2022-03-25

ウクライナ・ロシア危機の責任は誰にあるのか

政治学者、ジョン・ミアシャイマー(2022年3月24日) 

欧米での通説によれば、ウクライナ危機はプーチンに責任があるという。ほとんどの人が、罪を犯したのはロシアだと考えている。そこには善玉と悪玉がいて、もちろん欧米は善玉であり、ロシアは悪玉だという。この考え方は単純に間違っている。ウクライナ危機の責任は米国にあり、その同盟国にもある。

2008年のブカレストNATO首脳会議以前、NATOの東方拡大には二つの波があった。最初は1999年でポーランド、ハンガリー、チェコが加盟した。次は2004年でルーマニアやバルト3国などが加わった。ロシアはこれらの拡張をいやいや呑んだが、2008年のジョージアとウクライナを加える案には「ノー」と言った。

2014年2月、ウクライナをめぐる危機が勃発した。同国で親露派の指導者を倒し、親米派を据えるクーデター(マイダン革命)が発生したためだ。クーデターには米国が関与していた。ロシアは当然反発し、ウクライナからクリミアを奪った。クリミアの軍港セバストポリをNATOに与えないようにするためだ。

その後危機は鎮静したが、昨秋から再燃し、今や本格的な危機となった。米国とその同盟国がウクライナを事実上のNATO加盟国にしてしまったからだ。トランプ政権からバイデン政権に至るまで、米国はウクライナを武装化させてきた。それ以前に行わなかったのは、ロシアを激怒させると知っていたからだ。

今日プーチンはヒトラーの再来だと言われる。まったくナンセンスだ。2014年2月以前には、ロシアの脅威はなかった。米国がその話を捏造しただけだ。とにかく、理想的なのは中立的なウクライナを作ることだ。それができないのは、米国側がNATOの拡大に関していかなる譲歩もしようとしないことが大きい。

(次より抄訳)
Professor John Mearsheimer Explains Who Is Responsible for the Ukraine-Russia Crisis - LewRockwell [LINK]

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