The Energy War - LewRockwell [LINK]
【海外記事より】アメリカ政府によるイランへの電撃的な攻撃は、世界的な燃料不足や移動制限、さらには広範囲にわたる飢餓を引き起こしかねない経済的災厄を解き放ちました。この衝撃は、当初こそ局地的な混乱に見えるかもしれませんが、ホルムズ海峡の封鎖が長引くにつれ、その波紋は日々増幅しています。たとえ海峡が再開されたとしても、受け入れ先を失った産油国では油田の閉鎖が相次いでおり、一度停止した油井は地質学的な理由から永久に再開できなくなる恐れもあります。エネルギーインフラの破壊も含め、戦前の生産水準に戻すには数ヶ月の歳月が必要です。
この戦争の背景には、イスラエルの利益だけでなく、中国を封じ込めようとする意図が見え隠れしています。中国は石油の多くをロシア、イラン、ベネズエラから輸入していますが、アメリカは「麻薬テロ」への対処を名目にベネズエラの石油利権を事実上掌握しました。さらにイランへの攻撃でホルムズ海峡を封鎖し、カタールの天然ガス施設やロシアの製油所が相次いで攻撃を受ける中、オーストラリアの主要な製油所でも火災が発生しています。これらを統合して見れば、アメリカによるホルムズ海峡の封鎖は、中国へのエネルギー供給を断つ世界的な禁輸措置の一環であり、世界を米国産ドル建ての石油に依存させるための戦略のようにも映ります。
危機の余波はすでに世界各地に広がっています。アイルランドでは激しい抗議デモが起き、オーストラリアやニュージーランドでは食料輸送に必要なディーゼル燃料が不足し始めています。米国は産油国ではありますが、ディーゼルやジェット燃料の精製に必要な重質原油の多くを輸入に頼っており、自国の製油所も老朽化しています。欧州では航空燃料の在庫が数週間分しか残っておらず、各国の航空会社は欠航を決め、政府はエネルギー節約のために在宅勤務を推奨する事態となっています。かつて石油を断たれた日本が真珠湾攻撃に踏み切ったように、追い詰められた中国が台湾封鎖や希少資源の輸出制限などで激しく反撃する可能性も否定できません。
一方で、不幸中の幸いは、株式相場が記録的な高値を維持し、原油先物価格が100ドルを下回るなど、市場がこの危機を楽観視していることかもしれません。しかし、過去の金融危機やパンデミック直前の暴落時にも株価は直前まで高値を更新しており、現在の静けさが偽りのシグナルである可能性には注意が必要です。イランの指導部が混乱し、封鎖によって資金が枯渇していることで、この紛争が明日終わる可能性もゼロではありません。しかし、地面の揺れが収まったからといって、その後に続く大規模な火災まで免れるとは限らないのです。