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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-04-08

国際法と米軍基地

International Law or Foreign Military Bases: a Choice Must Be Made. - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】イスラエル、アメリカ、そしてイギリスによるイランへの軍事行動は、国際法のあり方に根本的な疑問を投げかけています。これまで国際社会は、国際法が国家間の約束や民族自決の尊重に基づくと信じてきましたが、今回の事態はそれらを根底から覆しました。驚くべきは、トランプ大統領が「イランは自国を脅かしていない」と率直に認めた点にあります。これまでのワシントンは、国際法を遵守しているという体裁を保つために嘘を重ねてきましたが、今回はその仮面を脱ぎ捨て、自国の正当性を主張することなく攻撃に踏み切っています。

今回の戦争は、1899年のハーグ会議で定義された「野蛮な」手法で遂行されているという批判があります。イスラエルとアメリカは、敵対する勢力の宗教的、軍事的、政治的な指導者を次々と暗殺しており、その標的にはイランの最高指導者アリ・ハメネイ師も含まれていました。これはあたかも、バチカンを爆撃してローマ教皇を暗殺するような行為です。また、かつてはイラン国民に「体制打倒」を呼びかけていたアメリカとイスラエルは、今やイランの民間人を直接的な標的としています。テヘランの燃料備蓄基地への爆撃は酸性雨を引き起こし、深刻な環境被害をもたらしました。こうした行為は、イラン国民を団結させ、皮肉にも体制への支持を強める結果となっています。

この戦争がもたらした最大の発見は、国際法における「侵略」の定義の再確認です。国際法では、攻撃を受けた国家は自国内だけでなく、国外の攻撃拠点、さらにはその拠点を置かせている第三国に対しても反撃する権利が認められています。実際、イランは自国への攻撃に参加した米軍基地を擁する周辺諸国に対して反撃を行いました。国連安保理は当初、イランを非難する決議を採択しましたが、これは1974年に全会一致で採択された「侵略の定義」に照らせば、自らの署名を否定する矛盾した行為でした。基地を提供していた湾岸諸国やヨルダンも、自らの安全を守るための米軍基地が、かえって自分たちを戦争に巻き込む罠となっていたことに気づき始めています。

現在、国連加盟国は「国際法を守るのか、それともアメリカ主導の同盟システムに従うのか」という究極の選択を迫られています。基地をホストしている国々は、国際法を否定して将来の自国の保護を失うのか、あるいはアメリカの独走を認めて自らを危険にさらし続けるのかというジレンマに直面しています。オマーンなどは、この危機の根本的な原因を冷静に評価するよう安保理に求めていますが、事態の解決策は見えていません。国際的なルールが機能不全に陥る中、軍事基地の存在が国家の主権や安全を担保するのではなく、むしろ破壊的な対立を引き起こす要因となっている実態が浮き彫りになっています。

怪物UAE

The United Arab Emirates: America and Israel's Frankenstein Monster | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカ建国250周年を迎えた2026年、トランプ政権下の米国経済は、人工知能(AI)による成長と、イスラエルやサウジアラビア、そしてアラブ首長国連邦(UAE)といった外国からの巨額の投資によって支えられています。特にUAEは、2025年だけで1.4兆ドルという天文学的な投資を米国に対して約束しました。これまでの投資額と合わせるとその総額は2.4兆ドルに達し、米国にとって最大の対内直接投資の供給源となっています。トランプ政権は、関税や軍事力を武器に海外から原材料を供出させ、その見返りに技術や軍事的保護を提供して投資を呼び込むという戦略を鮮明にしています。

しかし、こうした密接な関係には、安全保障上の懸念や主権の侵害という重大なリスクが伴っています。UAEはかつて、米国の政治システムを操作し、自国に有利な外交政策を導き出そうとした秘密工作の過去が米情報当局によって指摘されています。さらに、UAEのムハンマド大統領による支配は、イスラエルとの強力な軍事・技術提携を通じて、アフリカ諸国での資源搾取や監視技術の輸出を加速させています。リビアやエジプト、スーダン、コンゴ民主共和国などでの政治介入や資源独占は、イスラエルの利益と重なる形で進められており、その経済力を背景に中東全域での軍事的・商業的影響力を拡大しています。

UAEの国内やアフリカでの活動を詳細に追跡すると、そこには深刻な人権侵害と専制的な支配が見て取れます。イスラエルの監視技術を用いた自国民の追跡や、外国からの訪問者が些細な容疑で不当に拘束される事例が報告されています。また、ドバイ首長の娘たちが自由を求めて国外脱出を図り、連れ戻されて消息を絶つといった事件も、UAEの「開明的な」対外イメージの裏にある冷酷な現実を象徴しています。それにもかかわらず、西側諸国や大手メディアは、UAEが提供する莫大な資金や中東での安定という名目の前に、こうした実態を看過し、不十分な批判にとどめているのが現状です。

米国によるUAEへの支援は、歴代政権から現在のトランプ政権に至るまで一貫して続いています。アブラハム合意による国交正常化や、巨額の兵器売却、資源開発における協力などは、米国の指導層が短期的な経済利益や政治的寄付を優先した結果であると批判されています。記事は、米国の技術や防衛分野にUAEの資本が深く浸透することで、将来的に州政府の権限がバイパスされたり、市民のプライバシーや利益が損なわれたりする可能性を警告しています。他国での資源搾取と監視によって築かれたUAEの帝国が、今や米国の国内にまでその触手を伸ばしており、自由と民主主義の根幹を脅かしかねない事態を招いていると結論付けています。

欧米敗北の本質

Claiming Victory, Whilst admitting Defeat: There is No Easy Way to Open Hormuz - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】イランによるホルムズ海峡の封鎖が続く中、ブルームバーグなどは、この状況をイランによる重大な戦略的勝利であると報じています。西側諸国が直面している敗北の本質は、戦場での衝突以上に「知的敗北」にあるという指摘がなされています。つまり、イランが20年以上かけて構築してきた非対称戦の戦略を、西側諸国が正しく理解し、対応できていないということです。アメリカなどのメディアは米軍の増強といった目に見える動きに注目しがちですが、実態はミサイルやドローン、高度な防御網を軸とした新しい戦争概念が展開されており、従来の軍事思想では太刀打ちできない局面を迎えています。

イランの軍事モデルは、2003年のイラク戦争での米軍による破壊を教訓に設計されました。強力な空軍力を持たないイランは、軍事インフラの大部分を地中深くに埋設し、指揮系統を各州に分散させた自律的な防衛網を構築しました。これにより、たとえ中央の指揮官が攻撃されても、自動的に報復が継続される仕組みが完成しています。トランプ大統領は圧倒的な軍事力を誇示することでイランを屈服させようとしてきましたが、3000年の歴史を持つイランの文化や戦略観は、不動産取引のような交渉術とは根本的に異なります。イラン側は交渉による妥協ではなく、長年の制裁や包囲網という「檻」から脱却するための戦略的な反撃を行っているのです。

現在、アメリカにはいくつかの選択肢があるとされています。イランのエネルギー拠点への攻撃、あるいはウラン貯蔵施設を奪取するための地上作戦、もしくは交渉による合意です。しかし、空爆だけでイランという国家を崩壊させることは不可能であるというのが軍事専門家の共通認識です。また、ホルムズ海峡を軍事力で強制的に再開させることも容易ではありません。狭い水路と強固な沿岸防御を前に、米軍が甚大な損害を被るリスクは極めて高いからです。たとえ一時的に一部の島を占拠したとしても、イランは本土からミサイルやドローンを用いて通航を妨害し続けることが可能であり、問題の根本的な解決には至りません。

結局のところ、ホルムズ海峡を平和的に開通させるには、イランの主権を明示的に認めるなどの大幅な譲歩が必要になります。また、レバノンやイラク、パレスチナなど各地で続く紛争すべての停戦も条件となるでしょう。アメリカ当局内では、特殊部隊によるウラン奪取といった複雑な作戦も議論されていますが、現実的には情報の不確実性や実行の困難さが際立っています。イランのミサイル施設も全国に分散されており、完全に破壊する手段はありません。記事は、イランがホルムズ海峡の支配力を強めている現状を認め、この非対称な戦いにおいて、西側諸国が有効な打開策を見出せないまま苦慮している実態を浮き彫りにしています。

アジア、原油高で為替介入リスク

Oil shock turbocharges Asia FX intervention risk | Reuters [LINK]

【海外記事より】イランでの紛争勃発以来、インドやフィリピンを含むアジアの数カ国は、自国通貨を支えるために外国為替市場での介入を実施しています。中東から原油の60%を輸入しているアジアは、この紛争が引き起こしたエネルギーショックの影響を最も強く受ける地域です。2026年2月末の衝突開始以来、北海ブレント原油の価格は55%も急騰しました。その結果、アジア諸国の多くは、エネルギーコストの上昇、輸入インフレ、需要の減退、そして通貨安という悪循環に直面しており、放置すれば急速に事態が悪化しかねない状況にあります。

3月の新興国通貨指数は3%下落し、2022年9月以来で最悪の月となりました。経常赤字を抱えるインドのルピー、インドネシアのルピア、フィリピンのペソなどは対ドルで過去最安値を更新しています。また、対外収支が堅調な日本や韓国も厳しい状況にあります。韓国ウォンは17年ぶりの安値をつけ、日本円は1ドル160円という歴史的な水準にあります。円安は紛争前から進んでいましたが、戦争がそのリスクを増幅させ、日本の財務省はさらなる通貨安を阻止するために口先介入を強めています。専門家は、エネルギー供給ショックがコストプッシュ型のインフレを招く一方で、ドルの需要が高まるため、通貨当局は介入の判断が難しい「トリレンマ」に直面していると指摘しています。

アジアはドル建ての原油価格上昇による二重の打撃を受けています。原油の指標価格が前年比で70%上昇していることに加え、物理的な供給不足により、アジアの買い手は実際の荷物に1バレルあたり最大40ドルという記録的な上乗せ料金を支払わなければなりません。ある試算によると、原油価格が120ドル程度で高止まりし、ホルムズ海峡の封鎖が続いた場合、アジア全体のエネルギー負担は域内総生産の6.5%にまで跳ね上がると予測されています。これは歴史的に景気後退が始まる水準です。中国などは比較的影響を抑えられる可能性がありますが、タイ、韓国、台湾、インド、そして日本はより大きなリスクにさらされることになります。

各国政府は燃料の輸出禁止や国家備蓄の放出などの対策を講じていますが、エネルギー供給の逼迫が続けば、当局はインフレを抑えるために外貨準備を取り崩し、米国債などの資産を売却して自国通貨を買い支えざるを得なくなります。実際に、ニューヨーク連邦準備銀行に預けられている外国当局の米国債残高が減少しており、その多くはアジアの中東銀による売却と推測されています。もし紛争が解決に向かわなければ、アジア全域で為替介入が広がり、それが米国債のさらなる売りを誘発して、アジア通貨にとってここ数十年で最も不安定な時期が訪れる恐れがあると記事は警鐘を鳴らしています。

印、ETF裏付けに金先物

India Allowing Gold Futures to Back ETFs [LINK]

【海外記事より】インドの金上場投資信託、いわゆる金ETFにおいて、現物資産だけでなく金先物取引を裏付け資産として組み入れる動きが出ています。ETFとは、特定の指標や資産に連動するように運用される証券で、取引所で株のように売買できる仕組みです。金ETFの場合、通常は信託会社が保有・保管する金を裏付けとしていますが、投資家が直接その現物を手にできるわけではなく、あくまで金の価値を証券化したものを保有することになります。インドの規制では、ETFは資産の95%を金現物や関連商品で構成する必要があります。2024年6月に当局が金先物をこの配分の一部に含める道を開いたことを受け、大手運用会社がこの規定を活用する方針を明らかにしました。

先物取引とは、将来の特定の時期に金を売買することを約束する契約であり、現物そのものではありません。市場では現物の受け渡しを伴わずに契約を更新し続けることも多いですが、買い手が現物を要求すれば売り手は応じる義務があります。先物取引は価格変動のリスクを回避する手段として有効である一方、投機的な側面が強く、市場に存在する現物の量よりもはるかに多くの契約が流通しているというリスクも抱えています。これは銀行が預金以上の貸し出しを行う仕組みに似ており、多くの人が一斉に現物を求めればシステムが維持できなくなる可能性を孕んでいます。現地メディアによると、専門家はこの変更を現物から紙の資産への構造的転換ではなく、流動性を確保するための予備的な仕組み、いわば衝撃吸収材のようなものだと見ています。

運用会社の関係者は、この措置が実務上の対応力を高めるためのものだと説明しています。例えば、急激な資金流入があった際や現物の購入に時間がかかる場合に、現金のまま保有するのではなく先物を活用することで、金の価格との乖離を防ぎ、運用の効率を高めることができるという主張です。しかし、先物契約を更新し続けることで取引コストが発生し、投資収益が損なわれる可能性も認められています。さらに、契約の相手方が債務不履行に陥るカウンターパーティ・リスクが新たに加わるという根本的な懸念もあります。そもそもETFは金への受動的な投資を目的としたものであり、なぜそこに能動的な要素を持ち込むのかという批判的な意見も根強くあります。

また、現物から別の資産に裏付けを変えることは、商品の性質そのものを変えてしまうという指摘もあります。本来、金ETFはロンドン貴金属市場協会の基準を満たす現物を購入することが求められていますが、先物取引の対象となる金が必ずしもその基準を満たしているとは限らず、現物を受け取る際に問題が生じる可能性も示唆されています。金ETFが先物を取り入れることは、現物資産という裏付けから投資を一歩遠ざける行為であり、投資家にとっては新たなリスク要因を慎重に見極める必要が出てきたと言えるでしょう。今回のインドでの規制緩和は、利便性の向上という側面がある一方で、金の保有という本来の目的や安全性を揺るがしかねないという議論を呼んでいます。

最強米軍の幻想

The Trillion-Dollar Illusion - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が激化する中で、中東のペルシャ湾岸諸国にある米軍基地の防衛能力に深刻な疑問が投げかけられています。これまで数十年にわたり、湾岸諸国の君主制国家は、自国民からの強い反発を押し切って米軍基地を受け入れてきました。国民は、同じイスラム教徒が犠牲になる現状を苦々しく見守っており、戦争の拡大とともに、これらの国々における政情不安の火種となる可能性があります。湾岸諸国の指導者たちは、歴史上最強の軍隊が自国を守ってくれるという名目のもとで米軍の駐留を正当化してきましたが、現実にはイランからの激しいミサイル攻撃にさらされる事態を招いています。

イラン側は、湾岸諸国が米イスラエルの攻撃を支援していると見なしており、事前に警告を発していました。しかし、湾岸諸国の指導者たちが下した判断は、結果として自らの体制を脅かすものとなっています。もしイランが国家として機能不全に陥れば、これらの国々をイスラエルによる支配や略奪から守る盾が失われることにもなりかねません。さらに、戦争が長期化するにつれて、アメリカが湾岸諸国よりもイスラエルを明確に優先している事実が浮き彫りになっています。イスラエルを支援するためにパトリオット・ミサイルの迎撃弾が優先的に供給される一方で、他の同盟国が後回しにされている現状に、多くの国が不満を募らせています。

また、この記事の著者は、アメリカやイスラエルのミサイル防衛システムが、極超音速ミサイルに対しては事実上無力であると指摘しています。この事実はウクライナ戦争ですでに露呈していましたが、アメリカのエリート層は国民に対して隠蔽し続けてきました。現在、イランやロシア、中国、さらには武装組織までもが、アメリカの防衛網を突破する術を熟知しており、イランによる日々の攻撃がその実態を証明しています。にもかかわらず、米政権の幹部やメディアは、自軍の成功という虚構の物語を維持し続けていると批判されています。

アメリカの軍事力そのものは依然として強大であり、世界中に破壊をもたらす能力を維持しています。しかし、今まさに問われているのは、指導者たちの能力と判断力です。アメリカから提供された武器と資金によって、イランやガザ、レバノン、シリアなどで引き起こされている混乱は、その判断の誤りを物語っています。かつて最強と信じられた「1兆ドルの幻想」とも呼ぶべき軍事的な安全保障が、現実の脅威を前にして崩れ去ろうとしている現状を、著者は冷静に分析し、警告を発しています。

仏、米保管の金すべて売却

French Central Bank Sells New York Gold; Replaces It With Gold Stored in Paris [LINK]

【海外記事より】フランスの中央銀行、フランス銀行が、アメリカのニューヨークで保管していた金(ゴールド)の残分をすべて売却し、欧州で新たに購入した高品質な金塊へと入れ替えたことが明らかになりました。この動きにより、フランスの金準備の質が大幅に向上しただけでなく、結果的に約110億ユーロ(約130億ドル)にものぼる多額の売却益を手にすることとなりました。フランスは世界第4位の金保有国であり、今回の入れ替え対象となった129トンの金は、同国の総保有量2,437トンの約5%に相当します。フランス銀行のビルロワドガロー総裁は、今回の措置について「準備資産の品質向上」という技術的な理由を強調しています。

具体的には、ニューヨークに保管されていた金塊は、純度やサイズが国際的な標準を満たさない「非標準」なものが含まれていました。ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の基準では、国際決済に使用できる金塊は特定の重量と99.5%以上の純度が求められます。フランス銀行は、米国内でこれらの古い金塊を輸送・精錬する手間を省くため、現地で売却し、その資金で国際基準を満たす新しい金塊を欧州で購入する道を選びました。これにより、フランスが保有する金は、2028年までにすべて国際基準に適合した形で自国内に保管される見通しです。

当局は否定していますが、この動きの背景には政治的な意図も透けて見えます。かつて1960年代、当時のド・ゴール大統領はドルの価値下落を懸念し、米国から3,000トンの金を秘密裏に引き揚げました。これがきっかけとなり、最終的にニクソン・ショックによるドルと金の交換停止を招いた歴史があります。現代においても、米国が通貨を外交の武器として利用し、他国の資産を凍結するなどの措置を講じていることから、多くの国々が「自国の資産を米国の管理下に置くリスク」を再評価し始めています。実際、ワールド・ゴールド・カウンシルの調査では、中央銀行の約68%が金を自国内で保管することを計画しており、この比率は数年前から急上昇しています。

フランスだけでなく、ドイツでもニューヨークに預けている金を全量引き揚げるべきだという議論が活発化しています。冷戦時代、ソ連の脅威から守るために米国へ預けられたドイツの金ですが、現在の不安定な米国の政治状況や経済運営を鑑み、もはや「預け先として安全ではない」という声が経済学者の間からも上がっています。インド、オランダ、ポーランドといった国々も近年、金の自国への送還を進めています。今回のフランスの決定は、形式上は資産の品質向上を目的とした事務的な手続きとされていますが、本質的にはドルの支配力や他国への依存を減らし、自国の財政的な独立性を高めるための戦略的な一歩であると言えるでしょう。

小学校爆撃、失われた子供たち

Lost Children Of the Minab School Bombing [LINK]

【海外記事より】イラン南部の港町ミナーブにあるシャジャレ・タイイェベ小学校にミサイルが撃ち込まれてから、1か月が経過しました。2月28日に発生したこの攻撃では、少なくとも171人が死亡し、その大半は罪のない子供たちでした。この記事は、この悲劇で命を落とした7歳の少女、ラハ・ザレイさんの遺族の姿を通じて、戦火に巻き込まれた人々の癒えぬ傷跡を伝えています。

ラハさんは、発端となった攻撃の直後、瓦礫と化した校舎で父親によって発見されました。さらに2日後、遺体安置所で叔母のファルザネ・バスタミさんによって再び確認されることとなりました。バスタミさんは、変わり果てた姿となった姪を自らの手で清めたいと願いましたが、伝統的な儀式を優先する周囲に阻まれ、白い布に包まれた幼い亡骸を最後に見送ることしかできませんでした。

この攻撃には、アメリカのみが保有するとされるトマホーク巡航ミサイルが複数使用されたと見られています。学校の隣には、かつてイスラム革命防衛隊の基地として使われていた複合施設がありましたが、地元住民や教育省の関係者によれば、その施設は15年も前に閉鎖され、現在はクリニックや薬局などの民間施設として再利用されていました。ペンタゴン(米国防総省)は現在この事案を調査中ですが、ロイター通信は、米軍の捜査官が自軍の責任を認めており、古い標的データが誤爆の原因であった可能性があると報じています。ミナーブではその後もドローンによる攻撃が続いており、住民たちの間には新たな恐怖が広がっています。

ラハさんは、助産師としてキャリアを積んだ母親と販売員の父親の間に生まれた待望の一人娘でした。明るく歌うことが大好きで、将来は歯科医になりたいと夢を語っていた少女の部屋には、今もハローキティの壁紙やユニコーンのリュックサックが当時のまま残されています。父親のレザさんは、娘のベッドで頭を抱えて涙を流し、家族は言葉を失っています。国連の人権高等弁務官は、米政府に対して調査を加速させ、結果を公表するよう求めていますが、一方でアメリカの指導者は、イラン側が合意に応じなければインフラを壊滅させるようなさらなる攻撃を行うと強硬な姿勢を崩していません。

現場では、依然として行方不明者の捜索が続いています。10歳のモハンマド・ジャファリさんの家族は、1か月にわたる捜索の末、DNA鑑定によってようやく息子の体の一部を特定することができました。遺体は白い布に包まれ、赤い花で飾られた簡素な棺に納められて両親のもとに戻りました。変わり果てた姿での再会に、母親のカディジェさんは深い悲しみとともに、ようやく息子を見つけ出せたという静かな安堵の表情を見せました。現在も一人の生徒と一人の教師の行方が分かっておらず、ミナーブの街には、埋葬を待つ遺体と、深い悲嘆に暮れる家族たちの姿が絶えません。

政策の混乱、揺らぐドル

Peter Schiff: Energy, Inflation, and Bad Policy Ahead | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】アメリカの投資家ピーター・シフ氏は、自身の番組で、雇用増加の勢いの弱さやエネルギーコストの上昇、商品価格のインフレといった要因が重なり、米ドルの価値を押し下げて金の価格を上昇させるという、近い将来の米国経済に対する厳しい見通しを語りました。同氏は、地政学的リスクや関税に関する最高裁の判断にも触れ、財政の過剰拡大や誤った貿易措置といった政策ミスが、通貨の根底にある弱さに拍車をかけていると主張しています。まず、雇用統計の数字について、シフ氏は発表された17万8,000人という数字を疑問視しており、今後1年ほどで下方修正されるだろうと推測しています。さらに、創出された雇用の43%がヘルスケア分野に集中している点に注目し、特定の分野に偏った雇用状況は、経済が健全であることを示すものではないと指摘しました。

エネルギーに関しては、石油やガソリン、暖房油、ジェット燃料といったあらゆるエネルギー価格が大幅に上昇し、脆弱な経済全体に悪影響を及ぼすと警告しています。これは単に直接的な消費だけでなく、船舶や飛行機、トラックによる輸送を伴うあらゆる生産プロセスにおいて、コスト増となって経済全体に浸透していくことになります。投資家が陥りやすい「FRBが引き締めを行えば自動的にドル高・金安になる」という単純な考え方に対し、同氏は名目上の金利変動だけを見るべきではないとはねつけました。重要なのは名目金利ではなく、物価上昇率を考慮した実質金利であると強調しています。

特に肥料価格などの商品価格の上昇がインフレを押し上げ、その結果として2026年の実質金利は、たとえFRBが数回の利下げを行ったとしても、当初の予測を大幅に下回ることになると同氏は予測しています。政府が測定するインフレ指標においてさえ実質金利の低下が顕著になれば、ドルの価値は下がり、金の価格はかなり高くなるはずだと説明しました。さらに、地政学的リスクについても、民間インフラを標的とした大規模な攻撃を示唆するような政治的発言が市場に恐怖を与えていると言及し、経済的な打撃の大きさを懸念しています。

最後に貿易政策について、シフ氏は大統領による広範な関税導入は憲法上の権限を逸脱していると主張してきましたが、最近の最高裁判所の判決がその見解を支持したことに触れました。歳入を目的とした関税は本来議会で決定されるべき税金であり、大統領が独断で署名できるものではないとして、一連の関税を違憲とする判断が下されたことを報告しています。こうした政策の混乱が、米ドルの先行きの不透明さをより強固なものにしていると、この記事は伝えています。

ドル優位、終わり近い

Schiff w/ Joy: The Dollar’s Time is Limited | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】アメリカの著名な投資家であるピーター・シフ氏が、ラジオ番組に出演し、現在のインフレ問題が一時的なものではなく、政治や政策によって深刻な経済リスクが隠蔽されている現状について詳しく語りました。シフ氏は最近の物価データや市場の脆弱性、そして一時的な米ドルの強さを分析し、金に代表される「健全な貨幣」こそが、最終的に経済の真の状態を露呈させることになると主張しています。まず、シフ氏は政治指導者たちが経済の現実を過小評価し、自らの実績や経済状況について有権者を誤認させていると批判しました。特に、インフレや関税、過去の経済的成果に関する発言には、事実とは異なる点が多いと冷静に指摘しています。

シフ氏は、政治的な議論よりも実際に重要となるデータに注目すべきだと警告しています。消費者物価指数であるCPIのような公的なインフレ指標は、現状に対して遅行する傾向があるためです。同氏がより先見性のある指標として挙げているのが、輸出入物価の推移です。直近のデータでは、輸出入物価がともに大幅に上昇しており、これを年率に換算すると18%から19%に達する勢いを見せています。多くの人々がCPIという「バックミラー」を見てインフレ問題はないと考えていた2021年の状況を引き合いに出し、フロントガラス越しに輸出入物価の動向を見れば、現在進行形で起きているインフレの現実が明らかになると説明しています。

また、連邦準備制度、いわゆるFRBが持つ利下げや資金供給といった手段は、市場の崩壊を先延ばしにすることはできても、その代償としてさらなるインフレを招くと分析しています。シフ氏は、現在の資産バブルは2008年のリーマンショック時を上回る規模に膨らんでいる可能性があると指摘しました。FRBがリスクの大きさを認識して金利を急激に下げ、大量の通貨を発行すれば、一時的に問題をごまかすことはできますが、それは決して解決策ではなく、結果として非常に厳しい経済状況を招くことになります。

通貨としての米ドルと金の関係について、シフ氏は興味深い見解を示しています。戦争などの地政学的リスクによって一時的に米ドルが買われる動きが見られますが、過去の有事の際の上昇幅に比べれば、その反応は限定的で一時的なものに過ぎないと言います。シフ氏は、金が再び上昇に転じたとき、ドルの優位性は終わると予測しています。具体的には、金価格が一時的に5,500ドルから4,100ドルまで下落した後、4,500ドル台まで戻している動きに言及しました。名目金利が据え置かれたままインフレ率が上昇すれば、実質金利はマイナスとなり、これが金にとって強力な追い風になります。インフレが加速する中でFRBが現状維持を続けることこそが、金価格を押し上げる最大の要因になると結んでいます。

2026-04-07

核保有、公然の秘密

A brief history of the Israeli nuclear program, the open secret at the heart of the Iran war – Mondoweiss [LINK]

【海外記事より】現在のアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃は、イランの核開発能力を解体することを名目としていますが、その一方で中東における「公然の秘密」となっているイスラエルの核兵器保有については、国際的な議論から慎重に遠ざけられてきました。イスラエルの核開発は1950年代、初代首相ダビド・ベン・グリオンの主導で始まりました。ネゲブ砂漠のディモナ施設は、当初「産業や科学のための研究用原子炉」として公表されていましたが、実際にはフランスの支援を受け、秘密裏に核兵器製造の拠点として機能してきました。

1960年代、アメリカはディモナ施設に対して数回の査察を行いましたが、イスラエル側は施設の一部を隠蔽・偽装することで、その真の目的をくらまし続けました。しかし、1986年に元技術者のモルデハイ・ヴァヌヌ氏が内部写真とともに詳細を告発したことで、イスラエルが世界第6位の核保有国であり、当時すでに最大200発の原子弾頭を保有していたことが明るみに出ました。1969年には当時のニクソン米大統領とメイア首相の間で、イスラエルが核の存在を曖昧に保ち、核実験を行わない限り、アメリカも追及しないという「核の了解」が成立していました。この「戦略的曖昧さ」は、現在に至るまで歴代のアメリカ政権によって維持されています。

イスラエルは中東で唯一、核拡散防止条約(NPT)に署名せず、国際的な監視も受け入れていない核保有国です。現在の推計では、イスラエルは90発の弾頭と、さらに数百発を製造可能なプルトニウムを保有し、潜水艦や弾道ミサイルによる核攻撃能力を備えていると見られています。イスラエル指導層は、国家の存亡に関わる脅威に対して核報復を行う「サムソン・オプション」を示唆しており、最近でも閣僚がガザへの核使用を選択肢として言及するなど、その脅威は現実のものとなっています。トランプ大統領はイランの核武装が地域を不安定化させると警告していますが、真に核のない中東を目指すのであれば、長年放置されてきたイスラエルの核兵器という事実に目を向ける必要があるというのが、本記事の指摘です。

イラン戦争を止めるには

How To Stop the War Against Iran - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】アメリカの元連邦下院議員デニス・クシニッチ氏による、イラン戦争を阻止するための具体的な提言をご紹介します。現在、中東に展開する5万人の米軍部隊のうち、最大1万5,000人がイランの重要な石油輸出拠点であるカーグ島の攻略準備に入っています。政権側は、この島を占領することでイランの収入源を断ち、ホルムズ海峡の主導権を握る青写真を描いています。しかし著者は、20年以上も要塞化されてきたこの島への地上侵攻は、19世紀の「リトルビッグホーンの戦い」で全滅したカスター将軍の悲劇を繰り返すことになると警告しています。

軍事顧問たちの過信や文化的な偏見、そして相手の力量を過小評価する姿勢は、かつての失敗と酷似しています。カーグ島への侵攻やさらなる爆撃は、米軍兵士に多大な犠牲を強いるだけでなく、食料や燃料などの世界的な供給網を崩壊させる引き金となります。トランプ大統領はこの戦争の理由を、イスラエル支援や政権交代、核物質の除去などと二転三転させてきましたが、最近では「石油を奪うため」という露骨な動機を語るようになりました。政権内部では、戦争を利用した市場操作で巨利を得る者も存在し、戦争が巨大な詐欺の道具と化している現状があります。

著者は、この戦争を止める唯一の確実な手段は、議会が持つ「予算編成権」を行使することだと強調しています。憲法上、戦争を開始する権限は議会にありますが、現在は正式な宣戦布告なしに、予算案の承認を通じて事実上の戦争が継続されています。軍事費の追加予算案に「賛成」することは、戦争に「賛成」することと同義です。トランプ氏は2027年度の軍事予算を1.5兆ドルに倍増させようとしていますが、この膨大な資金を断つことでしか、イランでの惨劇を終わらせることはできません。中間選挙を控え、市民が自らの代表に対し、戦争予算案に反対するよう明確な意思表示をすることが、平和への唯一の道であると著者は訴えています。

イランは主導権を握れ

Iran Will Win the War Unless Iran Follows Putin’s Script - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】アメリカの元財務次官補ポール・クレイグ・ロバーツ氏による、現在のイラン情勢とロシアのウクライナにおける動向を比較・分析した論評をご紹介します。著者は、ロシアのプーチン大統領がウクライナでの紛争において、決定的な勝利を避けて長引かせる「手ぬるい」戦い方を選択したことが、結果として西側の介入を招き、ロシアの威信を低下させたと批判しています。本来数日で制圧できたはずの地域に数年を費やす姿を見せたことで、ロシアは「張子の虎」と見なされるようになり、周辺国からのさらなる挑発を誘発していると指摘しています。

このロシアの失敗の本質は、敵対勢力に対して「善人」であろうとし、常に相手に主導権を渡して後手に回る「タイ・フォー・タット(しっぺ返し)」の戦略に固執した点にあると著者は説きます。そして今、イランもまた、このプーチン大統領と同じ過ちを繰り返そうとしていることに強い懸念を表明しています。イランは自国の存亡をかけた戦いの中にありながら、アメリカやイスラエルによる先制攻撃を許し、指導部や重要な資源を失うまで行動を起こさない受動的な姿勢をとり続けてきました。

著者は、交渉によって平和が得られるという幻想を捨て、国家の存続を脅かす敵に対しては自ら主導権を握り、徹底的に戦う姿勢が必要であると主張しています。トランプ大統領が最後通牒の期限を48時間に短縮するなど、事態が緊迫する中で、イランが依然として攻撃を待つだけの姿勢を貫くのか、あるいは自ら動いて局面を変えるのかが問われています。ロシアが最新の防空システムをイランに提供せず、ただ事態を監視するに留まっている現状において、イランが「プーチン流の脚本」に従い続けるならば、その先に勝利はないというのが著者の冷徹な分析です。世界の覇権を目指す勢力を断念させない限り、最終的には核戦争に至る危険性があるとして、強い警鐘を鳴らして締めくくっています。

米軍の反乱?

Is Donald Trump Facing a Military Mutiny Over His Losing War with Iran?, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事より】アメリカのドナルド・トランプ政権がイランとの戦争において、自国軍内部で深刻な対立、あるいは「反乱」に近い状況に直面している可能性を指摘する論評をご紹介します。最近、アメリカ軍がイランへの地上侵攻を準備しているとの報道が流れる中で、トランプ大統領は突如として陸軍トップのランディ・ジョージ大将らを解任しました。政権側は、これらが前政権の影響を排除するための思想的な人事であると説明していますが、実際にはイラン戦争の泥沼化に対する軍首脳部の強い懸念が背景にあるとの見方が強まっています。

現在のアメリカにとって、イランは過去数十年で最も強力な敵対国です。9,000万人以上の人口を抱え、高性能な弾道ミサイルやドローンを大量に保有するイランとの戦いは、朝鮮戦争以来の過酷なものになると予想されています。こうした困難な状況下で国防政策を担っているのが、ピート・ヘグセス国防長官です。彼は軍歴こそありますが、大規模な部隊の指揮経験はなく、テレビ番組のコメンテーターとしての経歴が主です。さらに、過去の私生活上の問題や、機密情報の不適切な扱い、さらには自身の地位を利用した株取引の疑惑までもが報じられています。実質的な省内の運営は、副長官を務める軍需産業界出身の億万長者、スティーブ・ファインバーグ氏が握っているのではないかという疑念も浮上しています。

軍事専門家たちは、イランへの地上侵攻計画を「自殺行為」に近いと警鐘を鳴らしています。トランプ氏はホルムズ海峡の封鎖を解除するために、数千人の軽装備の空挺部隊を投入してイラン領の島々を占領する計画を立てているようですが、これは極めて危険です。イランの防空網は依然として健在であり、米軍機が撃墜される事案も発生しています。補給路の確保が困難な島々に兵士を送り込めば、弾薬や食料が尽き、最終的に降伏を余儀なくされる歴史的な大敗北を招く恐れがあります。トランプ氏は奇襲攻撃によってイラン政権が早期に崩壊すると予測していましたが、その目論見は外れ、世界経済は原油価格の急騰による深刻な不況の危機に瀕しています。軍内部の専門的な助言を無視し続ける大統領の姿勢が、かつてない軍事的・経済的な災厄を招こうとしているというのが、本記事の著者の見解です。

戦争が妨げる政治目標

Trump's War on Iran Obstructs His Other Goals | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカのドナルド・トランプ大統領が現在進めているイランとの戦争状態が、彼が本来掲げていた他の政治目標を妨げているとする論評をご紹介します。かつてウェズリー・クラーク元将軍は、国防総省がイラクやシリア、そしてイランを含む中東7カ国を壊滅させる計画を持っていたことを明かしました。既存の政治体制に対抗するはずだった「MAGA(アメリカを再び偉大に)」という運動を率いるトランプ氏が、今やその計画の総仕上げを自ら監督し、支持層に売り込んでいる現状があります。現政権は、国民に戦争の必要性を確信させるために慎重な情報発信を行っています。かつてのブッシュ政権と同様に大量破壊兵器の存在を強調し、イスラエル政府とも協力体制をとっています。意外なのは、トランプ氏がこれらの軍事行動を、世界の主導権を維持し国際秩序を守るための手段として描写している点です。国際的な責務からの撤退を望んでいたはずの支持者にとって、この方針は矛盾を感じさせるものかもしれません。

トランプ氏は1期目において、アメリカの停滞を招いた原因として世界貿易機関や北大西洋条約機構、NAFTAなどを批判しました。自由貿易の促進や他国の防衛費負担が自国の足を引っ張っていると主張し、中国への関税導入やUSMCAへの移行を通じて、金融中心の経済から生産性の高い製造業中心の経済への転換を目指したはずでした。しかし、戦争はこの進展を逆行させます。戦争は官僚機構の支配を強め、国際的な関係を重視する金融機関からの資金調達を不可欠にするからです。それにもかかわらず、トランプ氏の支持層はイランとの戦争を強く支持しており、外国への介入こそが運動の核心であると主張しています。トランプ氏は以前から核保有を阻止すると誓い、軍事的優位を説いてきました。イラン核合意からの離脱や制裁によって周辺地域の不安定化を招き、2025年9月には国防総省の名称を「戦争省」に変更するなど、着実に軍事的な精神を国民に浸透させてきました。

MAGA運動の内部で動機について議論が続く一方で、労働者の地位を回復させるような経済改革はもはや手の届かない場所へ追いやられています。ベセント財務長官は、戦費や原油価格の上昇による影響を軽視する姿勢を見せています。元通貨投機家である彼は、アメリカの債務は負債ではなく武器であり、その金融力は軍事力が世界的に行使されて初めて有効になると理解しています。彼もまた、既存の金融システムを維持しようとする体制側の一員と言えます。多くの経済学者は、アメリカをかつての工業全盛期に戻そうとすれば不況を招くと警告してきました。トランプ氏はそれを察知した上で、既存のシステムがテロから国民を守るために存在しているのだと、戦争を利用して説得しようとしているのかもしれません。長官が述べた「安全保障なくして繁栄なし」という言葉が、現在の政権の姿勢を象徴しています。以上が、トラビス・ラフリン氏による記事の要約です。

救出作戦で何があったのか?

What the Hell Happened with the Rescue of the F-15E WSO in Iran? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏は、4月3日にイラン上空で撃墜された米軍のF-15E戦闘機と、その兵装システム士官(WSO)の救出作戦を巡る数々の不可解な点について鋭い考察を展開しています。この事件では、パイロットは直後に救助されましたが、WSOの救出は困難を極めました。公表された情報によれば、WSOは降下地点から約8キロメートル離れた山頂で救助されたとされていますが、彼は足に骨折を負っていたと報じられています。ジョンソン氏は、骨折した人間がどのようにして5マイルの距離を移動し、山を登ることができたのかという整合性に疑問を投げかけています。

さらに、救出作戦の舞台となった場所が、イランの濃縮ウラン貯蔵施設があるイスファハンからわずか35キロメートルしか離れていない点も波及効果を呼んでいます。現場に投入された特殊作戦用のMC-130輸送機が、地元の農業用滑走路で「身動きが取れなくなった」として破壊された事実は、単なる救出任務以上の目的があった可能性を示唆しています。一部の専門家は、この作戦が実はイスファハンの核施設からウランを強奪するための極秘任務であり、WSOの救出はその隠れ蓑、あるいは予期せぬ事故によって任務が切り替わったものではないかと推測しています。

特に注目すべきは、救出されたWSOが通常の中尉や大尉クラスではなく、ヨルダンの空軍基地の副団長を務める大佐という高官であったことです。これほど重要な人物が機密情報を保持したまま捕虜になることを防ぐため、米軍は多大なリスクを冒して統合特殊作戦コマンド(JSOC)の精鋭部隊をイラン深部へと投入しました。作戦にはC-130に積載可能な小型ヘリコプター「リトルバード」も使用されましたが、最終的には輸送機もヘリも現場で破壊され、特殊部隊員とWSOは別の航空機で脱出するという、かつてイラン米国大使館にとらわれた人質を救出しようとした「イーグルクロー作戦」の失敗を彷彿とさせる展開となりました。

ジョンソン氏自身は、F-15Eの撃墜そのものが策略だったとは考えていません。しかし、救出にあたった部隊がもともとイスファハンへの急襲を計画していた部隊であり、その熟知した地形を利用して救助にあたったのではないかと推論しています。結果として、米軍は貴重な航空資産を失い、核施設に近い秘密の拠点も露呈することとなりました。ジョンソン氏は、この失態によってさらなる危険な急襲計画が中止される可能性に触れつつも、土曜日の救出劇に関する米軍の公式発表には、いまだ語られていない真実が隠されていると確信しています。

トランプ氏の空虚な脅し

Trump’s Easter Ultimatum: Open the (Expletive) Strait or Else - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】元インフォウォーズの編集者であるカート・ニモ氏は、トランプ大統領が4月5日のイースター(復活祭)の早朝にSNSへ投稿した、イランに対する過激な警告について伝えています。大統領はその投稿の中で、イランの発電所や橋を標的にした大規模な攻撃を予告し、ホルムズ海峡を即座に開放しなければ「地獄を見ることになる」と、非常に粗野な言葉を用いて威嚇しました。ニモ氏によれば、こうした大統領の言動は単なる衝動的なものではなく、自らの要求に従わないイランへの強い苛立ちと、自己愛的な心理が背景にあると分析されています。トランプ大統領はこれまでにも何度も期限を設けて威嚇を繰り返してきましたが、事態が好転しないために、さらに激しい言葉で強硬姿勢を強めているのが現状です。

トランプ大統領は48時間以内に海峡を開放するよう求めていますが、ニモ氏は、こうした空虚な脅しや不確実な期限の設定が事態を解決することはないと指摘しています。米国情報機関の報告によれば、イランにとってホルムズ海峡の封鎖は米国に対抗するための唯一の実質的な交渉材料であり、早期に開放に応じる可能性は極めて低いとされています。これまで大統領は、海峡開放の責任をNATOや石油に依存する周辺諸国に押し付けようとしたり、民間船舶の護衛を検討したりしてきましたが、国防総省内からはイランのミサイルやドローンによる攻撃リスクを懸念し、準備不足を指摘する声も上がっています。

現在、米国は地上軍の派遣も視野に入れているようですが、イラン側は60万人以上の現役兵力を擁しており、5万人程度の米軍部隊による侵攻に対しては「返り討ちにする」と自信を見せています。軍事専門家の見解では、イランへの本格的な地上侵攻には50万人から160万人の兵力が必要とされており、現状の米国の対応策は極めて非現実的です。ニモ氏は、空爆を強化する「プランB」についても、最近米軍機がイランの防空システムによって撃墜された失態を考えれば、失敗に終わる可能性が高いと述べています。

最終的に、この状況を打開する唯一の正気な方法は、米国が勝利を宣言して撤退することですが、それは事実上の敗北を認めることに他なりません。ニモ氏は、トランプ大統領の強大すぎる自尊心が、このような敗北を認めることを許すのか、あるいは勝てる見込みのない戦いに固執し続けるのかという点に疑問を投げかけています。現在の米政権の動きは、慢心と過信に満ちており、核兵器を使用するような極端な手段を除けば、もはや軍事的な解決は不可能であるというのがこの記事の趣旨です。米国とその同盟国にとって、ホルムズ海峡が封鎖されたままの状態が続くという厳しい現実が浮き彫りになっています。

最悪の軍事介入主義者?

Worse than John McCain? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】元米国下院議員のロン・ポール氏は、トランプ大統領が行ったイラン戦争に関する演説後の市場の反応について、厳しい見解を示しています。演説を受けて株式相場は下落し、原油価格は上昇しましたが、これは大統領がイランとの戦争を終わらせる具体的な計画や、ホルムズ海峡での通航制限を解消する策を示せなかったことへの失望の表れです。2月末に米国とイスラエルが対イラン戦争を開始して以来、全米のガソリン価格は1ガロンあたり4ドルを超えました。ポール氏は、この燃料費の高騰が輸送コストを増大させ、食料品店やネット通販の価格にまで波及している現状を指摘しています。報道によれば、トランプ政権はイランが石油輸送を制限して価格を吊り上げる可能性を軽視してきましたが、これはイランが米経済に打撃を与える最大の手段であり、NATO諸国が米国の軍事支援要請を拒否した理由も、こうした報復への懸念にあると考えられます。

トランプ大統領は、勝利が近いのか、あるいはホルムズ海峡に軍を駐留させるのかについて矛盾した発言を繰り返していますが、ポール氏はこれを大統領が直面しているジレンマであると分析しています。もし本格的な軍事介入に踏み切れば、平和の実現を期待して彼に投票した支持者の離反を招くことになります。一方で、燃料コストの上昇が国民に与えている損害を無視し続ければ、中間選挙で共和党が敗北し、残りの任期を敵対的な議会と対峙して過ごすことになるでしょう。また、大統領は軍事費と戦争のために社会プログラムに資金を割けないと述べていますが、ポール氏は、憲法は連邦政府に対して福祉国家の運営も世界帝国の維持も認めていないと主張しています。

軍事主義への膨大な支出は、困窮している人々のための民間による支援に必要な資源を国民から奪っています。それにもかかわらず、大統領は軍事予算を40%も増額し、1.5兆ドルにまで引き上げようとしています。これはすでに米国1カ国で世界の上位9カ国の合計を超える国防費を投じている現状を、さらに加速させるものです。ポール氏によれば、この巨額の支出は連邦準備制度による通貨発行、つまり「インフレ税」によって賄われることになります。これは国民の生活コストをさらに押し上げ、特に中低所得層に最も深刻な打撃を与えるものです。

かつて反戦派の間では、誰が大統領になっても結局は故ジョン・マケイン氏のような軍事介入主義的な外交政策に行き着くという皮肉が語られてきました。しかし、ポール氏は、トランプ大統領が中東などへの介入を拡大し、そのために軍事支出を劇的に増やす姿勢を鮮明にしている現状を鑑みると、この法則には例外があるかもしれないと述べています。つまり、トランプ大統領の政策は、かつて強硬派として知られたマケイン氏よりもさらに悪い結果を招く可能性があるというのが、ポール氏による本記事の結論です。

経済議論に勝つ方法

Fernando Chiocca, How to win the economic debate (PFS 2012) [LINK]

【海外記事より】2012年にトルコで開催された「プロパティ&フリーダム・ソサエティ(PFS)」の年次総会において、作家で経済学者のアンディ・ダンカン氏は「我々は勝利した」という言葉で講演を始めました。これは、1912年にルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが『通貨および流通手段の理論』を出版して以来、オーストリア学派が他派の経済理論や手法を論理的に論破し、唯一の真実の経済科学としての地位を確立したことを指しています。しかし、ダンカン氏は同時に、現実世界には深刻な問題があることも指摘しました。世界の人口の99.99%が、いまだに国家による経済介入を支持するような誤った理論を信じ込んでおり、いわば大規模なストックホルム症候群に陥っているという状況です。この状況を打破するために、ダンカン氏は学術書を読まない層にも届くよう、文学や映画などの創作物を通じてミーゼスやロスバードの思想を広める戦略を提案しました。

この会議には、ハンス・ヘルマン・ホッペ教授をはじめとする自由主義運動の世界的権威が集まり、現代の経済議論にいかに勝利すべきかが議論されました。特に注目されたのは、著名な経済学者ポール・クルーグマン氏のように、大衆に受け入れられやすい「もっともらしい嘘」を広める人々に対してどう立ち向かうかという点です。理性的な議論で嘘を論破することは非常に骨の折れる作業であり、一般大衆の心を掴むのは容易ではありません。これに対し、ジョセフ・サレルノ教授はヘンリー・ハズリットの手法を引き合いに出し、専門用語を避け、日常生活に即した極めて明快な言葉で、政府支持の経済学者のまやかしを暴くことの重要性を説きました。重要なのは、議論の質をさらに高めることではなく、経済教育を普及させるという「量」の問題であるとしています。

さらにホッペ教授は、技術的な詳細に深入りするのではなく、子供のような純粋な疑問を投げかけるという非常に強力な戦略を提示しました。例えば「ただの紙切れを増やすだけで、どうして社会が豊かになれるのか説明してほしい」「もし紙幣の増刷で富が生まれるのなら、なぜこの世から貧困がなくならないのか」「世界中の中央銀行は好きなだけ紙を印刷できるはずだが、それで世界は豊かになったのか」といった問いです。こうした本質的で単純な質問に対し、明確な回答を出せる者は誰一人としていません。たとえ相手がノーベル賞受賞者であっても、あるいは権威ある大学の修士号を持つ教授であっても、難解な経済用語で煙に巻こうとするだけで、これらの根本的な矛盾に答えることは不可能なのです。

私たちは現在、経済科学における暗黒時代に生きており、メディアやアカデミズムは非論理的な考えに支配されています。政府の介入が増えるたびに、貧困が助長され、新たな富の創出が妨げられているのが実情です。多くの専門家は、学生時代に教え込まれた誤った理論を無批判に繰り返しているに過ぎません。こうした不合理な主張に直面したとき、私たちは黙って受け入れるのではなく、良識に基づいた論理的な反応を示すべきです。専門的な知識がなくても、共通の感覚を持って「それは絶対におかしい」と問い直すことが、議論を有利に進め、最終的に勝利するための鍵となります。直接反論できない場合でも、メディアへ意見を送るなどの行動を通じて、こうしたシンプルな問いを繰り返し突きつけていくことが不可欠なのです。

NY市長、金への増税検討

NYC Mayor Mamdani Has Declared War on Gold [LINK]

【海外記事より】ニューヨーク市の信用格付けの見通しが、格付け機関のムーディーズによって「安定的」から「ネガティブ」へと引き下げられました。この決定を受けて、ニューヨーク市のゾラン・マムダニ市長と州議会は、市内の活発な金地金市場に対して増税を検討するという、極めて厳しい姿勢を打ち出しました。ムーディーズは格付け見直しの理由として、市の支出予測が更新されたことで、以前の予測よりも多額の予算不足が生じる可能性を指摘しています。経済状況や収益環境が依然として良好であるにもかかわらず、構造的な予算問題によって大規模かつ継続的な不均衡が予測されていることが、今回の判断の背景にあります。これに対し、マムダニ市長は格下げを「時期尚早」であると述べ、現在州議会で検討されている50億ドルの追加資金調達などを通じて、財政赤字を解消する決意を強調しています。

収益確保のための具体的な案として市長室が提示しているのが、投資対象となる金や銀の地金、さらにはコインなどに対する新たな課税です。ニューヨーク州では1989年以来、1,000ドルを超える貴金属の購入については州売上税が免除されてきました。現在は、希少性や収集価値、芸術目的の品を除き、投資用の貴金属取引には税金がかからない仕組みになっています。世界的な金融センターであるニューヨークには、ウォール街やコメックスと呼ばれる貴金属先物市場を運営するCMEグループが存在し、数多くの貴金属ディーラーや保管庫、決済機関が集まっています。しかし、市長は膨れ上がる予算不足を補うため、こうした金融資産に多額の税を課すことを計画しています。

市長室と州議会の資料によれば、この免除措置を撤廃することで、ニューヨーク市で3億ドル、州全体では6億100万ドルの税収増が見込まれています。しかし、こうした予測は業界全体が受ける壊滅的な打撃を考慮していないと批判されています。新たな課税が実施されれば、ディーラーは店を閉じ、金融機関はニューヨークを離れ、結果として税基盤は拡大するどころか縮小する恐れがあります。一方で、貴金属への売上税を撤廃した州では、雇用や新たな収益が創出される傾向にあります。全米の貴金属問題を調査している団体によれば、憲法に記載されている唯一の貨幣形態である金や銀に対する税を取り除くことが全米的な潮流となっており、課税を強化する動きはそれとは逆行するものです。

ニューヨークでは過去にも同様の増税案が検討されましたが、成立には至りませんでした。投資家が課税されない他州やオンライン業者での購入に切り替えることは明白だからです。現に、ペンシルベニアやニュージャージー、コネチカットなど、ニューヨークに隣接するほぼ全ての州が、貴金属購入に対する売上税を部分的または完全に廃止しています。現在、全米44州で貴金属への売上税は課されておらず、残る6州のうち5州でも廃止が検討されています。こうした中でのニューヨークの動きは、財政的に追い詰められた政府による、投資家を当てにした救済策とも捉えられます。株式や債券、不動産などの投資には課税しない一方で、インフレ対策として貴金属を保有しようとする市民に負担を強いるこの提案は、市場に混乱を招くリスクを孕んでいます。

2026-04-06

空爆万能の幻想

The Pentagon Has An Air Power Addiction | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカ国防総省が抱く「空軍力への依存」という幻想が、現在のイラン紛争で大きな壁に突き当たっています。現在、「壮絶な怒り作戦」の開始から1カ月以上が経過しました。アメリカとイスラエルはイラン国内の1万2300以上の目標を攻撃し、8000回を超える出撃と850発以上のトマホーク巡航ミサイルを投入しています。最高指導者アリ・ハメネイ師や実質的な指導者と目されていたアリ・ラリジャニ氏も死亡しましたが、イランの抵抗は終わっていません。最新のインテリジェンス評価によれば、連日の猛爆にもかかわらず、イランのミサイル発射台の約半分、そして数千機の自爆ドローンが依然として健在です。革命防衛隊の海軍も能力の半分を維持しており、数百から数千の小型艇や無人艇が地域に混乱をもたらす準備を整えています。

この事態は、空軍力の歴史を研究してきた専門家たちにとっては驚くべきことではありません。シカゴ大学のロバート・ペイプ教授は、第一次世界大戦以降のあらゆる空爆作戦を分析した結果、「地上軍を投入せず空軍力だけで政権を打倒できた例は、過去100年以上一度もない」と断言しています。精密誘導兵器の時代になってもその結論は変わりません。空爆が失敗するのは技術的な問題ではなく、政治的な理由によるものです。爆撃は対象国の政府や社会にナショナリズムを呼び起こし、かえって団結を強めてしまいます。その結果、政権交代はほぼ不可能になり、むしろ以前よりも反米的で危険な指導者を生み出すという、政治的に自己破壊的な戦略に陥るのです。

同様の教訓は、ベトナム戦争でも証明されています。アメリカは9年間で800万トンもの爆弾を投下しましたが、ゲリラ戦を展開する相手に対して空軍力は目的を達成できませんでした。また、コロンビア大学のスティーブン・ビドル教授は、いかに精密兵器が進歩しても、決固たる意志を持つ敵を屈服させるには地上軍と空軍の連携が不可欠であると指摘しています。さらに、民間人への爆撃が抵抗の意志を砕くどころか、かえって国民の回復力を強化してしまうことは、第二次世界大戦時のドイツや日本に対する調査でも明らかになっています。空爆によって国民が政府に対して降伏を要求するような蜂起が起きるという期待は、歴史的に見ても幻想に過ぎません。

トランプ政権が直面している不都合な真実とは、もし目的がイランの政権交代であり、空軍力でそれが達成できないのであれば、論理的な帰結として「地上侵攻」しか選択肢が残らないという点です。しかし、9000万の人口を抱え、外国の侵略を阻むために設計された険しい地形を持つイランへの地上侵攻は、アメリカの国益には到底かないません。そもそも、過酷な制裁やソレイマニ司令官の暗殺といったアメリカ側の行動が、現在の敵対関係を増幅させてきた側面があります。現在の作戦を継続すれば、より好戦的でリスクを厭わない次世代の指導者を生むだけです。政権内では「2週間で終わる」という楽観的な見通しも語られていますが、現場の分析官はそれを「正気ではない」と一蹴しています。アメリカは今、達成不可能な目的を認めて交渉に入るか、あるいはさらなる泥沼の地上戦へと突き進むかという、極めて困難な選択を迫られています。

NATOを手放せない米帝国

End of NATO? The Military Bloc Is an Essential Tool for U.S. Warmongering - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】米大統領が、欧米秩序の柱とされる北大西洋条約機構(NATO)に対し、公然と軽蔑の意を示しています。トランプ大統領は今週、NATOを「張子の虎」と呼び、脱退を示唆する発言を行いました。これに対し、ヨーロッパの同盟国側は「保護者」に見捨てられることを恐れ、戦々恐々としています。80年にわたり欧米関係を規定してきた大西洋同盟には、確かに歴史的な亀裂が生じています。しかし、軍事的・政治的な道具としてNATOを利用するアメリカの好戦的な姿勢を考えれば、同盟がすぐに終焉を迎えると判断するのは時期尚早です。

今回の緊張の再燃は、トランプ大統領による無謀なイラン攻撃に端を発しています。5週間にわたる壊滅的な紛争を経て、大統領は予期せぬ反動に直面しているようです。彼は国民向けの演説でイランに対する「勝利」を誇示しましたが、現実は甘くありません。イランはホルムズ海峡を5週間にわたって封鎖し続けており、世界の石油供給を遮断することでアメリカを含む国際経済に大混乱を招いています。その結果、トランプ氏の支持率は急落しました。大統領は、ヨーロッパの同盟国がイランやイスラエルによる攻撃に加わらないことに憤慨し、彼らを「臆病者」と罵り、NATOがアメリカを裏切ったと非難しています。「ウクライナでは助けてやったのに、対イランでは協力しない」というのが彼の言い分です。

アメリカの宣伝工作を信じる多くの国民と同様、トランプ氏は自国を同盟国の「恩人」や「守護者」であると考えています。国防費の6割から7割をアメリカが負担していることを根拠に、その寛大さが恩知らずな国々を守っていると主張します。しかし、NATOの真の姿は1949年の結成以来、ヨーロッパを軍事化し、アメリカが大陸に膨大な軍事力を維持するための口実を提供することにありました。この軍事的プレゼンスこそが、第二次世界大戦後のアメリカ型資本主義のエンジンである軍産複合体を支えてきたのです。表向きはソ連からの防衛を掲げていましたが、実態はワシントンが主導する「みかじめ料」を要求するような利権構造であり、ヨーロッパの政治・経済的な独自発展を阻み、ロシアとの正常な関係構築を妨げるための装置でした。

トランプ氏の不満は、この利権構造をさらに強化したいという点にあります。「金を払わなければ窓ガラスを叩き割るぞ」というマフィアのような脅しは、ある意味で成功しており、ヨーロッパ諸国は社会開発を犠牲にして、F35戦闘機などのアメリカ製軍備への支出を2割も増やしました。1991年にソ連が崩壊した後、NATOはその役割を終えて解散すべきでしたが、逆に加盟国を倍増させ、ロシアの国境へと拡大し続けました。これは、この同盟の真の目的がアメリカの軍事力を投影し、ロシアを威嚇することにあることを裏付けています。トランプ氏はウクライナ紛争を「アメリカが騎士道精神で介入した欧州の問題」と捉えていますが、実際にはアメリカがNATOを道具として使い、2014年のクーデター以来、ロシアに対する代理戦争を仕掛けてきたのが実態です。

NATOは過去80年間、ユーゴスラビア、イラク、アフガニスタン、リビアといったアメリカの違法な戦争に対して「国際的な合意」という見せかけの正当性を与えるための政治的・兵站的ツールとして機能してきました。トランプ氏がどれほど不満を漏らそうとも、アメリカの帝国主義的なディープステートがこの便利な戦争マシンを手放すことは考えにくいでしょう。大統領が一時的な感情で脱退を口にし、同盟国を侮辱したとしても、アメリカの好戦的な姿勢が世界の脅威であり続ける限り、NATOは軍事資本主義の道具として存続し続けるでしょう。この組織が真に崩壊するのは、アメリカによる帝国主義的な脅威そのものが消滅する時だけなのです。

イラン戦争と希望の光

Trump’s Iran War: Worse Than Expected, But Better Than Hoped? - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】元アメリカ空軍中佐のカレン・クウィアトコウスキー博士によれば、2026年2月28日にトランプ大統領が開始したイランへの攻撃は、当初「4日間で終わる」とされていたものの、開始から35日が経過した現在も終結の兆しが見えない戦略的失策となっています。この紛争は、外交が停滞する中で強行された違法なものですが、その混乱の影でイスラエルによるレバノンへの侵攻やヨルダン川西岸地区の拡大、ガザ地区での人道危機の深刻化が進んでいると著者は指摘します。しかし、こうした絶望的な状況の中にも、アメリカ国民が政府の本質を正しく理解し始めるという「希望の光」が見え始めています。多くのアメリカ人は、自国政府が戦争のために存在し、軍事産業複合体や特定の利害関係者に支配されている実態を直視せざるを得なくなりました。政治家たちがインサイダー情報を利用して戦争関連の投資を行い、有権者よりも多額の寄付を行う支援者を優先する姿が、今や白日の下にさらされているのです。

既存のメディアによる偏った報道は影響力を失い、AIやSNSを通じた草の根の情報拡散が、事実と個人の解釈をリアルタイムで届けるようになりました。著者は、グローバルな権力構造や歴史を詳しく知らなくても、弱者を虐げ、無実の命を奪う行為が「悪」であるという直感的な道徳観を国民が失っていないことを強調しています。膨大なデータに触れる現代のアメリカ人は、人類と自然にとって最大の敵が戦争であり、それを推進する国家の姿勢であることを理解し始めています。トランプ政権がNATOに無謀な攻撃への参加を強いた一方で、フランスはロシアや中国とともに、アメリカとイスラエルによる戦争拡大の議論を阻止する側に回りました。フランスの船舶が、イランの管理下にあるホルムズ海峡を安全に航行しているという事実は、アメリカの外交的な孤立を象徴しています。

この1カ月余りの戦争がもたらした「利点」として、著者はいくつかの具体的な変化を挙げています。まず、イランがホルムズ海峡の責任を掌握したことで、アメリカによる制裁や軍事的脅威、そして西欧の植民地的な慣習が打ち砕かれました。また、肥大化した国防総省の脆弱性が露呈し、1.5兆ドルという巨額の予算要求も、時代遅れの高価な装備の山を維持するための絶望的な芝居に過ぎないと見なされています。将来的には、国防予算はGDPの2%以下に抑えられ、地域的な新しい安全保障体制が形成されることで、中東の米軍基地は不要になると予測されています。さらに、今回の事態を受けて、アメリカの金融システムの危うさが投資家に見透かされ、連邦準備制度の廃止を求める声が再び高まっています。

最も重要な変化は、アメリカ国内で「アメリカ・ファースト」を掲げながら戦争を推進する勢力への失望が広がり、軍内部からも同意を撤回する動きが出ていることです。国家の仮面が剥がれ落ち、ワシントンの統治能力の欠如が露呈したことで、国民は自立と道徳に基づいた新しい選択肢を模索し始めています。著者は、これらの教訓が多くの人々の犠牲の上に得られた悲劇的なものであることを認めつつも、帝国の崩壊とともに訪れる解放の可能性を示唆しています。老化し、権力に固執する指導者たちがもたらす破壊の果てに、より平和で豊かな未来を見据えるための厳しい視点が提示されています。

モンゴル、ドローン、戦争の未来

The Mongols, Drones, and the Future of War - by Jay Martin [LINK]

【海外記事より】投資家ジェイ・マーティン氏によれば、13世紀にモンゴル帝国がわずか一世代で人類史上最大の陸上帝国を築き上げた背景には、鐙(あぶみ)という軍事技術の革新がありました。この小さな鉄の道具によって、モンゴル兵は疾走する馬の上から正確に矢を放ち、既存の軍事パラダイムを一夜にして無価値にしたのです。現代においてこれに匹敵する劇的な変化をもたらしているのが、安価なドローンによる戦争です。民間軍事会社ブラックウォーターの創設者エリック・プリンス氏は、現在の紛争におけるドローンの登場を、モンゴルが鐙を採用した時以来の最も大きな振り子の揺れであると指摘しています。ここで語られているのは高額な軍事専用機ではなく、ガレージで組み立てられる500ドルの商用ドローンや、数万ドルで製造可能な自爆ドローンです。これらが数百万ドルの戦車を破壊し、数百万ドルの迎撃ミサイルを浪費させています。かつて、富が大きな軍隊と軍事的優位を意味するという前提をモンゴルの鐙が覆したように、現代のドローンは、資金力のある大国に対して、より貧しく規模の小さい勢力が勝利する能力を与えているのです。

この変化は、戦争における勝利の定義をも変えつつあります。アメリカ軍はテクノロジーや兵站において比類なき力を持っていますが、ベトナムやイラク、アフガニスタンでは主要な戦闘に勝ちながらも、最終的には敗北しました。弱小な勢力が超大国と戦う場合、相手を打ち負かす必要はなく、ただ「負けないこと」で勝利できるからです。相手が戦いへの意欲を失い、コストが政治的意志を上回るまで耐え忍べば、屈服を拒むことで戦略的な勝利を手にできます。現在のイランとの対立においても、イランがアメリカ軍を直接倒す必要はありません。紛争が長引き、ホルムズ海峡の制圧が続くほど、アメリカ側の経済的、政治的なコストは累積し、アメリカの戦略的地位は低下していきます。これは、かつて大英帝国がスエズ運河の支配権を失い、世界の基軸通貨がポンドからドルへと完全に移り変わった「スエズの瞬間」の再来になる可能性があると分析されています。もしアメリカがホルムズ海峡の制御を回復できずに撤退することになれば、世界中の銀行はアメリカの力の衰えを察知し、ドローンの脅威とともに世界の勢力図が塗り替えられる転換点となるでしょう。

さらに注目すべきは、この対立の背後にいる中国の存在です。アメリカ軍はその兵器製造のサプライチェーンを希少金属や電子部品などの中国産入力に依存しており、一方でイランもまた中国から防空システムやドローン、ミサイルの原材料の供給を受けていると報告されています。これは、ボクシングのプロモーターが対戦する両方の選手と契約を結んでいるような状況です。どちらが勝ってもプロモーターは将来の興行権を握り続け、利益を得ることができます。もしアメリカの条件で海峡が再開されても、アメリカは次世代兵器を作るために中国の製造パートナーシップを必要とし続けます。逆にイランが支配権を維持すれば、中国は引き続きイランの筆頭武器供給国であり、安価な原油の最大の顧客であり続けます。つまり、どちらの陣営が勝利したとしても、両者に供給を行っている中国が最終的な勝者となる構造ができあがっています。世界が今問うべきは、アメリカがイランを倒せるかという点ではなく、主要な経済的競合相手がリングの両陣営に資金と物資を供給しているような戦争を、果たしてアメリカが継続できるのかという極めて深刻な問題なのです。

信頼できない米雇用統計

Another Great Jobs Report! Or Was It? [LINK]

【海外記事より】マイク・マハリー氏によれば、米労働統計局、通称BLSが毎月発表する非農業部門雇用統計ほど、無意味でありながら政策立案者に依存されている政府報告書はありません。毎月、このデータが公表されるたびに、経済の強弱を巡ってメディアでは活発な報道がなされ、金融当局は金融政策の方向性を決めるためにこの報告書を精査します。しかし、実態を詳しく見ると、BLSは毎月のように前月のデータを修正しています。2026年3月の報告でも同様のことが起きました。主流の金融メディアは、雇用者数が15カ月ぶりの大幅増となったことを受けて、驚くほど力強い雇用拡大だと書き立てました。これにより、好調な経済環境下では連邦準備制度理事が金利をより長く高く維持できるとの見方が広がり、利下げへの期待が後退するという見出しが並んだのです。

今回の3月の予測では5万9000人の増加が見込まれていましたが、BLSのデータによれば実際には17万8000人の増加となりました。一見すると非常に優れた内容であり、経済の回復力を示しているように思えます。また、失業率も4.3%へと低下しましたが、これは労働力人口が急激に減少したことが主な要因です。労働力率は2021年11月以来の低水準となる61.9%にまで落ち込みました。しかし、これらの数字をそのまま鵜呑みにすることはできません。なぜなら、これら目覚ましい数字は、ほぼ確実に後から修正されるからです。実際に3月の報告の中でも過去2カ月分のデータが修正され、合計で7000人の雇用が抹消されました。特に2月分は4万1000人も下方修正され、その結果、2月は13万3000人の減少となりました。これはパンデミックの最中であった2020年12月以来、最悪の落ち込みです。直近3カ月の平均を見ると、1カ月あたりの雇用増加数は約6万8000人にとどまっています。

BLSによる修正は、もはや恒例となっています。1月には雇用創出を算出するためのモデルの年次調整が行われ、それだけで約40万3000人もの雇用が経済から消し去られました。この調整を含めると、2025年のアメリカ経済は月平均でわずか1万5000人程度の雇用しか生み出していなかったことになります。毎月の発表時の見出しだけを見ている人には想像もつかないような実態です。BLSには、最初は景気の良い雇用者数を報告し、後になってから静かに下方修正するという長い歴史があります。2023年には、12カ月のうち10カ月で下方修正が行われました。データの収集が困難な作業であることは事実ですが、なぜ修正の多くが減少方向なのでしょうか。2003年以降、年間の最終的な確定値が最初の報告を下回ったのは14回あり、上回ったのはわずか7回です。

それにもかかわらず、雇用統計は依然として政府が発表する最も注目される指標の一つであり続けています。市場は最初の発表数字にのみ反応し、後からひっそりと行われる下方修正によって市場が急落することはありません。これが、労働市場が実際よりもはるかに強いという錯覚を生み出しています。政府が良いニュースを報告して市場が盛り上がり、翌月にその内容が実は悪かったと修正されても、誰も注意を払いません。中央銀行の政策担当者や政府高官がこれほどまでに信頼性の低いデータに基づいて意思決定を行っていることは、その決定自体の妥当性に疑問を投げかけます。私たちは、政府が発表する見出しの数字だけでなく、その後の修正にも目を向け、懐疑的な姿勢を持つ必要があると言えるでしょう。 

イスラエル国民の選択

The Non-Zionist Israeli Population Could Save the Day - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】元米財務次官補のポール・クレイグ・ロバーツ氏は、トランプ大統領が4月1日に放ったイランへの最後通牒を「エイプリルフールの冗談」のような空言であると切り捨てています。アメリカ憲法では宣戦布告の権限は議会にありますが、歴代政権はなし崩し的にその制約を回避してきました。しかし、今回のイランへの軍事行動はこれまでのケースとは異なります。世論調査ではアメリカ国民の57%がイスラエルに対して否定的な見解を示しており、トランプ氏が進める対イラン戦争やネタニヤフ政権の戦争を支持していません。民主党内でも親イスラエルロビー団体であるAIPAC(エイパック、アメリカ・イスラエル公共問題委員会)への批判が高まっており、イスラエルへの軍事援助に条件を付ける動きが加速しています。

現在のイスラエルにおいて、ネタニヤフ首相率いる政権の得票率はわずか23.41%に過ぎません。彼は政権維持のために、「ナイル川からパキスタンまで」を領土とする「大イスラエル」を熱烈に信奉する極右勢力と組まざるを得ない状況にあります。これまでイスラエル国民がこうしたシオニズムの過激なアジェンダを容認してきたのは、実害がなかったからです。しかし今や、誇り高き防空システム「アイアンドーム」はイランのミサイルによって突破され、アメリカのレーダー網も破壊されました。イランは核兵器を使わずとも、ディモナの原子力施設を攻撃するだけでイスラエル全土に放射能を拡散させる能力を誇示しています。

トランプ氏は、議会が戦争の正当性を拒絶し、政治的に敗北することを恐れています。彼が戦線から離脱すれば、アメリカの資金や武器、外交的保護を失ったイスラエルは防衛手段を失います。汚職で起訴されているネタニヤフ首相は今秋に選挙を控えていますが、シオニズムがもたらす重い代償を初めて突きつけられたイスラエル国民が、再び彼を支持する保証はありません。ロバーツ氏は、イスラエル国民が「大イスラエル」という野望が自国の安全を損なうものであると気づき、現在の国境で満足するという決断を下す可能性に言及しています。

中東に平和をもたらす唯一の道は、イスラエルの破滅か、あるいは非シオニストの国民が好戦的な勢力から主導権を取り戻し、拡張主義を拒否する政府を樹立することです。イスラエルの人々が自らシオニズムのアジェンダを放棄し、現実的な生存の道を選択できるかどうかが、今後の焦点となります。アメリカ国内での支持が揺らぎ、軍事的な優位性も失われつつある今、イスラエル国民による選択こそが、この危機の解決策になり得るとロバーツ氏は分析しています。

乗っ取られた信仰

Hijacking Religion: How the Pentagon Turned the Sermon on the Mount into a War Manual - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】憲法学者ジョン・ホワイトヘッド氏とニシャ・ホワイトヘッド氏は、現在のアメリカ政府が用いる言葉が「帝国の言語」へと変貌していると指摘しています。それは支配や報復、征服、そして統制を目的とした言語であり、トランプ政権下ではそこに宗教的な熱狂が加わっているといいます。かつて平和の象徴であったイエス・キリストが、今や権力や征服、統制を正当化するためのマスコットのように扱われているのです。戦争は愛国心という衣装をまとい、聖書の一節に包まれ、「力による平和」という名目で正当なものとして宣伝されています。しかし、これは神聖な戦争ではなく、神聖さを装った政治的な戦争に過ぎないと著者らは述べています。

米政府が掲げる価値観は、敵を愛し、平和をつくる者は幸いであると説いたイエスの教えとは似ても似つきません。キリスト教が教える慈愛や平和主義とは対照的に、政府は困窮者を投獄し、ホームレスを犯罪者扱いし、外国人を爆撃しながら、それを「安全保障」と呼んでいます。これはキリスト教への誤解ではなく、意図的な書き換えです。例えば、国防長官がペンタゴンの礼拝で、イエスの名において「容赦のない圧倒的な暴力」を求めて祈る姿は、信仰ではなくナショナリズムに洗礼を施した冒涜であると著者らは批判しています。山上の垂訓を戦争マニュアルへと変質させ、現代の戦争を神に許容された道徳的非難を超越したものに塗り替えようとする試みです。

このような政治権力と宗教的権威の融合は、信教の自由を保護し、政府による宗教の樹立を禁じた合衆国憲法修正第1条に抵触する恐れがあります。トーマス・ジェファーソンが警告した「信教分離の壁」が突き崩され、政府が神の委託を受けたかのような言葉を使い始める時、それはもはや個人の信仰の自由ではなく、国家による教化へと変質しています。本来、イエスは権力に媚びるのではなく、抑圧や強欲、暴力の上に築かれた権力の正統性に異を唱える存在でした。それゆえに当時の帝国はイエスを脅威と見なし、処刑したのです。

現在、大衆に売られているキリスト教の姿は、不義への抵抗ではなく、権力への服従を強いるものです。国家への忠誠を要求し、それを「信仰」と呼ぶ逆転現象が起きています。初期のキリスト教徒がローマ帝国や皇帝ではなく、より高次の法に忠誠を誓い、そのために迫害や処刑を受け入れた歴史を、現代の教会は忘れてしまったかのようです。著者らは、現代のキリスト教ナショナリズムを、政治権力を宗教的な言語で包んだ偽物の宗教であり、国家を偶像化するものだと断じています。キリスト教の教えが政治的利益のために武器として利用される現状に対し、私たちは憲法上、そして道徳上の大きな危機に直面していると警鐘を鳴らしています。

ベネズエラ野党勢力の正体

The Weight on Delcy Rodriguez - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】元英国外交官でジャーナリストのクレイグ・マレー氏は、ベネズエラのコムーナス大学を訪れた際、ある教授から切実な問いを投げかけられました。それは、もし政権交代が起きれば、社会主義運動の若きリーダーたちは投獄され、拷問や処刑の対象になるのではないかという恐怖でした。マレー氏によれば、欧米では野党勢力のマチャド氏やグアイド氏らが民主主義者であるかのように報じられていますが、実態は異なります。彼らはチャベス政権以前の、CIAが支援した体制と血縁的・政治的に結びついており、国有化された資産をめぐる個人的な怨恨も抱えています。政権が右派に移行すれば、左派への大規模な虐殺と長期にわたる内戦が始まると、現地では誰もが確信しているとマレー氏は指摘します。

欧米が気にかける「政治犯」の多くは、実際には軍事クーデターや武装蜂起に関与した人々です。2024年の選挙後、武器を手に路上に出た若者たちも、扇動された結果として投獄されました。制裁による経済的困窮がマドゥロ政権への不満を招いているのは事実ですが、それがそのままマチャド氏らへの支持に繋がっているわけではありません。トランプ氏自身がかつて認めたように、彼女には国を治めるだけの国内支持基盤がなく、現体制に代わる選択肢は混沌しかありません。こうした極限の状況下で、デルシー・ロドリゲス副大統領は、支持者の命を守り内戦を回避するために政権を維持するという、極めて重い責任を担っています。

現在、欧米では「デルシー氏がトランプ氏の傀儡であり、マドゥロ大統領排除のために米国と交渉した」という物語が流布されています。しかし、マレー氏が大統領の息子や側近たちに直接確認した限り、現地の誰もそんな話を信じてはいません。トランプ氏が彼女を公然と称賛し、自分の意のままになると主張しているのは、あくまで自らの偉大さを誇示するための演出に過ぎません。マドゥロ大統領の職務を代行しているデルシー氏の正統性は、ベネズエラ最高裁も認めています。米国政府やマイアミの野党勢力がジャーナリストに流している情報は、ベネズエラの社会主義運動を分断し、弱体化させるための戦略的な宣伝工作であるとマレー氏は分析しています。

1月3日の夜にマドゥロ氏が連行された際、重要な事実が欧米の報道から抜け落ちています。それは、マドゥロ氏自身が軍に対し、自分を連れ去ろうとする動きがあっても戦わずに撤退するよう指示していたことです。彼は自らへの危機が迫っていることを察知しながらも、ベネズエラと米国の間で戦争が起き、平和な国土が荒廃することを何よりも避けようとしたのです。マレー氏は、西側諸国が押し付ける嘘の物語に惑わされず、ベネズエラの人々が直面している存亡の危機と、流血を回避しようとする指導者たちの苦渋の決断に目を向けるべきだと、この記事の中で強く訴えています。

空港保安、官営化の惨状

Privatize the Private Airport Security Screeners - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】かつてのアメリカでは、搭乗しない家族がゲートまで付き添い、出発直前まで一緒に食事を楽しむことができました。しかし、現在の空港でそのような光景が見られないのは、2001年の同時多発テロ後に設立された運輸保安庁、通称TSAの存在があるからです。TSAは航空保安を連邦政府の管理下に置くために誕生し、現在は国土安全保障省の傘下で約6万人の職員と年間約120億ドルの予算を抱える巨大組織となっています。かつては民間警備会社が空港の保安業務を担っており、1970年代に金属探知機が導入されてからも、民間の力で適切に業務は遂行されてきました。

現在も「スクリーニング・パートナーシップ・プログラム」という制度を利用すれば、空港はTSAではなく民間会社と契約することが可能です。しかし、実際にはTSAの承認や基準の遵守、監督を受ける必要があるため、全米約500の商業空港のうち、サンフランシスコなどの一部を除き、導入しているのは20か所ほどに留まっています。最近では、連邦政府の予算争いによる政府機関の閉鎖が原因で、TSA職員の欠勤や離職が相次ぎ、空港の検査場に長蛇の列ができる問題が発生しています。これに対し、民間警備員は予算の影響を受けずに給与が支払われるため、業務の安定性の面からも注目されています。

カナダやイギリス、フランスといった諸国ではすでに民間による保安検査が行われており、アメリカの空港においても、手荷物検査以外の警備はすでに地元警察や民間業者が担っています。そもそも航空会社には、高価な機体を守るために危険を排除する強力な動機があるはずです。また、TSAは「安全性の演出」に終始しているとの批判もあり、武器や爆発物の検知漏れが頻発する一方で、これまでにテロリストを一人も捕らえていないという指摘もあります。それどころか、窃盗や暴行などの不祥事で逮捕される職員が後を絶たないのが現状です。

しかし、単に検査員を民間に置き換えるだけでは不十分だと著者は主張します。真の意味での民営化とは、TSAによる一切の承認や監督を排除することです。憲法上、連邦政府には空港の保安を管理する権限はなく、ホテルや遊園地の警備を政府が行わないのと同様に、空港の警備も各企業の責任に委ねるべきだという考えです。航空保安に対する連邦政府の過剰な関与を終わらせることこそが、効率的で自由な移動を取り戻すための道であると、この記事は締めくくっています。

米保守派の金投資勧誘が物議

All that glisters: Maga influencers promote gold but investors feel short-changed [LINK]

【海外記事より】アメリカの保守層に絶大な影響力を持つ政治評論家やインフルエンサーたちが、自身の番組やSNSを通じて、視聴者に金への投資を熱心に勧めています。メーガン・ケリー氏やスティーブ・バノン氏、ドナルド・トランプ・ジュニア氏といった著名な顔ぶれが、銀行への不信感やドルの価値下落に対する懸念を背景に、資産の安全な避難先として金販売大手のバーチ・ゴールド・グループなどを推奨しています。保守層の政治的な信条に訴えかけるこれらの宣伝活動は、長年にわたり展開されており、退職者を中心とした多くの人々が老後の資金を金の購入に充てるようになっています。

しかし、こうした華やかな宣伝の裏側で、投資家からは不当な手数料や事実誤認に基づく勧誘への不満が相次いでいます。ここ2年で金の価格は1オンス4,677ドルと2倍以上に値上がりしましたが、高額な手数料が利益を相殺し、資産を減らしてしまったという訴えが後を絶ちません。米連邦規制当局や州当局、そして投資家たちは、過去10年間に金販売会社に対して17件以上の訴訟を提起しています。中には、高齢者から1億8,500万ドルをだまし取ったとして資産凍結された企業や、法外な上乗せ料金を課していたとして数百万ドルの支払いを命じられた企業も存在します。

具体的な被害を訴える元海軍将校の男性は、バノン氏らの言葉を信じて35万ドルを投じましたが、約10万ドルの過剰請求を受けたとして提訴しました。また、別の女性投資家は、希少価値があるとして市場価格より65%も高い価格でコインを買わされていたことが判明しました。金販売会社は「限定鋳造」のコインは通常の地金よりも価値が高まると説明しますが、実際にはその価値は含まれる金の重量に左右されるため、売却時に期待した利益を得ることは困難です。こうした企業は、好意的なレビューを集めるために顧客に「無料のコイン」を配るといった手法で、高い信頼評価を維持しているとの指摘もあります。

一方で、保守派の間でも足並みは揃っていません。タッカー・カールソン氏は、これまでの金販売広告を詐欺的であると批判し、自身でより手数料の低い新会社を設立しました。しかし、これに対しても他のインフルエンサーからは、自らのスポンサー活動を正当化するための動きに過ぎないとの反論が出ています。各国の造幣局は、自社の製品が不適切な販売に利用されることに反対する姿勢を見せていますが、販売会社による末端での営業活動を完全に抑制するには至っていません。政治的な信頼を利用した投資勧誘と、それによって資産を損なう高齢投資家の実態が、米国内で大きな議論を呼んでいます。

2026-04-05

西岸地区、入植者の暴力

Spare a Thought for the West Bank Palestinians - The American Conservative [LINK]

【海外記事より】現在、イスラエルがレバノンやイランとの戦いに注力する陰で、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人が入植者による暴力にさらされている実態が報告されています。筆者は、この地で起きている惨状を表現するには、いかなる誇張された言葉も不十分であると述べています。異論に対する残酷な抑圧、拷問、暴力、侮辱、そして略奪が日常茶飯事となっており、定期的な殺害も珍しくありません。パレスチナ人の母親や娘たちは、入植者から挑発的な罵声を浴びせられ、その憎悪に満ちた光景は、かつてドイツ占領下で幼少期を過ごした筆者の経験に照らしても、類を見ないほどの恐怖であると描写されています。

最近の報道では、武装した約20人の入植者がパレスチナ人のキャンプを襲撃し、子供たちに暴行を加えた事件が伝えられました。その際、ある羊飼いの男性は全裸にされ、家族の目の前で激しい暴行を受けた末に、家財道具や400頭の羊をすべて奪われました。生計の手段を失った彼は、子供たちを養うことができず、住み慣れた土地を離れることを検討せざるを得ない状況に追い込まれています。こうした行為の背景には、パレスチナ人を追い出し、ヨルダン川西岸地区を完全に支配しようとする入植者側の意図があると指摘されています。2023年10月の紛争開始以降、西岸地区では少なくとも15人のパレスチナ人が入植者によって殺害されています。

入植者による組織的な威圧は、パレスチナ国家の樹立を物理的に不可能にすることを長期的な目的としています。ネタニヤフ首相もヨルダン川西岸地区への恒久的な支配拡大を明言しており、ゴラン高原やレバノン南部の一部を含む広大な地域をイスラエルの支配下に置く未来図が描かれています。一部のイスラエル人による抗議活動も行われていますが、重武装し、軍や警察の保護下にある入植者の暴走を止めるには至っていません。過去2年間で、85のパレスチナ人の村が入植者によって破壊されました。彼らはアラブ人を憎むよう教育されており、警察や軍が傍観する中で、公然と家畜を盗み、住民を傷つけているのが現状です。

こうした入植者の行動は、イスラエルが長年主張してきた「自国が迫害されている」という論理を形骸化させています。レバノンでの戦闘開始以来、1,000人以上の死者が出ていますが、それらは軽視され、あらゆる批判が反ユダヤ主義として退けられています。筆者は、こうしたアラブ人の追放と土地の占有という計画は、1937年の分割案の時代から存在していたものだと指摘します。初代首相となるベン・グリオンが「アラブ人を追放し、その場所を我々が占めるべきだ」と記した通り、現在の村々の破壊は過去の計画の延長線上にあります。この記事は、国際社会の関心が他へ向いている間に進行している、西岸地区の人々の悲劇に目を向けるよう促しています。

ソマリランドめぐる緊張

Israel’s push for Somaliland base raises fears of wider war | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事より】イスラエルがソマリアから独立を宣言しているソマリランド当局と、戦略的な安全保障パートナーシップの形成に向けた協議を行っていると報じられました。ブルームバーグの報道によれば、この提携には、イスラエルがソマリランド沿岸の軍事基地やセキュリティ施設へアクセスする権限が含まれる可能性があります。イスラエル側の狙いは、紅海の入り口に位置するバブ・エル・マンデブ海峡に近いこの地を拠点に、イエメンのフーシ派による攻撃能力を排除することにあります。フーシ派は2023年以降、イスラエルや周辺の船舶に対して500回近い攻撃を行っており、イランから武器や訓練の支援を受けていることから、イスラエルにとって極めて重要な戦略的標的となっています。

ソマリランドは1991年に主権を主張して以来、ソマリアとの間で独立を巡る対立が続いていますが、イスラエルは昨年12月、世界で初めてその独立を承認しました。これに対し、ソマリア大統領は、両者の関係正常化はイスラエルの軍事基地開設を条件とした見返りであると主張しています。ソマリランド側は現時点での基地建設に関する交渉は否定しているものの、将来的な分析の可能性については含みを残しています。しかし、この地域にイスラエルの軍事的なプレゼンスが拡大することは、すでに多くの武装勢力や代理戦争を抱え、脆弱な状態にある「アフリカの角」地域に、中東の戦火を大きく広げるリスクを孕んでいます。

現在、この地域では複雑な同盟関係が形成されつつあります。イスラエルと同様にアラブ首長国連邦もソマリランドを支持する一方で、トルコやカタール、サウジアラビアはソマリアを支持し、武器の販売や安全保障上の取り決めを進めています。特にトルコは、ソマリアの首都モガディシュに国外最大規模の基地を保有しています。また、トランプ大統領がソマリランドの独立承認を検討しているとの報道もあり、ワシントンでのロビー活動も活発化しています。こうした外部勢力の介入は、既存の地域紛争をさらに複雑なものにする可能性を否定できません。

周辺地域に目を向けると、ソマリア政府は過激派組織アル・シャバブとの長年の戦いを続けており、西側ではエチオピアとエリトリアが軍事的衝突の準備を進めています。さらに隣国スーダンでは、世界最大規模の避難民を生んでいる悲惨な内戦が続いており、アフリカや中東の諸国が異なる陣営を支援する代理戦争の様相を呈しています。南スーダンでも内戦再発の危機が高まっており、地域全体の緊張は極限に達しています。このような状況下で、イスラエルが軍事拠点をソマリランドにまで広げることは、地域固有の危機や代理戦争をさらに悪化させ、拡大する中東の戦争をアフリカ大陸へと引き込む結果になりかねないと懸念されています。

イランが勝利している理由

Iran is winning the war with the US. This is how - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事より】2月28日にアメリカとイスラエルが対イラン攻撃を開始してから1カ月以上が経過しましたが、現時点ではイランがこの戦争に勝利しているとの分析が出ています。トランプ政権が狙った政権交代や国家崩壊は実現せず、イラン政府は強靭な回復力を示しました。イランは非対称戦術を駆使してアメリカ帝国の弱点を突き、軍事、経済、そして同盟関係に大きな代償を強いています。特筆すべきは、イランが西アジアにあるアメリカ軍基地の多くを破壊し、米軍をこの地域から事実上追い出したことです。現在、米国防総省は主に欧州の基地からこの戦争を継続せざるを得ない状況に追い込まれています。

こうした見方は、欧米の主要メディアでも認められ始めています。イギリスのインデペンデント紙は、トランプ氏が戦争からの離脱を望んでいることを挙げてイランの勝利を報じ、ポリティコ誌は今回の戦争を、2003年のイラク侵攻を上回る戦略的誤りであるとする論評を掲載しました。また、米外交問題評議会の機関紙フォーリン・アフェアーズは、イランが40年近くにわたりこの種の紛争に備えてきたことを指摘しています。軍事目標の破壊といった従来の基準では劣勢に見えても、戦略目標の達成という基準で見ればイランが優位に立っているという分析です。イランは米欧の防空網を無効化し、ペルシャ湾の米軍基地に深刻な打撃を与え、アメリカとその湾岸同盟国との間にくさびを打ち込むことに成功しています。

イランの第一の戦略目標である政権維持については、現体制を打倒しようとするワシントンの目論見は失敗に終わりました。それどころか、攻撃を受けたことでイラン国民の多くが国旗の下に結集し、政府の正当性が高まる結果となっています。開戦後の1カ月間で、イラン国内では政府を支持する集会が850回以上も開催されました。また、西アジアから米軍を追放するという積年の目標も、現実のものとなりつつあります。公式データによれば、イランは最初の1カ月で5,400回以上のミサイルやドローンによる攻撃を米軍基地に対して行いました。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、カタールやバーレーンにある主要基地を含む13の施設が居住不能な状態に陥り、米軍兵士はホテルやオフィススペースからの「リモートワーク」を余儀なくされているといいます。

このように西アジアの拠点が破壊されたことで、米軍は軍事活動の拠点を欧州に移しています。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ドイツやイギリス、イタリアなどの基地が、対イラン作戦のロジスティクスにおける中心的な役割を果たしていると報じました。欧州の指導者たちは公にアメリカの攻撃を批判していますが、舞台裏では米軍による領土の使用を認め、戦争に協力している実態があります。しかし、物理的な距離が遠のいたことは、アメリカがこの地域での支配力を維持することが極めて困難になったことを意味しています。トランプ政権が仕掛けたこの戦争は、戦略的な観点から見れば、イランによる「米軍の地域からの追放」という大きな勝利を招く結果となっています。

戦争のガザ化

The US and Israel Are Making Gaza-Style War the New Normal [LINK]

【海外記事より】アメリカとイスラエルが現在行っているイランやレバノンへの攻撃は、かつてのガザ地区で見られた凄惨な軍事行動を、現代の戦争における新たな標準、すなわち「常態化」させようとしていると報じられています。ガザで見られた子供や無実の市民の大量殺害、そして社会そのものを消し去るような破壊行為は、国際法や人道的な制約を一切排除した未来の戦争の「リハーサル」であったという見方が出ています。かつて第二次世界大戦中の都市爆撃は戦争犯罪であり、道徳的恐怖であると世界的に認識されてきましたが、現在のアメリカやイスラエルの強硬派は、そうした過去の凄惨な手法を正当化の根拠として公然と引き合いに出すようになっています。

イランに対する攻撃の激しさは、ガザ攻撃の初期段階を上回る規模に達しています。開戦から100時間の間に投下された弾薬や標的の数は、3年前のガザ攻撃の2倍に相当するというデータもあります。この戦争は子供たちが通う学校への爆撃で始まり、住宅街全体が巨大な爆弾によって瓦解し、多くの市民が瓦礫の下に埋もれています。イラン赤新月社の報告によれば、すでに9万戸以上の住宅に加え、300以上の医療施設、700以上の教育機関が破壊されました。さらに、飲料水を提供する脱塩プラントや歴史的な遺産、がん治療薬の製造施設、食料供給に不可欠なインフラまでが標的となっています。こうした無差別な破壊の背景には、標的選定における人工知能の利用や、精密誘導ではない巨大な爆弾の使用があると指摘されています。

レバノンにおいても同様の事態が進行しています。イスラエル軍は市民に対して強制的な退避を命じ、全人口の20%にあたる100万人以上が住む場所を追われました。空になった住宅地では略奪が行われ、緩衝地帯を作るという名目で建物が次々と破壊されています。また、医療従事者やジャーナリストが標的となり、白リン弾の使用も報告されています。ガザで毎日教室一つ分の子供たちが殺害されていたという悲劇的な統計は、現在のレバノンでもそのまま繰り返されています。アメリカの閣僚からは、イラン人全員の殺害を示唆するような過激な発言や、慈悲のない暴力を祈るような言葉が発せられており、かつてのアメリカ政府が維持していた倫理的な配慮はもはや失われているようです。

こうした「戦争のガザ化」は、国際社会が築いてきたルールを根本から破壊する危険な賭けであると記事は警告しています。自分たちが国際法を無視して例外的な行動をとり始めれば、敵対する側も同様の手段をとるようになり、結果として世界はより残酷な場所へと変貌してしまいます。食料供給やエネルギーインフラ、医療施設を破壊するという手法が一般的になれば、将来的にアメリカ国民自身も同様の危険に晒されることになります。自国の指導者たちが強行する戦争によって、一般市民やその家族の命が担保として差し出されている現状に対し、非常に強い懸念が示されています。

戦争へのセールストーク

Trump's Tone-Deaf Sales Pitch for More War - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】アメリカの元連邦下院議員であるデニス・クシニッチ氏は、近年のアメリカ大統領による国民向けの演説を、戦争を継続するための無神経なセールストークであると厳しく批判しています。クシニッチ氏はかつて、クリントン、ブッシュ、オバマという3つの政権下で、権限のない軍事行動に対して議会から異議を唱え、イラク戦争への反対を主導した経歴を持つ人物です。同氏によれば、現在の中東地域では民間人と軍人の双方に犠牲者が増え続けており、勝利を強調する暴力的な言葉が正当化の手段として使われる中で、多くの命が失われているといいます。平和の名の下に戦争が拡大されているというこの矛盾した状況に対し、政治的な受容ではなく、道徳的な明快さが必要であると氏は訴えています。失われる命の価値はすべて等しく、いかなる国家の苦しみも使い捨てにされるべきではなく、いかなる人々も軍事行動の付随的な犠牲として存在しているわけではないという考えが示されています。

クシニッチ氏は、イランという国が単なる地図上の標的に過ぎないわけではなく、文明のゆりかごの一つであり、近代の西洋が台頭する以前から長い文化や知的貢献の歴史を持つ社会であることを強調しています。こうした国家を石器時代に戻すといった言葉を不用意に発することは、他者を人間として扱わない植民地主義的な考え方であり、同時に自分たちの人間性をも貶めるものであると警告しています。アメリカとイスラエルによるイランへの大規模な爆撃、そしてイランによる反撃は、すでに罪のない命を奪い始めており、その影響で世界経済も不安定化しています。具体的には、エネルギー市場が混乱し、石油やガスの生産が制約を受け、肥料の供給網や重要な原材料の遮断も起きています。こうした経済的な危機よりも深刻なのは道徳的な危機であると氏は述べています。

核の脅威を繰り返し訴える現在の状況は、かつてイラク侵攻を正当化するために使われた大量破壊兵器に関する虚偽の主張を思い起こさせます。当時の戦争は、数多くのアメリカ人とイラク人の命を奪い、膨大な資金を費やした末に、今日まで続く不安定さと悲しみの遺産を残しました。クシニッチ氏は、もし大統領が本当に核武装を防ぎたいのであれば、イランの核開発に検証可能な制限を課していた核合意を破棄すべきではなかったと指摘しています。論理に反し、破滅を招くような緊張拡大の連鎖に対して、党派を超えた良心の問いが必要だと説いています。アメリカ国民はこの状況を甘受するのではなく、立ち向かうことが求められており、連邦議会は憲法上の権限を行使して、この事態を抑制する勇気を持たなければなりません。

戦争を強さとして捉えるのは破壊であり、必要性として提示される暴力は無意味な暴力に過ぎません。その結果は、すでに国際秩序を不安定にする変化を加速させています。議会には、予算の編成権を通じてあらゆる戦争を終わらせる権限が憲法によって与えられています。クシニッチ氏は、アメリカ国民が直ちに自分たちの代表である議員に連絡を取り、戦争を継続させるための追加予算案に反対票を投じるよう要求すべきであると強く呼びかけています。平和と真実、そして憲法の誠実さを訴えてきた立場から、戦争へと導く誤った動きを止めるために、議会が「ノー」の意思を示すべきであるという結論で、この記事は締めくくられています。

彼らは私たちの食べ物に何をしたのか?

What Have They Done to Our Food? - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】米国のコラムニスト、マイケル・スナイダー氏による、現代の加工食品が抱える深刻な問題についての論考を紹介します。現在、地元のスーパーマーケットで販売されている事前包装された食品の多くは、本来の食べ物とはかけ離れた、いわば「フランケンシュタイン・フード」と化しています。主要な食品メーカーは、自社製品が消費者の健康を損なっていることを十分に理解しながらも、莫大な利益を得るためにその手法を変えようとはしません。現代社会で癌や心臓病、糖尿病が急増しているのは決して偶然ではなく、私たちが口にしているものに原因があると著者は警鐘を鳴らしています。

100年前、食べ物は純粋に食べ物でした。しかし2026年の現在、加工食品には判別不能なほど長い原材料リストが並んでいます。最近の調査では、米国食品医薬品局(FDA)の監視を全く受けないまま、安全性が不明な111種類以上の物質が飲料やサプリメントに密かに追加されていることが判明しました。現行のガイドラインでは、メーカーが自ら「安全である」と判断すれば、当局への通知なしに新成分を使用できてしまうという、法的な抜け穴が存在しているのです。その結果、市販のパンが水を弾くほど不自然な組成になっていたり、チョコレートが熱で溶けずにゴムのように変質したりといった異常な現象が報告されています。

特に問題視されているのが、安価な甘味料として多用される「高果糖液糖」です。プリンストン大学の研究によれば、この物質は通常の砂糖と同じカロリーを摂取した場合でも、実験動物に著しい体重増加と内臓脂肪の蓄積をもたらすことが証明されています。食品メーカーはこの事実を知りながらも、クラッカーやヨーグルト、サラダドレッシングなど、一見甘さを必要としない食品にまでこの液糖を混入させています。消費者の健康よりも、製造コストの削減と依存性の維持が優先されているのが実情です。

さらに、食品の質が低下する一方で、パッケージのサイズは縮小し、価格だけが上昇を続けています。かつて安価でボリュームのあったファストフードのスイーツも、今では子供向けのようなサイズになり、価格は数倍に跳ね上がっています。健康的な「オーガニック」食品は、一般の市民には手が出せないほど高価になり、多くの人々が化学物質にまみれた安価な食品を選ばざるを得ない状況に追い込まれています。著者は、巨大企業が提供する利便性や宣伝を盲信せず、自分たちの健康を守るために一人ひとりが自律的に考えることの重要性を強調して締めくくっています。

聖週間と戦争

Trump Talks War for Easter Week - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】元CIA工作員で安全保障の専門家であるフィリップ・ジラルディ氏による、イースター休暇中の米国政治とトランプ政権の動向に関する寄稿を紹介します。キリスト教徒が聖週間として祈りを捧げる時期、ワシントンではそれとは対照的な動きが見られました。トランプ大統領は演説の中で、イランとの継続的な紛争に触れ、軍の勇気を称える一方で、イランが事実上の降伏をしなければ「石器時代に追い戻す」ほどの爆撃を行うと要求し、SNS上でも48時間以内に事態が悪化すると警告を発しました。

軍事面では、ホワイトハウスが提案した2027年度の国防予算案が1兆5000億ドルに達したことが波及しています。これは今年度を5000億ドル上回る規模であり、ペンタゴン(国防総省)が最近要請したイラン戦費の2000億ドルは含まれていません。トランプ大統領は演説で、戦争を優先するために、環境対策や育児支援、メディケア、メディケイドといった国内の社会保障に資金を割く余裕はないと明言しました。こうした姿勢に対し、一部からはキリスト教的な慈愛に欠けるとの声も上がっています。

さらに、財政面や政権内部の宗教的な対立も注目されています。現在の米国の公的債務は39兆ドルという持続困難な水準にありますが、今回の軍事支出が承認されれば、今後10年間でさらに7兆ドルの債務が増加すると予測されています。また、ローマ教皇がイランでの戦争を批判したことを受け、政権内ではカトリックを排除する動きが見られたとの報告もあります。ヘグセス国防長官が主催した礼拝イベントでは、カトリック教徒の出席を禁じる案内が出されたと伝えられており、波紋を呼んでいます。

この記事は最後に、昨年9月にユタ州で起きたチャーリー・カーク氏殺害事件の続報にも触れています。弁護団の調査により、容疑者とされた人物の銃が犯行に使われていない可能性が浮上しました。カーク氏は生前、イスラエルへの支持を撤回する意向を示していたことから、事件の背景や当局の対応について隠蔽の疑いを指摘する声もあり、地政学的な緊張と国内の政治的不信が複雑に絡み合っている現状が浮き彫りになっています。

日本株、反発の兆しも

The Smart Money Is Shopping in the Gloom [LINK]

【海外記事より】金融市場の最新動向について、米国の分析サイトによる見解を紹介します。現在、中東情勢は依然として不安定で、エネルギー市場の供給網やNATO内の勢力均衡にも大きな影響を及ぼし続けています。しかし、金融市場はこうした地政学的なリスクを織り込み、すでに適応し始めています。先週までの予測では、投資家がかつてないほどのリスクヘッジを行っていたため、多くの予想に反して市場の暴落は限定的でした。市場心理が極度の悲観に振れたことで、かえって売り圧力が一巡し、わずかな好材料で市場が反発しやすい土壌が整っています。

米国株の現状を見ると、ウォール街には依然として悲観論が漂っていますが、水面下では「スマートマネー」と呼ばれる機敏な投資家たちが買い集めを強化している兆候があります。ボラティリティ指数(恐怖指数)の先物価格を見ると、6カ月先には市場が大幅に落ち着くと予想されていることが分かります。一方で欧州株については、エネルギー問題や軍事同盟の先行きへの懸念から、投資家の関心は低く、米国のような買い戻しの動きはまだ見られません。

日本市場については、ホルムズ海峡の封鎖に伴うエネルギー供給問題の影響を強く受けています。最近では日経平均株価に非常に強い売り圧力がかかりましたが、指数はさらなる下落を食い止め、持ちこたえています。これは市場が上昇に転じる強気な兆候と捉えることも可能です。今後、市場の主導権が売り手から買い手へと移る中で、特にAIや量子コンピューティングといったセクターが恩恵を受ける可能性が高いと分析されています。

貴金属市場に目を向けると、1月下旬以降の価格調整によって多くの投資家が市場から淘汰されました。しかし、地政学的な不安定さは依然として続いており、ポートフォリオ内の金保有量が減少した現在の状況は、再投資の好機となる可能性があります。銀市場においても、以前の上昇局面で足かせとなった証拠金の引き上げといった要因が解消され、市場はリセットされた状態にあります。また、パラジウムなどの他の貴金属にも強気な兆候が見られます。市場は依然として悲観的なムードの中にありますが、だからこそ上昇の余地は非常に大きいというのが、この記事の主な結論です。

モロッコ国王、アフリカで金増産へ

Africa's wealthiest king leads $750 million investment to boost gold production by 134% across 5 African countries | Business Insider Africa [LINK]

【海外記事より】アフリカで最も裕福な君主として知られるモロッコのムハンマド6世が、自身の投資会社を通じてアフリカ5カ国での金生産を大幅に拡大させる計画を進めています。この戦略的投資の総額は7億5000万ドルにのぼり、2030年までに年間生産量を現在の21万3000オンスから50万オンスへと、約134%増加させることを目標としています。この背景には、金価格の上昇に伴う目覚ましい業績の伸びがあります。同氏が実質的に支配する鉱山会社マネジェムは、2025年に純利益が3億2200万ドルに達し、前年比で384%という驚異的な成長を遂げました。

現在、マネジェムはアフリカの7カ国で事業を展開しており、モロッコ、スーダン、コンゴ民主共和国、ガボン、セネガル、ギニア、コートジボワールで多様なプロジェクトを推進しています。特に西アフリカでの展開が加速しており、ガボンのエテケ・プロジェクトには1億5000万ドルを投じ、2028年末から年間6万オンスの生産を開始する予定です。また、ギニアのカリタ・プロジェクトでは6億ドルを投じて、2029年から年間20万オンスの生産を目指しています。さらに、既存の資産の買収も並行して進めることで、生産体制を迅速に強化する構えです。

2025年の業績を詳しく見ると、金価格が平均で1オンスあたり3,445ドルと44%上昇したことを受けて、同社の金生産量は26%増加しました。金による収益は全体の半分以上を占めており、売上高は55%増の13億ドルに達しています。金だけでなく銀の生産も好調で、18%の増産に加えて価格も42%上昇したことが収益を押し上げました。同社は、増産と金価格の維持を前提に、今後2年以内に売上高が20億ドルを超えると予測しています。

現在の金市場は、2026年4月初旬時点でスポット価格が4,650ドル付近で取引されるなど、依然として高い水準にあります。2026年1月には一時5,500ドルを超える歴史的な高値を記録しましたが、その後は米ドルの堅調さや金利見通しの変化から、2008年以来となる急激な月間下落も経験しました。しかし、JPモルガンは中央銀行による買い入れや米国の利下げを背景に、2026年末までに金価格が6,300ドルまで上昇する可能性があると予測しています。ムハンマド6世による大規模な投資は、こうした有利な市場環境を最大限に活用し、アフリカの鉱業分野における支配的な地位を確立しようとするものです。

金、中核資産の地位保つ

Some central banks have been selling their gold. That doesn’t mean you should too. - MarketWatch [LINK]

【海外記事より】最近の金相場の動きについて、米国の市場関係者の見解を紹介します。直近の3月、金先物価格は月間で約11%下落し、およそ13年ぶりとなる大幅な下げを記録しました。今年1月には1オンスあたり5,626.80ドルの史上最高値を更新していましたが、そこから17%近く下落したことになります。中東での軍事衝突やインフレへの懸念、世界経済の不透明感が増す中で、金が安全な資産として機能しなかったのではないかと疑問を抱く向きもありますが、専門家は別の視点を示しています。貴金属ブローカー、ゴールドコアのヤン・スコイルズ氏は、金は現金化する価値があるほど資産価値を維持していたのであり、今回の下落は金の弱さではなく、むしろ金の真髄を示していると述べています。

過去数年間、金相場を支えてきたのは中央銀行による大規模な買い入れでした。世界黄金協会によれば、2022年から3年連続で年間1,000トンを超える購入が続き、2025年も863トンという高水準を維持していました。しかし、今年2月に米国とイスラエルによるイランへの攻撃が始まると、状況に変化が生じました。原油価格が高騰し、エネルギー輸入国である欧州やトルコ、日本、インドなどで、決済のためのドル流動性が必要となったのです。トルコリラなどの通貨が下落する中で、各国はドルを確保するために、最も流動性の高い非ドル資産である金を売却しました。これは金への信頼を失ったからではなく、緊急に現金が必要になったためだと分析されています。

具体的には、トルコは通貨防衛のために約60トン、金額にして80億ドル相当の金を売却しました。ポーランドも、過去2年間は最大の買い手でしたが、現在は国防費を賄うために保有する金の現金化を検討しています。またロシアは、ウクライナとの戦争資金に充てるため、2025年から金の売却を進めており、その保有量は40年ぶりの低水準となっています。このように、一部の国による売却はポートフォリオの再編ではなく、あくまで戦争や通貨防衛といった財政的な圧力によるものです。元米造幣局長のエドマンド・モイ氏は、売却の理由は国ごとに異なり、長長期的な傾向として捉えるべきではないと注意を促しています。

こうした価格の下落を、個人投資家はむしろ好機と捉えているようです。オンライン金取引サービス、ブリオンボールトの調査によると、売り手と買い手の数を追跡する金投資家指数は3月、2020年8月以来の高水準を記録しました。価格が下がったことで、1月の高騰前の水準で買い直せると考える投資家が増えており、投資意欲は2008年の金融危機やパンデミック時に次ぐ強さを見せています。専門家は、巨額の政府債務や通貨価値の低下、地政学的な不安定さといった、これまで金を押し上げてきた要因は依然として変わっていないと指摘します。一部の中央銀行による売却はありましたが、市場全体で見れば金は依然として中核的な資産としての地位を保っており、今回の価格調整は一時的な流動性供給の役割を果たした結果であると考えられています。

2026-04-04

イラン戦争の結末

The Consequences of the War Against Iran - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】フランスの知性派ジャーナリスト、ティエリ・メイサン氏は、現在進行中のイランと米国・イスラエルによる紛争が、これまでの軍事戦略の常識を覆す歴史的な転換点になると分析しています。中規模の国家が、世界最強の軍事力を持つ超大国に対して、グローバル化時代の特性を活かした反撃を行い、勝利を収める可能性が出てきたからです。イランの戦略は、敵対する国家の軍事基地だけでなく、外国投資や企業などの経済的権益を標的にするという、これまでにない戦い方を選んでいます。

この紛争の根底には、ネタニヤフ首相が掲げる「修正主義シオニズム」の野望があると同氏は指摘します。これは単なるユダヤ人国家の建設に留まらず、ファシズムに近い思想背景を持ち、周辺国を支配する「大イスラエル」の建国を目指すものです。しかし、この戦争がもたらした最初の大きな余波は、米国内の「MAGA(アメリカを再び偉大に)」運動の分裂でした。トランプ大統領の支持者たちは、イスラエルのためだけに米国が戦争に巻き込まれることを拒否し、彼への信頼を急速に失っています。米国内で行われた3300ものデモは、単なる反戦運動ではなく、大統領の権力行使に対する異議申し立てとなりました。

また、米軍基地を受け入れることが、自国を守るどころか、逆に戦争の標的にされるリスクを招くという現実が浮き彫りになりました。イランの反撃を受けた湾岸諸国に対し、国連憲章は「攻撃に使用された領土を持つ第三者」への反撃も正当な権利として認めています。この事実は中国などの他国にも影響を与えており、台湾情勢を巡る戦略においても、島そのものではなくアジア太平洋地域の米軍基地を直接叩くという方針転換を促しています。米軍がいわば「紙の虎」になりつつある現状で、安価なミサイルを大量に保有するイランに対し、高額な迎撃ミサイルで対応し続ける米国は経済的にも兵器の在庫的にも追い詰められています。

イランは米国の脅しに屈するどころか、米国資本が関わるアルミニウム精錬所や大学の分校、空母などを次々と標的に指定し、独自のペースでエスカレーションを管理しています。トランプ大統領による交渉の試みも、テヘラン側は一貫して否定し、実力行使を続けています。イスラエルもまた、ガザやレバノンでの長期戦で疲弊しており、残された手段は核兵器の使用という究極の選択肢しかないという極めて危険な状況にあります。メイサン氏は、イスラエルが国際法を遵守する道を選ばない限り、この文明の衝突は破滅的な結末を迎えかねないと警鐘を鳴らしています。

無差別攻撃の歴史

‘Bomb back to the Stone Age’: US history of threats and carpet bombing | US-Israel war on Iran News | Al Jazeera [LINK]

【海外記事より】トランプ米大統領は先日、イランに対して「石器時代に戻るまで爆撃する」と警告し、ヘグセス国防長官もこの発言を支持する姿勢を見せました。「石器時代に戻す」という表現は、一般的に絨毯爆撃によって現代的なインフラをすべて破壊し、未開の状態に追い込むことを指します。専門家によれば、現代社会を特徴づけるエネルギー施設や通信網、医療、教育機関などを無差別に攻撃することは国際人道法で禁止されており、こうした脅しは民間人を標的にした重大な戦争犯罪を示唆するものとして批判されています。

しかし、米国が軍事作戦においてこのような過激な脅しを用い、実際に実行してきた歴史は決して新しいものではありません。この言葉の起源は、1965年に米空軍のカーチス・ルメイ氏が北ベトナムに対して放った言葉に遡ります。ルメイ氏は第二次世界大戦中、日本の都市への絨毯爆撃を指揮し、数十万人の犠牲者を出した人物としても知られています。ベトナム戦争では、ニクソン大統領がハノイなどに対して大規模な爆撃を命じたほか、カンボジアやラオスでも激しい空爆が行われ、膨大な数の民間人が犠牲となりました。

1990年代以降も同様の脅しは繰り返されています。1991年の湾岸戦争では、当時のベイカー国務長官がイラクの外相に対し、クウェートから撤退しなければ「石器時代に戻るまで爆撃する」と警告しました。米国は精密誘導兵器によるピンポイント攻撃を強調しましたが、実際には大量の無誘導爆弾も投下され、都市のインフラに甚大な被害を与えました。また、2001年の同時多発テロ後には、米国の高官がパキスタンのムシャラフ大統領に対し、対テロ戦争に協力しなければ「石器時代に送る」と迫ったという証言も残っています。

米国の爆撃の歴史はさらに古く、朝鮮戦争では北朝鮮の建物の80%以上、発電能力の95%が破壊されたと言われています。イランは米国が誕生する1000年以上前から高度な文明を築き、科学や哲学を発展させてきた歴史ある国です。今回のトランプ大統領の発言は、単にイラン政権を打倒するだけでなく、その社会や国民全体を攻撃対象とする姿勢を鮮明にしたものとして受け止められています。過去のベトナムや朝鮮半島、イラクでの事例が示す通り、米国のこうした修辞は単なる脅しに留まらず、しばしば壊滅的な武力行使を伴ってきたという背景があります。

プライベートクレジットの火種

Is Everything Contained in the Private Credit Market? | Economic Prism [LINK]

【海外記事より】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は先日、プライベート・クレジット市場の問題について、銀行システムとの関連性は見られず、他の市場へ混乱が波及する恐れはないとの見解を示しました。しかし、この記事の著者であるMNゴードン氏は、その楽観的な見方に疑問を投げかけています。プライベート・クレジットとは、銀行を介さずに企業へ直接融資を行う非公開の債権市場のことですが、長らく低金利が続いた時期に、富裕層や機関投資家が少しでも高い利回りを求めて資金を投じてきました。ところが現在、この市場の出口が事実上閉ざされるという事態が起きています。

大手運用会社であるモルガン・スタンレーやブラックロック、アポロ、ブルー・アウルといった企業のファンドでは、投資家からの解約請求が相次いでいますが、多くのファンドが償還に制限をかける「ゲート」を設けています。投資家が資産の10%以上の払い戻しを求めても、実際に支払われるのはその半分以下であったり、中には払い戻し自体を一時停止したりするケースも出ています。世界最大のオルタナティブ資産運用会社であるブラックストーンにいたっては、取り付け騒ぎを防ぐために4億ドルの自己資金を注入せざるを得ない状況に陥りました。これは、かつて「リスクが低く、利回りが高い」と宣伝されていたこの市場の流動性が、一夜にして蒸発してしまったことを物語っています。

苦境の原因は、過剰なレバレッジと金利の上昇にあります。2025年のデータによれば、米国のプライベート・クレジットのデフォルト率は9.2%に達しました。これは歴史的な平均値である2%から3.5%を大幅に上回り、1998年の通貨危機や2020年のパンデミック時の水準さえ超えています。特に変動金利で融資を受けていた中堅企業は、金利上昇によって利払い負担が倍増し、経営を圧迫されています。さらに、AIによる技術革新が特定のソフトウェア企業の価値を損なわせていることも、融資側にとっては大きな打撃となっています。

懸念されるのは、この問題が投資家以外にも及ぶ可能性です。格付け会社のムーディーズによれば、米国の銀行によるプライベート・クレジットへの融資露出は約3000億ドルに上ります。また、著名な投資家であるスティーブ・アイスマン氏は、保険業界がこの市場に深く関与していることを指摘し、不透明なオフショア子会社を利用した債務の付け替えが行われている可能性を警告しています。パウエル議長は「限定的である」と述べていますが、2007年に当時のバーナンキ議長がサブプライムローン問題を「限定的」と評した直後にリーマン・ショックが起きた歴史を忘れてはなりません。現実にJPモルガンなどの大手銀行は、プライベート・クレジットの担保評価を引き下げ始めており、当局の言葉とは裏腹に、金融システムへの火種は確実にくすぶり続けていると言えるでしょう。

銀需要、AI進歩で拡大

How Nvidia and AI are Driving Demand for Silver Higher | The Motley Fool [LINK]

【海外記事より】米国のハイテク企業であるエヌビディアが推進する人工知能(AI)技術の進歩が、銀の需要をさらなる高みへと押し上げようとしています。一般的に、銀は宝飾品としてのイメージが強いものの、実際には産業用需要、特に太陽光発電向けの需要が市場を牽引する重要な要素となっています。銀のような商品市場では、供給と需要のわずかな変化が価格の急騰を招くことがあり、最近数年間の銀価格の上昇もそうした背景から生じています。そして今、エヌビディアのアーキテクチャを採用した次世代データセンターという、新たな需要の波が訪れようとしています。

2027年に稼働が予定されている800ボルトの高電圧直流データセンターでは、従来の施設よりも多くの銀が使用される見込みです。銀は銅と比較して熱伝導率が高く、耐酸化性にも優れているため、特に高電圧環境において大きな利点があります。データセンター自体の効率向上やメンテナンスコストの削減に、銀の特性が不可欠なのです。AIアプリケーションの爆発的な普及に伴い、これらの新しいデータセンターの重要性は極めて高まっており、経済学でいう「価格弾力性が低い」状態、つまり銀の価格が多少上がったとしても、需要が減りにくい状況が生まれると考えられます。

最新の予測によれば、2025年の銀の総需要は価格高騰の影響でわずかに減少するものの、2026年には再び安定し、市場全体としては供給不足の状態が続くと見られています。供給不足は価格にとって上昇要因となります。もちろん、投資家による現物投資の動向や、価格高騰に伴う宝飾品需要の減退など、市場には複数の変動要因が存在するため、一時的な価格調整が起こる可能性には注意が必要です。しかし、太陽光発電や電気自動車に加えて、AI主導のデータセンターという新たな産業需要が加わることで、銀の長期的なファンダメンタルズは非常に良好であると言えます。

AI技術の進展は、半導体メーカーだけでなく、それを支える物理的なインフラや素材の需要にも劇的な変化をもたらしています。エヌビディアの技術革新が銀の消費構造を変化させ、非鉄金属市場に「第2の追い風」を吹かせているという事実は、投資家にとって無視できない視点となるでしょう。産業用需要が銀市場全体の約3分の2を占めるようになる中で、次世代データセンターの登場は、銀の価値を単なる貴金属から、デジタル社会を支える不可欠な産業資材へと再定義しつつあります。価格の押し目買いを検討する材料として、この新たな技術トレンドは極めて重要です。

銀の買い要因は強固

War Headlines Shook Prices, but the Bigger Silver Story Is Still Intact [LINK]

【海外記事より】ポッドキャスト番組「マネー・メタルズ」において、銀市場の専門家であるピーター・クラウス氏が、戦争やインフレ、そして銀の長期的な展望について語りました。クラウス氏は、短期的には戦争に伴う混乱が市場の変動を引き起こし、金や銀の価格を押し下げることもあると指摘します。しかし、中長期的な視点で見れば、戦争は極めてインフレを誘発しやすい要因であり、結果として貴金属価格を支えることになると主張しています。軍事行動には多額の費用がかかりますが、政府にはそれを賄う十分な現金がありません。そのため、通貨を増刷して対応せざるを得ず、このプロセスが今後数年にわたってインフレを加速させるという見解です。

投資家の間では、有事の際になぜ金や銀が売られるのかという疑問がありますが、クラウス氏はこれを「換金売り」として説明しています。貴金属はカウンターパーティ・リスクがなく、流動性が高いため、機関投資家や政府が急に現金を必要とした際の資金源になりやすいのです。実際に2008年の金融危機やパンデミック初期にも同様の現象が見られました。また、トルコのように予算を確保するために保有する金を売却する国もあり、こうした一時的な供給圧力が価格を押し下げることがあります。しかし、これは貴金属が資産としての役割を果たしている証拠であり、価値が失われたわけではありません。

米連邦準備理事会、いわゆるFRBによる利上げについても、クラウス氏は冷静な分析を示しています。過去のインフレ局面では大幅な利上げが行われましたが、当時と現在では政府債務の規模が全く異なります。1970年代の対GDP債務比率は35%程度でしたが、現在は120%を超えています。この状況で金利を大幅に上げれば、利払いの負担が深刻化するため、当局はインフレを完全に抑え込むような極端な利上げには踏み切れないはずだと同氏は見ています。債務の借り換え時期、いわゆる「満期の壁」も迫っており、今後2年間で米国の全債務の約半分が借り換えられる見通しです。この巨額の債務問題がある限り、高金利を維持し続けることは困難であり、政府は規律よりもインフレを容認する道を選ぶ可能性が高いとしています。

銀の需要構造が変化している点も重要です。かつて銀の需要の半分は産業用でしたが、現在は約67%にまで上昇しています。特に太陽光パネル向けの需要が急増しており、銀の産業利用の約20%を占めるまでになりました。また、ミサイルやレーダーなどの軍事関連でも銀は不可欠な素材であり、防衛予算の拡大が銀需要の下支えとなっています。一方で供給面では、鉱山生産とリサイクルを合わせても需要に追いつかない構造的な不足が5年連続で続いており、今後もこの傾向は続くと予想されています。クラウス氏は、目先の価格変動に惑わされることなく、インフレや債務問題、そして産業および軍事面での需要拡大という、銀を取り巻く強固な長期的要因に注目すべきであると結んでいます。

モラー氏の憲法蹂躙

The Late Robert Mueller, Bill of Rights Executioner | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】ジム・ボバード氏が執筆したこの記事は、先日81歳で亡くなった元連邦捜査局(FBI)長官、ロバート・モラー氏の功罪について、憲法と市民の自由という観点から厳しい再評価を試みています。大手メディアの中には、モラー氏を消えゆく高潔なエリートの模範として追悼する動きもありますが、著者は同氏を「21世紀版のジョン・エドガー・フーバー」と呼び、あらゆる口実を設けて憲法を軽視し、権力を拡大させた人物であると批判しています。モラー氏が長官に就任したのは、2001年の9.11テロ事件のわずか1週間前でした。事件後、同氏はテロの予兆を知らなかったと主張しましたが、実際にはフェニックスやミネアポリスの捜査官が、飛行訓練を受ける不審な人物について本部に警告を送っていた事実が後に判明しています。こうした不手際は、結果として愛国者法の成立を後押しし、FBIがアメリカ国民の個人情報を際限なく収集する権限を手に入れることにつながりました。

愛国者法によって、FBIが発行する国家安全保障書簡(NSL)の数は年間5万件へと急増しました。これにより、裁判所の令状なしに個人の金銭の出入り、居住歴、オンラインでの購入履歴、旅行先、ウェブの閲覧履歴、さらには電話やメールの相手に至るまで、膨大な私的データが押収されるようになったのです。モラー氏率いるFBIは、こうした権限の乱用を否定し、議会に対して書簡の発行数を過小報告していましたが、後に内部調査によって数千件の違法な発行の可能性が暴露されました。連邦判事の一人は、このプロセスを「法律による住居侵入」であり、憲法上の価値を乗っ取る恐ろしい行為であると非難しています。さらに、モラー氏は議会公聴会において、国家安全保障局(NSA)がアメリカ国民を監視しているかという問いに対し、否定的な回答をしましたが、実際には当時のブッシュ政権下で大規模な無令状盗聴が行われていたことが後に明らかになりました。

モラー氏によるプライバシー侵害の最大の成果とも言えるのが、愛国者法215条の解釈です。同氏は、テロ捜査に「関連がある」という名目で、全米の通話記録を収集し、NSAに提供する仕組みの構築において中心的な役割を果たしました。この監視体制は、2013年にエドワード・スノーデン氏のリークによって世に知られることとなります。連邦判事のリチャード・レオン氏は、司法の承認なしに行われるこの組織的なデータ収集を「オーウェル的」であり、無差別で恣意的な侵入であると断じました。モラー氏は議会で、特定の個人を対象とした令状なしに会話を聞くことはできないと弁明しましたが、実際には当局者に広範な裁量が与えられており、不審な検索を行っただけで監視対象とされるような不透明な運用が行われていたのです。

2017年、モラー氏はトランプ大統領とロシアとの共謀疑惑を調査する特別検察官に任命され、再び注目を集めました。2年間にわたるメディアの狂騒を経て、最終的に共謀の証拠は見つからなかったと認めましたが、2019年の議会証言では、尋問を受けるたびにミュラー氏が精神的に混乱しているように見えたことに、世間は衝撃を受けました。著者は、モラー氏の死後にその功績を美化しようとするメディアの動きを危惧しています。同氏の記録を白紙に戻して正当化することは、今後さらなるFBIによる権利侵害を招くことになると警告しています。この記事は、法執行機関のリーダーが国家安全保障の名の下にどのように市民の自由を侵食してきたのかを、一人の人物の経歴を通じて冷徹に描き出しています。

標的リストに巨大企業

Hit List: Iran Threatens US and Israeli Corporations - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】イランの革命防衛隊(IRGC)が、アメリカやイスラエルの軍事・諜報活動を支援しているとして、18の主要企業を「標的リスト」に含め、攻撃を警告したという記事をご紹介します。2026年3月31日に出されたこの声明によれば、イスラエルや湾岸協力会議(GCC)諸国で事業を展開するこれらの企業は「諜報機関」と見なされています。革命防衛隊は、これらの企業の人工知能(AI)や情報通信技術が、イラン国内でのテロ作戦や暗殺対象の追跡に利用されていると主張し、従業員や近隣住民に対して、命を守るために直ちに避難するよう呼びかけています。

標的リストには、世界的に知られる巨大企業が名を連ねています。エネルギー分野では、イスラエル軍に燃料を供給し、サウジアラビアでも事業を行うエクソンモービルや、イスラエルの天然ガス田を運営するシェブロン、そしてイラク戦争での復興事業で知られるハリバートンが含まれています。金融・投資分野では、世界最大の資産運用会社であり、イスラエルの国防関連企業にも投資しているブラックロックや、イスラエルの政府債券を引き受けているJPモルガンの名が挙がっています。これらの企業は、イスラエルの経済や軍事インフラを支える重要なパートナーであると見なされています。

テクノロジー分野の企業も、その高度な技術ゆえに強い警戒を向けられています。具体的には、アパッチ・ヘリコプターのエンジンを製造するGEエアロスペースや、F35戦闘機などの高度な兵器を供給するロッキード・マーティン、精密誘導爆弾を製造するボーイングといった軍需関連企業です。また、データ分析でイスラエル軍を支援しているとされるパランティアや、イスラエル国内に大規模な研究開発拠点を持ち、時価総額が4兆ドルを超えるエヌビディア、アップル、インテルといった半導体・IT大手の名前もリストに含まれています。さらに、クラウド事業を展開するオラクル、ITサービスのIBM、ネット上の検閲が指摘されているメタ(旧フェイスブック)、そしてシスコやテスラといった企業も標的とされています。

革命防衛隊の主張によれば、これらの企業が提供する技術は、イランの指導者を標的とした作戦などに転用されているとのことです。記事では、多くの企業がイスラエル国内に強固な拠点を持ち、軍や政府と密接な契約を結んでいる実態を詳しく伝えています。一方で、こうした企業に対しては、人権団体や活動家から、イスラエルのパレスチナでの行動を理由に投資撤収を求める声も上がっています。今回の警告は、中東地域で活動する多国籍企業にとって、地政学的な対立が直接的な安全保障上の脅威へと発展している現状を浮き彫りにしています。革命防衛隊は、デルやビザ、マスターカードなど、他にも多くの企業をリストに挙げており、緊張は一層高まっています。

NATOに抜本改革迫るか

Trump Might Finally Force NATO To Radically Reform - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】トランプ氏が主導するアメリカが、ついに北大西洋条約機構、いわゆるNATOに対して根本的な改革を迫る可能性が高まっています。その直接的なきっかけとなったのは、ホルムズ海峡の再開に向けた協力要請をNATO側が拒否したことです。これに対しトランプ氏は、先日の閣議で激しい怒りを表明しました。トランプ氏は、NATOについて、以前から「張子の虎」であると指摘してきたことに触れ、アメリカが加盟国を救うことはあっても、加盟国がアメリカを救うことは決してないと不満をあらわにしました。今回の要請拒否をNATOに対する一種の「テスト」であったと位置づけ、この出来事を数ヶ月後も、そして今後も決して忘れることはないと、同盟国に対して警告とも取れる発言をしています。

トランプ氏の不満は、ドイツなどの主要国に向けられています。ドイツ側がイランとの対立について「自分たちの戦争ではない」と発言したことに対し、トランプ氏は、それならばウクライナもアメリカの戦争ではないはずだが、自分たちは支援を行ってきたと反論しました。本来、アメリカは欧州をロシアから守るために存在しているが、理論上、広大な海に隔てられたアメリカ自身にはロシアの脅威は直接影響しないという考えを改めて示しています。こうした背景から、トランプ氏はNATOに新たな「ペイ・トゥ・プレイ(対価を支払う)」方式を導入することを検討していると報じられています。これは、国防費を国内総生産の5%という高い目標に設定し、これを達成しない国の意思決定権を制限したり、ドイツから米軍を撤退させたりすることを示唆するものです。

こうした動きは、単なる感情的な反発ではなく、アメリカの戦略的な優先順位の変化とも合致しています。政策担当者の間では「NATO 3.0」と呼ばれる構想が議論されており、これはNATOを「初期設定」の状態に戻すことを意味します。つまり、対ロシアの防衛負担を欧州諸国により多く担わせることで、アメリカは自国の軍事・戦略的なリソースを西半球や西太平洋、特に中国への対応へと振り向けるという方針です。ホルムズ海峡の安全確保は、アメリカよりもむしろNATO加盟国にとって死活問題であるにもかかわらず協力が得られなかったことは、この組織改革を加速させる強力な動機となっています。ドイツからの全面撤退は現実的に困難であっても、駐留米軍の一部削減などは十分に起こり得るシナリオです。

一方で、アメリカはすべての欧州拠点から手を引くわけではなく、ポーランドのように米国の国家安全保障戦略において中心的な役割を果たす国では、駐留規模を維持または拡大する可能性があります。また、トランプ氏によるNATO改革の推進は、ロシアのプーチン大統領に対しても、欧州の安全保障体制が変化しているというメッセージとして機能するでしょう。これがウクライナ問題における妥協を引き出す材料となり、停滞している和平交渉の突破口になるという見方もあります。ホルムズ海峡問題で生じた亀裂と、アメリカの中国重視へのシフトという二つの要因が重なり、NATOは今、その歴史の中で最も大きな変革の時を迎えているのかもしれません。

イラン大量殺害の嘘

Trump and the Phantom Dead of Iran - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】カート・ニモ氏が執筆したこの記事は、トランプ政権がイランに対して行っている主張とその実態の乖離について、厳しい視点から分析しています。最近、トランプ氏とその周辺は、イラン政府が自国民3万人を殺害したと主張していましたが、その数字はその後4万5000人にまで上方修正されました。記事の著者は、こうした数字の膨張は、テヘランへの爆撃や無実の市民への攻撃を正当化するための口実に過ぎないと指摘しています。数日間、あるいは数週間のうちに4万5000人もの人々を殺害し、写真や目撃証言を一切残さずに遺体を処理することは、物理的なロジックから考えても極めて不自然です。遺体安置所の溢れかえりや、衛星から確認できるはずの集団墓地といった形跡が全くないことから、亡命グループやメディアによる誇張である可能性が高いと著者は述べています。

トランプ氏の言動には、事実関係の矛盾が数多く見受けられます。例えば、3月初旬にイランがアメリカへの攻撃を企てていると主張しましたが、国防総省はそれを裏付ける情報はないと認めていました。それにもかかわらず、トランプ氏は知見に基づいた判断ではなく、親族などの助言を受けて軍事行動へと舵を切りました。後にトランプ氏自身、この行動がイスラエルの脅威を取り除くためのものであったことを認めています。最近では、イラン側が停戦を懇願しているという投稿もなされていますが、イランのアラグチ外相はこれを明確に否定しています。イラン側は、アメリカとの接触を拒否しており、交渉の最中に攻撃を仕掛けてくる相手とは対話の余地がないという立場を崩していません。

また、トランプ氏はイランの新政権がウランの放棄やミサイルの破棄、制裁の受け入れを望んでいると主張していますが、これも現実とは程遠い状況です。トランプ氏は、ホルムズ海峡が完全に開放されるまでイランを徹底的に攻撃し、石器時代に戻すとまで豪語しています。これに対し、イラン側も報復の構えを見せており、もし検閲がなければ、イスラエル、カタール、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、ヨルダン、サウジアラビアなど周辺諸国で起きている広範囲な破壊の実態が明らかになっていたはずだと記事は指摘しています。トランプ氏はイランが既に骨抜きにされたと宣言していますが、実際にはイランの軍事能力の多くは地下深くで維持されており、親イラン勢力によるイスラエルへの攻撃は今も続いています。

興味深いことに、トランプ氏は、アメリカが国内の保育や医療制度を維持できない理由として、イスラエルのために戦争を戦っているからだと、稀に本音を漏らすことがあります。記事の著者は、かつてのネオコン(新保守主義)思想を引用し、エリートが「高貴な嘘」をついて大衆を導くという考え方が、現在の政権にも形を変えて現れていると分析しています。しかし、トランプ氏の場合、それが高貴な嘘であるかどうかさえ重要ではなく、自らの発言を絶対的な真実と思い込む傾向があると著者は警鐘を鳴らしています。事実を疑う者を敗北者として切り捨てるような姿勢は、民主的な議論を拒絶するものであり、現在のイラン情勢を巡る危うい言説の根底にあると結論づけています。

金は木に実る?

Gold Growing on Trees? [LINK]

【海外記事より】マイク・マハリー氏が執筆した記事によると、「金は木には実らない」という通説を覆すような、非常に興味深い発見が報告されています。実際に木の中で金が発見された事例があり、オーストラリアの研究者たちが、ユーカリの木の葉からごく微量の金の痕跡を見つけ出したのです。もっとも、これは決して手軽な金儲けの手段になるような話ではありません。葉に含まれている金はナノ粒子レベルの極めて小さなものであり、その濃度は10億分の80という、非常にわずかな量にとどまっています。それでも、植物の体内に貴金属が取り込まれているという事実は、科学的に見て非常に注目すべき現象であると言えます。

なぜ、このように木の中に金が含まれることになったのでしょうか。科学者たちは、地下深くにある金鉱床の上に生えている木が、その深い根を通じて金属を吸い上げていると考えています。例えば、ユーカリの根は地下30メートルもの深さにまで達することが知られています。この現象は「バイオミネラリゼーション」と呼ばれており、微生物や酸化の働きによって、金属イオンが土壌から茎を通り、最終的に葉へと運ばれていく仕組みです。この研究の主筆者であるメルヴィン・リンターン氏は、ユーカリの木がさながら水圧ポンプのような役割を果たしていると説明しています。植物はもちろん金を探しているわけではなく、生きるために必要な水を求めて根を伸ばしているのですが、その水の中にたまたま金が溶け込んでいたということなのです。

金の粒子が最終的に葉へとたどり着くのは、木がそれを体外へ排出しようとしている兆候である可能性が指摘されています。科学者たちの分析によれば、葉の中の金粒子は、毒性のある化学物質を排出するための経路の一部と考えられているシュウ酸カルシウムの結晶の近くで見つかることが多いそうです。この発見の正当性を確認するため、研究チームは温室での実験も行いました。ユーカリの苗木を、実際の環境と同程度の金を含んだ土壌で育てたところ、野生のユーカリと同様に地下深くから金を吸い上げていることが裏付けられました。さらに、この現象はオーストラリアに限ったことではなく、フィンランドの科学者たちも、欧州トウヒの針葉の中に埋もれた金のナノ粒子を発見しています。

もちろん、木の葉から金を採掘して利益を得ようとする人はいませんが、このバイオミネラリゼーションのプロセスを理解することは、鉱山会社が新しい金鉱床を発見する上で大きな助けになる可能性があります。地表近くにある採掘しやすい金の多くが既に掘り尽くされてしまった現代において、植物が地中深くへと根を伸ばして行っている天然の資源探査能力を活用することには、大きな合理性があります。植物の力を借りることで、調査のために掘削する試掘坑の数を減らせるかもしれません。その結果として、採掘に伴う環境破壊を抑え、植物の生息地を守ることにも繋がります。実際に2019年には、ある資源探査会社が木の葉を手がかりにして、オーストラリアで1トンあたり3.4グラムの金を含む6メートルの金脈を特定することに成功しました。自然界が作り出した金探知の仕組みは、時に人間の技術を凌駕するほど精緻なものであり、私たちが周囲の世界をより注意深く観察することの重要性を教えてくれています。

2026-04-03

インフレ時代を生き抜く法

Rising Prices and Falling Values—Inflation and Social Decay - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】最近、食料品店やレストラン、空港など、あらゆる場所でサービスの質の低下と価格の上昇が同時に起きています。生活水準は大きく後退しており、この傾向は今後さらに悪化すると予想されます。著名な投資家であるダグ・ケイシー氏によれば、多くの人々は物価高の原因を生産者に求めがちですが、それは大きな誤解です。自然災害などの例外を除き、物価の上昇は100%通貨供給量の増加、つまり政府による通貨価値の毀損によって引き起こされます。政府は価値を創造せず、規制や税金、そして不換紙幣を生み出すだけです。通貨を増やすことは、国家が国民から密かに富を盗んでいることに他なりません。

インフレは単なる経済現象ではなく、社会の道徳基準を侵食する毒となります。通貨が価値を失うとき、人々は生存のために嘘や不正、あるいは窃盗に手を染めるようになります。本来、自由な市場であれば価格は下がり、生活水準は向上するはずです。しかし、中央銀行が目標とする2%のインフレという設定は、貯蓄を奪い、中産階級を崩壊させる仕組みです。さらに、インフレ下では、政府に近い一部のエリート層が、新たに発行された通貨をいち早く手にすることで富を築きます。一般市民が生産によって豊かになれない一方で、非生産的な層が肥大化し、社会全体が「持てる者」から盗み合う戦場のような状態へと変貌していくのです。

こうした社会の腐敗は、法体系にも現れます。アメリカには140万人もの弁護士が存在しますが、これは法が複雑化し、生産者から富を奪うための「武器」として機能している証拠です。歴史を振り返れば、通貨の破壊が社会の混乱を招いた例は枚挙にいとまがありません。第一次世界大戦後のドイツ・ワイマール共和国では、ハイパーインフレによる社会の動揺がナチスの台頭を招きました。富を築くことが困難になると、人々は生産ではなく政治権力を通じて他者の富を奪おうとし、それが政治的・社会的な不安定さを永続させることになります。

このようなインフレと社会の崩壊から身を守るために、ケイシー氏は「スキルを磨くこと」の重要性を説いています。特定の分野に特化するのではなく、状況の変化に応じて人々に求められるものを生み出せる多様な能力を持つべきです。大学で多額の費用と時間を費やすよりも、知的、身体的、経済的に困難な時代に備える方が賢明です。自分の消費以上に生産し、その余剰分を貴金属などの現物資産で保有することで、政府によるインフレから自分の富を守る必要があります。SF作家ハインラインが言うように専門化は昆虫に任せ、人間は自立した生産者として生きるべきであると、この記事は締めくくっています。

政府の嘘、国民の目覚め

What I Learned Talking About the Empire | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカのディープステート(闇の政府)は、国民が何も知らないと思い込んでいるようですが、現実は異なりつつあります。近著「嘘の帝国」の宣伝を通じて多くのアメリカ国民と対話してきた著者のチャールズ・ゴイエット氏は、政府による世論操作の嘘がもはや通用しなくなっていると指摘します。例えばマルコ・ルビオ国務長官は、イランの核武装がいかに危険かを説いていますが、これは過去に核開発を放棄したリビアのカダフィ大佐がどのような悲惨な末路をたどったかを無視した議論です。北朝鮮の金正恩氏が核を手放さないのは、核抑止力を持たない国がアメリカという軍事的帝国の標的になることを理解しているからに他なりません。

現在、アメリカ国内ではイランとの戦争を正当化するために、いくつかの偽りの記憶、いわゆる「ミーム」が拡散されています。その第一は、イランが47年間もアメリカと戦争状態にあるという主張です。しかし、歴史を1979年の革命から語り始めるのは不誠実です。実際には1953年にCIAがイランの民主的な政権を転覆させ、残忍な独裁者を据えた歴史があります。第二のミームは、イランが「あと数日で核兵器を手にする」という危機感の煽りです。ネタニヤフ首相は25年前から同じことを言い続けていますが、米インテリジェンス機関の報告では、イランが組織的な核兵器製造プログラムを行っているという確実な証拠は見当たらないのが実情です。

さらに、イランを「諸悪の根源(ヘビの頭)」と呼び、多くのアメリカ人を殺害した責任があるとする言説も政治家の間で繰り返されています。しかし、イラク戦争などで米兵の犠牲をもたらした攻撃の多くは、イラン系の勢力ではなく、アルカイダなどのスンニ派組織によるものでした。このように事実を歪めたプロパティガンダが横行していますが、現代のアメリカ国民はかつてのイラク戦争時ほど盲目的ではありません。多くの人々が、大量破壊兵器の嘘や近年の政府による様々な欺瞞を経験したことで、当局への信頼を失っているからです。

ゴイエット氏がラジオやポッドキャストで語るメッセージは、かつてイラク戦争に反対した時よりも、はるかに大きな共感を持って迎えられているといいます。トランプ大統領の熱心な支持者層でさえ、政権が掲げていた「政権交代のための戦争はもうしない」という公約が裏切られたことに気づき始めています。保守系の政治集会の空席や現政権への厳しい視線は、国民がもはや政府の筋書きを鵜呑みにしていない証拠です。世界が経済的な危機の淵にあり、ホワイトハウスが対イラン攻撃を示唆する強硬な声明を出す中で、国民の「目覚め」が手遅れにならないことを著者は切実に願っています。

米駆逐艦、極超音速兵器を搭載へ

US Navy Awards Lockheed $1.35B to Field Hypersonics on USS Zumwalt [LINK]

【海外記事より】アメリカ海軍は、ロッキード・マーティン社に対し、最新鋭のステルス駆逐艦「ズムウォルト」へ極超音速兵器を搭載するための契約として、13億5000万ドルの修正契約を締結しました。この契約には、統合的なプログラム管理やエンジニアリング、ミサイル生産に必要な長納期材料の調達、さらには試験や専用工具の整備などが含まれています。作業の大部分はコロラド州デンバーで行われる予定で、全体の完了は2032年9月を目指しています。これにより、アメリカ海軍が推進する「統合即応攻撃(CPS)」と呼ばれる極超音速兵器システムの運用が本格化することになります。

今回の契約は、ズムウォルトが造船所での大規模な改修を終え、海上試運転を開始したことを受けて行われました。この改修では、当初搭載されていた2基の155ミリ砲が取り外され、代わりに直径87インチの大型ミサイル発射筒が4基設置されました。それぞれの発射筒には、海軍と陸軍が共同で開発している極超音速滑空体を搭載したミサイルを3発ずつ、計12発格納することができます。このシステムは、海上や海中のプラットフォームから、2775キロメートル以上の射程距離で非核の精密打撃を行う能力を備えるように設計されており、現代の防衛網を突破する強力な攻撃手段となります。

極超音速兵器の統合によって、ズムウォルト級駆逐艦の役割は、従来の沿岸作戦から外洋での長距離打撃任務へと大きく拡大することになります。実際の艦上試験については、現在進行中の地上試験の状況などの影響もあり、2027年または2028年に実施される見通しです。アメリカ海軍は今後、このシステムを同型の「マイケル・マンスーア」や「リンドン・B・ジョンソン」にも順次導入していく計画です。さらに、将来的にはバージニア級原子力潜水艦への搭載も予定されており、極超音速兵器による打撃能力を艦隊全体へと広げていく方針を明確にしています。

米軍事予算1.5兆ドル要求へ

Trump Set To Unveil His $1.5 Trillion Military Budget Request Amid Raging Iran War - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】トランプ米大統領は、2027会計年度の軍事予算として1.5兆ドルを要求する見通しです。これは今年度の予算から50%もの大幅な増額となります。2026年度の軍事予算は、国防権限法による約9000億ドルと追加支出を合わせ、史上初めて1兆ドルを突破しましたが、ホワイトハウスは次年度に向けてさらに規模を拡大させる方針です。具体的には、1兆ドル規模の国防権限法に加えて、4000億ドルから6000億ドルにのぼる補正予算を組み合わせる戦略を検討しており、議会の共和党指導部もすでにこの追加予算に向けた準備に着手していると報じられています。

この巨額予算の背景には、現在1か月以上にわたって激化しているイランとの戦争があります。トランプ政権は、これまでの戦闘で消耗した防空弾薬やミサイルを補充するため、近く2000億ドルの緊急支出を議会に求める予定です。この記事によれば、このイラン戦費が2027年度予算の補正分に含まれるのか、あるいは別途追加されるのかは現時点では不透明です。また、1.5兆ドルの予算要求には、トランプ氏が掲げる全米規模のミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」計画に充てられる1850億ドルが含まれています。この計画は米国の兵器メーカーに多大な利益をもたらす一方で、新たな軍備拡張競争を引き起こす可能性も懸念されています。

さらに、今回の予算案には中国に対する「抑止力」を高めるための兵器増産や、中東およびウクライナでの戦争で消費された武器の補充費用も盛り込まれる予定です。ホワイトハウスは、国内機関の予算を削減して軍事費を捻出する構えを見せており、この大規模な軍備増強を中間選挙に向けた共和党の主要なメッセージとして位置づけています。米国がイランの島嶼部や港湾に対する地上作戦の開始を目前に控え、米軍に多大な犠牲が出る恐れがある中で、この予算要求が行われることになります。トランプ氏は就任当初こそ軍事予算の削減に意欲を見せていましたが、実際には世界各地での軍事介入を劇的に拡大させ、記録的な支出を追求する形となっています。

米朝対話を急げ

North Korea's Nuclear Status Requires Urgent Negotiation | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、自国が核保有国であることを公式に宣言しました。最高人民会議での演説において、核保有国としての地位は不可逆的な進路であり、敵対勢力に対して核抑止力をさらに拡大・発展させていく方針を明確に示しました。この記事の著者によれば、こうした北朝鮮の姿勢は決して驚くべきことではなく、以前からその兆候は十分に現れていました。平壌はすでに小規模な核兵器を配備しており、米国や韓国などが安全保障上の譲歩をしたとしても、核を放棄する意思がないことを隠さなくなっています。北朝鮮当局は、欧米諸国が求める非核化という要求を、もはや議論の余地がない時代遅れのものとして切り捨てています。

実際、2025年4月に金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党総務部長は、米国が非核化を強要し続けるのであれば、それは自衛のための核戦力増強を正当化するだけだと警告していました。さらに彼女は同年7月に、2025年という年は2018年や2019年とは状況が異なると強調しました。北朝鮮を取り巻く地政学的環境は激変しており、特にロシアとの軍事的な結びつきが強まったことは重要な変化です。かつては北朝鮮の核兵器保有に消極的だったロシアも、ウクライナでの戦争を通じて北朝鮮から地上部隊の派遣や支援を受けるようになり、その反対姿勢は消滅しました。こうした背景から、北朝鮮は自国の核保有を、米韓による攻撃を防ぐための正当な抑止力であると主張し続けています。

北朝鮮が核に固執する背景には、近年の米国やイスラエルの行動に対する不信感もあります。専門家は、イランやベネズエラに対する米国の軍事行動が、北朝鮮に対して「現代における唯一の安全保障は核兵器である」という認識を確信させたと指摘しています。金正恩総書記も、米国が世界中で国家テロや侵略を行っていると非難し、米国の行動こそが自国の核武装を正当化していると述べています。一方で、米国の対北朝鮮政策は依然として現実から乖離していると記事は批判します。歴代の米政権は一貫して北朝鮮に非核化を求めてきましたが、北朝鮮が約50発の核弾頭を保有し、米本土に到達し得る弾道ミサイルを開発している現状において、その目標はもはや幻想に近いというわけです。

こうした現状を踏まえ、著者は米国が北朝鮮との関係を抜本的に見直すべきだと提言しています。現在、米国は北朝鮮と公式な関係を持っておらず、これが経済や安全保障における重大なリスクとなっているからです。まずは北朝鮮を国家として正式に承認し、互いの首都に大使館を設置すること、そして1953年の休戦協定を平和条約に切り替えて朝鮮戦争を正式に終結させることが求められています。加えて、偶発的な衝突を避けるための緊張緩和に向けた対話も不可欠です。中東での紛争に巻き込まれている米国にとって、太平洋の反対側でさらなる重大な紛争を引き起こす危険を冒すべきではないと、この記事は冷静に警鐘を鳴らしています。

「交渉中」の嘘

Are There, or Will There Be, US Negotiations with Iran? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領はイランの重要人物と交渉中であると述べていますが、元英国外交官のアリステア・クルーク氏は、これを事実に基づかない虚構であると断じています。過去のウクライナ紛争やガザでの停戦交渉においても、具体的な進展がないまま「交渉中」というナラティブ(物語)だけが先行するパターンが繰り返されてきました。今回もトランク氏の側近であるウィトコフ氏やクシュナー氏が15項目の和平案を作成し、イラン側が合意を熱望していると宣伝しましたが、イラン軍の広報官はこれを即座に拒絶しました。イラン側には、長年の米イスラエルによる湾岸地域の支配を打破し、自国の経済・軍事圏を確立するという独自の戦略的野心があり、現時点での妥協には全く関心を示していません。

この記事によれば、イランは数十年に及ぶ準備の結果、この紛争において優位な立場を築いています。世界の石油輸出の20%が通過するホルムズ海峡の実効支配を通じて、イランは原油価格や供給量を操作する手段を手に入れています。さらに、ヘリウムや肥料、食品、硫酸といった世界的なサプライチェーンも同海峡に依存しており、ここが閉鎖されれば世界経済に壊滅的な打撃を与えることになります。イラン側は、通過する船舶に対して人民元での支払いを要求するなど、米ドルの覇権を直接脅かすカードも切っています。米国の中間選挙を控えるトランプ氏にとって、ドル覇権の失墜や経済の混乱は致命的な弱点であり、イラン側はこの急所を的確に突いています。

一方で、イスラエルはイランの体制転換という当初の目標が困難であることを認め、戦略を転換しています。現在は、イランの石油輸出の拠点であるカーグ島を米軍が占領し、物理的に管理することを要求しています。しかし、これは米軍に多くの死傷者が出るリスクを伴う危険な賭けです。元CIA職員のラリー・ジョンソン氏は、米軍による島への介入が差し迫っている可能性を示唆していますが、それはイランによる機雷の敷設や地対艦ミサイル攻撃を招き、ホルムズ海峡の完全封鎖を招く結果になりかねないと警告しています。イラン側も「米軍が来るのを何年も待っていた」と挑発的な姿勢を崩しておらず、事態は出口の見えない極めて危険な局面へと向かっています。

ミーゼス研究所とロスバードの遺産

The Mises Institute Versus the Legacy of Murray Rothbard - Instituto Rothbard Brasil [LINK]

【海外記事より】米国のミーゼス研究所において、近頃その編集方針や思想的な純潔性を巡る深刻な議論が巻き起こっています。本来、マレー・ロスバードの遺産を継承し、国家介入を一切認めない純粋な自由社会を目指すはずの同研究所のサイトに、国家の役割を肯定する「責任ある国家主義」とも取れる内容の記事が掲載されたことが発端です。批判の矢面に立たされているのは、財政規律や予算の均衡を「経済計算を維持するための最低条件」と称える主張です。しかし、ロスバード主義の観点から見れば、国家による課税は本質的に略奪であり、たとえ予算が均衡していてもその不道徳性は変わりません。また、中央銀行による通貨発行や公開市場操作を無視して、単に財政赤字の解消だけで経済の歪みが正されると説くのは、オーストリア学派の理論を曲解するものだという厳しい指摘がなされています。

この記事の著者は、古典的自由主義の立場を引き合いに出し、税金がインフラなどの公共サービスと引き換えに提供される「強制的な拠出」であれば正当化される可能性を示唆しています。しかし、これは自由市場における競争とは無縁の独占的強制であり、国家による「強奪」と何ら変わりはありません。かつて「限定的な政府」を目指した試みが、結果として肥大化した無制限の政府を生んできた歴史を考えれば、こうした妥協的な姿勢は個人の自由を著しく損なう危うさを秘めています。さらに、著名な経済学者であるダニエル・ラカジェ氏のような人物が、中央銀行に「財政暴走を抑える役割」を期待するような発言を同研究所のプラットフォームで行っていることも、混乱に拍車をかけています。本来、中央銀行は政府の支出を際限なく可能にするための装置として機能してきたのであり、その独立性を信じることは、オーストリア学派の歴史認識から大きく逸脱していると言わざるを得ません。

こうした変節の象徴として挙げられているのが、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領に対する評価です。彼は自らを無政府資本主義者と称していますが、実際には増税によって財政黒字を演出し、中央銀行を存続させて金融エリートに奉仕させているとの批判があります。ミーゼス研究所がこうした「ミレイ主義」を、検証を欠いたままプロパガンダ的に宣伝し続けている現状は、真実を追究する研究機関としての信頼を揺るがしています。研究所内には依然として優れた学術的成果があるものの、編集陣が本来の価値観を軽視し、妥協的な国家主義を許容している現状は、知的・道徳的な衰退であると断じられています。ハンス=ヘルマン・ホッペ氏のような重鎮からも、現在の研究所の状況はロスバードの遺産に対する裏切りであるとの懸念が示されており、自由主義運動の聖地としてのあり方が今、激しく問われています。

中央銀行の金購入が回復

Central Bank Gold Buying Rebounded in February [LINK]

【海外記事より】世界の中央銀行によるゴールドの買い越し額は、停滞していた2026年1月と比較して、2月には再びプラスへと転じました。トルコやロシアによる売却があったものの、世界全体ではネットで19トンのゴールドが準備資産に加えられています。ただし、価格の高騰が積み増しのペースに影響を与えている側面もあり、月平均26トンを記録した昨年の勢いと比較すると、各国の中央銀行は価格動向を慎重に見極めながら蓄積を進めている様子が伺えます。

個別に見ると、ポーランドが2月に20トンを購入し、最大の買い手となりました。同国は2025年にも年間102トンを購入して世界をリードしており、最終的には保有量を700トンまで引き上げ、世界トップ10の「エリート国」入りを目指すという明確な戦略を持っています。また、ウズベキスタンが8トン、チェコが2トンを追加したほか、マレーシアも2018年以来となる購入に踏み切りました。中国人民銀行も16か月連続となる1トンの増加を報告し、公表ベースの保有量は2308トンに達しています。しかし、専門家の分析によれば、中国は公表値の2倍以上にあたる5000トンを超えるゴールドを秘匿している可能性も指摘されています。さらに、アフリカ諸国でも、国際金融市場のリスク管理や多角化を目的として、国内で産出されるゴールドを買い取る独自のプログラムを開始する動きが広がっています。

一方で、通貨リラの下落に苦しむトルコが8トン、制裁下にあるロシアが6トンを売却するなど、経済防衛のために備蓄を切り崩す動きも見られました。2025年を通じた中央銀行の純購入量は前年比で21%減少しましたが、それでも2010年から2021年の平均値である473トンを大きく上回る863.3トンという高い水準を維持しています。世界的な経済や地政学的な不透明感が続く中で、中央銀行のゴールドに対する長期的かつ戦略的な関心は極めて高く、最新の調査でも、今後12か月間に世界の金準備はさらに増加すると予想されています。価格高騰による慎重な姿勢は見られるものの、中央銀行にとってのゴールドの重要性は、かつてないほど盤石なものとなっているようです。

中国、金需要が二極化

Chinese Gold Demand: A Tale of Two Sectors [LINK]

【海外記事より】中国のゴールド市場は現在、二つの部門で対照的な動きを見せています。宝飾品部門が価格高騰の影響で苦戦を強いられる一方で、投資需要はかつてないほどの熱気に包まれています。貴金属分析機関のメタルズ・フォーカス社によれば、安全資産や資産保全への意識が高まったことで投資用の金需要は急増しましたが、高値圏での推移や消費支出の減退が宝飾品市場には強い逆風となっています。2025年の中国における金宝飾品の需要は360トンに留まり、2023年の630トンと比較して半分近くまで落ち込みました。2026年に入ってからも、旧正月前の小売店が在庫積み増しに慎重になるなど、依然として弱い動きが続いています。これは価格の高さに加え、観光や娯楽への支出優先、可処分所得の減少、そしてより軽量な製品を好む傾向といった要因が重なった結果であると分析されています。

一方で、投資としてのゴールド需要は記録的な活況を呈しています。2025年の金地金およびコインの購入量は前年比28%増の432トンに達し、統計開始以来、初めて実物投資需要が宝飾品需要を上回りました。投資家たちは昨年の価格上昇局面において、一時的な価格の下落を絶好の買い場と捉え、積極的に購入を進めたことが判明しています。特に富裕層の間では、国内外の経済的な不透明感や米国の政策への不安を背景に、分散投資の手段としてゴールドをポートフォリオに加える動きが加速しました。さらに2025年末の付加価値税政策の変更も、宝飾品と比較して投資用ゴールドの魅力を高める結果となりました。この税制優遇により、地金製品は宝飾品に対して少なくとも6%の価格優位性を持つことになり、宝飾品から地金へと需要のシフトが鮮明になっています。

2026年の年初もこの勢いは衰えず、金地金の販売が伸びたことで一部の銀行や小売店では旧正月前に特定のサイズが品切れになる事態も発生しました。また、現物を好む傾向が強い中国市場において、近年は金ETFへの投資も急増しており、2026年の最初の2ヶ月間だけで46トンの資金流入を記録しています。こうした市場の過熱を受け、中国の規制当局は個人投資家の保護と投機抑制を目的に、金の積立プランの最低購入額の引き上げや、先物取引の証拠金要件の厳格化といった対策に乗り出しました。しかし、メタルズ・フォーカス社の分析では、こうした規制強化にもかかわらず、今年の中国における金投資需要はさらに7%増加すると予測されています。経済の先行きへの懸念が続く中で、中国の人々にとってゴールドは依然として最も魅力的な資産であり続けているようです。

金か暗号資産か

Schiff on Capital Cosm: Buy Gold, Dump Crypto | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】米国の経済評論家ピーター・シフ氏が最新のインタビューで、現在の不透明な経済情勢において、なぜゴールドが最も信頼できる資産であり、一方で暗号資産を売却すべきなのかについて論じています。シフ氏は、近年の金価格の一時的な下落は短期的な流動性の問題に過ぎず、長期的な上昇トレンドが変わったわけではないと分析しています。市場は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見送りや利上げの可能性に過剰に反応していますが、ゴールドの本質的な価値は中央銀行の政策に左右されるものではないと主張しています。むしろ、政府が戦争関連の支出を賄うために財政赤字を拡大させ、通貨を増刷し続ける現状こそが、貴金属への需要を押し上げる要因になると見ています。実際に、過去の危機において膨大な量のドルが発行されたのと同様に、今後も軍事費や予算赤字を埋めるために通貨供給量が増えることは避けられず、それがインフレの波を加速させると警告しています。

シフ氏は、ビットコインを価値の保存手段ではなく、ハイテク株やナスダック市場のリスクを反映する指標であると定義しています。同氏の視点では、ビットコインはデジタル・ゴールドなどではなく、ゴールドとは正反対の動きをする「デジタル・アンチゴールド」です。足元の市場では、ビットコイン価格が急落して4万ドルを目指すような動きが見られる一方で、ゴールドは底を打って反発の兆しを見せていると指摘しています。これまでビットコインに資金を投じてきた投資家たちが、そこから離脱してゴールドへ回帰する「ローテーション」が始まっているというのが同氏の認識です。中央銀行がドルからゴールドへ資産を移す中で、個人投資家も同様の動きを見せていますが、暗号資産の買い手が不在となる中で、出口を求める売りが加速する懸念を表明しています。ビットコイン強気派が市場に参入しきった現在、誰がそれを買い支えるのかという点に疑問を呈しています。

金鉱株については、エネルギー価格の上昇が逆風になる可能性を認めつつも、業績への影響は限定的であると述べています。燃料費が安かった時期でも、金や銀の価格上昇による利益が株価に十分に反映されていなかったため、コスト増によって評価を大きく下げる必要はないという論理です。エネルギー価格の上昇で利益が多少抑制されたとしても、貴金属価格の高騰による利益は依然として莫大なものになると予測しています。また、紛争の影響についても独自の視点を示しており、短期的には和平の実現が原油安や利下げ期待を通じて金価格を急騰させる可能性がある一方で、長期的には紛争の継続が財政赤字とインフレを招き、結果としてゴールドにより有利な環境を作り出すと分析しています。名目金利からインフレ率を引いた実質金利の動向こそが重要であり、どのようなシナリオを辿るにせよ、長期的な金価格の上昇は避けられないというのが同氏の揺るぎない結論です。

2026-04-02

NGOによる内政干渉

Amnesty International Defends US Regime-Change NGOs: Venezuela, Nicaragua, and Cuba - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】アムネスティ・インターナショナルが最近発表した報告書は、ニカラグア、ベネズエラ、キューバなどのラテンアメリカ諸国が非営利団体(NGO)を相次いで閉鎖していることを、「人権を制限し社会基盤を破壊する動き」として厳しく非難しています。しかし、ジョン・ペリー氏とロジャー・D・ハリス氏の両分析家は、この報告書がNGOによる政治工作や国家の不安定化という重要な側面を無視した、極めて偏った内容であると反論しています。アムネスティは対象となる約4万の団体のうち、わずか15団体への聞き取りのみで結論を出しており、各国の政府関係者への取材も一切行っていません。

アムネスティが無視している最大の要因は、米国によるNGOを介した内政干渉の歴史です。例えばキューバでは、米国国際開発庁(USAID)が反政府活動を促すために多額の資金を投じており、2021年の暴力的なデモにも関与したと指摘されています。ニカラグアでも、全米民主主義基金(NED)などの団体が、2018年のクーデター未遂事件に際して若者への政治教育や暴動の土台作りに加担したことが報告されています。ベネズエラでも同様に、人道支援の名目で提供された資金が、米国の望む「体制転換」のための活動に転用されてきました。こうした外国資本による国家の不安定化工作から自国を守るために、各国が規制を強化しているという背景が完全に抜け落ちているのです。

さらに、アムネスティはこれらの規制法をロシアの「外国代理人法」になぞらえて批判していますが、実際には米国の「外国代理人登録法(FARA)」こそが多くの国々にとってのモデルとなっています。米国では、規定に従わない非営利団体を毎年約4万4000団体も閉鎖しており、英国でも毎年約4000団体が閉鎖されています。つまり、NGOに対する規制や登録制度の導入は、西側諸国を含む世界的な潮流であり、ラテンアメリカ諸国特有の異常な人権弾圧ではないのです。アムネスティは西側諸国の事例との比較を避け、特定の国々だけをターゲットにすることで、偏ったナラティブを構築していると著者らは主張しています。

アムネスティには、以前からベネズエラやキューバなどに対して偏向した姿勢を取ってきた歴史があります。国際法違反である米国の経済制裁がこれらの国々に与える悪影響を過小評価する一方で、暴力的なクーデター未遂を扇動した人物を「良心の囚人」として称揚するなどの矛盾が指摘されています。かつての国連専門家は、NGOという業界が情報機関によって深く浸透・腐敗しており、主権国家の内政に干渉する道具になっていると警告しました。アムネスティの今回の報告書も、米国が支援する反対派の主張のみに基づいたものであり、米国による支配から脱却しようとする国々の主権を守る戦いを無視したものだと言わざるを得ません。

自由の危機と希望

Hope for the Dead - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】アメリカの元判事であり憲法学者でもあるアンドリュー・ナポリターノ氏は、イースター(復活祭)を前に、現代のアメリカが直面している自由の危機と、信仰がもたらす希望について深い洞察を述べています。かつてアメリカの入植者たちが英国の圧政に対して立ち上がった際、彼らが最も求めたのは「自由」でした。当時、英国政府は秘密裁判所を通じて一般捜索令状を発行し、市民の私生活を侵害しました。ナポリターノ氏は、現代のワシントンにおける秘密裁判所や、令状なしの通信傍受、さらには宣戦布告や正当な手続きを経ないドローン攻撃による殺害など、現代の政府が行っている行為は当時の圧政と酷似していると指摘しています。

自由とは、政府の許可証なしに個人の選択を行う能力、すなわち「自由意志」を行使することです。ナポリターノ氏の考えによれば、自由意志は神から無条件で与えられた贈り物であり、人間性の本質です。政府が法律や行政命令によって自由を奪うことは、神からの贈り物を盗み、自然法や憲法に違反する行為に他なりません。自由がなければ、人は真の幸福や真実に到達することはできないのです。現在のアメリカ政府は、無謀なインフレを引き起こし、法を無視して不道徳な戦争に突き進み、第三次世界大戦の脅威さえ生み出しており、もはや信頼に値しない状態にあると厳しく批判しています。

今から二千年前、ローマ帝国の警察国家であったユダヤでも、自由こそが真理と結びつくための不可欠な手段でした。当時のローマ政府は、イエス・キリストが政治的革命を扇動することを恐れて十字架にかけましたが、イエスが起こした真の革命は人々の心と魂の中にありました。イエスは自らの自由意志によって死を受け入れ、そして復活することで、信仰と希望を持つ者が死から立ち上がることができるという真理を示しました。ナポリターノ氏は、この「復活」こそが人類の存在の要であり、これがあるからこそ、いかに苦痛や損失に満ちていても人生は生きる価値があるのだと説いています。

イースターを真剣に受け止めるということは、死者に希望があり、それゆえに生者にも希望があることを知るという、非常にシンプルで力強い事実を認識することです。しかし、かつての入植者たちが自由のために戦ったように、現代の私たちもまた、自由が守られて初めてその希望を達成することができます。そのためには、自由を攻撃するのではなく、保護する政府が必要です。たとえ政府が法を破り、社会が分断と恐怖に包まれていても、イエスの復活に対する信仰は、神だけが与えることのできる自由と喜びを信者の魂に吹き込んでくれるのだと、ナポリターノ氏は結んでいます。

戦争を飾る美辞麗句

Criticizing Hawkish Evangelicals For the Wrong Reasons | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカのキリスト教福音派内部で、現在進行中の対イラン戦争をめぐる支持のあり方に大きな変化が起きています。歴史学者のジョン・フィア氏は、トランプ大統領を支持する現在の「MAGA福音派」の指導者たちが、かつてのジョージ・W・ブッシュ政権下での福音派とは異なり、戦争を正当化するための道徳的・神学的な「原則」を欠いていると批判しています。かつての指導者たちは、イラク戦争に際して「正当な戦争理論」を用い、謙虚さや悲しみを伴う「悲劇的な勇気」として戦争を語りました。しかし現在の指導者たちは、単なる復讐心や終末予言、あるいはトランプ氏への個人崇拝に近い形で、暴力的な情熱を剥き出しにして戦争を喝采しているというのです。

しかし、こうしたフィア氏の批判に対し、本記事の著者ジェフ・ライト氏は異なる視点を提示しています。ブッシュ時代の指導者たちが用いた高潔なレトリックは、結果としてイラクやリビア、シリアでの悲劇的な結末を覆い隠すための「道徳的な口紅」に過ぎなかったのではないかという問いです。実際に、米国による「体制転換」を目的とした過去の戦争は、いずれもキリスト教徒を含む現地の人々に甚大な苦難をもたらしてきました。イラクではサダム・フセイン政権下で守られていた100万人以上のキリスト教徒が、戦後の迫害により今や15万人から30万人程度にまで激減しました。リビアでもカダフィ大佐の失脚後、キリスト教徒は誘拐や殺害の標的となり、開かれた奴隷市場が存在する無法地帯と化しています。

さらに、現在イランには80万人から100万人のキリスト教徒が暮らしており、レバノンにも人口の30%にあたる200万人以上の信者が存在します。イスラエル軍がレバノン南部への侵攻を計画する中、過去の失敗を繰り返さないための教訓が必要です。ライト氏は、今回のイラン戦争もまた、過去の戦争と同様に道徳的に正当化することはできないと断言しています。政府は戦争の正当性について一貫した説明ができず、嘘を重ねているのが現状です。そうした中で、ブッシュ時代のような「祈りや断食を伴う謙虚な戦争支持」を求めることは、現実を直視せず、戦争という悲惨な行為を操作的で欺瞞的な美辞麗句で飾ることに他ならないと批判しています。

むしろ、現在の国防長官ピート・ヘグセス氏のような「勝利とは支配だ」と言い切る姿勢の方が、戦争の本質に対してより正直であると著者は述べています。かつての福音派指導者たちが提唱した「道徳的な世界秩序の構築」という理想は、現実には達成されず、むしろ事態を悪化させてきました。フィア氏が求めるような「原則への訴え」が必要なのであれば、それは戦争をいかに美しく支持するかではなく、この戦争そのものにいかに反対するかという形で行われるべきです。体制転換を目指す戦争は機能せず、常に状況を悪化させるという現実に、今こそ真摯に向き合うべきであると締めくくっています。

日韓、代償を肩代わり

East Asia Foots the Bill For Washington's Iran War | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカとイスラエルによる対イラン攻撃が2ヶ月目に入り、その経済的・軍事的な代償を東アジアの同盟国が肩代わりさせられている実態を、政治学者のジョセフ・ソリス=ミレン氏が鋭く分析しています。中東の石油への依存度が極めて高い日本と韓国は、ホルムズ海峡の封鎖によって深刻なショックを受けています。原油価格の高騰により、日本はすでに254日分の国家備蓄の取り崩しを開始し、韓国も約30年ぶりとなる燃料価格の上限設定や数千億円規模の緊急予算措置に追い込まれました。自動車や半導体といった両国の基幹産業は、安価で安定したエネルギー供給を前提としており、この混乱は企業の利益や国民の実質賃金を直撃しています。

経済的な苦痛に加え、軍事面での「空白」も深刻な懸念材料となっています。米国が中東に戦力を集中させるため、韓国からサード(THAAD)やパトリオットミサイルを転用し、日本からも海兵隊や横須賀拠点の駆逐艦をアラビア海へ派遣したことで、東アジアの安全保障の傘が薄くなっているためです。北朝鮮の核の脅威や台湾海峡の緊張が続く中、長年米軍を駐留させ、多額の駐留経費を負担してきた日本や韓国の政府関係者は、自国の安全保障が軽視されているのではないかという疑念を強めています。日本の野党からは、国内の米軍基地が中東戦争の出撃拠点として自由に利用されることへの疑問の声が上がり、韓国でも米国の遠方の紛争に巻き込まれることへの反対デモが起きています。

対照的に、中国はこの状況を静観し、地政学的な優位を固めています。中国は膨大な石油備蓄を持ち、ロシアやイランからの陸上供給ルートも確保しているため、経済的な打撃は限定的です。また、イラン当局が中国船籍の通行を容認しているとの報道もあり、中国は自国を「爆弾ではなく、貿易と対話を行う安定した勢力」として印象づけることに成功しています。中国の国営メディアは、中東の泥沼に足を取られるアメリカを嘲笑する動画を流し、アメリカがいかに同盟国にとって不出来で信頼できないパートナーであるかというナラティブを強化しています。

自由至上主義的な視点から見れば、こうした介入主義のコストは、爆撃を受ける側だけでなく、米国の納税者や同盟国の市民によって支払われる隠れた税金に他なりません。ワシントンの政治エリートが軍産複合体の利益や一時的な政治的団結のために進める海外冒険主義は、結果として憲法上の制約を侵食し、通貨膨張を招き、生産的な経済を疲弊させます。トランプ政権二期目におけるこうした強引な外交政策は、皮肉にも日本や韓国を含む「有志連合」に対し、現状維持の代償があまりに高すぎることを痛感させています。アメリカ帝国の構造的な崩壊は、外部からの攻撃ではなく、こうした同盟国がワシントンを見限ることから始まるのかもしれないと記事は結んでいます。

米政府は破産同然

Uncle Sam’s Balance Sheet Looks Like Bankruptcy [LINK]

【海外記事より】アメリカ政府の財務状況を、ある一般家庭の家計に置き換えて考えてみると、その深刻さが浮き彫りになります。年収およそ5万2000ドルの世帯が、毎年7万3000ドルを支出し、2万1000ドルの赤字を出し続けている状態です。さらに、この世帯には136万ドルもの負債や支払い約束がある一方で、資産はわずか6万ドルほどしかありません。これは2025会計年度の米国政府の財務諸表を、わかりやすく1億分の1の規模に縮小した数字です。執筆者のマイク・マハレイ氏は、もし米国政府が民間企業であれば、とっくに破産裁判所に駆け込んでいるレベルの債務超過に陥っていると指摘しています。

公式発表によれば、2025年度末時点で米国政府の総資産は約6兆ドルに対し、負債総額は47兆ドルを超えています。資産1ドルに対して約7.9ドルの負債を抱えている計算です。2025年度だけで財務状況は2兆ドル以上悪化し、純資産はマイナス41兆ドルに達しました。ここには社会保障やメディケアの将来的な不足分は含まれていません。問題の本質は税収不足ではなく、制御不能な支出にあります。富裕層への課税を強化したとしても、その税収は政府支出のわずか数週間分を賄う程度にしかならず、現在進行中の紛争による軍事費の増大がさらなる追い打ちをかけています。

債務負担の増大は、中央銀行である連邦準備制度(FRB)の政策にも歪みをもたらしています。利息支払い費用は年間1.2兆ドルに達し、すでに国防費やメディケアを抜いて、社会保障に次ぐ第2の支出項目となりました。金利が高止まりすれば利払い負担が経済を圧迫するため、インフレが続いていてもFRBは利下げを余儀なくされる可能性があります。こうした財政の無責任さは、世界的な「脱ドル化」を加速させる要因にもなっています。かつては安全な避難先とされた米国債ですが、40兆ドル近い借金を抱える政府への融資に、以前ほど魅力を感じない投資家が増えており、ドルの購買力低下という形で国民にそのコストが転嫁されています。

こうした状況下で、マハレイ氏は「本物のお金」である金や銀による資産防衛の重要性を説いています。金の供給量は極めて限定的で、人類の歴史でこれまでに採掘された全ての金を集めても、オリンピックサイズのプール4杯半に収まる程度しかありません。供給が安定している一方で、伝統的な運用に貴金属を組み入れる動きが強まれば、需要が急増して価格に大きな上昇圧力がかかることが予想されます。債務が膨らみ、通貨の価値が構造的に下がり続ける現代において、希少性の高い実物資産を保有することは、長期的な購買力を維持するための不可欠な手段であると締めくくっています。

イラン戦争の出口戦略

An Iran Exit Plan [LINK]

【海外記事より】アメリカのシンクタンク、クインシー研究所のジョージ・ビービ氏とトリタ・パルシ氏は、激化するアメリカとイランの紛争を解決するための現実的な妥協案を提示しています。歴代の米大統領が学んできた外交の教訓は、「解決できる問題」と「解決はできないが管理すべき問題」を区別することです。トランプ大統領は現在、空爆によってイランの体制を変え、脅威を完全に排除できるという罠に陥っていますが、軍事力だけでイランの核の知見やドローン部隊、さらには地政学的に重要な海峡を脅かす能力を消し去ることは不可能です。また、広大な山岳地帯を持つイランへの地上軍投入は、ベトナムやイラクを遥かに上回る犠牲を強いる無謀な選択肢であると著者らは指摘しています。

現在、一時的に攻撃を止めて勝利を宣言する「芝刈り戦略」も浮上していますが、将来の安全が保障されない限りイラン側が停戦に応じる理由は乏しいでしょう。特に中間選挙を控えたトランプ大統領にとって、ガソリン価格の高騰や経済停滞を招く泥沼の戦争は、自身の政治生命を脅かす致命傷になりかねません。そこで提案されているのが、互いのメンツを保ちつつ核心的な懸念を解消する「出口戦略」です。具体的には、イランがイスラエルへの直接・代理攻撃を停止し、ホルムズ海峡を完全に開放すること、そして石油販売の少なくとも半分を人民元ではなく米ドルで行うことを約束します。その見返りとして、米国は日本や韓国、インドなどがイラン産石油の購入を再開できるよう制裁を免除し、イランの経済復興を容認するという内容です。

この合意を確実なものにするため、ロシアに仲介役を委ねるという大胆な案も示されています。イラン側はすでに米国の特使を信頼しておらず、オマーンによる仲介も限界に達しています。ロシアのプーチン大統領はトランプ大統領と親交があるだけでなく、イランの軍事・治安中枢やイスラエルのネタニヤフ首相とも長年密接な関係を築いてきました。ロシアにとっても、隣国であるイランの核武装は望ましくなく、世界経済の深刻な後退はエネルギー輸出の利益を損なうため、和平を仲介する動機は十分にあります。ロシアがイランの高濃縮ウランを自国領内で保管することを柱とした核合意の成立を支援できれば、危機の沈静化に向けた大きな一歩となります。

もちろん、イランへの制裁緩和やウラン貯蔵庫の放棄は、ワシントンとテヘラン双方で激しい抵抗に遭うでしょう。しかし、これらの妥協案は決して理想的なものではなく、他に選択肢がないがゆえの苦渋の決断です。代償を払わずに相手を屈服させることはもはや不可能であり、このままエスカレーションを続ければ、トランプ政権の崩壊とイランの困窮という共倒れの結果しか残りません。両国は今、互いを屈服させるのではなく、一方が勝利を主張できる余地を残しながら、同じボートに乗って沈没を避けるための「出口」を見つけ出さなければならない局面に立たされています。 

戦争という市場取引

The War as the Trade - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】現在進行中の中東紛争は、単なる軍事衝突を超え、一部の勢力による「巨大な市場取引」と化しているという冷徹な分析が提示されています。アラブ首長国連邦(UAE)が、ホルムズ海峡を開放するための武力行使を容認する国連決議を求めて外交攻勢を強めており、湾岸諸国として初めて本格的な参戦を準備していると報じられました。その一方で、トランプ大統領が側近に対し、海峡が封鎖されたままでも戦争を終結させ、後始末を他国に委ねる意向を示したという情報も流れています。こうした情報が流れるたびに、株式市場や原油先物市場では巨額の資金が動き、特定の層が不当な利益を得ている可能性が指摘されています。

米国内では、国防に関する機密情報を利用して利益を得る行為は「反逆罪」に等しいとの批判も上がっていますが、当局の監視の目は事実上機能していないようです。市場はトランプ大統領の強気な発言と撤回に慣れきっており、さらなる利益を追求するためには、より大規模な地上戦やイランのカーグ島占拠といった事態のエスカレーションが必要とされるという、極めて不健全な構造が出来上がっています。しかし、軍事専門家によれば、イラン本土からわずか30キロメートルほどしか離れていないハルク島への上陸作戦は、イラン側のミサイルやドローンの餌食になるリスクが極めて高く、米軍にとって無謀な賭けになると警鐘を鳴らしています。

この紛争による「漁夫の利」を得ているのはロシアと中国です。米国が中東に防空システムや弾薬を振り向けることで、ウクライナ向けの軍事支援は滞り、太平洋地域における中国への抑止力も削がれています。さらに、戦争による肥料価格の急騰やエネルギー価格の上昇は、世界最大の肥料輸出国であるロシアに莫大な副収入をもたらしています。世界各地で食料インフレとエネルギー不足が加速する中、グローバルサウスの国々は、海峡を封鎖した側と、人民元による決済システムを構築した側のどちらが実利をもたらすかを冷静に見極めています。

かつてニクソンとキッシンジャーが築き上げ、米ドルの覇権を支えてきた「ペトロダラー」の体制は、今や音を立てて崩壊しつつあります。米国がイスラエルの意向に沿ってイランへの攻撃を続行した2026年2月28日は、アメリカによる世紀の「自死」が完結した日として記憶されることになるでしょう。米国の軍事予算のわずか1%程度の予算で動くイランが、世界の石油供給の20%を遮断し、人民元で通行料を徴収し、アメリカを屈服させようとしています。40年にわたりこの日に備えてきたイランに対し、目先の取引に終始する米国の戦略的な不整合が、アメリカによる支配の終焉を招いていると記事は締めくくっています。

イランの大胆な戦略

Iran’s audacious strategic moves – declared ‘missile dominance over the Occupied Territories’; a warning of ‘nuclear deterrence’ — Strategic Culture [LINK]

【海外記事より】中東での紛争が4週目に入り、イランと米・イスラエル連合との戦いは新たな局面を迎えています。激しい空爆を受けているものの、イランの軍事的な有効性は損なわれておらず、各地に分散して深く埋設されたミサイル拠点は破壊を免れているとみられます。これに対し、イスラエルと米国は国民の戦意喪失を狙った民間施設への攻撃にシフトしているとの指摘もありますが、イラン側はこれを「ミサイル支配」を確立した機会と捉えています。実際に、厳重に守られたイスラエルのディモナ近郊への報復攻撃の際、迎撃ミサイルが作動しなかったことを受け、イラン指導部はイスラエルの空は無防備であると主張し、次段階の作戦実行を予告しています。

トランプ大統領はイランに対し、48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ、ブシェール原子力発電所を含む主要な民間発電所を順次破壊するという最後通牒を突きつけました。しかし、新たに就任した最高指導者アヤトラ・モジタバ・ハメネイ師はこれに屈することなく、逆に米国に対して極めて厳しい要求を突き返しています。その内容は、中東からの米軍の完全撤退、60日以内の制裁全面解除、そしてこれまでの経済的損害に対する長期的な賠償を求めるものです。もしこれらが受け入れられない場合、イランはホルムズ海峡の完全封鎖に加え、ロシアや中国との防衛協力の正式化、さらには「核抑止力」の保持を公言する段階へ移行すると警告しています。

イランの戦略は単なる軍事的勝利を超え、西アジアの地政学的な景観を根本から変えることを目的としています。ホルムズ海峡において、イラン革命防衛隊の承認を受け、人民元で手数料を支払う船舶のみが通行できる独自の回廊を設置する計画が浮上しています。これにより、イランは年間8000億ドルにものぼる通行料収入を得る可能性があるだけでなく、世界のエネルギー価格の決定権を握ることになります。同時に、アラブ諸国に対しては米国との経済関係の断絶を迫り、1974年以来の米国の財政的覇権を支えてきたオイルマネーの還流、いわゆるペトロダラー体制を根底から崩そうとする動きを見せています。

もしイランがホルムズ海峡と紅海の制圧を維持し続ければ、日本や韓国を含むアジア諸国は、エネルギー供給の安全保障を確保するために、事実上イランの意向に従わざるを得ない「従属国家」になることを強いられるかもしれません。トランプ政権内では、イランのエネルギー網を破壊し、カーグ島などに地上軍を投入する強硬策も検討されているようですが、イラン側もまた、国家の命運を賭けた決定的な結末を求めて階段を上り続けています。中東における米国の軍事的存在感の排除だけでなく、世界の金融とエネルギーの秩序を再編しようとするイランの動きは、アジアの地政学を全く新しい現実へと変えようとしています。

エネルギー株と金に好機

Why U.S. Energy Stocks and Gold Could Win Big - USFunds [LINK]

【海外記事より】中東での紛争勃発から数週間が経過し、経済への影響がより鮮明になってきました。投資家の間では、パニック売りを避けるべきだという助言がある一方で、この紛争が当初の予想よりも長期化し、深刻なエネルギー危機を引き起こしているという現実にも注目が集まっています。現在、世界の石油市場では二極化が進んでいます。米国の指標であるWTI原油先物は1バレル100ドルを超えていますが、中東のオマーン原油は一時173ドルの最高値を記録し、米国との価格差が70ドル以上に拡大しました。これは、広く知られている米国の指標価格が、中東で起きている深刻な供給不足の実態を十分に反映していない可能性を示唆しています。

ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、米国内の在庫も減少し、いずれ価格は上昇せざるを得ません。しかし、米国は過去のエネルギーショック時と比べて、非常に有利な立場にあります。国内の産油量は日量1400万バレルに迫る勢いであり、国際エネルギー機関(IEA)による備蓄放出も行われています。米国の経済成長率は2.5%程度を維持できるとの予測もあり、過去の統計を見ても、戦争やエネルギー危機などの外部ショック後、S&P500指数は1年間で平均8.4%上昇しています。ただし、一般家庭への負担は無視できません。ガソリン価格の上昇により、1世帯あたりの年間支出は約740ドル増加すると試算されており、これは減税による恩恵を打ち消す規模です。

一方、ヨーロッパの状況はより深刻です。ロシア産ガスへの依存を脱却した後、カタールからの液化天然ガス(LNG)に頼ってきましたが、中東情勢の悪化によりその供給路が脅かされています。イランによる攻撃でカタールの輸出能力が17%失われ、その復旧には3年から5年かかると見られています。ヨーロッパの天然ガス貯蔵量は5年ぶりの低水準にあり、エネルギー価格の高騰が欧州経済をリセッションへと追い込むリスクが高まっています。市場では、利下げが予想されていた欧州中央銀行が、逆に利上げに踏み切るとの観測も出始めています。

このような状況下で、投資の機会は二つの分野に集約されると考えられています。一つは米国のエネルギー生産者です。原油価格の上昇は国内メーカーに巨大な収益をもたらし、セクター全体が過去最高値を更新しています。もう一つは金です。足元では米ドルの強さや金利上昇の影響で価格が調整していますが、長期的な視点では魅力が増しています。巨額の軍事支出に伴う国家債務の増大や、数年にわたるエネルギー危機、そしてスタグフレーションのリスクといった条件は、歴史的に金の価値を支えてきました。エネルギー株と金を保有し、規律を維持する投資家こそが、この危機を乗り越えた際に最も有利な立場に立てるという見解が示されています。