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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-03-09

金取引ハブ巡り火花

Hong Kong, Singapore square off in race to become world’s gold trading hub | South China Morning Post [LINK]

【海外記事紹介】現在、アジアを代表する二つの金融都市、香港とシンガポールが、世界の金取引ハブの座を巡って激しい火花を散らしています。最新の報道によれば、両都市は地政学的な不確実性が高まり貴金属価格が急騰する中で、自国を世界的な取引拠点に押し上げようと、国家規模の戦略を加速させています。

シンガポール金融管理局(MAS)は、JPモルガンやUBSといった世界的なマーケットメイカーとの提携を視野に入れ、昨年から金市場の成長を支援する取り組みを強化していることを認めました。一方、香港も負けてはいません。2月25日に発表された政府予算案の中で、ポール・チャン財務長官は、税制優遇措置を盛り込みながら、香港を国際的な金取引ハブにする目標を改めて強調しました。香港金銀業貿易場(HKGX)のヘイウッド・チャン理事長は、中国本土との強力なコネクションこそが香港の「代替不可能な強み」であると指摘しています。中国は世界最大の金の生産国であり、かつ消費国でもあるため、人民元建てによる決済や本土との相互取引制度である「ゴールド・コネクト」の実現が、香港に圧倒的な優位性をもたらすという見解です。

インフラ面でも香港は具体的な計画を進めています。香港空港管理局は、金貯蔵庫の容量を1,000トン規模に拡大するプロジェクトを開始しました。さらに、今後3年以内に貯蔵能力を2,000トン以上にまで引き上げ、世界的に信頼される「金庫」としての地位を確立する方針です。同時に、今年中には政府系の中央清算機関による試験運用が始まる予定で、取引の透明性と効率性を高める仕組み作りが急ピッチで進んでいます。

これに対し、専門家からはシンガポールの先進的な姿勢を評価する声も上がっています。シンガポールは仮想通貨関連の金融商品において柔軟な姿勢を見せており、香港もトークン化された金(デジタル・ゴールド)などの革新的な分野で対抗していく必要があります。立法会議員のロバート・リー氏は、この競争を前向きに捉えており、アジア太平洋地域全体に金ビジネスを呼び込み、市場全体の成長につながると述べています。

世界の金市場の重心が欧米からアジアへとシフトする中で、香港の「中国本土との橋渡し役」としての機能がどこまで力を発揮するのか、今後の推移が注目されます。

アヒルのお腹から金の粒・中国

Chinese man discovers gold particles in duck’s stomach, weighing 10 grams, worth US$1,800 | South China Morning Post [LINK]

【海外記事紹介】中国内陸部の湖南省隆回県で、一人の男性が飼っていたアヒルをさばいたところ、その胃の中から本物の金の粒が発見されるという、まるで昔話のような出来事が報じられています。発見された金の粒は合計で約10グラムに達し、現在の価値で12,000元、日本円にして約27万円相当にのぼります。この驚きのニュースは中国のSNSで瞬く間に拡散され、1,000万回以上の再生数を記録するなど大きな注目を集めています。

発見者のリウさんによれば、アヒルは川の近くで放し飼いにされており、砂金が含まれる泥をエサと一緒に飲み込んだ可能性が高いとのことです。実はこの地域を流れる陳水という川は、1970年代から90年代にかけてゴールドラッシュに沸いた歴史があり、現在も川底に金が眠っていることで知られています。地元当局も、昨年同じ川で砂を洗っていた住民が10グラム以上の金を見つけた事例があるとして、アヒルの体内から金が見つかる可能性を否定していません。しかし、今回のような大量の金が一度に見つかるのは極めて稀なケースであり、専門機関による最終的な確認が進められています。

このニュースがこれほどまでに世間を賑わせている背景には、現代の中国社会における金への関心の高さがあります。経済的な不透明感が増す中で、中国の多くの家庭や若者たちの間で、金は最も信頼できる安全資産として再評価されています。会社員が金連動型の投資信託に資金を投じたり、若者が手頃な金製品を購入したりする動きが加速しており、アヒルの胃から金が見つかったというエピソードは、人々の「金への渇望」を象徴する出来事として受け止められています。

一方で、法的な観点からは複雑な問題も浮上しています。中国の法律では、地下資源や鉱物は国家に帰属すると定められているため、アヒルが飲み込んでいた金の所有権が誰にあるのか、当局も判断に苦慮しているようです。SNS上では「自分もその川で1,000羽のアヒルを飼いたい」といった冗談交じりの投稿が相次ぐ一方で、他のアヒルたちが金目当てに乱獲されるのではないかと心配する声も上がっています。

プライベートクレジットの崩壊

Recession Watch: Is Private Credit The New Subprime Mortgage? [LINK]

【海外記事紹介】現在、世界経済は中東での新たな紛争という事態に直面していますが、真に警戒すべきリスクは目に見える戦争そのものではなく、金融システムの深部で進行している「プライベート・クレジット」の崩壊であるとジョン・ルビノ氏が警鐘を鳴らしています。これまで安定していた原油価格が紛争の勃発によって急騰し、ガソリン価格の上昇が懸念される一方で、株式市場などは長期戦への懸念から軒並み下落しています。しかし、筆者はこれらよりも深刻な問題として、プライベート・エクイティやプライベート・クレジットと呼ばれる「影の銀行システム」の機能不全を挙げています。

具体的には、投資大手のブラックストーンが運営する旗艦ファンドにおいて、投資家による解約請求が急増しています。同社の820億ドル規模の信託基金では、通常の設定枠を超える約37億ドルの引き出し要求があり、これに対応するために会社側が異例の措置を講じる事態となりました。このニュースを受けて同社の株価は2年ぶりの安値を記録し、競合する他の投資運用会社の株価も連鎖的に下落しています。およそ2兆ドル規模にまで急速に膨れ上がったプライベート・クレジット業界は、資産価値の透明性の欠如や、一部の融資先企業の破綻などによって、投資家からの信頼を急速に失いつつあります。

こうした基金は、富裕層や個人投資家から資金を集めて中堅企業に融資を行う仕組みですが、専門家は現在の状況を、かつての不動産バブル崩壊時の前兆に似ていると指摘しています。実際に、プライベート・クレジット分野への資金流入は2026年には前年比で40%も減少すると予測されており、投資家がこの分野から一斉に逃げ出し始めている様子が伺えます。

現在の状況を総括すると、不透明なまま急速に拡大してきた金融システムの一部が今、音を立てて崩れ始めています。業界内では、さらなる隠れた問題が次々と露呈することを予感させる不穏な言葉が飛び交い、資本は出口を求めて殺到しています。どの銀行やヘッジファンドが、この劣化しつつある債権をどれほど抱え込んでいるのか、その全容は誰にも把握できていません。この記事は、かつてのサブプライム・ローン問題にも似たこの危機が、生命保険など庶民の身近な資産にまで波及する恐れがあることを示唆しています。

中国で金不足

Gold shortages in China - Research - Goldmoney [LINK]

【海外記事紹介】現在、中国の金市場で異例の事態が起きています。最新の報告によれば、中国最大手の中国工商銀行(ICBC)と中国農業銀行において、投資用の金地金が在庫切れになるという事態が発生しました。これは、不安定な国際情勢を背景に、中央銀行から個人投資家に至るまで現物資産への需要が極めて強まっていることを示しています。特に中国では、年間5兆ドルから6兆ドル規模に達する莫大な家計貯蓄の一部が、金の積立口座や地金購入へと一気に向かっており、銀行側がその需要を賄いきれなくなっているのが実情です。

貴金属市場全体に目を向けると、先週末のアメリカとイスラエルによるイランへの軍事行動を受け、市場では一時的に「安全資産としてのドル」を買う動きが強まりました。その結果、金と銀の価格は指標上で下落しましたが、これはあくまでペーパーアセット、つまり書類上の取引における現象に過ぎません。実態としては、価格が下がった隙に現物を確保しようとする動きが加速しています。特に銀については、上海市場での価格がロンドン市場に対して12%から14%もの高いプレミアム(上乗せ)で取引されており、世界中の保管庫から現物の銀が流出し続けています。ニューヨークのコメックス市場でも、引き渡し可能な銀の在庫が急減しており、市場の信頼性が揺らぐほどの危機的な状況にあります。

この背景には、中東での紛争が長期化するとの懸念があります。ホルムズ海峡の封鎖リスクによって原油や天然ガスの価格が急騰しており、これがさらなるインフレを招くとの見方が強まっています。かつてのロシアによるウクライナ侵攻時と同様に、エネルギー価格の上昇は債券や株式市場を不安定にし、結果として金や銀といった実物資産への逃避を促しています。投資家たちの関心は、もはや実体のない金融商品から、手元に置くことができる現物へと明確に移り変わっているのです。

現在の金・銀価格の下落は、現物を積み増したい人々にとっては絶好の機会と捉えられており、特に中国での旺盛な需要は止まる気配がありません。金融バブルの崩壊が懸念される中で、伝統的な安全資産である貴金属の希少性が改めて浮き彫りになっています。

共和党の変節

Rockwell Is Right Again: The Disaster of Republican Rule | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの政治情勢において、共和党が政権を握るたびに繰り返される変節と、その結果として招かれる経済的・政治的混乱について、自由主義の論客リュー・ロックウェルの洞察を引用しながら鋭く分析する記事をご紹介します。ロックウェル氏は、2000年にジョージ・W・ブッシュ氏が当選する前から、共和党政権の本質を見抜いていました。彼は当時、民主党政権が終わる解放感の一方で、また別の「政治の暗い夜」がやってくると警告していました。政権が代わっても、寄生的な支配層が入れ替わるだけで、権力の乱用や無駄な支出が繰り返されるという予測は、その後の歴史によって皮肉にも証明されることとなりました。

ブッシュ政権下の8年間、共和党は「小さな政府」という看板とは裏腹に、連邦政府の権限と支出を空前の規模で拡大させました。国土安全保障省や運輸保安庁を新設し、愛国者法を成立させたほか、莫大な戦費と人命を投じた二つの戦争を開始しました。さらに、2008年の世界金融危機に際しては、巨額の公的資金を投入した企業救済や量的緩和を行い、現在のインフレや経済的不平等の種をまいたのです。こうした共和党による政府拡大のツケは、その後のオバマ政権へと引き継がれ、民主党がその肥大化した権力構造を自らの支持層のために利用するという悪循環を生み出しました。

そして現在、再び共和党が政権を握っていますが、状況は以前にも増して深刻です。共和党は現在、アメリカへの直接的な脅威がない国での新たな戦争を正当化しようとしており、地上軍の派遣を求める声さえ上がっています。記事によれば、共和党は特定の利害関係者のために、エネルギー価格の上昇や国民の生活コスト増大、さらには米兵の犠牲をも厭わない姿勢を見せています。財政面でも、トランプ政権の1期目と2期目を通じて連邦債務は膨れ上がり、過去最大級の財政赤字を記録していますが、もはや支出を抑制しようとする姿勢すら見られません。

結局のところ、共和党が野党の時には「憲法遵守」や「自由市場」を訴えますが、いざ政権に就けば、軍事・福祉国家の拡大に全力を注ぐのが常態化しています。このような共和党の統治スタイルは、次なる民主党政権に対して、史上最強の権力装置を明け渡す準備をしているに等しいと記事は指摘します。選挙が近づけば、彼らは再び「限定的な政府」を掲げて有権者を欺こうとするでしょうが、その言葉と行動の乖離を冷静に見極める必要があると結んでいます。

学校・病院を攻撃

'Punching them while they're down': US & Israel bomb Iran's schools & hospitals, with 'no stupid rules of engagement' - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事紹介】現在、イランではアメリカとイスラエルによる軍事行動が激化しており、その実態についてベン・ノートン氏が報告しています。この報告によると、両国はイランの国家を破壊するだけでなく、社会そのものを崩壊させることを目的に、学校や病院、住宅地といった民間施設を意図的に攻撃しているといいます。アメリカのピート・ヘグセス国防長官は3月4日の記者会見で、この戦略を「弱っている相手を叩いているのであり、それこそがあるべき姿だ」と述べ、空からの攻撃を24時間体制で継続していることを明らかにしました。「エピック・フューリー作戦」と名付けられたこの軍事行動では、開始から4日間で、2003年のイラク侵攻時の2倍に及ぶ航空戦力が投入されたと報じられています。ヘグセス長官は、国際機関の主張に関わらず、史上最も殺傷能力の高い空爆を展開していると強調し、交戦規定に縛られずに民間地域を標的にしていることを認めています。

具体的な被害状況について、世界保健機関やユニセフの報告によれば、2月28日の開戦からわずか1週間で、少なくとも13の医療施設と20の学校が爆撃されました。さらに、淡水化プラントが破壊されたことで多くの村々が水不足に陥り、犠牲者は1,300人を超え、その3割を子供が占めているとされています。特に南部ミナブの小学校への攻撃では、生存者がいないことを期すために40分間隔で2度の爆撃が行われ、児童168人と教師14人が命を落としたことが確認されています。イスラエル側の意図についても、フィナンシャル・タイムズ紙は、イランの指導者層を組織的に排除し、統治不能な混沌状態に陥れる計画であると伝えています。元情報当局者は、政権の柱をすべて破壊し、内戦や社会不安を引き起こすことが狙いであり、イランの将来の安定には関心がないと語っています。

こうした軍事行動に対し、法的な専門家からは国際法違反であるとの指摘が相次いでいます。ユネスコは学校への攻撃を重大な人道法違反と批判し、スタンフォード大学の専門家も、差し迫った脅威がない中での「先制攻撃」は自衛権の範囲を超えており、違法であるとの見解を示しました。また、戦争の口実とされたイランの核兵器開発についても、国際原子力機関のラファエル・グロッシ事務局長は、組織的な核兵器製造計画を示す情報は存在しないと明言し、アメリカ側の主張を否定しています。記事は、この戦争が虚偽の情報に基づいて強行され、パレスチナのガザ地区で見られたような壊滅的な被害をイラン社会にもたらそうとしている現状を伝えています。

2026-03-08

草原の道、ユーラシア激動の震源地

【グローバルヒストリーを読む】古来、ユーラシア大陸の東西全体をつなぐネットワークは三つの道で構成されていた。一つは前回取り上げた「オアシスの道(シルクロード)」で、中央アジアの砂漠地帯を越え、ラクダなどの隊商交易によってつながっていた。もう一つはインド洋と南シナ海を結ぶ「海の道」で、港市国家によって結びつけられていった。そしてもう一つが、ユーラシア北部に広がる「草原の道」で、騎馬遊牧民の世界である。今回はこの草原の道にスポットを当てよう。


草原の道とは、モンゴル高原から西へカザフ高原、アラル海、カスピ海の北方を通って黒海北岸に達するルートを指す。この広大な草原地帯は、騎馬遊牧民の活動舞台であり、スキタイや匈奴(きょうど)をはじめとして、様々な遊牧国家が興亡した。

これらの遊牧民は、騎馬による高い機動性を持っており、すでにスキタイの時代に、草原地帯の東西を通じて共通の特色を持つ武器や馬具が見られることから、活発な交流があったとみられる。遊牧民は、オアシス諸都市などを軍事的に保護し、代わりに税を徴収するという方法を取ることが多かった。

紀元後4世紀から5世紀は、草原地帯を震源地として世界史が大変動した時期であった。寒冷化などの気候変動を背景に、遊牧民の移動が活発化する。東部では、鮮卑(せんぴ)などが中国の農耕地帯に侵入した。西部では、東部から移動してきたフン人(匈奴の一部とされる)がヨーロッパに侵入し、民族大移動を引き起こした。

その後、草原地帯ではトルコ系民族が優勢となり、東部では突厥(とっけつ)やウイグルの大帝国が成立した。10世紀以降は、トルコ系民族の西方への進出が顕著となり、この地がトルキスタン(トルコ人の地域)と呼ばれるようになった。13世紀には、モンゴルがユーラシア大陸をまたぐ大帝国を作り上げた。

ここから、遊牧民とアジアの諸国家との関係を見ていこう。

紀元前4世紀ごろから、草原の道をゆく騎馬遊牧民の活動が活発になり、モンゴル高原南部に匈奴などが登場する。これらの勢力のうち最初の覇者となったのが匈奴である。紀元前3世紀末、卓越した指導者、冒頓単于(ぼくとつぜんう)に率いられて強大となった匈奴は、東の大興安嶺からオアシス地帯までを統一する大帝国を築いた。

折しも中華帝国を統一した前漢の高祖劉邦は、匈奴帝国の急速な拡大を抑えようと出兵するが、前200年に大敗を喫した。以後70年間にわたり、前漢は匈奴に貢納を支払うという屈辱的な和親策を取らされることになった。歴史学者・北村厚氏(『教養のグローバル・ヒストリー』)の指摘によれば、漢帝国は匈奴の事実上の従属下におかれたと述べる高校世界史の教科書もあるほどである。

その後中央集権化を完成させた前漢は、前141年に即位した武帝が、ついに匈奴に対する従属関係を打破しようと行動を起こした。

外交面では、匈奴を挟み撃ちにする同盟を築くため、張騫を大月氏や烏孫(うそん)に派遣した。また、朝鮮半島にあった衛氏朝鮮を滅ぼし、楽浪郡など四郡を置き、東方への外交の窓口とした。

軍事面では、衛青や霍去病に命じてたびたび匈奴と戦争を行い、甘粛地方を奪って敦煌郡など四郡を設置した。さらにフェルガナ地方の大宛(だいえん)を打ち破り、汗血馬を獲得するなど成果を上げた。

こうして匈奴はオアシスの道から駆逐され、北方に追いやられた。東西交易の利益を失った匈奴は急速に衰退し、まもなく東西に分裂する。紀元前1世紀、オアシスの道の東半分の覇権は、匈奴から漢帝国へと移行したのである。

4~5世紀にユーラシア大陸で起こった民族大移動は、日本(当時の倭国・ヤマト王権)にも大きな影響を及ぼした。

朝鮮半島での戦乱から逃れた人々や、百済などの同盟国から送られた技術者たちは「渡来人」と呼ばれ、日本の発展に不可欠な役割を果たした。彼らによって急速な技術革新が起きたのである。

まず、馬文化だ。それまで日本にいなかった馬に乗る風習、飼育技術、馬具が伝わった。古墳時代中期以降の前方後円墳から出土する馬具の副葬品にその影響が見られる。また、大陸の騎馬民族が使用していた鉄製のよろいや武器が大量に生産されるようになった。さらに、漢字の使用が本格化し、後の歴史書編纂や律令制度の導入の基礎となった。

この時期の急激な変化を説明するために、かつて東洋史学者の江上波夫氏によって「騎馬民族征服王朝説」が提唱された。現在では主流の説ではないが、東アジアにおける民族の移動と文化交流が、古代日本の国家形成に与えた影響の大きさは議論の余地がない。

晩年を横浜市で過ごした江上氏が同市に寄贈した資料をもとに開設された「横浜ユーラシア文化館」はホームページで、「ユーラシアという一続きの広大な世界で様々な民族が接し合い影響し合って多様な文化を形成してきました」と指摘している。

草原の道を震源地とするユーラシアの激動は、結果として日本列島に技術革新と先進文化をもたらし、ヤマト王権の軍事力や経済力、文化水準を一気に高めた。古代日本の骨格を形作ったと言えよう。

プライベートクレジットに動揺

Hal Turner Radio Show - BlackRock LIMITING WITHDRAWALS From High-End "HLEND" Private Credit Fund [LINK]

【海外記事紹介】世界最大の資産運用会社であるブラックロックが、同社の旗艦ファンドの一つであるプライベート・クレジット・ファンド「HLEND」において、投資家による資金の引き出しを制限し始めたことが明らかになりました。世界で最も影響力を持つ資産運用会社が顧客に対して現金の返還を制限するという事態は、これまでになかった異例の出来事です。この決定を受け、一部の投資家の間ではかつてのエンロン事件を連想する声も上がるなど、動揺が広がっています。今回の制限の背景には、2兆ドル規模に達するプライベート・クレジット業界全体への懸念が強まる中で、解約請求が急増したことがあります。今年の第1四半期には、純資産価値の9.3パーセントに相当する12億ドルの解約請求が殺到しました。これに対しブラックロックは、ファンドの規定に基づき、支払額を純資産の5パーセントである6億2000万ドルに制限する措置を講じています。

このニュースに加えて、米国の雇用統計が予想を下回ったことや、中東情勢の緊迫化に伴う市場全体の売りが重なり、ニューヨーク証券取引所におけるブラックロックの株価は6.7パーセント下落しました。しかし、資金流出に直面しているのはブラックロックだけではありません。同様のファンドを運営するブラックストーンでも、過去最高となる7.9パーセントの解約請求が発生しました。ブラックストーンは需要に応じるため、引き出し枠の上限を引き上げた上で、4億ドルの自己資金を注入せざるを得ない状況に追い込まれました。また、ブルー・アウルにいたっては解約への対応を完全に停止し、代わりに借用証書を交付するという極めて厳しい対応をとっています。

プライベート・クレジット・ファンドは、流動性の低いローン、つまりすぐには売却できない債権に投資しています。そのため、多くの投資家が一斉に解約を求めた場合、支払いに充てるための十分な現金を確保できなくなります。ブラックロックは直近でも、3カ月前まで全額の価値があると評価されていた2500万ドルのローンを、一夜にして価値ゼロとみなして減損処理を行いました。こうした不透明さやレバレッジの高さに対し、JPモルガンのビル・アイゲン氏は、悪いニュースは一度に重なってやってくるものだと警鐘を鳴らしています。1.8兆ドルから2兆ドル規模の巨大市場は今、原油価格の上昇や中東での紛争、さらにはAI技術の普及による既存ソフトウェア企業の衰退、そして利下げ期待の後退といった複数の逆風にさらされています。世界最大級のファンドが投資家に対して返金を拒み始めた事態は、市場全体に対する重大な警告と言えます。

イランの罠戦略?

Step into My Parlor - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】軍事・技術アナリストのウィリアム・シュライバー氏が、イラン戦争における米軍の弾薬備蓄の限界と、今後の戦況が迎える「危険な転換点」について独自の視点から分析しています。

シュライバー氏は、米国とイスラエルがイランを圧倒し、無条件降伏の直前にあるという「ハリウッド映画のような物語」に対し、冷徹な実数(在庫数)を突きつけて異を唱えます。

現在、米軍の長距離精密誘導兵器(トマホークやJASSMなど)の在庫は危機的な水準に達していると氏は指摘します。推定されるトマホークの有効在庫は2,000〜2,500発、JASSMは約3,000発程度であり、合計5,000発ほどの亜音速巡航ミサイルでは、イランを完全に制圧しつつ、ロシアや中国といった他地域での紛争に備えるには到底足りません。

このため、米軍は貴重なミサイルを温存するために、より安価で射程の短い滑空爆弾(JDAM等)の使用へと切り替えざるを得ない局面(転換点)に差し掛かっています。

しかし、滑空爆弾を投下するためには、航空機が標的から40海里(約74km)以内に接近する必要があります。これは、イラン側の対空防衛システムの「射程圏内」に飛び込むことを意味します。氏は、イランがこれまで防衛システムを温存してきたのは、米軍機が自ら射程内に踏み込んでくるこの瞬間を待ち構えていたため(「クモの巣に誘い込む」戦略)ではないかと推測しています。

もし米国がステルス機(B-2、F-22、F-35)や非ステルス機を投入して短距離攻撃を試みれば、イランの防衛網によって撃墜される機体が出てくることは避けられません。その時、米軍は「制空権を完全に握っている」という前提が崩れ、さらなる深刻な危機に直面することになると警告しています。

不純な聖戦

The Trump-Netanyahu Iran Crusade - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】国際的なコラムニストであるエリック・マルゴリス氏が、トランプ政権によるイラン攻撃の背後にある動機を「司法からの逃避」と「イスラエルへの同調」という2つの視点から鋭く批判しています。

マルゴリス氏は、今回の戦争が開始された第一の理由として、今秋の連邦議会選挙に向けたトランプ氏の「国内的な苦境」を挙げています。世論調査で民主党の圧勝が予想される中、トランプ氏は議会の支配権を失えば数々の刑事訴追に直面するリスクがあります。今回の巨大な軍事行動は、依然として燻り続けるジェフリー・エプスタインのスキャンダルから国民の目を逸らすための「目くらまし」であると氏は分析しています。

第二の理由は、トランプ氏とイスラエルのネタニヤフ首相との密接な相互依存関係です。ネタニヤフ氏もまた、自身の汚職疑惑による公判を回避するためにガザ紛争を継続させる必要があり、両リーダーにとって「戦争」は司法や有権者の審判を避けるための唯一の手段となっていると指摘します。さらに、イスラエルを支持する米国内の強力な資金源や、マイク・ハッカビー駐イスラエル大使(キリスト教シオニスト)に見られる「神の意志」を掲げた領土拡張主義的な思想が、この「聖戦(クルセード)」を後押ししていると述べています。

マルゴリス氏は、かつてのイラク戦争で使われた嘘が再び繰り返されていると警告します。また、ベトナム戦争で徴兵を逃れた過去を持つトランプ氏が、今や「戦争大統領」になろうとしている皮肉を突きつけています。この無謀な介入は、誰も望まない(イスラエルを除く)終わりのない対外戦争の始まりであり、中国による台湾への行動を正当化する口実にもなりかねないと結論づけています。

「歴史の教訓」の悪用

The Full Story of 1983 Beirut Barracks Bombing (That Pete Hegseth Won't Tell You) | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】トランプ大統領やヘグセス国防長官がイランへの攻撃を正当化する際、必ずと言っていいほど言及するのが、241名の米軍兵士が犠牲となった1983年のベイルート米海兵隊宿舎爆破事件です。しかし、作家のジム・ボバード氏は、この悲劇が現在の戦争の口実として利用される一方で、当時の米政府による「失策」と「欺瞞」の側面が意図的に無視されていると指摘しています。

1982年、レバノン内戦の最中にイスラエルが侵攻したことを受け、米軍は停戦監視のためにベイルートへ派遣されました。当初の「平和維持活動」はやがて変質し、米軍はキリスト教系のレバノン政府軍を支援・訓練するようになります。これがイスラム教勢力の反感を買い、米軍は中立な調停者ではなく、紛争の当事者と見なされるようになりました。事件直前、米海軍がイスラム勢力側に艦砲射撃を行ったことが、宿舎爆撃の直接的な引き金になったという見方が軍内部でも有力でした。

1983年10月23日、爆薬を満載したトラックが宿舎に突入しましたが、当時の警備体制は驚くほど脆弱でした。事前にCIAから攻撃の警告があったにもかかわらず、司令官たちはテロを主要な脅威と見なさず、衛兵の銃に弾丸さえ込めていなかったことが後の調査で判明しています。レーガン大統領は当初「攻撃は不可避だった」と国民に説明し、責任の所在を曖昧にしました。最終的に「責任はこの執務室にある私にある」と述べつつも、誰も処分せず、休暇に旅立つことで幕引きを図りました。

ボバード氏は、この事件が証明しているのは「イランが常に宿命的な敵であること」ではなく、当時の政権がいかに無謀な介入を行い、自軍の防衛に失敗し、その失策をプロパガンダで塗り固めたかであると論じています。現在、再び同じ事件を理由にイランへの戦争が叫ばれていますが、歴史の教訓を歪めて利用することの危うさを、この記事は冷静に突きつけています。

米軍死傷者数を隠蔽?

The Trump Administration is Lying About American Casualties in the Persian Gulf Region - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏が、ペルシャ湾地域での紛争開始から1週間が経過した現在、トランプ政権が米軍の死傷者数を過小評価し、事実を隠蔽している可能性について警鐘を鳴らしています。ジョンソン氏は、インターネット上に現れたいくつかの「予兆」をもとに、米軍が公表されている以上の深刻な戦闘損失を被っていると分析しています。

第一の有力な手がかりは、ドイツにある米軍のランドシュトゥール地域医療センター(LRMC)が出した異例の通知です。欧州・中東・アフリカ地域における米軍最大の外傷・後送拠点である同センターは、3月4日付で産科サービスを「追って通知があるまで」一時停止すると発表しました。ジョンソン氏の知人で国防総省の負傷兵プログラムを監督していた人物によれば、同病院には現在、負傷した兵士が洪水のように運び込まれており、もはや出産にリソースを割く余裕がない状態だといいます。

第二の兆候は、第82空挺師団の展開に向けた動きです。2月下旬に予定されていた演習会議が突如キャンセルされた直後に戦争が始まった経緯から、ジョンソン氏は今回の空挺師団の派遣準備も、トランプ大統領やヘグセス国防長官が示唆した「地上軍投入」が単なる脅しではないことを示していると指摘します。

SNS上には、ペルシャ湾の米軍基地への攻撃による被害を示す画像も出回り始めています。ジョンソン氏は、国防総省がこうした情報の流出を必死に防ごうとしているのは、大半のアメリカ国民が望んでいないこの「いわれのない戦争」に対する反対世論が、死傷者の増大によって一気に爆発することを恐れているからだ、と結論づけています。

ロスバードの国際関係論

Rothbard’s Theory of International Relations and the State | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】リバタリアニズムの思想家マレー・ロスバードが提唱した、国際関係と国家の本質に関する理論をまとめた論評を紹介します。ロスバードは国家による戦争や帝国主義に一貫して反対したことで知られますが、この記事はその「道徳的な主張」だけでなく、国際社会がいかなる構造で動いているかという「客観的な分析(実証的理論)」に焦点を当てています。

ロスバードの国際関係論は、主に以下の4つの柱で構成されています。

第一に、国際システムは「アナーキー(無政府状態)」であるという点です。世界全体を統治する単一の政府は存在せず、それぞれが暴力の独占権を持つ複数の国家が並立しています。国家の本質が「強制」にある以上、このシステムには常に暴力の可能性が内包されています。

第二に、国家は国民を代表するものではなく、少数の「支配エリート(オリガルヒ)」によってコントロールされているという事実です。ロスバードは、民主主義か独裁かに関わらず、国家は常に寄生的なエリートによって運営されていると断言します。民主主義国家における唯一の違いは、国民の承認を取り付けるために、より高度で集中的な「プロパガンダ」が必要とされる点にあります。

第三に、国家の最優先事項は「自己保存」です。支配エリートにとって国家権力の喪失は富と地位の喪失を意味するため、彼らは何よりもシステムの維持を優先します。戦時中、国家は「国民を守るため」という口実で人々を動員しますが、ロスバードに言わせれば、それは国家が「自分自身を守るため」に国民を利用しているに過ぎません。

第四に、戦争は「国内政策の道具」として利用されます。戦争は国家が国内の警察権力を強化し、中央集権的な計画経済を推し進める絶好の機会(「進歩主義の成就」)となります。特に、相手が弱小国でリスクが低い場合、国家は自らの権威を高めるために好んで紛争を利用します。

ロスバードによれば、これが国際社会の「ありのままの姿」です。この記事は、平和と人権を追求するためには、こうした国家の本質を見抜き、徴兵制や軍拡、警察国家化といった国家の戦争遂行能力を高めるあらゆる要素に、一貫して反対し続ける必要があると結論づけています。

「無条件降伏」求める愚

With His "Unconditional Surrender" Goal, Trump Signals a Long War | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのドナルド・トランプ大統領がSNS上で、現在進行中のイランとの紛争における最終目標は「無条件降伏」であると表明しました。トランプ氏は、イラン側とのいかなる妥協も否定し、米国が容認できる指導者を選出する権利を持つと主張しています。しかし、この記事は、この「無条件降伏」という要求こそが、紛争を不必要に長期化させ、双方に甚大な犠牲を強いる危険なシグナルであると分析しています。

歴史的に見ても、無条件降伏の要求は相手側の抵抗心を煽り、戦争を長引かせる傾向があります。国家の解体や占領、制裁を一方的に突きつける条件を、まともな政府が受け入れることは稀だからです。国際政治学者のジョン・ミアシャイマー氏は、イランは決して弱小国ではなく、地形的にも防衛に有利であるため、米国やイスラエルがこの戦争で勝利することは「ほぼ不可能」であると指摘しています。また、米国の攻撃によって穏健派の指導者が失われ、より過激な指導層が台頭している現状では、米国に従順な政権を作るという目標は極めて困難です。ミアシャイマー氏は「イラン側は生き残るだけで勝利となる」と述べ、トランプ氏の戦略が泥沼の長期戦を招く可能性を警告しています。

アメリカにおける無条件降伏への執着は、第二次世界大戦の成功体験に端を発していますが、実際には極めて異例なケースです。歴史家リデル・ハートは、この方針がドイツ国民の結束を強め、結果として米軍の犠牲者を増やしたと批判しました。また、日本との終戦においても、実際には天皇制の維持という条件を米国が事実上受け入れる形で決着しており、完全な無条件降伏は現実には稀です。

本来、国際紛争の多くは双方の妥協による合意で終結するものです。軍事専門家の間でも「あらゆる降伏には条件が伴うものだ」という認識が一般的です。記事は、過去にバイデン政権がロシアに対して掲げた政権交代の要求が、核戦争のリスクや長期戦の懸念から立ち消えになった例を引き合いに出し、トランプ政権もこの「無条件降伏」という非現実的な目標を速やかに放棄し、理性的かつ交渉による解決を模索すべきであると結論づけています。

政権転覆作戦が招いたもの

Operation Ajax (1953): The CIA’s Template—and Warnings for Today | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカによるイランへの直接的な軍事行動と政権交代の動きが強まる中、1953年にCIA(米中央情報局)が主導した伝説的な政権転覆工作「アジャックス作戦」の歴史的教訓を振り返る論評が発表されました。この記事は、72年前の「過去の出来事」がいかに現在の泥沼化した米イラン関係を規定し、負の連鎖を生んできたかを鋭く分析しています。

1953年、イランの民主的に選ばれたモサデク首相が石油の国有化を断行した際、英国とCIAは秘密裏にクーデターを仕掛け、彼を失脚させました。代わって実権を握ったパーレビ国王(シャー)は、米国から多額の援助を受ける一方で、秘密警察による強権的な弾圧体制を敷きました。この記事は、この歴史的介入が中東全体の独裁者たちに「西側や石油利権に友好的でありさえすれば、無限の抑圧も許容される」という誤った教訓を与え、地域の民主化を阻害したと指摘しています。

1979年のイラン革命は、この25年間にわたる抑圧と外国支配への反動として爆発しました。当時の革命勢力が米大使館を占拠し、444日間に及ぶ人質事件を引き起こした背景には、「再び1953年のようなクーデターが起き、国王が復権させられるのではないか」という根深い恐怖がありました。この事件によって米イランの外交関係は崩壊し、その後のイラン・イラク戦争における米国のイラク支援や、イスラム主義の過激化を招く一因となりました。

記事はさらに、ロバート・ペイプ教授の研究を引用し、現代の自爆テロの本質的な原因は「宗教的狂信」ではなく「外国軍による占領への抵抗」であると述べています。1953年の秘密工作から1979年の革命、そして現代の軍事介入に至るまで、歴史は断絶することなく地続きです。かつてジミー・カーター米大統領は1953年の事件を「遠い過去の話(古代史)」と呼びましたが、実際にはその「古代史」が70年以上にわたって中東の対立構造を作り上げてきました。2026年の今、再び強行されようとしている政権交代が、今後さらに70年以上にわたってどのような予期せぬ悲劇を招くのか、歴史の重みを直視すべきであると結論づけています。

ロスバードの思い出

Murray Rothbard as David Gordon Remembers Him | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】経済学者・哲学者であるマレー・ロスバードの生誕100周年(2026年3月2日)に際し、長年の友人であり愛弟子でもあったデイヴィッド・ゴードン氏が、稀代の知性との思い出を回想しています。ゴードン氏は、ロスバードとの会話こそが人生最大の喜びの一つであったと語り、その底知れない知識の幅と、議論の本質を瞬時に見抜く鋭い洞察力を振り返っています。

ロスバードの関心は、シュンペーターの経済理論からユダヤ神学、ヘーゲル哲学、さらには当時のO.J.シンプソン事件まで多岐にわたりました。どの話題においても、彼は膨大な学識に基づいた啓蒙的な見解を、独特の笑い声を交えながら早口でまくしたてたといいます。あるセミナーでは、ミルトン・フリードマンがミーゼスを批判した記事に対し、一息もつかずに各段落を論破してみせたエピソードや、老子から公共選択学派までを網羅した政治権力論を即興で講じた圧倒的な知性が紹介されています。

また、ロスバードの知識は学術分野に留まらず、全米の連邦議会選挙の動向や各選挙区の争点までも詳細に把握していました。彼は学生たちがオーストリア学派やリバタリアニズムの研究に取り組むことを常に奨励し、古書店を巡れば棚にあるほぼ全ての書籍について解説を加えるほど、本そのものへの深い愛情を持っていました。

人柄としては、非常に情熱的で、好き嫌いもはっきりしていました。ビル・クリントンを激しく嫌悪し、ロバート・ノージックとはイスラエル問題や効用理論を巡って対立したこともありました。妥協を許さない姿勢ゆえに激しい議論になることもありましたが、それは彼が自身の信じる正義に忠実であったからだとゴードン氏は分析しています。知的天才でありながら自由への情熱を燃やし続けたロスバードの姿は、今なお多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

2026-03-07

イラン人の求める自由とは?

What Is 'Freedom' And Do Iranians Want It? | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのライターであるブラッド・ピアース氏が、現在進行中のイランへの軍事行動の背後にある「自由」という言葉の危うい解釈について論じています。政権交代を画策する際、決まって「抑圧された大衆が自由を渇望している」というプロパガンダが流されますが、氏はモンテスキューの言葉を引用し、「自由」ほど多様な意味を持ち、人々に異なる印象を与える言葉はないと指摘します。

多くの人々にとっての自由とは、抽象的な政治理念ではなく「自国民によって、自国の法律で統治される特権」、つまり「慣れ親しんだ生活を送ることを許されること」に他なりません。アメリカ独自の「自由な政府」という概念を他国の人々も望んでいると考えるのは、好戦主義者が作り上げた神話に過ぎないと氏は切り捨てます。

実際、自由の解釈は国や文化によって大きく異なります。イギリスの伝統を継ぐアメリカでは「徴税」が自由の主要な争点となりますが、フランスでは「経済的安定や過度な労働からの解放」が自由の中核を成しています。また、かつての東欧や脱植民地化した国々では、自由とは「農奴制からの解放」や「食事、教育、職を得る権利」を意味していました。たとえ北朝鮮のような国であっても、外国の支配を受けず独立を保っていることに自由を感じる人々がいる可能性を否定できません。

現代において「民主主義(選挙)」が自由と同義に扱われることも多いですが、歴史的に見れば民主主義は手段に過ぎません。特定のNGOや亡命者が主張する「自由」が、単に西洋資本への市場開放を指している場合もあります。

イランの現状に当てはめれば、国民が宗教的な統治に不満を抱いている可能性はあっても、彼らが望んでいるのは爆撃によってもたらされる「西洋的な自由」ではないはずだと氏は主張します。空爆で殺されないこと、家族を養えるだけの給料を得ること、そして国家の独立が守られること。それこそが、市井の人々にとっての切実な「自由」の本質であると結論づけています。

戦争の請求書

The $300,000 Question Nobody in Washington Can Answer - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】政治アナリストのジェリー・ノーラン氏が、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー市場の劇的な混乱と、それが世界経済に及ぼす致命的な影響について警鐘を鳴らしています。わずか1週間足らずで、液化天然ガス(LNG)の輸送運賃が1日あたり4万ドルから30万ドルへと650%も急騰しました。これは単なる一時的な価格変動ではなく、リアルタイムで進行している「経済的破局」の象徴であると氏は述べています。

世界の海上石油貿易の20%以上が通過するホルムズ海峡は、事実上、商業航路としての機能を停止しました。物理的な封鎖以上に深刻なのは、保険市場や主要な運送業者がリスクを嫌ってこの海域から撤退したことです。特にカタールがガス輸出に「不可抗力条項(フォース・マジュール)」を適用したことは極めて重大です。LNG施設はマイナス160度という極低温を維持する必要がある特殊なインフラであり、一度停止すると再稼働には数週間におよぶ慎重な工程を要します。たとえ今すぐに戦闘が止まったとしても、供給網の切断によるダメージはすでに確定しており、回復には時間がかかります。

カタールは世界のLNG供給の20%を担っており、その停止は日本、韓国、台湾、インドといったアジア諸国を直撃します。これらは半導体工場や病院、肥料生産などを支えるライフラインであり、供給の5分の1が突如失われたスポット市場で激しい奪い合いが始まっています。欧州の天然ガス指標価格も1週間で約76%上昇し、2022年のエネルギー危機の記憶が新しい中で、さらなる衝撃に見舞われています。

さらに、マースクなどの大手海運会社がホルムズ海峡の通航を見合わせ、アフリカ南端の喜望峰を回るルートに変更したことで、輸送時間は数週間単位で延び、コストは跳ね上がっています。このコストは最終的に、戦争とは無関係な世界中の一般消費者の光熱費や製品価格へと転嫁されます。ノーラン氏は、この事態を「意図的なエネルギー供給の除去」と呼び、自国でエネルギーを自給できず、基軸通貨を発行できない国々、特にグローバル・サウスの国々が最も高い代償を払わされることになると批判しています。今回の危機はパンデミックを上回る規模の経済的損失をもたらす可能性があり、その「請求書」は間もなく世界中の家庭に届くことになると警告しています。

イラン戦争の構造問題

War on Iran, Pentagon After-Action Report, Week 1 - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】元アメリカ空軍中佐のカレン・クウィアトコウスキー博士が、イランに対する軍事作戦開始から1週間が経過した時点での、国防総省(ペンタゴン)による事後報告書の検討内容を分析しました。この記事によれば、今回の戦争には計画段階から多くの構造的な問題が含まれていたと指摘されています。

まず、開戦前の世論工作において、過去のイラク戦争などの際に見られたような緻密な国内世論の形成が不十分であったことが挙げられます。核兵器開発の脅威を強調する従来のメッセージは、国民の間に広がっていた戦争への懸念を払拭するには至りませんでした。また、政治的目的も極めて不透明でした。当初は短期間で終了するはずの作戦でしたが、実行開始からわずか8日間で、政府から発表された戦争目的は6回も変遷しました。さらに、イスラエルとの共同作戦でありながら、明確な防衛条約や共通の目標が確立されていない点も混乱に拍車をかけています。

軍事的な側面では、国防総省がリソースをアジアへシフトさせていた時期と重なり、中東での即応能力が分散していたことが指摘されています。兵站についても、紅海や地中海に展開する空母打撃群への依存は、現代のドローンや極超音速ミサイルの前では脆弱性が高まっています。また、過去4年間のウクライナへの軍事支援によって弾薬の備蓄が正確に把握できていない可能性があり、政治指導者には質の低い情報が伝えられている懸念もあります。

さらに深刻なのは、「プランB」の欠如です。作戦が予定通りに進まなかった場合の撤退路や代替案が準備されておらず、エネルギー価格の高騰や失業といった国内の不満、さらには国際的な反発も十分に予測されていなかったと分析されています。博士は、このまま戦争が長期化すれば、憲法上の義務を軽視したまま軍事予算だけが膨張し、地域全体の混乱が収拾不能になるリスクがあると警告しています。この記事は、十分な準備と明確なビジョンを欠いたまま開始された軍事行動が、いかに危うい状況にあるかを淡々と提示しています。

金がドルとユーロに勝ち続ける理由

Why Gold Keeps Beating the Dollar and Euro [LINK]

【海外記事紹介】マネー・メタルズのポッドキャストにおいて、ホストのマイク・マハリー氏とタラ・コインの創設者であるマーク・オバーン氏が、金や銀が通貨として果たしてきた歴史的役割と、現代の法定通貨制度におけるその重要性について対談を行いました。オバーン氏は20年以上にわたり貴金属業界に携わってきた専門家であり、アイルランドにおける投資用金貨の欠如を埋めるためにタラ・コインを設立しました。

この対談では、まずコインのデザインに込められた象徴性が語られました。アイルランドの文化遺産である「生命の木」やハープ、ケルトの三重らせんといった紋様は、単なる装飾ではなく、再生や豊かさ、そして過去から未来へと続く伝統を象徴しています。オバーン氏は、コインがその時代の文明や価値観を伝える歴史的な語り部であると指摘します。アレクサンドル大王の時代や英国のソブリン金貨、米国のリバティ金貨などの例を挙げ、通貨がいかに国家の理想や経済的統合と結びついてきたかを説明しました。

また、アイルランドの初期経済において家畜が主要な通貨であったという通説に対し、考古学的な証拠に基づき、古くから貴金属が交換手段として使われていた事実を強調しました。河川で採掘された金や銀が円盤状の原始的な貨幣やリング・マネーへと進化し、数千年前から経済的な役割を担っていたのです。その後、バイキングやノルマンの支配を経て鋳造技術が広まりましたが、やがて通貨発行権はロンドンの王立造幣局に集約されていきました。これは、政治権力が経済を支配するために通貨を独占しようとする歴史的なパターンの現れであると述べています。

現代の金融システムについても、厳しい視点を向けています。1913年の連邦準備制度創設以来、米ドルは金に対してその購買力の約99%を失いました。1999年に導入されたユーロも同様で、金に対して年平均約11.3%のペースで下落し、26年間で価値の約93%を失っています。オバーン氏は、金の価値が上がっているのではなく、法定通貨の購買力が低下しているのだと主張します。主要な中央銀行が債務や通貨増刷によってマネーサプライを拡大させることで、通貨の減価が構造的な特徴となっているのです。

現在、世界的に「脱ドル化」の動きが加速しており、中央銀行による金の保有量はユーロを抜いて世界第2位の準備資産となりました。ヴァンエック社の研究によれば、世界のマネーサプライ(M2)を金で完全に裏付けた場合、理論上の金価格は1オンスあたり18万ドルを超えるという試算もあります。これは短期的な予測ではありませんが、いかに通貨が過剰に供給されているかを示しています。オバーン氏は、歴史上、帝国が興亡し通貨が減価しても、金と銀は一貫して信頼できる価値の保存手段であり続けてきたと結論づけています。

戦争は経済問題の身代わり

Schiff w/ Nawfal: War is an Economic Scapegoat | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な経済評論家であるピーター・シフ氏が、マリオ・ナウファル氏とのインタビューの中で、戦争がもたらす憲法上の制限や政治経済への影響、そして財政的な現実について語りました。シフ氏はまず、戦争という重い決断は本来、大統領が独断で行うべきものではなく、議会が決定すべきものであるという憲法上の原則を強調しています。建職者の意図によれば、戦争は熟議を経た上での最終手段であるべきですが、現在のアメリカの対イラン政策における政権交代を目指すような姿勢は、実質的に戦争そのものであると彼は指摘しています。

経済的な観点からは、戦争が経済問題の責任転嫁、つまり「身代わり」として利用される可能性に警鐘を鳴らしています。本来なら避けられないはずの不況やインフレといった経済的な苦境を、戦争のせいにすることで、政治的な責任から逃れる口実を与えてしまうというのです。また、戦争の継続には膨大な資金が必要ですが、アメリカが多額の債務を抱え、中央銀行が通貨を増刷し続けている現状では、ドルの価値が維持できなくなるリスクがあります。世界中の投資家がドルの保有を避ける「ドル逃避」が起これば、戦争の資金調達は困難になりますが、直近数日のようにドルが強さを保っていれば、当面は財政的な維持が可能になるという側面も説明しています。

さらにシフ氏は、軍事介入の実効性についても疑問を呈しています。空爆だけで目的を達成することは難しく、地上軍の派遣や占領という高い代償を伴う可能性が高いこと、そして仮に現政権を倒したとしても、その後に誕生する政権が以前よりも悪いものにならないという保証はないと述べています。

最後に、資産価値の保存という文脈で、金とビットコインについても言及しました。ここ数ヶ月、金はビットコインに対して優位なパフォーマンスを示しており、シフ氏は自身の議論の焦点が単なる金と仮想通貨の対立ではなく、「トークン化された金」にあると明かしました。彼は、ビットコインが解決しようとしている課題に対して、トークン化された金の方がより優れた解決策を提供できると考えています。このように、シフ氏は地政学的なリスクを常に市場や通貨、そして実体経済の裏付けと結びつけて冷静に分析しています。

金ETFに資金流入続く

ETFs Added More Gold in February Despite Recent Price Correction [LINK]

【海外記事紹介】金(ゴールド)は最近の大幅な価格調整にもかかわらず、投資意欲は衰えるどころか、むしろ記録的な勢いを見せています。マイク・マハリー氏が紹介する最新のレポートによれば、2026年2月の金ETF(上場投資信託)の現物保有量は26トン増加し、世界全体で4171トンという過去最高記録を更新しました。運用資産残高も7010億ドルに達し、世界的な資金流入は9ヶ月連続となっています。特に北米市場での動きが顕著で、価格の下落を絶好の投資機会と捉えた新規投資家が相次いで参入しました。ワールド・ゴールド・カウンシルの分析では、こうした長期にわたる連続流入は、リーマンショック時やパンデミック発生時といった「システム的なリスク」が高まった時期にしか見られない特異な現象であると指摘されています。

北米における金投資を牽引している主な要因は4つあります。第一にイランをめぐる地政学的リスクの増大、第二にドル安や金利低下による金保有のコスト低下、第三に関税に関する最高裁の判決後の政策的不透明感、そして第四にソフトウェア関連株の下落に伴う株式市場への不安です。アジア市場でも6ヶ月連続で資金が流入しており、特に日本は2月初旬の政治的不安や中国との緊張、円安を背景に流入を主導しました。インドでも利益確定の売りを上回る旺盛な需要が続いており、伝統的な現物志向からETFへのシフトが進んでいます。一方、欧州だけは唯一、イギリスを中心に資金が流出しましたが、これは一時的な調整であり、長期的な構造変化ではないと見られています。

ただし、金ETFはマウス操作だけで売買できる流動性の高さが魅力である一方、投資家が注意すべき点もあります。ETFはあくまで「紙の上の権利」であり、現物の金を直接手元に保有するのとは根本的に異なります。特に市場に急速に資金が流れ込む局面では、ファンド側が裏付けとなる現物資産を十分に確保できず、引き出しに遅延が生じるリスクも否定できません。利便性を重視する投機的な動きには適していますが、現物保有とは別物であるという認識が必要です。

2月の金取引高は、前月の過去最高記録からは一服したものの、依然として2025年の平均を32パーセントも上回る高水準を維持しています。アジアの旧正月による取引減少や利益確定の動きがあったものの、世界的な地政学リスクや経済の不透明感が続く中で、金は「安全な避難先」としての存在感をかつてないほど高めています。市場の過熱感は収まりつつありますが、長期的な視点で見れば、金への信頼は揺るぎないものとなっているようです。

死者の投資術

Why Dead People Might Be Better Investors Than You [LINK]

【海外記事紹介】投資の世界では、意外なことに「亡くなった人」こそが最も優れた投資家である可能性が高いという、興味深い研究結果が報告されています。マイク・マハリー氏が紹介するこの記事によれば、大手金融機関のフィデリティやバンガードなどの調査で、最も高い運用成績を収めたグループは、すでに亡くなっているか、あるいは口座を持っていること自体を忘れて放置していた人々だったのです。なぜ、生身の人間が死者に負けてしまうのでしょうか。その理由は、死者は「何もしない」からです。彼らは日々のニュースに一喜一憂せず、相場の暴落にパニックを起こすことも、根拠のない期待で買いに走ることもありません。ただひたすらに市場に居座り続け、時間の経過とともに複利の恩恵を最大限に享受しているのです。

人間は感情の生き物であり、私たちの脳は進化の過程で、危機に直面すると「闘争か逃走か(闘うか逃げるか)」を選択するようにプログラムされています。この本能は、原始時代のサバンナで生き残るには不可欠でしたが、現代の金融市場においては、しばしば最悪の結果を招きます。相場が急落すると恐怖に駆られて底値で売り払い、相場が過熱すると乗り遅れまいと高値で飛びついてしまうのです。多くの投資家は、自分の感情と戦う「自分自身の最大の敵」になってしまっています。投資心理学の専門家は、こうした集団心理に流される行動こそが、運用成績を悪化させる最大の要因であると指摘しています。

優れた投資家になるために、実際に命を落とす必要はもちろんありません。しかし、死者のように振る舞う、つまり「感情を排除し、一貫性を保ち、退屈なほど忍耐強くあること」は学ぶことができます。短期的なニュースに翻弄されるのではなく、より大きなマクロ経済の視点に立ち、ファンダメンタルズに根本的な変化がない限り、静観を貫くことが重要です。例えば、政府の膨大な債務や中央銀行の政策といった現実を無視した一時的な価格変動に反応してはいけません。

結局のところ、賢い投資とは、賢明な判断を積み重ねること以上に、愚かな行動をいかに控えるかという点にかかっています。まずは戦略を立てて自動的に積み立てを行い、あとは感情というノイズをシャットアウトして、ただそこに立ち尽くす勇気を持つことが、富を築くための近道なのです。もし目の前の数字に心が乱れそうになったなら、一度立ち止まって、死者ならどうするかを考えてみるのも一つの手かもしれません。

米・イスラエルはすでに敗北

Mar 6, 2026 Brilliant Piece on Iran!!!! David Z 321gold [LINK]

【海外記事紹介】イスラエルのジャーナリスト、アロン・ミズラヒ氏による、現在進行中の中東紛争に関する分析をご紹介します。ミズラヒ氏は、我々がいま歴史的な転換点の目撃者になっていると主張しています。同氏によれば、開戦からわずか4日間で、イランは世界の予想を裏切る圧倒的な規模と決定力で、中東全域のアメリカ軍基地を徹底的に破壊しています。バーレーン、クウェート、カタール、サウジアラビアにあるこれら巨大施設は、過去30年以上にわたり数兆ドルもの巨費を投じて築かれた「世界で最も高価な軍事インフラ」ですが、それが一瞬にして灰燼に帰しているというのです。1基で数億ドルもするレーダーが破壊され、基地が放棄・略奪される惨状は、アメリカ軍の歴史において真珠湾攻撃をも上回る壊滅的な打撃であると同氏は指摘します。

興味深いのは、この戦争に関する情報の乏しさです。35年前の湾岸戦争ではハイテク兵器の映像が連日公開されましたが、今回の対イラン戦では、アメリカ軍の圧倒的な支配を示す映像がほとんど出てきません。世界最強の空軍力を誇るはずのアメリカですが、イランの空を支配している兆候は見られず、イラン防空網の突破すらままならない状況が示唆されています。トランプ政権からは、ペルシャ湾を出る石油タンカーに護衛艦を付けるといった案も出ていますが、数千発のイラン製ミサイルの射程圏内に艦船を送り込むのは無謀であり、現在、ホルムズ海峡を通過できる者は誰もいないというのがミズラヒ氏の見立てです。

ミズラヒ氏は、アメリカとイスラエルはこの戦争にすでに敗北していると断言します。強力な爆弾で民間人を殺傷することはできても、イラン全土の地下深くに張り巡らされた広大な軍事インフラに到達する術はありません。クルド人勢力などの民兵組織を利用した地上侵攻というアイデアも、イランの広大な国土と軍事力を考えれば非現実的であり、アメリカ軍を飲み込んでしまうだろうと警告しています。同氏は確信を持って、この紛争が終わる時、アメリカは二度と中東に戻ることはなく、この地域におけるアメリカのプレゼンスは完全に消失すると予測しています。

石油価格がすべてのカギに

The oil price is at the conductor's podium [LINK]

【海外記事紹介】今回の経済分析記事によれば、現在の世界情勢と金融市場は「石油価格」がすべてを指揮する、極めて危うい局面を迎えています。執筆者は、中東での紛争、特にアメリカ・イスラエル対イランの対立が長期化・拡大する可能性を強く警告しています。紛争はすでにトルコやサウジアラビアなどの周辺国を巻き込み始めており、生き残りをかけるイラン政権と威信をかけた米大統領との間で、妥協の余地はほとんど残されていません。特筆すべきは、中東の民衆が政府の枠を超えて連帯し始めているという兆候です。

金融市場に目を向けると、投資家たちはすでにこの「嵐」に備えて守りを固めています。S&P500指数の先物市場では、ヘッジファンドが2024年12月以来となる明確な売りポジションを取っており、プット・オプション(売る権利)の比率は過去15年で最高水準に達しました。このように事前に十分なヘッジ(リスク回避)が行われているため、実際の市場の下落がパニック的な売りにつながらず、一見すると「緩やかな動揺」に留まっているように見えるのです。

通貨市場では、米ドルが再び「安全な逃避先」としての強さを証明しています。一方でユーロは、欧州の政治的・経済的な構造的不況により、資本流出の危機にさらされています。また、金や銀といった貴金属は、本来は有事の買いが入るはずですが、現在はドルの独歩高や、投資家が利益の出ている流動資産を現金化しようとする動きに押され、一時的に軟調な展開となっています。しかし、過去の金融危機やパンデミック時と同様、こうした局面の後に貴金属が最大の勝者となる可能性は極めて高いと分析されています。

今後数週間の焦点は、世界の石油・ガス輸出の約20%が通過するホルムズ海峡の動向です。WTI原油価格が1バレル80ドルを安定的に超えて上昇し続ければ、貴金属から始まり、石油、産業用金属、そして農産物へと波及する大規模なコモディティ・サイクルの連鎖が現実のものとなります。結局のところ、現在の地政学というオーケストラの指揮台に立っているのは石油市場であり、投資家はこの「指揮者」の動きを注視しながら、神経質な相場展開に備える必要があると結論づけています。

世界大戦の兆し

"The beginning of a world war" - Emmanuel Todd [LINK]

【海外記事紹介】フランスの著名な人口学者で歴史家のエマニュエル・トッド氏による、ウクライナ戦争の現状と欧米社会の変容に関する分析をご紹介します。トッド氏は1976年にソ連の崩壊を的中させたことで知られますが、現在はアメリカ帝国の崩壊を確信しています。同氏によれば、ウクライナ戦争は実質的に西側諸国の敗北に終わっており、バイデン政権がこの敗北を隠そうとした結果、トランプ氏がその「敗北を引き受ける大統領」として再登板しました。しかし、トランプ氏が進める「MAGA(アメリカを再び偉大に)」という再工業化の試みは、技術者や熟練労働者の深刻な不足、さらには若年層の識字率低下といった国内社会の荒廃により、実現不可能な段階に達しています。アメリカは自国の弱体化を隠すため、ベネズエラやグリーンランドへの関心といった「矛先をそらす戦術」を展開していますが、現実にはロシア、中国、イランといった敵対勢力の結集を招き、世界大戦の入口に立たされているのです。

トッド氏が特に強い危機感を抱いているのが、ドイツの変貌です。かつて平和主義的だったドイツは、フリードリヒ・メルツ政権の誕生によって軍事化の道へ舵を切りました。西側メディアは「ロシアが欧州を脅かす」という虚構の物語を流布していますが、実際にはプーチン大統領に欧州征服の意図はなく、むしろドイツが危機を克服するために産業の軍事化を進め、欧州の覇権を握ろうとしていると氏は指摘します。欧州連合の本来の理想は消え去り、各国のナショナリズムが再燃する中で、ドイツは大陸最強の軍隊を持つ自己中心的な強国へと戻りつつあります。これはフランスにとっても潜在的な脅威であり、かつてド・ゴールが核武装したのはドイツから自国を守るためであったという歴史的視点を忘れてはならないと警鐘を鳴らしています。

さらにトッド氏は、現代の西側諸国が「リアリティ(現実感覚)」を喪失していると分析します。アメリカが主導したウクライナでの戦争は、歴史的宿敵であるロシアに敗北したことで、ベトナムやイラクでの失敗とは比較にならないほど致命的なシステムの崩壊を露呈させました。トランプ氏がどれほど外交的な駆け引きを演じようとも、戦場での決着はすでについており、ウクライナ体制の崩壊は避けられません。我々は今、かつてのソ連崩壊時のような文明の終わりの目撃者となっていますが、当時のロシアが尊厳を持って帝国を解体させたのに対し、現在のアメリカや欧州は「見苦しい敗者」として、虚偽と軍事的な暴走に突き進んでいます。ドイツの権威主義的な体質の再浮上と、アメリカの制御不能な凋落が交差する中で、世界は想像を絶するような不確実な未来、いわばサイエンス・フィクションのような現実へと足を踏み入れているのです。

2026-03-06

ネオコン対保守本流

Tucker Carlson Defends GOP's 'Traditional Conservative Base' Against Neocons | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守論壇で起きている激しい内分について、ジャーナリストのジャック・ハンター氏による分析を報告します。トランプ大統領がイランへの攻撃を決断したことを受け、保守派の間では、タッカー・カールソン氏に代表される「伝統的な保守本流」と、軍事介入を支持する「ネオコン(新保守主義)」との対立が決定定的となっています。

事の発端は、保守系メディア「デイリー・ワイヤー」の共同創設者ジェレミー・ボーリング氏が、カールソン氏を「伝統的な保守の基盤を攻撃する過激な声」と批判したことに始まります。しかし、ハンター氏はこの主張を真っ向から否定しています。本来のアメリカの保守主義とは、初代大統領ジョージ・ワシントンが離別演説で警告した「外国との紛争への深入り」を避ける伝統に根ざしたものです。第6代大統領ジョン・クインシー・アダムズも、海外に「滅ぼすべき怪物」を捜しに行くべきではないと説きました。さらに、保守の象徴であるロナルド・レーガン元大統領も、実際には軍事力の行使に慎重であり、戦略的理由がなければ撤退を選ぶ現実主義者でした。

対照的に、ネオコンはあらゆる外国の敵対者を滅ぼすべき怪物と見なし、アメリカの民主主義を武力で広めることを正義とする「宗教」に近い思想を持っています。彼らはジョージ・W・ブッシュ政権下で2003年のイラク戦争を主導し、アメリカ史上最大級の外交的失敗を招きました。現在のカールソン氏は、トランプ氏やヴァンス副大統領がかつて掲げた「アメリカ・ファースト」の立場を代弁しているに過ぎません。彼はイスラエル大使マイク・ハッカビー氏とのインタビューでも、アメリカの国益を最優先すべきであり、イスラエルの利益のためにイランと戦争を始めるべきではないと強く主張しました。

ハンター氏は、カールソン氏こそが建国以来の古い伝統に忠実な保守主義者であり、ボーリング氏やベン・シャピロ氏のような介入主義者こそが、保守の看板を借りた異分子であると指摘しています。トランプ大統領が「終わりのない戦争を終わらせる」という公約を破り、ネオコンの望み通りに動いている現状に対し、伝統的な保守層からは強い反発が起きています。現在のアメリカ右派において、誰が真の「保守」を定義するのかという主導権争いは、カールソン氏という有力な声を軸に、かつてない激しさを増しています。

イラン攻撃、世界に混乱

War expands: While bombing Iran, US and Israel attack even more countries - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事紹介】独立系ジャーナリストのベン・ノートン氏による、アメリカとイスラエルが主導する対イラン攻撃が周辺諸国を巻き込み、世界規模の紛争へと拡大している現状についての報告です。この記事によれば、トランプ政権による軍事行動はイラン国内にとどまらず、中東からラテンアメリカ、さらには欧州との外交関係にまで深刻な影響を及ぼしています。

中東では、米中央情報局(CIA)がイラク北部のクルド人勢力を武装させ、イランへの侵攻を画策していると報じられています。これに呼応するようにイスラエルはレバノンへの侵攻を開始し、ガザ地区への封鎖も再強化されました。イラン側は自衛権を主張して周辺の米軍基地へ反撃を行っており、ホルムズ海峡の封鎖を宣言したことで、世界の石油消費量の約20%が通過する戦略的要衝が麻痺状態に陥っています。その結果、国際原油価格は急騰し、米国務省は中東全域の米国民に対して退避勧告を出す事態となっています。

トランプ氏の軍事行動は他地域にも波及しています。南米のエクアドルでは「麻薬テロ対策」を名目に米軍が展開し、キューバに対しては石油輸入を阻止するための実質的な海上封鎖が強行されています。さらに、今回の戦争に反対し、基地の使用を拒否したスペインに対し、トランプ氏は経済封鎖をちらつかせました。ホワイトハウスでの会見では、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相もこの強硬姿勢に同調する意向を示しており、欧州連合(EU)内部にも亀裂が生じています。

かつて「平和の大統領」を標榜し、戦争を終わらせると公約したトランプ氏ですが、実際には二期目の初年度だけで7カ国を爆撃し、歴代大統領の中でも最多となる計10カ国への攻撃を行っています。国際連合に代わる独自の「平和委員会」を立ち上げる一方で、国際法を無視した先制攻撃を常態化させる同政権の姿勢は、世界各地で激しい抗議デモを引き起こしています。パキスタンではデモ隊に米軍が発砲する事件も発生しており、紛争は収束の兆しを見せず、さらなる長期化と泥沼化が懸念される状況にあります。

先制攻撃と憲法の危機

Preemptive War, Permanent Emergency: The Real Cost of Trump’s Iran Strike - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの憲法擁護団体ラザフォード研究所のジョン・ホワイトヘッド氏らによる、トランプ大統領が行ったイランへの先制攻撃がもたらす憲法上の危機と経済的損失についての論評を報告します。この論評は、議会の宣戦布告もなく実行された「オペレーション・エピック・フューリー(壮大な怒り作戦)」が、アメリカの民主主義を根底から揺るがしていると厳しく批判しています。

合衆国憲法第1条第8節では、宣戦布告の権限は大統領ではなく議会にあると明確に定められています。しかし、トランプ氏は憲法上の手続きや公の議論を一切経ずに、独断でイランへの大規模な攻撃を許可しました。著者はこれを、かつて「平和の大統領」を自称していたトランプ氏の完全な変節であると断じています。軍事作戦のブリーフィングの合間に、自身の資金集めパーティーでダンスを披露する大統領の姿は、この戦争が国家の安全保障のためではなく、権力の誇示や国内の失政からの目をそらすための「見世物」であることを象徴していると指摘されています。

経済的なコストも甚大です。先制攻撃が始まってわずか数日で、米国民の税金から投じられた費用は10億ドルを超えました。撃墜された戦闘機の損失や、空母打撃群の維持費、高額なトマホークミサイルの消費などを含めると、最終的な損失は2,100億ドルに達する可能性があると試算されています。一方で、軍需産業や情報機関などの「軍産複合体」は、この不安定な情勢から巨額の利益を得ており、本来国民のために使われるべき富が、戦争という名のもとに吸い上げられているのが現状です。

さらに深刻なのは、国外での戦争が国内の監視社会や警察国家化を加速させている点です。歴史的に、戦時下の「緊急事態」は国民の自由を制限し、大統領の権限を拡大する口実に使われてきました。現在、ホワイトハウスは国家安全保障を理由に、中間選挙の実施方法を大統領令でコントロールしようとする動きを見せていると報じられています。著者は、国外で議会を無視して爆弾を落とせる権力者は、国内でも反対派を沈黙させ、法の支配を破壊することができると警鐘を鳴らしています。アメリカが自由の実験場としての共和国であり続けるのか、それとも軍事帝国として崩壊するのか、今まさにその岐路に立たされているというのがこの記事の結論です。

中東の思わぬ再編

Bahrain's Big Breakout - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイスラエルによる対イラン攻撃を受け、中東全域で緊張が波及している現状について、政治アナリストのジェリー・ノーラン氏による分析を報告します。同氏によれば、バーレーン国内では現在、多数派を占めるシーア派住民による大規模な抗議活動が発生しており、これに対してサウジアラビアの戦車部隊が「キング・ファハド・コースウェイ」を越えて軍事介入を行っています。しかし、こうした事態は欧米の主要メディアではほとんど報じられていません。

ノーラン氏は、ワシントンの外交姿勢における二重基準を指摘しています。アメリカ政府はイランに対しては民主主義や自由を掲げて反政府活動を支持する一方で、米海軍第5艦隊の拠点を置くバーレーンの現体制が国内の異議申し立てを抑え込むことについては、沈黙を維持しています。これは、バーレーンのアル・ハリーファ家が石油取引をドル建てで行うなど、アメリカにとって戦略的に重要な協力関係にあるためです。しかし、2月28日のイランによる報復ミサイルが第5艦隊司令部を標的としたことで、バーレーン国内の不満層が行動を開始する直接的な契機となりました。

この影響はバーレーン国内に留まらず、サウジアラビア東部の主要な油田地帯に居住するシーア派住民の動向にも及んでいます。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はトランプ大統領に対して対イラン攻撃を働きかけたとされていますが、その結果として自国の石油施設が攻撃対象となり、国内の社会不安を増大させるという予期せぬ事態に直面しています。

ノーラン氏は、イランの体制転換を狙った戦略が、結果としてアメリカの同盟諸国である湾岸君主制国家の安定を損なう「ブーメラン」となっていると分析しています。クウェートやカタールといった周辺国のエネルギー供給網にも影響が出始めており、イスラエルが構想した「中東の再編」は、意図した方向とは異なる結果を招きつつあります。戦略的な判断の誤りが、イランではなく自陣営の安定を脅かす事態を引き起こしているというのが、この記事の主要な論旨です。

通貨安と社会混乱

Dollar’s Debasement… Why Socialism Rises, and Wealth Taxes Follow - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な投資家であり作家のダグ・ケイシー氏による、通貨価値の下落がもたらす社会的・政治的な激変についての警鐘をご紹介します。ケイシー氏は現在のインフレ加速とドルの減価が、単なる経済問題を超えて「階級闘争」や「政治革命」を誘発するプロセスを鋭く分析しています。

ケイシー氏によれば、インフレは常に資産を持つ富裕層を潤す一方で、労働者の購買力を奪う仕組みになっています。富裕層が所有する資産価値はインフレで上昇し、売却するまで課税されませんが、労働者は賃金が上がっても高い税率区分に押し込まれ、実質的な生活水準は低下します。この「資産家と労働者の格差拡大」が、社会に嫉妬と不満を蔓延させ、結果としてポピュリズムや社会主義といった過激な政治運動を台頭させる土壌となります。

アメリカは現在、政府から個人に至るまで膨大な債務を抱えています。ケイシー氏は、住宅や車が差し押さえられ、中産階級が貧困に陥るレベルまで生活水準が低下した時、人々は「政治的な解決策」を求め始めると指摘します。しかし、政治的解決とは、集団主義的な強奪に他なりません。一つは国家が生産手段を支配する社会主義であり、もう一つは、カリスマ的な「ビッグ・マン(強い指導者)」が群衆を操るポピュリズムです。ポピュリズムは特定のイデオロギーを持たず、その時々の思いつきで国家介入を繰り返すため、最終的には社会主義以上の混乱を招くリスクがあります。

また、カリフォルニア州などで議論されている「富裕税」の導入についても、ケイシー氏は悲観的です。政府という組織は本質的に自己増殖する性質を持っており、生き残るために増税、借金、通貨増刷を止められません。これを選挙で「善良な人」を選ぶことで解決しようとするのはあまりにナイーブであり、官僚機構の肥大化はもはや癌のように止めることができない段階にあると彼は断言しています。

最後に、こうした激動の時代に個人が取るべき対策として、ケイシー氏は作家アイン・ランドの言葉を引用し、「自分が貧困層にならないよう全力を尽くすこと」を挙げています。消費を抑えて資産を築くだけでなく、可能であれば政治的なリスクを分散するために居住地を多様化させるなどの準備が必要です。技術革新による明るい未来を信じる「スーパー・ブル(超強気派)」の主張にも一理ありますが、そのゴールに辿り着く前には、多くの国や人々を飲み込む非常に険しい道のりが待っているというのが、彼の冷徹な未来予測です。

米家庭、債務膨張続く

Household Debt Rose to a New Record High in Q4 2025 [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの家庭が抱える債務の深刻な実態について、マイク・マハレイ氏の最新レポートをご紹介します。マハレイ氏は、アメリカ経済が「債務のブラックホール」に飲み込まれつつあると警鐘を鳴らしています。ニューヨーク連邦準備銀行の最新データによれば、2025年第4四半期の家計債務は前期から1,910億ドル増加し、総額で18.8兆ドルという過去最高額を更新して1年を締めくくりました。

内訳を見ますと、住宅ローン残高が13.7兆ドルに達したほか、特に注目すべきはクレジットカード債務の急増です。第4四半期だけで440億ドルが上乗せされ、残高は過去最高の1.28兆ドルに達しました。これには、12月のクリスマス商戦での支出が大きく影響していると見られています。問題は、残高の増加と高金利という「二重苦」です。連邦準備制度(Fed)が利下げを行ったにもかかわらず、クレジットカードの平均年利率(APR)は19.58%と依然として極めて高い水準にあり、中には28%もの高利を課しているケースもあります。

こうしたクレジットカードの限界が近づく中で、多くのアメリカ人が住宅担保ローン(HELOC)に手を出し始めており、その残高は4,340億ドルに増加しました。さらに、自動車ローンや学生ローンも着実に積み上がっています。債務レベルの上昇に伴い、支払いに窮する人々も増えており、全債務の4.8%が何らかの滞納状態にあります。特に学生ローンの滞納率は深刻で、9.6%が90日以上の延滞となっています。住宅ローンについても、低所得地域や住宅価格の下落地域を中心に状況が悪化しています。

パンデミック期に政府からの刺激策で一時的に改善した家計の懐具合は、その後のインフレによって貯蓄が底をつき、今や生活を維持するためにカードに頼らざるを得ない状況です。債務の積み上がりが鈍化し始めていることは、消費者がいよいよ限界に達したサインかもしれません。マハレイ氏は、ビザやマスターカードといった「借金」で回っている経済は持続不可能であり、消費者が信用限界に達した時、経済成長に重大な影響を及ぼすと予測しています。この巨大な債務のブラックホールは、インフレ下であっても中央銀行に金融緩和を迫るという、歪んだ圧力を生み出し続けているのです。

韓国中銀、金ETF購入へ

South Korean Central Bank Plans to Invest in Gold ETFs [LINK]

【海外記事紹介】韓国の中央銀行、韓国銀行が2013年以来、約13年ぶりに金準備の増強に乗り出したというニュースをご紹介します。マイク・マハレイ氏の執筆記事によれば、韓国銀行は今回、他国の多くの中央銀行とは異なる極めて「異例」な手法を採ることを明らかにしました。それは、金現物を直接購入するのではなく、海外市場に上場している金のETF(上場投資信託)を外貨準備に組み入れるという計画です。

現在、韓国は約104トンの金現物を保有しており、そのすべてをロンドンで保管していますが、これは外貨準備全体の約4%に過ぎません。韓国銀行の関係者は、金はインフレヘッジとしての役割があり、米ドルに代わる有望な中長期的な投資資産であると強調しています。しかし、ワールド・ゴールド・カウンシルの調査によれば、中央銀行が金のETFを利用して金へのエクスポージャーを得る例は過去にほとんどなく、この決定は注目を集めています。

韓国銀行がETFを選んだ最大の理由は、その高い流動性にあります。現物の金は、債券や株式に比べて換金性や利便性が低く、保管コストも発生します。一方で金のETFは、現物価格に連動しながらも市場ですぐに売買が可能で、為替市場のボラティリティが高まった際にも迅速に現金化できるメリットがあります。韓国側は、効率的な資産運用の観点から、保管の負担がないETFが外貨準備の管理原則に合致すると判断しました。

しかしマハレイ氏は、この手法には大きな「カウンターパーティ・リスク」が伴うと警鐘を鳴らしています。金ETFへの投資はETFの株式を所有することを意味し、必ずしも金現物そのものを保有しているわけではありません。取引の相手方が義務を果たせない可能性というリスクを抱えることになり、これは金が本来持つ「安全な予備資産」としての特性を損なう恐れがあります。

世界の中央銀行は近年、ドル離れの動きを強め、2022年には過去最高の購入量を記録するなど記録的な金買いを続けています。韓国もこの流れに加わりましたが、流動性を優先してETFを選択したことが、将来的な経済危機の際にどのような影響を及ぼすのか、その動向が注視されています。

金銀に長期で需要

War, Market Volatility, and Gold’s Long-Term Drivers [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの貴金属専門メディア「マネー・メタルズ」の番組で、ホストのマイク・マハレイ氏が語った金・銀市場の動向と、戦争が経済に与える長期的な影響についての分析をご紹介します。イランを巡る地政学リスクの高まりを受けて金融市場が大きく揺れる中、マハレイ氏は目先の価格変動に惑わされない本質的な視点を提示しています。

まず、マハレイ氏は、金や銀が一時的に売られたことを捉えて「ブームは終わった」と報じる主流メディアの姿勢を批判しました。市場の混乱初期には、投資家が他の資産での損失を穴埋めするために、利益の出ている金などを現金化する動きがよく見られます。実際、金価格は1オンス5,100ドル超という歴史的な高水準を維持しており、銀も一時的な下落後に80ドル台を回復しています。こうした動きは上昇相場の終わりではなく、単なる市場の調整に過ぎないと彼は指摘します。

次に、戦争と金価格の歴史的な関係について興味深い分析が示されました。過去の湾岸戦争やウクライナ侵攻の例を見ると、金は実際に戦火が交えられる直前の「軍隊の増強局面」で最も大きく上昇し、いざ開戦すると一時的に急騰した後に反落する傾向があります。しかし、より長期的なスパンで見れば、金の価格を真に動かすのは戦場での出来事ではなく、中央銀行の金融政策です。2001年から2011年にかけて金が250ドルから1,900ドルへと急騰したのは、アフガニスタンやイラクでの戦争そのものよりも、その後の金融危機を受けたゼロ金利政策や量的緩和が主な要因でした。

また、マハレイ氏は現代のアメリカ経済が抱える「債務のブラックホール」という構造的問題に警鐘を鳴らしています。巨額の債務を抱える現在の経済は、高い金利に耐えることができません。そのため、地政学リスクによってインフレ懸念が高まったとしても、連邦準備理事会(FRB)はいずれ利下げや金融緩和を余儀なくされる運命にあります。さらに、イランとの衝突が長期化すれば、1960年代のベトナム戦争期と同様に、戦費調達のための政府支出がさらなるインフレを招き、1970年代のような深刻なスタグフレーションを引き起こす可能性があると警告しています。

最後に、主流派の経済学者が金への投資に懐疑的な一方で、モルガン・スタンレーのような大手金融機関の幹部が、従来の資産構成を見直し、ポートフォリオの20%を貴金属に割り当てるべきだと提言し始めている変化を紹介しました。マハレイ氏は、投資家は短期的なヘッドラインに一喜一憂せず、政府の借金と通貨の価値下落という根本的な経済のファンダメンタルズに目を向けるべきだと結論付けています。

エプスタイン事件の本質

Epstein Litmus Test: Tucker Carlson, Alex Jones, and Cenk Uygur Fail, by Marco de Wit - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの独立系メディア「アンズ・レビュー」に掲載された、マルコ・デ・ヴィット氏による衝撃的な論評をご紹介します。この記事は、謎多き富豪ジェフリー・エプスタインを巡る一連の事件が、単なる個人の犯罪ではなく、イスラエルの国家戦略や特定の国際エリート層による世界支配の道具であったと主張する非常に踏み込んだ内容です。

著者によれば、エプスタイン事件の本質を理解できるかどうかが、ジャーナリストや知識人の誠実さを測る「リトマス試験紙」になります。2026年2月に一部公開された新たなエプスタイン・ファイルでは、彼がニューヨークで所有していた邸宅の警備を、国連イスラエル代表部が実質的に監督していたことが明らかになりました。これは、エプスタインが単なる性犯罪者ではなく、イスラエル政府や情報機関のために動く「アクセス・エージェント(工作員)」であったことを裏付ける強力な証拠だと著者は指摘します。彼は政財界の有力者をハニートラップなどで弱みを握り、イスラエルの国益に反する行動を取らせないよう脅迫する役割を担っていたというのです。

記事では、タッカー・カールソンやアレックス・ジョーンズといった著名な保守系論客でさえ、この「イスラエル・コネクション」を意図的に過小評価していると批判されています。また、左派系のジェンク・ウィグル氏も、イスラエルとのつながりは認めつつも、その背後にあるロスチャイルド家などの国際金融資本の影響力については口を閉ざしていると指弾しています。著者の分析によれば、エプスタインはロスチャイルド家を代表して動いていると自らメールに記しており、エドモン・ド・ロスチャイルド銀行との深い金銭的・実務的なつながりもファイルから判明しています。

さらに、このネットワークはイギリスの王室やフランスのマクロン大統領、さらにはウクライナのゼレンスキー大統領に至るまで、世界の指導者層を性的なスキャンダルを通じて操作し、対ロシア強硬策などの地政学的なチェスを有利に進めるために利用されていると述べられています。この記事は、私たちが目にしている国際情勢の裏側には、緻密に計算された「相互脅迫」による支配構造が存在しており、エプスタイン事件はその氷山の一角に過ぎないという極めて厳しい見方を示しています。

イラン攻撃の代償

Peter Schiff: The Last Thing We Need is Another War | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な経済評論家、ピーター・シフ氏が自身のポッドキャストで、トランプ大統領がイランとの衝突を激化させている現状を取り上げ、大統領が掲げていた「戦争を終わらせる」という公約がいかに反故にされたかを厳しく批判しています。

シフ氏によれば、トランプ氏に投票した多くの有権者は、中東での終わりのない戦争に終止符を打つというスローガンを信じていました。トランプ氏はかつてイラク戦争や中東への介入を強く批判し、自身が大統領であればこうした事態は起きなかったと主張してきましたが、現実はそれとは真逆の方向に進み、今やアメリカはイランと戦火を交える事態に至っています。

この現状に対し、シフ氏はまず憲法上の観点から強い反対を表明しています。合衆国憲法において、宣戦布告の権限は執行府や大統領ではなく、議会に帰属しているからです。憲法第2条は、大統領を陸海軍の最高司令官と定めていますが、それは議会が戦争を宣言した後に軍事作戦を指揮する権限を認めるものであり、自ら戦争を開始する権限を与えたものではありません。建国の父たちが権限を分立させたのは、戦争を軽々しく、あるいは頻繁に始めるべきではないと考えていたからです。

では、なぜ大統領は戦争へと突き進むのでしょうか。シフ氏はその政治的動機として、国内の経済的な失敗や不都合なニュースからの「目くらまし」を指摘しています。実際、好調だったはずのトランプ経済は急速に冷え込んでおり、GDPは落ち込み、雇用は失われ、原油価格が高騰する前からインフレが加速していました。さらに、関税政策に対する最高裁判所の違憲判決やエプスタイン関連文書の公開といった、政権にとって痛手となる話題から国民の目をそらすために、戦争という大きなヘッドラインが利用されているという見方です。

最後に、シフ氏は経済ジャーナリストとして、戦争がもたらす経済的な代償を警告しています。戦争には莫大な費用がかかりますが、政治家は国民の支持を失うことを恐れて増税という手段を選びません。代わりにインフレ、つまり通貨の発行によってその費用を賄おうとします。国民が「戦争には費用がかからない」と錯覚している間に、ドルの価値は下落し、物価は上昇していくのです。シフ氏は、最新のPMI(購買担当者景気指数)などの経済指標が悪化していることを踏まえ、通貨の減価に対する防衛策として、金や銀といった貴金属をポートフォリオに組み入れる重要性を改めて説いています。

2026-03-05

ロスバードの反戦論

Rothbard and War | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】現代のリバタリアニズム(自由至上主義)運動の創始者であるマレー・ロスバード氏の思想をたどると、彼が何よりも重要視していたのは「戦争と平和」の問題であったことがわかります。ロスバード氏は「戦争こそが自由を阻む最大の障壁である」と確信していました。かつてアメリカの保守本流は、共産主義に対抗するために国内に「全体主義的な官僚機構」を構築する必要があると主張しましたが、ロスバード氏はこれに真っ向から反対しました。政府のプログラムは一度作られると、本来の目的が消え去った後も新たな口実を見つけて存続し続ける習性があるからです。実際、ソ連の脅威が誇張されていたことが判明した後も、軍事国家の体制は維持され続けました。

ロスバード氏が戦争に反対した理由は、主に4つの観点に集約されます。第一に、戦争は私たちの道徳を歪めます。国家が行えば「付随的被害」として許容される虐殺も、個人が行えば凶悪犯罪です。私たちは国家を、生産的な市民から資源を吸い上げる寄生的な組織として冷徹に見つめる必要があります。第二に、戦争は経済を歪曲します。戦争が経済を刺激するという説は誤りで、実際には消費者のニーズを満たすための資源が破壊的な軍事目的へと転用され、民間経済の競争力を削いでいるに過ぎません。第三に、戦争は他国民に対する見方を歪めます。組織的な宣伝活動によって敵国の人々を「野蛮人」として悪魔化し、彼らの命を軽んじる心理を植え付けます。第四に、戦争は文化を腐敗させ、真実や自由な発言を殺してしまいます。

私たちは、この「戦争中毒」から脱却するために、いくつかの視点を持つべきです。まず、統治者にも一般市民と同じ道徳的ルールを適用すること。次に、敵として宣伝されている人々も自分たちと同じ人間であることを認識し、彼らを「人間化」すること。そして、政府の外交政策を語る際に「我々」という言葉を使わないことです。国家と国民を切り離して考えることで、政府の過ちを冷静に批判できるようになります。自由な市場経済は平和な協力の上にのみ成り立ち、戦争はそれを破壊する最悪の政府事業です。「平和は築き、戦争は破壊する」というロスバード氏の遺産は、現代の若い世代にも確実に受け継がれており、国家による宣伝に惑わされない真の平和への道を示しています。

アメリカ帝国の終焉加速

Trump’s War with Iran Is Even More of a Disaster than People Realize | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】米トランプ政権とイスラエルによるイランへの大規模な攻撃が開始されましたが、この記事の著者は、この戦争が一般に認識されているよりもはるかに深刻な大惨事を招くと警鐘を鳴らしています。トランプ大統領は、この軍事作戦の目的を「イラン国民を現体制から解放すること」と説明し、最高指導者ハメネイ師を含む多数の幹部を殺害しました。しかし、実際には親欧米的な後継政権を樹立する準備は整っておらず、この作戦の真の狙いは「体制転換」ではなく、イランという国家そのものを崩壊させ、イスラエルの地域覇権を確固たるものにすることにあると分析されています。たとえイランが内戦状態の「破綻国家」になったとしても、アメリカやイスラエルにとっては戦略上の成功と見なされるからです。

現在、両国はイランの弾道ミサイル能力を無力化するために空爆を続けていますが、これには大きなリスクが伴います。イラン側が放つ大量のミサイルやドローンを迎撃するための防空ミサイルは、製造コストが極めて高く、在庫が底をつけばアメリカやイスラエルは無防備な状態に陥ります。さらに、石油インフラへの被害やホルムズ海峡の封鎖による経済的打撃に加え、米国内のイスラム教シーア派教徒による報復テロの懸念など、戦火は戦場以外にも波及し始めています。トランプ政権は泥沼の国家建設は行わないと主張していますが、真空地帯となったイランに中国などのライバルが入り込むのを防ぐためには、結局のところ際限のない介入を余儀なくされる可能性が高いのです。

筆者はさらに踏み込み、この戦争がアメリカ帝国の終焉を早めると主張しています。40兆ドル近い借金を抱え、インフレに苦しむアメリカ国民にとって、外国の利益や軍産複合体のために戦う不必要な戦争は、国を豊かにしてきた制度や道徳を破壊する毒でしかありません。歴史を振り返れば、あらゆる帝国は過度な軍事拡張によって自滅してきました。今回のイラン攻撃は、国家の危機を救うために選ばれたはずのトランプ政権が、逆に危機を加速させる「帝国プロジェクト」に固執していることを示しています。私たちは、軍事介入によって恒久的な平和が訪れるという嘘や、この巨大な戦争国家が維持可能であるという幻想を拒絶しなければなりません。帝国としての没落を回避するためには、この破壊的な道から今すぐ決別する必要があるのです。

欧州エリートの悪あがき

Desperate Euro-Elites Refuse to Accept Their Strategic Defeat - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】ロシアによるウクライナでの特別軍事作戦が開始されてから4年が経過し、ロシアが着実に目標を達成しつつある一方で、戦略的敗北を認められない欧州のエリートたちが、極めて危険で非合理な行動に出ていると警告する論考を紹介します。

記事によれば、フランスの「小さな王」や英国の指導者たちは、核弾頭を修復してウクライナに引き渡し、それを英国製ミサイルでロシア本土攻撃に使用させるという恐るべき計画を立てているとロシアの対外情報局が調査結果を出しています。これに対しロシアのメドベージェフ副議長は、紛争当事国への核兵器供与は国際法を破壊する行為であり、ロシアは自国への脅威となるウクライナ国内の標的だけでなく、供給国に対しても非戦略核兵器を含むあらゆる手段で反撃せざるを得なくなると警告しています。これは第3次世界大戦への明確な道筋であり、事態は深刻です。

実際に、2025年8月に発表された新型ミサイル「フラミンゴ」が、既にロシアの核の盾を支える大陸間弾道ミサイル工場などを攻撃しており、これにはNATOやアメリカの技術的指導が介在していると分析されています。ロシアの戦略的敗北を執拗に追い求める西欧のエリートたちは、外交的解決の道をことごとく破壊しようとしていますが、プーチン大統領が指摘するように、ロシアに戦略的敗北を喫させることは不可能です。記事は、これら「エリート」の正体を、一国の政府を超越した超国家的なダイナスティ(王朝)であると定義しています。彼らはシティ・オブ・ロンドンや国際決済銀行、ブラックロックといった金融機関、そして軍産複合体を操り、ルールを自ら書き換えることで世界を支配してきました。彼らにとってロシアとの平和は、自らの歴史的伝統や支配構造に反するものであり、選択肢にはありません。

そのため、バルト海から黒海に至る海上封鎖や、天然ガスパイプラインへのテロ攻撃といった最大限の挑発が今後も続くことが予想されます。2025年5月に採択された欧州連合の黒海戦略も、ロシアを封じ込めるための軍事的道具に過ぎません。しかし、世界を意のままに操ろうとする彼らの傲慢な試みは、最終的に自らが後悔する破滅的な結果を招くことになると記事は結んでいます。欧州の政治家たちが自国民の命を顧みず、アメリカの80年にわたる支配の下で思考停止に陥っている現状は、極めて危うい段階に達していると言わざるを得ません。

国際法秩序の破壊

This Illegal US-Israeli Attack on Iran Is Also an Assault on the United Nations - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な経済学者ジェフリー・サックス氏らが発表した寄稿記事によれば、2026年2月にアメリカとイスラエルがイランに対して行った攻撃は、国連憲章に明白に違反する不法な侵略であり、国際法秩序そのものを破壊しようとする暴挙であると厳しく指弾されています。

この攻撃は国連安保理の承認もなく、自衛権の行使という正当性も欠いており、その本質はアメリカによる世界覇権の追求にあります。記事は、同月の安保理緊急会合において、アメリカの同盟国である英国やフランス、デンマークなどが、被害者であるはずのイランを非難し、侵略者であるアメリカとイスラエルを擁護した姿勢を、現実を逆転させた恥ずべき醜態であると切り捨てています。これらの国々が自国に米軍基地を抱え、主権を制限された「属国」のように振る舞っているのに対し、ロシアや中国、アラブ連盟などの代表こそが、危機の根源はイスラエルによるパレスチナ人の権利否定と地域支配の野望にあるという真実を語ったと評価しています。

今回の共同攻撃は、イランの核開発阻止という口実で行われましたが、実際にはかつての核合意を一方的に破棄したのはトランプ政権であり、対話の最中に攻撃を仕掛けるという不誠実な手法が取られました。攻撃はイランの指導者のみならず、ミナーブの学校で140人以上の少女たちの命を奪うという凄惨な戦争犯罪を引き起こしています。記事は、イランが米軍基地に報復することは国連憲章51条に基づく正当な自衛権の行使であると主張しています。さらに、アメリカの真の狙いは中東の石油資源を強奪し、ロシアや中国への供給を遮断して自国の支配力を維持することにあると分析しています。

しかし、世界の人口のわずか4パーセントに過ぎないアメリカが、多様な世界を支配し続けることは不可能です。国連が生き残るためには、もはやアメリカの地にある本部に頼るのではなく、ブラジルやインドなど多極化する世界の拠点へと分散させる必要があると提言しています。イスラエルについても、聖書や過去の悲劇を口実に恒久的な戦争と占領に依存し続けるならば、自ら破滅への道を歩むことになると警告し、今こそ安保理はアメリカの軍事的影響を排し、国際平和の守護者としての役割を取り戻すべきだと結んでいます。

不当かつ違憲な戦争

Trump’s Unjust and Unconstitutional War - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】トランプ大統領が命じたイランへの攻撃を巡り、擁護派は「短期的な電撃作戦だから戦争ではない」と主張していますが、これはジョージ・オーウェルの描いた詭弁そのものです。2000ポンド爆弾が軍事目標に投下され、無数のミサイルが民間人と軍人を区別せず降り注ぐ光景を、戦争以外の言葉で表現することはできません。この事態を正しく認識した上で、道徳的、憲法的、そして法的な観点から分析する必要があります。

まず、道徳的な側面から「正義の戦争」の基準に照らすと、今回の軍事行動はいずれの条件も満たしていません。正義の戦争とは、差し迫った暴力や大規模な不正を回避するための最終手段であり、非戦闘員の殺害を避け、目的と手段が釣り合っていることが求められます。しかし、トランプ氏の戦争は議会の宣戦布告もなく、米国に対する差し迫った脅威も特定されていません。さらに先週末には、学校にいた150人の少女たちが犠牲になり、テヘランの病院も攻撃されました。外国の政府を転覆させたり、敵を前に無力化したりすることに道徳的・法的な根拠はなく、その目的も不透明なままです。

憲法上の問題も深刻です。合衆国憲法の起草者であるジェームズ・マディソンらは、大統領が宣戦布告と戦争遂行の両方の権限を握れば、それは大統領ではなく「君主」になってしまうと考えました。そのため、戦争を開始する権限は議会に、遂行する権限は大統領にと明確に分離したのです。大統領が独断で戦争を始め、後から議会がそれを追認するような事態が常態化すれば、憲法は死文化してしまいます。たとえ1973年の戦争権限決議に従ったとしても、そこには「差し迫った脅威」が必要です。国防長官は「イランがいつか米国を攻撃する野心を持っている」と述べるに留まっており、それは憶測に過ぎず、緊急の防衛義務を正当化するものではありません。

さらに、大統領は本来議会全体に報告すべきところを、秘密保持義務がある「ギャング・オブ・エイト(8人の幹部議員)」だけに報告し、国民や他の議員から真実を隠しています。これは、米国が自ら起草し批准したジュネーブ条約や国連憲章にも違反する不法な「選択の戦争」です。もし大統領が、道徳や法の基準を無視して国外で人々を殺害することが許されるならば、国内でも同様の暴挙に出ないという保証はどこにもありません。怪物を退治しようと国外へ出向く行為は、その怪物を自国へと招き入れる結果になりかねません。道徳秩序と憲法政治、そして個人の自由にとって、極めて危険な時代が訪れています。

イラン攻撃という「聖戦」

US Military Leaders Tell Troops Trump Is Waging Iran War To Bring Forth Second Coming Of Jesus - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権が中東での「終わりのない戦争」を終結させるという公約を裏切り、イランとの戦争に突き進む中で、米軍内部では極めて異様なプロパガンダが展開されているとの告発が相次いでいます。宗教的自由を守る非営利団体「軍事宗教自由財団(MRFF)」によると、複数の米軍指揮官が部下の兵士に対し、今回のイランとの戦争は「イエス・キリストの再臨」を促すための黙示録的な触媒であると説明しているというのです。MRFFにはすでに30カ所の軍拠点、40以上の部隊に所属する兵士から100件を超える苦情が寄せられています。ある下士官の報告によれば、部隊指揮官は「トランプ大統領はハルマゲドンを引き起こし、イエスの地上再臨の合図を灯すために選ばれた存在だ」と主張し、ヨハネの黙示録を引用しながら、この戦争が神の聖なる計画の一部であると説いているとのことです。

こうした軍内部での動きに対し、ホワイトハウス側は終末予言を利用した支持固めの事実を否定しています。政府当局者は、今回の「オペレーション・エピック・フューリー(壮大な怒り作戦)」の目的は、あくまでイランの弾道ミサイル開発や軍需産業、海軍の壊滅にあると強調しました。しかし、MRFFのマイキー・ワインスタイン会長は、寄せられた110件の苦情すべてが「聖書によって承認された戦争」という同一の物語を裏付けていると指摘します。国防総省のトップであるヘグセス国防長官自身も、かつてエルサレムで「神殿の再建」の可能性に言及するなど、キリスト教的価値観を米国の統治の根幹に据えるべきだという持論を展開しており、こうした思想が軍の指導層に深く浸透している懸念を拭い去れません。

また、政権に近い宗教指導者たちもこの動きを後押ししています。テキサス州のメガチャーチの牧師であるジョン・ヘイギー氏は、開戦直後の説教で、現在の出来事は預言の成就であると述べ、トランプ氏が進める戦争を全面的に支持するよう信者に呼びかけました。彼はイランだけでなくロシアをも含む「神の計画」を示唆しており、さらなる衝突の予兆とも受け取れます。さらに、大統領の精神的アドバイザーであるポーラ・ホワイト氏などの影響もあり、トランプ政権が米国の国益よりも、特定の宗教的・政治的なイスラエル支持の利益を優先しているのではないかという批判が強まっています。

実際に、マルコ・ルビオ国務長官はイスラエルの行動を事前に把握していたことを認めており、上院情報委員会のマーク・ウォーナー議員も「米国への差し迫った脅威はなく、あったのはイスラエルへの脅威だ」と断言しました。MRFFに寄せられた告発は、トランプ政権によるイランとの戦争が、単なる政治的・軍事的な判断ではなく、歪んだ宗教的ナショナリズムに基づいた「聖戦」として軍内部で正当化されている実態を浮き彫りにしています。それはキリスト教本来の教えというよりも、特定の政治的権力に従属した危険な思想の現れと言えるかもしれません。

米・イスラエルの戦略なき戦争

Iran and Washington's War Without Strategy | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ政府は、短期間で決着がつくと踏んで、宣戦布告なき不法な対イラン戦争を開始しました。しかし、開始から4日目を迎えた現在、当初4、5日で終了するとされた作戦期間は数週間に修正され、ドナルド・トランプ大統領自身もさらに長期化する可能性を認めています。この無計画な軍事行動により、すでに6人の米兵が戦死し、世界の石油供給の5分の1が通過するホルムズ海峡は事実上閉鎖されました。経済への打撃も深刻で、ダウ平均株価は1000ドル以上急落し、ガソリン価格は1日で過去4年で最大の跳ね上がりを見せています。米議会の承認も、国民の民主的な同意もないまま強行されたこの戦争は、法の支配や権力分立を信じる人々にとって極めて憂慮すべき事態です。

イラン側は、トランプ大統領がイタリアなどを通じて打診した停戦提案を即座に拒絶しました。イランにとって、かつてイスラエルとの衝突で見せた停戦の合図は、敵に再武装と体制立て直しの時間を与えるだけのものだったという苦い教訓があるからです。現在のイランの戦略は、単なる報復ではなく、戦争を継続するコストがワシントンにとって耐えがたいものになるまで攻撃を緩めないという冷徹な計算に基づいています。ハメネイ最高指導者の暗殺は、イランの戦意をくじくどころか、政権内の抑制的な声を消し去り、各軍事部門が中央の統制を離れて独自に動くという、より予測不能で危険な状況を招きました。

特に深刻なのは、戦場が軍事施設に留まらず、中東の社会基盤そのものに広がっている点です。ドバイやクウェートの国際空港、さらにはサウジアラビアの米大使館や民間ホテルまでもが攻撃対象となっています。この地域の経済を支えているのは、人口の約9割を占める外国人契約労働者ですが、戦争が長引けば彼らの一斉脱出を招き、金融や物流の基盤が崩壊しかねません。また、湾岸諸国の飲料水の大部分を賄う海水淡水化プラントが攻撃されれば、数日以内に都市の維持が不可能になるという構造的な脆弱性も抱えています。

さらに、アメリカ側の弾薬不足も浮き彫りになっています。主力兵器であるトマホーク巡航ミサイルの在庫は限られており、現在の生産能力では消費した分を補充するのに10年単位の時間が必要です。政治的な野心と産業の実態が乖離したまま、戦略なき戦争に突入したツケは、今後さらに膨らむでしょう。ワシントンは軍事的な勝利を期待していましたが、現実に手にしたのは、閉鎖された海峡、兵士の遺体、そして制御不能な地域経済の自由落下です。独断で戦争を始められる権力の集中が、再び最悪の決断を下したと言わざるを得ません。

イラン攻撃と嘘の帝国

The 'Empire of Lies' Comes for Iran | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】ベンジャミン・フランクリンは「良い戦争も、悪い平和も存在したことはない」という名言を残しました。現在、この2年間で3度目となるイランへの攻撃が開始されています。健全な人間性を持つ人々は、破壊と惨劇が最小限に留まることを祈るばかりですが、事態の推移は極めて暗いものに見えます。戦争というものは、常に予期せぬ方向へと進むものです。ペルシャ湾地域は経済、宗教、文化、そして地政学的な利害が複雑に絡み合った場所ですが、アメリカの政治家たちは、自らが選択した戦争がもたらす結果や、こうした複雑な利害関係を理解する能力があることを一度も証明できていません。かつてジョージ・W・ブッシュ大統領は、イラクに侵攻した際、皮肉にもイランを増長させる結果を招きましたが、彼はイスラム教のスンニ派とシーア派の存在すらまともに把握していませんでした。当時、当局者は大量破壊兵器の所在を確信していると豪語し、戦争は数週間で終わると断言しましたが、そのすべてが間違いだったのです。

2021年のアフガニスタン撤退の際にも揶揄されたように、ワシントンは20年の歳月と数兆ドルもの巨費、そして4代の大統領を費やして、結局「タリバンをタリバンに置き換えた」だけでした。さらに忘れてはならないのは、わずか1年前、かつて米国政府から1000万ドルの懸賞金をかけられ、国際テロリストに指定されていたアーメド・アル・シャラ(旧名アル=ジュラニ)を、ディープステートがシリアの大統領に据えたという事実です。かつての「首切りテロリスト」は、今やホワイトハウスのオーバルオフィスでドナルド・トランプ大統領に歓待される存在となりました。米国の世界的な軍事帝国、いわば「嘘の帝国」は、武力を行使することはできても、政権転覆を目的とした戦争が引き起こす結末を理解することは全く不可能なのです。

合衆国憲法が宣戦布告の権限を行使できるのは国民の代表である議会のみであると定めたのは、まさにこうした理由からです。建国者たちは歴史的な教訓から、国家元首や行政部門には不要な戦争を始める傾向があることを知っていました。だからこそ、自らの命や財産を投じることになる国民自身が、選挙で選ばれた代表を通じて慎重に判断を下すべきだと考えたのです。しかし、現状ではトランプ大統領やピート・ヘグセス国防長官がイランへの地上軍投入の可能性に言及し、イスラエルは核兵器の使用を公然と示唆しています。戦争の最初の犠牲者は「真実」であるという格言を忘れてはなりません。私たちは、ワシントンの大理石の宮殿に届くよう、破壊と殺戮を制限するための声を上げ続ける必要があります。

イランがトランプ氏に勝つ方法

How Iran Can Defeat Donald Trump [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのドナルド・トランプ政権とその国家安全保障チームは、米国がイランを圧倒しており、イランが米軍の威力に屈するのは時間の問題だという主張を続けています。しかし、現実はその筋書きとは大きく異なっているようです。アメリカとイスラエルが合同でイランのハメネイ最高指導者を殺害し、宣戦布告なき攻撃を開始してから4日が経過しましたが、イランに弱体化の兆しは見えません。それどころか、イランはドローンやミサイルによる反撃を展開し、イラク、クウェート、バーレーン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦にある米軍基地から、アメリカとそのNATO同盟国を撤退させる事態に追い込んでいます。

イランの革命防衛隊は報復として、カタールとバーレーンにある米軍のレーダーシステムを破壊しました。カタールのアル・ウデイド空軍基地では、約5000キロの探知距離を誇る高性能な早期警戒レーダー「AN/FPS-132」が撃破されました。このレーダーは、かつてイスラエルに向かうミサイルを追跡するために使用されていた重要な設備です。また、バーレーンの米海軍第5艦隊司令部にある大型レーダー・ドームも破壊されました。これにより、パトリオットやTHAAD(サード)といった防空システムの追跡能力が大幅に低下し、イランによるイスラエルへの攻撃精度が高まることになります。さらに、イランはアメリカのF15戦闘機3機を撃墜したと見られています。米中央軍は「味方の誤射」だと主張していますが、高度な識別システム(IFF)を備えた最新鋭機が同時に3機も誤射で落ちるという説明は、およそ現実的ではありません。

物流面でもイランは素早く動き、ホルムズ海峡を封鎖して海上交通を遮断しました。このまま石油や液化天然ガスの輸出が止まれば、湾岸諸国からのエネルギーに依存する国々に甚大な損害を与え、交渉における強力なカードとなります。イランは制裁解除や、イスラエルによるガザからの撤退などを要求する構えです。イランは数千機のドローンと十分なミサイルを保有しており、少なくとも2ヶ月間は激しい攻撃を維持できる消耗戦の準備が整っています。対照的に、アメリカとイスラエルの防空ミサイルは、1日100発規模の攻撃を受ければ3週間で底をつく恐れがあります。トランプ大統領は、不必要な戦争に国を巻き込まないという国民への約束を破りました。巨額の戦費と兵士の犠牲を前に、トランプ氏が苛立ちを露わにしている姿は、この戦争が彼の思惑通りに進んでいないことを物語っています。

中東緊迫、金銀の物流が停滞

Gold and silver flows disrupted as Iran war grounds flights [LINK]

【海外記事紹介】中東情勢の緊迫化に伴い、世界の金と銀の物流が深刻な停滞に直面しています。イランを巡る戦闘の影響で、アラブ首長国連邦のドバイを発着する航空便の多くが欠航しているためです。ドバイは世界有数の貴金属の輸送拠点であり、昨年の世界の金流通量の約20パーセントを占めていました。アフリカで採掘されドバイで精錬された金や、欧州からアジアへ運ばれる際の経由地としての役割を担っているのです。トレーダーや分析家は、この停滞が長期化すれば、アジア市場での地域価格を押し上げ、すでに乱高下を繰り返している貴金属価格の変動をさらに激化させると警鐘を鳴らしています。ワールド・ゴールド・カウンシルのシニア市場ストラテジストであるジョン・リード氏は、中東からの航空便の運休を受けて、金の入手可能性が大きな懸念事項になっていると指摘しました。実際、インド国内の価格は、先週金曜日にはロンドン市場に対して1トロイオンスあたり約50ドルの割安で取引されていましたが、今週月曜日にはロンドン並みの水準まで急上昇したということです。

2024年の税関データによれば、ドバイは世界第2位の金輸出拠点であり、その最大の輸出先はインドです。市場分析大手ストーンエックスのローナ・オコンネル氏は、ドバイがインド向け貴金属の重要な中継地であるため、今回の混乱で最も影響を受けるのはインドだろうと分析しています。短期的には回避策を講じることが可能でも、長引けば予測不能な事態になると懸念を示しました。アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が開始されて以降、湾岸地域からの民間航空便のほとんどが停止しています。火曜日にはドバイから数便の旅客機が離陸しましたが、関係者によれば、それらは金ではなく腐敗しやすい貨物の輸送を優先していたといいます。あるトレーダーは、現在は空路で動いているものは何もないと語り、混乱が長引かないことを願っています。通常、金は旅客機の貨物室で最大5トン、現在の価格で約8億3000万ドル分が一度に運ばれます。ロンドンのヒースロー空港では、航空会社が貨物を動かせなくなったため、すでに運び込まれた金の対応に追われています。

こうした状況は、通関手続きを終えた後に輸出が差し止められる「不渡り輸出」を発生させており、再送には複雑な手続きが必要です。市場関係者によると、ロンドンからの出荷については、現在は金よりも銀の方が大きな影響を受けているといいます。中国の個人投資家からの莫大な需要によって、今年の銀価格は激しく乱高下しており、中国国内の在庫は10年ぶりの低水準に落ち込んでいます。中東での戦争は、貴金属の流通を阻害する最新の要因となりました。昨年も、アメリカによる関税導入への懸念から米国内で貴金属の在庫が積み上がるなどの影響が出ていました。以前からドバイは、不法な金の受け入れ先であるとの批判も受けてきましたが、今回の物流網の切断は、適法な市場における需給バランスを大きく揺さぶる可能性があります。今後、空路の回復が遅れることになれば、世界的な貴金属の供給網はさらなる試練にさらされることになるでしょう。

2026-03-04

イラン戦争、米の前途に困難

John Mearsheimer says Big Trouble Ahead in Iran - Antiwar.com Blog [LINK]

【海外記事紹介】国際政治学の権威であるジョン・ミアシャイマー氏は、現在のイラン戦争について「前途に大きな困難が待ち受けている」と極めて悲観的な見通しを示しています。ミアシャイマー氏は対談で、トランプ政権がこの戦争に踏み切ったのは、アメリカ国内の強力なイスラエル・ロビーによって引きずり込まれた結果であると明言しました。マルコ・ルビオ国務長官やマイク・ジョンソン下院議長の発言を引くまでもなく、多くの国民が「これはイスラエルのための戦争だ」と理解しており、本来イランはアメリカにとって直接の脅威ではなく、攻撃する正当な理由はなかったというのが氏の立場です。

ミアシャイマー氏が特に強調するのは、アメリカとイスラエルの連合軍がこの戦争で「勝利」を収めることはほぼ不可能だという点です。彼らが望むような勝利を手にするためには、単にイランの現体制を転覆させるだけでなく、イスラエルやアメリカの意向に忠実に従う新しい指導者を据えなければなりません。しかし、氏の予測によれば、そのような服従的な政権が誕生する可能性はゼロに近いといいます。もし体制が親米・親イスラエル化しなければ、イランは確実に核濃縮能力を維持し、ミサイルやドローンの開発を続け、ハマスやヒズボラといった組織への支援も継続するでしょう。

一方で、イラン側の「勝利」の条件は極めて単純です。イスラエルやアメリカの駒(ポーン)とならずに、国家として生き残ること、ただそれだけです。たとえミサイルの在庫が大幅に減り、核施設が破壊され、インフラが甚大な被害を受けたとしても、現体制が存続するか、あるいは連合軍に屈しない新たな政権が成立すれば、それはイラン側の勝利を意味します。氏は、アメリカがほぼすべての戦いで勝利しながら最終的に敗北したベトナム戦争の例を引き、軍事的な圧倒が必ずしも政治的な勝利に直結しないことを警告しています。

イラン攻撃と米覇権主義

Did the US only attack Iran because of Israel? | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事紹介】イランへの軍事作戦をめぐり、アメリカ国内では「ワシントンはなぜ今、攻撃に踏み切ったのか」という激しい論争が巻き起こっています。かつてのイラク戦争では、ブッシュ政権が「大量破壊兵器」という大義名分を掲げて世界を説得しようとしましたが、今回のトランプ政権の手法は対照的です。トランプ氏はイランの脅威を時折口にする程度で、具体的な証拠を示すこともなく、「核を持たない」という約束さえあれば交渉可能だと主張し続けてきました。しかし、蓋を開けてみれば、ハメネイ師を殺害し、イラン体制の転覆すら視野に入れた大規模な爆撃へと突き進んだのです。

こうした急展開の背景について、リベラル派の親イスラエル団体「Jストリート」の会議に参加した専門家たちの見解は割れています。保守派のハリソン・バーガー氏は、今回の戦争は「アメリカのためではなく、すべてイスラエルのためになされたものだ」と断言しています。イランのミサイルはアメリカの本土を直接脅かすものではなく、戦う理由はイスラエルの利益を優先する「イスラエル・ファースト」にあるという主張です。実際に、ネタニヤフ首相が今回の攻撃を「私が40年間切望してきたことだ」と語ったことや、イスラエルとサウジアラビアによる数週間にわたる執拗なロビー活動があったという報道が、この説を裏付けています。

一方で、別の視点も提示されています。バーニー・サンダース上院議員の元顧問、マット・ダス氏は、すべてをイスラエルのせいにするのは分析として誤りだと指摘します。氏によれば、真の問題はアメリカとイスラエルの双方に存在する、「中東におけるアメリカの軍事覇権を維持し、イスラエルをその『保安官』として利用する」という共通のビジョンを持った勢力にあります。つまり、アメリカ側の戦略的な覇権主義もまた、この戦争を動かす大きなエンジンになっているというわけです。

現在、連邦議会ではトランプ氏の軍事行動を制限する「戦争権限決議」の採決が迫っています。野党・民主党の多くは戦争に反対していますが、一部の議員はトランプ氏が「アメリカの国益」に基づいた明確な根拠を示せば支持に回る可能性も示唆しており、議論の行方は不透明です。クリス・ヴァン・ホーレン上院議員は、「ネタニヤフ首相やサウジアラビア皇太子の政治的野心のために、アメリカ人の命を危険にさらすべきではない」と訴えています。この「選択された戦争」によってすでにアメリカ兵の犠牲も出ており、開戦を支持した者たちの責任を問う声が強まっています。

4週間の意味

U.S.-China and the Four Week Time-frame for the War on Iran - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】現在進行中のイラン戦争は、テヘランへの猛烈な爆撃やペルシャ湾の石油インフラ破壊を伴い、世界経済に深刻な影響を及ぼし始めています。トランプ大統領はこの戦争の理由を次々と挙げていますが、イランが核兵器を製造していた事実も、他国を攻撃する意図も確認されておらず、どれも説得力を欠いています。この記事の著者は、この紛争の真の核心はイスラエルからの圧力や国内の政治スキャンダルにあるのではなく、アメリカが対中国戦略において「エネルギーを武器化」しようとする帝国としての戦略的意図にあると分析しています。

具体的には、イランの膨大な石油・ガス資源を事実上の支配下に置くことで、中国のエネルギー供給をコントロールするレバレッジを手に入れ、中国を不平等な貿易協定に従わせようとしているのです。中国の超大国としての台頭を阻止し、アメリカ主導の一極集中体制を回復させることが、トランプ政権の「グランド戦略」であると指摘されています。中国側もこの意図を十分に察知しており、イランに対して情報収集やサイバーセキュリティ、さらには迎撃が困難な超音速対艦ミサイルなどの軍事技術を提供することで、間接的にイランを支援しています。また、中国は中東からの供給リスクに備え、ロシアからのエネルギー輸入を拡大するなどのヘッジ策を講じています。

注目すべきは、トランプ氏がこの戦争の期間を「4週間」と設定したことです。彼は3月末に訪中を予定しており、それまでにイランから譲歩を引き出すことで、エネルギー供給国であるイランやベネズエラの政権を力ずくで変えられるという実績を手にし、対中交渉を有利に進めたい考えです。米連邦最高裁判所によって関税政策を阻まれたトランプ氏にとって、この勝利は不可欠な「ボーナス」となります。一方で、中国はアメリカを中東の泥沼に引きずり込み、その兵器庫を枯渇させることを望んでいます。この「4週間」というタイムリミットこそが、トランプ氏が勝たねばならない期限であり、同時にイランが耐え抜くべき期間なのです。私たちは、この不均衡な戦いの行方を、この4週間という時間枠に注目して分析する必要があります。

資産を預けるリスク

Sorry, You Can’t Have Your Gold - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】銀行に資産を預けることのリスクについて、事態はより深刻な局面を迎えています。現在の銀行は、顧客の預金引き出しを困難にするだけでなく、政府と結託して合法的に資産を凍結、あるいは没収できるような仕組みを整えつつあります。さらに、貸金庫の内容物に対する報告義務や保管物の制限まで課しており、もはや銀行はあらゆる形態の富を保管する場所として、最もリスクの高い選択肢の一つとなってしまったのです。そのため、多くの人々が、初期の銀行がそうであったように、手数料を取って資産を保管するだけの専門施設へと回帰しています。

しかし、そうした施設を利用する際にも細心の注意が必要です。多くの施設は、現物の金そのものではなく、要求に応じて金を引き渡すという「契約」を販売しているに過ぎないからです。驚くべきことに、世界中で交わされているこうした金の引き渡し契約の総額は、実際に地球上に存在する金の量の150倍にものぼると推定されています。したがって、資産を守るためには現物の金を購入することが不可欠です。また、北米や欧州といった地域は経済危機の瀬戸際にあり、いざ危機が現実のものとなれば、これまでのルールは通用しなくなります。いざ金を引き出そうとしても、煩雑な手続きや役所仕事に阻まれ、最終的に現物を受け取れない可能性が極めて高いのです。

実際に、最近ではこうした予測が現実味を帯びてきています。例えばアメリカでは、海外で貴金属を購入するために送金しようとした顧客に対し、銀行が署名入りの書面の持参や電話認証、数日かかる暗号番号の送付など次々と障壁を設け、最終的に送金まで4週間も浪費させた事例があります。またオーストリアでは、自分の金を別の施設へ移そうとした顧客に対し、銀行が輸送の拒否や法外な手数料の要求、さらには「準備ができていない」といった言い逃れを繰り返し、8回もの試みの末にようやく応じるといった事態も起きています。

こうした動きの背景には、近い将来に銀行閉鎖などの緊急事態が宣言されることを見越し、各機関ができるだけ多くの資産を自らの手元に留めておきたいという思惑があります。欧州や北米といった危険な地域から資産を運び出す機会は、今まさに失われつつあるのです。

資産を守るためには、税制が低く安定した法律を持つ管轄区域を選び、その中で最も信頼できる保管施設を見極めることが重要です。欧州ならスイス、アジアならシンガポールや香港といった、投資家を保護する実績のある場所を選び、最悪の事態に備えるべきだと記事は述べています。

アメリカ帝国の破滅

Is the White House Actually the Overlook Hotel East? - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの元空軍中佐カレン・クウィアトコウスキ氏は、現在のホワイトハウスを映画「シャイニング」に登場する呪われた「オーバールック・ホテル」になぞらえ、ドナルド・トランプ大統領の精神状態とアメリカ帝国の崩壊について、極めて辛辣な批評を展開しています。筆者は、連日降り続く雪を背景に、ワシントンDCに漂う深刻な心理的異常を指摘します。トランプ氏がイランに対して拡大させている戦争は、イスラエル側の要望、すなわち中東全域でイランのミサイル能力を分散させ、イスラエルが一手に攻撃を受けないようにするという政治的な思惑に基づいたものです。筆者は、ネタニヤフ首相が自国の覇権のためにアメリカ人の命と生活を利用していると断じ、これに同調するルビオ国務長官らの支離滅裂な説明を厳しく批判しています。

特にトランプ氏がSNSで行った、米軍の弾薬兵器は「事実上無制限」であり「永遠に勝ち続けられる」といった投稿について、筆者は現実から乖離した嘘であると切り捨てます。バイデン前政権がウクライナのゼレンスキー大統領に兵器を無償提供して在庫を枯渇させたと主張する一方で、自分こそが軍を再建したと誇示するトランプ氏の言動は、もはや現実と幻想の区別がつかなくなっている劇中の主人公ジャック・トランスの崩壊した精神状態に重なるといいます。イランへの攻撃についても、当初の目的であった政権交代や核能力の抹消は、情報の混乱や稚拙な作戦によって失敗に終わっていると指摘します。最高指導者ハメネイ師の暗殺はかえってイランの核兵器禁止の方針を転換させる恐れがあり、米政府がかつてのテロリストを支持した過去の矛盾も露呈しています。

筆者は、建国250周年という節目の年に、アメリカ帝国の終焉を目の当たりにしていることへの恐怖を綴ります。トランプ氏が語らない莫大な戦費や、失われた外交的なソフトパワー、そして政府に対する国民の信頼の完全な喪失こそが、彼が成し遂げた最大の「成果」であると皮肉っています。ワシントンの統治システムは腐敗し、学習能力を失った過去の遺物と化しています。筆者は、オーバールック・ホテルと運命を共にしたジャックのように、トランプ氏も燃え盛る帝国の建物とともに破滅するだろうと予測します。私たちは、現実を直視して自らの感覚を信じ、この狂気の場から一刻も早く立ち去った劇中の親子のように、ワシントンから背を向けて歩き出すべきだと結論づけています。

代表民主制の茶番

The Iran War Exposes the Farce of American "Representative Democracy" | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】2026年3月、トランプ政権が議会の承認や国民の合意を得ることなくイランとの大規模な戦争に突入したことは、米国の「代表民主制」がもはや形骸化している事実を改めて浮き彫りにしました。最新のロイター調査によれば、この戦争を支持する米国民はわずか27%に過ぎません。それにもかかわらず、政権は開戦の理由を「政権交代」から「実体のないミサイルの脅威」へと次々にすり替え、国民の声とは無関係に戦火を拡大させています。

マルコ・ルビオ国務長官は、イスラエルによる対イラン攻撃計画が米軍基地への報復を招く恐れがあったため、先制的に戦争を始めたと述べ、実質的にイスラエルが米国を戦争に引き込んだことを示唆しました。しかし、トランプ大統領はこの説明を否定し、「私が彼らに(攻撃を)強制したのかもしれない」と述べるなど、政権内でも説明が支離滅裂な状態です。ここには、納税者の負担や国民の自由、あるいは議会の存在といった民主主義の根幹に対する配慮は微塵も感じられません。

今回の事態は、米国の支配層にとって一般市民の意思がいかに無価値であるかを証明しています。トランプ氏は2024年の選挙戦で「平和の候補者」を自任し、戦争を終わらせると公約して当選しましたが、就任から1年も経たないうちに、かつてのブッシュ政権やオバマ政権、バイデン政権と変わらない軍事介入を繰り返しています。マイク・ハッカビー駐イスラエル大使に至っては、「特定の政策の方向性を決めるために世論調査を行うような世界には住んでいない」と断じ、国民の大多数が反対していても、特定の利害関係者の意向を優先する姿勢を隠そうともしません。

政治学者ギレンズとペイジによる2014年の研究や、マツサカ(2017年)、バーバー(2016年)らの調査が示す通り、米国の政策決定において一般市民の意見が反映される割合は極めて低く、経済エリートや組織化された利害関係者の意向が圧倒的な影響力を持っています。特に中東政策においては、強力なロビー団体や富裕な献金者の意向が優先され、国民の安全や利益は二の次とされています。選挙で誰を選ぼうとも、背後で糸を引く「エリート」たちの支配構造が変わらない限り、米国の外交政策は今後も国民の意思を置き去りにしたまま突き進むことになるでしょう。

トランプ氏の危険な賭け

The End to Deceptive Trumpian Diplomacy - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイランの外交交渉は、調停者たちの楽観的な喧騒とは裏腹に、決定的な行き詰まりを露呈させる結果となりました。元外交官のアラスター・クルーク氏は、アメリカが提示した要求が、そもそも外交的解決を促すためではなく、交渉を妨害するために策定されたものだったと鋭く指摘しています。

アメリカ側の要求は、フォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの核関連施設の完全解体、濃縮ウランの全量引き渡し、そして恒久的な濃縮ゼロの受け入れという、イランにとっては降伏に近い過酷な内容でした。これに対しイラン側は、民生用ウラン濃縮の権利を主張し、ウランの国外移送や無期限の制限を拒否しました。イランのアラグチ外相は交渉後、「これまでで最も充実した会談だった」と述べて外交努力を強調しましたが、クルーク氏によれば、アメリカ側の攻撃決定は、交渉の行方とは無関係に、すでに2025年12月のマー・ア・ラゴでのトランプ・ネタニヤフ会談で下されていたといいます。

トランプ大統領にとって、この紛争は戦略的な計算以上に、自身の「強さ」と歴史的な「功績」を誇示するための心理戦の側面が強まっています。国内向けには「イランの弾道ミサイルからアメリカを守る」という大義名分を掲げていますが、実際にはイスラエルの覇権を盤石にすることが主眼であり、米国民の反発を避けるためにイスラエルに先制攻撃をさせるという筋書きさえ用意されていました。トランプ大統領は数日間の短期間で終わる「血まみれの戦争」の後に、自ら「平和の使者」として勝利を宣言する青写真を描いていたようですが、現実はその思惑を大きく超えています。

イランは攻撃を受ければ全域で総力戦を展開すると警告しており、事実、開戦初日からペルシャ湾各地の米軍基地は火の海となりました。主要な石油会社はホルムズ海峡の通航を見合わせ、中東全域を巻き込む長期戦の様相を呈しています。クルーク氏は、トランプ大統領が自ら招いたこの「パンドラの箱」によって、自身の政権だけでなく、ドル覇権や世界の地政学的秩序そのものを沈没させかねない危険な賭けに出ていると警鐘を鳴らしています。

財政危機を救う劇薬

Peter Schiff: It’s Time to Axe Entitlements | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済学者であり金投資の擁護者でもあるピーター・シフ氏が、最新のインタビューで米国の財政状況と貴金属市場の現状について極めて厳しい見解を述べています。シフ氏はまず、金と銀のテクニカルな強さを強調しました。金は5000ドル付近で強力な支持線を形成しており、銀にいたっては1980年代から市場の重石となっていた1オンス50ドルという歴史的な「ダブルトップ」の壁を完全にはねのけ、現在は87.5ドル付近で推移しています。同氏によれば、これは単なる短期的なトレードの対象ではなく、既存の法定通貨制度に対する信認が揺らいでいる明確なシグナルです。

住宅市場についても、シフ氏は手厳しい批判を投げかけています。政府が「住宅の購入しやすさ」を謳いながら、実際には価格の下落を阻止し、さらなる上昇を画策している矛盾を指摘しました。自由市場における本来の解決策は、高騰しすぎた価格が下がることですが、政府は不自然に金利を操作して人々により多くの借金をさせ、割高な物件を買わせようとしています。このような政策はドルを弱体化させ、さらなるインフレを招くだけの「最悪の経済政策」であると同氏は断じました。

また、ビットコインについては依然として懐疑的です。シフ氏はビットコインを「価値の保存手段」ではなく、単なる「投機的なリスク指標」と位置づけています。最近のビットコインの下落は、市場全体のリスク許容度が低下している前兆であり、今後AI関連株などの高リスク資産にも負の影響が波及する可能性があると警告しました。さらに為替に目を向けると、歴史的なチャートの動きからドルが長年の支持線を割り込み、スイスフランなどの主要通貨に対してさらに下落していくとの予測を示しています。

最後に、米国の財政を救うための「劇薬」として、シフ氏は政府支出の抜本的な削減を訴えました。これには、政治家がこれまで決して触れようとしなかった社会保障やメディケア、メディケイドといった「エンタイトルメント(給付事業)」の削減、さらには軍事費の大幅な縮小も含まれます。同氏は、農業補助金などの不要な政府プログラムを廃止し、規制緩和や政府機関の縮小を徹底的に行わない限り、ドルの健全性を取り戻すことは不可能だと主張しています。

中央銀行の金購入に広がり

Central Bank Gold Buying Modest in January as New Players Enter the Market [LINK]

【海外記事紹介】2026年が幕を開け、世界の中央銀行による金購入の動きに興味深い変化が見られています。マイク・マハリー氏が紹介するワールド・ゴールド・カウンシルの最新データによれば、1月の純購入量は5トンに留まり、記録的な高値圏にある金価格の影響で買いのペースは一時的に鈍化しました。しかし、この記事の筆者が注目しているのは、単なる数字の増減ではなく、買い手の層がこれまでにない広がりを見せているという新しい潮流です。

例えば、マレーシア国立銀行が2018年以来となる3トンの購入に踏み切り、韓国銀行も2013年以来となる金投資の再開を表明しました。1月に最も積極的に動いたのはウズベキスタンで、9トンの金を追加し、外貨準備に占める金の割合は2020年の57%から86%にまで急上昇しています。また、チェコ共和国も「ゆっくり、着実に」という戦略のもと、35ヶ月連続となる購入を続け、2028年までに100トンの大台に乗せる計画を堅持しています。

一方で、中国については公表されている「15ヶ月連続の購入」という公式な数字の裏に、別の顔があると筆者は指摘しています。公式発表では1月の増加分は1トンとされていますが、一部の調査によれば、中国人民銀行は公表されていない「簿外」で大量の金を買い集めており、その実態は公式データの2倍以上に及ぶ5000トンを超えている可能性も取り沙汰されています。対照的に、売却側に回ったのはロシアで、継続的な制裁による経済への打撃を和らげるために9トンを放出したと見られています。

こうした1月の動きは、2025年通年の傾向とも一致しています。2025年の世界の中央銀行による純購入量は863.3トンと、記録的な高水準だった前年からは21%減少したものの、2010年から2021年の平均である473トンを大きく上回り、歴史上4番目の規模を記録しました。価格の高騰が買い控えを誘っている面は否定できませんが、戦略的な金保有への関心は微塵も揺らいでいません。ワールド・ゴールド・カウンシルの調査では、中央銀行の95%が今後12ヶ月間に世界の金準備が増加すると予測しており、経済や地政学的な不透明感が続く限り、この金回帰の流れは2026年以降も続いていくことが予想されます。 

金は戦争で買いか?

How Has War Impacted the Gold Price in the Modern Era? [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイランの間でついに直接的な武力衝突が始まったことを受け、長期化する恐れのあるこの紛争が今後の金価格にどのような影響を及ぼすのか、多くの投資家が注視しています。著者のマイク・マハリー氏は、1980年代以降の現代における歴史的なパターンを分析し、戦争そのものが金価格の長期的な軌道を決定づけるわけではないと指摘しています。

確かに、紛争の勃発直後には「安全な資産」としての需要から価格が一時的に跳ね上がる「セーフヘイブン・バンプ」が見られます。今週月曜日にも金価格は一時5300ドルを超えましたが、翌日にはドル高や連邦準備理事会(FRB)による高金利政策の維持観測から、その上昇分を吐き出しました。過去の事例を振り返ると、1989年の砂漠の盾作戦やその後の砂漠の嵐作戦、2003年のイラク侵攻、そして2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際も、開戦前後には価格の急騰が見られました。しかし、こうした戦争による勢いは、市場が事態の推移を把握し始めると急速に衰退するのが現代の特徴です。

むしろ市場を動かしているのは戦争そのものではなく、開戦の可能性を巡る「不確実性」であり、ひとたび戦争が始まれば、インフレ期待や金利政策、経済の全般的な状況といった他の要因が主役の座を奪い返します。例えば、アフガニスタン紛争や第2次イラク戦争の期間中、金は10年に及ぶ強気相場にありましたが、それは戦争によるものというより、2008年の金融危機に至るまでのFRBの金融緩和が主因でした。逆に、ウクライナ侵攻の際は、開戦直後に2000ドルを超えたものの、FRBがインフレ対策として利上げを開始すると、価格はすぐに下落に転じました。

結論として、現代の戦争時における金価格は、戦場での見出しよりも経済や金融政策によって左右されます。もちろん戦況の変化で価格は乱高下しますが、それは一時的なものに過ぎません。金が最も大きな上昇を見せるのは、長期化した紛争に「積極的な金融緩和」や「実質金利のマイナス」、「政府債務の増大」が組み合わさった時です。戦争には莫大な費用がかかるため、中央銀行はしばしば政府の支出を支えるために低金利や量的緩和を余儀なくされます。現在のイランとの紛争が早期に終結すれば金価格への影響は限定的ですが、もし長期化すれば、1970年代のスタグフレーションを招いたベトナム戦争時代のような深刻な経済的波及効果をもたらす可能性があります。現代の脆弱な経済基盤を考えれば、この紛争がさらなる混乱の引き金になる懸念は拭えません。

2026-03-03

トランプ戦略の本質

The Last King of Persia - by Radio Far Side [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのオルタナティブメディアである「ラジオ・ファー・サイド」に掲載された、トランプ政権下の対外政策を痛烈に批判する論評をご紹介します。著者は、イスラエルとアメリカによる最近の軍事的な動きを、自ら泥沼に足を踏み入れるような愚行だと断じています。

例えば、もしアメリカがクリスマスに理由もなく爆撃を受け、多くの犠牲者が出たとしたら、国民は政府を倒すのではなく、旗の下に集結し団結するはずです。同様に、1980年代のイラク戦争以降、目立った武力行使をしていないイランへの攻撃は、国民を現体制の支持へと向かわせるだけだと指摘しています。また、スンニ派組織であるハマスの行動を理由に、シーア派国家であるイランを攻撃することは、カトリックと対立する正教会を理由にロシアを攻撃するような支離滅裂な論理であると批判しています。

こうした状況を招いた背景として、著者はアメリカ議会が本来の権限を放棄し、無力な社交クラブに成り下がっている現状を嘆いています。現在のトランプ氏の戦略の本質は、1990年代からのネオコンの悲願である中国の切り崩しにあると著者は分析します。3月末に予定される習近平国家主席との会談を前に、トランプ氏はBRICS体制を弱体化させ、交渉のカードを得ようとしています。すでにベネズエラを屈服させ、現在はBRICSの主要メンバーであるイランの解体を目論むとともに、ウクライナでの戦争を支援し、ロシアの石油タンカーを拿捕しています。さらにインドを中露から引き離そうとする一連の行動は、すべて中国へのエネルギー供給を妨害し、優位に立つための策略だというのです。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相については、自身の汚職疑惑や人道に対する罪での訴追を逃れるために、戦争を継続し利用しているだけだと非難しています。東南アジアのBRICS加盟国に住む著者は、イランへの攻勢が失敗すれば、次は自分の住む国にも米軍が押し寄せるのではないかと危惧しています。アヤトラ・ハメネイ師の殺害報道に触れ、84歳の聖職者を殺害して喜ぶ指導者たちの姿勢を皮肉りつつ、トランプ氏が軍隊を私物化して暴走する中で、議会が本来の勇気を取り戻し、罷免に動く可能性についても言及しています。

中東の混乱の根源を知るには映画「アラビアのロレンス」を見るべきだと締めくくるこの記事は、大国の思惑に翻弄される国際社会の危うさを浮き彫りにしています。

イラン「核の脅威」の嘘

Trumpy Puts Washington’s War Machine Out On Loaner to Bibi! - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】かつてレーガン政権で予算管理局長を務めたデビッド・ストックマン氏は、トランプ大統領が先週末に行ったイランへの奇襲攻撃を、「不当かつ無分別な、史上稀に見る偽善」であると激しく非難しています。トランプ氏は長年、「終わりのない戦争」への反対を叫び、平和を追求すると公約して再選を果たしました。しかし、就任から1年を経た今、彼はアメリカの強大な軍事力を、イスラエルのネタニヤフ首相に「貸し出し用の代車(ローン・カー)」のように差し出し、全く不必要な戦争を開始したのです。

ストックマン氏は、今回の攻撃にはアメリカの国土安全保障上の正当な理由は一つも存在しないと断言します。トランプ氏がかつて「中東に8兆ドルも浪費しながら国内の道路や橋を直さないのは愚かだ」と語っていたにもかかわらず、再びネタニヤフ氏の甘い言葉と自身の巨大なエゴに操られ、過去半世紀で最も愚かな軍事介入に踏み切ったと指摘しています。同氏が作成した「21世紀の軍事介入スコア」では、ブッシュ(子)やバイデンを抑え、トランプ氏が「10戦10勝」という皮肉な結果で、最も好戦的な大統領として君臨しています。

記事では、アメリカがイランを攻撃する口実としてきた「核の脅威」の嘘を暴いています。トランプ氏自身が任命したタルシ・ギャバード国家情報長官でさえ、2025年3月の議会証言で「イランは核兵器を製造しておらず、ハメネイ師も開発を許可していない」と明言していました。これは2007年以来、17のアメリカ情報機関が一貫して到達してきた結論です。実際には、イランが保有していた濃縮ウランは、対米交渉の「切り札」として、あるいは制裁解除を引き出すための道具として製造されたものであり、核兵器化の意図はありませんでした。オバマ政権下では合意によってその97%が廃棄されましたが、トランプ氏が一方的に合意を破棄したことが、現在の在庫積み増しを招いたのです。

ストックマン氏は、ネタニヤフ氏が1992年から「あと3年から5年でイランは核を持つ」という嘘を30年以上も繰り返してきた事実を列挙し、トランプ氏がその使い古された嘘を鵜呑みにして軍事力を貸し出したことを「壊滅的な詐欺」と呼んでいます。また、イランのミサイルがアメリカ本土に届く能力も意思もないことは明らかであり、イランによる過去の犠牲者はすべて、アメリカが不必要に中東に基地を置いて兵士を危険に晒していたために起きたものだとしています。

結局のところ、今回の戦争はアメリカの国益のためではなく、ネタニヤフ氏の個人的な執念と、ワシントンに深く根を張る「戦争マシーン(軍産複合体)」の利益のために引き起こされたものです。ストックマン氏は、アメリカが今すぐ中東のすべての基地から撤退し、天然の要塞である大西洋と太平洋に守られた「要塞アメリカ」に戻るべきだと主張し、トランプ氏の変節がもたらす悲劇を強く告発しています。

中東動乱と帝国の没落

Trump's Iran War as America's "Suez Moment"?, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの歴史家ロン・ウンズ氏は、トランプ大統領によるイラン攻撃が、かつての大英帝国の没落を決定づけた「スエズ危機」になぞらえ、アメリカの覇権が崩壊する歴史的転換点、すなわち「スエズ・モーメント」になる可能性を指摘しています。70年前、第二次世界大戦の勝者として中東の支配者を自認していたイギリスとフランスは、エジプトによるスエズ運河国有化に激怒し、イスラエルと密約を結んで軍事侵攻を強行しました。戦場では勝利したものの、当時のアイゼンハワー大統領がこの侵略に反対し、アメリカの圧倒的な金融力を行使して英ポンドを追い詰めた結果、イギリスは経済崩壊の危機に直面して無条件降伏を余儀なくされました。これにより、大英帝国がもはや独立した大国ではないことが世界に露呈したのです。

ウンズ氏は、今回のイラン戦争が同様の結末をアメリカにもたらすと予測します。トランプ氏はイラン周辺に空軍・海軍力の半分に相当する巨大な戦力を集結させましたが、軍事専門家によれば、イランとの戦争は朝鮮戦争以来の困難な戦いになり、わずか数日で弾薬が底をつく可能性すらあります。それ以上に致命的なのは、世界最大の石油の要所であるホルムズ海峡の封鎖です。すでにタンカーの通行量は激減しており、原油価格の高騰は世界経済に深刻なダメージを与え始めています。しかし、アメリカにとって真の脅威は軍事的な敗北ではなく、中国による「無血の金融・経済的打倒」であると同氏は論じています。

中国は自国の石油輸入の15%をイランに依存しており、アメリカによる中東の完全支配を看過できません。ウンズ氏の分析によれば、中国は軍隊を派遣せずとも、アメリカがベネズエラに対して行った石油封鎖という前例を逆手に取り、台湾に対して同様の「合法的な封鎖」を宣言するだけで、アメリカを屈服させることが可能です。台湾は世界最大の半導体生産拠点であり、特に現在のアメリカ経済を支えるAIブームに不可欠な最先端チップの供給を独占しています。もし中国が台湾を封鎖し、チップの供給を遮断すれば、数週間でアメリカのハイテク株は暴落し、数十兆ドル規模の資産が霧散して、米経済は再起不能な打撃を受けることになります。

かつてイギリスがアメリカの金融圧力に屈したように、現代のアメリカも中国の経済的包囲網によって、一発の銃弾も交えることなく戦略的敗北を喫する可能性があるのです。トランプ氏が「アメリカ・ファースト」を掲げながら始めたこの戦争は、皮肉にもアメリカがもはや世界を支配する唯一の超大国ではないことを証明し、建国以来の憲法システムや共和制の終焉を招く「断崖」への一歩になるかもしれないと、ウンズ氏は強い危機感を持って警告しています。

ギャバード氏は長官辞任を

Tulsi Gabbard Should Resign - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ国家情報長官(DNI)であるタルシ・ギャバード氏は、即刻辞任すべきである。この記事の著者ハンター・デリス氏は、先週末に起きたアメリカとイスラエルによるイランへの奇襲攻撃を受け、彼女が自身の信念を貫くか、あるいは「アメリカ・ファースト」運動における信頼を完全に失うかの瀬戸際に立たされていると論じています。ギャバード氏はかつて民主党に所属していた際、ヒラリー・クリントン氏を「戦争屋の女王」と公に批判し、中東での終わりのない戦争に反対する旗手としてその地位を築きました。2019年の大統領選討論会では、「イランとの戦争はイラク戦争よりも壊滅的な被害をもたらす」と警告し、「イランとの戦争反対」と書かれたTシャツを販売していたほどです。

しかし現在、彼女はトランプ政権の一員として、かつて自らが警告したまさにその「イランとの戦争」を主導する立場に置かれています。彼女は長官就任後、ホワイトハウスの公式ラインと自身の信念との間で危ういバランスを保とうとしてきました。例えば、エドワード・スノーデン氏を裏切り者と呼ぶことを拒み、イランが核兵器を製造していないという過去20年来の知見を議会証言で再確認するなど、事実に基づいた誠実な姿勢を見せる場面もありました。しかし、トランプ大統領が「彼女の言うことなど気にしない」と公言し、イラン攻撃を強行したことで、その影響力は完全に形骸化しています。

さらに、ホワイトハウス側も彼女を警戒しており、ベネズエラでのマドゥロ政権転覆計画の策定からは、彼女が軍事行動に反対することを恐れて排除されていたと報じられています。政権内では、彼女の役職名であるDNIをもじって「Do Not Invite(呼ぶな)」という皮肉な冗談さえ飛び交っていました。そして今、アヤトラ・ハメネイ師は殺害され、イランは地域全域を巻き込む報復戦争に踏み切りました。米兵の命が失われ、ホルムズ海峡が封鎖されるという、彼女がかつて予測した最悪のシナリオが現実となっています。

デリス氏は、1915年にウッドロー・ウィルソン大統領の好戦的な姿勢に抗議して辞任したウィリアム・ジェニングス・ブライアン国務長官の例を引き合いに出し、ギャバード氏も同様の決断を下すべきだと主張します。自らの信念を犠牲にしてまで政権に留まることは、国への義務に背く行為であり、平和を願う支持者への裏切りに他なりません。彼女に残された道は、名誉ある辞任によって自らの魂と「アメリカ・ファースト」の真の精神を守ることだけなのです。

金の利便性高める技術

Schiff on Kitco News: Tokenization Signals a New Era for Gold | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論客ピーター・シフ氏は、Kitco Newsのインタビューにおいて、金(ゴールド)が「中央銀行による需要」と「現物のトークン化」という二つの強力なエンジンによって、新たなフェーズに突入したと語っています。シフ氏によれば、金相場は過去25年にわたる長期的な強気市場の継続にありますが、ここ数年で起きた決定的な変化は、世界の中央銀行が公的な買い手として本格的に復帰したことです。この傾向は今後さらに加速し、ドルに代わる資産としての金の地位を盤石にすると同氏は見ています。

特に注目すべきは、金の実用性を劇的に高める「トークン化」の動きです。シフ氏は、ビットコインのような裏付けのないデジタル資産とは異なり、現物の金に裏打ちされたトークンこそが、現代の決済システムと実物資産を繋ぐ架け橋になると主張します。これは単なる価値の保存手段ではなく、商業取引で実際に使える「真の通貨」としての機能を金に取り戻す試みです。トークン化された金を利用すれば、銀行に預金してその銀行の債権者になるというリスクを負うことなく、ATMやデビットカードのような利便性を享受できます。つまり、銀行システムや法定通貨システムから脱却するための現実的な手段となるのです。

また、シフ氏は米国の深刻な財政問題についても警鐘を鳴らしています。政治的に社会保障や医療制度のカットが困難である以上、赤字は膨らみ続け、インフレは避けられない運命にあります。同氏は、次の危機は2008年の金融危機を遥かに上回る規模になると予測しています。前回の危機は住宅ローン債務者の信用問題でしたが、次に来るのは「世界最大の借り手」である米国政府自体の信用危機、すなわちソブリン債務危機とドルの危機です。政府が自分自身を救済(ベイルアウト)することは不可能であり、その時、逃げ場となるのは金のようなハードアセット(実物資産)しかありません。

結論として、民間投資家も中央銀行も、インフレで価値が目減りするドル建て資産に代わる選択肢を切実に求めています。金への需要拡大は一過性のブームではなく、今後何年にもわたって続く構造的なシフトであるとシフ氏は強調します。市場主導のこの大きな流れは、もはや無視できない段階に達しているのです。

裏目に出たイラン攻撃

Killing the Ayatollah Khamenei Has Inflamed the Shi’a World [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの元CIA分析官ラリー・ジョンソン氏は、トランプ大統領とネオコン(新保守主義者)たちがアヤトラ・ハメネイ師の殺害に歓喜している現状を、西側諸国の無知が生んだ極めて危険な事態だと警告しています。ジョンソン氏がまず指摘するのは、ハメネイ師こそが36年前に「核兵器の製造や使用は罪である」というファトワ(宗教令)を発布し、イランの核武装を阻む最大の障壁となっていたという事実です。西側諸国はその人物を排除することが名案だと考えたようですが、これは大きな誤算であると同氏は説いています。

この「斬首作戦」からわずか24時間足らずで、イラン周辺のシーア派社会は激しい怒りに包まれました。イラクのバグダッドでは、群衆が厳戒態勢の「グリーンゾーン」を突破しようとし、治安部隊との衝突が起きています。アメリカとイスラエルによるこの暗殺は、イラン政権を弱体化させ、政権交代への道を開くことを目的としていましたが、実際には正反対の結果を招くとジョンソン氏は分析します。つまり、イラン国内の結束を強め、西側との妥協を一切拒否する強硬派の地位を盤石なものにしてしまったのです。

軍事的な反応も迅速でした。最初の攻撃からわずか90分以内に、イランは地域全域のアメリカ軍施設を標的に反撃を開始しました。前回の衝突時には反撃まで12時間を要しましたが、今回はイスラエルのみならず、サウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェート、ヨルダン、アラブ首長国連邦にある主要標的を次々と攻撃しています。イランの将軍は国営テレビに登場し、新型兵器によるさらなる報復を宣言しました。現在、ドバイのCIA拠点やクウェートの米軍基地などもミサイル攻撃を受けており、事態は刻一刻と悪化しています。

トランプ氏やネオコンたちは、イラン政権への支持は脆弱だと信じ続けていますが、現地の反応を見る限り、イランはすでに消耗戦への覚悟を固めています。もし戦いが数週間続けば、現在アメリカが享受している軍事的優位は失われる可能性が高いでしょう。特に、革命防衛隊がホルムズ海峡を封鎖し続ければ、世界経済に甚大な被害が及ぶことは避けられません。ジョンソン氏は、この戦争が今後数日でさらに激化する可能性が高いと予測し、アメリカがこの紛争を維持する能力があるのかという根本的な問いを投げかけています。

戦時の避難先、国債より金

Investors turn to gold, not bonds, as haven from war in Iran [LINK]

【海外記事紹介】イランでの戦争勃発を受け、世界の投資家たちの行動に異変が起きています。これまで危機の際の「安全な避難先」とされてきた政府国債が売られる一方で、金(ゴールド)と米ドルに資金が集中しているのです。月曜日の市場では、金価格が一時2.6%急騰し、1トロイオンスあたり5,400ドルを突破して過去最高値圏に迫りました。背景にあるのは、カタールの天然ガス施設へのドローン攻撃によるエネルギー危機の再燃と、それに伴う猛烈なインフレへの恐怖です。通常、市場が不安定になると国債が買われ、利回りは低下するものですが、今回はインフレショックへの警戒からドイツの2年債利回りが2.09%に上昇するなど、国債は「避難先」としての機能を果たせていません。

ヘッジファンドやブラックロックなどの大手運用機関のアナリストたちは、現在の中東紛争がもたらす「スタグフレーション(不況下のインフレ)」のリスクを考慮すると、長期国債はもはや信頼できるポートフォリオの柱にはならないと指摘しています。イランがカタールからサウジアラビアへとエネルギー・インフラへの攻撃を拡大させる中、市場ではこの紛争が長期化するとの見方が強まっています。米ドルは主要通貨に対して0.9%上昇し、米国以外で発生したストレス局面における伝統的な避難先としての役割を演じています。不透明感の増大を受け、フランスのカルミニャックなど大手資産運用会社は日本株を含む株式の保有比率を引き下げ、現金や金、あるいは株価下落に備えたオプション取引へと資金をシフトさせています。

シティグループは、原油価格高騰の影響を受けやすい日本株の投資判断を「オーバーウェイト(強気)」から「アンダーウェイト(弱気)」へと引き下げる一方、防衛やエネルギー関連銘柄が多い英国株を引き上げました。金価格は1月に記録した下落分をほぼ取り戻しており、ヴァンエックのポートフォリオマネージャーは、金が不確実性の高い時期における「究極の安全資産」としての地位を改めて証明したと述べています。ナティクシスのアナリストによれば、紛争が長引けば金価格はさらに15%ほど上乗せされる可能性があるとのことです。

エネルギー価格の高騰はインフレ懸念を直撃し、欧州のガス価格が30%以上も跳ね上がる中で、市場では中央銀行による利下げ期待が急速に後退しています。英国やユーロ圏では年内の利下げ確率の予想が大幅に低下し、これが世界的な債券利回りの上昇、つまり国債価格の下落を招いています。投資家にとって最大の懸念は、世界の海上交易の要所であるホルムズ海峡の混乱がどこまで続くかという点です。紛争が長引けば、各国の中央銀行はインフレ圧力を予測に組み込まざるを得なくなり、金利上昇圧力が続くことになります。このように、現在の市場は「国債から金とドルへ」という、戦時下における新たな避難の形を模索しています。

有事の金買いは誤り

March 2, 2026 - Gold Newsletter - War Isn’t Bullish For Gold [LINK]

【海外記事紹介】世界最大級の鉱業投資会議であるPDACの会場は、アメリカによるイランへの大規模攻撃を受けて、金価格がどこまで跳ね上がるかという興奮に包まれていました。しかし、ゴールド・ニュースレター誌の発行人ブライアン・ランディン氏は、こうした熱狂に冷や水を浴びせています。同氏は、戦争という悲劇的な事態は金にとって決して好ましい材料ではないと断言します。地政学的な衝突は、金強気相場の本質的な原動力を不透明にするだけでなく、こうした出来事を利用して取引しようとする人々から利益をむしり取るトレーダーたちを潤すだけに過ぎないからです。

週明けの市場では、中国のダークプールで金が6,000ドルに達したという報告や、暗号資産市場で5,500ドルを記録したという情報が飛び交いました。執筆時点の現物価格は、そうした極端な水準からは押し戻されたものの、前日比で約115ドル高い5,393ドル付近で推移しています。一方で、一時は100ドルを突破した銀やその他の卑金属は下落に転じており、主要な株価指数も1パーセント程度の値下がりを見せています。ランディン氏は、軍事行動が続く間は市場を慎重に監視すべきだとしつつも、目先の戦争ニュースによる上昇に惑わされないよう警鐘を鳴らしています。

同氏が真に注目すべきだと主張するのは、現在の金強気相場を支えている、より長期的で不可逆的なファンダメンタルズです。金価格は今後さらに高値を更新していくと予測される中で、ようやく反応を始めたばかりの「鉱山株」にこそ大きな好機があると見ています。これまでの市場とは異なり、現在PDACなどでプロジェクトを宣伝しているジュニア鉱山企業の多くが、来年には現在よりも高い水準で取引されるようになると同氏は確信しています。負け銘柄がポートフォリオ全体の足を引っ張らない今の市場環境は、投資家にとって極めて有利な状況だと言えます。

しかし、こうした絶好の機会を前にしても、多くの投資家やアナリストには、将来の大きな勝者を見つけ出そうとする切迫感が欠けていると同氏は指摘します。他者がようやく注目し始めた有望企業を、自身の読者には公開当初から推奨し、すでに3.5倍の利益をもたらしている実績を例に挙げ、情報の先取りがいかに重要かを説いています。ランディン氏は、この強気相場の軌道を見据え、自発的な調査と迅速な行動こそが、真の「アメリカ・ファースト」的な自立した投資成果に繋がると考えています。

ロスバード、百年の遺産

Murray Rothbard, Mr. Libertarian, Turns 100 | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】リバタリアニズム(自由至上主義)の巨人、マレー・ロスバードが1926年3月2日に生まれてから、ちょうど100年が経過しました。著者のアラン・モズレー氏は、ロスバードを「ミスター・リバタリアン」と呼び、彼が現代の自由主義運動に与えた計り知れない影響を振り返っています。ロスバードはコロンビア大学で数学と経済学を修めた後、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスのゼミナールに参加したことで、人間行動学(プラクセオロジー)と徹底した自由放任主義に開眼しました。彼は、自由を実現するためには国家による強制の改革ではなく、その廃止が必要であると確信し、自発的な交換に基づく国家のない社会を指す「アナルコ・キャピタリズム(無政府資本主義)」という言葉を提唱しました。

彼の主著である『人間・経済・国家』は1,000ページを超える大著であり、個人の目的を持った行動を起点に、ミクロおよびマクロ経済の法則を体系的に導き出しました。彼は、独占は政府の特権付与によってのみ生じると論じ、中央銀行による信用拡大が景気循環(バブルとその崩壊)を引き起こすと批判しました。この記事では、ロスバードの才能が経済学に留まらなかったことも強調されています。彼は歴史家として、公式の物語に疑いの目を向ける「修正主義」の立場を取り、1930年代の大恐慌は連邦準備制度(FRB)の信用拡大が原因であり、フーヴァー政権の介入がそれを長引かせたと論証しました。

政治哲学者としてのロスバードは、自己所有権に基づく自然権を擁護し、「非侵害の原理」を唱えました。『自由の倫理学』では、あらゆる暴力の行使は不正であり、国家そのものが「犯罪集団」であると断じました。彼は、警察から学校に至るまで、国家が提供すると主張するすべてのサービスは、自由市場と自発的な結社によってより良く提供できると考えたのです。また、彼は学者であると同時に情熱的な活動家でもあり、リバタリアン党の綱領作成に携わったほか、ケイトー研究所やミーゼス研究所の設立にも深く関わりました。

ロスバードの思想は、元下院議員のロン・ポール氏ら後世の政治家や知識人に多大な影響を与え、「FRBを廃止せよ」といったスローガンの源流となりました。1995年に世を去った後も、彼の知的な遺産は生き続けています。ロスバードは、経済は倫理と切り離せず、歴史は国家の神話から解き放たれなければならないと説きました。モズレー氏は、徹底した論理性と道徳的情熱を兼ね備えたロスバードの合成された思想こそが、国家の鉄拳ではなく自発的な協力に基づく社会を求める人々に、今なおインスピレーションを与え続けていると結んでいます。

米軍は今すぐ帰国せよ

Stuck in Another Disastrous Middle East War - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの元下院議員ロン・ポール氏は、トランプ大統領が自身の支持基盤である「MAGA」の人々や慎重派の声に耳を貸さず、ネオコンやイスラエルのネタニヤフ首相の主張に従ってイランへの奇襲攻撃を断行したことを強く批判しています。ポール氏によれば、アメリカ政権がイランとの交渉を事前計画済みの攻撃の隠れみのとして利用したのは、この9カ月間で2度目のことです。先週の会談では全当事者が進展を認め、今週には詳細を詰めるための実務者会議も予定されていました。しかし、トランプ大統領は突然、イラン側が核兵器を追求しないという魔法の言葉を口にしないとして、交渉への不満を表明したのです。イランは数十年前から核兵器製造に関心がないと主張し続けており、アメリカのインテリジェンスもそれを裏付けてきましたが、トランプ氏の発表直後、アメリカとイスラエルはイランの宗教指導者や約40人の政治・軍事指導者を殺害する斬首作戦を実行しました。

この作戦は、指導者を排除すれば苦境にある国民が街に繰り出し、国を取り戻すと想定された、かつてのベネズエラでの作戦のような、アメリカにとって迅速かつ無痛なものになるはずでした。しかし、政権交代を狙ったこうした作戦は現実には一度も成功したことがありません。イランでは実際に数百万人もの人々が通りに溢れましたが、それは殺害されたアヤトラを追悼し、自国政府への支持を再確認するためでした。これは、911テロの後にアメリカ人が星条旗の下に結束した姿と同じです。その後すぐにイランによる報復が始まり、アメリカの資産やイスラエルに被害が出始めました。米兵が殺害され、戦闘機が撃墜され、地域のアメリカ軍基地は損傷または破壊されています。さらに、20年前のアメリカによる自国破壊に憤るイラク人などによって、大使館や領事館も攻撃を受けています。

国防総省は作戦が数日ではなく数週間に及ぶ可能性があると警告しており、ミサイルは急速に枯渇しています。この挑発なき攻撃にはすでに数十億ドルが投じられており、事態が収束する頃には、さらに数千億ドル、あるいはそれ以上の巨額が、新たな中東戦争で浪費されているかもしれません。これこそが、トランプ氏がやらないと約束していたことそのものです。リンゼー・グラム氏ら、楽勝だと説いたネオコンたちの間違いは再び証明されました。悲劇的なことに、ネオコンが自ら招いた大失敗の責任を誰かに転嫁している間にも、さらに多くのアメリカ軍人が命を落とす恐れがあります。ネタニヤフ首相は、今回の共同攻撃によって自分が40年間切望してきたことが可能になったと述べましたが、アメリカ軍の目的は外国指導者の長年の願いを叶えることではありません。

憲法が宣戦布告の権限を議会のみに与えているのには正当な理由があります。交渉中に軍事攻撃を仕掛けることは、アメリカに永続的な悪影響を及ぼします。交渉が事前計画された攻撃の目くらましに利用されるのであれば、今後誰がアメリカの外交を信頼するでしょうか。政権はこの惨状を計画通りに進んでいるかのように取り繕っていますが、その計画が何であるかは誰にも分かりません。ポール氏は、今日中にこの事態を終わらせ、破壊された基地を所在国に返還して、ただちに帰国すべきだと主張します。それこそが、真の「アメリカ・ファースト」の姿であると締めくくっています。