY [LINK]

2022-12-07

ロシアに関する嘘、信じ続ける米国人

元米中央情報局(CIA)分析官、レイ・マクガバン
(2022年12月5日)

5年前の今日、米議会は宣誓した当事者本人の証言により、民主党全国委員会(DNC)がバーニー・サンダース(民主党大統領候補としてヒラリー・クリントンの競争相手)に対し不利な手段を講じたことを示す同委員会のメールを、ロシア(あるいは他の誰か)がハッキングした技術的な証拠がないことを知った。

このサイトに初めて訪れた読者が、信じられないと叫ぶのが聞こえてきそうだ。「そんなはずはない。ロシアがトランプを勝たせるためにメールをハッキングしたと、ワシントンの政府関係者やメディアは断言した。そして、オバマ大統領(当時)はそれに対応して35人のロシア人外交官を追い出したのではなかったか。ハッキングで起訴された12人のロシア諜報員はどうなのだ。米政府関係者やメディアは勘違いしていたのか」

いや、勘違いではない。嘘をついていた。

「しかし...しかし、ロバート・モラー特別検察官は、トランプとロシアの共謀に関する22カ月の捜査を始めてわずか6カ月で、ロシアのハッキングの具体的証拠がないことを知っていたということなのか」

その男に宣誓させる


2017年12月5日、サイバーセキュリティ企業クラウドストライクの代表であるショーン・ヘンリーは、下院情報委員会で証言し、2016年7月にウィキリークスが公開した民主党全国委のメールをロシアがハッキングしたという技術的証拠はなかったと述べた。クラウドストライク社は、「ロシアのハッキング」を調査するために、民主党全国委とクリントン陣営に(米連邦捜査局=FBI=の了解を得て)雇われていた。

ショーン・ヘンリーは、ロバート・モラー元FBI長官(2001〜2012年)の子飼いで、クラウドストライクに行く前はFBIサイバー犯罪捜査班の班長を務めていた。この重大な事実を、ヘンリーがかつての恩師である特別検察官(モラー)に知らせなかった可能性はあるのだろうか。

なぜ読者は、あの証言から5年も経ってから、今になってこのことを知ったのだろうか。答えは簡単だ。下院情報委員会のアダム・シフ委員長(民主党、カリフォルニア州)は、2017年12月5日から公開を余儀なくされた2020年5月7日まで、ヘンリーの非機密証言を秘密にできたのである。シフは秘密を守る役目を企業メディアの友人たちに引き継ぎ、メディアは今、シフでさえもできなかったほど長い間、ショーン・ヘンリーの証言を封じている。

つまりヘンリーの証言から5年経った今も、企業メディアは視聴者・聴取者に何も知らせないままなのである。私たちVIPS(正気を求める元情報員)が企業メディアから追放されていなければ、「ハッキング」デマに関心を持つ人々は、2016年12月12日(ショーン・ヘンリーが宣誓して真実を語る1年前)の私たちの覚書「ハッキング疑惑は根拠がない」を読み、事実を知ることができたはずだ。ヘンリーの告白は、私たちにとって何ら驚くべきことではなかった。

しかし、たとえばニューヨーク・タイムズ紙は、太鼓を叩き続けている。〔同紙コラムニストの〕チャーリー・サベージは先週、ジュリアン・アサンジに関する記事の中で、次のような文章を慎重に挿入した(ニューヨーク・タイムズ自身が埋め込んだものを見逃してはならない)。

彼(アサンジ)の公共イメージは、ウィキリークスが2016年の大統領選挙でドナルド・トランプを勝たせる秘密作戦の一環として、ロシア政府によってハッキングされた民主党のメールを公開してから大きく変化した。

これがサベージとニューヨーク・タイムズの言葉だ。言葉が通じないピエロは必ずいる。しかしサベージはピエロではない。サベージは今もあるべきシナリオを知っており、それに忠実である(つまり、自分の仕事にも忠実である)。

ショーン・ヘンリーの証言を封じた理由は、次のようなものだったとみられる。「ロシアのハッキング」に関する真実は、ロシアゲートの核心を揺るがし、自分たち企業メディアが悪のプーチンとトランプの「親密」な関係について語ってきたことを根底から覆すことになる。さらに悪いことに、真実が明らかになれば、MICIMATT(軍・企業・議会・情報機関・メディア・学会・シンクタンク複合体)が兵器の製造・販売を「正当化」するために必要な、恐るべき「敵」というイメージを否定することになりかねない。それに、米国人はおそらく真実を扱うことができない。知らなければ、傷つくこともない。

米国人が知らないこと


ユーモア作家のウィル・ロジャースは正しいことを言っている。

「問題は、人々が事実を知っていることじゃない。事実じゃないことを知っている、それが問題だ。」

米国人が「知っている」のは、プーチン大統領が悪であり、ロシアをウクライナで食い止めなければならないということだ。これは6年にわたる教化・洗脳の成果である。もちろんプーチンらもそれに気づいている。欧米の人々がプロパガンダの台で鍛えられ、戦争拡大を目指しているように見えることだろう。これは非常に危険なことだ。人々が知らないことは、人々を実際に傷つけ、別の誤った戦争に導くことができる。その戦争は最近の他の間違った冒険よりもはるかに悪いものだろう。

ジョー・バイデン大統領に助言している新米たちが、ロシアがウクライナで軍事的優位に立っていることを認めようとしないなら、今後数カ月のうちに戦争は拡大する恐れが強くなる。そして情報機関トップによる最近の楽観的な予測にもかかわらず、ウクライナと北大西洋条約機構(NATO)は、ロシアよりも先に弾薬を使い果たす可能性がはるかに高い。

(次を全訳)
Americans Dumbed Down on Russia - Antiwar.com Original [LINK]

2022-12-06

ツイッター文書が暴いた検閲の闇

元米連邦下院議員、ロン・ポール
(2022年12月5日)

イーロン・マスクが言論の自由のヒーローかといえば懐疑的だと認めよう。マスクは米政府の助成を受けたビジネスを転々とし、世界一の金持ちになる道を歩んできた。しかし彼が先週末に発表した「ツイッター文書」は、政府によるソーシャルメディア操作を暴露するものであり、憲法修正第1条(言論の自由)を重視する私たちにとって大きな勝利であったことは否定できない。

このニュースは、真の独立系ジャーナリストであるマット・タイービと共同で公開されたもので、政治家や「政府当局」の代表が、当時ツイッターの検閲を担当していたチームを動かし、ツイートを削除したり、権力者たちが一般市民に読ませたくないものを投稿しただけの罪のないアカウントまで追放したりしたことをはっきり示している。ツイッターの検閲を要求した人々の多くが、米憲法とその修正第1条に宣誓した米政府関係者であったことを忘れてはならない。

重要なのは、米国の両政党がツイッターに自分たちの気に入らない情報を検閲するよう働きかけることに関与していた事実だ。汚職はいくらでもある。しかしツイッター文書が示したように、民主党の政治家の要求で検閲されたツイートが圧倒的に多く、それはたんにツイッターの検閲チームの社員の大半が民主党支持者だったという理由による。

ツイッター文書の第一弾として公開された証拠のうち、おそらく最も忌まわしいものは、2020年大統領選のバイデン陣営がツイッター社内の接触先に対し、一連のツイートの検閲を依頼した事実だ。ツイッター社の内部文書によると、検閲チームがこれらを「処理した」、つまり検閲を行ったという。

イーロン・マスク自身、今回の発表前に会社を掌握し大量解雇を行うに先立ち、ツイッター社が選挙を操作していたと公言している。つまり、私たちはずっと、ロシアが選挙に介入しているというワシントンのエリートたちの嘘を聞いていたのだが、結局はツイッターの仕業だったのだ。もちろん、フェイスブックのような他の大手ソーシャルメディア企業についても疑問が生じる。(フェイスブックの)マーク・ザッカーバーグは自社の選挙干渉について白状するのだろうか。彼にそうするよう要求する勇気のある人はいるだろうか。

なぜこんなことをやってのけたのだろう。もう一人の真の独立系ジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドが、「ツイッター文書」が公開された夜、(FOXの)タッカー・カールソンの番組で指摘したように、かつて主流メディアで扱うものを中央情報局(CIA)が操作しようとすれば物議をかもしたが、今ではメディアが公然と「元」米情報機関の幹部や将校をニュースアナリストとして雇っている。CNN、MSNBC、FOXその他すべて、米国人に何を考えるべきか伝えるために、情報機関の 「元 」メンバーを起用する。「大手ハイテク企業の検閲は、安全保障国家の重要な手段だ」とグリーンウォルドはタッカーに語った。「誰かがそれについて何かしようとすると、CIAや国防総省などの元職員が飛びついてきて、『言論の自由を回復させることはできない』と言うのだ」

これは非常に大規模な汚職スキャンダルであり、適切な調査が行われないことがほぼ確実だ。政府そのものが最も罪深い存在であり、「政府委員会」が犯罪の摘発よりもむしろ隠蔽を目的としていることは周知のとおりである。しかし、真実は強力だ。ウォーレン報告書がケネディ大統領暗殺事件の真実を隠してから約58年、世論調査では「公式」説を信じる米国人はほとんどいないことがわかっている。

真実は強力であり、私たちはつねに真実を求めなければならない。どんなに嘘をついても、真実の殺菌作用に耐えることはできない。イーロン・マスクの勇気に感謝し、彼がこの取り組みを続けるよう応援したい。

(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : The ‘Twitter Papers’ Reveal the Totalitarians Among Us [LINK]

2022-12-05

浪費を嫌った米大統領

経済教育財団(FEE)名誉理事長、ローレンス・リード
(2022年3月23日)

典型的な国家元首は、自分がその中心にいる場合は特に、ものものしい儀式や行列を好む。しかし、納税者などの他者がそのツケを払うのであれば、静かな簡素さを選ぶのが道義的な態度というものだ。楽団や制服、格調高い言葉を駆使した荘厳な式典や観衆の喝采は、ともすれば正気を失わせる。

少なくとも一人、米大統領就任を控え、現代的な過剰さよりも古風な倹約を選択した人物がいる。その場は他ならぬ自分の就任式であり、人物はウォーレン・ハーディングである。

1920年11月、オハイオ州選出の上院議員だったハーディングは、大差で大統領に選ばれた。有権者は、ウッドロウ・ウィルソンという尊大で傲慢、重税を課し大金を使う「進歩的」な政治家の政権が8年間続いた後、ハーディングに「常態」を求めるチャンスを見いだした。新大統領が大金をはたいて自画自賛することに興味はなく、ハーディングのやり方を高く評価した。

1921年1月初旬、3月4日の就任式まであと2カ月と迫った頃、ハーディングは就任式の計画に対し不快感を募らせていた。1月10日、ブレーキを踏んだ。翌日のニューヨーク・タイムズ紙の見出しはこうだった。

ハーディング、凝った就任式を拒否
倹約の見本を示すとき
式典は簡素に、舞踏会は中止

1面の記事によると、次期大統領は就任式を担当する委員会に対し、「就任式を贅沢で華美にするような行事はすべて放棄するように」と命じたという。つまり、パレードや舞踏会、「派手な演出や浪費」をしないということである。「シンプルで品位のある行事でなければ、気に入らない」

ハーディングが質素な行事を選ぶことは、知人や選挙期間中の公約を聞いていた人々にとっては、何も驚くべきことではなかった。1923年8月に早すぎる死を迎える前に、あらゆるものに対して連邦政府の支出を大幅に削減したことにも、誰も驚かなかった。経済学者のダン・ミッチェル氏が指摘するように、ハーディングは前任者ウィルソンの残した多額の政府負担を軽減することで、ウィルソンの政策が引き起こしたインフレと不況の早期終結を促した。

無能な大統領と呼ばれてきたハーディングの評判は、長い時間をかけて修復されつつある。その最新の成果が、ライアン・ウォルターズ氏による必読の伝記『ジャズエイジの大統領』である。これを読めば、権力とそれを行使する者を崇拝する、怠惰で偏った従来の歴史家に対し、必ずや疑念を抱くようになるはずだ。

ハーディングは、聴衆が聞きたいことだけを話したのではない。聴衆が聞きたくないことを話すこともあった。例えば、アラバマ州のバーミンガムに行って、人種差別とジム・クロウ法(黒人隔離)を非難した。これは以前にも指摘した事実である。

従来の歴史家は、大統領が署名した法案を称賛するが、法案に拒否権を発動するには、より多くの勇気と信念が必要な場合が多い。その点でもハーディングは評価できる。ホワイトハウスにいた2年半の間に、6つの法案に拒否権を発動した。この6つのうち、無効になったものはない。しかし彼の政党〔共和党〕が両院を支配していたことを忘れてはならない。議会はハーディングが署名しないと思うような法案はあまり送らなかった。

ハーディングが拒否権を発動した4つの法案は、些細な問題でほとんど注目されなかったが、一つは第一次世界大戦の退役軍人に対するボーナスに関するもので、大きな騒ぎとなった。法案が上下両院を通過する際、ハーディングは、財源のないボーナスは検討する価値もない、と十分な警告を発した。しかし議会はそれを無視し、法案をハーディング大統領のもとに届けた。大統領はそれを拒否し、次のように指摘した。

調整型報酬と呼ばれるものを立法化する際、議会はその支給の原資となる歳入を提供しない。我々は、政府活動の本質を損なうことなく、支出を抑え、経済性を確立するためにあらゆる方面に働きかけてきた。これは困難かつ不人気な仕事であった。拒否するよりも支出する方がはるかに称賛されるからだ。

南北戦争後、議会はその退役軍人とその扶養家族に年金を支払った。60年後の1923年、法案をハーディングに送り、南北戦争から長年過ぎた後、退役軍人の老人と結婚した女性に年金を支給するよう求めた。ドイツとの戦争に参加した退役軍人の最近の未亡人が得ていたものより高い支給額を認めるものだった。ハーディングの拒否権発動メッセージには、こんな反論が含まれていた。

戦争で衝撃と悲しみを分かち合った退役軍人の未亡人に支払われる補償金は、月24ドルである。南北戦争から60年後に退役軍人と結婚した未亡人に月50ドルを支払うのなら、実際の戦争未亡人に24ドルで辛抱しろとは言えないだろう。

議会は、ハーディングがそのような法案に署名することなど期待しないほうがよいことをよく知っていたはずである。ハーディングは、控えめで飾り気のない就任式で、「われわれの最も危険な傾向は、政府に過剰な期待を寄せることだ」と宣言した人物である。彼は「公共の家計を整えたい」と表明し、経済政策には「健全さ」を求め、「個人の慎重さと倹約は、この困難な時代に不可欠であり、将来への安心感にもつながる」と述べた。

そんなことを言われたら、80歳の退役軍人と結婚したからといって、30歳の元気な女性に支給する小切手を承認してもらおうなどとは、とても思わないだろう。

このウォーレン・ハーディングという人物は、米国の歴史上、おそらく最高の財務長官であるアンドリュー・メロンを送り出した人物であることを忘れてはならない。歴史家のバートン・フォルサムによれば、メロン氏は政府の経費を削減し、財務局の職員を一日平均一人ずつ、その職を解いたという。ハーディング、メロン、カルヴィン・クーリッジ(ハーディングの後継者)は、友好的な議会とともに、連邦予算を削減し、国債を3分の1以上削減した。

1921年の夏の終わり、ハーディング大統領とフローレンス夫人は、週末の休暇を利用してニュージャージー州のアトランティックシティに出かけた。ホテルがレッドカーペットを敷き詰めると、大統領はそれを巻き戻すように命じた。ニューヨーク・タイムズ紙は9月12日付の記事で、この出来事を拒否権発動になぞらえて報じた。

ウォーレン・ハーディングが、彼のパーティーのために立てられた手の込んだ計画を不承認にしたとき、大統領の拒否権が今日ここで行使されたのだ。

とりわけ、大統領の食事のために特別に用意された1000ピースの純金のディナーサービスが、使われないままリッツ・カールトンの金庫に戻された...彼は金の皿で食事をするのを拒否したのだ。

...ホテルの5階には、大統領一行のために特別なスイートルームが用意されていた。車や遊歩道用の椅子も用意されていた。しかし大統領はこれらを一切望まなかった。彼は自分のマシン(車)を使い、昼食の後遊歩道を散歩するときは、自走式の椅子を拒否した。大統領は、他の何千人もの人々と同じように、週末にここにいるのであって、特別な便宜を期待も望みもしないと言った。

ウォーレン・ハーディングについて良いことが何も見つからないのなら、それは調査不足だ。

(次を全訳)
Why Warren Harding’s Reputation Is Receiving a Long Overdue Renovation - Foundation for Economic Education [LINK]

2022-12-04

ツイッター内部文書でわかったこと

RT
(2022年12月3日)

ツイッター社の上層部スタッフの一部は、2020年にハンター・バイデン(バイデン大統領の次男)のノートパソコンに関する記事の拡散を阻止し、その理由を説明するのに苦労していたことが、イーロン・マスク新最高経営責任者(CEO)とジャーナリストのマット・タイービが金曜日(12月2日)に公開した文書で明らかになった。RTでは、これらファイルの中身と、どのように明るみに出たかを検証する。

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1. ハンター・バイデンのノートパソコンに何が起こったのか?


2020年10月14日、ニューヨーク・ポスト紙は、ハンター・バイデンのノートパソコンから得た情報に基づく一連の記事の第一弾を掲載した。この記事によって、ジョー・バイデンが息子の海外ビジネス関係者に関わる数々の金儲けの計画に関与していることが明らかになり、大統領選の数週間前になって、ドナルド・トランプ大統領(当時)に対抗するバイデンの選挙戦を台無しにするおそれが出てきた。

ツイッターはすぐさまアルゴリズムを操作してこの記事を封じ込め、その後、「ハッキングされた資料」の投稿を禁じる方針を理由に、この記事へのリンクを完全に禁止した。これは通常、児童ポルノのような「極端なケース」に限られるとタイービが指摘する動きである。ニューヨーク・ポストは2週間アカウントを停止され、トランプ大統領のアカウントは、この記事に言及したビデオを共有したために一時的に停止された。

バイデン陣営は、ノートパソコンの中身はロシアが捏造したものだと主張し、ほとんどの主流メディアはこの話を取り上げることを拒んだ。その後、バイデンがトランプに勝利したずっと後に、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、デイリーメールによってノートパソコンの中身は本物であると宣言された。

2. どのように報道が抑えられたのか?


この記事を葬り去る決断をしたのは、ツイッター社の法務・ポリシー・信頼部門の元責任者、ビジャヤ・ガッデだとタイービは報じている。

スタッフの中には、この記事に「ハッキングされた」とレッテルを貼ることに抵抗がある者もいた。コミュニケーション担当のトレントン・ケネディは「これを安全でないと判断するポリシーの根拠が理解できずにいる」と書いた。元グローバルコミュニケーション担当副社長のブランドン・ボーラーマンは「これがポリシーの一部であると正直に主張できるのだろうか」と疑問を呈した。

「ハッキングは言い訳だったが、数時間のうちに、それが通用しないことにほとんどの人が気づいた」と、ある元従業員はタイービに語っている。「しかし、誰もそれを覆す勇気がなかった」

元信託・安全主任のヨエル・ロスは「今回の深刻なリスクと2016年の教訓を考慮し、警告を含め、このコンテンツが増幅されるのを防ぐ側に回る」と説明した。2016年の選挙に外部から介入されたという、証明されていない主張に言及しているようだ。

3. ツイッターのCEOは知っていたのか?


タイービによると、この記事の検閲は当時のCEOであるジャック・ドーシーの知らないところで決定されたという。ドーシーは後に共和党議員に対し、ポスト紙の記事へのリンクをブロックすることは「間違っている」と思うと述べたそうだ。

タイービによると、左右さまざまな政治信条におけるアカウントの凍結をドーシーが疑問視する「複数の事例が文書の中にある」という。

4. バイデン陣営は関与していたのか?


2020年の夏、法執行機関から「外国のハッキングの可能性」について「一般的」な警告があったにもかかわらず、文書にはノートパソコンの記事の検閲に政府が関与した証拠はないとタイービは述べている。

バイデン陣営が弾圧のためにハッキングの話を強調したかどうかは不明だが、陣営はツイッターのコンテンツモデレーターに連絡を取り、モデレーターはその要求に応じてツイートを削除することが多かったと、タイービが投稿した内部通信は示している。タイービによれば、「2020年までには、つながりのある関係者からのツイート削除の依頼は日常的になっていた」「ある幹部が別の幹部に、『バイデン陣営からもっと見直すようにとのこと』と書き送る。すると『処理した』と返事がある」

5. なぜ今になって明るみに出たのか?


マスクは10月にツイッターを440億ドルで買収して以来、ガッデを含む従業員の半分以上を解雇し、この会社の悪質な言論規制のいくつかを撤廃することに着手している。トランプのアカウントを復活させ、コロナに関する「誤情報」の共有に対する禁止を解除し、以前停止されたアカウントに対する「全面的な恩赦」を発表した。

マスクは4月にツイッターの買収手続きを開始した。同月、サーガー・エンジェティ記者への回答で、ニューヨーク・ポストの報道に触れ、「真実の記事を掲載した大手報道機関のツイッターアカウントを停止したのは、明らかに信じられないほど不適切だった」と述べている。11月には、この決定を説明するファイルを公開することは、ツイッターに対する「社会的信頼を回復するために必要」だと書いている。

マスクは「言論の自由の絶対主義者」を自認し、ツイッターを買収した理由について、「幅広い考えを健全な形で議論できる、デジタル版の町の広場を共有することが文明の未来にとって重要」だと述べている。

(次を全訳)
Musk’s Twitter files: What have we learned from the Hunter Biden laptop story? — RT World News [LINK]

起業家がつくった江戸の海運網

新型コロナウイルス感染症やロシアとウクライナの紛争を受け、世界でサプライチェーン(供給網)が混乱に陥った。円滑な経済活動を維持するうえで、物流がいかに重要か、あらためて認識させられた。

「商い」から見た日本史―市場経済の奔流をつかむ

物流網の整備というと、政府による計画や支援を思い浮かべやすい。しかし歴史上、物流網の構築に大きな役割を果たしたのは、民間の起業家たちだった。

江戸時代の経済発展を支えたのは海上交通である。江戸という巨大な消費都市を支えるために、大坂から江戸へ呉服・木綿・油・酒・醤油などの多様な商品が運ばれた。大坂から江戸へ運ばれる商品は、「下り荷」と呼ばれた。「下り荷」は、江戸に住む参勤交代の大名や旗本など武家の需要が中心であり、上質なものが選ばれた。 品質の水準が劣るものは、大坂の地元で消費され、「下らぬ物」といわれた。

江戸時代の経済の担い手は当初、都市商人だった。その典型的な例は、江戸十組問屋仲間や大坂二十四組問屋仲間を結成していた問屋商人、小売商人たち、および東西を結ぶ輸送に従事した菱垣廻船、樽廻船という廻船集団である。これら商人たちは、幕府や藩権力と持ちつ持たれつの関係で結びついていた。

菱垣廻船や樽廻船は、江戸の商人・河村瑞賢が17世紀後半、幕府の命を受けて整備した東廻り・西廻り海運を利用し、当時の主力商品である米を生産地から消費地へと運んだ。

ところが18世紀以降、それまでの官主導の経済体制では対応できない出来事が起こる。大規模な飢饉である。とりわけ1780年台に襲った天明の大飢饉は、東方地方を中心に被害が甚だしく、餓死者は仙台藩だけで約30万人に達したという。

飢饉は社会に深い爪痕を残したが、その一方で、日本の経済構造に大きな変化をもたらす契機にもなった。全国的な海運再編を促したのである。

飢饉は天候不順や自然災害をきっかけに起こるが、経済体制が柔軟であれば、防ぐことができる。貿易の発達した現代の世界で、飢饉が前近代より少ないのはそのためだ。しかし、幕藩権力の保護のもと機能してきた江戸前期の流通機構では、飢饉のような非常事態への緊急対応は不可能だった。

一方、幕藩権力のしがらみから割合自由な新興海運業者にとって、食物の迅速な運搬が求められる飢饉は、むしろ商機となりえた。こうして飢饉をきっかけに、新たな海運勢力が各地で勃興していく。天明の大飢饉のさなかには、地方の廻船業者で船の数が急速に増大するという興味深い変化もあった。これは主として、近距離航路に就航した小型船の増大によるものだった。

地方で台頭した新興海運勢力の代表といえるのが、北前船と内海船である。

北前船は、北海道や東北の物資を、松前(北海道南西部)や日本海各地に寄港し、下関を廻って大坂などに輸送した。

有力船主の一角を占める福井県河野浦の右近権左衛門家は、7代目のとき、天明の大飢饉に遭遇する。7代目の記した「万年店おろし帳」には、飢饉のなかで、蝦夷地の江差での交易が、同家に大きな利益をもたらしたと記されている。また大福帳のほかに「店卸帳」を作成し、素朴ながらも資産管理を行おうとしていた。ここからも同家が天明飢饉を契機に、業容を拡大し始めたことがうかがえる。

一方、内海船は、尾張国知多半島の内海村を主な拠点とした廻船である。尾州廻船ともいう。主に江戸〜上方間の輸送で活躍した。

内海船を代表する船主が、内田佐七家である。初代佐七にとって最初のビジネスチャンスは、1830年(文政13)のお蔭参りであった。お蔭参りとは江戸時代に流行した伊勢神宮への集団参詣で、文政年間には数カ月間に約200万人が、全国から伊勢へ押しかけたという。佐七はこの機会を機敏にとらえ、伊勢方面に大豆を売り込んでかなり大きな利益を得た。

さらに大きな商機となったのが、1833年(天保4)に始まった天保の大飢饉である。このとき、佐七は伊勢湾や瀬戸内方面ではまだ若干余裕があった米を買いつけ、米不足にあえぐ江戸市場に輸送し、巨額の利益を獲得した。おりしも大坂では、江戸への米移出に反対して大塩の乱が勃発していたが、内田家はこれをかいくぐって、江戸への米輸送を果たしたのだった。

佐七の廻船経営は安いところで買い、高いところで売るという、買積商法だった。現代なら当然の商行為だが、江戸時代としては危険な行為だった。当時の経済原則は、幕府や藩が特定の商人仲間に商品独占を認める見返りに、それら特権商人から運上金や冥加金を上納させ、また物価維持政策にも協力させるというものだったからである。したがって特権商人の独占を脅かすものは、幕府や藩が取締りや弾圧の対象とすることもあった。

ところで内田家が登場した文化文政期は、江戸を中心に民衆の食生活に革命が起きた時期とされる。握り寿司・てんぷら・蒲焼き・豆腐料理・麺料理など、おもな和食のほとんどは、このころ江戸で急速に普及するようになり、今日に続く味わいを確立するのである。

こうした和食文化の確立は、味噌・醤油・味醂・酢などの醸造調味料、ならびに昆布・鰹節などの海産調味料の大量供給があってはじめて一挙に花開いたといえる。そして味噌や醤油の原料である大豆を運んだ内田家の尾州廻船や、昆布を運んだ右近家の北前船こそ、まさにこうした食文化の革命を、流通の面から支える海運勢力だった(伊藤雅俊他『「商い」から見た日本史』)。

北前船や内海船といった、利にさとい起業家たちがいなければ、今の日本が世界に誇る和食文化は生まれなかったかもしれない。

大坂〜江戸間の内海船、日本海・西廻り航路の北前船と並び、東北太平洋・東廻り航路を担ったとされるのが、石巻周辺を本拠とする奥筋廻船である。これら三つの勢力は互いに連結し、日本列島沿岸を一周する沿海海運網を形作った。

新興海運勢力が生み出した、この全国的流通網は「領主の意図が支配する領主的流通ではなく、市場競争の原理から起動される新たな民間型の流通であり、それが全国市場の形成につながっていく」(『大学の日本史・近世』)と歴史学者の斎藤善之氏は指摘している。

<参考文献>
  • 伊藤雅俊・網野善彦・斎藤善之『「商い」から見た日本史―市場経済の奔流をつかむ』PHP研究所 
  • 斎藤善之『海の道、川の道』(日本史リブレット)山川出版社 
  • 杉森哲也編『大学の日本史―教養から考える歴史へ 〈3〉近世』山川出版社 
  • 中里裕司編『日本史の賢問愚問』山川出版社

2022-12-03

デジタル大手は私企業か?

元ニューヨーク大学教授、マイケル・レクテンワルド
(2022年11月30日)

著名な大手デジタル企業が、厳密には私的な営利企業ではないことは、今やすっかり明らかになっているはずだ。拙著『グーグル群島』で論じたように、大手デジタル企業は国家機関、すなわち政府機関であり、検閲・プロパガンダ・監視などの国家機能を担っている。

アンドリーセン・ホロウィッツ社のゼネラルパートナーで、国家安全保障、航空宇宙・防衛、公共安全、住宅、教育、工業など「米国の活力を促進する企業に投資している」というキャサリン・ボイルは、ハイテク「スタートアップは息を飲む速さで政府の責任を奪い始めた」と示唆している。もしこれで腑に落ちなければ、米政府関係者が特別なポータルにアクセスし、そこからフェイスブックやインスタグラムの投稿に直接フラグを立て、「速度を落とすか抑える」よう要求できるという、ネットメディアのインターセプトが最近明らかにした事実が、疑問を解消してくれるはずだ。

大手ハイテク企業と政府の癒着について、ツイッターでさらなる暴露が行われることは、イーロン・マスク(最高経営責任者)によって約束された。国際政策や戦争、経済や不況、パンデミックやワクチン、政治や選挙、グローバルエリートの目標、気候変動破局論、今まさに起こりつつあるグレート・リセット(資本主義の根本見直し)などさまざまな問題について、政府が「誤情報」「偽情報」と判断したものは何でももみ消す、一党支配国家の道具としてツイッターは運用されてきた。

政府が産み落としたハイテク大手


保守系シンクタンクであるアメリカン・コンパスのリサーチ・ディレクター、ウェルズ・キングはアメリカン・コンサバティブ誌に寄稿し、このような事態は驚くべきことではないとしている。キングによれば、シリコンバレーは最初から多額の政府資金によって作られた。キングの考えでは、「革新・進歩・成長は政府がいないから生まれる」と主張するのは、「市場原理主義者」だけだという。キングはこう述べる。

シリコンバレーは強力な公共政策の産物である。デジタル時代の主要技術は、「自律的」市場における「自由なイノベーション」の喜ばしい偶然によってではなく、意図的かつ長期的な政府の行動によってもたらされたのだ。

キングによれば、〔米国防総省の〕高等研究計画局(ARPA。1972年に国防高等研究計画局=DARPA=となる)が集積回路からシリコントランジスタ、ネットワークコンピューティングの規格に至るまで、あらゆる開発に資金を提供し、指揮をとった。その主な顧客は国防総省であった。

最近では私が論じたように、グーグルとフェイスブックの両社は、直接間接に米情報機関から起業資金を受け取っている。フェイスブックの場合、創業資金はパランティア、アクセル・パートナーズ、グレイロック・パートナーズを通じて提供された。これら資金源は、米中央情報局(CIA)傘下の民間ベンチャーキャピタル投資会社インキュテル(In-Q-Tel)から資金を得ているか、深い関係がある。

CIAは1999年、インキュテルを設立し、情報機関に役立つ技術を生み出す可能性のある有望な新興企業に資金を提供することにした。セント・ポール・リサーチのアナリスト、ジョディ・チャドリーが指摘するように、インキュテルは2004年頃、著名投資家ピーター・ティールのスタートアップ企業、パランティアに出資している。パランティアはその後、フェイスブックに資金を提供した。独立系ジャーナリストで元ヴァイス記者のナフィーズ・アーメドが詳細に説明しているように、グーグルと情報機関や軍とのつながりは深い。アーメッドは、DARPA関係者とのつながりからスタートアップ資金がもたらされ、その後、情報機関から直接資金が提供されたことを明らかにしている。情報機関は、インターネットに前例のないデータ収集の可能性があり、新興の検索エンジンベンチャーがデータ収集の鍵になると考えたのである。

インターネットは政府がつくったのか?


アンドリュー・モリスは経済教育財団(FEE)への寄稿で、インターネットについて別の説を述べている。モリスの考えでは、インターネットはARPAが資金提供したARPANET(アーパネット)とは似て非なるものである。モリスは、インターネットは自然発生的な秩序の結果であって、トップダウンの官僚的な管理の結果ではないと述べる。タイムシェアリングシステムやパケット通信は、たしかに国防総省の資金援助と監督によって開発されたが、政府が民間活動を圧迫することによって研究開発を阻害したとモリスは主張する。「起業家精神の欠如ではなく、規制による参入障壁が、民間ネットワーク構築の努力を遅らせた」 。民間ネットワークであるUSENET(ネットニュース)こそインターネットの真の祖先だとモリスはいう。

しかしモリスは政府に過剰なまでの肩入れをし、その結果、その主張は弱くなっている。

連邦政府の国防費が無制限に使えるので、初期のネットワーキングのパイオニアたちが技術の細部にまで集中しやすかったのは間違いない。

政府によるスタートアップへの資金提供があったことを考えると、もし国防省が当初から関与していなければ、インターネットはもっと違った形で、もっとゆっくりと発展したか、まったく発展しなかったという議論も認めざるをえないかもしれない。おそらく今インターネットとして知られるものは、私的なネットワークのシステム、つまり選ばれた利用者だけにアクセスを許可する、一連の私的な情報の飛び地のようなものになっていただろう。もしそうだったなら、大手デジタル企業は現在のように政府に奉仕するのではなく、むしろ個人利用者に奉仕していただろう。検閲とは、誰がどこで話すことができるかを私的な所有者が決定する問題になっていただろう(もちろん、これは今日でもよくあることだが、政府も関心を持ち、何が許されて何が許されないかを決定することができることを除けば)。大手デジタル企業は政府の言いなりになることもなく、国土安全保障省に言論を規制されることもなかったはずだ。

現状では、大手デジタル企業は完全な民間企業でも完全な公的企業でもない。最近の「CHIPS・科学法」が示すように、大手デジタル企業は政府と民間の両方の利益を代弁している。このためほとんどの利用者は、一方では利潤動機、他方では国家の監視・検閲・プロパガンダの欲望の間に挟まれることになる。別の道もあったかもしれない。

(次を全訳)
Who Really Owns Big Digital Tech? | Mises Wire [LINK]

NYタイムズ、新たなお気に入りネオナチ軍

FAIR
(2022年11月30日)

ニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナで新たなネオナチ民兵を見つけた。ブラツボ大隊は「同紙が最近の2つの河川作戦を報道できるよう、取材を認めた」。この作戦は「夜の川で、ロシア人を待ち伏せ」という見出しの記事でクライマックスに達した。

米国が支援した2014年のマイダンクーデター以来、既成のメディアは、ウクライナ民族主義分派の多くを導く極右イデオロギーについて、最小限に抑えて報じるか、完全に無視している。

FAIRを含む反戦メディアは、この動きを繰り返し強調してきた。なかでも、かつてファシスト民兵として西側メディアに広く認識されていたアゾフ大隊を、今や民主的ウクライナの主権を勇敢に守る改革された極右集団として大衆に売り込もうとする、企業メディアによる擁護の動きが目立つ。

ロシアが2月に侵攻を開始して以来、アゾフの政治志向はしだいに目立たなくなっていたが、今やまったく議論されなくなった。

「キリスト教タリバン」


タイムズ紙が記者を送り込んだ、あまり知られていないブラツボ大隊は、いくつかの極右潮流によって動かされているが、そのどれもが記事では言及されていない。

ブラツボは2004年、ドミトロ・コルチンスキーによって政治団体として設立された。コルチンスキーは以前、極右の「ウクライナ国民議会・ウクライナ人民自衛軍(UNA-UNSO)」を率いていた人物だ。

コルチンスキーは現在ブラツボ傘下の民兵組織で戦っており、ホロコースト否定論者で、1932〜33年のウクライナ飢饉をユダヤ人のせいにし、「12万人のユダヤ人がナチス国防軍で戦った」という嘘を吹聴している。また、ブラツボを「キリスト教タリバン」とみなすと述べている。

1980年代、タイムズ紙は、アフガニスタンの宗教過激派であるムジャヒディン(米国の訓練と武器提供を受けていた)をソ連の拡張主義に対する英雄的な防波堤として描いた。それがどのような結果を招いたか、私たちは皆知っている。

タイムズ紙はプロパガンダキャンペーンの延長で、ブラツボ大隊のネオナチと神政政治について読者に伝えるのを怠った。ロシアを弱体化させるという米国の政策立案者が公言した目的を推進するために活動している限り、ブラツボが誰の死を望んでいるかなど、気にする必要はないというわけだ。

現代の十字軍


この記事の筆者であるカルロッタ・ガルは、ブラツボのロシアとの戦いを、擬似的な宗教的用語で説明した。実際、タイムズ紙が部隊の指導的イデオロギーをほのめかした唯一の例は、部隊のキリスト教への献身を神話化する形であった。

ブラツボ部隊が作戦に出発する際、「彼らは一緒に祈りを唱え、狭いゴム製のディンギー(小船)に荷物を積んで出発し、暗闇の中で肩をすくめて黙っていた」とガルは書いている。大隊長オレクシー・セレディウクの妻もこの部隊で戦っており、「ロシア軍との接近戦を生き延びたことで、ほとんど神話的な名声を得た」とガルは絶賛している。

民兵が集まって祈る姿を写した写真も掲載した。「ブラツボ大隊の特殊部隊メンバーは夜間作戦に出る前に一緒に祈った」というキャプションは、「キリスト教のタリバン」というより、敬虔な兵士の観念を呼び起こす。

タイムズ紙はまた、ブラツボ十字軍の高邁な目的について、セレディウクの「我々は皆、チェチェンやクレムリンやウラル山脈まで行くことを夢見ている」というつぶやきを引用し、その声を伝えている。ナチスの人種イデオローグは、ウラル山脈をヨーロッパ文化とアジア人の大群を隔てる天然の障壁とみなし、その到達を長い間夢見てきた。

バルバロッサ作戦を計画していたヒトラーは、ウラル山脈をドイツ国防軍の東方進出の範囲とした。1943年、〔ナチス親衛隊=SS=のトップ〕ヒムラーは、欧州ロシアからアジア系「未開人」を排除し、数億人の白人欧州人が入植できるようにするというナチスの計画に言及し、「我々は突進し、ウラル山脈まで少しずつ前進する」と宣言している。

「13世紀の考え方」


一方、この記事に登場するブラツボ大隊のメンバーは、セレディウクとビタリー・チョルニーの二人だけである。チョルニー(タイムズ紙は大隊の情報収集部長と認定)は引用されているが、その発言は部隊の戦闘戦略に関する記述に限られている。セレディウクの発言も同様に、記録された内容は乏しい。

それよりもはるかに示唆に富むのは、「ウクライナの前線における『キリスト教タリバン』の十字軍」と題するアルジャジーラの記事で、セレディウクとチョルニーの両名が幅広く引用されている。アルジャジーラは、セレディウクは「キリスト教タリバンのレッテルを楽しんでいる」と報じた。アゾフ大隊を去るというセレディウクの決断に関連し、この記事は次のように続けた。

セレディウクはネオナチとのつながりのためにアゾフを去ったのではない、しかし極右思想は彼を悩ませていない。彼が苛立つのは、宗教的信念に熱心でない戦士と一緒にいることだ。

チョルニーは、ブラツボの思想的基盤を説明するために、中世の激しく反ユダヤ的な十字軍を引き合いに出している。

敵(闇の勢力)は、あらゆる武器を持ち、数も多く、資金もある。しかし我々の兵士は、欧州の伝統と13世紀のキリスト教の考え方を伝えるものである。

タイムズ紙の高揚した物語を読み解くには、ある程度の補足的な調査や分析が必要だ。しかし、グーグルで「ブラツボ大隊」を検索するという最も基本的な調査でさえ、タイムズ紙が記者を送り込んだ部隊の極右的背景を明らかにする。

検索結果の7番目は、2022年6月のウエストポイント(米陸軍士官学校)のテロ対策センターの研究で、「もう一つのそのような極右組織は、ベラルーシ、デンマーク、アイルランド、カナダのメンバーを含む、いわゆる同胞(ブラツボ)『大隊』である」と報告されている。

9番目の検索結果は、ワシントン・フリー・ビーコンの記事で、極右のカナダ人ボランティアがテレグラムで、「キエフのネオナチ『ブラツボ』大隊で戦っている」と言っているのを引用したものである。

ナチス親衛隊の記念品


ジャーナリストが自分の主張を実際に実践している世界では、新聞社の誰かが、この記事の中の二つの写真に写っているナチスの記章にきっと気づいただろう。しかし現実の世界では、タイムズ紙はズーム機能の使い方を忘れてしまったか(前月の中国共産党大会の報道ではこの機能を大いに利用した)、あるいは単にこの醜くて都合の悪い発見を報道したくなかったかである。

ブラツボ大隊の祈りの輪の写真には、「トーテンコップ」と呼ばれる紋章をつけた兵士が写っている。トーテンコップとはドイツ語で「死の頭」を意味し、ヒトラーの対ソ殲滅戦に参加し、ナチスドイツが何百万人ものユダヤ人男女や子供を死刑にした強制収容所の警備にあたるSS部隊、「親衛隊髑髏部隊」が記章として使用していたものである。

トーテンコップは、ソ連の捕虜、政治亡命者、労働組合員、障害者、同性愛者、ロマ人(ジプシー)など、何百万人もの人々の殺害にも関与していた。

9月、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、数人の兵士と一緒に写った写真をソーシャルメディアに投稿し、その後静かに削除した。そのうちの一人は、ブラツボの祈祷会の写真で見られたのと同じトーテンコップのワッペンをつけていた。この製品はアマゾンやイーベイで簡単に手に入れることができる。

タイムズ紙の記事の後半には、少し違うタイプの記章をつけた兵士の写真がもう一枚掲載されている。この写真では、室内の光に照らされ、画像の中央からトーテンコップが顔を出しており、見落とすことはないだろう。アマゾンの商品説明には、「この豪華なレプリカは、あなたを第二次世界大戦に連れ戻します」と書かれている。

もしタイムズ紙が、ブラツボに派遣したカメラマンが撮影した2枚の写真からトーテンコップを見落としただけなら、間違いなくジャーナリズムの失敗と言える。

もう一つの可能性は、SSの記念品を身につけた兵士をタイムズ紙は認識しており、その問題についてコメントすることなく、とにかく画像を掲載することに決めたというものだ。

(次を全訳)
ACTION ALERT: NYT Has Found New Neo-Nazi Troops to Lionize in Ukraine - FAIR [LINK]