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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-03-21

信念に基づく辞職

William Astore on Joe Kent's Principled Resignation - Antiwar.com Blog [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの元グリーンベレー(陸軍特殊部隊)隊員であり、トランプ政権の内部にいたジョー・ケント氏が、イランとの戦争に反対して辞任した件について、歴史学者のウィリアム・アストア氏が独自の視点から分析を行っています。ケント氏は辞職願の中で、トランプ大統領が対イラン戦争を決断した背景に、イスラエルやロビー団体であるAIPAC(米国イスラエル公共事務委員会)の強い影響があったと指摘しました。これに対しトランプ大統領は、実戦経験豊富なケント氏を「安全保障に弱い」と一蹴し、一部の団体からは氏の指摘が反ユダヤ主義的であるとの非難も上がっています。

アストア氏は、政府内部で異を唱える者が直面する厳しい現実を浮き彫りにしています。ケント氏のような実力者が実名で批判を行うことは、多大な個人的人身攻撃のリスクを伴う勇気ある行動です。一方で、かつて反戦や政権交代を目的とした戦争への反対を鮮明にしていたトゥルシー・ギャバード国家情報長官(DNI)の対応には、失望の色を隠せません。ギャバード氏は、トランプ大統領が「圧倒的な支持」で選ばれた最高司令官であり、情報を「慎重に検討」した上でイランを「差し迫った脅威」と判断したとする公式声明を出しました。アストア氏はこの声明を、トランプ氏におもねり、実態を反映していない「慎重に言葉を選んだ無意味なもの」だと厳しく批判しています。

アストア氏によれば、イランが米国にとって物理的に差し迫った脅威であったという根拠は乏しく、むしろイスラエルと米国による攻撃が事態を悪化させた側面があります。長年ギャバード氏を支持してきたアストア氏ですが、彼女がトランプ氏の無謀で不法な戦争を黙認し、加担している現状を受け、自身の見解が誤っていたことを認めています。内部に留まって大統領の暴走を抑制するよりも、職を辞して抗議することこそが、本来の彼女に期待されていた役割であったと述べています。

今回のケント氏の辞任は、トランプ氏を強く支持してきた層や軍内部においても、この悲惨な戦争に対する支持が揺らぎ始めている兆候かもしれません。ケント氏の軍歴とこれまでの忠誠心があるからこそ、彼の「イランに差し迫った脅威はなかった」という言葉は、公式な物語に疑問を抱かない人々に対しても強い説得力を持つことになります。一連の動きは、米国内の権力構造と、異論を排除しようとする政治的圧力を象徴する出来事となっています。

米国民、地上戦支持は7%

Exclusive: Americans believe Trump will send troops into Iran, and don't like the idea, Reuters/Ipsos poll finds | Reuters [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ政権が進めるイランへの軍事行動について、最新の世論調査の結果をロイター通信が報じています。3月19日に締め切られたロイター/イプソスの調査によれば、アメリカ国民の65%が、トランプ大統領はいずれイランへの大規模な地上戦を命じることになると予想しています。しかし、実際にそのような地上戦を支持しているのは、わずか7%にとどまっていることが明らかになりました。

今回の調査は、全米の成人1545人を対象に3日間にわたって実施されました。2月28日の米国とイスラエルによるイラン攻撃直後に行われた前回調査と比較すると、トランプ大統領の支持率は40%とほぼ横ばいで推移しています。現在、トランプ政権内では中東での作戦を強化するため、数千人規模の米軍部隊を派遣する案が検討されています。これには、ホルムズ海峡における石油タンカーの安全航行を確保するための空軍や海軍の展開だけでなく、イラン沿岸部への部隊派遣も含まれています。さらに、イランの石油輸出の9割を担う拠点であるカーグ島へ地上軍を送り込む選択肢も議論されていると報じられています。

支持政党別に見た場合、共和党支持層の77%がこれまでのイランへの攻撃を承認しており、党内では概ね支持が得られている形です。これに対し、民主党支持層で承認しているのは6%、無党派層では28%にとどまっています。国民全体で見ると、今回の戦争を支持しているのは37%で、59%が反対の意向を示しています。注目すべきは、共和党支持者の約5人に1人もこの戦争に反対しているという点です。

また、少数の特殊部隊を派遣することについては、共和党支持層の63%、国民全体の34%が支持していますが、作戦の規模にかかわらず、いかなる地上部隊の投入にも反対すると回答した人は全体の55%に達しています。アメリカ国内では、トランプ政権が軍事介入を一段と強めることへの警戒感が、党派を超えて根強く存在していることが浮き彫りになりました。

金銀価格は操作されている?

Gold Market Manipulation Exposed? [LINK]

【海外記事紹介】マネー・メタルズのポッドキャストにおいて、ゴールド・アンチトラスト・アクション委員会(GATA)の共同創設者クリス・パウエル氏が、金・銀市場における政府の介入と操作の実態について語りました。GATAは1990年代後半の設立以来、金市場における体系的な価格操作に立ち向かってきた組織です。パウエル氏は長年の活動を通じて、欧米政府が公式記録や中央銀行間の通信を利用し、金価格に影響を与えようとする一貫した努力の証拠を収集してきました。主流の金融メディアはこの主張を長らく無視してきましたが、貴金属投資家の間ではその認識が確実に広まっています。

パウエル氏が指摘する価格抑制の仕組みは、中央銀行、貴金属銀行、そしてデリバティブ市場が絡み合った多層的なものです。政府は準備金の直接売却やリース、スワップに加え、物理的な裏付けのない大量のペーパー資産(紙の契約)を創出することで価格に影響を与えます。こうした介入の目的は、法定通貨への信頼を維持し、政府債券への確信を繋ぎ止めることにあります。金価格の上昇は通貨システムへの不信の表れとなるため、価格を抑制することで金融システム全体の安定という「認識」を保とうとしているという分析です。

特に注目すべきは、ペーパー市場と実物資産の間の緊張感が高まっている点です。現在の金・銀市場は過度にレバレッジがかかっており、実際の現物量に対してペーパー上の請求権が膨大に存在しています。パウエル氏は、現物引き出しの需要がわずかに増加しただけでも、実物の希少性ゆえに「ショートスクイーズ(踏み上げ)」が発生し、価格が劇的に跳ね上がる可能性があると示唆しています。

こうした環境下で、パウエル氏は現物所有の重要性を強調しています。上場投資信託(ETF)は価格変動の恩恵を受けられるものの、大半の投資家にとって実物へのアクセスを保証するものではなく、むしろ機関投資家による市場介入を容易にする側面があると警告しています。カウンターパーティ・リスク(取引相手の信用リスク)のない現物保有こそが、中央集権的な金融支配から離れた真の自律性を手に入れる手段になるといいます。

最後に、操作が行われている市場になぜ投資すべきかという問いに対し、パウエル氏は、介入は短期的には価格を歪めるものの、価値そのものを消し去るわけではないと答えています。 金・銀の実物需要が高まり、ペーパー資産への懐疑論が広がることで、いずれシステムは限界を迎え、価格は本来の水準へと劇的に是正される時期が来ると予測しています。

米、金本位制に復帰を

Schiff vs. Every: Inflation and the Real Cost of War | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】経済評論家のピーター・シフ氏が、マイケル・エブリー氏らとの討論会に出席し、政策立案者が無視し続けている経済的過失とその代償について持続的な警告を発しました。シフ氏は、過去数十年にわたる通貨供給量の拡大と積み上がる財政赤字、そして現在の戦争支出が、さらなるインフレと経済の弱体化、そして資産価値の劇的な再評価をもたらすと主張しています。

シフ氏によれば、インフレの定義とは本来「通貨と信用の供給拡大」そのものであり、現在の米国は長年インフレに依存した政策を運営してきました。そこに戦争という莫大なコストがかかる要因が加わったことで、事態はさらに悪化しています。この財政と金融の組み合わせは、債券市場への圧力となり、金利を押し上げます。シフ氏は、特に住宅市場が巨大なバブル状態にあると指摘し、全国的な住宅価格が30%下落しても不思議ではないと述べています。これは住宅ローンの金利上昇と相まって、多くのアメリカ人から純資産を奪い去る結果を招く可能性があります。

為替市場では一時的なドル高の動きが見られますが、シフ氏はこれを短期的な反応に過ぎないと考えています。巨額の赤字と経済成長の鈍化が続く中で、ドルの価値はやがて剥落し、金のような「現物資産」への資金移動が加速するという見立てです。また、トランプ政権の関税政策についても、結局はアメリカ人がそのコストを支払うことになり、外国企業との取引を阻害してドルの信認を損なうものであると批判しています。

こうした状況に対する真の解決策として、シフ氏は「金本位制」への回帰を提唱しています。金本位制はワシントンに財政的責任を強制し、政府が支払えないような戦争や過剰な歳出を終わらせる手段となります。政府の規模を劇的に縮小することこそが、アメリカを救う道であるという憲法に基づいた経済的持論を展開しました。

最後に、シフ氏は資産価値を測る基準として「金価格で見た株価」を提示しています。現在の株価は金に換算すると歴史的な高値からはほど遠く、本来であれば株式市場は50%下落しても割安とは言えない水準です。当局が通貨を増刷して市場を支えようとしても、金に対する価値で見れば、株式の実質的な価値の下落は避けられません。投資家は、ドルの減価から資産を守るために、金や銀、マイニング株といった実物資産へのシフトを真剣に検討すべきであると締めくくりました。

米インフレ、制御不能に

Schiff on Fox Business: The Fed Just Admitted It’s Powerless | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】経済評論家のピーター・シフ氏がフォックス・ビジネスに出演し、最新の経済指標と米連邦準備理事会(FRB)の決定を痛烈に批判しました。シフ氏は、パウエル議長による経済状況の評価は完全に誤りであり、FRBはもはや制御不能なインフレに直面していると警鐘を鳴らしています。その根拠として、2月の卸売物価指数(PPI)が前月比0.7%も上昇したことを挙げました。これを年率に換算すると8.4%という高水準になり、インフレ問題が一時的なものではなく、極めて深刻であることを物語っています。

シフ氏は、現在の地政学的リスクが米国の財政をさらに悪化させると見ています。トランプ政権がイランとの戦争を開始したことで、すでに39兆ドルを超えている連邦債務は今後3年間で50兆ドルを突破する可能性があると指摘しました。不況、金利上昇、そして戦争という要因が重なり、財政赤字が天井知らずに膨らむことが予想されるためです。特に金利の上昇は、政府自身の債務支払いコストを激増させ、国家財政を直接的に圧迫します。

さらに、住宅市場についても2008年の金融危機を超える規模の調整が迫っていると予測しています。現在の全米の住宅価格はファンダメンタルズから見て少なくとも30%は過大評価されており、景気後退と高金利が引き金となって暴落する準備が整っているという見解です。現在の経済は当時の金融危機時よりもレバレッジがかかっており、その反動はより大きなものになると警告しています。

このようなマクロ経済の背景から、シフ氏は投資家に対し、過大評価されている米国の株式や債券を売却し、購買力を維持するために「本物の通貨」へ資金を移すべきだと助言しています。具体的には、金や銀、そして鉱山株への投資を強く推奨しています。戦争はインフレを引き起こすものであり、その戦費を賄うために通貨価値はさらに損なわれるからです。

シフ氏が結論として述べているのは、私たちが直面しているのは単なる不況ではなく、景気後退とインフレが同時に進行する「激しいスタグフレーション」の時代であるということです。FRBが認めようとしないこの過酷な現実に備え、米国の金融資産から手を引くことが、資産を守るための具体的な行動であると強調しています。

石油制裁を一部解除も

US May Lift Some Oil Sanctions on Iran as Oil Price Climbs - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】中東情勢の緊迫化に伴い、エネルギーインフラへの攻撃が相次ぐ中、米政府が原油価格を抑制するために異例の措置を検討していることが明らかになりました。ベセント財務長官は、ロシアに対する一部の石油制裁を解除したことに加え、ブラックリストに掲載されているイランのタンカーの一部を対象から外す可能性があると言及しました。

財務省はこれまで、ホルムズ海峡を経由しない供給ルートの確保など、緊急事態に備えた計画を全政府的に進めてきました。ベセント長官によれば、今回検討されているイラン産石油の制裁解除は、皮肉にもイラン側に打撃を与える戦略の一環だといいます。本来であれば中国へ向かうはずだったイラン産の在庫を市場に放出させることで、今後10日から2週間程度の原油価格を押し下げ、価格抑制のための「武器」として利用する狙いがあります。

今回の原油価格上昇の背景には、2月28日の米国とイスラエルによるイランへの奇襲攻撃があります。これに対し、イラン側は米ドル建てで取引される石油に対するホルムズ海峡の封鎖や報復攻撃で応じました。さらに、イスラエルが世界最大級の天然ガス田に関連するイランの施設を攻撃したことで、紛争は一段と激化しました。イラン側はこれへの対抗措置として、サウジアラビアやカタール、アラブ首長国連邦のエネルギー関連施設を攻撃すると表明しています。

トランプ大統領は、イスラエルによるガス田への攻撃について「米国は一切関知していなかった」と主張しています。同大統領はソーシャルメディア上で、もしイランがカタールを攻撃すれば、米国はこれまでにない規模でイランのエネルギー施設を完全に破壊すると警告しました。しかし、すでにカタールエネルギー公社のCEOは、同国の液化天然ガス(LNG)設備などが攻撃により損傷したことを認めています。この修理には数年を要すると見られており、年間1280万トン相当のLNGが長期にわたって市場から失われることになります。

米軍、200億ドル追加予算求める

Department of War Seeks $200 Billion More to Fund Iran War - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ国防省が、イランとの戦争を継続するために200億ドルの追加予算を要求していることが明らかになりました。ピート・ヘグセス国防長官はこの金額について、今後さらに膨らむ可能性があることを示唆しています。政権高官がAP通信に語ったところによると、国防省はすでにホワイトハウスへ支出要請を提出しており、今後この資金を承認するためには、連邦議会で軍事追加予算案を可決させる必要があります。

この巨額の追加支出に対して、議会内では意見が真っ向から対立しています。民主党のロー・カンナ下院議員は、ソーシャルメディアのXにおいていち早くこの提案を批判しました。同議員は、これほどの資金があるならば社会福祉プログラムに充てるべきだと主張しており、他の多くの民主党議員もこの反対意見に同調しています。一方、野党・民主党で上院トップのチャック・シューマー院内総務は、予算案を直接的に非難こそしなかったものの、マルコ・ルビオ国務長官とヘグセス国防長官がこの戦争について議会で証言を行うべきだと述べています。

対照的に、共和党のマイク・ジョンソン下院議長は国防省への追加支援を支持する姿勢を鮮明にしています。ジョンソン議長は、世界情勢が危険な時期にある以上、国防に適切な資金を投じるのは責務であると強調しました。ただし、予算執行にあたっては国防省側が詳細な提案を議会に示す必要があるとも付け加えています。

現在、トランプ大統領が進めるイランとの戦争に対する議会の支持は、上下両院ともにわずかな過半数にとどまっている状況です。大統領に紛争の停止を強制することを目的とした「戦争権限決議案」は、直近の採決で両院とも僅差で否決されました。記者会見でヘグセス長官は、200億ドルという数字はあくまで現時点のものであり、変動し得るものであるとした上で、軍事作戦を遂行するには相応の資金が必要であるとの認識を淡々と示しました。

スタグフレーションでも量的緩和?

Stagflation and QE don't fit together — really? [LINK]

【海外記事紹介】現在の金融市場を取り巻く複雑な状況と、そこから導き出される大胆な仮説についてお伝えします。最近の市場では、金利低下への期待は単なる願望に過ぎないという見方が強まっています。特に原油価格が1バレル100ドルに迫る勢いを見せていることが、市場心理を大きく揺さぶっています。原油価格の上昇は、輸送コストを含むあらゆる製品やサービスの価格を押し上げるインフレ要因となります。その結果、米連邦準備理事会(FRB)は金利を下げる余裕を失い、これが株式市場や貴金属市場にとっての重石となっています。

現在の原油市場は、12ヶ月先の先物価格よりも直近のスポット価格が高い「バックワーデーション」という異常な状態にあります。これは深刻な供給不足を示唆しており、ホルムズ海峡の封鎖が大きな影を落としています。一方で、消費者の購買力は減退し、労働市場も弱体化しつつあります。物価が上がる中で景気が停滞する「スタグフレーション」の足音が、今やはっきりと聞こえる状況です。2026年5月にFRB議長に就任するケビン・ウォーシュ氏は、インフレ抑制のための利上げと、景気後退を防ぐための利下げという、極めて難しい選択を迫られることになります。

ここで注目すべきは、現政権が11月の中間選挙を控え、インフレ対策よりも経済の安定を優先させる可能性があるという点です。そこで浮上するのが、スタグフレーション下であっても量的緩和(QE)を再開するという、一見すると矛盾した選択肢です。この仮説に基づけば、まずはQEによって景気を下支えし、インフレ対策は後回しにするというシナリオが考えられます。もしこれが現実となれば、下落を続けてきた株式市場は活力を取り戻し、米ドルの安定や債券利回りの低下を招くでしょう。そして何より、現在苦境に立たされている金や銀などの貴金属が、最大の勝者となる可能性があるのです。

市場の先行きは依然として不透明で、中東情勢に関する新たな展開がない限り、極端な悲観論が消えることはありません。しかし、欧米の金市場などでは売り圧力が弱まり始めている兆候も見られます。市場がどん底にあるときにこそ、次なる展開を見据えた冷静な分析が重要です。スタグフレーションと量的緩和という、通常では相容れない組み合わせが現実のものとなるのか、今後の動向が注目されます。

世界に迫る食料危機

“Fertilizer Shock”: The Closure of the Strait of Hormuz Could Cause Widespread Global Food Shortages – Based Underground [LINK]

【海外記事紹介】現在、ホルムズ海峡の封鎖が世界の食料供給体制に及ぼす影響について、極めて深刻な懸念が広がっています。一般にホルムズ海峡といえば原油や天然ガスの輸送路として知られていますが、実は世界の食料生産に不可欠な肥料の流通においても心臓部としての役割を担っています。具体的には、世界で取引される窒素肥料のおよそ3分の1、そしてリン酸肥料の製造に欠かせない硫黄のおよそ2分の1がこの海峡を通過しています。イランでの紛争に伴う海峡の麻痺が数ヶ月単位で長期化すれば、これまでの常識では考えられなかった規模の世界的な食料危機を招く可能性があると指摘されています。

肥料不足の影響はすでに現実のものとなっています。中東からの液化天然ガスの供給が途絶えたことで、インドやパキスタン、バングラデシュといった国々の肥料工場では生産が大幅に減少しています。これらの国々は天然ガス輸入の多くを紛争地域に依存しており、農業への打撃は避けられません。アメリカ国内でも、バージニア州の農家が肥料を入手できず、このままでは作物の収穫量が確保できないと訴えるなど、危機が足元まで迫っています。専門家は、肥料がなければ食料を育てることはできず、農家が生産できなければ私たちは食べるものがなくなるという、極めて単純かつ過酷な現実に直面していると警鐘を鳴らしています。

さらに事態を複雑にしているのが、世界最大の肥料生産国である中国の動向です。中国は自国内の供給と価格安定を優先するため、肥料の輸出に対して厳格な制限を課し始めました。これにより、肥料を外部に依存する国々の間では激しい争奪戦が始まっています。トランプ政権は代替の供給源を確保することで混乱を最小限に抑えるとしていますが、春の種まきシーズンは目前に迫っており、物理的な肥料の不足を言葉だけで解決することは困難です。

現在、世界人口の約半分に相当する40億人が、化学肥料を用いて育てられた食料に依存して生活しています。ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、先進国では食料価格のさらなる高騰を招き、貧困層の多い国々では深刻な食料不足に直面することになります。外交的な解決の糸口が見えない中、2026年の農業生産はかつてないほどの不透明感に包まれています。私たちは今、世界的な食料安全保障が根底から揺らぐ、悪夢のようなシナリオを想定せざるを得ない状況にあります。

鉱山株は売られすぎ

Metals Sector Sell-off and Souring Sentiment Is Presenting An Investable Opportunity [LINK]

【海外記事紹介】資源・鉱山セクターにおける最近の相場動向について、投資家が注目すべき示唆に富む分析をご紹介します。ここ数週間、タングステンやアンチモンといった戦略的な防衛関連金属を除き、多くのマイニング株は非常に厳しい局面に立たされています。特に金や銀の関連銘柄は、業績が堅調な企業やセクターETFであっても、極めて大きな価格調整に見舞われています。こうした動きの背景には、例年見られる季節的な要因も関係しています。節税対策の売りが終わった後の年末ラリーや第1四半期の勢いの後、3月上旬の大型カンファレンス時期には売り圧力が強まる傾向があり、今回も投資家が利益確定や損失限定のために保有株を売却する動きが加速しました。その結果、売りが売りを呼ぶ連鎖が生じ、多くの銘柄で窓を開けて下落する場面が見られました。

現在の市場は、多くの銘柄がサポートラインを割り込み、極端な売られすぎの状態にあります。特筆すべきは、この売りが企業のファンダメンタルズと大きく乖離している点です。貴金属生産企業にとって、現在は過去最高の四半期利益を記録し、金属価格やマージンも記録的な水準にある、かつてないほど収益性の高い時期です。それにもかかわらず売られている背景には、年初の価格が天井だったのではないかという不安や、中東情勢による「戦場の霧」への警戒感、そして短期間で株価が30%から50%も下落したことによる恐怖心があるようです。年初の強気相場では、一部の利益確定を勧める声は無視されがちでしたが、今となっては、過熱感の中で現金比率を高めておくことが賢明な判断であったことが浮き彫りになっています。

個別銘柄の事例を見ると、その乖離はより鮮明です。例えば、メキシコのサンタクルス・シルバー・マイニングは、年初のピークから55.7%も下落しました。しかし、同社は負債を完済し、過去最高の四半期決算を迎えており、企業価値が短期間で半分になる理由は見当たりません。他にも、アメリカズ・ゴールド・アンド・シルバーなどの銀生産者や、アルデバラン・リソーシズのような銅・金の探鉱会社も、金属価格が高い水準にある中で、株価だけが大幅に調整しています。

投資において「安く買う」ことは、常に心理的な苦痛を伴います。パンデミック時や過去の暴落時も同様でしたが、優良な銘柄が不合理に売られている現在の状況は、長期的な視点を持つ投資家にとって蓄積の好機となり得ます。市場が総悲観に陥り、好材料さえも換金売りの機会とされる「降伏」の局面こそが、将来の大きなリターンにつながる可能性を秘めています。もちろん、さらなる下落に備えて現金の余力を残しておく慎重さは必要ですが、現在の極端な割安圏は、冷静な投資判断が求められる重要な局面だと言えるでしょう。

2026-03-20

孤高のサンチェス氏

Pedro Sánchez’s 'No a la Guerra', by Patrick Lawrence - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】現在、欧州の政治舞台で異彩を放っているのがスペインのペドロ・サンチェス首相です。パトリック・ローレンス氏は、NATO首脳会議などの映像に映るサンチェス氏の孤高ともいえる振る舞いに、欧州の新たな可能性を見ています。他の首脳たちがトランプ政権の要求に屈し、国防費を対GDP比5%に引き上げるよう迫られる中で、サンチェス氏は2.1%で十分だと突っぱねました。その結果、他の首脳から冷遇される場面もありましたが、彼は毅然とした態度を崩さず、むしろその孤立を楽しんでいるかのようです。

サンチェス氏は、イスラエルによるガザでの行動を「ジェノサイド」と呼び、いち早くパレスチナ国家の承認を主導しました。さらに、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃に対しても明確に反対を唱えています。特筆すべきは、スペイン国内の基地を米軍のイラン爆撃機への給油に使用させることを拒否した点です。トランプ氏から貿易停止の脅しを受けても、彼は「国際法に反し、爆弾で問題を解決しようとするやり方にはノーと言う」と断言しました。この姿勢は、単なる反戦に留まらず、アメリカに従属し続ける既存の大西洋秩序そのものへの挑戦を意味しています。

スペイン政府内でも、ヨランダ・ディアス副首相らがドイツのフリードリヒ・メルツ首相を「トランプにひざまずく従属者」と批判し、欧州には「追従者ではなくリーダーが必要だ」と訴えています。これは、かつてドイツのアデナウアー首相が提唱した、米ソ二大強国に挟まれない「第三の極」としての欧州というビジョンを想起させます。フランスのマクロン大統領も「戦略的自律」を口にしますが、サンチェス氏はそれを言葉だけでなく行動で示しているという点で決定的に異なります。

一部には、彼の強硬な姿勢を国内の選挙対策や日和見主義と見る向きもありますが、世論調査でトランプ氏への不支持率が極めて高いスペインにおいて、国民の意思を反映させることは正当な政治と言えます。ローレンス氏は、サンチェス氏をかつてのヴァーツラフ・ハヴェル氏になぞらえ、21世紀の欧州が進むべき本来の道を体現していると高く評価しています。

クルド人と米国、裏切りの歴史

Will the Kurds Fight Iran for the US, Again? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカは再びクルド人に、ワシントンの呼びかけに応じてイラン政府と戦う地上戦の新たな前線を開くよう求めているようです。しかし、ピーター・ヴァン・ビューレン氏は、クルド人とアメリカの間にある「裏切りの歴史」を振り返れば、その結末は予見できると警告しています。現在60代半ばのクルド人指導者の立場になって考えてみてください。彼は幼少期から、第一次世界大戦後に西欧諸国が中東を恣意的に分割し、自分たちの国を持つという約束を反故にした歴史を聞かされて育ちました。3000万人ものクルド人は、地図上に引かれた定規のような境界線によって、トルコ、イラク、シリア、イランに分断されたのです。

第二次世界大戦後、アメリカが台頭してもクルド人の扱いは変わりませんでした。アメリカはソ連への防壁としてトルコやイランの旧王政との同盟を優先し、クルド人の独立の夢をその犠牲に捧げ続けました。1975年のアルジェ合意では、イランとイラクの国境紛争が解決した途端、アメリカはそれまで支援していたクルド人をあっさりと見捨てました。1988年にハラブジャで化学兵器による虐殺が起きたときも、1991年の湾岸戦争後にブッシュ大統領が蜂起を促したときも、結局アメリカは介入せず、クルド人は残酷に鎮圧されました。現場の米軍兵士が、共に戦ったクルド人を置いて去るよう命じられ、涙を流したというエピソードはその象徴です。

2000年代のイラク戦争でも、クルド人はサダム・フセイン打倒のために米軍と肩を並べて戦いました。しかし、その後の憲法では独立を拒まれ、2017年の独立住民投票でもアメリカは反対に回りました。2014年のシリアでの対イスラム国(IS)戦でも、クルド人はアメリカの最も強力なパートナーでしたが、2019年にトランプ氏は部隊を撤退させ、トルコによるクルド攻撃を事実上容認しました。

現在、アメリカの当局者はイラン国内のクルド居住区を制圧し、政権打倒の火種にするという構想を描いています。しかし、歴史を生き抜いてきたクルド人指導者たちは知っています。自分たちの若者が再びアメリカのために血を流したとして、その先に約束された未来があるのか。トルコからの圧力やイランとの政治的妥協があれば、アメリカはまたしても自分たちを「こぼれた水」のように見捨てるのではないか。あらゆる帝国に国家を約束され、そのたびに裏切られてきたクルド人が、ついにアメリカという帝国を不信の目で見始めるかどうかが、2026年の今、問われています。

イラン戦争はイスラエル第一主義

Iran War Is Putting Israel First - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守層の間で、現在進行中のイラン戦争を巡る深刻な亀裂が生じています。元連邦下院議員のジョン・ダンカン・ジュニア氏は、テネシー大学の若き共和党員たちの多くが「この戦争はアメリカ第一主義に反する」と考えている現状を紹介しています。かつてドナルド・トランプ大統領の熱烈な支持者であったMAGA層の間でも、特に若い世代は外国への介入に否定的であり、この戦争をアメリカの国益ではなく外国の利益を優先するものと冷ややかに見ています。

この記事の核心は、この戦争がアメリカ国民の多大な犠牲の上に、イスラエルの強い要求によって戦われているという指摘です。イランの軍事予算はアメリカのわずか1%強に過ぎず、本来アメリカにとって脅威ではありません。しかし、ワシントンでは長年、イスラエルを批判してはならないという暗黙の鉄の掟が存在してきました。多くの議員たちは多額の献金によって、あるいは献金を打ち切られる恐怖によって沈黙を買わされています。もし他の国がイスラエルのような行動をとれば、議会は即座に非難決議を採択したはずですが、イスラエルに対してだけは例外が適用されているのです。

かつての著名なコラムニスト、チャーリー・リース氏が指摘したように、アメリカに対する敵意の多くは、パレスチナを抑圧するイスラエルを一方的に支援してきた結果です。イラク戦争の際と同様、今回もアメリカの利益を代弁するふりをしながら、実際にはイスラエルの思惑を押し進める勢力が存在します。現在、公に異を唱えているのは、ジョー・ローガン氏やタッカー・カールソン氏といった、沈黙させるにはあまりに強力な影響力を持つ一部の人物に限られています。しかし、ガソリン価格の上昇や経済の悪化に伴い、一般国民の間でも反対の声は急速に高まっています。

トランプ氏はかつて、戦わない戦争こそが重要だと述べていました。もしネタニヤフ首相に引きずられるまま戦争を続ければ、秋の選挙で共和党は大敗を喫する可能性があると著者は警鐘を鳴らしています。ワシントンやアイゼンハワーといった偉大な指導者たちは、肥大化した軍事組織や特定の国との過度な結びつきが自由を損なうと警告しました。人々が平和を切望するとき、政府はそれを邪魔するのをやめ、国民の意志に従うべきであるというアイゼンハワーの言葉を、著者は今一度噛み締めるよう求めています。

戦争のコスト、国民に転嫁

The State Is Socializing the Cost Of the Iran War | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】戦争というものは、しばしば国家の断固たる意志や必要不可欠な行動として国民に宣伝されますが、その真の請求書は後になってから、より静かな形で届くものです。アリス・ジョンソン氏は、現在進行中のアメリカとイスラエルによる対イラン戦争において、政府がその膨大なコストをいかにして国民全体に転嫁しているかを分析しています。戦闘が人命を奪い、不安定化を招いているだけでなく、ワシントンが引き起こしたリスクを民間企業が背負いきれなくなったとき、その負担を一般市民に分散させるというアメリカ国家の習性が浮き彫りになっています。

その顕著な例が、海上保険の戦時リスク保険料の急騰です。世界のエネルギー輸送の要衝が戦闘地帯となったことで、保険料は1000%以上も跳ね上がりました。市場は政府が作り出した危険を正直に価格へ反映させますが、ワシントンはその「正直な価格」を嫌います。介入の真のコストが露呈してしまうからです。そこで政府は、民間市場が引き受けなくなったリスクを肩代わりするために、約200億ドル規模の海上再保険制度を新設しました。これは、利益は民間が享受し、損失が出れば社会全体で負担するという介入主義の典型的な構造です。

エネルギー政策にも同様のパターンが見られます。戦争によって原油価格が1バレル100ドルを超えると、政府は市場安定化の名目で、それまで制裁対象だったロシア産原油の購入を一時的に認める例外措置を講じました。規律ある外交を掲げながら、国内のガソリン価格やインフレが政治的脅威になると、途端に政策を柔軟に変更するのです。このように、国家は戦争の立案者がその決断の結果を直接受けないよう、経済情勢を操作します。そのコストは、戦争を承認していない納税者や、エネルギー価格の上昇に苦しむ消費者に押し付けられています。

ホルムズ海峡は世界の海上石油貿易の約4分の1を担っており、そこを戦場に変える決定は、戦略的な判断という名の下で行われる国民への「隠れた増税」に他なりません。政府は、自ら招いた事態の事後処理を責任ある統治のように見せかけますが、それは慎重さではなく、他人に請求書を回しているだけです。エリートたちの外交上の選択が、あらゆる人々の負担へと変換される。この記事は、国家が単に戦争を遂行しているだけでなく、そのコストを社会化しているという不都合な事実を指摘しています。

米軍内に反乱の兆し

Is a Revolution Percolating in the US Military? - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ軍の内部で、静かな革命が起きようとしているのかもしれません。元アメリカ空軍中佐のカレン・クウィアトコウスキ氏は、現在のトランプ政権下におけるイランへの軍事行動と、それに伴う現場の兵士たちの動揺について鋭い視点を提示しています。先日、米海軍の空母ジェラルド・アール・フォードにおいて、配管にTシャツやモップの頭が詰まるという不可解な事態が発生しました。公式には清掃の不手際とされましたが、マクレガー大佐は、これが劣悪な環境や不適切な指導に対する極端な不満から生じたサボタージュであると分析しました。同艦は本来、長期の任務を終えて修理と交代のために帰還する予定でしたが、トランプ政権の判断で中東へ急派されました。兵士たちは、なぜ自分たちが戦うのかという理由も知らされないまま、命を懸けることを強いられたのです。

2月末にテヘランの政治・宗教・軍事拠点を標的に行われた攻撃は、政権を崩壊させ、イランをアメリカとイスラエルに従順にさせることを目的としていました。しかし、その目的はすぐに放棄され、現在はホルムズ海峡の通商路確保という新たな名目にすり替えられています。マルコ・ルビオ議員が指摘したように、これはイスラエルのための戦争であり、ネタニヤフ首相が要求したものです。トランプ氏の対テロ顧問を務めたジョー・ケント氏は、辞任に際して、この戦争はかつてのイラク戦争と同様にイスラエルの嘘に基づいていると批判しました。アメリカという帝国は、経済的崩壊や国防産業の腐敗、そしてエリート層の道徳的欠如という多面的な問題に直面しています。

特に深刻なのは、軍内部の反乱の兆しです。イスラエル近海での任務後、紅海へ向かった空母フォードで大規模な火災が発生しました。海軍は詳細を説明していませんが、現場では「反乱」という言葉が飛び交っています。兵士たちは、法的根拠のないままイスラエル国防軍と共に戦わされ、自国の防衛ではなく宗教的な目的のために利用されることに強い憤りを感じています。指導者が無能で不誠実なとき、兵士たちは沈黙の不服従という手段で抵抗します。クウィアトコウスキ氏は、哲学者エティエンヌ・ド・ラ・ボエシの言葉を引用し、圧政への奉仕を止める決意こそが自由への道であると説いています。現在、洋上の艦船から国家権力の中枢に至るまで、暴君への支持を撤回しようとする動きが広がっているのです。

米株安リスクと金銀への影響

Analyst Clive Maund Warns of Stock Market Crash [LINK]

【海外記事紹介】アナリストのクライブ・マウンド氏は、米国の株式相場が近いうちに暴落する可能性が高いと警鐘を鳴らしています。これまで強気相場が維持されてきたことは驚異的ですが、足元のチャート分析では、S&P500指数が200日移動平均線付近の支持線を割り込もうとしており、上昇の勢いが着実に失われていることが示されています。同氏は、この巨大な「分配ドーム」形状のチャートが、市場が大きく崩れる前兆であると分析しています。

暴落の引き金となるファンダメンタルズ要因として、中東情勢の悪化に伴う原油価格の急騰が挙げられています。米国とイスラエルはイランに打撃を与えているものの、勝利には程遠いのが実情です。もし米国が中東から撤退することになれば、石油取引をドルで行うペトロダラー体制の終焉とドルの崩壊を招くことになります。こうした地政学的なパワーバランスの変化が、市場を暴落させる十分な要因になると同氏は指摘します。現在の原油高騰の動きは、2008年のリーマンショック直前の状況に酷似しており、当時は原油が1バレル140ドルを超えた後に市場が崩壊しました。

この暴落が貴金属セクターに与える影響についても注意が必要です。長期的には金や銀には強気な見通しが立ちますが、暴落の初期段階では、あらゆる資産を現金化しようとする「強制的な投げ売り」に巻き込まれ、一時的に急落する可能性が高いといいます。2008年の際も、金は一時的に大きく売られた後、株式市場が底を打つ前に回復し、その後の大躍進へと繋がりました。今回も、金は一時的に4,300ドル付近の支持線まで調整し、銀も50ドルから55ドルのゾーンまで押し戻される可能性があると予測されています。

マウンド氏は、現在の投資戦略として、広範な株式や貴金属のロングポジションを一旦解消し、現金比率を高めることを推奨しています。原油セクターは短期的には逆行高する可能性がありますが、深刻な景気後退局面では最終的に下落を免れません。同氏は、現金を確保した上で、貴金属価格が調整を終えたタイミングで再び買い戻す準備を整えるべきだと述べています。

米国家債務が39兆ドル突破

National Debt Quietly Eclipses $39 Trillion [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの国家債務が、3月17日に39兆ドルの大台を突破しました。マイク・マハレイ氏の報告によれば、38兆ドルを超えてからわずか150日という驚異的な速さでの到達です。2020年時点の議会予算局の予測では、債務が37兆ドルに達するのは2030年とされていましたが、現実にはその予測を4年も前倒しして加速し続けています。関税収入が前年比294%増と大幅に伸び、政府効率化を掲げる「DOGE」と呼ばれる政策が動いている最中であっても、借金の膨張に歯止めはかかっていません。

この39兆ドルという数字の重みを具体的に見ると、その深刻さが際立ちます。アメリカの全市民が一人あたり11万3615ドル、納税者に限れば一人あたり35万7068ドルという巨額の小切手を書かなければ完済できない計算になります。さらに、この債務額は中国、ドイツ、インド、日本、そしてイギリスの5カ国の年間GDPを合計した額をも上回っています。これほどまでに膨れ上がった借金は、もはや単なる数字の問題ではなく、連邦政府の予算を圧迫する巨大な重荷となっています。

現在、政府の支出において利払い費用は、社会保障に次ぐ第2のカテゴリーにまで成長しました。2026年度の最初の5ヶ月間だけで利払い費用は5200億ドルに達し、これは国防費の4120億ドルやメディケアの4780億ドルを上回る規模です。かつて低金利時代に発行された国債が次々と満期を迎え、より高い利回りの新発債に置き換わっていることが、利払い負担をさらに押し上げています。市場が連邦準備理事会(FRB)による高金利の維持を極度に警戒している理由は、まさにこの「債務のブラックホール」にあります。金利が高止まりすれば、利払いだけで国家財政が維持不能に陥るリスクがあるからです。

アメリカの債務増大は、もはや一時的な現象ではなく、構造的な危機へと発展しています。今後、この利払い負担が米国の社会保障や公共サービス、そして金融市場にどのような影響を及ぼすのか、注視していく必要があります。

板挟みのFRBと金需要

Gold, the Federal Reserve, and a Catch-22 [LINK]

【海外記事紹介】経済アナリストのマイク・マハレイ氏は、現在の米連邦準備理事会(FRB)が、インフレ対策と巨大な債務問題の間で身動きが取れなくなる「キャッチ22(板挟み)」の状態にあると指摘しています。生産者物価指数(PPI)が予想を大幅に上回る前月比0.7%の上昇を記録したことを受け、市場では金が売られ、5,000ドルの節目を割り込む動きが見られました。本来、インフレ局面ではヘッジ資産である金が買われるはずですが、投資家は「インフレ再燃によりFRBが高金利をより長く維持する」と予想し、利息を生まない金を避けて他の資産へ資金を移したためです。

しかし、マハレイ氏はこの市場の予測は誤りであると論じています。FRBにはインフレを抑えるために金利を高く保つ、あるいは引き上げる必要がある一方で、過去数十年にわたる低金利政策が生み出した「債務のブラックホール」という逆の圧力がかかっています。現在の経済は巨大な債務の泡の上に成り立っており、金利を上げ続ければ経済そのものが崩壊しかねません。パウエル議長も会見で、経済見通しには極めて高い不透明感があることを認めています。つまり、FRBはインフレ退治と景気下支えという、同時には達成不可能な二つの課題を突きつけられているのです。

マハレイ氏は、FRBが最終的にはインフレ容認に傾くと予測しています。歴史を振り返れば、1970年代の激しいインフレを鎮めるには金利を20%まで引き上げる必要がありました。しかし、現在のFRBはインフレが完全に収束する前に勝利宣言を行い、緩和的な姿勢に転じたことで、事実上さらなるインフレを招く道を選んでいます。今後、中東での戦争によるオイルショックなどで経済に目に見える亀裂が入れば、FRBはインフレが目標を上回っていても、経済を救うために大幅な利下げや量的緩和を再開せざるを得なくなります。

結論として、現在の金価格の下落は「FRBがインフレを抑え込める」という市場の幻想に基づいた一時的な現象にすぎないとマハレイ氏は述べています。長期的には、FRBが経済を支えるために通貨供給を増やし続ける以上、インフレは継続し、ドルの価値は下落し続けることになります。このようなスタグフレーション、すなわち不況下の物価上昇という最悪のシナリオが現実味を帯びる中で、政府の政策に依存しない価値の保存手段を持つ重要性が改めて浮き彫りになっています。

米、インフレの火種くすぶる

Peter Schiff: The Fed Let Inflation Live | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済評論家であるピーター・シフ氏が、3月18日の米連邦準備理事会(FRB)による金利据え置き判断を受け、現在のアメリカ経済が直面している危機的な状況を自身の番組で解説しました。FRBは政策金利を3.5%から3.75%の範囲で維持することを決定しましたが、シフ氏はこれが市場の期待には沿ったものの、経済が必要としていた大幅な利上げという正しい選択ではなかったと指摘しています。同氏によれば、足元の経済データは政治的な宣伝とは裏腹に、極めて脆弱な実態を示しているといいます。

具体的には、直近の2025年第4四半期のGDP成長率が年率換算で0.7%にとどまり、1%にも満たない低成長であったことが挙げられます。トランプ政権は経済の奇跡的な復活を強調していますが、2025年通年の成長率は2.2%であり、バイデン政権最終年の2.8%を大きく下回っています。一方で、インフレの火種は依然として強く残っています。直近の生産者物価指数は前月比0.7%上昇し、市場予測の2倍以上の伸びを記録しました。これを年率に換算すると8.4%という高水準になります。生産者物価の上昇は、いずれ消費者物価へと転嫁されるため、インフレが収束したという当局やウォール街の見解は誤りであり、インフレとの戦いを途中で放棄したFRBの失策であると同氏は批判しています。

さらに、不動産市場にも歪みが生じています。政府系住宅金融機関が2000億ドルの住宅ローン担保証券を買い支えて金利を抑制しようとしていますが、債券利回りの上昇に伴いローン金利も上昇し、購入需要は減退しています。シフ氏は、現在の状況を1970年代のインフレ危機と比較し、当時よりも政府債務の短期化が進んでいる点に警鐘を鳴らしました。仮に金利が10%に達すれば、40兆ドルの債務に対して年間4兆ドルの利払いが発生します。政府の税収が約5.4兆ドルであることを踏まえると、高金利下で景気が後退すれば税収も激減し、財政的に破綻しかねないという計算になります。今回のFRBの慎重な姿勢は、結果としてドルの価値を損ない、金などの実物資産に有利な環境を強めることになると同氏は予測しています。

イランの経済戦争

Asymmetric economic war: Iran challenges US dollar, demanding oil be sold in Chinese yuan, as it targets US corporations - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイスラエルによる攻撃を受け、イランが「非対称経済戦争」とも呼ぶべき独自の対抗策を講じている実態について、ベン・ノートン氏の記事が詳細に伝えています。米軍の年間予算が約1兆ドルに達するのに対し、イランの国防予算はそのわずか1%にすぎません。軍事力で圧倒的に不利なイランは、正面衝突を避け、アメリカの脆弱な部分を突く戦略を選びました。その最大の柱が、世界の石油輸送の要所であるホルムズ海峡の封鎖です。世界の石油取引の約20%が通過するこの海峡を、イランは「一滴の石油も通さない」として封鎖しました。これにより、2026年1月には1バレル約60ドルだった原油価格が100ドルを突破し、200ドルに達する可能性も指摘されています。

特筆すべきは、イランがこの封鎖において、中国のタンカーにのみ通行を許可する例外を設けている点です。さらに、海峡の通行を希望する船舶に対し、代金の支払いを米ドルではなく中国の通貨である「人民元」で行うよう要求しています。これは、1974年以来続いてきた、石油取引をドルで行う「ペトロダラー体制」に対する直接的な挑戦です。ドルが世界の基軸通貨であることは、アメリカが巨額の赤字を抱えてもインフレを抑え、低い借入コストを維持できる「法外な特権」の源泉となってきました。イランはこのドルの支配力という、軍事力以上に強力なアメリカの武器を無効化しようとしています。

また、イランは軍事基地だけでなく、西アジアに進出しているアメリカの大手企業も標的に定めています。革命防衛隊は、ロッキード・マーチンなどの軍事産業に加え、マイクロソフト、アマゾン、エクソンモービルといった企業の拠点から退去するよう警告を発しました。イランの新たな最高指導者モジュタバ・ハメイニ氏は、アメリカの軍事基地のみならず、これら企業の拠点を「金融基地」と呼び、同地域からアメリカの影響力を完全に排除する姿勢を鮮明にしています。さらに、イランと協力関係にあるイエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)も、紅海の要所であるバブ・アル・マンデブ海峡を封鎖する準備を進めていると報じられています。こうした非対称な戦術により、中規模の国家であっても、巨大な軍事力を持つアメリカに対して経済的な打撃を与え、抵抗が可能であることを示していると、この記事は結んでいます。

2026-03-19

イラン戦争と米経済の崩壊

No, We Cannot “Afford” This War with Iran Either | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】この記事は、トランプ政権によるイランへの軍事介入について、経済的な観点から「アメリカにはこの戦争を賄う余裕などない」と強く警鐘を鳴らしています。

まず筆者は、野党・民主党の対応を批判的に分析しています。中道派の民主党議員の多くは、本心ではイスラエル支持やイラン封じ込めという戦略に賛成しているため、政権への攻撃材料を「手続きの不備」や「財政的な不整合」に絞らざるを得なくなっています。特に、国内の社会福祉予算には「財政赤字」を理由に反対する共和党が、戦争が始まると即座に数十億ドルを投じるという「ダブルスタンダード」を民主党は突いています。

しかし、記事が真に問題視しているのは、民主党が主張するような「戦争に金が出せるなら福祉にも出せるはずだ」という論理の危うさです。筆者は、政府が通貨を発行して支払う「能力」があることと、その支出を経済的に「負担できる(アフォードできる)」ことは全く別問題であると説いています。

現在、アメリカの公的債務は40兆ドルに迫り、2026年度の財政赤字もすでに1兆ドルを超えています。そこへ、開始わずか6日間で113億ドルを費やし、今後も一日あたり10億から20億ドルを要するとされるイラン戦争が加われば、もはや財政は持続不可能な域に達します。政府が紙幣を増刷して戦費を賄えば、それは「インフレ」という形で国民の生活を直撃します。すでにアメリカ国民が直面している「生活費危機」の正体は、こうした過剰な通貨供給によるインフレなのです。

さらに、この戦争には固有の経済リスクが伴います。イラン側は、米・イスラエルによる攻撃のコストを最大化させるため、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖に動いています。これにより、石油だけでなく天然ガスや肥料、半導体製造に不可欠なヘリウムなどの供給が滞り、世界的な物価高騰と深刻な供給不足を招く恐れがあります。

最後に、アメリカ経済そのものの脆弱性についても言及されています。長年の低金利政策と過剰な信用拡大によって、現在の経済構造は「誤った投資」の上に成り立つ砂上の楼閣と化しています。19年前の住宅バブル崩壊や6年前のパンデミックによるロックダウンと同様に、今回のイラン戦争が、積み上がった経済の歪みを一気に崩壊させる「景気後退の引き金」になる危険性は極めて高いと、この記事は結論づけています。

嘘に基づくイラン戦争

More on the Great Big Stinking Lies About Iran - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】元米予算管理局長であるデビッド・ストックマン氏は、現在ペルシャ湾で起きているトランプ政権の対イラン軍事行動を「歴史上最大級の卑劣な嘘」に基づいた極めて無謀な行為であると痛烈に批判しています。ストックマン氏によれば、世界経済を破滅に追い込みかねないこの紛争は、イランが47年間にわたりアメリカに危害を加え続けてきたという、事実を歪曲したナラティブによって正当化されています。

まずストックマン氏は、イランを「世界最大のテロ支援国家」とするレッテルを否定します。イランは1979年の革命以来、一度も他国に侵攻していませんが、逆にサダム・フセイン時代のイラクから攻撃を受け、長年にわたりアメリカの経済制裁やイスラエルによる暗殺・破壊工作の標的となってきました。また、レバノンのヒズボラやガザのハマスといった「代理勢力」についても、それらはイランが作り出した傭兵集団ではなく、イスラエルによる侵攻や占領という現地の抑圧に対して自発的に生まれた組織であり、共通の敵を持つためにイランと提携しているに過ぎないと指摘しています。

さらに驚くべき事実は、過去47年間でイランやその関連組織によって殺害されたとされる約1,050名のアメリカ人のうち、米本土で犠牲になった者は一人もいないという点です。その96%は、ワシントンが中東へ軍隊を派遣し、現地の紛争に不必要に介入した結果として発生した軍事拠点への攻撃によるものです。ストックマン氏は、これら悲劇的な死の責任は、本来アメリカの安全保障には無関係な「帝国の野望」のために、兵士たちを危険な場所に送り込んだワシントン側にあると主張しています。

その象徴的な事例として、1988年に米海軍の巡洋艦ヴィンセンスがイランの民間旅客機655便を誤射し、290名の民間人を殺害した事件を挙げています。当時、アメリカはイラク側に肩入れしてペルシャ湾の護衛作戦を行っていましたが、公海上で無抵抗の旅客機を撃墜するという大惨事を引き起こしながら、当時のジョージ・H・W・ブッシュ副大統領は「事実がどうあれ、私はアメリカのために謝罪することはない」と言い放ちました。

ストックマン氏は、芝刈り機の事故や落雷、さらにはベッドからの転落で亡くなるアメリカ人の数の方が、イランに関連して亡くなった数よりも遥かに多いという統計を示し、こうした「嘘」に基づいて世界的な金融システムを崩壊させかねない戦争を煽るネオコンや政権の狂気を、激しい言葉で告発しています。

揺らぐ言論の自由

Free Speech for Me But Not for Thee - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの元裁判官アンドリュー・ナポリターノ氏は、現在のトランプ政権下で起きているメディアへの圧力が、憲法修正第1条が保障する「言論の自由」を根底から揺るがしていると警告しています。事の発端は、連邦通信委員会(FCC)の委員長が、イランやウクライナを巡る報道が政権の意向に沿わない場合、放送局の免許を取り消すと示唆したことにあります。さらに、国防長官もイラン戦争の報道内容に不満を示し、特定のメディアを公然と非難しました。

こうした政府の振る舞いは、憲法上「チリング・エフェクト(萎縮効果)」と呼ばれ、話し手に恐怖を抱かせて発言を躊躇させるものとして厳格に禁止されています。ナポリターノ氏は、ジェームズ・マディソンが起草した権利章典の歴史を紐解き、言論の自由は政府が創設した権利ではなく、人間が生まれながらに持つ「自然権」であることを強調しています。憲法は政府に権利を与えるのではなく、政府が個人の権利を「侵害すること」を禁じているのです。

かつてアメリカには、放送内容の公平性を求める「公平原則」というルールがありましたが、1987年のレーガン政権下で廃止されました。今回、FCC委員長はこのルールの復活をちらつかせることで、政府がメディアの内容を評価・介入するという「重い手」を再び差し伸べようとしています。これは単なる政治的争いではなく、自由民主主義の根幹に関わる問題です。

もし政府が自分たちに都合の良いように議論の枠組みを決めてしまえば、それはもはや議論とは呼べません。政府は暴力の独占に基づいた人工的な組織であり、私たち国民のような「言論の自由」という権利は持っていません。思想の自由市場において、ある主張が受け入れられるかどうかは聴衆が決めるべきことであり、政府による強制や検閲は、自由な社会の在り方とは真っ向から対立するものであると、ナポリターノ氏は厳しく断じています。

窮地に立つトランプ氏

Swinging Wildly toward Armageddon, the Wrecking Ball Gets Wrecked [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ大統領が自ら引き起こしたイランとの紛争、いわゆる「トランプの戦争」において、かつてないほどの窮地に立たされています。経済評論家のデビッド・ハギス氏は、これまでNATO加盟国を公然と侮辱し、関税措置でその経済に打撃を与えてきた大統領が、今さら彼らに軍事支援を乞うという、極めて屈辱的で支離滅裂な行動に出ていると指摘しています。

NATO諸国は、トランプ大統領が「同盟国は不要だ」と豪語し、各国の主権を軽視してきたこれまでの言動を忘れていません。自分たちが望まず、同意もしていない戦争のために、自国民の命や貴重な国家予算を投じるよう求める大統領の要求に対し、各国は冷ややかな反応を示しています。かつての友人を救うために立ち上がるどころか、自国を敵のように扱ってきた人物からの「助けろ」という一方的な命令に、同盟関係は事実上崩壊しつつあります。

この混乱は国際社会だけにとどまりません。ロシアや中国のメディアは大統領の失態を「イランに喉元を掴まれている」と嘲笑し、国内でもかつての熱烈な支持者たちが離反し始めています。トランプ氏が主催したミス・アメリカの元代表で、保守派のインフルエンサーとして知られる人物ですら、「もはや大統領を認識できない」「MAGA(アメリカを再び偉大に)という運動は死んだ」と公言する事態に至っています。身内からも、イランが非対称的な反撃の主導権を握っており、アメリカは面目を保つ方法を見失っているとの声が漏れ聞こえています。

記事は、トランプ大統領が自分自身を宇宙の中心と信じ、自己の誇大妄想に沈み込んでいく姿を描写しています。イランでの行き詰まりを紛らわすかのように、次はキューバの占領を「名誉なこと」として語るなど、さらなる領土や資源の強奪へ執着を見せています。しかし、アフガニスタンやイラクの教訓が示す通り、こうした武力行使はネオコン(新保守主義者)が考えるほど容易なものではありません。世界中を狂ったように叩き壊す鉄球と化した大統領の周囲では、かつての支持層という壁も崩れ落ち、自ら作り出した暗黒の穴へと吸い込まれようとしていると、著者は厳しく批判しています。

米覇権の終焉

Iran may be where the US-led world order ends - Asia Times [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ主導の国際秩序は、今まさにイランという転換点において終焉を迎えようとしているのかもしれません。歴史家のギボンがローマ帝国の衰退を論じたように、帝国の崩壊は通常、緩やかに進むものです。しかし、アメリカとイスラエルが実施したイランへの共同攻撃は、かつて大英帝国の覇権の終焉を象徴した1956年のスエズ危機に匹敵する、地政学的な歴史の節目になる可能性があります。

第二次世界大戦後、アメリカの覇権は軍事力だけでなく、安定したルールと経済的利益を世界に提供するという信頼によって支えられてきました。特に中東においては、サウジアラビアなどの湾岸諸国に安全保障を提供し、その見返りに石油取引を米ドルで行う「ペトロダラー体制」が、米ドルの基軸通貨としての地位と世界経済の安定を支える柱となってきました。しかし、今回のイラン攻撃はこの信頼の土台を根本から揺るがしています。

まず、外交上の不信感です。報道によれば、攻撃が実行された当時、オマーンを仲介とした米イラン間の交渉が進行中でした。外交交渉の最中に軍事行動に踏み切ることは、国際社会におけるアメリカの信頼性を著しく損なうものです。また、議会の承認や国連安保理の合意を得ない形での武力行使は、国際ルールの正当性を否定する行為とも受け取られています。

さらに深刻なのは、イランによる報復攻撃が湾岸諸国のインフラを標的にしたことで、アメリカの「安全保障の傘」の有効性に疑問符がついたことです。もしアメリカが同盟国を地域の緊張から守りきれないのであれば、もはや信頼できる守護者とは言えません。こうした中、湾岸諸国は中国との関係を深めており、2023年に中国の仲介でサウジアラビアとイランが国交を回復したことは、アメリカが独占してきた中東の仲裁役としての地位が揺らいでいることを示しています。

経済的にも、ホルムズ海峡の混乱による原油価格の高騰は世界的なインフレを招き、既存の秩序に代わる多極的な枠組みを求める動きを加速させています。BRICS諸国によるドル依存からの脱却などはその象徴です。アメリカは依然として最強の軍事・経済大国ですが、かつての指導力に対する信頼が失われれば、秩序は内側から崩壊していきます。イラン戦争が、歴史においてアメリカ主導の時代が終わり、多極化へと向かう決定的な瞬間として記録されることになるのか、世界は今、その岐路に立たされています。

トランプ家、軍ビジネスで利益

Trump wages war, his sons get payoff through savvy investments | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ大統領がイランとの紛争を激化させる中、その背後で大統領の息子たちが国防テクノロジー分野への投資を通じて多額の利益を得ている実態が、報じられています。現在、米軍はイランとの戦いに向けてドローン能力の増強を急いでいますが、エリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏の両名は、国防総省と契約を結ぶドローン関連企業や防衛新興企業に多額の資金を投じていることが明らかになりました。

具体的には、ドナルド・トランプ・ジュニア氏はドローン部品メーカー「アンユージュアル・マシンズ」の取締役を務め、400万ドルの株式を保有しています。同社は昨年12月、国防総省からドローン部品製造のために6億2000万ドルという巨額の融資を受けています。また、彼がパートナーを務めるベンチャーキャピタル「1789」は、父の再選直後から管理資産が1億5000万ドルから20億ドル以上へと急増しました。トランプ・ジュニア氏自身、同社が政権の意向を理解し、チャットアプリ作成を支援していると述べており、政策決定への関与が疑われています。一方、エリック・トランプ氏も、ガザ地区で実績のあるイスラエルの攻撃型ドローン企業「エクステンド」などに投資しており、同社のドローンはすでに中東の紛争地へ配備されています。

専門家は、こうしたトランプ・ファミリーの動きが深刻な利益相反を引き起こしていると警鐘を鳴らしています。副大統領のJ.D.ヴァンス氏と親交の深いピーター・ティール氏などの有力な投資家ネットワークが政権内部に深く食い込んでおり、大統領の息子たちが特定の防衛企業の成否から個人的な利益を得る構造が出来上がっています。このような関係性は、技術の有効性よりも政治的なコネクションが契約獲得を左右する土壌を作り、公的な利益よりも一族の財務的利益が優先されるリスクを孕んでいます。

かつてからワシントンでは、政府と軍需産業の「回転ドア」が民主主義を蝕んでいると批判されてきましたが、今回のケースはその極端な例と言えます。兵器が売れ、侵攻や爆撃が行われることで巨万の富を得る投資家や身内が存在する限り、アメリカが常に戦争状態に置かれる動機が消えることはありません。トランプ政権が国内外でドローン主導の軍事体制を強化する中、大統領の息子たちはその政策の進展を自らの投資の収益として享受していると、この記事は冷徹に分析しています。

ロスバード生誕100年めぐり不協和音

Mises Institute email: “Rothbard’s Ideas Live On: Three Books That Defend Liberty” | The Property and Freedom Society [LINK]

【海外記事紹介】2026年3月、自由主義経済学の巨星であるマレー・ロスバードの生誕100周年を迎え、世界各地の支持者の間で祝賀と追悼の動きが広がっています。本記事によれば、プロパティ・アンド・フリーダム・ソサエティ(PFS)は、ロスバードの最も近い弟子であり知的後継者でもあるハンス・ホッペ氏の主導により、記念論集『100歳のロスバード:献辞と評価』を出版しました。この節目を祝うため、同年9月にはトルコで記念パネルディスカッションが予定されているほか、6月にはポルトガルでも複数のリバタリアン団体による大規模な記念イベントが開催されるなど、ロスバードの思想を継承する活動が活発化しています。

しかし、こうした祝祭ムードの裏側で、リバタリアン陣営内部では深刻な理論的対立と組織的な亀裂も表面化しています。長年ロスバード派の重鎮として知られたウォルター・ブロック氏が、イスラエル・パレスチナ紛争を巡って「無制限の戦争」を肯定する主張を展開したことが発端です。ホッペ氏は、ブロック氏のこうした姿勢を、ロスバード思想の根幹である「非攻撃の原則」を完全に放棄し、無実の民間人の殺害を容認するものだと厳しく批判しました。その結果、ブロック氏はミーゼス研究所やロン・ポール研究所といった主要なリバタリアン団体から事実上の「破門」状態に置かれる事態となっています。

さらに、組織間の不自然な沈黙も波紋を呼んでいます。ミーゼス研究所が最近配信したロスバード関連のブックガイドでは、過去の著作や記念碑的なエッセイ集は紹介されているものの、ホッペ氏が編纂した最新の記念論集については一切言及されていません。ロスバードの最も親しいパートナーであったホッペ氏による重要な出版物が無視されている現状に対し、記事の著者は困惑を隠せません。思想界における影響力争いや特定の論者の排斥が、生誕100周年という記念すべき時期に影を落としている形です。それでもなお、ロスバードの自由を守るアイデアは、新しい書籍の出版や記念コインの販売、そして世界的なイベントを通じて生き続けていると、この記事は複雑な内情を交えつつ伝えています。

キューバ政策、3つの神話

Washington's War on Cuba Is Older Than You Think | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカによるキューバへの制裁や敵対政策は、一般に認識されているよりもはるかに長い歴史を持っています。2026年3月、トランプ大統領はキューバを「瀕死の状態」と評し、政権交代に向けた威圧的な発言を繰り返しています。アメリカ政府は現在、キューバへのエネルギー供給路を完全に遮断しており、同国内では深刻な燃料不足や停電、病院のサービス縮小といった人道的な危機が広がっています。こうした現状を踏まえ、歴史家のテッド・スナイダー氏は、アメリカの対キューバ政策にまつわる3つの神話を正すべきだと指摘しています。

第一の事実は、対立の起源が公式記録よりも古いという点です。対キューバ封鎖やカストロ暗殺計画は、ケネディ政権の代名詞のように語られますが、実際にはその前任のアイゼンハワー政権下ですべてが始まっていました。1959年の革命直後から、アイゼンハワー大統領はすでに輸出禁止や軍事侵攻の計画、さらにはカストロ氏の排除を承認していました。つまり、アメリカの敵意は革命の勃発とほぼ同時に醸成されていたのです。

第二に、この対立の本質は当初、共産主義対策ではありませんでした。カストロ氏がソ連と結びつく前から、アメリカは彼を標的にしていました。当時のカストロ氏が掲げていた土地改革や資源管理、教育の充実といった政策は、ラテンアメリカにおける標準的な改革案に過ぎませんでした。しかし、アメリカが恐れたのは、自国の覇権に屈しない「独立したナショナリズム」のモデルが近隣諸国に波及することでした。自国の資源を自国民のために使うという魅力的な選択肢が他国に広まることを防ぐため、アメリカは「検疫」と称してキューバを隔離しようとしたのです。

第三の真実は、経済封鎖の真の目的が、一貫してキューバ国民を飢えさせることにあったという点です。アイゼンハワー大統領は当時、国民が空腹になれば政権を覆すだろうと明言していました。現代のトランプ政権による制裁も、この「飢餓と絶望による政権交代」という半世紀以上続く戦略を忠実に引き継いでいるに過ぎません。キューバを巡るアメリカの公式な物語は多分に神話化されていますが、その歴史的な実態は、共産主義への対抗という大義名分を超えた、冷徹な政権転覆の試みであったとこの記事は解説しています。

政府の金取引介入にノー

State Legislatures Continue to Reject Big Government “Transactional Gold” Boondoggles [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのカンザス州、アリゾナ州、ウェストバージニア州、インディアナ州、ケンタッキー州といった各州の議会で、政府が主導する「取引型ゴールド」計画を拒否する動きが相次いでいます。サウンド・マネー・ディフェンス・リーグが2026年3月17日に発表した内容によれば、これらの州で提案されていた大規模な政府運営の金取引システムは、自由市場の競争を阻害し、特定の業者の利益にのみ資する賢明ではない政策であるとの認識が広がっています。

例えばカンザス州では、州が管理する貴金属保管庫や決済システムを構築し、官民連携を通じて民間企業と競合させる法案が廃止されました。ケンタッキー州やウェストバージニア州でも、地元の既存ビジネスや投資家、あるいは州そのものに悪影響を及ぼす懸念から、法案は前進することなく会期を終えています。また、アリゾナ州では草の根の反対運動や業界の反発によって法案が否決され、インディアナ州にいたっては公聴会すら開催されませんでした。

こうした法案の多くは、金の取引アプリを運営する企業など、政府の公認を得て競争を有利に進めたいと考える特定の業者が背景にいると指摘されています。法案の推進側は、州の選定した業者を利用すれば連邦資本利得税を回避できるといった誤った主張や、州のパートナー業者を使わなければ貴金属が没収される可能性があるといった、消費者の不安を煽る宣伝を行ってきました。しかし、実際には金や銀の売買、保管、取引はすでに合法であり、民間サービスが広く普及しているため、政府が介入する必要性はありません。

さらに、これらの計画が実現すれば、コインショップなどの小規模事業者に新たな登録義務や規制の負担を強いることになり、専門知識のない州当局が市場を監督するという不自然な状況を招きます。一般市民の間でも、税金を金で支払いたい、あるいは政府に金を管理してほしいという需要はほとんど見られません。専門家は、法案を提出した議員の多くが実態を十分に調査せず、外部の利害関係者の言葉を信じてしまったと分析しています。その一方で、貴金属への課税撤廃や金銀の憲法上の地位の再確認など、真に健全な通貨制度を促進するための立法活動は着実に進展していると、この記事は締めくくっています。

妖精と黄金

What's Up With Leprechauns, Gold, and the End of the Rainbow? [LINK]

【コラム紹介】マイク・マハリー氏による、セント・パトリックス・デイ(3月17日)にちなんだレプラコーン(アイルランドの妖精)と黄金、そして虹の端にまつわる伝承とその教訓についてのユーモラスなエッセイをご紹介します。

レプラコーンといえば「捕まえると自由と引き換えに黄金の隠し場所を教える」という小さな靴職人の姿が有名ですが、なぜ靴作りでそれほどの富を築けたのでしょうか。伝承によれば、彼らは極めて勤勉かつ質素であり、労働で得たコインを「本物の通貨」である金(ゴールド)として長期間蓄えてきました。  不換紙幣(フィアット・マネー)ではなく、価値を保存できる金を選んでいる点に、彼らの賢明さが表れています。

レプラコーンの起源は8世紀まで遡り、もともとは現在の「緑の服を着た可愛い小人」というイメージとは異なり、予測不能で危険な闇の精霊とされていました。彼らは「欺瞞の達人」であり、人間を出し抜くために黄金を小道具として使います。例えばハリー・ポッターの世界では、レプラコーンが作る金貨は数時間で消えてしまう「偽物」として描かれています。

有名な「虹の端に金のポットを埋める」という話も、実は人間に虹を追いかけさせて時間を浪費させるための、彼ららしい嘘かもしれません。ある民話では、強欲な農夫婦がレプラコーンを捕まえて願い事を叶えてもらおうとしましたが、欲に溺れる二人に愛想を尽かしたレプラコーンは「虹の端にある金のポット」を探すよう告げて姿を消しました。結局、夫婦は一生、虹の端を追いかけ続けることになったのです。

マハリー氏は、この物語の教訓は明らかだと述べています。富を得るために虹の端という「存在しないゴール」を追いかける必要はありません。レプラコーンのような魔法やペテンに頼らずとも、現実の市場で本物の金や銀を手にすることこそが、資産を守る確実な道であると締めくくっています。

2026-03-18

トランプ氏の無謀な賭け

Trump Risks It All on Regime Change Abroad - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】2016年当時は「体制転換(レジームチェンジ)を伴う戦争」への強い反対者として知られたトランプ大統領が、2026年現在、皮肉にも自らの政治的命運をかけた巨大な「体制転換の賭け」に出ている現状を分析した記事をご紹介します。

トランプ大統領は現在、ベネズエラとイランに対して軍事キャンペーンを展開しており、さらにキューバの共産政権打倒も視野に入れているとされています。もしこれら3カ国で親米政権への交代に成功すれば、歴史的な功績となり、2026年の中間選挙でも共和党が大きく躍進する可能性があります。しかし、現状の兆候は決して楽観できるものではありません。

ベネズエラでは、左派のマドゥロ大統領を排除したものの、後任のロドリゲス副大統領による体制は不安定で、さらなる強硬策を求める保守層からの圧力と、旧政権支持者による長期的な抵抗のリスクに挟まれています。また、イランでは政権中枢を狙った「斬首作戦」が失敗に終わり、神権政治への不満を持つ国民も、外国からの攻撃に対してはかえって団結を強める傾向にあります。

経済的な影響も深刻です。イランによるホルムズ海峡の通航妨害により、原油価格はすでに20%以上急騰しており、これが世界的な景気後退を招けば、トランプ政権にとって致命的な政治的打撃となるでしょう。さらに、過去の戦争とは異なり、今回の軍事介入は開始当初から国民の広範な支持を得られていないという異例の事態に直面しています。

著者は、トランプ大統領を「リアリズム(現実主義)と抑制」の信奉者だと見なしていた人々は甘かったと指摘します。第1期政権時からの軍備管理指針の破棄やウクライナへの武器供与、そして再選後のグリーンランド買収交渉や報復関税といった行動は、一貫して「攻撃的なナショナリズム」に基づいています。

もしこの「大博打」に勝てば、世界最大の原油埋蔵量を誇るベネズエラとイランを米国の影響下に置き、中東での覇権を奪還してロシアや中国に大打撃を与えることができます。しかし、こうした体制転換の試みは成功率の低い「穴馬(ロングショット)」への賭けのようなものであり、失敗した際のリスクはトランプ氏個人の政治生命のみならず、米国という国家の基盤をも揺るがしかねないと結論づけています。

米テロ対策トップ辞任の衝撃

The Explosion Inside Trump’s War Machine: Joe Kent Resigns - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】ラムジー・バルード氏による、トランプ政権の国家テロ対策センター(NCTC)所長ジョー・ケント氏の電撃辞任とその波紋についての分析をご紹介します。この記事は、ケント氏の辞任が単なる一高官の離脱ではなく、政権内部の「忠誠派」ですら耐えきれないほど、今回の対イラン戦争の正当性が崩壊している兆候であると論じています。

ケント氏は元グリーンベレー(陸軍特殊部隊)であり、CIAのパラミリタリー(準軍事)要員も務めた、国家安全保障の核心部にいた人物です。また、トランプ氏に近い共和党員としても知られていました。その彼が、2025年7月に就任したばかりの要職を辞した理由は極めて衝撃的です。

ケント氏は辞任届の中で、「良心に照らして、現在進行中のイラン戦争を支持することはできない」と明言しました。さらに、「イランはわが国に対して差し迫った脅威ではなかった」と断じ、この戦争は「イスラエルとその強力なロビー活動からの圧力」によって始められたものであると直接的に非難しました。彼は、イスラエル側と米国内のメディアが誤情報を流布して「アメリカ・ファースト」の理念を台無しにし、かつての泥沼化したイラク戦争と同じ手法で米国を戦争に引き込んだと告発しています。

特に重みを持っているのは、彼が「ゴールドスター・ハズバンド(戦死者の夫)」であるという個人的な背景です。彼の妻、シャノン・ケント上級兵曹は2019年にシリアで戦死しました。ケント氏は、米国民に利益をもたらさない「捏造された戦争」に、次世代の若者を送り込むことはできないという道徳的な一線を引いたのです。

バルード氏は、今回の紛争が始まってからわずか3週間足らずで、このような政権中枢のインサイダーから「戦争は嘘に基づいている」という公然とした異議申し立てが出たことの重要性を強調しています。これは、かつてのベトナムやイラクの時よりも遥かに早いスピードで政権内部の亀裂が表面化していることを示しており、ワシントンが維持しようとしている戦争の政治的構造が、見かけよりもずっと不安定であることを暴露しています。

イランの抵抗、予期せぬ影響

The Unforeseen Consequences of Iranian Resistance - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】フランスの政治評論家ティエリー・メイサン氏による、イランの抵抗が世界秩序や軍事戦略に与えている予期せぬ影響についての論評をご紹介します。この記事では、イランが米国とイスラエルによる攻撃を退けている現状が、単なる一地域の紛争を超え、世界の軍事バランスやドル覇権を根底から揺るがしていると分析されています。

メイサン氏は、今回の紛争を「歴史上最もコストのかかる戦争」と呼んでいます。例えば、1機約3万5000ドルのイラン製ドローン「シャヘド」を撃墜するために、米国は1発330万ドルのパトリオットミサイルを2発発射しており、投資額の約188倍の支出を強いられています。米国は最初の2日間だけで56億ドル、3月10日までには113億ドルもの弾薬費を費やしました。イラン側の死者数から算出すると、一人を殺害するために約800万ドルを費やしている計算になり、米国の高度で高価な兵器体系が、イランの低コストな戦争手法に対して極めて非効率であることが露呈しています。

さらに重要なのは、イランによる法的アプローチと近隣諸国への反撃モデルです。イランは、植民地主義や人種差別的体制に抵抗する人々への武力援助を認める1974年の国連総会決議3314号を再発見し、自国への攻撃に基地を提供している周辺国への報復の正当性を主張しました。これにより、米軍基地を抱える湾岸諸国などは経済的麻痺に陥り、米国の安全保障能力に疑問を抱き始めています。もしこれらの産油国が、安全保障上の理由からドル以外の通貨で石油を販売し始めれば、国際的な炭化水素市場に支えられているドルの価値は崩壊しかねないとメイサン氏は警告しています。

この「イラン・モデル」は、中国の防衛戦略にも劇的な変化をもたらしました。中国人民解放軍は、米国の攻撃を受けた際の反撃対象を、台湾島内ではなくアジア太平洋地域の24の米軍基地へと振り向けるよう計画を修正したと伝えられています。

最後にメイサン氏は、米国が自らのプロパガンダを信じ込み、イラン国内の抗議活動や政権の脆弱性を過大評価したことが、今回の軍事的敗北と将来的な没落を招く一因になったと指摘しています。イランの抵抗は、ワシントンとの軍事衝突を予見するすべての国家にとって、力の均衡を再定義する革命的なモデルとなっているとしています。

中国・イランの地政学ゲーム

How Iran and China Shaped the War Chessboard - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】イランをめぐる紛争において、中国がどのように軍事・経済の両面で「盤面」を形作り、米国の覇権に挑戦しているかを分析した記事をご紹介します。この記事によると、中国は現在の状況を単なる外交問題ではなく、自国のテクノロジーと金融戦略を融合させた多層的な地政学ゲームと捉えています。

軍事面では、中国の技術がイランの防衛力を劇的に向上させました。イランの軍事ネットワークは中国の衛星測位システム「北斗(BeiDou)」と完全に接続されており、これがイラン製ミサイルの精密な命中精度と、米国・イスラエル連合による電波妨害への高い耐性を実現しています。さらに、中国から供与された長距離レーダーや、ロシアがウクライナ戦線で得た知見を活かしたドローンと弾道ミサイルの連携戦術により、イランの反撃能力はかつてないレベルに達しています。

経済面での動きはさらに戦略的です。世界の石油流通の要所であるホルムズ海峡において、イランは「人民元(ペットユアン)」で決済された貨物のみを通行させるという、実質的な「金融核兵器」とも言える措置を講じています。1974年以来、世界の石油取引を支配し、米国の債務を支えてきた「ペトロダラー(石油ドル)」体制に対し、中国とイランは真っ向から挑戦しています。現在、テヘランの原油輸出の約90%が人民元で決済されており、このモデルが他の「グローバル・サウス」諸国へ波及することが、ドルの予備通貨としての地位を揺るがす最大の脅威となっています。

中国は現在、第15次5カ年計画を通じて、デジタル経済やグリーンエネルギー、知的財産の拡充を一体のシステムとして進めています。これは単なる経済成長の目標ではなく、2030年、そして今世紀半ばまでを見据えた技術覇権への布石です。

記事は、中国が「囲碁」のような長期的な視点で、数年前からBRICSや上海協力機構、一帯一路といった多国間枠組みを構築し、忍耐強く盤面を整えてきたと指摘しています。現在、ホルムズ海峡という急所と人民元という武器を組み合わせることで、中国は決定的な一手を打とうとしています。自らの傲慢さゆえに泥沼に陥った米国に対し、合理的な計算に基づき盤面を支配する中国とイランの戦略が、国際秩序の根本的な変容を迫っています。

戦争を賭ける予測市場

Warriors’ Casino: The People Making A Killing Gambling On War [LINK]

【海外記事紹介】戦争や国際的な重大事件の行方を予測して賭ける「予測市場」が、いまや従来のスポーツ賭博を凌駕する規模に急成長している実態を、ライアン・ラブレース氏が報告しています。この記事によると、最近の米国によるイラン攻撃のタイミングをめぐる取引額は、世界最大の予測市場「ポリマーケット(Polymarket)」において5億2900万ドルを超え、同年のスーパーボウルへの賭け金額を大幅に上回りました。

予測市場は、群衆の知恵を活用して精度の高い予測を生み出す仕組みとされていますが、戦場や政治の現場で重大な動きがある直前に、匿名のアカウントが未来を正確に言い当てるような高額の賭けを行うパターンが繰り返されています。例えば、2月下旬のイラン攻撃の直前には、150以上のアカウントが的中する側に1000ドル以上を投じ、中には攻撃直前に6万ドルを投じて約50万ドルの利益を得たケースもありました。こうした動きに対し、業界の専門家からは「インサイダー取引」を疑う声や、人の死や紛争を賭けの対象にすることへの倫理的な懸念が示されています。

また、予測市場の判定基準となる情報が意図的に操作された疑いも浮上しています。あるシンクタンクが公開している戦況マップが一時的に誤って書き換えられ、それによって予測市場で巨額の配当が発生した事例も報告されました。こうした事態を受けて、イスラエルでは機密情報を利用して賭けを行ったとして軍の予備役らが起訴されており、米国でも議員らが政府職員による予測市場での取引を禁止する法案の準備を進めています。

一方で、ポリマーケットはデータ分析大手のパランティア(Palantir)と提携し、透明性と信頼性を高めるプラットフォームの開発に乗り出すなど、市場の拡大を続けています。かつて英国の将軍が独立戦争の勝利を賭けて敗北した歴史があるように、戦争を対象とした賭け自体は新しいものではありません。しかし、暗号資産とAI、そしてリアルタイムの情報が結びついた現代の「戦士たちのカジノ」は、国家の安全保障や倫理を揺るがす新たな火種となっています。

信条貫いたロスバード

Rothbard Never Abandoned His Principles | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】経済学者であり政治哲学者でもあったマレー・ロスバードの思想的整合性について論じた記事をご紹介します。ロスバードはその晩年、パレオ・コンサバティブ(旧保守主義)と提携し、南部連合の英雄たちを称えるなど、非常に議論を呼ぶ政治的立場をとりました。しかし、この記事は、それらが単なる逆張りや人気取りではなく、生涯を通じて一貫した自由の原則に基づいていたことを強調しています。

著者によれば、ロスバードの政治分析を単に「議論を呼ぶもの」として片付けるのは不十分です。彼の見解は常に、著書『自由の倫理学』で示された哲学的原則に根ざしていました。弟子のハンス・ヘルマン・ホッペ氏は、ロスバードが現実世界の政治問題を論じる際にも、自身の理論を忘れたり放棄したりすることはなかったと説明しています。例えば、アラン・グリーンスパンが体制にすり寄るために変節したのとは対照的に、ロスバードは家族ぐるみの付き合いがあった権威者に迎合することすら拒み、自らの信条を貫き通しました。

ロスバードの思想体系は、自然法や私有財産権、自己所有権といった「古くから継承されてきた真実」に基づいています。彼は自身の倫理学を、単なる学術的な断想ではなく、人間行動の性質に根ざした合理的で体系的な社会哲学として構築しました。ホッペ氏は、ロスバードを「体系的な思考家」と呼び、断片的で探究的な思考に留まったロバート・ノジックのような哲学者とは一線を画すと述べています。

物議を醸した「州の権利」の擁護についても、ロスバードの原則から説明が可能です。自由至上主義(リバタリアニズム)の観点からは、あらゆる国家は私有財産権を侵害する存在ですが、中央集権的な巨大国家はより多くの権利を侵害するため、より大きな脅威となります。したがって、次善の策として中央政府よりも地方政府を支持することは、彼の理論において論理的に整合性が取れた選択でした。

ロスバードは、ユーモアにあふれ「幸福な戦士」として知られましたが、その政治分析の裏には常に正義に関する根本的な原則がありました。この記事は、彼の政治的発言を理解するためには、まずその基礎となる「自然権の哲学」を真剣に検討する必要があると結論づけています。ロスバードが守り抜いたのは、政治的な利便性のために容易に捨て去るような単なる提案ではなく、何が道徳的に正当であるかを突き詰めた強固な信念体系だったのです。

サックス氏ら、中東和平案

Ending the Trump-Netanyahu War in the Middle East - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】コロンビア大学教授のジェフリー・サックス氏らが、中東で激化するイスラエル・米国とイランの紛争を終結させ、世界規模の経済破綻や第三次世界大戦への発展を防ぐための具体的な提言を執筆しました。この記事では、現在の衝突が単なる局地的な紛争ではなく、米国とイスラエルによる中東全域の覇権掌握や「大イスラエル」の建設を目指す長期的な計画の帰結であると分析されています。

著者らは、世界を破滅の淵から救うために、相互に関連する5つのステップからなる包括的な和平案を提示しています。第一に、米国とイスラエルは直ちに地域全体での軍事攻撃を停止して軍を撤退させ、それに応じてイランも報復攻撃を停止することです。第二に、トランプ政権下で破棄されたイラン核合意を復活させ、国際原子力機関による厳格な監視を再導入すると同時に、イランへの経済制裁を解除することです。第三に、世界の石油流通の要であるホルムズ海峡を再開し、イランと湾岸協力会議諸国が共同で安全を保証する枠組みを構築することです。第四に、パレスチナを国連の正式加盟国として認め、二国家解決を即座に実施することです。これにはイスラエルによる占領地からの撤退と、国連平和維持軍による両国の安全確保が含まれます。そして第五に、パレスチナ国家の承認を土台として、ハマスやヒズボラといった非国家武装組織の武装解除を国際的な監視下で実現することです。

サックス氏らは、現在のイスラエル政権の強硬な姿勢や米国の外交方針を鑑みると、この和平案の実現は容易ではないと認めています。しかし、エネルギー供給の遮断や世界経済の崩壊という壊滅的な事態を避けるためには、もはや西洋諸国以外の勢力による介入が不可欠であると説いています。具体的には、世界の人口の約半分、国内総生産の40%以上を占めるまでに成長したBRICS加盟国が緊急サミットを招集し、この和平の枠組みを国際社会に突きつけるべきだと提案しています。

米国やイスラエルの覇権主義がもたらすリスクに対し、国際法と国連憲章に立ち返ることで地域全体の主権と安全を取り戻すべきだという、世界的な識者による切実な提言となっています。

UBS、金2割高を予想

UBS Forecasts 20% Gain for Gold in 2026 Despite Recent Sideways Trading [LINK]

【海外記事紹介】スイスの金融大手UBSが、直近の金市場の動きを踏まえ、2026年中に金価格が現在から20%上昇するとの予測を発表しました。マイク・マハリー氏が執筆したこの記事では、最近の金価格が1オンスあたり5000ドルから5200ドルの範囲で横ばいに推移している現状と、今後の強気な見通しの根拠が詳しく解説されています。

記事によると、年初の売り浴びせやイランでの軍事作戦開始といった地政学的な変動があったものの、金価格は一定の範囲内に留まっています。UBSのアナリストは、これが過去の紛争時と同様のパターンであると指摘しています。歴史的に金は、紛争直後こそ安全資産として買われますが、その後の価格動向は地政学リスクそのものよりも、金融政策などのファンダメンタルズに左右される傾向があります。例えば2022年のロシア・ウクライナ紛争時も、当初は15%上昇したものの、その後の米連邦準備制度による利上げを受けて価格は下落しました。

しかし、UBSは短期的な停滞を超えた先にある、金の力強い上昇を確信しています。年末までに価格は5900ドルから6200ドルに達すると予測しており、その背景には根強い投資需要があります。実際に2月には世界全体で26トンの金がETFに積み増され、保有量は過去最高の4171トンに達しました。中央銀行による継続的な購入や、アジアでの所得向上に伴う宝飾品需要の構造的な成長も、価格を下支えする要因となっています。

さらにUBSは、金が「通貨の減価」や「財政赤字の拡大」、「経済減速」といった金融リスクに対する有力なヘッジ手段であると強調しています。現在の米国政府は膨大な債務問題を抱えており、紛争が長期化すればさらなる財政赤字の拡大と、それを補うための通貨供給量の増加を招きます。これは必然的にインフレを引き起こすシナリオですが、歴史的に金はインフレと正の相関関係にあり、資産を守るためのポートフォリオの分散先として非常に有効です。

今後の金融政策についても、UBSは追加の利下げを予想しています。インフレ圧力の緩和や連邦準備制度内の鳩派的な人員構成の変化により、9月末までに合計0.5%の利下げが行われる可能性が高いとしています。ドル安や実質金利の低下は、金価格にとって追い風となります。このように、地政学的混乱がもたらす広範な経済的影響と緩和的なマクロ環境が、2026年の金市場をさらなる高みへと押し上げるとUBSは結論づけています。

ドルからゴールドへ

Schiff on Global Gambit: Inflation Will Define the Next Crisis | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】経済評論家のピーター・シフ氏が、ポッドキャスト番組「グローバル・ギャンビット」に出演し、地政学リスクと経済危機の行方について語ったインタビューの内容をご紹介します。シフ氏は、イランでの紛争に伴う市場の反応や、深刻化するインフレの正体、そして住宅市場が直面している危機について自身の見解を詳しく述べています。

まず、シフ氏は紛争勃発直後の市場の動きは一時的なものであり、本質を見誤るべきではないと指摘しています。当初、安全資産としてドルが買われ、逆にそれまで最高値を更新し続けていた金価格が一時的に下落する場面がありました。しかし、金は1オンスあたり5000ドルの水準で踏みとどまっており、これが強力な下値支持線になると見ています。一方で株式市場の下落幅は現時点では限定的ですが、水面下ではより深刻なリスクが蓄積されていると分析しています。

シフ氏が最も懸念しているのは、現在進行形で強まっているインフレです。これは単に原油価格の上昇によるものではなく、より構造的な財政問題に起因しています。戦費の調達や停滞する経済の支え、さらには崩壊の危機に瀕している住宅市場の救済のために、政府は財政赤字を拡大させ、通貨の増刷を余儀なくされるためです。米国の住宅価格は過去最高水準の割高な状態にあり、全国的に少なくとも30%以上下落する可能性があるとシフ氏は予測しています。住宅は多額の負債の担保となっているため、この価格下落はそれ自体が大きな経済危機を引き起こす要因となります。

また、世界的な「脱ドル化」の動きについても言及しています。紛争による一時的なドル買いでその流れは停滞したものの、米国債から離脱する長期的な傾向はすぐに再開されると考えています。その際、ドルの代替手段として再び存在感を増すのが金です。各国が金を直接取引に用いるか、あるいは金に裏打ちされた新しい通貨を導入するかは別として、最終的には金が通貨に価値を与える役割を担うことになると述べています。

最後に、シフ氏は政治指導者の対応についても触れ、政府支出の削減や予算の均衡化といった、かつて掲げられた公約が果たされなかったことを批判的に振り返っています。本来行われるべきであった政府の縮小がなされなかったことで、現在の経済的な衝撃に対して米国は非常に脆弱な状態に置かれていると結論づけています。

ドル安、本番はこれから

Schiff on Triangle Investor: The Dollar is on the Decline | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】経済評論家のピーター・シフ氏が、投資情報番組「トライアングル・インベスター」に出演し、最新の経済状況について語ったインタビューの内容をご紹介します。この記事の中でシフ氏は、昨今の2.4%という消費者物価指数の数値を踏まえ、ドルの下落と貴金属需要の関係、政府債務の利払いコスト増大、仮想通貨の脆弱性、そして不動産市場の歪みについて分析しています。

シフ氏は、金価格の上昇を米国の財政状況や連邦準備制度、そしてドルの価値に対する信頼の低下の現れだと指摘しています。世界の中央銀行がドルから離脱し、その代替先として金を選択していることが、価格を押し上げる要因となっています。シフ氏は将来的に金価格が1オンスあたり1万ドルや2万ドルに達する可能性に言及していますが、それはドルの大幅な切り下げという文脈の中で起こることだと予測しています。これまでドルはスイスフランに対しては安値を更新したものの、他の通貨に対しては歴史的な安値には至っておらず、本格的なドル安はこれから進むという見方を示しています。

また、銀についても技術的な需要から注目すべきだとしています。特に人工知能などの開発に伴う工業用需要が急増している一方で、供給は限られており、高い価格設定が既存の所有者に売却を促すことでしか、新たな需要を満たす供給を確保できない状況にあると述べています。

米国の財政面に目を向けると、国債の利払いコストが急速に膨らんでいることに警鐘を鳴らしています。近いうちに利払い費用は社会保障費を上回る見通しであり、金利の上昇と既存債務の借り換えによって、この負担はさらに加速すると分析しています。一方、仮想通貨については、価値が新規の買い手に依存する脆弱な構造であり、需要が途絶えれば崩壊するリスクがあると見ています。

最後に、不動産市場についても、中央銀行による不自然な低金利が商業用不動産の価値を過大に評価させてきたと論じています。不動産価値は将来のキャッシュフローを金利で割り引いて算出されるため、低金利下では価値が高く見積もられますが、金利が正常化に向かえば、これまで膨らんだ資産価格の正当性は失われることになります。シフ氏は、これら全ての現象が、金利を人工的に低く抑えてきた政策の帰結であると締めくくっています。

2026-03-17

「無計画」が致命傷に

Is Having No War Plan Trump’s ‘Plan’? - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】トランプ大統領は「自分には予測不能な強さがある」と誇示していますが、ことイランとの戦争においては、その「計画のなさ」が致命的な隙となっている可能性があります。現在進行中の紛争において、米イスラエル連合の戦術と、イランが20年かけて準備してきた「非対称戦争」の構想が激突している実態を解説します。

米国とイスラエルが得意とするのは、圧倒的な制空権を利用した短期集中的な空爆で敵の司令部を壊滅させる「首取り作戦」です。実際に今回の開戦直後、ハメネイ師をはじめとするイラン指導部が殺害された際、トランプ氏は「最初の1時間で勝利した」と宣言しました。しかし、イラン側からすれば、これは想定内のシナリオに過ぎませんでした。イランは2003年のイラク戦争で米軍が軍事司令部を瞬時に無力化した様を徹底的に研究し、独自の防衛策「モザイク・ドメイン(モザイク教義)」を構築していたからです。

この教義の核心は、軍の指揮権を各地方の司令部に完全に分散化させることにあります。最高指導者が殺害された瞬間、あらかじめ設定された報復プランが自動的に発動し、各地方の司令官は自らの判断でミサイル発射や軍事行動を継続する権限を持ちます。つまり、中央を叩いても止めることができない「自動報復マシン」へと軍を変貌させたのです。さらに、イランは空軍力の劣勢を補うため、西欧諸国の面積に匹敵する広大な国土の地下深くに、弾道ミサイルやドローンを収容した「地下都市」を無数に建設し、上空からの監視や爆撃を無効化しています。

また、イランの戦略は「長期戦」に特化しています。欧米の軍隊や経済が短期決戦を前提としているのに対し、イランはあえて戦いを長引かせることで、相手側のロジスティクスと政治的忍耐を削り取る「3つの絞め技(スクイーズ)」を仕掛けています。

1. 補給の枯渇: 安価な旧式ドローンを大量に飛ばして、米軍の高価な迎撃ミサイルを消耗させる。
2. 経済的封鎖: ホルムズ海峡を封鎖し、西側諸国にエネルギー危機と市場の混乱を引き起こす。
3. 世論の動揺: 交渉や停戦を拒否し続けることで、米国内の厭戦気分とトランプ氏への不信感を高める。

トランプ氏の伝記作家マイケル・ウォルフ氏は、「彼に計画などない。その場しのぎのパフォーマンスで勝利を演出しているだけだ」と指摘しています。トランプ氏は勝利を宣言しましたが、イラン側は「戦いはまだ始まったばかりだ」と述べています。石油価格の暴騰や市場の暴落が現実味を帯びる中、出口戦略を持たない「計画なき勝利宣言」がいつまで維持できるのか、米国はかつてない試練に立たされています。

「戦場の英雄」の真実

Combat Envy and the Strange Case of American Warlord John McCain | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】戦場での英雄的な経験を捏造したり、過度に誇示したりする心理的傾向を、著者のチャールズ・ゴイエット氏は「コンバット・エンヴィ(実戦への羨望)」と呼んでいます。最新の著作から、この奇妙な心理がいかに米国の外交政策を歪め、好戦的な政治家を生み出す土壌となってきたかを分析した記事をご紹介します。

その象徴的な事例として挙げられているのが、故ジョン・マケイン上院議員と、彼を政界に送り出した有力な新聞発行人、デューク・タリー氏の関係です。マケイン氏は海軍の飛行士として捕虜経験を持つ本物の軍人でしたが、その政治姿勢は極めて攻撃的で、シリア、イラク、北朝鮮、そしてイランなど、数多くの国々への軍事介入や爆撃を叫び続けました。その姿は時に「ベルギーがサッカーで米国に勝ったから爆撃しろ」と風刺されるほど、際限のない主戦論者として知られていました。

このマケイン氏を1982年の連邦下院議員選挙で全面的にバックアップし、無名だった彼をスターに仕立て上げたのがタリー氏でした。二人は「軍人同士」として深い絆で結ばれ、タリー氏はマケイン氏の子供の代父(ゴッドファーザー)になるほどの親交を深めました。タリー氏は自身を「朝鮮戦争とベトナム戦争で100回以上の出撃経験を持つ空軍の英雄」であると周囲に語り、空軍の正装で勲章を胸にイベントに現れては、マケイン氏と戦場談義に花を咲かせていたのです。

しかし、マケイン氏の当選から3年後、衝撃的な事実が発覚します。タリー氏の輝かしい軍歴はすべて真っ赤な嘘でした。彼は軍に入隊したことさえなく、壁に飾られた表彰状も写真もすべて偽物だったのです。この「実戦への羨望」という病的な執着が、タリー氏を本物の軍人であるマケイン氏へと引き寄せ、熱狂的な支援へと駆り立てていました。本物の軍人であったマケイン氏が、長年の付き合いの中でタリー氏の幼稚な嘘を見抜けなかったはずはないと著者は指摘します。しかし、マケイン氏にとって彼は野心を叶えてくれる最大のスポンサーであり、二人の関係は互いの欠落を埋め合う共生関係にありました。

マケイン氏亡き後も、リンゼイ・グラハム議員のような後継者たちが、同様の好戦的な言説を振りかざしています。記事は、国家指導者やメディア関係者が抱えるこうした個人的なコンプレックスや心理的な欠陥が、検証されないまま世界の舞台で展開されることの危うさを警告しています。派手なパレードや軍歌によって「戦争の栄光」という神話が捏造され、国民が再び帝国主義的な殺戮へと駆り出される歴史を繰り返さないためには、こうした過去の欺瞞を忘却の彼方に追いやるべきではないと結んでいます。

ホワイトハウスの狂信者

God, Guns, and Christian Zealots in the White House | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】時の政府が若者を戦地に送り出す際、古来最も効果的に利用されてきたのが「宗教」という大義名分です。現在、トランプ政権下の米軍内部で、この「聖戦」の論理が公然と復活している実態を告発する記事をご紹介します。

軍の宗教的自由を守る団体(MRFF)には、全米50以上の軍施設から200件を超える苦情が寄せられています。その内容は、指揮官が部下に対し「イラン遠征は神の計画の一部である」と説き、トランプ大統領を「ハルマゲドンを引き起こすためにイエスに選ばれた存在」と位置づけるなど、兵士を聖書の預言を実現するための道具として扱う言動が常態化しているというものです。これは一部の過激な個人の問題ではありません。国防長官の腕には十字軍の合言葉である「神がそれを望まれる(デウス・ヴルト)」という刺青があり、ホワイトハウスでは自らを「使徒」や「預言者」と称する人々による祈祷式が定期的に行われています。

憲法が国教の樹立を禁じ、軍法が宗教の強要を禁じている米国において、これは明白な法への抵触です。ある下士官の報告によれば、出動待機中の部隊に対し、指揮官が「トランプはキリストの再臨を告げる火を灯すために選ばれた」と訓示したといいます。自由意志による礼拝ではなく、指揮権を持つ上官が、逃げ場のない兵士に対して特定の預言的物語を押し付けているのです。

こうした動きの背景には「新使徒改革(NAR)」と呼ばれるキリスト教ネットワークの存在があります。彼らは、政府、軍、教育、メディアなど社会の7つの領域をキリスト教徒が支配すべきであるという「セブン・マウンテン・マンデート(7つの山の権能)」という教義を掲げています。2024年の調査では、米国の福音派の約55%がこの枠組みを支持しており、政府を「聖書に従って占領・統治すべき領土」と見なす考えが急速に浸透しています。

リバタリアン(自由至上主義者)の視点から言えば、これは特定の宗教への攻撃ではなく、国家権力の肥大化に対する重大な警告です。国家が「神の名」を借りて行動し始めたとき、その決定は通常の監査や説明責任から切り離されてしまいます。「預言」を会計監査することはできず、「聖書の命令」を法廷で反対尋問することもできないからです。神格化された戦争には明確な勝利の条件も出口戦略も存在しなくなります。

イランは確かに政教一致の国ですが、それに対抗する側が軍事指揮官を通じて兵士に「君たちは聖書の預言の担い手だ」と説くのであれば、政教分離という憲法の原則は崩壊してしまいます。神のために戦っていると言われることは、兵士にとって名誉な昇進ではなく、彼らを戦地に送った政治家の責任を、責任を問えない「神」という存在に転嫁することに他なりません。この記事は、国家が法ではなく預言に従って動き始めたとき、自由な社会が直面する危うさを浮き彫りにしています。

米覇権の終焉?

An Iranian Toll-Gate on the Strait of Hormuz?, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動が開始されてから2週間余りが経過しました。当初、軍事予算で圧倒的な差があるこの戦いは、一方的な展開になると予想されていました。アメリカは過去数十年で最大規模の兵力をペルシャ湾周辺に集結させ、さらにイランの最高指導者や軍高官を会談の場を装った急襲で殺害するという、国家の「首取り」作戦を成功させたからです。主流メディアの多くは、この衝撃的な開戦によってアメリカの迅速かつ決定的な勝利を確信していました。

しかし、その後の数日間で戦況は驚くべき逆転を見せ始めました。軍事専門家の分析によれば、イランのドローンやミサイルによる反撃は予想を遥かに上回る精度と効果を発揮しています。中東全域にあるアメリカ軍基地は壊滅的な打撃を受け、特に高額な弾道ミサイル防衛システムであるパトリオットやイスラエルのアイアンドームは、イランのミサイルに対してほとんど無力であることが露呈しました。波状的に押し寄せる安価なイラン製ドローンが、数個しかない貴重なレーダー施設を破壊し、防衛網を「盲目」にしたのです。

さらに決定的なのは、イランによるホルムズ海峡の封鎖です。世界の石油・天然ガス供給の約20%を担うこの要衝が閉じられたことで、世界経済は1973年の石油ショックを上回る規模のエネルギー危機に直面しています。トランプ政権はイランが屈服するまで封鎖は起きないと楽観視していましたが、現実は正反対となりました。興味深い事実であることに、イランは同盟国である中国への石油輸出は継続しており、自国の輸出量はむしろ戦前より増加していると報じられています。これはアメリカにとって大きな屈辱となっています。

トランプ大統領は米海軍の艦隊を投入して、タンカーを護衛し海峡を強行突破する計画を表明しています。しかし専門家は、ミサイル基地やドローン拠点がひしめく険しい海岸線を持つホルムズ海峡への進入は、海軍にとって「自殺行為」になりかねないと警告しています。かつてペンタゴンが行った演習でも、イラン側が米空母を撃沈し、数日間で2万人の戦死者を出すという結果が出ていました。当時のイランより遥かに強力な兵器を手にした現在の彼らに対し、強行策をとればアメリカ海軍史上最大の敗北を喫する恐れがあります。

この紛争は単なる地域紛争に留まらず、米ドルの基軸通貨体制を支えてきた「ペトロダラー」システムの崩壊を招く可能性があります。長年、中東の産油国はアメリカの軍事的保護と引き換えに、石油をドルで販売し、その利益をアメリカの債券に再投資することで、膨大な債務を抱えるアメリカ経済を支えてきました。しかし、アメリカが保護すべきはずの中東諸国を守れず、逆に混乱を招いている現状は、世界各地でドル離れを加速させる要因となるでしょう。

今回の戦争は、アメリカによる一方的な軍事支配の終焉と、中東における勢力図の根本的な塗り替えを意味しているのかもしれません。トランプ大統領の強硬な姿勢とは裏腹に、現地の基地は破壊され、海軍も身動きが取れない状況にあります。エネルギー価格の暴騰や肥料供給の停止による世界的な飢餓の懸念も浮上しており、この「ホルムズ海峡の通行税」とも言える状況をイランが掌握したことが、アメリカの覇権にとって致命的な一撃となる可能性を、この記事は示唆しています。

スタグフレーションの再来

The Return Of Stagflation – The Felder Report [LINK]

【海外記事紹介】かつて1970年代に世界を苦しめたスタグフレーション、すなわち景気後退とインフレが同時に進行する現象が再び到来するという見方が、市場で広まりつつあります。米国の金融専門誌バロンズは、当時のスタグフレーションの根源は1964年の減税にあると指摘しています。当時はベトナム戦争の戦費や、グレート・ソサエティと呼ばれた大規模な社会福祉プログラムによって政府支出が増大していた時期でしたが、そのさなかに減税を行ったことが問題を引き起こしました。

ひるがえって近年の状況を見てみますと、社会プログラムのコストが急騰しているにもかかわらず、再び減税が実施されています。フォーチュン誌の報道によれば、もし米国政府が上場企業と同じ会計ルールで財務報告を義務付けられた場合、債務の対GDP比は現在の100%という水準ではなく、300%に近い数字になるとされています。こうした厳しい財政状況の中、現在は国際エネルギー機関が歴史上最大と呼ぶほどの石油供給の混乱に直面しています。

石油価格の上昇はインフレを招き、それは通常、金利の上昇を意味します。こうしたコスト増と金利負担の増加は、巨額の負債を抱えながら進められている現在のAI関連のインフラ整備にとって、決して好ましいものではありません。すでに多くの内部関係者の間では、AIバブルが崩壊した際の影響が議論されています。アトランティック誌は、AIブームが崩壊すれば、多くの企業が倒産し、人々が職を失うといった劇的な失敗が起こるだろうという専門家の見解を伝えています。

しかし、シリコンバレーでは、そうした犠牲は世界を永遠に変えるような持続的な企業が生まれるために支払うべき対価であるという考え方が一般的であるようです。約4分の1世紀前、ドットコム・バブルが崩壊した際と同様に、今後はバリュー株、いわゆる割安株が力強く復活する可能性があります。資産運用会社のGMOによる報告では、ディープ・バリュー株と呼ばれる極めて割安な銘柄は、市場全体や過去の歴史と比較しても、異例なほど安値で取引されています。

保守的な予測に基づいても、米国のディープ・バリュー株は市場の他の銘柄を50%以上上回るパフォーマンスを出す可能性があると分析されています。かつてのスタグフレーション期を彷彿とさせる財政やエネルギーの状況、そしてAIバブルへの懸念が重なる中で、投資の視点は再び企業の根源的な価値へと移りつつあるのかもしれません。

破滅に瀕する文明

Is Another Stone Age in the Making? | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】世界最強の軍事力を誇る米国が標的に対して包囲網を敷くとき、多くの人はその勝利を疑いません。しかし、現在の対イラン情勢を巡る米国の外交政策は、あまりに楽観的で危うい前提に立っています。この記事の著者は、トランプ大統領が孫子の兵法を理解し、脅しだけで敵を屈服させられると考えているのかもしれないとしつつも、実際に攻撃が開始された後の破滅的なシナリオに警鐘を鳴らしています。

米国が考慮すべき最大の懸念は、イランの背後にある大国の存在です。2025年にロシアとイランが締結したパートナーシップは、現在では中国をも含む3カ国の強固な協力枠組みへと発展しています。この合意は、軍事調整や外交戦略、経済協力において3カ国を一本化するものです。ウクライナで米国と代理戦争を続けてきたロシアや中国が、苦境に立たされたパートナーであるイランを支援する動機は十分にあります。統合参謀本部議長のダン・ケイン空軍大将も、空爆はあまりにリスクが高く、地域全体に報復の連鎖を招くと警告していますが、トランプ氏はこれを「フェイクニュース」として退けています。

著者は、ポール・クレイグ・ロバーツ氏の言葉を引用し、中東に対する米国民の認識が親イスラエル派のロビー活動によって歪められており、その無知が壊滅的な戦争を引き起こしかねないと指摘します。また、1821年にジョン・クインシー・アダムズが述べた「米国は破壊すべき怪物を求めて海外へ行くことはない」という演説を振り返り、現在の米国が自由の守護者から、支配と力を象徴する「帝国の王冠」を戴く世界的な独裁者へと変質してしまったことを嘆いています。

もし米国の攻撃に対してイランが反撃し、米国の軍艦や戦闘機が破壊されれば、事態は容易にエスカレートします。限定的な核攻撃すら選択肢に浮上する可能性があり、そうなれば2000発もの戦術核を保有するロシアや中国を巻き込んだ第三次世界大戦はもはや空想ではありません。ウクライナ情勢が不安定な中で、イスラエルの影響下にあるトランプ氏が突き進む道は、文明を石器時代へと逆戻りさせるような、人類にとって取り返しのつかない結末を招く危険性を孕んでいるのです。

ドハティ氏の功績

Losing Brian Doherty: Chronicler of Libertarian Weirdos, Burning Man, and Rothbard’s Vision [LINK]

【海外記事紹介】リバタリアン運動の歴史を克明に記録し続けてきた作家でありジャーナリストのブライアン・ドハティ氏が、サンフランシスコ湾沿いの公園での転落事故により、57歳で急逝しました。ダグ・フレンチ氏によるこの記事は、現代アメリカのリバタリアン運動の記念碑的著作『資本主義を求める急進派(Radicals For Capitalism)』をはじめ、多くの優れた著作を残したドハティ氏の功績を称え、その死を悼むものです。

ドハティ氏は、単なる記録者にとどまらず、バーニング・マンやアンダーグラウンド・コミック、暗号資産、そして現代のリバタリアン運動を創り出した「革新的な変わり者たち」に深い愛情を持って接し、その姿を生き生きと描き出しました。同僚のニック・ギレスピー氏は、彼自身もまた、彼が書いた人々と同じように風変わりで、気難しく、そして素晴らしい人物であったと回想しています。

特に、ドハティ氏がそのキャリアを通じて情熱を注いだのが、経済学者マレー・ロスバードの研究でした。彼はロスバードに直接会うことはありませんでしたが、膨大な未発表資料や書簡を調査し、「ロスバードこそが現代アメリカのリバタリアン運動そのものである」と結論づけました。ドハティ氏は、ロスバードの情熱的で、知的で、冷徹かつユーモアに溢れた洞察を、卓越した文章力で読者に伝え続けました。

亡くなる直前に発表された「マレー・ロスバード生誕100周年」と題された最後の寄稿の中でも、ドハティ氏はロスバードの影響力の大きさを強調しています。ノーベル賞経済学者のミルトン・フリードマンでさえ、数十年にわたりロスバードによる批判を気にかけ続けていたというエピソードは、その証左といえます。

ドハティ氏は、暴力的な干渉から解放され、自由市場の論理によって人間が互いに最善を尽くせる社会の実現というロスバードのビジョンを支持していました。この記事は、ドハティ氏が遺した高潔で活力に満ちた視点が、今後も世代を超えてリバタリアンたちに影響を与え、世界をより豊かで自由な場所に変えていく助けになるだろうと結んでいます。

今すぐ撤退を!

Just Get Out! Now! - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】元米連邦下院議員のロン・ポール氏は、トランプ大統領自身の声明や側近の発言、そして一連の報道から明らかになった事実として、米国が専門家の助言を完全に無視したまま、中東で大規模な戦争を開始したと厳しく批判しています。ホワイトハウスの報道官によれば、国務省や国防総省、国家安全保障会議などの専門機関は一切関与しておらず、大統領は「イランが攻撃してくるという予感があった」という理由だけで攻撃を決定しました。

その「予感」を補強したのは、イラン外相との交渉から帰国した大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏と友人のスティーブ・ウィトコフ氏でした。しかし、ポール氏が引用した報告によれば、両氏は核開発に関する基礎的な技術知識や歴史的経緯を致命的に誤解しており、イラン側の提案を大統領に誤って伝えたことで戦争を後押しした可能性が指摘されています。専門家が立ち会わない不正確な情報が決断の根拠となり、憲法上の責務を果たすべき連邦議会も機能せず、国民への十分な説明もないまま開戦に至ったとポール氏は憤りを見せています。

トランプ氏が掲げた「新たな戦争を始めない」という公約は空虚なものとなり、イランは事前の警告通りに域内の米軍基地への報復攻撃を断行し、ホルムズ海峡を封鎖しました。これにより石油価格は高騰し、世界経済と米ドルの価値は崩壊の危機に瀕しています。トランプ氏は3月上旬に「イランとの戦争に勝った」と早すぎる勝利宣言をしましたが、直後に封鎖された海峡を開放するため他国に艦船の派遣を懇願し、各国から拒絶されるという事態を招いています。

ポール氏は、この戦争ですでに多くの兵士が犠牲となり、数十億ドル相当の軍事設備が壊滅的な被害を受けたことは、米国史上最悪の軍事的大失敗の一つであると述べています。核兵器の使用という破滅的な選択肢を除けば、もはや有効な軍事手段は残されていません。唯一の現実的な選択肢は、かつてのベトナム戦争時と同様に「今すぐ撤退すること」だけです。中東の基地を放棄し、帝国的支配に終止符を打たなければ、状況はさらに悪化する一方であるとポール氏は強く警告しています。

米債務のブラックホール、拡大続く

U.S. Government Debt Black Hole Got Bigger in February [LINK]

【海外記事紹介】米国の連邦政府債務という巨大なブラックホールが、2026年2月もさらに拡大を続けています。国家債務が39兆ドルに迫る中、トランプ政権は先月だけで3075億ドルの財政赤字を計上しました。これにより、2026年度の予算赤字は、わずか5カ月間で1兆ドルを突破しています。オバマ政権下での年間最大赤字額が2009年の1.41兆ドルであったことを踏まえると、現在の赤字がいかに速いペースで積み上がっているかが分かります。

明るい材料を挙げれば、今年度の赤字額は関税収入の大幅な増加により、前年同期比で約12%減少しています。特に関税による収入は前年比で約294%という驚異的な伸びを見せ、累計1510億ドルに達しました。しかし、この増収傾向も長くは続かない可能性があります。関税収入はピーク時の月平均300億ドルから、2月には266億ドルへと減少に転じました。さらに、最高裁判所がトランプ氏による一方的な関税措置を違憲と判断したことが、今後の収入に追い打ちをかけると予測されています。

最大の問題は、連邦政府の支出が依然として制御不能な状態にあることです。先月の支出額は6206億ドルを超え、前年同期比で2.8%増加しました。政府効率化省(DOGE)の存在感や、教育省などの予算削減といった動きはあるものの、全体的な支出の勢いは止まっていません。昨年度の連邦政府支出は総額7兆ドルを超えており、1日あたりに換算すると192億ドルを消費している計算になります。さらに現在は戦争という新たな支出要因も加わっています。

こうした膨大な債務に伴う利息の支払いも、財政を圧迫する深刻な要因となっています。2月の利息支払い額は934億ドルに上り、今年度の累計は前年同期比8.8%増の5200億ドルとなりました。驚くべきことに、利息への支出はすでに国防費やメディケア(高齢者向け公的医療保険)を上回り、社会保障に次ぐ第2の支出項目へと成長しています。過去の低金利時代に発行された国債が次々と満期を迎え、より高い利回りの新債券に置き換わっているため、金利負担は今後も増大し続ける見通しです。

「支出削減」という言葉とは裏腹に、実態としては歳出の絶対額が増え続けている米国の財政状況は、極めて危うい均衡の上に立たされているといえます。

500枚の金貨の行方

A Comedy or a Tragedy? Treasure Hunter Freed from Prison [LINK]

【海外記事紹介】2年間の実刑判決を受けたはずの男性が、実際には10年間も投獄されていました。この物語の主人公であるトミー・トンプソン氏は、悲劇の犠牲者なのか、あるいは驚異的な自制心を持つ策略家なのか、その真実は誰にも分かりません。海洋工学を学んだトンプソン氏は、1857年に沈没した蒸気船「SSセントラル・アメリカ号」の捜索に乗り出し、1988年に大西洋の深海で大量の金貨や金塊を発見しました。当時回収された約3トンの金は、1億ドルから1億5000万ドルの価値があると推定されました。

この輝かしい成功の直後から、トンプソン氏の人生は法廷闘争へと一変します。投資家たちが利益の分配を求めて提訴したものの、彼は出廷を拒否して逃亡し、2015年に潜伏先のフロリダで逮捕されました。彼は出廷拒否の罪を認めましたが、問題は回収された金のうち、未だに行方が分からない500枚の金貨にありました。トンプソン氏は「金貨は信託に預けており、現在の所在は知らない」と主張し続けましたが、裁判所はこれを虚偽とみなし、彼を「法廷侮辱罪」で勾留しました。

法廷侮辱罪による勾留は、本人が情報の開示に協力するまで継続される性質を持っており、トンプソン氏の場合、この状態が異例の長期間に及びました。彼は2020年の法廷でも「金貨の行方は分からず、自分を自由にする鍵を持っていない」と訴えましたが、釈放が認められたのは2024年になってからのことでした。そこからさらに、本来の出廷拒否による2年間の刑期を終え、ようやく先週、彼は自由の身となりました。

10年以上もの歳月を刑務所で過ごしたトンプソン氏の物語が、喜劇か悲劇かを分けるのは、その500枚の金貨の行方です。もし彼が本当に所在を知らずに10年間を失ったのであれば、それは救いようのない悲劇です。しかし、もし彼が金の隠し場所を知りながら、釈放後の報酬のために10年間の沈黙を貫いたのだとすれば、それは彼がシステムに対して最後の大笑いを収めた、壮大な喜劇といえるのかもしれません。現在、その金貨には約250万ドルの価値があるといわれています。

2026-03-16

トランプ氏側近の戦争責任

Not so diplomatic: Witkoff, Kushner, and Trump’s march to war in Iran | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事紹介】米国とイランの間で戦火が上がった「壮絶な怒り」作戦の裏側で、トランプ大統領の側近であるスティーブ・ウィトコフ氏と、娘婿のジャレッド・クシュナー氏の言動が大きな議論を呼んでいます。イランとの交渉を任された外交特使であるウィトコフ氏は、外交官とは言い難い強硬な発言を繰り返しており、彼らが大統領に提供した誤解を招く助言が、米国を紛争へと押し流す決定的な要因になったとの疑惑が浮上しています。

報道によると、ウィトコフ氏とクシュナー氏は作戦開始直前、大統領に対して「イランは交渉を時間稼ぎに利用しているだけだ」と報告しました。しかし、交渉の仲介にあたったオマーンの外相や核軍縮の専門家たちは、これに強く反論しています。実際にはイラン側は、2015年の核合意を上回る大幅な譲歩を提示していたとされています。それにもかかわらず、両氏がイラン側の提案を拒絶し、交渉が決裂したと報告した背景には、彼らの専門知識の欠如があったのではないかと指摘されています。

専門家によれば、両氏はイランが医療用原子炉で低濃縮ウラニウムを使用することを「核兵器開発の兆候」と誤認していましたが、物理的にその原子炉で核爆弾を作ることは不可能でした。また、国際原子力機関(IAEA)や米情報機関も、イランが核兵器製造を追求していないとの結論を出していましたが、ウィトコフ氏はそれとは正反対の主張を公に展開しました。交渉に立ち会った第三者からは、ウィトコフ氏が事実を歪曲し、平和的な解決を意図的に妨害したのではないかという深刻な疑念も呈されています。

さらに、この両氏とイスラエルの極めて密接な関係も、不信感に拍車をかけています。ウィトコフ氏はネタニヤフ首相から贈られた特製ポケベルを愛用するほどの親イスラエル派であり、クシュナー氏もまた、幼少期からネタニヤフ氏と家族ぐるみの付き合いがある人物です。両氏は開戦前からイスラエル当局と連日連絡を取り合っており、現在はイスラエルと連携して対イラン戦争の調整役を担っていると報じられています。

交渉の参加者たちの間では、両氏の無能さ、あるいは意図的なサボタージュによって平和的な解決策が台無しにされたという認識が広がっています。米国が中東で再び泥沼の戦争に巻き込まれる中、両氏が果たした役割について、議会やメディアによる厳格な検証が求められています。

銃所有はなぜ必要か

We Need Our Guns - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】銃を所有する権利を巡る議論は、憲法修正第2条の解釈に焦点が当たりがちですが、より本質的な問題は、個人が自らの身体と正当に得た財産を守るという基本的な権利にあります。リバタリアンの視点に立てば、各個人は自分自身の所有者であり、その権利を守るために防衛手段を講じる権利を有しています。自由権があっても、それを武力で妨害する者を阻止する権利がなければ、その権利は無価値に等しいからです。

経済学者のマレー・ロスバードが指摘したように、銃やナイフ、あるいは棒といった物理的な物体そのものが攻撃性を持っているわけではありません。それらは、攻撃にも防衛にも、あるいは犯罪とは無関係な目的にも使用され得ます。特定の物体を禁止したり購入を制限したりするのではなく、法は実際の犯罪者を捕らえることに集中すべきです。銃の所有を制限しない地域の方が、制限の厳しい地域よりも犯罪率が低いというデータもあります。経済学者のジョン・ロットの研究によれば、銃は犯罪に使われるよりも自衛のために使われる頻度の方が高く、銃のない「ガンフリー・ゾーン」は犯罪を抑止するどころか、かえって犯罪者を引き寄せる傾向にあります。

また、銃の登録制度についても、その実効性には疑問が残ります。犯罪現場に銃が残されることは稀であり、残されていたとしても犯罪者が自分名義の銃を放置することはまずありません。カナダや米国のハワイ、シカゴなどの事例を見ても、登録制度が凶悪犯罪の解決に直接貢献した例はほとんど報告されていません。むしろ、膨大な警察の労働時間と多額の公金が、犯罪解決には繋がらない事務手続きに費やされているのが実態です。

歴史的な観点からも、銃の普及と暴力犯罪の減少には相関が見られます。歴史学者のジョイス・リー・マルコムの研究によれば、中世の英国は銃が普及していなかったにもかかわらず、現代の想像以上に暴力的で殺人率も高かったことが示されています。銃が普及し、個人の自衛の権利が確立されるにつれて、殺人率は急激に低下していきました。銃が豊富に存在した19世紀末の英国では、武装犯罪は過去最低水準に達していました。

このように、個人の権利保護と治安維持の両面において、銃を所有する権利を維持することは極めて重要です。自衛の手段を確保することは、個人の自由を守るための不可欠な要素であると言えます。

力は正義なり

'Might Makes Right' Declares Trump White House | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】ドナルド・トランプ大統領による一連の強硬な外交姿勢は、これまで米国の軍事介入に際して用いられてきた道徳的な口実を剥ぎ取り、その本質が「力は正義なり」という弱肉強食の論理であることを図らずも露呈させています。この記事の著者は、ベネズエラやイランに対する軍事行動、さらにはグリーンランドの併合への意欲といったトランプ氏の行動が、米国の帝国主義的な野心をかつてないほど明確に示していると分析しています。

過去の政権、例えば1991年の湾岸戦争以降、米国は軍事介入の際に「正義の戦い」という概念を掲げ、民主主義の普及や人道的危機の回避といった正当な理由を国民や国際社会に提示してきました。しかし、トランプ氏はこうした修辞をかなぐり捨て、ベネズエラへの介入目的が石油資源の支配にあると公言し、グリーンランドについても「我々には必要だ」という個人的な欲求に近い論理を押し通しています。これは、国際法や権利の概念ではなく、単なる「力」による支配の表明に他なりません。

著者は、スティーブン・ミラー大統領次席補佐官代行の「世界は力によって支配されている」という言葉を引用し、現在の政権がリアリズムを極端な形で追求していると指摘します。かつてオバマ政権下でドローン兵器が普及した際、軍事介入の「最後の手段」という原則が失われましたが、トランプ政権ではさらに「正当な権威」という制約すら無視されるようになりました。一国の選挙で選ばれた指導者が、他国の国民の運命を左右し、命を奪う権利を当然のごとく行使している現状に、強い警鐘を鳴らしています。

また、カナダやグリーンランドといった主権国家の併合を口にする背景には、軍需産業のロビー活動や、米国が動かなければロシアや中国が動くという「ドミノ理論」の再来があります。他国を独立した主体として認めず、自国の利益のために吸収すべき対象とみなす「アメーバのような」拡張主義は、第二次世界大戦後の国際秩序を根底から覆すものです。

「アメリカを再び偉大に」という運動が、今や異次元のレベルでの世界覇権の追求へと変質しており、著者はこれが最終的に世界大戦へと発展し、世界の境界線が塗り替えられる事態に陥るのではないかと危惧しています。他国の主権を否定し、大統領個人の「感情」や「感覚」で他国の指導者を排除する現在の米国の姿勢は、もはや道徳的な正当性を失った剥き出しの力による統治であると結論づけています。

スペインの反乱

The Iberian Rebellion Against NATO Imperialism | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月28日、米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦「壮絶な怒り作戦」が開始されました。多くのNATO加盟国が同調する中、スペインのペドロ・サンチェス政権は、自国内のモロン空軍基地とロタ海軍基地の使用を拒否するという、同盟内で異例の決断を下しました。サンチェス首相はこの作戦を、国際法を逸脱した不当で危険な軍事介入であると強く批判し、報復を恐れて自国の価値観や利益に反する行為に加担することはないと断言しました。

スペインのこうした独自路線は、歴史的な背景に根ざしています。かつてのフランコ政権はアラブ諸国との関係を重視し、1948年の建国から長らくイスラエルを国家として承認しませんでした。1986年にようやく外交関係を樹立した後も、パレスチナ問題に関しては一貫して批判的な立場を維持してきました。2023年10月のガザ紛争勃発後、その溝は決定的なものとなり、スペインは2024年にパレスチナを国家承認し、2025年にはイスラエルに対し武器禁輸や軍事契約の破棄を含む包括的な制裁を課しました。

今回の対イラン作戦への協力拒否に対し、米国のトランプ大統領は即座に反発し、スペインとの全貿易の中止を示唆するなど、経済的な圧力を強めています。しかし、サンチェス首相の姿勢は「地理的リアリズム」に基づいた冷静な戦略によるものです。首相は、スペインにとっての脅威はロシアがピレネー山脈を越えて侵攻してくることではないと明言しています。東欧や北欧の国々が直面する安全保障上の課題は、必ずしもスペインの課題とは一致しないという考えです。

この認識の差は、防衛予算にも表れています。スペインはNATOが掲げるGDP比5%という新たな国防費目標を拒否し、社会保障を優先する立場から2.1%に留める方針を維持しています。スペインの事例は、米国の普遍的な外交方針が、必ずしも全加盟国の地政学的・経済的利益と合致しないことを示しています。アラブ世界との歴史的絆や、米国とは異なる脅威認識を持つスペインは、西側の枠組みを完全に放棄することなく、自国の利益を最優先する多極化時代の先駆けとなっています。この「イベリアの反乱」は、単なる政治的ポーズではなく、遠く離れた超大国の思惑よりも自国の実利を重んじる、実利的な選択の結果であると言えます。

軍事化する北極圏

Militarization of the Arctic: A new arena for US imperial ambition in Cold War Two - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事紹介】 かつて国際的な科学調査の協力の場であった北極圏が、急速に軍事化の舞台へと変貌を遂げています。この記事は、トランプ大統領によるグリーンランド併合への意欲や、NATOの拡大、そして中国の商業的関心の高まりを背景に、この地域が「第二の冷戦」の最前線となった現状を分析しています。

トランプ氏は、グリーンランドを米国の影響圏とみなすモンロー主義の延長線上で捉えており、その豊富な鉱物資源と、中国の海上活動を制約できる戦略的要衝としての価値に注目しています。これはデンマークの主権やNATOの結束を揺るがす動きですが、米国の帝国的な野心の表れといえます。また、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟により、ロシアは北側から完全に包囲される形となりました。ロシアと中国の連携が強まる中で、対立の構図は明確化しています。

かつて北極圏の活動は、1920年のスバールバル条約に基づき、軍事利用を排除した学術調査が中心でした。現在、日本や韓国を含む45カ国が締約しており、これら非北極圏国も、気候変動の影響を理由に「近北極国家」としての関与を強めています。日本は2015年に北極政策を策定し、北極海航路の商業利用や資源開発を目指してノルウェーとの連携を深めています。一方、インドはロシアと協力してインフラ整備を進め、韓国は砕氷船建造の拠点として存在感を示しています。

しかし、最も重要なプレイヤーは米国、ロシア、中国の3カ国です。ロシアは北極海航路の支配権を強め、中国と共同で砕氷船の開発や海底ケーブルの敷設を進めています。中国は北極を「氷上のシルクロード」と位置づけ、独自の衛星測位システムを用いたデジタル化を推進しています。これに対し、米国は北極圏を自国の安全保障に直結する「西半球」の枠組みに取り込み、軍事的な優位を確立しようとしています。

2026年2月には、NATO加盟国である北極圏7カ国の軍事力を調整する「アークティック・セントリー」が発足しました。これにより、米国は加盟国の基地への自由なアクセスや兵器の配備が可能になります。ドローン技術などの新しい軍事技術の導入も検討されており、かつて平和的だった北極圏は、米国の野心と大国間の競争が激突する、軍事化された新たな対立の場へと変質しているのです。

独は米の属国か?

Germany a 'Vassal' of US? - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】ドイツのフリードリヒ・メルツ政権が、アメリカの「属国(ヴァッサル)」化しているとの批判が欧州内で高まっています。スペインのヨランダ・ディアス副首相は、メルツ首相がドイツをアメリカの従順な家来へと変えてしまったと厳しく批判しました。この論争の背景には、アメリカとスペインの間の外交危機があります。ドナルド・トランプ大統領は、スペインがアメリカによる対イラン戦争を非難し、自国領土を軍事作戦に使用することを禁止したことに対し、スペインへの制裁と貿易関係の断絶を表明しました。メルツ首相はこのトランプ氏の声明が出された際、まさにホワイトハウスの執務室で同大統領と会談していましたが、スペインへの脅しに対して公に反対することなく沈黙を守りました。

ディアス副首相は、このメルツ首相の不作為を「弱さと卑屈さの表れ」であると断じ、欧州が直面している歴史的な局面を管理する能力が欠けていると批判しました。欧州が必要としているのはリーダーシップであり、トランプ氏に敬意を払うだけの属国ではないという主張です。また、ドイツが経済的に極めて脆弱な立場にあり、技術、金融、エネルギーの面でアメリカに依存していることが、こうした弱腰な態度につながっていると指摘されています。ドイツは欧州連合の中でフランスと共に主導的な役割を果たそうとしていますが、加盟国であるスペインへの不当な制裁を前に沈黙することは、その指導力としての正当性を自ら損なう行為と言わざるを得ません。

しかし、記事によれば、こうしたドイツの態度は欧州連合の構造的な問題を反映したものであり、驚くべきことではありません。欧州連合は長年、防衛や主要技術、戦略的分野においてアメリカに従属しており、ドイツに至っては数十年にわたり米軍の軍事占領下にあります。メルツ首相がどれほど「強いドイツ」や「欧州のリーダー」というイメージを投影しようとしても、アメリカに対するドイツの構造的な弱さは隠しようがないのが現実です。

一方で、アメリカによるイランへの軍事行動を拒否したスペインの姿勢は政治的勇気として評価されています。これは、アメリカの中東政策に対する欧州内の不一致や疲弊の表れでもあります。ただし、スペインが真にアメリカからの独立を目指すのであれば、現在の欧州連合の枠組みに期待するのは間違いであるとも指摘されています。欧州連合全体がアメリカの属国的な性質を帯びている以上、ドイツに期待するのではなく、独自の道を模索すべきだというのがこの記事の主張です。一連の騒動で最も傷ついたのは、ブロックのリーダーとしてのイメージをさらに失墜させたメルツ政権下のドイツであることは間違いありません。

AIは雇用を奪わない

The Robot Won’t Take Your Job. The Government Might | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】人工知能(AI)の進化が人々の仕事を奪うという懸念が広がっていますが、歴史を振り返れば、私たちはかつての「ラッダイト運動」と同じ過ちを繰り返している可能性があります。1812年、イギリスの織物職人たちは機械が自分たちの仕事を奪うと信じて織機を打ち壊しました。確かに職としての手織りは消えましたが、労働は消滅したわけではありません。代わりに工場や鉄道、都市、そして当時の人々が想像もできなかった新たな産業が生まれ、雇用を吸収していきました。今日、AIがもたらす変化は当時の織機とは比較にならないほど大規模ですが、「恒久的な大量失業が起き、人間の経済的価値がなくなる」という結論は、過去と同じ誤解に基づいています。

19世紀の経済学者ジャン=バティスト・セーは、生産こそが購買力の源泉であると説きました。価値のあるものが生産されれば、それが所得を生み、他の商品への需要を作り出します。例えば、米国の農業従事者はかつての40%から現在は2%未満に減少しましたが、残りの38%の人々が失業したわけではありません。彼らはプログラマーや看護師、パイロットといった、かつては存在しなかった職に就きました。また、ATMが登場した際も銀行窓口係の雇用崩壊が予測されましたが、実際には運営コストの低下によって店舗数が増え、雇用はむしろ数十年にわたって増加しました。人間は、より高度な判断や対人交渉という価値の高い仕事へと移行したのです。

AIが人間に取って代わることができない決定的な要素は「責任」です。市場は単に知的な出力を取引する場所ではなく、責任の所在を割り当てる場所でもあります。外科医や弁護士、起業家は、自らの評判や資本、資格を賭けて判断を下し、失敗すればその代償を負います。AIには失うべき評判も資本もなく、結果に対して責任を負うことができません。この責任を伴う人間関係こそが、経済活動の根幹を支える価値として残り続けます。

真の脅威は自動化そのものではなく、政府による規制を通じた「独占」です。現在、大手IT企業は安全性を名目に、新規参入を阻むような複雑な規制やライセンス制度を構築しようとしています。これは「規制の虜」と呼ばれる現象で、公衆の安全を盾に競合他社を排除し、カルテルを形成する動きです。もし将来的に失業が起きるとすれば、それは機械が有能すぎるからではなく、規制によって人々が機械を自由に利用できなくなることが原因でしょう。私たちが求めるべきは、技術の制限ではなく、職業免許や住宅規制といった移動や適応を妨げる障壁の撤廃、そして誰もがAIを活用できるオープンソース化の促進です。脅威は機械ではなく、その周りに築かれる檻なのです。

ハーバーマス対ホッペ

Habermas, Hoppe’s Teacher and PhD Advisor, dies at 96 [LINK]

【海外記事紹介】ドイツを代表するネオ・マルクス主義の哲学者、ユルゲン・ハーバーマス氏が2026年3月14日、96歳で死去しました。ハーバーマス氏は、現代で最も影響力のある公的知識人の一人として知られていますが、リバタリアン(自由至上主義)の思想家として著名なハンス・ヘルマン・ホッペ氏の指導教授であったことでも知られています。ホッペ氏は1968年から1974年にかけて、フランクフルトのゲーテ大学でハーバーマス氏のもと、デヴィッド・ヒュームとイママヌエル・カントに関する博士論文を執筆しました。

当時、ホッペ氏は24歳で、時代の精神を反映して左派的な思想を持っていました。しかし、その後の知的成熟を経て、ホッペ氏はハーバーマス氏やフランクフルト学派の左派思想を離れ、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスのオーストリア学派経済学や、マレー・ロスバードのアナルコ・キャピタリズム(無政府資本主義)へと傾倒していきました。ホッペ氏は、ハーバーマス氏の教え子の中で最も有名でありながら、政治的には最も対極に位置する人物と見なされています。

ホッペ氏は、自身の重要な貢献である「議論の倫理学」を確立する際、ハーバーマス氏の「討議倫理学」の要素を一部参照していますが、そのつながりは限定的です。ホッペ氏によれば、学生時代にはハーバーマス氏の討議倫理学については詳しく知らず、むしろハーバーマス氏の友人であるカール・オットー・アーペルの見解や、ミーゼス、ロスバードの思想からより大きな影響を受けたといいます。ホッペ氏は、哲学的なトレーニングを与えてくれた師としてのハーバーマス氏には感謝しつつも、同氏がドイツの世論や政治に与えた影響については、リバタリアンの観点から「完全な災厄」であると厳しく批判しています。具体的には、ハーバーマス氏が社会民主主義や福祉国家主義、多文化主義、そして政治的中央集権化の「最高司祭」として機能し、ドイツ社会を左傾化させたと指摘しています。

ホッペ氏は後に、計画経済の非効率性を目の当たりにし、カント的理性的アプローチを通じて、経済学の法則が経験によって反論できない「先験的(アプリオリ)」な真理であることを発見しました。こうして、かつての師の思想からは完全に決別し、独自の自由社会の理論を構築するに至ったのです。

銀、一段高の舞台整う?

Silver’s Endgame: Almost Too Obvious [LINK]

【海外記事紹介】銀(シルバー)市場において、かつてないほど明白な投資の好機、いわゆる「絶好球」が到来しています。これまでニューヨークの商品取引所であるCOMEX(コメックス)では、銀行などの大手プレーヤーが価格操作を行い、銀の価格を不当に抑え込んできました。直近の2026年1月にも、証拠金を引き上げることで強制的な売りを誘発し、過去44年間で最悪の暴落を仕組んだばかりです。しかし、こうした紙の上での価格操作による支配は、物理的な現物供給の限界という壁に突き当たり、終焉を迎えようとしています。

現在、銀の市場では「ペーパーシルバー」と呼ばれる紙の上の請求権と、実際に引き渡し可能な現物の在庫との間に、絶望的なまでの乖離が生じています。具体的には、コメックスにおける現物配送の要求に対し、実際に保管されている銀の量はわずか7分の1程度に過ぎません。さらにデリバティブや上場投資信託なども含めた市場全体で見れば、現物1オンスに対して350倍もの紙の請求権が存在しているという分析もあります。これは「椅子取りゲーム」に例えるなら、音楽が止まった瞬間に座れる椅子がほとんど残っていない状態を意味します。実際に現物の引き出しは加速しており、2026年1月の配送申請は通常の40倍に達しました。このペースが続けば、今後90日以内にコメックスで現物の引き渡しが不可能になる「債務不履行」の状態に陥る可能性すらあります。

実需面でも銀の需給は逼迫しています。銀は工業需要が全体の60%を占め、太陽光パネルや軍事用ミサイルなど、現代社会に欠かせない用途を持っていますが、過去5年間で累計10億オンス近い供給不足に陥っています。さらに、主要産出国の輸出制限や、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇によるインフレ懸念も、通貨の代替資産としての銀の価値を押し上げる要因となっています。銀の供給の多くは他の金属採掘の副産物であり、需要が増えたからといってすぐに増産できるものではありません。このように、歴史的な供給不足、現物在庫の枯渇、そして高まる工業・通貨的需要が重なる現在の状況は、銀の価格が劇的に上昇するための舞台が整ったことを示しています。

ミレイ氏の暗号資産疑惑、500万ドル支払いの草案

Draft $5M Deal Linked to Milei’s Libra Promotion Found on Lobbyist’s Phone [LINK]

【海外記事紹介】アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が暗号資産「リブラ」の宣伝に関与したとされる疑惑で、新たな展開がありました。ロビイストのマウリシオ・ノヴェリ氏のスマートフォンに対するフォレンジック調査の結果、ミレイ大統領によるリブラ・トークンの宣伝に関連して、500万ドルの支払いを記した契約書の草案が見つかったと報じられています。

この文書は2025年2月11日に英語で作成されており、ミレイ大統領がXでリブラについて投稿するわずか3日前のものでした。草案には3段階の支払い構造が明記されており、まず前払いとして150万ドルの現金またはトークン、次にミレイ大統領が特定の人物を顧問として紹介する投稿を行うことで150万ドル、そして最終的にブロックチェーンやAIに関するコンサルティング契約を締結することで200万ドルを支払うという内容が含まれていました。ただし、この文書には資金の受取人が誰であるかは明記されていません。

この騒動の発端は2025年2月、ミレイ大統領がSNS上で特定の人物をブロックチェーンとAIのアドバイザーとして紹介したことにあります。この投稿を受けてリブラというミームコインの価格は一時急騰し、時価総額は40億ドルに達しましたが、わずか数時間で94%暴落しました。この急落によって約4万人の個人投資家が合計で約2億5000万ドルの損失を被ったとされています。当局の調査では、この騒動の直後に事態を沈静化させるための声明案もノヴェリ氏の端末から見つかっています。そのメモには、プロジェクトへの支持を表明しつつ金銭的な関与を否定し、疑惑を政治的ライバルによる攻撃と位置づける内容が記されていました。

ノヴェリ氏の通話記録からは、大統領が投稿を行う前後でミレイ大統領やその親族、さらに政府のアドバイザーと連絡を取り合っていたことも判明しています。このリブラの暴落を受けて野党議員からは大統領の弾劾を求める声も上がりましたが、ミレイ大統領自身は単に情報を広めただけであり、宣伝したわけではないと主張しています。

2026-03-15

米医療カルテルの病理

How Medical Licensing Serves Big Pharma at the Expense of Public Health | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカにおける医師免許制度が、実は公衆衛生の向上ではなく、製薬業界と結託した「医療カルテル」の利益保護のために機能していると指摘する論評をご紹介します。私たちは、免許制度が「ヤブ医者」から消費者を守るためのものだと信じ込まされていますが、著者はこの制度こそが高騰する医療費と、慢性疾患の増加という悲惨な健康状態の根本原因であると主張しています。

19世紀半ばまで、アメリカの医療は「自由取引」の状態にあり、多様な治療法が競い合うことでコストは低く抑えられ、乳児死亡率も世界最低水準でした。しかし、1847年に設立されたアメリカ医師会(AMA)は、自由市場での競争を避け、政府の強制力を利用して独占体制を築こうとしました。彼らは医学部の数を制限し、カリキュラムを統制することで、自分たちが認める標準治療以外の実践を排除していったのです。

この独占を決定づけたのが、1910年の「フレックスナー報告書」です。ロックフェラー財団やカーネギー財団の支援を受けたこの報告書は、医学教育を石油化学由来の医薬品を用いる手法に一本化し、代替療法を教える多くの学校を閉鎖に追い込みました。その結果、医学研究は製薬業界の利益に沿った「症状を薬で抑える」アプローチに偏り、根本的な原因に対処するホリスティックな視点が失われてしまいました。

また、医療カルテルは、20世紀の死亡率低下をワクチンや現代医学の功績だと宣伝していますが、統計データによれば、主要な感染症による死亡率は、ワクチンが普及するずっと前から、衛生環境や栄養状態の改善によって劇的に減少していました。著者は、現代の免許制度が、患者の健康よりも「体制が承認した標準」への準拠を優先しており、インフォームド・コンセント(説明を受けた上での同意)という基本的人権を侵害していると批判しています。

結論として、著者は医師免許制度の廃止を提言しています。教育や認定の基準は市場原理に任せれば十分に機能し、消費者は自らの判断で治療者を選択できるはずです。政府が医療を独占的に管理する現状を「がん」に例え、健康を取り戻すための唯一の治療法は、政府を医療ビジネスから完全に撤退させることだと締めくくっています。

文化マルクス主義の本質

Cultural Marxism Masquerading as True History | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカで現在進行している「文化マルクス主義」を巡る論争と、トランプ政権の対応について、保守的な視点から分析した論評をご紹介します。この記事の著者は、大学などの教育機関や文化施設を支配する勢力が、学問の自由や「真実の歴史」という美名の下で、実は過激な思想を学生に植え付けていると警鐘を鳴らしています。

トランプ政権は、こうした動きに対抗して「アメリカの歴史に真実と正気を取り戻す」と題した大統領令を出し、歴史修正主義的なプロジェクトを解体しようと試みました。しかし、記事の著者はこの戦略を「弱点がある」と指摘しています。なぜなら、歴史の再解釈自体は学問的に正当な行為であり、問題の本質は歴史論争ではなく、西洋文明の根幹を破壊しようとする文化マルクス主義という毒性のあるイデオロギーそのものにあるからです。大統領令が挙げた具体例には、スミソニアン博物館が「勤勉」や「核家族」を「白人文化」の特徴として批判的に扱うなど、アメリカの伝統的価値観を抑圧的なものとして描き出す傾向が含まれています。

文化マルクス主義を信奉する人々は、自分たちの活動を「歴史的な情報の提示」に過ぎないと主張し、批判を「陰謀論」として嘲笑します。しかし、彼らが過去の奴隷制などの負の側面にのみ焦点を当てるのは、客観的な分析のためではなく、先祖の仇を討つという報復の感情や、西洋文明の解体を目的としているためだと著者は断じます。その証拠として、彼らが歴史の正確さを重んじると言いながら、一方で各地の歴史的記念碑を破壊し、墓石までなぎ倒す破壊主義に走っている事実を挙げています。

歴史学者のクライド・ウィルソン氏は、これはもはや過去の解釈を巡る議論ではなく、自分たちの文化そのものに対する戦争であると述べています。文化マルクス主義のルーツは、フランクフルト学派やグラムシの思想、そして「批判的人種理論」へと明確に繋がっており、彼らの最終的な狙いは国家や地域の独自性を消し去り、新たな世界秩序を構築することにあります。

著者は、証拠を提示して彼らを説得できる段階はすでに過ぎていると強調します。歴史修正という仮面の裏に隠された、イデオロギーによる攻撃の本質を見抜く必要があると訴えています。この記事が描く米国の分断は、単なる歴史観の違いではなく、文化の存続をかけた深刻な対立であることを示唆しています。

国家を消去する

Deleting the State: Skoble’s Deleter | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの哲学者イオン・J・スコーブル教授が2026年に再版した著書『国家を消去する:幻想へのレクイエム』の内容について、日本の読者の皆様にその核心をご紹介します。著者は長年ブリッジウォーター州立大学で教鞭を執る分析哲学の権威であり、リバタリアニズム(自由至上主義)の立場から「最小国家」をも否定する稀有な視点を提示しています。

この記事の主な目的は、政治的権威の正当性を問う論理的な枠組みを検証することにあります。スコーブル教授は、人間にとって自由であることが善であるならば、強制力を伴う政治的権威は不当であるというシンプルな三段論法を提示します。ここで重要なのは、彼が否定しているのはあくまで「政治的」な権威であり、教師と生徒、あるいは親と子の間にあるような教育的・道徳的な権威までを否定しているわけではないという点です。

一般的な自由至上主義者の多くは、国家を「必要悪」として認めます。国家による強制や徴税は本来好ましくないものの、国家がなければ社会が崩壊し、無秩序に陥るという「ホッブズ的な恐怖」を抱いているからです。彼らは、人間が自分の生存のみを優先し、自発的な協力や分業が成立しなくなると考えています。しかし、スコーブル教授はこの恐怖こそが一種の幻想であると反論します。

教授が反論の根拠として挙げるのが、ゲーム理論における「囚人のジレンマ」の解釈です。国家が必要だと主張する人々は、人間が一度限りの取引では相手を裏切る方が得だと考え、信頼関係が築けないと想定します。これに対し、教授は現実の社会における人間関係は一度きりではなく、何度も繰り返される「反復ゲーム」であると指摘します。ロバート・アクセルロッドが提唱した「しっぺ返し戦略」などの研究や歴史的な事例を引くと、人間は繰り返し接する相手とは協調した方が長期的に利益を得られることを学び、国家の強制がなくても秩序を維持できる可能性が高いことが示されています。

記事の結びにおいて、スコーブル教授はこうした国家のない社会が「非現実的だ」という批判に対しても明確な答えを用意しています。現代において国家権力が拡大し続けているのは、それが「必要かつ適切である」という検証されていないイデオロギーを人々が受け入れているからに過ぎません。かつての「王権神授説」が市場の失敗や「黙示的同意」といった現代的な理論に形を変えて、国家の存在を正当化しているだけなのです。教授は、こうした既存の固定観念に挑戦し、真の自由を追求するプログラムこそが、現代において検討されるべき真実であると説いています。

蘭新政権、軍事化に意欲

New Government of the Netherlands Is a Poster Boy for Europe’s Thirst for War - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】オランダで2月に発足したイェッテン連立政権の方針は、欧州における軍事化への強い意欲を象徴しています。イェッテン首相率いる民主66、自由民主国民党、キリスト教民主同盟の3党によるこの少数与党政権は、連立合意において国防予算を現在の260億ドルから225億ドル上乗せしてほぼ倍増させるという、前例のない軍拡案を提示しました。これは国防支出を対GDP比で3.5%に引き上げることを目指すもので、この基準を法律で義務化する動きも見せています。

新政権の閣僚の顔ぶれも、こうした強硬な姿勢を反映しています。国防大臣にはルッテ前首相の後継者であるイェシルギョズ氏が就任し、外務大臣には欧州の防衛産業の重要性を説き、中国に対して厳しい姿勢を取るベレンゼン氏が起用されました。外交政策においては、国際法を重視すると標榜しながらも、米国による中東での軍事行動に理解を示すなど、米国の戦争遂行を支持する姿勢を鮮明にしています。

こうした軍備増強のしわ寄せは、国民の生活に直接及んでいます。国防予算を確保するため、ヘルスケアや社会支出で約196億ドルの削減が提案される一方、所得税などの増税が行われる見通しです。これによって、国民の平均的な購買力は年率0.4%以上低下すると試算されています。さらに、年金受給開始年齢を引き上げて71歳とする案や、外交官の削減、大使館の閉鎖といった外交機能の縮小も進められています。

深刻なのは、軍の要員確保に向けた強硬な動きです。政権は軍人を現在の1.5倍にあたる12万2000人に増やす計画ですが、国民の戦意は低く、政府は広報活動や王室を利用した宣伝に力を入れています。アマリア王女やマキシマ王妃が予備役として訓練に参加する姿を公開し、愛国心を煽る手法が取られています。また、女性を徴兵対象に含める法改正を静かに進め、17歳半からの若者の勧誘も強化しています。

記事は、国際法の守護者であり貿易と協力を重視してきたオランダが、国民の利益よりも軍事を優先する姿勢へ転換したと指摘しています。イェッテン政権は、現在の状況を「平和でもなければ戦争でもない」と定義し、志願者が集まらなければ強制的な徴兵制の再導入も排除しない構えを見せています。これは、オランダ一国に留まらず、欧州全体の優先事項が変質しつつあることを示唆しています。

イラン戦争の黒幕

The Iran War Whisperer: One U.S. Senator Has His Hands All Over This Conflict - Haaretz Today [LINK]

【海外記事紹介】サウスカロライナ州選出のリンゼー・グラム上院議員が、イラン戦争の舞台裏で事実上の「中東特使」として振る舞い、トランプ大統領とネタニヤフ首相の間に立って戦争のグランドデザインを描いています。かつてはトランプ氏の政敵だったグラム氏ですが、今や共和党内の介入主義派(タカ派)の筆頭として、長年の悲願であったイランへの軍事介入を実現させました。

グラム氏は、トランプ氏に「イランを再び偉大に(Make Iran Great Again)」と書かれた帽子を手渡したり、ネタニヤフ首相にトランプ氏への説得術を伝授したりするなど、開戦に至るプロセスを周到に調整してきました。彼の野心は単なる勝利に留まらず、戦争の先にある「利益」を見据えています。彼はテレビ番組で「現体制が崩壊すれば、新しい中東が誕生し、我々は巨額の利益を得るだろう。ベネズエラとイランだけで世界の石油埋蔵量の31%を占めており、これは中国にとっての悪夢であり、米国にとって素晴らしい投資だ」と露骨な本音を語っています。

また、グラム氏はSNSやメディアを通じて、同盟国に対しても「米国の戦争目的」に従うよう公然と圧力をかけています。サウジアラビアにはイランへの攻撃に加わるよう脅しをかけ、アラブ首長国連邦(UAE)には非協力的だと非難を浴びせ、さらにはレバノンへの戦火拡大まで促しています。イスラエルに対しては、戦後の新体制樹立に支障が出ないよう「燃料貯蔵庫への攻撃は慎重に」と注文をつけるなど、まるで自身が政権の中枢にいるかのような発言を繰り返しています。

これまでのグラム氏の言動は、孤立主義を掲げるトランプ氏を無理やり戦争へ引き戻そうとする「極端なタカ派の遠吠え」として片付けられてきました。しかし、現在の彼はトランプ政権内で絶大な影響力を持つ「戦争の設計者」の一人です。彼の言葉はもはや単なる一議員の意見ではなく、米国政府が進む危うい未来を予言するものとして、世界中が注視すべき事態となっています。

謎のカーグ島攻撃

Trump’s Kharg Island Fantasy… All Bark, No Bite - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】ドナルド・トランプ大統領はSNSへの投稿で、イランのカーグ島にある軍事施設を攻撃したと主張しましたが、元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏はこの主張を現実離れした「幻想」であると厳しく批判しています。トランプ氏は石油ターミナル自体は攻撃していないと認める一方で、島の防空システムを完全に破壊したと述べています。しかし、現地からの報告によれば、攻撃の1時間後にも島の防空活動が確認されており、大統領の主張は事実によって否定されています。また、イランのミサイル能力を完全に壊滅させたという主張も、48回にわたるイラン側からのミサイルやドローン攻撃が続いている現状とは明らかに矛盾しています。

カーグ島にはイランの主要な石油輸出ターミナルがありますが、調査会社ケプラーのデータによれば、イランは過去1ヶ月で島のタンクから石油を運び出す量を1.5倍に増やしており、攻撃を予期して備えていたことが伺えます。重要なのは、もしイランの石油インフラが実際に破壊されれば、イランはペルシャ湾沿岸のすべての国々の石油・ガス施設に対して同等の報復攻撃を行うと警告している点です。これには、世界最大の積み出し拠点であるサウジアラビアのラス・タヌラや、カタールの世界最大級の液化天然ガス施設などが含まれます。もしこれらの施設が炎上すれば、地域全体のエネルギー供給網は壊滅的な打撃を受けることになります。

今回の限定的な攻撃とその後の誇大な主張には、二通りの解釈が可能です。一つは、トランプ氏がイランを打倒したという虚偽の宣伝を行い、アメリカ国民に対して勝利を宣言することで、米軍撤退への足がかりにしようとしている可能性です。もう一つは、大統領自身が自らの嘘を真実だと信じ込み、こうした攻撃によってイランを屈服させられると本気で考えている可能性です。いずれにせよ、軍事的な実態と大統領の発言との間には深刻な乖離が生じています。

現実にはイランの石油インフラは無傷であり、最悪のシナリオである地域全体のエネルギー施設への連鎖的な攻撃は辛うじて回避されました。しかし、トランプ氏が現実を直視せず、不正確な情報に基づいて勝利を演出しようとする姿勢は、情勢をさらに不安定にする危険を孕んでいます。イランによる反撃が今も継続している中で、この紛争がどこへ向かうのか、冷静な見極めが求められています。

米外交政策、イスラエルが支配

Time to Pull the Plug On Trump and Netanyahu - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの外交政策がいかにイスラエルの利益に支配されているかは、ドナルド・トランプ大統領の就任1年目に行われた、イスラエルのネタニヤフ首相による7回もの訪米と、議会やメディアでの熱狂的な歓迎ぶりを見れば明らかです。ガザでの悲劇的な事態や、西岸地区、レバノン、シリアへの攻撃の責任者であるにもかかわらず、彼がこれほど手厚く迎えられる背景には、イスラエル・ロビーによる巨額の献金と、メディアを通じた世論操作があります。こうしたイスラエルによる米政治界の支配は超党派的なもので、ジョー・バイデン氏もトランプ氏も、武器と資金を提供し、国際連合などの場で政治的な盾となってイスラエルの行為を擁護し続けてきました。

最近のイランに対する軍事行動も、こうした力学の延長線上にあります。マルコ・ルビオ国務長官兼国家安全保障補佐官は、イスラエルがイランの破壊を最優先事項としており、もしアメリカが攻撃に加わらなければイスラエルが単独で実行すると主張したことが、開戦の決定打になったと明かしています。また、トランプ氏に近い親イスラエル派の顧問であるジャレッド・クシュナー氏やスティーブ・ウィトコフ氏が、核開発に関する根拠の薄い情報を提示して大統領を動かしたとも報じられています。これらは、イスラエルが自国の目的のためにアメリカを罠にかけた、いわゆる「ネズミ捕り」にかかったような状況を強く示唆しています。

ユダヤ系の資金によって腐敗したアメリカの政治家たちは、必要であれば常にイスラエルに資金を提供し、武器を与え、外交的に保護し、自国の兵士を投入して戦わせなければならないと受け入れています。オバマ元大統領が決定した10年間で380億ドルの支援枠も、その規模はさらに拡大される見込みです。トランプ氏は13日の朝にも、イランを激しく非難する投稿を行い、交渉による解決の道を自ら閉ざしています。こうした現状に対し、アメリカ国民の間では、多大なコストと兵士の命を犠牲にしながら自国に何の利益ももたらさないイスラエルとの関係を断ち切るべきだという声が広がりつつあります。

しかし、トランプ政権の内部では、この戦争を善と悪の最終決戦になぞらえる終末論的な言説さえ聞かれます。こうした「ギャング的な外交政策」は、道徳的にも財政的にもアメリカを破綻させています。より深刻な懸念は、核のボタンを握るトランプ氏とネタニヤフ氏の双方が、極めて無謀な行動をとる可能性があることです。イスラエルには、自国が危機に陥った際に敵対国だけでなく支援が不十分だった国々までも核攻撃の対象とする「サムソン・オプション」と呼ばれる教義があるとされています。このような「すべてを焼き尽くす」思考が、現在のアメリカの指導者にも共有されているのではないかという懸念が拭えません。

米クレジットカード消費が限界に?

After a Holiday Surge, Consumer Borrowing Slowed in January Signaling Continued Consumer Stress [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの消費者はクリスマス休暇中に多額の支出を行い、その多くをクレジットカード決済に頼りましたが、年明けとともにその勢いは急速に衰えています。米連邦準備理事会(FRB)が発表した最新データによると、2026年1月の消費者信用残高の伸びは前月比で大幅に鈍化し、年率換算で1.9%増の81億ドルにとどまりました。これにより、住宅ローンを除く消費者債務の総額は5.11兆ドルに達しています。この伸びの鈍化は、一見すると債務膨張に歯止めがかかった好ましい兆候のように見えますが、実態は消費者がクレジットカードの利用限度額に達し、支出を抑えざるを得なくなった可能性を示唆しています。個人消費に依存して辛うじて持ち堪えている現在のアメリカ経済にとって、これは非常に懸念すべき事態と言えます。

家計の苦境を裏付けるデータとして、大手会計事務所のKPMGは、リボ払いやカードローンの伸び悩みは「ますます困窮している」下位80%の世帯による借り入れと支出の減少を反映していると分析しています。現在、アメリカの全消費の約3分の2を上位20%の富裕層が占めており、インフレ調整後の実質ベースで見ると、残りの80%の世帯の支出は停滞しています。クレジットカードを中心とするリボ払い債務の伸びは、12月にはクリスマス支出の影響で過去2年で最大となる11.3%を記録しましたが、1月には4.3%へと急落しました。さらに、利息負担も重くのしかかっています。FRBによる利下げが実施された後も、クレジットカードの平均年利(APR)は19.58%と高止まりしており、一部では28%という高金利を課されているケースも見られます。

こうした経済的ストレスは、法的な指標にも顕著に現れています。民間の調査によると、2025年後半には自己破産に関する法的相談指数が前年同期比で15.6%上昇しました。このデータは実際の自己破産申請の先行指標として知られており、今後さらなる破綻の増加が予想されます。また、住宅の差し押さえに関する相談も前年比で15.0%増加しており、住宅コストの上昇に苦しむ家計の姿が浮き彫りになっています。ニューヨーク連銀のデータでも、2025年末時点で全債務の4.8%が何らかの延滞状態にあり、特に学生ローンの延滞率は9.6%と深刻な水準に達しています。クレジットカードの延滞については、これまで信用スコアが高かった層の間でも急増している点が特徴的です。

コロナ禍の給付金によって一時的に改善した家計の貯蓄は、その後の歴史的なインフレによって使い果たされ、多くの人々が生活を維持するためにクレジットカードに頼らざるを得なくなりました。1月の借り入れ鈍化は、消費者がついに「限界」に達したことを示している恐れがあります。消費者がこれ以上借金を重ねて買い物を続けることができなくなれば、アメリカ経済の先行きには一段と不透明感が漂うことになります。

金銀上昇の構造要因

Brien Lundin on the Future of Precious Metals [LINK]

【海外記事紹介】貴金属市場の権威であり、ジェファーソン・フィナンシャルの最高経営責任者であるブライアン・ランディン氏は、現在のゴールドとシルバーの市場を動かしている真の要因について、極めて冷静な分析を提示しています。2026年3月現在、イランを巡る地政学的な緊張により金価格は一時1オンス5400ドルまで急騰しましたが、ランディン氏は、こうした戦争のニュースによる価格変動は一時的なものに過ぎないと指摘します。短期的な投機家は危機の初期に市場へ押し寄せますが、騒動が沈静化すればすぐに去っていくからです。金を持つ真の理由は、歴史を通じて一貫しており、法定通貨の購買力低下に対する保護にあります。現在の金価格の上昇は、政府債務の増大や中央銀行による継続的な買い入れといった、長期的な通貨サイクルの末期症状を反映した構造的な動きなのです。

現在の金強気相場は約2年前から続いていますが、過去のサイクルと比較して大きな調整が少ないのが特徴です。その背景には、ドルの武器化を懸念する各国の中央銀行による戦略的な蓄積があります。また、ランディン氏は興味深い視点として、富をドルではなく金で測るべきだと説いています。2025年には主要な株価指数がドル建てで史上最高値を記録する一方で、金建てで見ると12年ぶりの安値を付けるという現象が起きました。これは富が増えたのではなく、ドルの価値が目減りしたことを意味します。金で換算すれば、現在の株価は1930年代から40年代と同水準であり、アイビーリーグの学費やハンバーガーの価格も、金建てでは数十年前からほとんど変わっていないか、むしろ安くなっています。金は価値の安定した基準であり、政府が通貨供給を増やす中で、通貨の側がその周囲を変動しているに過ぎません。

一方、シルバーについては独自の供給動向が注目されています。歴史上初めて、太陽光発電などの産業需要と投資需要が限られた在庫を奪い合う状況が生じています。長年の供給不足により地上在庫は激減しており、製造業者は供給を確保するために、投資家と競合しながら高い価格を支払わざるを得なくなっています。一部では、銀価格が1オンス125ドルから135ドルの範囲に達すれば、太陽光パネルの生産コストに影響が出始めると予測されています。

さらに、ウォール街の機関投資家が「通貨価値の下落」に備えた取引を本格化させている点も見逃せません。世界全体の投資可能資本は2008年の約3倍に膨れ上がっており、これら巨額の資金がポートフォリオのわずか1%でも貴金属に振り向ければ、市場規模の小さいこのセクターには莫大なインパクトを与えます。地政学的な混乱は表面的な変動に過ぎず、政府債務の膨張という深い経済的現実が、今後数年にわたる貴金属市場の強力な上昇を支える土台となっているのです。

エネルギー危機の足音

Running On Empty | Economic Prism [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月28日に開始された「壮絶な怒り」作戦による大規模な攻撃は、イラン政権の中枢に打撃を与えましたが、同時に中東に極めて深刻な地政学的不安定化をもたらし、世界経済の大動脈を遮断することとなりました。テヘランの惨状以上に文明の形を変えてしまうような真の破壊は、今、誰もいなくなったホルムズ海峡の航路で起きています。急騰する原油価格は経済活動減退の前兆であり、ガソリン代の上昇は、消費活動を行うすべての人々に対する逆進的な税金として機能します。燃料価格が跳ね上がりポンプが乾くとき、世界経済の土台そのものが崩壊するのです。

3月12日の時点で、カリフォルニア州のガソリン価格は1ガロンあたり5.36ドルに達しています。しかし、人間の生存という観点から計算すれば、この価格でも一生に一度の格安販売といえます。現代社会は、エネルギー生産性という、努力なしに手に入れた遺産に依存して生きてきました。石油という液体燃料がなければ、翌日配送の物流から、冬場に新鮮な野菜を食べること、中央冷暖房の使用に至るまで、現代のあらゆる利便性は維持不可能です。

エネルギーの価値を物理的な労働に換算すると、驚くべき格差が見えてきます。1ガロンのガソリンには約33.7キロワット時のエネルギーが含まれていますが、健康な人間が1日8時間の過酷な肉体労働で生み出せるのはわずか0.6キロワット時です。つまり、1ガロンのガソリンは、人間による56日分の重労働に相当します。時給20ドルの労働力でこれを賄おうとすれば、その価値は8960ドルに達し、エンジンの効率を考慮しても、人間がピストン運動と競合できるガソリンの適正価格は1ガロンあたり2240ドルとなります。私たちが車でコーヒーを買いに行く行為は、本来、一人の人間が2週間連続で車を押し続けるほどのエネルギーを消費しているのです。

ホルムズ海峡の封鎖は、単にガソリン代が高くなるだけでなく、世界が食料を確保できなくなることを意味します。世界の窒素・リン酸肥料の約30%がこの海峡を通過しており、北半球が春の種まき期という最も脆弱な時期を迎える中で、供給が途絶えています。天然ガスは尿素の主原料であり、これが不足すれば作物の収穫量は半分以下に落ち込むでしょう。現代の農業インフラは、化石燃料をカロリーに変換する仕組みそのものです。燃料が止まれば、地球が支えられる人口は数十億人単位で減少してしまいます。

G7や国際エネルギー機関は、戦略備蓄から最大4億バレルを放出する計画を立てており、一時的に原油価格は下落しました。しかし、ホルムズ海峡が閉鎖されたことで世界は1日あたり2000万バレルの不足に直面しています。4億バレルの備蓄を放出したとしても、その穴を埋められるのはわずか20日間、3週間足らずに過ぎません。さらに、備蓄の汲み上げ能力には物理的な限界があり、失われた流量を補うことは不可能です。もし作戦が3週間以内に終了しなければ、G7の備蓄は底をつきます。そのとき、1世紀以上にわたるエネルギーの豊かさが消失した後の、極めて厳しい現実が明らかになるでしょう。