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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-02-21

恐怖心が求める経済統制

Capitalism Untethered Scares the Public - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】経済評論家のジョージ・F・スミス氏が、人々の「恐怖心」がいかに政府による経済統制を正当化し、自由な資本主義を骨抜きにしてきたかを分析した論考を発表しました。

スミス氏はまず、多くの人が「お金」を政府が発行する紙幣だと信じ込んでいる現状に疑問を投げかけます。本来、通貨は市場の経済法則に従って自然発生したものでしたが、国家が自らを市場の規律から切り離し、自由に通貨供給量を操るために、通貨の管理権を独占してしまいました。かつての金本位制が崩壊したのは、制度そのものの欠陥ではなく、戦争や肥大化する予算のために、政府が金の制約を嫌って制度を放棄したからに他なりません。

1929年の大恐慌以降、大衆は「放置された資本主義」に恐怖を抱くようになりました。ケインズ経済学はこの恐怖を背景に、政府による介入を「健全な救済」として正当化しました。フランクリン・ルーズベルト(FDR)は、市場を「富を奪い去る悪魔」のように描き、一方で政府の権力を「国民のための健全な道具」と呼ぶことで、自由市場の自己調節機能を否定し、巨大な行政国家を作り上げました。今日、アメリカの経済的自由は、1970年代の緊急経済権限法などにより、大統領がその気になればいつでも停止できるほど脆弱なものになっています。

現代の「自由市場」は、税金、規制、補助金、そして果てしないお役所仕事という「包帯」でぐるぐる巻きにされたミイラのような状態です。2008年の金融危機で当時のブッシュ大統領が「自由市場を救うために自由市場の原則を捨てる」と言い放ったように、政治家たちは常に、自分たちが作り出した混乱を解決するために、さらなる統制を求めてきました。

しかしスミス氏は、1930年代の絶望的な状況とは異なり、現代には希望があると述べています。インターネットを通じて「オーストリア学派」の経済理論に誰でもアクセスできるようになったことで、政府のプロパガンダに惑わされず、政治に左右されない「健全な通貨(サウンドマネー)」の重要性に気づく人々が増えています。私たちはもはや、恐怖に支配されて「FDRのシミュレーター(模倣者)」に従うだけの囚人である必要はないのです。

ウクライナ、子供たちの行方

Epstein, Yermak and Zelensky - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】フランス人ジャーナリスト、ティエリ・メサン氏が、悪名高いジェフリー・エプスタイン事件の未公開文書と、ウクライナのゼレンスキー政権との間に存在する驚くべき闇の繋がりを告発しています。

この記事の核心は、エプスタインが単なる犯罪者ではなく、イスラエルの情報機関モサドのために要人を揺すり、支配するための「罠」を仕掛ける工作員であったという指摘です。メサン氏は、エプスタインがかつてキエフを頻繁に訪れ、ウクライナ国内で「供給源」を探していた証拠が米司法省の機密文書に含まれていると述べています。特に注目されているのが、ゼレンスキー大統領の右腕であったアンドリー・イェルマク前大統領府長官の動向です。イェルマク氏は大規模な汚職ネットワーク「ミダス作戦」の首謀者として失脚しましたが、彼の周辺では不気味な黒魔術や、イスラエルの「チャバド」の魔術師を招いた儀式、さらにはモデルエージェンシーを通じた若者の搾取といった噂が絶えません。

さらに衝撃的なのは、2026年2月にウクライナ議会(ラダ)に提出された民法改正案の内容です。この法案には、結婚年齢を14歳に引き下げるという条項が含まれており、ウクライナ国内では「国家公認の小児性愛」であるとして激しい非難とデモが起きています。恐るべきことに、この改正は2014年のマイダン革命以降に遡って適用される「遡及(そきゅう)効果」を持っており、これまでの児童虐待や誘拐の罪を帳消しにする狙いがあると見られています。メサン氏は、ゼレンスキー政権がロシアに連れ去られたと主張する「90万人の子供たち」の多くが、実はエプスタインのような国際的な人身売買ネットワークに消えたのではないか、という疑惑を提示しています。

現在、エプスタイン事件の文書は全体の3分の1しか公開されていませんが、残る600万ページには、ハンター・バイデン氏によるウクライナ兵への人体実験や、現政権による子供たちの誘拐といった、世界を震撼させる事実が隠されている可能性があります。この記事は、ウクライナが「民主主義の防波堤」どころか、国際的な闇の勢力と結びついた「バーバリズム(野蛮)」の拠点と化している現状を、司法とテクノロジーの両面から鋭く問い直しています。

米政府批判者が標的に

Trump’s DHS Targets ICE Critics on Social Media - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月、トランプ政権下の国土安全保障省(DHS)による、SNS上の政府批判者に対する大規模な個人特定工作が波紋を呼んでいます。GizmodoやTechCrunchなどの最新の報道によると、DHSはGoogle、Meta、Redditといった大手テック企業に対し、ICE(入国管理局)を批判したり監視したりしている匿名アカウントの氏名、メールアドレス、電話番号、IPアドレスなどの個人情報を開示するよう、膨大な数の「行政召喚(サブピーナ)」を送付しています。

この記事が告発する最も深刻な点は、これらの召喚状が裁判所の令状なしに発行されており、憲法修正第4条(不当な捜索・押収の禁止)および第1条(言論の自由)に直接違反している疑いが強いことです。実際に、ある67歳の退職者がICEに「良識ある対応」を求めるメールを送っただけで、DHSからGoogleに召喚状が送られ、後日連邦捜査官が自宅に現れるという威嚇事件も発生しています。ACLU(アメリカ自由人権協会)などの団体は、政府が法的な根拠なくSNS企業を「共犯」にして、批判的な市民をあぶり出し、沈黙させようとしていると厳しく批判しています。

さらに背景には、2025年9月に発令された国家安全保障大統領覚書第7号(NSPM-7)の影響があります。これにより、政権に批判的な言論や活動が「国内テロ」と同義に扱われるリスクが高まっており、パム・ボンディ司法長官やクリスティ・ノーム国土安全保障長官が、SNS上の「ヘイトスピーチ」を口実に個人を追跡する姿勢を鮮明にしています。特に、2025年9月のチャーリー・カーク氏暗殺事件以降、ネット上で冷ややかなコメントをした市民までもが「テロ支援者」として特定・解雇の対象にされるなど、言論のコストがかつてないほど高まっています。

ミネソタ州では、抗議活動中にICEによって米国市民のアレックス・プレッティ氏やレネ・ニコール・グッド氏が射殺されるという痛ましい事件も起きており、デジタル監視が物理的な暴力や不当な家宅捜索に直結する恐怖が現実のものとなっています。この記事は、かつてのニクソン大統領の「敵リスト」を彷彿とさせる、現代の権威主義的な市民弾圧の仕組みが完成しつつあると強く警告しています。

ウクライナ和平交渉の変質

The So-Called Ukrainian Peace Negotiations Are Now About Money - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】元アメリカ財務次官補のポール・クレイグ・ロバーツ氏が、現在行われているウクライナ和平交渉の極めて危うい変質について警鐘を鳴らしています。ロバーツ氏によれば、当初はロシアの安全保障やNATOの拡大阻止が焦点だったこの交渉は、今や「国家の安全」を棚上げにした「金儲けの場」へと成り下がっています。

この記事で最も驚くべき指摘は、解決の鍵を握るはずのプーチン大統領とトランプ大統領が直接対話をしていないという点です。交渉の実務を任されているのは、外交の専門家ではなく、双方の「利権」を代表する人物たちです。トランプ大統領側の交渉役は不動産開発業者のスティーブ・ウィトコフ氏であり、彼はアメリカ企業がロシアの資源を優先的に搾取できる条件を引き出すことを目指しています。一方、ロシア側の交渉役であるキリル・ドミトリエフ氏は、欧米の金融市場へのアクセス再開を望むロシアの富裕層やマネー勢力の利益を代弁しています。

ロバーツ氏は、プーチン大統領がアメリカの企業利益を優先的に認めることで、対立を回避しようとする「賭け」に出ているのではないかと分析しています。しかし、これはアメリカ政府の過去の裏切りを考えれば、極めてリスクの高い危うい信頼に基づいています。この方針転換に対し、長年ロシア外交を支えてきたラブロフ外相でさえも、ロシアの国家安全保障が金に売り渡され、国内企業が不利益を被ることに危機感を募らせ、異例の反対意見を述べているほどです。

本来の目的であったミサイル基地の撤去や国境の安全確保といった安全保障問題が、ビジネスの商談へとすり替えられていく現状は、ロシアの国家主義が欧米との一体化を望む金融勢力に敗北しつつあることを示唆しています。ロバーツ氏は、交渉が「金専門の男たち」に委ねられた瞬間、国家の安全は二の次になり、双方がプーチン大統領の「妥協の価格」を探り合っているだけだと厳しく批判しています。

サックス氏、イラン攻撃阻止訴え

No US War on Iran: An Open Letter to the UN Security Council - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、国連安保理に対し、アメリカによるイランへの軍事侵攻を阻止するよう求める緊急の公開書簡を発表しました。サックス教授は、トランプ大統領による「美しい艦隊」の派遣や、「体制転換こそが最善」といった発言は、武力による威嚇を禁じた国連憲章第2条4項に対する明白な違反であると強く訴えています。

教授によれば、現在の危機はイランが交渉を拒否したために起きたのではなく、むしろアメリカ側が、すでに成功し国際法となっていた「核合意(JCPOA)」を一方的に破棄したことに端を発しています。2015年に安保理が全会一致で採択した決議は、イランの平和的な核利用の権利を認め、厳格な監視の下で経済制裁を解除することを約束したものでした。しかし、アメリカはイスラエルなどのロビー活動に押される形でこの合意を離脱し、対話の姿勢を見せながらも裏では通貨暴落や物資不足を狙った「経済戦争」を仕掛け、イラン国民に多大な苦しみを与え続けています。

特に問題視されているのは、2025年6月の出来事です。当時、交渉が「前向きに進んでいる」とされていた最中に、アメリカはイスラエルによるイラン爆撃を支援し、自らも「ミッドナイト・ハマー作戦」によってイランを直接攻撃しました。サックス教授は、これらの一連の行動を「交渉を装った武力行使のパターン」であると断じています。アメリカが自らホスト国を務める国連のルールを無視し、イランだけでなくキューバやデンマークなど他国に対しても居丈高な脅しをかける現状は、国際社会全体の安全を脅かすものです。

教授は書簡の結びに、国連の生みの親であるフランクリン・ルーズベルト大統領が夢見た「法と正義が支配する時代」を想起し、安保理がその重い責任を果たして即時かつ無条件の武力威嚇の停止を求めるべきだと提言しました。核兵器の時代において、一国の独断による軍事行動を許すことは、人類の自己破滅を招く道に他なりません。今こそ、剣を鋤に打ち直し、外交の力で平和を取り戻すべき時であると、サックス教授は切実なメッセージを届けています。

イランと泥沼への道

War and ‘Covert Action’ Are Not How to Deal With Iran - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの対イラン政策を巡り、ワシントンでは「体制転換」を支持するタカ派の声が再び勢いを増しています。しかし、かつてのイラク戦争やリビアでの失敗から何も学ばないこうした介入主義に対し、真の「アメリカ・ファースト」の観点から警鐘を鳴らす論考が注目を集めています。

タカ派の論客たちは、アメリカ国民が地上軍の派遣、いわゆる「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」に強い拒絶感を持っていることを熟知しています。そのため、彼らは直接的な戦争ではなく、CIAによる「隠密行動」や「空爆のみによる政権打倒」という、一見コストの低い手法を提案し始めました。ジョン・ボルトン元大統領補佐官のように、「地上軍は送らないが、情報機関を使って反政府勢力を支援すべきだ」と主張し、国民の警戒心を解こうとしているのです。しかし、こうした隠密介入こそが、1953年のモサデク政権転覆を通じて現在の反米的なイスラム体制を生むきっかけとなり、さらにはサダム・フセインの台頭を許した歴史的背景を、彼らは意図的に無視しています。過去の情報機関の活用が、皮肉にも今日のアメリカが直面する危機の土台を作ったのです。

また、トランプ大統領は現在、イランに対して事実上の最後通牒を突きつけ、2025年6月の「ミッドナイト・ハマー作戦」を上回る大規模な攻撃を示唆しています。この作戦ではB-2ステルス爆撃機がイランの核施設を「壊滅させた」と発表されましたが、実際には核開発能力を1〜2年遅らせたに過ぎず、イランを交渉のテーブルに着かせる決定打にはなりませんでした。タカ派はこれを「中途半端だった」としてさらなる軍事行動を煽りますが、イランはすでに、米軍が攻撃を仕掛ければ500人以上の米兵を殺害する報復を行うと警告しています。

真の意味での「アメリカ・ファースト」とは、建国の父たちが説いたように、他国の統治形態は各国民が自ら決めるべきであるという原則に基づき、不当な介入を控えて自国の品格と国益を守ることです。感情的な正義感や、実証されたことのない「低コストな政権交代」という幻想に踊らされ、9000万人以上の人口と強力なミサイル網を持つイランとの全面戦争に突き進むことは、アメリカを再び終わりのない中東の泥沼に引きずり込む悲劇でしかありません。軍事力や隠密工作による「体制転換」は、決してイラン問題の解決策にはならないのです。

グアンタナモ、正義の不在

A Mockery of Justice: Torture Victim to Face Trial at Guantánamo After 25 Years - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのグアンタナモ米軍基地にある収容所で、25年もの歳月を経てなお決着がつかない「正義の不在」とも言うべき異常事態が続いています。ジャーナリストのアンディ・ワーシントン氏が、CIAによる激しい拷問の犠牲者であり、2000年の米駆逐艦コール号襲撃事件の首謀者とされるアブド・アルラヒム・アルナシリ被告を巡る、泥沼化した裁判の現状を報告しています。

この問題の核心は、アメリカ政府が過去に行った「拷問」という負の遺産とどう向き合うかにあります。検察側は当初、被告が拷問下で行った自白は証拠として認められないという司法判断を受け、死刑を取り下げる代わりに終身刑を受け入れさせる「司法取引」を進めてきました。これは、9.11テロ事件の被告たちとも同様に進められてきた現実的な解決策でした。しかし、バイデン政権に続きトランプ政権下の国防総省も、この司法取引を土壇場で拒否し、あえて「勝てる見込みのない死刑裁判」を強行する決定を下したのです。

司法取引を拒否したのは、ビジネスマン出身のフェインバーグ国防副長官でした。この決定により、今年6月から軍事裁判が開始される見通しですが、専門家や弁護団は、これがさらなる混迷を招くだけだと警告しています。拷問によって得られた証拠が排除されている以上、有罪を立証するのは極めて困難であり、たとえ有罪判決が出たとしても、その後数十年にわたる上訴手続きが続くことは目に見えています。

事件から4半世紀が経ち、遺族や生存者の間からも「死刑にこだわって裁判を長引かせるよりも、司法取引で早期に決着をつけ、人生に区切りをつけたい」という悲痛な声が上がっています。しかし、歴代の政権は「正義」の名の下に復讐心を満たす道を選び続け、拷問という人道に反する行為が裁判そのものを機能不全に陥らせている現実から目を背けています。ワーシントン氏は、テロに拷問で応じたというアメリカの致命的な過ちを清算できない限り、真の結末や正義が訪れることはないだろうと厳しく批判しています。

シリコンバレーと兵器産業

In Silicon Valley, Hegseth is just one link in the brave new kill chain | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの国防・テクノロジー業界で今、大きな波紋を呼んでいる驚くべき動向についてお伝えします。ジャーナリストのシャナ・マーシャル氏が、ワシントンやミネソタで開催された軍事技術エキスポの潜入取材を通じ、シリコンバレーの投資家たちが米軍の兵器調達ルールをいかに根底から塗り替えようとしているかを暴露しました。

会場を埋め尽くしているのは、かつての屈強な軍人たちではなく、パタゴニアのベストを着たベビーフェイスの億万長者、つまりベンチャーキャピタリストたちです。彼らの目的は、国防総省が兵器のスペックを決めるというこれまでの伝統的なモデルを逆転させ、企業が独自の判断で開発した製品を「商用品」として政府に売りつける仕組みを作ることです。いわば、兵器業界のアップルになろうとしているのです。しかし、顧客がアメリカ政府一社だけでは巨額の投資利益が得られないため、彼らは最初から世界中へ輸出することを前提とした設計と、輸出規制の大幅な緩和を強く求めています。

この新しい軍事産業の姿は、まるで「戦闘機のファストファッション」です。高価で長持ちする有人兵器ではなく、ロボットが自動化された工場で大量に作り、戦場で使い捨てる安価な無人機が主役となります。それらはアメリカ国内の雇用を守るという建前を捨て、世界中に分散された供給網で製造され、頻繁な買い替えを強いることで投資家に利益をもたらします。さらに深刻なのは、かつての国防高官たちが投資ファンドの幹部に転身し、自分たちに都合の良い調達ルールを自ら起草して、現職のヘグセス国防長官に実行させるという、キツネが鶏小屋の設計図を引くような腐敗した癒着構造が完成しつつあることです。

彼らは口では政府の規制を嫌い、自由な破壊的イノベーションを唱えますが、その実態は、スタートアップの資金も失敗した際の救済も、すべて国民の税金に依存する「寄生的な統治階級」に他なりません。シリコンバレー流の効率化という美名の下で、アメリカの経済と軍事のあり方が、一部の投資家たちの利益のために資産剥ぎ取りに遭っている現状に、日本人の私たちも強い警戒心を抱かざるを得ません。

「世界最強」の幻想

Iran Crisis Exposes the Impotence of America’s Neoliberal War Machine - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ政府がカリブ海から中東へ第2の空母ジェラルド・R・フォードを派遣し、イランへの軍事圧力を強めている現状に対し、独立系ジャーナリストのニコラス・J・S・デイヴィス氏がその危険性と米軍の構造的弱点を鋭く突いています。

デイヴィス氏は、トランプ政権がイラン国内の市民への同情を口実に、違法な軍事攻撃の準備を進めていると警告しています。しかし、その「世界最強」を誇る米軍の内情は、長年の過剰な展開によって疲弊しきっています。現在、米国の空母12隻のうち9隻がドック入りや修理待ちの状態にあり、実際に即応できる戦力は驚くほど限られています。対照的に、イランは数十年をかけて防衛体制を整え、米軍の拠点や艦隊を精密に叩くミサイルやドローンの火力を蓄えてきました。2025年6月の交戦では、米軍がイランの核施設を空爆したものの、イラン側の報復によってイスラエルも米軍も甚大な被害を受けた可能性が示唆されています。

さらに深刻なのは、冷戦後の「新自由主義」による軍事産業の民営化が、米国の戦争機械を「高価だが無力」なものに変えてしまったという指摘です。独占的な軍需企業は、利益を優先して極めて高額で複雑な兵器を少量生産することに注力してきました。その結果、1隻175億ドルもする空母フォードのような巨大兵器は誕生しましたが、ウクライナ戦争やイエメンのフーシ派との戦いで露呈したように、弾薬やドローンの量産能力、そして泥沼の地上戦を勝ち抜く実力は失われています。ロシアが米国の15分の1の予算で軍事的優位を保っているのは、腐敗した政治と結びついた民営化に走らず、国の防衛を誠実かつ合理的に計画してきた結果だと氏は分析します。

アイゼンハワー大統領はかつて、攻撃能力だけで安全を測る危うさを説きました。圧倒的な攻撃力を誇った1939年のドイツが、わずか6年後に壊滅した歴史を忘れてはなりません。力による外交は、相手の頭に銃口を向けて降伏を迫ることではなく、互いの尊重に基づき、国連憲章という万国共通のルールに従って解決策を見出すことです。腐敗した指導者層が、再び「米国製」の惨劇を中東に引き起こす前に、私たちは武力行使という選択肢がもはや幻想であることに気づく必要があります。

トランプ政権と嘘の戦争

The hawks are lying us into yet another Middle Eastern war [LINK]

【海外記事紹介】アメリカが中東において、自ら招いた新たな危機に突き進んでいます。トランプ政権はイランに対して「美しい艦隊」を派遣し、戦争を回避するための「取引」を迫っていますが、その内実はかつてのイラク戦争を彷彿とさせる、不透明で危ういプロセスに満ちています。

今回の危機は、イラン国内の抗議デモをトランプ大統領が支援すると約束したことから始まりました。しかし現在、政権が突きつけている要求は、当初の目的とはかけ離れたものに変質しています。バンス副大統領は核開発問題を、ルビオ国務長官は軍事力や体制の変革を要求し、交渉の「ゴール」は次々と動かされています。専門家によれば、今後数週間以内に軍事行動が起きる確率は90%に達するとされており、政権側は平和的な解決よりも、武力行使の口実を探しているようにも見受けられます。

23年前、アメリカは「大量破壊兵器」という嘘に基づきイラク戦争を開始しました。今回のイランに対する動きもそれと酷似していますが、より深刻な違いが2点あります。第一に、かつてのような「核のキノコ雲」といった壮大な物語ではなく、政権は小さな嘘を積み重ね、自らの真の目的を隠しながら目標をすり替え続けている点です。第二に、議会や国民に信を問うプロセスが完全に欠落している点です。2026年1月の世論調査では、アメリカ人の70%がイランとの戦争を望まず、開戦前には議会の承認を求めています。しかし、政権は議会を無視して突き進んでおり、当の議会も事実上の黙認を続けています。

さらに懸念されるのは、これが短期的な空爆にとどまらない可能性です。トランプ大統領は「体制転換こそが最善」と公言し始め、クシュナー氏らは中東の勢力図を根本から塗り替える野心を隠しません。かつてのブッシュ政権の失敗を「愚かな大統領だったからだ」と断じ、自分たちなら賢く目的を達成できると豪語する現政権の過信は、かつての「傲慢さ」の再来に他なりません。中東諸国は表向き懸念を示しつつも、裏では攻撃を煽る複雑な動きを見せています。一度戦火が上がれば、限定的な紛争では済まないとの警告が発せられており、私たちは再び、欺瞞に満ちた泥沼の戦争の入り口に立たされているのかもしれません。

文化は固定できない

TGIF: Immigration and Culture | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名なリバタリアン論客、シェルドン・リッチマン氏が、移民問題と文化の変容について極めて示唆に富むコラムを発表しました。リッチマン氏は、近年のアメリカで巻き起こっている「文化的な不快感」を理由とした移民抑制論に対し、自由主義の観点から真っ向から反論しています。

議論のきっかけは、スーパーボウルのハーフタイムショーでスペイン語を操る、プエルトリコ出身の歌手が起用されたことへの反発でした。リッチマン氏は、そもそもプエルトリコ人は100年以上前から米国市民権を持つ「アメリカ人」であることを指摘しつつ、文化を守るために国境を閉ざそうとする試みがいかに無意味であるかを説いています。文化とは、壁にゼリーを釘で打ち付けようとするのと同じで、固定できるものではないというのです。

氏は、高名な経済学者トーマス・ソウェル氏の言葉を引用し、文化の本質を浮き彫りにします。文化とは単なる「アイデンティティの象徴」ではなく、人間が食べ、住み、病を癒やし、他者と共生するための「道具」です。より優れた、あるいは便利な手法が他文化から持ち込まれれば、古い習慣が廃れていくのは自然な淘汰であり、ローマ数字が算用数字に取って代わられたのと同じ現象に過ぎません。特定の時点の文化を「伝統」として琥珀の中に閉じ込めようとする態度は、人類の進歩を妨げるものだと言えます。

また、リッチマン氏はブライアン・カプラン氏の主張を引き、「誰も自分の文化を独占する権利など持っていない」と断じます。文化とは他者との関わりの集積です。誰と結婚し、どんな映画を観て、何を食べるかという個人の選択の総和が文化であり、それを特定派閥が管理しようとするのは、人々の私生活を支配しようとする全体主義的な発想に他なりません。

「完全に同化すべきだ」という同化政策についても、氏はこれを「退屈な社会への道」と批判します。もしイタリア人や中国人の移民が独自の文化を維持しなければ、リトルイタリーもチャイナタウンも存在せず、アメリカの魅力は半減していたでしょう。英語の習得などの最低限のルールは自然と適応されていくものであり、文化は国家の計画ではなく、自由な個人の相互作用によって自律的に形成される「自生的秩序」であるべきです。

多様な文化が混ざり合うことで豊かになってきた歴史を振り返れば、変化を恐れて門戸を閉ざすことは自らを貧しくする行為です。リッチマン氏は、多様な価値観を楽しみ、文化のダイナミズムを許容することこそが、自由な社会を維持する唯一の道であると結んでいます。

金、8000ドルに上昇も

JPMorgan Raises Gold Forecast to $6,300, Makes Case for $8,000 [LINK]

【海外記事紹介】世界的な大手金融機関であるJPモルガンが、最新のレポートで金価格の予測を大幅に引き上げ、投資家の間で大きな注目を集めています。同行は、2026年の金価格の見通しをこれまでの1オンス5055ドルから6300ドルへと上方修正しました。さらに、特定の条件が整えば1オンス8000ドルという驚異的な水準まで上昇する可能性があるとの見解を示しています。

直近の市場では金価格が11パーセントほど下落する局面もありましたが、JPモルガンのアナリストはこれを一時的な変動に過ぎないと見ています。彼らは、中長期的な視点において、金という「実物資産」が紙の資産(通貨や債券)を凌駕する構造的なトレンドは依然として強固であると断言しています。今回の予測引き上げの背景には、世界的な地政学リスクの高まりや、主要国による「ドルの価値低下」への懸念があります。特に2022年のロシア・ウクライナ紛争以降、各国の中央銀行による金の買い越し額は倍増しており、米国によるロシア資産の凍結を受けて、外貨準備をドルから金へと分散させる動きが加速しています。

JPモルガンが描く「1オンス8000ドル」というシナリオは、家計部門の投資行動の変化を根拠としています。平均して、個人と機関投資家を含む欧米の投資家は現在、ポートフォリオの1%未満しか金を保有していません。もし個人投資家がこの配分を現在の約3パーセントから4.6パーセント程度まで引き上げるだけで、供給が限られている金市場には莫大な需要が流れ込み、価格を8000ドルから8500ドルのレンジまで押し上げる可能性があるというのです。

かつて、投資の王道は「株6対債券4」の比率と言われてきましたが、最近では大手金融機関の間でも、ポートフォリオの20パーセントを貴金属に割り当てるべきだという議論が現実味を帯びています。米国政府が膨大な債務を抱え、その返済のために「インフレという名の税金」で通貨価値を薄めている現状において、投資家は利回りよりも「購買力の維持」を優先し始めているのです。金はもはや、危機の時に一時的に高騰する避難先ではなく、資産構成の核となる「コア資産」へと進化しつつあります。一時的な価格の上下に一喜一憂するのではなく、通貨価値の下落に対する長期的な防衛手段として、金という資産を再評価すべき時期に来ているようです。

2026-02-20

誰が若者の夢を奪ったか?

Why Millennials and Gen Z Are Trapped by Debt, Inflation, and Broken Promises - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】経済界で多大な影響力を持つダグ・ケイシー氏が最新のインタビューで、ミレニアル世代とZ世代が直面している「借金、インフレ、そして壊された約束」という過酷な現実について、非常に辛辣かつ本質的な見解を述べています。

ケイシー氏は、今の若者が「一生借金漬けの小作人」のように扱われている現状は、数十年にわたる国家の過剰な介入と中央銀行による資産バブルの創出が生んだ「必然的な結末」であると断じています。税金は高まり続け、蓄財を試みてもインフレがその購買力を容赦なく削り取ります。その結果、若年層はマイホームを持つという夢さえも奪われ、不動産や教育、医療といった生活の根幹に関わるコストが、一般市民の手の届かない高みへと押し上げられてしまったのです。

実際、統計データを見てもその深刻さは明白です。2025年から2026年にかけての米国の物価動向を見ると、住居費の上昇率は依然として全体のインフレ率を上回っています。特に教育費や医療費といった「生活に不可欠なサービス」のインフレは依然として根深く、ミレニアル世代の平均的な消費者負債は約13万2000ドル、Z世代も3万4000ドルに達しており、その多くを学生ローンが占めています。かつてベビーブーマー世代が20代で当たり前のように享受していた「マイホームでの自立」は、今や14万ドル(約2,100万円)以上の年収がなければ家族4人で中流生活を維持できないという異常なコスト構造によって、遠い夢と化しています。

ケイシー氏は、既存の「資格重視のホワイトカラー経済」も、AIと自動化の波によって間もなく崩壊すると警告しています。彼は若者に対し、毒物と化した現代の大学教育を避け、自らを「ルネサンス・マン(万能人)」として鍛え上げるべきだと説きます。特定の企業にぶら下がる従業員としてではなく、どこへ行っても、どんな状況でも自力で価値を生み出し、稼ぐことができる「起業家」としてのスキルを身につけることこそが、唯一の脱出口だというのです。

価格高騰の真犯人

Peter Schiff: Subsidies Don’t Help Affordability | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な経済評論家ピーター・シフ氏が、最新のポッドキャスト番組において、政府による補助金がいかに市場価格を歪め、結果として国民の生活を苦しくさせているかという「不都合な真実」を詳しく解説しました。シフ氏は、低所得者向けの食料費補助(SNAP:旧フードスタンプ)の対象からジャンクフードを除外しようとする最近の政策論争を例に挙げ、非常に鋭い分析を展開しています。

シフ氏の指摘によれば、補助金こそが価格高騰の真犯人です。例えば、政府が補助金でジャンクフードの購入を支援すれば、関連企業は強気な価格設定が可能になります。実際にアメリカの一部の州で補助金による購入制限が検討された際、大手飲料・食品メーカーのペプシコが一部商品の値下げに踏み切った事実は、補助金という「下支え」が消えたことで市場の原理が働き、価格が適正化された証拠だと彼は主張します。この原理は食料品に限らず、大学の授業料や住宅市場にもそのまま当てはまります。政府が学生ローンを支援すれば大学は学費を上げ、住宅ローンを支援すれば不動産価格が跳ね上がる。つまり、手助けのはずの補助金が、実はあらゆるものを「買えないほど高く」しているのです。

特に住宅市場については、金融機関に対する自己資本規制を緩和し、より多くの住宅ローンを貸し出させようとする政府の動きにシフ氏は強い警鐘を鳴らしています。供給を増やすのではなく、借金を増やして需要を煽るだけの政策は、住宅価格をさらに押し上げ、人々の借金を増やす結果にしかなりません。

さらにシフ氏は、暗号資産の分野における「金融工学」的な手法にも冷ややかな視線を向けています。ビットコインの追加購入を続けるマイクロストラテジー社の配当政策を例に出し、配当の原資が実利ではなくビットコインの値上がりにのみ依存している危うさを突いています。もし価格が下落し続ければ、既存の株主の権利が削り取られるだけの結果になりかねません。

私たちは、一見すると「弱者救済」に見える政府のバラマキや、華やかな投資スキームが、長期的には市場を歪め、通貨や資産の価値を蝕んでいくリスクがあることを自覚しなければなりません。シフ氏は、安易な政策の歪みに気づき、自らの購買力を守るための賢明な判断が必要だと締めくくっています。

日本が米国債を売る日

Schiff w/ Bohm: The Market Will Rotate to Miners | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な経済評論家ピーター・シフ氏が、最新のポッドキャスト番組で、貴金属市場やマイニング(産金・産銀)企業株の背後で起きている「通貨のリセット」というべき巨大な地殻変動について語りました。シフ氏によれば、最近の銀価格や関連銘柄に見られる激しい乱高下は、単なる市場のノイズではありません。これは過度なレバレッジをかけていた投機家たちが、価格変動に耐えきれず強制的な売却を迫られた結果であり、一時的な流動性の問題に過ぎないと分析しています。むしろ、こうした調整を経て、市場の資金は実質的な価値を持つ資産へと大きくシフトしようとしています。

シフ氏は、現在のトランプ政権がニューヨーク株式市場のダウ平均株価が5万ドルに達したことを歴史的な偉業として宣伝していることに対し、強い疑念を呈しています。前政権時代からの上昇幅を冷静に比較すれば、現在の株価の上昇は決して「奇跡」と呼べるようなものではなく、インフレによる数字の膨張という側面が強いからです。真の富とは、ドルの数字ではなく、そのドルでどれだけの現物資産を買えるかで測るべきだと彼は説いています。

特に深刻なのは、米国債に対する海外投資家の意欲減退です。現在、ドルの価値はスイスフランなどの主要通貨に対して過去最低水準を更新し続けており、インフレ率やドルの下落率を考慮すれば、米国債を保有し続けるメリットは失われています。シフ氏は、世界最大の米国債保有国の一つである日本についても言及しました。長年続いてきた低金利政策が限界を迎え、日本の金利が30年ぶりの高水準に達する中で、日本政府や投資家が国内のインフレ抑制や債務管理のために、保有する1兆ドル以上の米国債を売却せざるを得なくなるリスクを指摘しています。これが現実となれば、ドルと米国債の価格にはさらなる暴落圧力がかかることになります。

こうした「ドルの独歩安」が進む中で、投資資金の逃避先としてシフ氏が確信しているのが、貴金属の鉱山株です。これまで市場を賑わせてきた暗号資産や人工知能(AI)関連銘柄のバブルが弾けつつある今、投資家は「次に何を買うべきか」を必死に探しています。圧倒的に所有者が少なく、かつ収益性が向上しているマイニング企業の株こそが、次の主役になると彼は予測します。投機的な熱狂が冷め、実利を求める動きが強まる中で、投資家の心理は懐疑論から強気論へと一気に転換し、マイニングセクターへの大規模な資金流入が始まると結論付けています。

実物資産へシフトを

Schiff on Land Development Podcast: Gold Is the Real Digital Asset | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な投資家ピーター・シフ氏が、最新のポッドキャスト番組で金(ゴールド)の持つ真の価値と、激変する世界経済への対策を語りました。シフ氏は現在の市場について、歴史的な視点から「金に対する価格の歪み」が生じていると鋭く指摘しています。

金については、他の資産や商品との比較も可能です。現在の金価格が約5,000ドルである点を踏まえると、ダウ平均株価は金10オンス相当の価値しかありません。確かに1999年のピーク時から金建てで75%下落していますが、それでもダウ平均が金10オンスで取引されるのは依然として割高だといいます。つまり、私たちが目にする株価の数字はインフレによって膨らんでいるだけで、実質的な価値は目減りし続けているというのです。

シフ氏が特に懸念しているのは、アメリカ連邦準備制度(FRB)の次期議長人事と、それがもたらす通貨安の加速です。トランプ大統領が指名したケビン・ウォーシュ氏について、市場では「タカ派」との見方もありますが、シフ氏は懐疑的です。大統領の意向を汲んで早期の利下げや通貨増発に動く「ハト派」的な役割を果たすはずだと予測し、政治的な圧力による「安易なマネー政策」がドルのさらなる下落を招くと警告しています。その結果、食料品などの物価上昇だけでなく、借入コスト、つまり金利そのものも上昇し、一般消費者の生活を直撃する「深刻な購買力の危機」が訪れるとしています。

こうした中でシフ氏が新たな可能性として注目しているのが、金と最新技術を融合させた「トークン化された金」です。これはビットコインのような暗号資産の利便性と、金という実物資産の裏付けを両立させたもので、シフ氏は「これこそが真のデジタル資産だ」と断言しています。ビットコインが本来果たすべきだった「価値の保存」という役割を、ブロックチェーン技術を活用したデジタル・ゴールドが代替し始めており、暗号資産に熱中していた層もようやく金の重要性に気づき始めているというのです。

最後に、シフ氏は投資家に対し、資産の再編成を強く促しています。ドルの下落や米国の政策による損失を最小限に抑えるためには、米国株や債券、そして実体のない暗号資産から距離を置き、金や銀、あるいは新興国市場などの「実物資産」や「外貨建て資産」へシフトすべきだと説いています。多くの投資家がまだこの構造変化に気づいていない今こそ、購買力を守るための行動を起こす好機であると締めくくりました。

金高騰を見誤った人たち

Schiff on Soar Financially: Wall Street Still Hasn’t Learned | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な経済評論家ピーター・シフ氏が、最新の貴金属市場の動向と世界経済の行方について語ったインタビュー記事をご紹介します。シフ氏は、最近の銀価格の急騰や金市場の動きは、単なる一時的な流行ではなく、世界経済の構造的な変化を映し出していると警鐘を鳴らしています。特に注目すべきは、銀が長年の抵抗線であった1オンス50ドルを突破した後の爆発的な上昇です。シフ氏によれば、これは1980年代以来の心理的、技術的な壁を打ち破ったことを意味し、投資家の資金が一気になだれ込む引き金となりました。

シフ氏が指摘する興味深い点は、市場の「東西の乖離」です。現在、中国をはじめとする東洋諸国は実物の貴金属を精力的に蓄積している一方で、西洋の投資家は依然として慎重で、むしろ空売りを仕掛けるなど弱気な姿勢を崩していません。シフ氏は、この東洋側の動きこそが正解であり、金や銀を単なる投機対象ではなく「真の通貨」として捉えるべきだと主張しています。金価格が1オンス5000ドルに迫る現在でも、長期的な視点に立てば、依然として妥当な購入水準にあるというのが彼の見解です。

また、ウォール街の主要な金融機関が、過去20年間にわたる貴金属の強気相場を一貫して見誤ってきたことにも触れています。2024年初頭に金が2000ドルだった際、多くの専門家は「金はピークに達した」として産金株に売り推奨を出していましたが、結果はその予想を大きく裏切る形となりました。シフ氏は、こうした既存の分析が、多角的な構造変化を捉えきれていないと批判しています。

この貴金属高騰の背景には、インフレの定着、ドルの国際的な地位が低下する「脱ドル化」、そして米国の財政政策に対する信頼失墜という3つの大きな要因があります。現在、米国の公的債務は38兆ドルという天文学的な数字に達しており、トランプ政権下でも金利引き下げへの圧力が強まっています。しかし、膨大な債務を維持するために無理に金利を下げれば、ドルの価値はさらに損なわれるというジレンマに陥っています。シフ氏は、市場が米国の債務返済能力や連邦準備制度の独立性に強い疑念を抱き始めており、それが金や銀への逃避を加速させていると結論付けています。私たち日本人も、この世界的な通貨価値の変化から目を離すべきではないでしょう。

古びた冷戦の論理

A Missed Opportunity in Munich | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】ミュンヘン安全保障会議において、米国のマルコ・ルビオ国務長官が行った基調講演は、西側同盟を新たな時代へと導く貴重な機会を逃すものとなりました。今回の演説は、開発途上国が切望する資本へのアクセスや自由な貿易、そして制裁リスクにさらされる不換紙幣(ドル)体制に代わる「誠実な貨幣」としての金(ゴールド)による決済という、BRICS諸国の台頭を支える本質的な動機を完全に見誤っています。

ルビオ氏は演説の中で、冷戦時代の対ソ連包囲網を彷彿とさせる懐古的な論理を展開しました。同氏は、西側諸国がドグマ的な自由貿易に傾倒したことで工場の閉鎖や脱工業化を招き、供給網の主権を敵対国に明け渡したと主張しています。しかし、これは事実を歪曲した「たわごと」に過ぎません。経済学者たちの多くは、米国の製造業が衰退したという「脱工業化論」には懐疑的であり、むしろ資本がより収益性の高いハイテク産業へ移行したに過ぎないと指摘しています。かつての「煙突産業」時代へ資本を強制的に回帰させようとする産業政策は、経済の合理性に反するものです。

さらに不可解なのは、同氏が不法移民問題を新たな産業政策の正当化に結びつけた点です。ルビオ氏は、宇宙旅行やAI、重要鉱物の自給自足といった流行の政策を列挙しましたが、自由放任主義的な資本主義の柱である「健全な通貨」「規制緩和」「小さな政府」といった、西側に繁栄をもたらした根本的な原則については沈黙を守りました。

今回の演説の真の狙いは、安全保障よりもむしろ、崩壊しつつある「ドル中心の決済システム」に同盟国を繋ぎ止めることにあったと言えます。米国が制裁やSWIFTからの排除を武器として使い続ける一方で、中国が主導するBRICS諸国は「金は貨幣であり、貿易は互恵的なものである」という数千年来の真理に回帰しようとしています。ルビオ氏の演説は欧州の同盟国には一時的に受け入れられたかもしれませんが、日本や韓国といった太平洋の同盟国、そして経済大国として台頭するインドが、いつまでもこの古い枠組みに留まる保証はありません。古びた冷戦の論理を繰り返すだけでは、加盟国の安全も繁栄も守ることはできないだろうと記事は警告しています。

貿易赤字の真の原因

Trade Deficits and Sound Money | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】ドナルド・トランプ氏の台頭以来、貿易赤字は「国家の弱さ」や「不当な取引の証拠」として語られることが増えました。貿易黒字を勝利、赤字を敗北と見なすこの風潮は、関税や産業政策による是正を求める声につながっています。しかし、経済学者ミーゼスの思想を紐解けば、現代の政策担当者が国際貿易の本質をいかに深く誤解しているかが浮き彫りになります。

古典派経済学の正統な継承者であるミーゼスによれば、貿易収支とは管理すべき政策目標ではなく、健全な通貨制度の下で自然に調整される一時的な結果に過ぎません。金本位制のような健全な通貨制度の下では、ある国が貿易黒字になれば国内に金(ゴールド)が流入し、それが通貨供給量を増やして物価や賃金を押し上げます。その結果、輸出競争力が低下して輸入が増え、黒字は自然に解消されます。赤字国ではその逆が起こり、通貨供給量の減少が物価を下げて輸出競争力を高めます。この自律的な調整機能こそが重要であり、貿易に「勝ち」も「負け」も存在しないのです。

ミーゼスは、貿易赤字が必ずしも経済の不調を意味するものではないと強調しました。赤字は投資の活発化や消費者の福利向上を反映している場合もあり、逆に黒字が資本逃避や消費の抑制を示している場合もあります。重要なのは、個人が健全な通貨の下で自由に取引できているかどうかです。関税によって「赤字を是正」しようとする試みは、根本的な原因、特に「通貨の問題」を無視して症状だけをいじくり回すものに過ぎません。

現代の慢性的、かつ巨大な貿易赤字の真の原因は、貿易そのものではなく、通貨制度の失敗にあります。現在の不換紙幣制度、特にドルが基軸通貨である体制では、金本位制のような規律が働きません。米国は通貨を増発して消費を拡大し、調整圧力にさらされることなく赤字を垂れ流し続けることができます。つまり、貿易赤字は「不当な搾取」の結果ではなく、信用膨張や放漫な財政といった、自国の通貨政策が生み出した歪みなのです。

トランプ氏の重商主義的な主張は、こうした通貨の歪みを貿易政策で解決しようとする誤りを犯しています。関税は国内物価を上げ、資本配分を歪めるだけで、根本的な解決にはなりません。ミーゼスの洞察は、貿易の問題を議論するなら、まず通貨の健全性を取り戻すべきだと教えています。通貨の規律を欠いたままの貿易政策は、原因ではなく結果に対処するだけの、無力で的外れな手段に留まり続けるでしょう。

米上院はなぜダメになったか

The Senate and the Loss of “Mixed Government” | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ憲法修正第17条が採択されてから100年以上が経過しましたが、この「上院議員の直接選挙制」こそが、連邦制を弱体化させ、中央集権化を加速させた元凶であるという議論が再燃しています。 ミーゼス研究所のサイトに掲載された論説によれば、創設者たちが意図した「混合政府」という概念、すなわち異なる権限の源が衝突し合うことで自由を守るという仕組みが、修正第17条によって崩壊してしまったと著者は指摘します。

もともと上院は、国民の感情を反映する下院とは対照的に、各州の議会によって選出される「州という政治体の代表」として設計されました。これは、連邦政府の権力増大を州の制度的利益によって抑制するための、極めて意図的なブレーキ役でした。しかし、直接選挙制への移行により、上院議員は州政府への責任ではなく、政党指導部や多額の寄付者、あるいは全国的なメディアの関心を引くことに腐心する「第二の下院議員」へと変貌してしまいました。現在、連邦政府の命令が州の優先事項をいとも簡単に上書きしてしまうのは、上院が州の代表としての機能を失い、下院と同じ大衆民主主義という基盤に飲み込まれてしまったからに他なりません。

しかし、単に修正第17条を廃止して1913年以前の仕組みに戻すだけでは不十分だと著者は説きます。かつての上院選出プロセスには、議会の行き詰まりや汚職といった欠陥が存在したからです。そこで本記事では、上院を「各州政府の評議会」として再定義する新たな憲法修正案を提唱しています。その内容は、各州から3名の上院議員を州議会が選出し、さらに州議会の3分の2の賛成で解任権を認めるというものです。また、弾劾裁判を除き、各州は個々の議員ではなく「州全体で1票」を投じる仕組みに改めるべきだとしています。

この改革案は、上院を個人の政治家が集まる場から、州政府という組織の意思が交差する場へと引き戻すことを目的としています。これにより、司法人事の過度な政治化を防ぎ、連邦政府による権力の肥大化を制度的に抑止することが可能になります。憲法共和国を維持するためには、単なる選挙以上のもの、すなわち権力を分散させ、異なる政治的源泉から権威を引き出す「抑制と均衡」の仕組みが不可欠です。アメリカは今、連邦制の形骸化を放置するか、それとも上院の本来の機能を再構築するかの選択を迫られています。

狂信者はイランか米国か

The Iran Hawks' Distorted View of Iran - by Daniel Larison [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの外交政策におけるイランへの視点は、半世紀近くにわたり「理性を欠いた過激な狂信者」という歪んだイメージに支配されてきました。コラムニストのダニエル・ラリソン氏によれば、最近の国務長官による「イランの指導者は地政学的ではなく神学的な決断を下している」という発言は、その典型的な誤解を露呈しています。こうした「相手は不合理だ」という決めつけは、対イラン強硬派にとって非常に都合の良い道具となります。なぜなら、相手が話の通じない狂信者であれば、外交は無意味であり、攻撃的で敵対的な政策こそが唯一の正解であると正当化できるからです。

しかし現実には、米国の強硬派こそが自らのイデオロギー的執着に基づいて意思決定を行っており、真の米国の国益を見失っていると著者は批判します。米国がイランとの危機を煽る合理的な理由は現在ありません。相手を「不合理」と決めつけるのは、自らの外交的無能さを隠すための便利な言い訳に過ぎないのです。過去、米国とイランの間で互恵的な合意に至るのが困難だった主因は、米国の硬直した態度と、見返りなしに一方的な譲歩を迫る「宗教的熱狂」にも似た強欲さにありました。

実際のイラン政府は、自国の安全保障上の利益と体制維持に基づき、極めて現実的な判断を下してきた実績があります。特に1989年以降、イランは防衛力の構築と地域的な同盟関係の構築に注力してきました。核問題についても、米国が一方的に合意を破棄して制裁を再開するまでは、イラン側は合意の要件を遵守し、実務的な交渉に応じる姿勢を見せていました。

ワシントンでこうした浅薄なイラン観が根強く残っている背景には、40年以上にわたって正常な外交関係が途絶えていることがあります。直接の対話も訪問も調査も行われないまま、偏見に満ちたイデオロギーが恐怖と憎悪を増幅させてきました。外交関係を樹立し、日常的な対話を始めることこそが、この無意味で回避可能な衝突の連鎖を断ち切るための第一歩です。しかし、米国が新たな紛争を仕掛ければ、イラン国内の穏健派は失脚し、硬硬派が台頭するだけであり、結局その代償を払わされるのは一般のイラン国民なのです。

ジャクソン師の功罪

Jesse Jackson: Peace Abroad, War at Home | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】公民権運動の重鎮ジェシー・ジャクソン師が84歳でこの世を去りました。キング牧師の愛弟子であり、2度の米大統領選に挑戦したジャクソン師の功績については、投票権や教育の向上に尽くした「奉仕するリーダー」としての称賛が相次いでいます。しかし、歴史家のアラン・モズレー氏は、彼の半世紀にわたる活動は単純な美談では括れないと指摘します。ジャクソン師の生涯を貫いたのは、「国外での平和」への執念と、それとは対照的な「国内での自由市場との戦い」でした。

まず、平和への貢献については、党派を超えて評価されるべき側面があります。1980年代の冷戦下において、軍事介入主義や核の脅威に反対し、国防費の削減と外交への転換を訴え続けました。特筆すべきは人質救出への執念です。1984年のシリア、1990年のイラク、さらにはキューバへと自ら乗り込み、政府間の対立を超えて民間人や兵士を解放させた実績は、不必要な戦争を回避しようとする一貫した非介入主義の表れでした。

一方で、国内政策に目を向けると、その評価は厳しくなります。ジャクソン師は米国経済を「操作されたもの」と断じ、抜本的な政府介入を求めました。国民皆保険制度、企業の増税、さらには年金基金を原資とした連邦投資銀行の設立など、その主張は当時の民主党の主流を遥かに超え、欧州の社会主義に近い強権的な中央計画経済を目指すものでした。自由市場経済学の視点からは、これらの政策は個人の生産性を損ない、官僚による支配を強めるものと批判されました。

また、彼の活動手法も物議を醸しました。「企業との対決」と称し、多様性が欠如していると標的にした企業に対し、ボイコット運動を展開しては寄付金や契約を引き出す手法は、時に「ゆすり」であると非難を浴びました。さらに、大統領選における「人種政治」の利用や、ユダヤ人に対する蔑称の使用、過激な宗教指導者との親密な関係は、かつての公民権運動の連帯に亀裂を生じさせました。

モズレー氏は、ジャクソン師が国外の帝国主義に反対し、対話を重んじた点は称えられるべきだと結びます。しかし同時に、国内で展開された自由市場や個人権利への攻撃、そしてアイデンティティ・ポリティクス(属性の政治)の弊害からは教訓を得るべきだと警告しています。真の平和と正義は、他人の資金や政府の強制によって買えるものではなく、個人の自由と自発的な協力の中にこそ存在するからです。

住宅ローン固定金利の罠

【海外記事紹介】一見すると返済計画が立てやすく、安心感のある「固定金利型住宅ローン」ですが、実はこの仕組みが、政府や金融エリートによる国民からの資産収奪を助長しているという衝撃的な指摘があります。化学エンジニアであり憲法研究家でもあるジェームズ・アンソニー氏は、固定金利という「一見シンプルに見える契約」が、いかに借り手の無知につけ込み、政府の肥大化を招いているかを解説しています。

著者は、現代の住宅ローン契約を「幼児期の蔓延 」の状態にあると批判します。これは、借り手がどれほど賢明であっても、政府の恣意的な通貨発行や金利操作といった「外部環境の激変」を予測することは不可能であり、交渉の余地もない不平等な立場に置かれていることを指します。政府や特権を持つ銀行家は、借金をしては通貨を増発してその価値を希薄化させ、インフレを引き起こします。これにより、借り手の借金の「実質的な価値」は下がりますが、それ以上に日用品の価格高騰や貯蓄の目減りによる損失が上回り、結果として借り手は生活の質を奪われることになります。

さらに、固定金利という仕組みは市場に歪みを生みます。政府が無理に金利を低く抑えれば、インフレと景気後退のリスクが高まり、最終的には雇用喪失や住宅没収という悲劇を招きます。逆に金利が上昇すれば、低金利のローンに縛られた人々は住み替えができなくなり、住宅市場の流動性が失われます。いずれのケースでも、得をするのは通貨発行権を持つエリート層であり、最も弱い立場にある借り手がそのツケを払わされる構造になっています。

アンソニー氏は、この毒性のあるサイクルを断ち切るために、二つの解決策を提案しています。一つは、憲法に基づき、銀行が預かった資金を全額保有する「100%準備預金制度」を徹底し、政府による金利操作を排除すること。もう一つは、固定金利型ローンを廃止し、市場の実勢を反映する変動金利型のみに限定することです。固定金利という「安心という名の幻想」が、実は政府の支配力を強める道具になっている事実に、私たちは目を見開く必要があります。

金価格予測を一斉引き上げ

Big Bank Gold Price Forecasts Keep Going Up! [LINK]

【海外記事紹介】昨年末の時点では、大手銀行や金融機関の多くが金価格の予測を1オンスあたり5000ドルとしていました。しかし、実際にその大台を突破したことを受け、ここ数ヶ月で多くの機関が予測を大幅に上方修正しています。経済アナリストのマイク・マハリー氏がロイターのデータを引用して紹介した最新の予測リストによれば、主要各行はさらなる高値更新を確信しているようです。

具体的な予測値を見ていくと、最も強気なのはJPモルガンで、6300ドルという高い目標を掲げています。これに続くのがUBSの6200ドルです。また、CIBC(カナダ帝国商業銀行)、ドイツ銀行、ソシエテ・ジェネラル、そしてバンク・オブ・アメリカの4行は、いずれも6000ドルという節目をターゲットとしています。やや慎重な姿勢を見せているモルガン・スタンレーでも5700ドル、ゴールドマン・サックスは5400ドル、シティは5000ドルとしており、総じて現在の価格水準からの上積みを予想しています。

こうした大手銀行による一斉の上方修正は、世界的なインフレの定着や米ドルの信認低下、さらには地政学的な不安定化といった要因が、金の資産としての価値を改めて押し上げていることを示唆しています。投資のプロたちがこぞって金に対して強気な見通しを立てているという事実は、現在の金相場が決して一時的な過熱ではなく、より深い構造的な変化に基づいている可能性を物語っていると言えるでしょう。

改善しない米財政

No! The National Debt Problem Isn't Getting Better! [LINK]

【海外記事紹介】SNS上では、トランプ政権が政府支出の削減や関税収入によって債務問題を解決しているかのような楽観論が見られます。しかし、経済アナリストのマイク・マハリー氏によれば、現実はそれとは正反対です。2025年10月に38兆ドルを超えた米連邦政府の債務残高は、わずか数ヶ月で39兆ドルに迫る勢いで膨れ上がっています。今年に入ってからの増加ペースは、1日あたり約500億ドルという驚異的な速度に達しています。2026年2月17日時点の債務残高は、約38兆7200億ドルを記録しました。

確かに関税収入の急増によって、単月の財政赤字の幅は前年同期比で約20%縮小しています。しかし、これは「赤字の拡大ペースがわずかに鈍った」だけであり、政府支出そのものは依然として膨らみ続けています。議会予算局(CBO)の最新予測でも、2026年度の財政赤字は1.9兆ドルに達し、今後10年間で累計1.4兆ドルも予測が上方修正されました。2036年には年間赤字が3.1兆ドルにまで悪化すると見られており、財政の「ブラックホール」は日々その引力を強めています。

この債務問題が深刻なのは、単に数字が大きいからではありません。債務の対GDP比が120%を超える現状は、経済成長を著しく阻害する要因となります。さらに深刻なのは利払い費の増大です。2025年度の利払い費は1.2兆ドルに達し、国防費やメディケア(高齢者向け医療保険)の予算を上回りました。いまや政府予算の中で、利払いよりも大きな項目は公的年金である社会保障費しか残されていません。

こうした絶望的な財政状況を受け、連邦準備制度理事会(FRB)はインフレが続いているにもかかわらず、金融緩和を模索せざるを得ない状況に追い込まれています。政府の利払いを抑えるために、FRBが国債を買い支えて金利を低く保つ「量的緩和(QE)」の再開が、インフレをさらに加速させるという皮肉な循環を生んでいます。世界が米ドルの信頼性に疑問を抱き始める中、私たちは「いつか来る」と言われてきた危機が、実はもう目の前まで迫っているという現実に直視しなければなりません。

ドル危機と金高騰

Dan Oliver: Gold’s Real Bull Market Hasn’t Even Started: Why $8,400 Gold Is Just the Beginning [LINK]

【海外記事紹介】金相場の歴史的な強気相場は、まだ始まったばかりかもしれません。マイアミカン・キャピタルのダニエル・オリバー氏による最新の分析によれば、2022年から静かに始まった金の価格上昇は、間もなくより強力な「第2フェーズ」へと突入しようとしています。これまでの上昇は、米国がドルを地政学的な武器として使ったことに危機感を抱いた各国の中央銀行や公的機関による、戦略的な現物蓄積によるものでした。つまり、私たちが目撃してきたのは単なる序章に過ぎず、真の熱狂を伴う急騰は、ドル体制が内外で深刻な危機に直面した時に始まると著者は予測しています。

オリバー氏は、米連邦準備理事会(FRB)が陥っている矛盾した状況を指摘します。当局は利下げによる産業再興を目指す一方で、肥大化したバランスシートの縮小を迫られていますが、この二つを同時に達成することは歴史的に不可能です。金融市場が揺らげば、政治的な判断として再び通貨が増発されるでしょう。しかし、そのたびにドルへの信頼は失われ、かつてのように海外へ流出していた流動性が米国内に滞留し、猛烈なインフレを引き起こすリスクが高まっています。このドル危機の局面では、伝統的な評価基準を無視した金価格の暴騰が起こり得ます。

具体的な数値として、FRBの負債の3分の1を金で裏付けるという古典的な基準を当てはめると、金価格は1オンスあたり8395ドル、2分の1の裏付けなら1万2595ドルに達するという計算になります。これは米国の金準備量とFRBの資産規模から導き出された「クレンジング・プライス(市場を浄化する価格)」です。また、金の高騰に伴い、その「妹」分である銀も激しい値動きを見せると予測されています。銀は供給不足という構造的な問題を抱えており、2026年までに1オンス300ドルという驚異的な目標値も現実味を帯びています。

さらに、金鉱山株などの関連銘柄は、現物価格の上昇にもかかわらず依然として割安なまま放置されており、ここが絶好の参入機会になると著者は説きます。法定通貨という「紙の帝国」が崩壊の兆しを見せる中、もはや金や銀は単なる投資対象ではなく、資産を守るための「脱出用ハッチ」であると言えるでしょう。私たちは今、紙の富が幻想に変わる瞬間に備えるべき時を迎えています。

ユーロ買いの落とし穴

Don't de-Dollarize too early - Pretiorates’s Thoughts [LINK]

【海外記事紹介】世界経済の舞台で「脱ドル化」という言葉が飛び交い、米ドルの崩壊を予言する悲観論が絶えません。確かに、世界の中央銀行が保有する外貨準備に占めるドルの割合は、10年前の約58%から現在は40%を割り込む水準まで低下しています。しかし、投資分析プラットフォーム「プレティオレーツ」の記事によれば、ドルの終焉を語るのはあまりに時期尚早かもしれません。現在の市場では、多くのファンドマネージャーが過去14年間で最もドルに対して弱気な姿勢を見せており、ユーロ高に賭ける動きが強まっています。ところが、歴史を振り返ると、投資家たちが一斉にドルを売り、ユーロに楽観的になった時こそ、皮肉にもドルの力強い反撃が始まる前兆となってきました。

欧州の現状に目を向ければ、政治的な自己不信や深刻な脱工業化の懸念、高止まりするエネルギー価格など、ユーロを積極的に支持する根拠は乏しいのが現実です。それにもかかわらずユーロ買いが進んでいる現状は、典型的な「逆指標」としての側面を強めています。また、ドルには5.31年という明確な周期サイクルが存在しており、そのリズムに従えば、今後数ヶ月のうちにドルが息を吹き返す可能性が高いと予測されます。ドルの上昇は必ずしも自国の強さだけによるものではなく、競合する他の通貨が疲弊し、相対的にドルの存在感が際立つという側面も見逃せません。

国際決済システムであるSWIFTの最新データも、驚くべき事実を物語っています。世界の決済におけるドルのシェアは、直近の短期間で46.77%から50.49%へと急上昇しました。これは2019年以来の高水準であり、貴金属価格の上昇やドルの資金調達市場での緊張が背景にあると考えられます。対照的に、ユーロの決済シェアはロシアへの制裁などの影響もあり、顕著な減少傾向にあります。欧州の資本が避難先を求めて米国へ向かう中、積み上がったユーロ買いのポジションが解消されれば、ドルは自動的に押し上げられることになるでしょう。米国の債務問題はいずれ表面化するでしょうが、先に危機を迎えるのは欧州かもしれません。安易なドル売りは、投資における大きな落とし穴になる可能性があると著者は警告しています。

商品デリバティブの限界

Alasdair Macleod: The Threat to Commodity Derivatives [LINK]

【海外記事紹介】長年、金や銀の強気筋の間では、デリバティブ取引が価格抑制の手段として利用されているとの不満が根強くありました。しかし、金融専門家のアラスデア・マクラウド氏によれば、その慣行が終わりを迎える可能性が出てきました。そもそもローマ法以来、金は「真の貨幣」であり、通貨は「劣った信用」に過ぎません。西側の金融当局はこの事実を無視してきましたが、法定通貨が崩壊に向かう時、その現実がデリバティブ市場を直撃することになります。1970年代のインフレを経て、米財務省はドルの地位を守り金を排除するために、3つの政策を推進したと著者は指摘します。第一に、銀行が証券業界を支配する仕組みを作り、金融資産の強気相場を演出してドルの需要を維持したこと。第二に、インフレ率などの統計算出方法を修正し、通貨の安定という幻想を振りまいたこと。そして第三に、デリバティブ市場を拡大させることで、現物市場に向かうはずの投機需要を「紙の市場」へと分散させ、金価格の上昇を抑え込んだことです。

しかし現在、この仕組みが限界に達しています。ロンドンやニューヨークの市場からは、各国中央銀行やアジア諸国による旺盛な需要によって、現物の金が流出し続けています。ロンドン市場では決済件数が減少する一方で、価格上昇に伴い決済額は激増しており、流動性危機が現実味を帯びています。また、米コメックス市場における銀行側の空売りポジションは、過去の平均を遥かに上回る巨額なものとなっており、価格上昇による損失リスクはもはや制御不能なレベルです。地政学的なリスクやドルの信用不安が高まる中、現物への逃避の動きは加速しており、デリバティブ市場は危機という名の岩礁に向かって漂流していると言えます。

金はあらゆる経済活動の核心であり、ドルの価値が揺らぐ中でその重要性は増すばかりです。実際、主要な商品価格を金で換算すると、ドル建てのような激しい変動はなく驚くほど安定しています。このことは、紙の金取引の破綻が、エネルギーや工業用金属など商品全般のドル価格高騰へと波及することを示唆しています。デリバティブによる価格抑制が終われば、現物需要の爆発を招き、銀行部門には巨額の損失が発生するでしょう。私たちは今、過去55年間にわたる法定通貨による歪みが修正される、激しい金融の転換点に立たされています。

2026-02-19

カエルの毒で殺害?

Resistant to Novichok, Russia Had To Go to South America To Find Lethal Frog Poison To Kill Navalny! - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】ロシアの反体制活動家、アレクセイ・ナバリヌイ氏の死から2年。イギリスやドイツなど欧州5カ国が、「ナバリヌイ氏はプーチン大統領の命により、南米産のカエルの毒で殺害された」とする共同声明を発表しました。記事の著者は、このあまりに奇妙で劇的な主張を、西側諸国による極めて作為的なプロパガンダであると厳しく批判しています。

かつてナバリヌイ氏は、ソ連時代の化学兵器「ノビチョク」で毒殺されかかったと報じられましたが、奇跡的に生還し、数カ月後には元気にロシアへ戻りました。今回、西側の情報機関がノビチョクではなく、わざわざ南米産のカエルから抽出される「エピバチジン」という希少な毒を持ち出したのは、ノビチョクで死ななかったナバリヌイ氏の物語に、よりセンセーショナルな新味を加えるためだと著者は分析します。南米のジャングルから毒を調達するという設定は、プーチン氏を「ジェームズ・ボンドの悪役」のように仕立て上げる劇場型の演出であり、大衆の感情を操作する巧妙な手口だというわけです。

しかし、この主張には多くの疑問が残ります。そもそも、ロシアの刑務所で亡くなったナバリヌイ氏の遺体から、誰がどのようにしてサンプルを採取し、どこの研究所で分析したのかという客観的な証拠が一切示されていません。また、2年前の死について、なぜ今このタイミングで発表されたのか。それは、ウクライナ支援を訴えるミュンヘン安全保障会議の開催時期と、ナバリヌイ氏の命日に合わせた政治的パフォーマンスである可能性が高いといえます。

著者は、欧米の支配層が児童虐待などの醜悪なスキャンダルに揺れる中で、国民の目をそらすためにこうした「ロシアの脅威」を再生産していると指摘します。証拠に基づかない情報機関の言い分を鵜呑みにさせる手法は、過去の歴史が証明するように、信頼性に欠けるものです。イギリスの情報機関が得意とする「毒ガエル」の物語は、あまりに不自然で、事実というよりは創作された心理作戦の色彩を強く帯びています。

自由は静かに奪われる

Liberty Without Strings - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ合衆国建国の父の一人、ジェームズ・マディソンは「自由は暴力や戦争といった破滅的な激変よりも、漸進的な一歩ずつの積み重ねによって失われることが多い」と言い残しました。元判事のアンドリュー・ナポリターノ氏はこの言葉を引用し、現在アメリカで起きている憲法上の権利の侵害に強い懸念を表明しています。事端となったのは、第5巡回区控訴裁判所による最近の判決です。同裁判所は、不法移民問題が深刻であり憲法の規定に従うのは時間がかかりすぎるとして、法執行機関が「憲法の角を削る(簡略化する)」ことを認めてしまいました。

アメリカ憲法修正第4条は、政府による不当な捜索や押収から個人のプライバシーを守るため、非常に厳格な手続きを定めています。政府が誰かを逮捕したり家宅捜索したりする場合、犯罪の相当な根拠を裁判官に提示し、対象を特定した「令状」を取得しなければなりません。これは、個人の権利が政府から与えられたものではなく、人間であることに由来する「譲渡不可能な自然権」であるという信念に基づいています。しかし、今回の判決はこの歴史的な原則を投げ捨て、移民税関捜査局(ICE)の職員が、裁判官の審査を経ることなく身内同士で発行した「行政令状」のみで、大規模な一斉摘発を行うことを容認してしまったのです。

さらに深刻なのは、この権力の濫用が移民のみならず、アメリカ市民にも及んでいる点です。ICEは、自らを批判したり公道で活動を撮影したりした市民の通信記録を、通信事業者に対して行政令状で要求していることが判明しました。言論や集会の自由は修正第1条で絶対的に守られている権利ですが、政府は司法令状をバイパスすることで、市民の正当な活動を萎縮させています。裁判官が署名しないような根拠のない要求を、民間企業を介して間接的に行う手法は、憲法が禁じている行為を裏口から実行しているに等しいものです。

こうした変化は、一見すると特定の社会問題への効率的な対処に見えるかもしれません。しかし、これこそがマディソンの警告した「自由が少しずつ削り取られるプロセス」そのものです。政府が国民の自由を保護するという本来の任務を忘れ、効率の名の下に憲法という盾を無効化すれば、それはもはや自由社会ではなく「隷属」への道となります。憲法への忠誠を欠いた公権力による、目立たない形での権利の侵害こそが、私たちの自由にとって最大の脅威なのです。

敗北を認められない欧州

Why can’t western leaders accept that they have failed in Ukraine? [LINK]

【海外記事紹介】ウクライナでの戦争が始まって4年、欧米の指導者たちがなぜ「自らの失敗」を認められないのかについて、元外交官のイアン・プラウド氏が痛烈な分析を行っています。現在、戦況はウクライナの敗色が濃厚であるにもかかわらず、欧州のリーダーたちは依然として戦いの継続に固執しています。例えば、ロシア軍の規模制限を停戦の条件に挙げるような発言が見られますが、これはロシアを敗北に追い込めると信じているか、あるいは自国民に対して嘘をつき続けているかのどちらかだと著者は指摘します。

軍事面では、ロシアの領土拡大が緩慢であることを理由に「ロシアが苦戦している」と報じる主流メディアもありますが、現実は異なります。ロシア軍はドローンや滑空爆弾といった低コストで量産可能な新技術を迅速に導入し、消耗戦に適応しました。また、遺体交換のデータからは、ウクライナ側がロシアの10倍以上の兵士を失っている可能性が示唆されています。しかし、著者は「日々の戦線の微細な変化に注目するのは目くらましに過ぎない」と断じます。戦争の勝敗を決めるのは軍隊ではなく、経済だからです。

現在のウクライナは実質的に破綻しており、EUが借金をして提供する「贈り物」に完全に依存しています。対するロシアは、対照的に債務比率が低く、莫大な外貨準備と貿易黒字を維持しており、長期戦に耐えうる体力を保持しています。プーチン大統領は、欧州が経済的・政治的に自滅していくのを待つだけで、ウクライナに対して一方的な撤退を要求できる立場にあります。欧州の指導者たちが失敗を認められないのは、最初から「ウクライナは必ず勝つ」と有権者に約束してしまったからです。

結局のところ、欧州のリーダーたちは核戦争のリスクを恐れながらも、ウクライナ人に「最後の一人まで戦え」と促し、自国の繁栄を犠牲にしました。この「勝てない代理戦争」で欧州を窮地に陥れた指導者たちは、将来、国民からの厳しい審判を免れないでしょう。戦争が終わる時、プーチン氏は弱者としてではなく、強者として欧州と再対峙することになります。私たちは、日々の戦況マップから一歩引いて、この冷酷な経済的・政治的現実を直視する必要があります。

習近平体制の行方

Structure, Loyalty, and Power: Understanding China’s Party-State Under Xi Jinping | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】2026年に入り、中国人民解放軍の最高幹部である張又侠氏と劉振立氏に対する調査が発表されました。これは2023年から続く大規模な粛清の集大成とも言える動きで、習近平国家主席に近いとされた人物までもが対象となっています。公式には腐敗防止を目的としていますが、実態は軍のトップ層を習氏への絶対的な忠誠心を持つ者だけで固めるという、毛沢東時代以降では前例のない規模の権力掌握が進んでいます。習氏は「軍の最高責任者は主席一人である」という体制を強化しており、今や軍の意思決定機関である中央軍事委員会は、事実上習氏個人の手の中に完全に収まった形です。

この背景を理解するには、中国という国家の特殊な構造を知る必要があります。中国は単なる独裁国家ではなく、共産党が国家のあらゆるレバーを握る「党国体制」です。軍は国家の軍隊ではなく党の武装部門であり、政府機関よりも党組織が常に上位に置かれています。習政権下では、1980年代に進められた「党と政府の分離」という改革の流れが完全に逆転しました。現在では大学、メディア、国有企業、さらには民間企業や外資系企業にまで党の委員会が入り込み、実質的なガバナンスを支配しています。主要な人事権を党の組織部が握る「ノメンクラトゥーラ」システムにより、忠誠心こそが出世の絶対条件となっているのです。

こうした極端な中央集権化は、迅速な政策執行や規律の維持という面では強みとなりますが、同時に大きな危うさも孕んでいます。地方政府は北京からの査察を恐れて過度な忖度やリスク回避に走り、軍においても戦場での能力より政治的な忠誠が優先されることで、実際の戦闘能力が損なわれる懸念が生じています。忠誠を誓うだけのイエスマンで周囲を固めれば、不都合な情報がトップに届かなくなる「情報のボトルネック」が発生し、台湾情勢などの危機に際して誤った判断を下すリスクが高まります。

習氏は、2027年の党大会に向けてさらに権力構造を垂直に整えていくでしょう。しかし、歴史を振り返れば、官僚が直言を避け、皇帝が孤立した時代の中国帝国は、しばしば政策の誤算を繰り返してきました。現在の中国のシステムは、習氏個人の支配力を極限まで高めることで強固な一貫性を保っていますが、その硬直性が将来の危機において柔軟な適応を妨げる毒となる可能性も否定できません。党が銃を握り、国家が党の意志を執行するこの巨大な「個人化されたシステム」が、真のストレスにさらされた時にどう機能するのか。世界は今、その真価を注視しています。

銀の紙上取引が限界に

Paper Promises vs Physical Reality: The Silver Market’s Breaking Point [LINK]

【海外記事紹介】「金は金であり、紙は紙である。人間のいかなる発明も、これらを変えることはできない」というトマス・ペインの言葉が、今ほど重く響く時はありません。この記事は、現在の銀市場が「紙の約束」と「物理的な現実」の乖離によって、かつてない限界点に達していると警告しています。自然界に存在する銀の量は地質学的な制約を受けますが、紙の通貨やデリバティブは、政策一つで無限に増やすことができるからです。

現在、銀市場における「ペーパーシルバー(紙の上の銀取引)」と現物の比率は、実に356対1という驚くべき規模に達しています。これは、現物1オンスに対して356オンス分の請求権が存在することを意味します。このシステムは、参加者全員が現物の引き渡しを求めないという前提で成り立つ「部分準備」的な構造ですが、現物需要が急増すれば、この不均衡は一気に破綻します。実際に、コメックス(ニューヨーク商品取引所)の銀在庫は心理的な節目である1億オンスを割り込み、現物確保のための引き出しが加速しています。

さらに、この需給逼迫はアジア市場に顕著に表れています。上海の銀価格は欧米のスポット価格に対し、1オンスあたり約10ドルのプレミアム(上乗せ金利)がついており、これは深刻な現物不足を反映しています。これまでの銀価格は先物市場、つまり「紙」の力で抑え込まれてきましたが、産業用需要が急拡大する中で、ついに物理的な市場が価格決定権を握り始めています。過去5年間の累積不足量は8億オンスを超え、これは世界の一年間の鉱山生産量に匹敵します。

背景には、中央銀行による通貨供給の再加速があります。米連邦準備制度(FRB)は再び緩和姿勢を見せており、紙幣が増刷され続ける中で、ドルの購買力は着実に削がれています。トマス・ペインが数世紀前に喝破した通り、実物資産と紙の契約は別物です。紙の約束が現実の金属の供給能力を超えて増殖し続ける時、市場が崩壊するのはもはや理論の問題ではなく、時間の問題と言えるでしょう。私たちは、無限に印刷できる「紙」ではなく、物理的な限界を持つ「実物」が真の価値を持つ時代に立ち会っているのかもしれません。

AIの判断、人間の判断

No Country for Old Probability Theorists | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】昨今のAI、特に大規模言語モデル(LLM)の急速な発展を背景に、人間特有の「判断」の本質がどこにあるのかという議論が深まっています。この記事の著者は、経営学や経済学の視点から、判断を「本源的な判断(Original Judgment)」と、代理人に任せられる「派生的な判断(Derived Judgment)」の2つに分けて考察しています。企業家は不確実な状況下で資源をどう使うかという最終的な決定権を持ちますが、その一部を部下やAIといった代理人に委ねることがあります。しかし、代理人はあくまで与えられた権限の範囲内で動く存在であり、自らを雇ったり解雇したり、権限の範囲そのものを変えたりすることはできません。この「最後に責任を負う権利」こそが本源的な判断なのです。

現在のAIは、膨大なデータから次の言葉を予測する「確率エンジン」として機能しています。これは計算可能な「リスク」を扱う能力には長けていますが、将来が予測不可能な「ナイト的不確実性」に対処する能力とは本質的に異なります。シャンパン製造を例に挙げれば、貯蔵中にボトルが割れる確率は統計的に予測できる「リスク」ですが、そもそもどの銘柄を作るか、あるいはシャンパン事業に参入するかどうかを決めるのは、数式では表せない「不確実性」への挑戦です。保険業界でも同様で、過去のデータに基づく料率計算は確率の問題ですが、どのデータを計算に含めるべきか、その基準が妥当かどうかを判断するのは人間の主観的な知性なのです。

著者はこの「責任の所在」を象徴する例として、映画『ノーカントリー』の冷酷な殺し屋、アントン・シガーの行動を引用しています。シガーはコイン投げで犠牲者の運命を決めようとしますが、それは自らの判断をコインという「確率」に委ねているに過ぎません。しかし、物語の中で一人の女性が「決めるのはコインではなく、あなた自身だ」と指摘し、コイン投げに応じることを拒否します。これは、たとえ判断を道具や確率に委ねたとしても、その「委ねるという選択」をした本人に最終的な責任があることを示唆しています。

AIがどれほど高度な予測を提示しても、それを採用し、実行に移すという選択には常に人間による本源的な判断が介在しています。技術が進化し、あらゆる事象がデータ化される時代だからこそ、私たちは「責任を伴う判断」を機械に丸投げすることはできないという冷徹な事実を忘れてはなりません。AIは優れた助言者にはなり得ますが、自らの運命や事業の根幹を決定する主体にはなり得ないのです。

専門家と政府の結託

When Moderation Becomes Method: Scientism and the Prestige of Experts | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】現代社会において、特定の立場を鮮明にせず、技術的かつ中立的な姿勢を保つ専門家が大きな信頼を集めています。過激な対立を避け、データに基づいた「穏健さ」を装うことは知的成熟の証とさえ見なされていますが、この記事の著者は、この穏健さが単なる態度を超えて、一つの統治手法と化している現状に鋭い警鐘を鳴らしています。専門家が技術やデータの言語に閉じこもる時、本来行われるべき価値観の議論は脇に追いやられ、政治的な判断が単なる「最適化」の問題へとすり替えられてしまいます。専門家は支配するのではなく助言し、強制するのではなく推奨するという形を取りますが、その一歩一歩の細かな調整が積み重なることで、人々の行動や社会政策は強力に規定されていくのです。

この傾向の顕著な例として、現代の長寿に対する執着が挙げられています。本来の医療の枠を超え、身体を管理可能なシステムと見なし、データによって常に最適化し続けようとする動きは、老化という人間の条件を単なる技術的課題へと変質させました。数値化できるものだけが重視され、数値に馴染まない本質的な事柄が軽視されるこの現象は、医療のみならずあらゆる公的分野に波及しています。科学的な言語を武器にする知識人たちは、明白な原則を表明することを避け、エビデンスのみに従う「中立」という立場を取ることで、自らの決定を科学的必然性という盾の裏に隠してしまいます。

ここで著者は、オーストリア学派の経済学者たちの洞察を引用し、この穏健な中道主義の危うさを指摘します。ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが論じたように、部分的な修正として導入された介入は、さらなる歪みを生んで次の介入を正当化し、最終的には管理の絶え間ない拡大を招きます。また、フリードリヒ・ハイエクが「科学主義」と呼んだ誤謬は、複雑な人間社会に自然科学の手法を安易に適用し、数値化できない知識を切り捨てる傲慢さを生み出しました。こうした専門家たちの「穏健な手法」は、権力を制限するのではなく、むしろ権力の拡大を洗練された形で受け入れやすくする役割を果たしています。急進的な命令ではなく、データに基づいた丁寧な推奨という形で忍び寄る管理社会の足音に、私たちはもっと自覚的になる必要があるでしょう。中道とはバランスではなく、社会全体が合理的な管理へと傾いていく緩やかな坂道なのかもしれません。

金本位制復帰の激変緩和策

Can We Go Back to the Gold Standard? | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】金や銀の価格が過去最高値を更新する中、かつての「金本位制」への復帰は可能なのかという議論が再燃しています。この記事の著者は、現在の金価格の高騰はドルの弱体化を如実に反映したものだと指摘します。かつて米国では1879年から1933年まで、1ドルは純金およそ1.5グラムという一定の重量で定義されていました。しかし、1934年の切り下げや1971年のニクソン・ショックを経て、ドルは金との結びつきを完全に失った「不換紙幣」へと変貌しました。その結果、ドルの購買力は1932年と比較して金換算で200倍以上も低下し、名目上の価値は99パーセント以上も失われたことになります。

もし今日、かつての定義(1ドル=金1.5グラム)で金本位制に戻るとどうなるでしょうか。現在約45万ドルのダラスの平均的な住宅は、金貨換算でわずか2,000ドル程度になります。しかし、単純な復帰は深刻な格差を生みます。現在、現物の金を所有しているアメリカ人は人口の約1割に過ぎず、残りの大半を占める債務者や現金保有者、年金生活者は、資産価値の激減によって壊滅的な打撃を受けるからです。そこで著者は、社会に混乱をもたらさない現実的な復帰プロセスを提案しています。

その具体的な方法は、まず米財務省が保有する約8,133トンの公式金準備を、すべての市民に公平に分配することです。計算上、1人あたり約24グラムの金を受け取ることになります。さらに、現在の通貨供給量(M2)である23兆ドルをこの金準備で完全に裏付けるため、金の価格を1グラムあたり約2,743ドルへと大幅に再評価します。これにより、各家庭には相応の金資産が分配され、新たな経済の出発点となります。この体制下では、中央銀行による無制限の通貨発行や金利操作は不可能になり、部分的準備銀行制度から100パーセント準備制度へと移行します。

金本位制への復帰は、単なる通貨制度の変更に留まりません。通貨供給量が安定すれば、生産性の向上に伴って物価は自然に下落し、景気循環による不況や失業も抑制されます。政府の肥大化が止まり、インフレという目に見えない税金から解放されることで、家族の暮らしや社会の健全性が取り戻されるというのです。政府がこの決断を下すかどうかに関わらず、個人が金や銀を所有することは、ドルのインフレに対する自己防衛として極めて重要であると著者は結んでいます。

勝者はいつもエリート層

Voter ID is Common Sense, But it Won’t Fix Anything | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカでは現在、連邦選挙における写真付き身分証明書(有権者ID)の提示を義務付ける「SAVE America Act」を巡り、激しい政治論争が巻き起こっています。本記事は、この有権者ID問題がいかに「常識的」な提案であるかを解説しつつ、同時にそれがアメリカが抱える真の病理を解決するには到底及ばない理由を鋭く分析しています。

有権者IDの導入に賛成する論理は明快です。公正な選挙を維持するために、投票者が本人であることを公的なIDで確認するのは、他の事務手続きと同様に当然の措置といえます。世論調査でも民主党支持者の7割以上を含む圧倒的多数の国民がこの措置を支持しています。反対派は「広範な不正の証拠がない」ことや「IDを持たない数百万人が投票できなくなる」ことを理由に挙げますが、著者はこれらを現状維持のための「口実」に過ぎないと切り捨てます。不正は「広範」である必要はなく、接戦区を狙い撃ちすれば十分であり、またIDを持てない人々がいるのなら、選挙制度を緩めるのではなくIDを取得しやすくすることこそが政治の役割だからです。

しかし、著者が真に警告しているのは、このID論争そのものが「目くらまし」であるという点です。共和党も民主党も、有権者の関心をこうした「党派的な対立」に釘付けにすることで、国民が本当に注視すべき問題から目を逸らさせているというのです。

過去20年間、オバマ、トランプ、バイデンといった歴代大統領は、いずれも「現状(ステータス・クオ)を打破する変革」を掲げて当選しました。しかし、蓋を開けてみれば、どの政権も結局は「縁故主義、インフレ、軍事介入」という既存の利権構造を温存してきました。真の権力は、テレビに映る政治家ではなく、顔の見えない官僚機構や政財界のエリート層(エスタブリッシュメント)にあり、彼らは自分たちの権力を脅かさない範囲でのみ、二大政党に激しい喧嘩をさせているのです。

有権者が「自分たちの党が勝てば世の中が良くなる」と一喜一憂している間、エリート層は着々と国民の富を吸い上げ、権力を拡大し続けています。著者は、有権者IDのような個別の政策で国が良くなることはないと断言します。真の変革が始まるのは、保守・リベラルの双方が「自分たちは選挙で勝っているつもりでも、実はどちらもエリート層に負け続けている」という現実に気づいた時だけなのです。

貧しさは生き残る武器

Surviving Capitalism: The Scarcity Advantage | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】「資本主義は資本を持つ者のためのシステムであり、貧しい者には機能しない」という主張をよく耳にしますが、今回の記事の著者はこれを「甘い誤解」だと断言します。資本主義の真の本質は、単なる資金の多寡ではなく、限られた資源に対してどう振る舞うかという「規律」のテストにあるというのです。

その象徴的な事例として挙げられているのが、インドの伝説的な実業家アニル・アンバニ氏の転落劇です。2008年、彼は420億ドルの資産を誇る世界第6位の富豪でした。名門の家柄、ウォートン校でのエリート教育、そして膨大な資金。成功の条件をすべて備えていたはずの彼ですが、現在はその資産のほとんどを失っています。なぜでしょうか。市場が罰したのは「金の不足」ではなく、規律なき過剰な拡大とリスク管理の欠如だったからです。一方で、堅実なキャッシュフローを重視し、忍耐強く機会を待った兄のムケシュ・アンバニ氏は、今や世界屈指の成功を収めています。

著者が強調するのは、実は「貧しさ(欠乏)」こそが、資本主義で生き残るための最強の武器になり得るという逆説的な事実です。貧しい人々にとって、リソース(資源)の不足は教科書の中の知識ではなく、日々の「OS(オペレーティング・システム)」そのものです。歯磨き粉を最後まで使い切り、電気を消し、買い替えよりも修理を選ぶ。こうした「限られた資源を尊重する」というミクロ経済的な行動様式こそが、資本主義の土台となる規律なのです。

資本主義は、あなたが「どこから来たか」は問いません。問われるのは、いざチャンスが訪れた時に「資源を尊重できるか」という一点です。規律を欠いた富裕層が、甘い見通しと過剰な借金で自滅していく一方で、欠乏の中で鍛えられた人々は、リスクを慎重に見極め、複利の力を味方につけて着実に成長していきます。

「欠乏はトラウマではなく、トレーニングである」という言葉は、現代社会を生きる私たちに強い示唆を与えてくれます。資本主義の本質を理解し、派手な成功よりも「長く生き残ること」を優先する姿勢こそが、真の豊かさへの近道なのかもしれません。

AIブーム、崩壊の危機?

The World’s Hottest Trade Is Built on Fake Money — And It’s About to Collapse – GAINS, PAINS & CAPITAL [LINK]

【海外記事紹介】現在、世界経済を牽引している「AIブーム」が、実は実体のない「偽のお金」の上に築かれた巨大なバブルであり、崩壊の危機に瀕しているという衝撃的な分析をご紹介します。2022年末の「ChatGPT」登場以来、市場の利益の8割、株価上昇の7割以上をAI関連銘柄が占めてきましたが、この強気相場の裏側で深刻な赤信号が灯っています。

まず驚くべきは、渦中のオープンAI社のサム・アルトマンCEO自身が、現在の状況を「ドットコム・バブル」に似たバブルであると認めている点です。自らの地位や富が直結する技術をバブルと呼ぶのは極めて異例であり、業界のトップが何らかの限界を察知している可能性を示唆しています。事実、AIへの巨額投資を続けてきた大手IT企業「マグニフィセント7」の株価は、2025年9月をピークに停滞し、チャート上でも不吉な下落の兆候を見せ始めています。

特に危惧すべきは、AI企業間で行われている「循環取引」です。例えば、マイクロソフトがオープンAIに投資した130億ドルの大半は、そのままマイクロソフトのクラウドサービス利用料として戻ってきています。また、エヌビディアによる巨額投資も、自社製チップの購入資金に充てられることが期待されていました。つまり、自ら顧客に資金を貸し付けて自社製品を買わせるという、持続不可能な「身内回し」の構図で売上が底上げされているのです。

さらに、驚異的な利益を上げているはずのIT大手が、AIへの設備投資資金を賄うために巨額の借金を重ねている実態も判明しました。アルファベット社(グーグル)が「100年債」という異例の長期債を発行しようとしていることは、その焦燥感の表れかもしれません。

足元では、エヌビディアがオープンAIとの1000億ドル規模の提携を撤回したとの報道があります。時価総額1兆ドルを自称しながら売上がわずか200億ドルのオープンAIが、政府に救済を求めるような動きを見せていることも不安を煽ります。AIという「砂上の楼閣」が崩れれば、市場全体が未曾有のクラッシュに見舞われるリスクがあり、投資家は今、かつての歴史的暴落前夜と同じ瀬戸際に立たされていると記事は分析しています。

ベトナム、金闇市場の規制強化

Vietnam tackles gold fever with black market crackdown - Nikkei Asia [LINK]

【海外記事紹介】ベトナムでは今、国民の「金(ゴールド)熱」とも呼べる異常な需要を背景に、政府が闇市場の撲滅に向けた大規模な規制に乗り出しています。今回の新制度は、長年続いていた金の独占体制の終焉と、不正取引への厳罰化を柱とする大きな転換点となっています。

ベトナムの人々にとって、金は単なる宝飾品ではなく、通貨ドンよりも信頼できる「安全資産」です。かつてはバイクや家の価格がドンではなく金の量で提示されるほど生活に根付いており、国民の約80%が政治・経済の不確実性に対する最大の防御策と考えています。しかし、この高い需要が、国外との価格差を利用した密輸や闇市場を肥大化させる原因となってきました。

2月9日に施行された新政令「法令340」では、金の違法生産に対して最大3億ドン(約180万円)の罰金が科せられることになりました。また、国境を越えた密輸には1億ドン、無許可の業者からの購入にも2000万ドンの罰金が設定されています。ベトナム政府はこれまで、2012年から10年以上にわたり、国営企業であるサイゴン・ジュエリー(SJC)に金の生産と貿易を独占させてきました。しかし、この独占が国内価格を高止まりさせ、さらには汚職の温床にもなっていたのです。

実際、昨年にはSJCの元責任者が横領などの罪で禁錮25年の判決を受けています。国営メディアも「独占がチェックの働かない特権を生み、不正の機会を助長した」と批判的に報じています。これを受け、政府は昨年12月にようやく独占体制を解消しました。今後は民間への開放を進めることで、正規の供給量を増やし、国内価格を国際水準に近づけることを狙っています。

当局のもう一つの狙いは、国民が自宅に「死蔵」している膨大な金の地金を、経済活動を活性化させるための投資に回させることです。アジアで中国、インドに次ぐ第3の金市場であるベトナムが、この「金熱」をいかに制御し、健全な投資市場へと脱皮させられるか。一党独裁体制下での市場開放と汚職撲滅という、ベトナム経済の現在地を象徴する動きと言えるでしょう。

2026-02-18

原発ルネサンス

The New Nuclear Energy Resurgence - by Zion Lights [LINK]

【海外記事紹介】かつて「危険な過去の遺物」と揶揄された原子力発電が、いま世界中で劇的な復活を遂げています。本記事は、理想論やイデオロギーに基づいたエネルギー政策が限界を迎え、現実的な脱炭素の切り札として原子力が再評価されている現状を報告しています。

象徴的な変化は、長年「脱原発」の旗振り役だった欧州で起きています。2011年の福島第一原発事故後、ドイツはすべての原発を停止させ、風力や太陽光への完全移行を目指す「エネルギー転換」を推し進めました。しかし、その結果待っていたのは、石炭火力への依存増大とエネルギー価格の高騰という厳しい現実でした。こうした失敗を受け、ドイツのフリードリヒ・メルツ新首相は「原発停止は戦略的な誤りだった」と公に認め、隣国フランスと足並みを揃えてEUレベルでの原子力支援に舵を切りました。ベルギーも同様に、予定していた原発全廃方針を撤回し、既存の原子炉の運転延長を決定しています。

米国でも、トランプ政権のもとで原子力セクターの活性化が加速しています。行政命令を通じて、数年かかっていた新型原子炉の認可プロセスを18ヶ月未満に短縮し、連邦地での建設や国内ウラン生産の強化を打ち出しました。一方、英国も次世代の小型モジュール炉(SMR)や核融合研究に大規模な投資を行っています。こうした動きは、風力や太陽光といった天候に左右される「変動性再エネ」だけでは、安定した電力供給と脱炭素の両立が不可能であるという専門家の指摘を、政治がようやく受け入れ始めたことを意味しています。

特筆すべきは、中国の猛追です。中国は従来の原発建設だけでなく、1960年代に米国で開発されながらも放置されていた「トリウム溶融塩炉」など、より安全でクリーンな次世代技術の実用化で世界をリードしようとしています。対照的に、オーストラリアやスペインなど、いまだに冷戦時代の恐怖や感情的なイメージに縛られ、原発禁止や廃止に固執する国々も残っています。

しかし、記事の著者は、原子力の密度、信頼性、そして炭素排出ゼロという特性は、他のエネルギー源では代替できないと強調します。もはや原子力は「過去のエネルギー」ではなく、科学的なリアリズムに基づいた「未来の基盤」として認識されつつあります。イデオロギーを捨て、気候変動という難題に正面から向き合う勇気を持った国々から、新しいエネルギーの地図が書き換えられようとしています。

中世を美化するな

Modern Freedom Beats Feudal Serfdom - by Marian L Tupy [LINK]

【海外記事紹介】昨今、アメリカの保守層の一部で中世の封建制度を「現代より優れていた」と美化する動きがありますが、本記事は当時の凄惨な現実を突きつけ、その幻想を真っ向から否定しています。

かつての封建社会は、一握りの超富裕層と、圧倒的多数の極貧層に二分されていました。17世紀のフランスでは国民の10%が富裕層、残り90%は物乞いに近い困窮者だったと推定されています。人々の生活は常に飢えと隣り合わせで、1800年当時のフランスですら1日の平均摂取カロリーは1,846キロカロリーに過ぎず、成人に必要な2,000キロカロリーを下回っていました。その結果、ビタミン欠乏症や寄生虫病が蔓延し、衛生状態も最悪でした。都市の溝は排泄物で溢れ、死者の服を奪い合うために人々が他人の死を待つような、道徳も尊厳もない世界だったのです。

労働環境も過酷を極めました。農業の機械化以前は、子供すら「遊ばせておく余裕」はなく、コメ田では子供たちが奴隷のように打ち叩かれながら働かされていました。暴力は日常の一部であり、14世紀フィレンツェの殺人率は人口10万人あたり150件と、現代の英国(0.95件)やイタリア(0.48件)とは比較にならないほど危険な社会でした。また、農奴は土地に縛られた「所有物」として扱われ、人間としての権利など存在しませんでした。

封建制を支持する人々は、君主が国民の繁栄に責任を持つと主張しますが、歴史はその逆を証明しています。例えば「太陽王」ルイ14世は、相次ぐ戦争でフランスを破滅させ、国民を飢餓に陥れました。現代の私たちが享受している繁栄は、封建的な階級制度ではなく、過去200年間の市場経済と権力の制限によってもたらされたものです。

著者は、現代のアメリカを「失敗した国家」と呼ぶ悲観論を退け、2025年の一般市民の生活は、かつての王侯貴族よりも比較にならないほど豊かであると強調します。過去の失敗したシステムに救いを求めるのではなく、理性と歴史的経験に基づき、現在の自由なシステムを維持・発展させることこそが、未来の問題を解決する唯一の道であると結論付けています。

一触即発の核の影

Senator Tom Cotton’s Ode to US Nuclear Weapons - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】最後の大規模な核軍縮条約であった「新START(新戦略兵器削減条約)」が失効したことを受け、保守強硬派として知られるトム・コットン上院議員がウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿した論考が波紋を呼んでいます。コットン氏は、条約の失効を外交の失敗ではなく、ロシアと中国という「二大核ライバル」に対してアメリカを脆弱なまま放置してきた「戦略的誤りの是正」であると歓迎し、アメリカ独自の核抑止力再構築を呼びかけました。

コットン氏が特に強い警戒感を示しているのは、2025年半ばまでに運用可能な核弾頭が600発を超え、2030年までに1,000発に達すると予測される中国の急速な軍拡です。同氏は、これまでのアメリカの「一方的な自制」が敵対国の増長を許したと主張し、以下の6項目からなる核近代化計画を提唱しました。

  • 多弾頭化の復活: 条約制限のために一発に制限していた陸上配備型ICBM(ミニットマンIIIおよび次世代型センチネル)を、本来の多弾頭搭載能力まで戻すこと。
  • 戦域核能力の増強: 核搭載型海洋発射巡航ミサイル計画の完遂。
  • 前方展開: 欧州および太平洋地域への戦術核兵器の追加配備。
  • 極超音速兵器の開発: ロシアや中国に対抗し得る極超音速核伝達システムの加速。
  • 核実験のタブー打破: 1992年以来の「爆発を伴う核実験」のモラトリアムを終わらせ、エネルギー省に対し実験再開への準備を求めること。

これに対し、軍縮の専門家であるテッド・ガレン・カーペンター氏は、コットン氏の主張を「独善的で無謀な傲慢さ」であると痛烈に批判しています。カーペンター氏は、INF(中距離核戦力全廃条約)や領空開放条約(オープンスカイ条約)から先に離脱し、軍備管理の枠組みを壊してきたのはアメリカ側であると指摘。2025年10月にトランプ大統領が表明した核実験再開の意向は、世界を管理不能な核軍拡競争へと引き戻す危険性があるとして警鐘を鳴らしました。

コットン氏は「核戦争を抑止することは、実際に戦うよりも遥かに安上がりだ」と述べ、軍拡こそが平和への道であると説きますが、歴史が証明するように、軍拡競争は往々にして破滅的な結末を招きます。条約という「足かせ」が外れた今、世界は再び、一触即発の核の影が支配する不透明な時代へと足を踏み入れようとしています。

アメ車の逆襲?

The Great Automotive Deregulation? | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ政権が、環境保護庁(EPA)を通じて「米国史上最大規模の規制緩和」を断行したことが大きな波紋を呼んでいます。EPAのリー・ゼルディン長官は、温室効果ガスを人類の健康への脅威とみなす「危急認定」を撤廃したことを発表しました。この決定は、2009年のオバマ政権以降、政府が「気候変動対策」という名目で自動車の排ガスを厳格に規制してきた根拠を、根底から覆す歴史的な転換点となります。これに伴い、バイデン前政権が設定していた高い燃費基準は大幅に引き下げられただけでなく、議会による罰則の事実上の廃止によって、今や燃費基準は法的な強制力を持たない単なる推奨事項へと格下げされました。

今回の措置について、リベラル派のメディアや専門家からは、アメリカの自動車産業が世界から取り残されるという懸念の声が上がっています。彼らは、中国や欧州が電気自動車へのシフトを加速させる中で、ガソリン車への回帰を促す規制緩和は、将来的な競争力を損なう自滅行為だと主張しています。特に、中国のBYDのようなEV大手に市場を譲り渡すことへの危機感をあらわにし、規制こそが技術革新を促し、企業の存続を助けてきたのだという独特の論理を展開しています。しかし、筆者はこうした専門家たちの主張を、消費者の好みや市場の現実を無視した、規制のための自己正当化に過ぎないと一蹴しています。

実際のところ、多くのアメリカ国民は、維持費や初期費用が高い最新の環境対応車よりも、信頼性が高くパワフルな大型トラックやガソリン車を選んできました。フォードのF-150が長年アメリカで最も売れている事実が示す通り、人々のライフスタイルは規制によって簡単に書き換えられるものではありません。今回の規制緩和は、政府の介入によって歪められていた市場を、再び消費者の手に取り戻す試みであると言えます。もちろん、この決定は今後、民主党系の州や環境団体からの激しい訴訟に直面することが予想されますが、これまで「環境保護」の美名の下で犠牲になってきたアメリカの自由な自動車文化が、再び息を吹き返すきっかけになることは間違いありません。

本物の証明

The One Man Who The 'Epstein Files' Make Look Better | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】性犯罪者ジェフリー・エプスタインを巡る一連の機密文書、いわゆる「エプスタイン・ファイル」の公開が続く中で、皮肉にもその文書によって評価を高めることになった一人の政治家がいます。それは、自由至上主義(リバタリアン)の象徴であり、3度の元大統領候補としても知られるロン・ポール元下院議員です。

凄惨な虐待の詳細や、米イスラエル諜報機関との不透明な繋がりが次々と明るみに出る中、公開されたメールの中にポールの名前が登場したことは、当初多くの人を驚かせました。しかし、その中身を紐解いてみると、ポールがエプスタインの「顧客」や「友人」であったわけではないことが分かります。むしろ正反対です。ファイルの中でエプスタインとその仲間たちは、ポールを激しく嫌悪し、嘲笑の対象にしていたのです。

彼らがポールを忌み嫌った理由は明確です。ポールが、エプスタインの周囲にいたエリート層が支持・加担していた「米イスラエル戦争マシン」に真っ向から反対していたためです。2008年や2012年の大統領選の際、他の共和党候補者が盲目的にイスラエルへの忠誠を誓い、イランへの爆撃を支持する中で、ポールだけは一貫して反戦の立場を貫きました。メールの中で、ある人物はポールを「イスラエルを支持しない変人(dinkus)」と呼び、彼が米国の介入主義を批判することを不快感とともに報告していました。

タッカー・カールソン氏は自身の番組でポールと対談し、「敵を見ればその人物が分かるというが、エプスタインという怪物を敵に回していたことは、ロン・ポールという男が本物であることの証明だ」と称賛しました。米国を腐敗させた支配層にとって、平均的な国民がポールの「アメリカ・ファースト」という誠実な理念に共感し、彼が大統領になる可能性は、何よりも耐え難い恐怖だったのです。

エプスタイン・ファイルは、世界で最も邪悪な人々が、世界で最も誠実な政治家の一人をいかに疎んでいたかを浮き彫りにしました。かつては異端視されたポールの「他国の戦争のために米国の若者と血税を差し出すべきではない」という主張は、今や米国の保守層の中で大きな潮流となっています。この記事は、エプスタインという闇のネットワークがいかに政治と結びついていたかを示すと同時に、その闇に決して染まらなかった人物の潔白を、期せずして証明する結果となったのです。

ロシアは超大国でない?

Russia Is No Superpower? Then What The Hell Does That Make Europe? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議の熱狂とは裏腹に、欧州の凋落とロシアの圧倒的な実力を突きつける衝撃的な論考を、ジャーナリストのジェリー・ノーラン氏が発表しました。ノーラン氏は、EUの外相に相当するカヤ・カラス氏が「ロシアはもはや超大国ではなく、経済はボロボロだ」と演説したことを、現実を直視しない「エリートたちの集団的な自己欺瞞」であると厳しく批判しています。

記事がまず指摘するのは、戦場における無慈悲な数字のリアリティです。2025年から2026年初頭にかけての遺体収容の記録によれば、ウクライナ側とロシア側の戦死者比率は37対1という驚くべき数字に達しています。ゼレンスキー大統領は自国軍を「欧州最強」と呼びますが、その最強の軍隊が、西側の兵器や情報の支援を総動員しながらも、ロシアの産業的な消耗戦によって組織的に粉砕されているのが現状です。これは単なる軍隊の消耗ではなく、ウクライナという国家そのものの枯渇を意味しています。

さらに深刻なのは、ロシアの軍需生産能力がNATO全体を圧倒している事実です。NATOのルッテ事務総長ですら「ロシアが3カ月で作る量を、NATO全体で1年かけて作っている」と警告せざるを得ません。2025年にロシアが生産した砲弾等は700万発を超え、2021年比で17倍という驚異的な伸びを見せています。一方、かつて「世界の工場」を自負した欧州、特にドイツの工業地帯は、安価なロシア産ガスを自ら拒絶し、高価な米国産液化天然ガスに依存したことで、歴史的な脱工業化の渦中にあります。フォルクスワーゲンが創業以来初めて国内工場を閉鎖し、名門鉄鋼メーカーが人員を大幅に削減するなど、欧州の産業基盤は音を立てて崩れています。

ノーラン氏は、欧州が「製造」を「コンサルティングや金融」といった虚業に置き換えてしまったことが最大の敗因だと分析します。ロシアは購買力平価(PPP)ベースで日本を抜き、世界第4位の経済規模に成長しており、何を作るべきかを知る「実物経済」の強みを発揮しています。また、極超音速ミサイルなどの最新兵器において、ロシアは西側が迎撃不可能な技術的優位を確立しました。

結局のところ、この記事が問いかけているのは欧州の生存戦略そのものです。実体のある工場を閉鎖し、風力発電とTEDトークで戦争に勝てると信じ込んだツケが、今、空っぽになった武器庫と経済の停滞という形で回ってきています。カラス氏が「ロシアは超大国ではない」と強弁するならば、自国の防衛すらままならず、米国の保護領に甘んじる今の欧州はいったい何と呼ぶべき存在なのか。ノーラン氏は、現実を無視したプロパガンダに浸り続ける欧州指導層に対し、厳しい引導を渡しています。

気候危機の嘘

Goodbye and Good Riddance to the Endangerment Finding - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの経済評論家デイビッド・ストックマン氏が、トランプ政権による「二酸化炭素の危急認定」撤廃を巡り、気候変動問題の本質を鋭く突いた論考を発表しました。この記事によれば、2009年のオバマ政権下で行われた、温室効果ガスが人類の脅威であるという断定を覆した今回の決定は、これまでの経済失策を補って余りある歴史的な快挙であると評価されています。ストックマン氏は、化石燃料に基づく現代文明が地球を沸騰させているという主張を「全くのデタラメ」と切り捨て、気候危機の言説は、国家権力を拡大して市場経済を統制しようとする政治エリートたちが作り上げた嘘だと断言しています。

記事が論拠とするのは、45億年にわたる地球の地質学的・気候学的な歴史です。地球の気候は産業革命以前から、プレートテクトニクスや小惑星の衝突、さらには地球の軌道や傾きの変化、黒点活動のサイクルといった強力な自然の力によって、激しく変動し続けてきました。現在の二酸化炭素濃度は約420ppmですが、5億3000万年前のカンブリア爆発以降、地球の歴史において現在はむしろ例外的に低温で、二酸化炭素濃度も極めて低い時期に当たります。人類が今直面しているのは破滅的な温暖化ではなく、長い歴史のサイクルにおける「冷涼な影」の部分なのです。

かつて地球が今より12度も気温が高く、氷河がほとんど存在しなかった2億年以上の期間、生命は豊かに育まれ、現在の経済を支える石炭や石油といった化石燃料の源となる有機物が蓄積されました。ストックマン氏は、石油工学や地質学の知見こそが真の気候科学であり、それに基づいた資源探査が成功を収めてきた事実が、過去の温暖な地球環境を証明していると説きます。また、白亜紀には気温が上昇する一方で二酸化炭素濃度が急落した時期もあり、二酸化炭素が気温上昇の主因であるという単純なモデルは地質学的な事実に反します。

さらに、直近1万年ほどのホロセン期を見ても、現在より数度気温が高かった「気候最適期」に、エジプトやインダスなどの古代文明が誕生し、農業が発展しました。逆に「小氷期」と呼ばれる寒冷期には、飢饉や疫病が蔓延し、多くの犠牲者が出ました。歴史は「温暖な方が人類にとって幸福である」ことを証明しているのです。記事は、19世紀半ばを基準にして現代の温暖化を煽る「ホッケースティック曲線」などのデータがいかに不自然であるかを指摘し、気候危機の嘘に終止符を打つべきだと訴えています。

この歴史的視点に立てば、トランプ政権による規制の撤廃は、科学を装ったプロパガンダから脱却し、人類の繁栄を支える安価で効率的なエネルギーシステムを守るための極めて重要な一歩と言えるでしょう。

通貨崩壊、歴史は繰り返す

Going the Way of the Denarius - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】歴史は繰り返す、あるいは少なくとも韻を踏むと言われます。数千年の時を隔てた古代ローマと現代社会において、政府が全く同じ過ちを犯し続けている事実は、時代を超えて変わることのない「人間の本性」を如実に物語っています。政治の世界には、いつの世も公衆の利益よりも自身の権力を優先する利己的な人々が集まり、彼らは直面する問題に対して常に同じ、安易で破滅的な解決策を選択するのです。

古代ローマが共和制から帝国へと変貌を遂げた際、相次ぐ外征による巨額の軍事費を賄うために取られた手段は、通貨デナリウスの「改鋳」、つまり質の低下でした。歴代の皇帝は、銀貨に含まれる銀の割合を少しずつ減らして卑金属を混ぜ、ディオクレティアヌス帝の時代には、銀は一切含まれず青銅のみとなりました。その結果、当然のごとく猛烈なインフレが発生し、ローマ帝国は再起不能な衰退へと向かいました。現代の政府もまた、自らの野心が生んだ債務を帳消しにするため、かつての皇帝たちと同じように通貨の価値を意図的に引き下げ、その負担を納税者に押し付けています。

現代の「皇帝」たちは、古代ローマよりもさらに巧妙です。かつては少なくとも実体のある金属を貨幣にしていましたが、現代ではまず銀との交換を約束した証書を発行し、やがてそれを何の裏付けもないただの紙切れ、すなわち不換紙幣に置き換えました。そして今、ドルの崩壊が現実味を帯びる中で、彼らが最後の手品として繰り出そうとしているのが「デジタル通貨」です。これは紙幣の不便さを解決するという名目で導入されますが、真の目的は、国民のあらゆる取引を政府の監視下に置き、必要に応じていつでも通貨の価値を操作することにあります。

通貨の価値を勝手にいじることができない金(ゴールド)を、中央銀行は「野蛮な遺物」と嘲笑います。しかし、政府にとって不都合な金の不変性こそが、実は庶民の財産を守る最後の砦なのです。過去5000年間、あらゆる人造の通貨が崩壊するたびに、世界は必ずこの「野蛮な遺物」へと立ち戻ってきました。デジタル通貨という新たな試みも、最終的には支配者たちの手によってデナリウスと同じ運命を辿るでしょう。私たちは、歴史が教えるこの不変の法則から目を逸らすべきではありません。

エプスタイン氏とリバタリアン

The Epstein Saga and the Libertarian Delusion - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】自由至上主義者(リバタリアン)は、しばしば「陰謀論好き」と揶揄されます。しかし、彼らはこれまで、テロとの戦いや監視社会の危険性、パンデミック時の過剰な介入など、多くの事象において本質を突いてきました。そんな彼らが今、熱狂的に信じているのが「ジェフリー・エプスタイン事件」の裏にあるとされる巨大な権力者たちの性加害・恐喝ネットワークの存在です。しかし、この記事の著者は、リバタリアンたちが「エプスタインの顧客リスト」という幻想に執着している現状を「リバタリアンの妄想」であると厳しく批判しています。

FBIが公開した300万ページを超える膨大な捜査ファイルによれば、エプスタイン自身による児童虐待の証拠は山ほど見つかりましたが、他の著名人が組織的に関与していた、あるいは彼らを恐喝していたという確かな証拠は今のところ見つかっていません。例えば、公開が強く望まれていたリストから浮上した6名の名前も、その多くは事件とは無関係な人物や、エプスタインの顧客ではあっても性的犯罪への関与は否定されている人物でした。特にドバイの港湾大手元会長が「拷問ビデオを愛した」というメールを理由に辞任に追い込まれた件も、実際には中東の不祥事に対する皮肉であった可能性が高く、児童虐待とは無関係であることが判明しています。

それにもかかわらず、リバタリアンや左右の政治陣営がこの陰謀論を信じ続けるのは、各々が「エプスタインの闇を暴けば敵を倒せる」という感情的な執着を持っているからです。リバタリアンたちの「妄想」とは、「政府やエリートの不正を暴きさえすれば、国民が目覚めて自由な社会を求めて蜂起する」という根拠のない期待に他なりません。過去、エドワード・スノーデンが政府による不当な監視を命懸けで告発した際も、多くの国民は無関心なままでした。

著者は、たとえエプスタインの背後に真の巨悪がいたことが証明されたとしても、米国民が「政府の権力を削ごう」とは考えず、むしろ「再発防止のために政府にさらなる権力を与えよう」とするだろうと指摘します。自由な社会を築くことは、単に陰謀を暴くことよりも遥かに困難な道です。それは、何世代にもわたって国家への依存を刷り込まれてきた人々の価値観を根底から変える説得を伴うからです。陰謀論という「安易な妄想」に逃げ込むリバタリアンの姿勢は、かえって自由への歩みを遠ざけているのかもしれません。

事実上の併合を加速

Israel Approves Major Land Grab in West Bank - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】イスラエル政府が、1967年の第三次中東戦争による占領開始以来初めて、ヨルダン川西岸地区の広大な土地を「国有地(state property)」として登記することを承認しました。この決定は、同地区の「事実上の併合(de-facto annexation)」を加速させる歴史的な転換点として、国際社会に激震を広げています。

今回の措置は、ベツァレル・スモトリッチ財務相、ヤリブ・レビン法相、イスラエル・カッツ国防相といった強硬派閣僚らによって提案されたものです。彼らはこれを「入植プロセスの真の革命」と自賛しています。具体的には、西岸地区の約60%を占める「エリアC」を対象に、未登記の土地の所有権を確認するプロセスを開始し、所有権を証明できない土地を次々とイスラエルの国有地に編入していく計画です。スモトリッチ氏は「パレスチナ国家という概念を葬り去る」と、その野心を隠していません。

しかし、パレスチナの人々にとって、この登記プロセスで所有権を証明することは極めて困難です。この地域では、英国委任統治時代やヨルダン統治時代の古い書類しか残っていないケースが多く、煩雑な法的手続きを強いることで「合法的に」土地を没収する「巨大な土地強奪(mega land grab)」であると、人権団体やパレスチナ自治政府は強く非難しています。

国際社会の反応も厳しく、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「国際法への明白な違反であり、二国家解決の望みを絶つものだ」と即時撤回を求めました。また、エジプト、カタール、ヨルダン、トルコといった周辺諸国も「危険なエスカレーション」であるとして猛烈に抗議しています。イスラエルの最大の同盟国である米国のドナルド・トランプ大統領も、以前から「併合は起こらない」と釘を刺してきましたが、イスラエル政府は今回の措置を「秩序と統治の回復」という論理で強行しています。

この決定により、ヨルダン川西岸地区でのイスラエルによる支配は、もはや一時的な軍事占領ではなく、永久的な主権行使へと質的な変化を遂げようとしています。

イラン抗議デモの内幕

The Israelization of the Iranian January 2026 Protests - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】イランで起きた抗議デモについて、その背後で蠢く不穏な動きを告発する論評をご紹介します。この記事の著者イラナ・マーサー氏は、今回のデモに参加している人々の振る舞いが、従来のイラン人による抗議活動とは明らかに異なり、まるで「イスラエル化」しているようだと指摘しています。

著者は、今回の事態を米イスラエルによる「政権交代工作」の典型的な台本通りであると断じています。そのプロセスは、まず米国が過酷な経済制裁によってイラン経済を破壊し、国民を困窮と絶望に突き落とすことから始まりました。特にスコット・ベセント米財務長官がドル不足を仕掛けてイラン通貨リアルを暴落させたことは、その決定打となりました。続いて、困窮した国民による自然発生的な不満を、外部勢力が組織的な暴動へと変質させました。驚くべきことに、イスラエルの諜報機関モサドはペルシャ語のSNSを通じて「我々は街頭で諸君と共にいる」と公然とデモ隊を煽動しています。

さらに、マイク・ポンペオ前国務長官も「街頭のすべてのイラン人と、その横を歩くすべてのモサド工作員に新年のお祝いを申し上げる」と発言するなど、介入の事実は隠しようもありません。著者が最も注目しているのは、抗議の変質です。歴史的にイランのデモ隊は政府の象徴を標的にしても、自国の聖地を焼き払うような宗教的・国家的象徴の冒涜は行いませんでした。しかし、今回のデモではそのような破壊行為が目立っており、これはイスラエルが関与する「国際テロ」の手口に酷似しているといいます。

デモ隊には4万台ものスターリンク端末が供給され、外部から武器も持ち込まれているとの報告もあります。トランプ大統領も「欺瞞としての外交」を使い、イラン側を油断させている間にイスラエル側が工作を進められるよう加担しました。著者は、イスラエルの真の狙いはイランを「破壊」し、中東諸国を分断して、自分たちに従順な属国に変えることにあると警鐘を鳴らしています。モサドの掲げる「謀略なければ国は滅びる」という標語が示す通り、イランの混乱は仕組まれた悲劇であるというのが著者の見解です。

自由市場と普通の人々

Freedom at the Extremes: Why Liberty Attracts Both the Brilliant and the Plain | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】自由主義や自由を尊ぶ運動には、ある奇妙な特徴があります。それは、知能指数の分布(ベルカーブ)において、極めて明晰な頭脳を持つ層と、ごく平凡で素朴な層の両極端から熱烈な支持を集めるという点です。左派勢力は、自由主義を支持する一部の人々の知的な不十分さを揶揄し、それを右派への攻撃材料にしようとします。しかし、そこには人間社会の本質に対する重大な見落としがあります。

人類の文明を築き上げてきたのは、決して高名な哲学者や数学者だけではありません。読み書きすらできない農民たちが、直感と度胸、そして「交換と公平性」という本能的な理解を武器に、幾多の困難を乗り越えて文明を支えてきました。自由市場という概念は、机上の空論ではなく、人間の本性に深く刻まれた「直感的なもの」なのです。自分が働いた証としての「貨幣」が、寄生的な振る舞いを抑制し、500人程度の小さなコミュニティを超えた大規模な協力関係を可能にしました。特別な理論を知らなくとも、勤勉で誠実な普通の人々がささやかな富を築ける場所、それが自由市場なのです。

一方で、階級のない社会を約束する社会主義の幻想は、現実の意思決定の場では即座に崩壊します。社会主義が語らない不都合な真実とは、「自由市場の競争プロセスによって発見された階級」を、「官僚による独裁的な階級」に置き換えるだけに過ぎないという点です。市場は常に能力をテストし、報酬と罰を与え続けますが、官僚組織には能力を検証する独立したメカニズムが存在しません。ただ「任命」があるだけなのです。

最近では、AIによる全方位の監視と膨大なデータ処理によって、資源の最適な配分が可能になると信じるテクノクラート(技術官僚)も現れています。しかし、たとえAIが合理的な配分をシミュレートできたとしても、なぜ私たちは、誰もが参加でき、コストもかからない「市場」という精密な仕組みを捨てて、莫大なエネルギーを消費する国家の独占システムに依存しなければならないのでしょうか。何より、結果の平等が強制される退屈な檻の中では、人間の精神は窒息してしまいます。自由とは単に効率的なだけでなく、私たちが「生きている」ことそのものの証なのです。

自給自足が国を滅ぼす

Mercantilism in America: The Trouble with Self-Sufficiency | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】ドナルド・トランプ氏の経済政策の根幹にある「重商主義」的な世界観について、その危険性を警告する論評をご紹介します。トランプ氏は長年、「中国がアメリカを食い物にしている」と主張し、関税や自国優先主義によって「自給自足」の経済を取り戻そうとしています。しかし、この記事の著者は、その前提となる考え方には重大な誤謬があると指摘しています。

第一の誤りは、貿易を「一方が得をすれば他方が損をする」というゼロサム・ゲームと捉える点です。実際には、自発的な貿易は双方に利益をもたらします。例えば、アメリカの消費者は中国製の安価な製品によって恩恵を受け、浮いたお金を他の消費や投資に回すことで新たな雇用を生んできました。また、アップルやテスラといった米企業は、中国の効率的なサプライチェーンと巨大市場を活用することで、時価総額を劇的に増大させてきました。貿易赤字という数字だけを見て「負けている」と判断するのは、実態を見誤る会計上のフィクションに過ぎません。

第二に、雇用を守るために変化を拒む姿勢です。歴史的に見れば、技術革新や貿易による「創造的破壊」こそが経済を前進させてきました。洗濯機が普及して家事代行の仕事が減っても、それによって労働力はより生産性の高い分野へ移動しました。現在、アメリカの製造業の雇用が減っているのは、貿易のせいではなく、オートメーション化による生産性向上が主因です。無理に工場を国内に戻そうとすれば、かえって非効率を招き、消費者の負担を増やすことになります。

第三に、最も危険なのが「自給自足」への執着です。分業こそが富の源泉であり、何でも自国で作ろうとすれば、国民は貧困に向かいます。例えば、バイデン政権が継承した半導体支援法(CHIPS法)では、巨額の補助金を投じて工場を誘致していますが、1人雇用するのに1000万ドル(約15億円)もの公費がつぎ込まれている計算になります。これは経済合理性を欠いた特権階級への利益供与に他なりません。

トランプ氏は、アメリカが抱える37兆ドルもの膨大な借金という現実から目を逸らし、中国を敵に仕立てることで国民の不安を煽っています。しかし、真の繁栄は自由な市場にこそあり、過去の栄光を追った重商主義的な幻想は、アメリカの未来を危うくするギャンブルであると著者は結んでいます。

投資の進化論、不適合者が生き残る

Survival of the Least Fit | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】私たちは今、投資の「進化論」における歴史的な転換点に立っています。生物の進化とは、単なる「進歩」ではなく、特定の環境への「適応」です。例えば、ガラパゴス諸島の鳥が特定の餌を食べるために7インチもの長い嘴を発達させれば、その環境下では最強となります。しかし、環境が劇的に変化した瞬間、その特化しすぎた嘴は致命的な弱点となり、その種は即座に絶滅へと追い込まれます。これと同じことが、現在の投資の世界でも起きようとしています。

ナシーム・タレブ氏が提唱した「不適合者の生き残り」という概念によれば、特定の幸運な時期に最適化しすぎた者ほど、環境の変化に脆弱になります。過去17年間、私たちはゼロ金利や米国テック企業の独占、右肩上がりの株価指数といった「異常に平穏な環境」に浸ってきました。しかし、2026年現在の現実は、目に見える高金利、中国のイノベーションの台頭、米ドルの衰退、そして貴金属価格の急騰という、全く異なる景色に塗り替えられています。にもかかわらず、多くの投資家は依然として「過去の成功体験」という長すぎる嘴を持ったまま、新しい環境に適応できずにいます。

具体的には、伝統的な「株60・債券40」の比率を守り続けるファイナンシャル・プランナーや、マクロ経済を軽視して「アメリカの下げに賭けるな」と説くバフェット信奉者たちが、その危機に直面しています。実際、金(ゴールド)のパフォーマンスは、今やバフェット氏のバークシャー・ハサウェイ株を上回る勢いです。また、暴落の痛みを知らない若手ファンドマネージャーや、米国のテック株が永遠に支配し続けると信じる「テック至上主義者」、利益よりも理念を優先する「ESG信奉者」たちも、過去の成功に最適化されすぎています。彼らは、環境が変われば一瞬で「不適合者」となるリスクを抱えているのです。

結論として、これからの激動の時代を生き抜くのは、昨日の追い風に最適化した者ではなく、環境の変化を前提とした「反脆弱性」を持つ者です。特定の物語や手法に固執せず、多様な可能性に対して謙虚であり続けることが、絶滅を回避する唯一の道といえます。自然選択が報いるのは、絶対的な強者でも賢者でもなく、変化に対して最も柔軟に自らの「嘴」の形を整えることできる者なのです。

銀、現物不足が深刻

Physical Silver Demand Is Challenging Paper-Driven Futures Market [LINK]

【海外記事紹介】銀(シルバー)市場で今、歴史的な地殻変動が起きています。長年、銀の価格は「ペーパーシルバー」と呼ばれる先物取引などの書類上のやり取りによって支配されてきましたが、足元では現物資産としての銀の需要が、その支配構造を打破し始めています。2025年にかけて銀価格は一時1オンス120ドルの大台を突破する驚異的な高騰を見せましたが、その背景には、市場の根幹を揺るがす深刻な「現物不足」があります。

現在、銀の市場構造は極めて歪な状態にあります。統計によれば、世界に存在する現物1オンスに対し、書類上の銀は356オンスも存在するという、約350倍以上の乖離が生じています。これは、預金者全員が一斉に現金を引き出そうとすれば破綻する「準備預金制度」下の銀行と同じ状況です。投資家が書類上の約束ではなく、実物の銀の引き渡しを求め始めた途端、このペーパーシステムは崩壊の危機に直面します。実際に、ニューヨークのコメックス取引所では現物在庫が1億オンスの節目を割り込み、歴史的な低水準にまで落ち込んでいます。

特にアジア市場、なかでも中国とインドでの現物需要がこの動きを加速させています。上海市場では欧米のスポット価格に対して1オンスあたり10ドルものプレミアム(上乗せ金利)がつく異常事態が続いています。工業用需要も旺盛で、太陽光パネルや電気自動車、人工知能向けデータセンターなど、現代社会に不可欠なハイテク産業が、価格に関わらず現物を確保しようと動いています。鉱山生産が需要に追いつかない供給不足は今年で5年連続となる見込みで、過去5年間の累計不足量は、世界全体の年間採掘量に匹敵する8億オンスに達しようとしています。

銀価格は一時120ドルから75ドル付近まで調整しましたが、これは証拠金の引き上げによって、レバレッジをかけた投機家が振り落とされた結果に過ぎず、現物不足という根本原因は何ら解決していません。今、私たちは「書類上の数字」を操作する投機家と、喉から手が出るほど「実物」を欲する産業界・投資家との壮絶な綱引きを目撃しています。もし現物の引き渡しを求める動きがさらに強まれば、これまでの常識を覆すような価格再編が起こる可能性も否定できません。

ミレイ氏が中央銀行を救った理由

How Milei Saved Argentina’s Central Bank, by Oscar Grau - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、就任前「中央銀行を爆破して廃止する」という過激な公約を掲げ、世界中の自由主義者を熱狂させました。彼は中央銀行による通貨発行を「人類史上最大の盗み」と断じ、アルゼンチン・ペソを「ゴミ以下の価値しかない」と批判して、米ドルへの完全移行を約束していたのです。しかし、政権発足から1年以上が経過した現在、ミレイ氏は公約を果たすどころか、むしろ中央銀行を「救済」し、その存続を確実にしているというのが、この記事の鋭い指摘です。

アルゼンチン国民は長年のハイパーインフレにより、すでに実質的な経済活動をドルで行っており、ペソへの信頼は皆無です。本来、ミレイ氏が主張していたようにペソに価値がないのであれば、中央銀行を即座に閉鎖しても経済的な混乱は限定的だったはずです。むしろ、通貨発行を即座に停止し、通貨市場への介入をやめることで、残されたペソの希少価値が上がり、国民の信頼を回復させる道もありました。しかし、ミレイ政権が実際に選択したのは、中央銀行の負債を政府の借金に付け替え、銀行セクターの利益を守るという、極めて「官僚的」な手法でした。

驚くべきことに、ミレイ政権下でのマネタリーベース(通貨供給の基礎)は、2025年半ばまでに就任時の4倍にまで膨れ上がっています。これは、彼が批判していた前政権の4年間分に匹敵するペースです。ミレイ氏は「ペソの不足をドルで補う」という理論を掲げましたが、実際には中央銀行を通じて大量のペソを刷り続け、輸出業者から強制的にドルを買い叩くことで、外貨準備を積み増しています。これは、自由な市場競争とは真逆の、国家による強力な市場介入に他なりません。

結局のところ、中央銀行の幹部に旧知の銀行家を据えたミレイ氏は、銀行家たちが抱えていた焦げ付きかねない債権を政府が保証することで、金融エリートたちを救ったのです。中央銀行は今や、ミレイ氏にとって廃止すべき悪ではなく、政権を維持し、特定の利権を守るための「不可欠な資産」へと変貌してしまいました。自由の闘士としての仮面の下で、彼は皮肉にもアルゼンチン史上最も通貨を膨張させた大統領の一人として、中央銀行の寿命を延ばし続けているのです。

「自由の英雄」の現実

Serving the Devil to Help Milei Plunder Argentina, by Oscar Grau - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、自らを「アナルコ・キャピタリスト(無政府資本主義者)」と称し、自由主義の旗手として世界的に注目を集めてきました。スペインの経済学者ヘスス・ウエルタ・デ・ソト教授らオーストリア学派の重鎮たちは、当初ミレイ氏を「自由の英雄」と絶賛し、その登場を歴史的快挙と祝福しました。しかし、政権発足から1年以上が経過した現在、その実態は理想とは程遠いものに変貌しています。

ミレイ氏は選挙戦で、中央銀行の廃止や通貨のドル化、増税なしの歳出削減を公約に掲げていました。しかし、2023年12月の就任直後に54%もの通貨切り下げを行い、その後も段階的な通貨安を維持しています。確かに財政黒字は達成しましたが、それは純粋な歳出削減だけでなく、公約に反する増税によって支えられたものでした。さらに、彼が批判していたはずの「政治家特権階級」を閣僚に迎え入れ、中東情勢では強硬な姿勢を示すなど、自由主義とは相容れない新保守主義的な色彩を強めています。

経済政策の面でも、深刻な矛盾が露呈しています。デ・ソト教授はミレイ氏を、通貨発行による赤字穴埋めを犯罪化しようとする誠実な指導者だと持ち上げていますが、現実は真逆です。ミレイ政権下での通貨ペソの発行ペースは、1990年以降の歴代政権を合算したものを上回る速さで急増しています。また、公債の乱発によって金融セクターに利益を誘導する一方で、国民の貯蓄や生活は破壊され続けています。アルゼンチン国民は今なお、自国通貨への信頼を失い、生活防衛のために米ドルに頼らざるを得ないハイパーインフレ状態に置かれています。

かつて国家を「悪魔の化身」と呼んだデ・ソト教授のような学者が、今やミレイ氏から勲章を授与され、そのプロパガンダを担う広告塔となっている現状は、自由主義の理念に対する裏切りと言わざるを得ません。ミレイ氏の手法は、自由の美名の下で国家権力を強化し、特定の金融利権を潤す「略奪」に近いものとなっています。このまま経済破綻という結末を迎えれば、その失敗の責任は、本来守られるべき「自由の理念」そのものに押し付けられてしまうでしょう。私たちは、独裁的な手法を厭わない偽りの英雄が、自由主義という高潔な思想を泥にまみれさせている現実に目を向ける必要があります。

お金の魔法はない

Why Mises's The Theory of Money and Credit Is Still Important Today | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】経済が危機に陥るたび、なぜ「お金」の問題はこれほどまでに複雑で不可解になるのでしょうか。その答えを知る鍵は、100年以上前に書かれた一冊の古典にあります。オーストリア学派の経済学者、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの著書『貨幣および流通手段の理論』です。

ミーゼスが伝えたかったメッセージは、驚くほどシンプルです。「貨幣(お金)や信用(貸付)は魔法ではない」ということです。これらはお金そのものを生み出すことはできても、実体のある「富」を魔法のように創出することはできません。貨幣とは、政府が強制的に決めたものではなく、人々がより円滑に取引を行うために自然に選んだ社会的な道具に過ぎません。その価値の源泉は、政府の命令ではなく、人々の信頼にあるのです。

特に注目すべきは、ミーゼスの「信用」に対する鋭い分析です。彼は、貯蓄に基づいた健全な貸付と、銀行が「何もないところから」作り出す「流通信用」を厳格に区別しました。現代の銀行システムが、実際の貯蓄を上回る融資を行うと、市場の利子率は人為的に低く抑えられます。これが「ブーム(好景気)」の正体です。安価な資金に踊らされた企業は、本来なら採算の合わない長期的な投資プロジェクトに乗り出します。しかし、現実に存在する資源や労働力には限りがあるため、いずれ行き詰まり、崩壊します。これが「バスト(不況)」です。

ミーゼスによれば、インフレや信用拡大による景気刺激策は、物資の希少性という現実を覆い隠すための「ごまかし」に過ぎません。紙幣を増刷しても、世の中のモノが増えるわけではなく、単に購買力を再分配し、投資の判断を狂わせるだけです。ミーゼスが金本位制を支持したのは、金へのノスタルジーからではなく、政治家が恣意的に通貨価値を操作することを防ぐ「歯止め」が必要だと考えたからです。

現代社会を見渡せば、債務に依存した成長、低金利による資産バブル、そしてインフレが招く格差の拡大など、ミーゼスが警告した通りの現象が溢れています。彼の理論は、不況を、木を剪定するように「間違った資源配分を正し、経済を健全な状態に戻すために必要な作業」だと捉えます。真の繁栄はお金の印刷機からではなく、生産と貯蓄からしか生まれません。貨幣が政治的な道具に変質したとき、経済システムは脆くなり、危機は不可避となります。この一世紀以上前の教訓こそ、私たちが今最も耳を傾けるべき真実なのです。

公民権法の撤廃を

Why We Should Repeal the Civil Rights Act | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守主義者や自由至上主義者の間で今、1964年に制定された「公民権法」を撤廃すべきだという極めて過激で波紋を呼ぶ議論が再燃しています。この議論を紐解くと、そこには単なる人種問題を超えた、国家権力と個人の自由を巡る深刻な対立が見えてきます。この記事は、公民権法こそが「憲法を食い尽くした法律」であり、肥大化する政府の専制的な武器になっていると批判しています。

論理の核心は、公民権法が個人の基本的な自由である「結社の自由」「契約の自由」「表現の自由」と相容れないという点にあります。自由な社会においては、誰と交流し、誰とビジネスを行うかを選択する権利は個人に属するはずですが、反差別法はこの「選択」そのものを政府が規制することを可能にしました。この記事は、「差別とは選択することそのものである」と述べ、政府が国民の選択を規制することは、最終的に国民の思想や良心の自由を統制することに繋がると警鐘を鳴らしています。

さらに記事は、公民権法が「政府の巨大化」を正当化するエンジンとして機能していると指摘します。差別の撤廃という道徳的な名目を掲げることで、政府は州や個人に対して無限の権力を行使できるようになりました。興味深いのは、これがリベラル派だけでなく、保守派にとっても政治的な武器になっているという指摘です。トランプ政権を含む歴代の政権が、公民権部門を政敵への攻撃や調査に利用してきた実態を挙げ、この法律が本来の目的を離れ、権力闘争の道具に成り下がっていると批判しています。

また、保守派が掲げる「能力主義(メリット制)」や「色盲社会(人種を問わない社会)」という理想も、この記事の視点からは批判の対象となります。国家が「能力」を定義し、それを民間に強制することは、結局のところ別の形の国家強制に過ぎないというのです。真の自由とは、人種的な枠を設けたい大学もあれば、特定のグループを優先したい企業もある、という多様な選択が許容される状態を指します。すべてを政府が決めた基準に当てはめるのではなく、市場の契約に委ねるべきだという主張です。

もし公民権法が撤廃されれば、企業は訴訟を恐れずに自由に雇用でき、大学は本来の学びの場に戻り、銀行の与信は政治的な割り当てではなく実力に基づいたものになると著者らは説きます。この主張は、現代の多様性(DEI)重視の流れに真っ向から対立するものですが、行き過ぎた国家の介入が個人の自由を蝕んでいるという危機感は、多くのアメリカ人の間で共有されつつあります。

私たちは、「差別の禁止」という善意から生まれた法律が、時として国家による専制の隠れ蓑になり得るという逆説的な現実に直面しています。日本においても、公正な社会と個人の自由の境界線をどこに引くべきか、この鋭い問いかけは決して他人事ではありません。

小市民を守れ

A Brief History of the Petite Bourgeoisie | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】格差社会が深刻化する米国で、今あらためて「プチ・ブルジョアジー」と呼ばれる小市民層の存在に注目が集まっています。2008年の金融危機以降、そして近年のパンデミックを経て、政府による巨額の救済策やインフレは、富裕層をより豊かにする一方で、地道な生産活動を行う人々を追い詰めてきました。この記事は、歴史的に軽視されがちだった小規模事業者という階級が、実は自由な経済の基盤であり、同時に国家による搾取の最大の犠牲者であると論じています。

そもそもプチ・ブルジョアジーとは何を指すのでしょうか。それは単なる所得水準による中産階級とは異なります。自分の所有する店舗や道具を使い、家族や少数の従業員と共に自らも汗を流して働く人々、つまり職人や商店主、家族経営の農家などのことです。彼らは資本家としての側面を持ちながら、熟練労働者としての顔も併せ持っています。19世紀の古典的自由主義者たちは、彼らこそが社会を支える生産的階級であり、自由な市場において誠実に競争し、コミュニティの安定に寄与する存在であると理想化しました。

しかし、政治の表舞台では、彼らの声は驚くほど届きません。現代の政治論争は、巨大な多国籍企業と、組織化された賃金労働者という二極化された対立軸で語られがちです。その影で、GDPの40パーセント以上を支え、雇用の45パーセント近くを創出している小規模事業者の利益は、常に後回しにされてきました。マルクス主義においても、彼らは労働者の敵であるブルジョアの端くれとして分類されましたが、実際には彼らもまた、国家と結託した巨大資本、いわゆる特権的階級によって市場から締め出される側に立たされています。

記事が最も強調するのは、この階級間の搾取の構造です。中央銀行による通貨発行やインフレ、そして特定の業界を保護する規制や補助金は、政府に近い金融エリートや巨大企業に富を移転させる仕組みとして機能しています。古典的自由主義の理論によれば、これは市場の自然な動きではなく、国家による合法的な略奪に他なりません。小規模事業者は、自らの知恵と労働で価値を生み出しているにもかかわらず、人為的に歪められた経済環境の中で、巨大資本の軍門に降ることを強いられているのです。

私たちは今、巨大企業が大きすぎて潰せないとして保護される一方で、街の商店や小さな工場が静かに消えていく光景を目の当たりにしています。真に自由で公正な社会を取り戻すためには、この地道な生産者たちが、国家の干渉を受けずにその価値を存分に発揮できる環境を再構築しなければならないのです。

効率的市場仮説は正しいか?

Challenging the Efficient Market Hypothesis and Fundamentals Analysis | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】金融市場において長年信じられてきた「効率的市場仮設」という理論があります。これは、株価などの資産価格は利用可能なすべての情報を即座に反映しており、誰も市場を出し抜いて利益を得ることはできないという考え方です。しかし、オーストリア学派経済学の視点に立つ最新の記事は、この定説に対して極めて鋭い批判を投げかけています。この議論の核心を読み解いてみましょう。

まず、効率的市場仮説が抱える最大の矛盾は、市場参加者が全員同じ情報に基づき、同じ結論に達すると仮定している点です。もし全員が将来に対して同じ予想を持っているのであれば、そもそも売買という取引自体が成立しません。現実の市場は、価格が上がると考える買い手と、下がると考える売り手という、異なる予想を持つ人々が存在するからこそ成り立っています。また、仮説では過去のデータ分析は無意味だとされますが、実際には個人の持つ過去の知識こそが将来の行動を規定するのであり、これを否定すれば経済の進歩すら説明できなくなります。

投資における利益についても、効率的市場仮説は「偶然の産物」であると片付けてしまいます。しかし、真の利益とは、起業家が消費者の需要を誰よりも正確に予測し、過小評価されている資源を有効に活用した結果として生じる「知見の報酬」です。不確実な未来に対して能動的に計画を立て、研究を重ねる姿勢こそが経済を動かすのであり、投資家を単なる受動的な存在と見なす理論は現実から乖離しています。

さらに、市場で繰り返される暴騰や暴落、いわゆる「バブル」の原因についても、この記事は重要な指摘をしています。多くの専門家は、バブルを投資家の心理的な「非合理な行動」のせいにしがちです。しかし、真の元凶は中央銀行による人為的な金融緩和政策にあります。本来、市場の利子率は人々の消費傾向を反映するものですが、中央銀行が無理に利下げを行うことで、シグナルが歪められます。その結果、起業家や投資家は誤った判断を下し、実体のない繁栄、つまりブームが作り出されます。この誤りが露呈した時に訪れるのが、深刻な景気後退や市場の崩壊なのです。

結論として、株式投資を実体経済から切り離された「数字のゲーム」と捉えるべきではありません。株への投資は、本質的に事業への投資そのものです。市場が効率的であるという幻想に惑わされず、消費者の声に耳を傾け、中央銀行の政策がもたらす歪みを冷静に見極めること。激動する現代の金融市場を生き抜くためには、こうした本質的なファンダメンタルズ分析に立ち返る勇気が必要だと言えるでしょう。

ダリオ氏「世界秩序は崩壊した」

It’s Official: The World Order Has Broken Down [LINK]

【海外記事紹介】世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオ氏が、自身のSNSで極めて衝撃的な警告を発しました。ダリオ氏は、第二次世界大戦後の1945年から続いてきた国際秩序が、今まさに「正式に崩壊した」と断言しています。これは、先日のミュンヘン安全保障会議での各国の反応を現地で直接見聞きした結果によるもので、世界は今、国際法やルールが支配する時代から、剥き出しの力が支配する「ジャングルの法則」の時代へと完全に移行したというのです。

ダリオ氏によれば、現在の主要国は「囚人のジレンマ」と呼ばれる心理的な袋小路に陥っています。相手が軍備を増強し、経済的な圧力を強める中で、自国だけが歩み寄れば「弱さ」と見なされ、将来的に破滅を招く。そのため、どの国も平和的な対話を諦め、貿易や先端技術、資本の流れ、さらには軍事的な衝突に至るまで、際限なくエスカレートせざるを得ない状況にあると分析しています。特にダリオ氏が危惧しているのは、こうした不信の連鎖によって、本来であれば回避可能であったはずの「愚かな戦争」が、いとも簡単に引き起こされてしまうリスクです。

さらに、ダリオ氏は「資本の戦争」の激化についても強い警鐘を鳴らしています。他国の資産凍結や、特定市場からの締め出しといった手段が、国際政治の標準的な戦術として常態化しました。これにより、私たちが当たり前だと信じてきた自由な投資や決済の基盤は、常に政治的なリスクに晒されることになります。ダリオ氏は、これを国家が富を強力な武器として活用する新時代の象徴だと捉えています。

この外部的な無秩序は、各国の内部に潜む深刻な経済的ストレスとも共鳴しています。歴史的なレベルまで積み上がった政府債務と、解消の目処が立たない格差の拡大。政府はもはや、増税や、通貨を大量発行してその価値を薄めることでしか、この矛盾を解決できない段階に来ています。ダリオ氏はこれを、歴史上の覇権国家が衰退する際に必ず辿る「ビッグサイクル」の最終局面、すなわち大きな混乱を伴う秩序の再編期であると位置づけています。

ダリオ氏は、政府の債務に関連する資産から離れ、金や特定の国に依存しない中立的な資産への分散を急ぐよう説いています。 

2026-02-17

宇宙戦争の無駄遣い

Space-based interceptors make even less sense now - Defense One [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ国防総省と軍需産業が、現在、宇宙配備型の迎撃ミサイル・システムの構築を提案していますが、マサチューセッツ工科大学の研究者らは、この計画が技術的・経済的に極めて不合理であると警鐘を鳴らしています。そもそも、現在のアメリカのミサイル防衛の主力である地上配備型中間コース防衛、いわゆるGMDには、決定的な弱点があります。それは、ミサイルが宇宙空間を飛行する中間段階において、本物の核弾頭と、安価で軽量な「おとり」を区別できないという問題です。この識別問題は数十年にわたり未解決のままであり、実際の攻撃に対して現行のシステムはほぼ無力である可能性が高いと指摘されています。

この問題を回避する策として浮上したのが、おとりが放出される前の「ブースト段階」、つまり打ち上げ直後の上昇中に迎撃する手法です。これには宇宙空間に迎撃機を配置する必要がありますが、ここに大きながあ落とし穴があります。ミサイルの上昇時間はわずか3分程度しかありません。衛星は常に軌道上を移動しているため、広大な地球上のあらゆる発射地点を常に射程に収めるには、数千から数万基という膨大な数の衛星を配備しなければなりません。さらに、ロシアや中国がミサイルの燃焼時間を短縮する対策を講じれば、このシステムは容易に無効化されてしまいます。

こうした実用化の困難さに直面し、国防総省側は「宇宙配備型の迎撃機を、再び中間段階の防衛に転用する」という本末転倒な議論を始めています。宇宙からの迎撃であれば目標到達までに時間に余裕ができるため、衛星の数は減らせるという理屈です。しかし、これでは結局、地上配備型と同じ「おとりを識別できない」という元の問題に逆戻りするだけです。しかも、宇宙空間への配備と維持には莫大な費用がかかる上、衛星には寿命があるため、10年ごとにすべてを打ち替えなければなりません。研究者らは、巨額の税金を投じて何ら解決策にならないシステムを構築しようとするこの動きに対し、政策立案者は警戒すべきだと強く主張しています。

シオニズム至上主義に一石

White House Religious Liberty Commission Member Pokes the Zionist Bear - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権の「信教の自由委員会」のメンバーが、タブー視されてきた「イスラエルへの忠誠」という聖域に足を踏み入れ、波紋を広げています。元ミス・カリフォルニアで、2025年にカトリックに改宗したキャリー・プレジャン・ボラー氏が、委員会での公聴会において、反ユダヤ主義と反シオニズムの定義を巡り、真っ向から疑問を呈したのです。

事の発端は、ボラー氏が委員会に招かれたユダヤ系リーダーに対し、「ガザでのパレスチナ人の大量殺害を非難したり、政治的シオニズムを拒絶したりすることは、反ユダヤ主義(ヘイト)にあたるのか?」と問いかけたことでした。さらに彼女は、「シオニストではないカトリック教徒は、あなたの定義によれば全員が反ユダヤ主義者になるのか?」と、鋭く追及しました。

対するパネリストや、トランプ政権の閣僚級メンバーであるポーラ・ホワイト=ケイン氏(福音派の牧師)、マイク・ハッカビー駐イスラエル大使(バプテスト派牧師)らは、現代のイスラエル建国を「聖書の預言の成就」と見なす強い「キリスト教シオニズム」の立場をとっています。彼らにとって、イスラエルを支持しないことは神の意志に背くことであり、「反シオニズム=反ユダヤ主義」という定義は譲れない一線です。そのため、ボラー氏の質問そのものが不適切で差別的であるという空気が会場を支配しました。

しかし、記事はボラー氏の問いを「必要不可欠で、遅すぎたほどだ」と支持しています。カトリック教会(前教皇フランシスコや現教皇レオ)は、ガザでの惨状を「戦争ではなく虐待だ」と非難しつつ、反ユダヤ主義も否定するという立場をとっています。ボラー氏は、「特定の神学(シオニズム)への忠誠を、アメリカにおける言論の自由や道徳的正当性の踏み絵にするべきではない」と訴えたのです。

結局、ボラー氏はパトリック委員長によって委員会を解任されました。しかし、彼女が突きつけた問い——「宗教の自由を掲げる国で、なぜ特定の政治思想への同調が強制されるのか」——は、今後の米国の外交政策と言論の自由の在り方に一石を投じています。ワシントンで主流となっている「シオニズム至上主義」のコンセンサスに対し、勇気を持って疑問を呈した彼女の姿勢は、多くの米国人に深い議論を促しています。

米軍事能力の衰退

Israel Needs Time Before Another Iran War—Here's Why | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月現在、米国とイランはオマーンで再び交渉のテーブルについています。しかし、この外交の再開は「平和への道」ではなく、消耗しきった兵器・防空システムの在庫を補充するための「戦略的な一時停止(タイムアウト)」に過ぎないのではないか——。そんな冷徹な軍事・産業的視点からの分析をご紹介します。

2025年6月に発生した「12日間戦争」は、中東の軍事バランスにおける深刻な脆弱性を露呈させました。米国はこの短期間の紛争で、約150発のTHAAD迎撃ミサイルと80発のSM-3ミサイルをイスラエル防衛のために消費しました。問題はその「補充」にあります。THAADの年間生産数はわずか11〜12発。今回消費した分を埋め戻すだけでも、現在の生産ペースでは12年以上かかる計算になります。米国の軍需産業は、もはや現代の激しい紛争の消費スピードに全く追いついていないのです。

12日間戦争において、イスラエルは徹底した検閲で被害を隠しましたが、衛星データはイランのミサイルが高い精度で主要な軍事施設や情報拠点、石油精製所を直撃していたことを示しています。さらに深刻なのは、イスラエル自身の迎撃ミサイル「アロー」も底を突きかけていたことです。つまり、戦争の終結は外交の成果というより、「弾薬が物理的に尽きようとしていたから」という側面が強いのです。

現在進められている交渉についても、歴史は「欺瞞」の可能性を示唆しています。2025年の攻撃は、核交渉のわずか3日前に、トランプ政権とイスラエルによる「誤情報キャンペーン」の下で実行されました。イラン側が外交に集中し、軍事的な警戒を緩めた隙を突いたのです。今回のオマーンでの交渉も、イスラエルが2200億シェケル(約615億ドル)もの巨費を投じて防空システムを再構築し、米国が弾薬在庫を回復させるための「時間稼ぎ」であるという見方が有力です。

米国は「例外的な超大国」を自負してきましたが、現実は過酷です。中国との台湾有事シミュレーションでは、長距離弾薬は1週間持たずに枯渇すると予測されています。一つの同盟国を2週間支えるだけで12年分以上の在庫を失う現状では、もはや無制限の軍事支援は不可能です。ワシントンがこの「物理的な限界」を認め、抑制的な外交政策に転換しない限り、アメリカの覇権は砂上の楼閣となるでしょう。

ルビオ氏の新帝国主義

U.S. Calls for New Colonial Era - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのマルコ・ルビオ国務長官がミュンヘン安全保障会議で行った演説が、国際社会に大きな波紋を広げています。ルビオ氏は、第二次世界大戦後に終焉を迎えた「植民地時代の精神」を復活させるべきだという、極めて異例かつ過激な主張を展開しました。氏は、これまで国際法という抽象的な概念の背後に隠れて世界の安定を脅かしてきた勢力に対し、もはや法的手段や外交決議だけで対応することはできないと断言しています。そして、トランプ大統領率いるアメリカが歩み始めた新たな道こそが、かつて西欧諸国が数世紀にわたって世界中に帝国を築き上げた、あの拡大の歴史への回帰であると強調しました。

ルビオ氏は演説の中で、1945年の大戦終結を境に、西側諸国の支配が衰退へと向かったことを公然と嘆いています。氏は、共産主義革命や反植民地運動によって、かつての偉大な帝国が縮小を余儀なくされた歴史を否定的に捉え、今こそ再びアメリカとヨーロッパが手を取り合い、かつての支配的な地位を取り戻すべきだと呼びかけました。これは、戦後の国際秩序そのものを一つの「過ち」であったと示唆する、非常に挑戦的な歴史修正主義の視点と言わざるを得ません。ルビオ氏は、衰退は自ら選ぶものであり、トランプ政権はその選択を拒否して再び世界の覇権を握るつもりであると、強い言葉で同盟国に同調を求めたのです。

しかし、この主張に対しては厳しい批判も噴出しています。分析家のアルノー・ベルトラン氏は、ルビオ氏の言葉はアメリカの利益を最優先する「アメリカ・ファースト」の精神に基づいたものであり、ヨーロッパを対等なパートナーとしてではなく、単にアメリカの覇権を守るための代理勢力として利用しようとする意図が見え隠れすると警告しています。強者が弱者を支配するという帝国主義の本質を考えれば、アメリカがヨーロッパと利益を分け合うなどという甘い期待は通用しないというのです。

さらに、サミュエル・ハンチントン氏がかつて指摘したように、西側諸国が世界を支配できたのは思想や価値観が優れていたからではなく、組織的な暴力の行使において優位に立っていたからに過ぎません。今日、軍事技術や経済力はもはや西側の独占物ではなく、多極化が進む現代において、19世紀のような植民地支配を再現しようとする試みは、破滅的な結末を招くだけの「時代錯誤な妄想」であるとの指摘もあります。ルビオ氏が掲げるこの極端な新帝国主義のビジョンが、今後の日米関係や世界の安全保障にどのような影を落とすのか、注視していく必要があります。

中露、イラン・キューバへの米圧力に対抗

Russia and China Are Expanding Their Cooperation To Counter US Efforts To Bully Iran and Cuba - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】ロシアと中国が、アメリカによるイランやキューバへの圧力に対抗するため、戦略的・経済的な協力をかつてない規模で拡大させています。2026年1月29日、テヘラン、北京、モスクワで同時に署名された「三カ国戦略協定」は、変化する国際秩序の最前線を示す象徴的な出来事となりました。この協定は、2025年6月に発生したイランとイスラエルの戦争を経て、中露両国がイランの防衛力を再建し、西側諸国による孤立化政策を無効化しようとする強い決意の表れです。

軍事面では、中国がステルス機を検知可能な長距離監視レーダーや、高性能な地対空ミサイルシステムを供給し、ロシアも攻撃ヘリコプターの引き渡しを開始するなど、イランの防空網と打撃力は以前よりも格段に強化されています。この三カ国協定は、北大西洋条約機構のような自動的な軍事同盟ではありませんが、外交面での足並みの連動や、制裁を回避するための人民元やルーブルを用いた独自の決済メカニズム、さらには情報機関同士の連携を網羅しています。これにより、イランは中国の「一帯一路」構想や、中露が主導する輸送回廊に深く組み込まれ、米ドルの支配力に依存しない経済圏の構築を急いでいます。

一方、カリブ海のキューバに対しても、中露は密接に連携しながら支援の手を差し伸べています。トランプ政権による制裁強化で深刻なエネルギー危機に直面しているキューバに対し、ロシアは原油や石油製品の直接供給という形で実利的な援助を行い、中国は電力インフラの整備や食料安全保障を担っています。特に中国は、大規模な財政援助に加えて、数万トン規模の米の寄付や再生可能エネルギーへの投資を通じて、キューバ経済の崩壊を食い止めようとしています。

これらの動きは、単なる言葉だけの連帯ではなく、具体的かつ組織的な行動を伴うものです。ロシアと中国は、アメリカによる制裁や軍事的な威嚇が通用しない、新しい金融と安全保障のインフラを着々と構築しています。これは、かつてのアメリカ一極支配が終わりを告げ、多極化する新しい世界秩序へと移行している現実を明確に物語っています。アメリカによる経済的な締め付けを無効化しようとするこの新勢力の台頭は、今後の国際政治のあり方を根本から変えてしまう可能性を秘めていると言えるでしょう。

米保守派メディアの混沌

American Pravda: Nick Fuentes, Tucker Carlson, Jeffrey Epstein, and Pizzagate, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの右派メディア界で起きた衝撃的な事件、チャーリー・カーク氏の暗殺と、それに続く言論空間の激変について紹介します。2025年9月、若手保守派の旗手として絶大な人気を誇ったカーク氏が、プロの警備下にありながら遠距離から狙撃されるという、ケネディ大統領暗殺を彷彿とさせる事件が発生しました。当局は単独犯による犯行と断定しましたが、一部の分析家は、カーク氏が死の直前にイスラエル支援の立場から離れ、タッカー・カールソン氏に近い批判的な姿勢に転じていたことから、背後に組織的な陰謀があったのではないかと疑っています。

この事件後、急速に存在感を高めたのが、かつて主流派から追放されていた若手ポッドキャスター、ニック・フエンテス氏です。彼はこれまで、ユダヤ系ロビーの影響力に対する過激な批判により、YouTubeなどの主要プラットフォームから排除されてきました。しかし、カーク氏の死を境に、ニューヨーク・タイムズ紙が彼を「右派の新たなリーダー」として異例の長文記事で紹介し、タッカー・カールソン氏やピアーズ・モーガン氏といった大物との対談が次々と実現しました。これにより、彼の視聴者数は数千万単位にまで爆発的に増加しました。

一方で、フエンテス氏の変節を指摘する声もあります。彼はかつて反体制的な立場でしたが、最近ではトランプ政権によるベネズエラ攻撃を「石油を奪うためなら殺しても構わない」と熱狂的に支持するなど、極右的な帝国主義者、いわゆる「ネオコン」に近い言動を見せるようになっています。また、カーク氏暗殺へのイスラエル関与説を頑なに否定する姿勢も、かつての彼を知る支持者からは「買収されたのではないか」という不信感を招いています。

対照的に、メディア界の巨人タッカー・カールソン氏は、より踏み込んだ発言を続けています。彼は、ノルドストリーム・パイプラインの破壊への米国の関与や、ケネディ暗殺におけるCIAの役割、さらには9/11テロに関する政府の公式見解への疑問を呈するドキュメンタリーを制作するなど、タブーを次々と破っています。カーク氏の死とフエンテス氏の台頭、そしてカールソン氏の孤軍奮闘は、アメリカの保守派メディアがいかに混沌とした状況にあるかを物語っています。言論の自由を掲げながらも、その裏側でうごめく権力構造や資金源の影を、私たちは冷静に見極める必要があるでしょう。

移民と植民

TGIF: Immigration vs. Settler Colonialism | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】リバタリアニズム(自由至上主義)の旗手として知られるマレー・ロスバードが、晩年に「自由な移民」に反対する姿勢を見せたことは、支持者の間で長年議論の的となってきました。シェルドン・リッチマン氏による本論評は、ロスバードが1994年の論文で展開した「移民制限」の根拠がいかに歴史的・論理的に誤っていたかを鋭く検証しています。

ロスバードは、ソ連崩壊時に「エストニアやラトビアにロシア人が押し寄せ、現地の文化や言語を破壊しようとした」ことを目撃し、考えを変えたと述べています。しかし、リッチマン氏はこれに対し「歴史の取り違え」を指摘します。実際にバルト諸国へロシア人が大量流入したのは、ソ連による占領期(1944年~1990年)の出来事であり、ソ連崩壊後にはむしろロシア人は流出していました。また、この流入は個人の自由な意思による「移民」ではなく、ソ連当局が意図的に進めた「植民地主義的入植(Settler Colonialism)」でした。つまり、占領下で行われた国家ぐるみの人口操作を、自由な国境移動と混同して議論の土台に据えたロスバードの論理は、根本から崩れているというわけです。

さらにリッチマン氏は、現代の移民制限派がよく用いる「福祉国家の維持」という言い訳も一蹴します。移民が福祉を食いつぶすという懸念に対し、統計データによれば、移民が支払う税金と彼らが民間部門で生み出す経済的価値を考慮すると、財政への影響はほぼ中立、あるいはプラスに働いています。さらに、「福祉国家という政府の失敗を解決するために、個人の移動の自由を奪う(さらなる政府の介入を招く)」という考え方は、経済学者ミーゼスが批判した「介入主義の連鎖」そのものであると批判しています。

リッチマン氏が強調するのは、経済的な動機による移民は、受け入れ先の雇用や家賃といった市場原理によって自然に調整されるため、パニックを煽るような「大群の押し寄せ」は現実には起こり得ないということです。リバタリアンであれば、想像上の危機を理由に国家権力を強化するのではなく、たとえ困難が伴っても「移動の自由」という基本原則を貫くべきである。ロスバードへの敬意を払いつつも、自由を守るためには彼の過ちを正視しなければならない——。リッチマン氏の論考は、自由至上主義の真価を問う熱いメッセージとなっています。

政府は企業ではない

Government’s Business Plan Is Predation - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】政府という組織には、民間企業のような「ビジネスモデル」は存在しません。なぜなら、彼らの活動の本質はサービスによる競争ではなく、「掠奪」にあるからです。経済ジャーナリストのジョージ・F・スミス氏は、私たちが当然のものとして受け入れている「税金」や「国家」という仕組みを、自由市場の論理に照らして鋭く解剖しています。

通常の企業は、利益を出すために消費者の顔色を伺い、常にイノベーションを求められます。かつてマイクロソフトがマッキントッシュの登場に慌てて「Windows」を開発したように、市場での競争は消費者に便益をもたらします。もし価格や品質に納得がいかなければ、私たちはその商品を買わない自由があります。しかし、政府との関係においてその自由はありません。政府は暴力を独占し、税金という形で一方的に資金を徴収します。驚くべきことに、多くのアメリカ人はこれを「市民の義務」や「愛国心」と捉えていますが、スミス氏に言わせれば、これは市場のルールを無視した「犯罪的」な構造に他なりません。

政府の「事業計画」の最たるものは、際限のない貨幣発行(通貨膨張)です。政府は中央銀行と結託し、膨大な借金を積み上げながら、その利息を納税者に押し付けます。この「不換紙幣」という仕組みこそが、政府の飽くなき戦争への欲望を支える資金源となっているのです。自由主義経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは、国家を「社会の基礎」と認めつつも、それは神ではなく単なる「強制と抑圧の道具」に過ぎないと警告しました。しかし、その道具を扱うのもまた不完全な人間である以上、国家が「正しく管理」されることは歴史上ほとんどありませんでした。

結局のところ、選挙によって指導者が入れ替わったとしても、国家が「掠奪的機関」であるという本質的な公理が揺らぐことはありません。スミス氏は、私有財産や社会の秩序を守る役割でさえ、暴力装置である国家に委ねるのではなく、市場のメカニズムに信頼を置く方がはるかに健全であると説いています。政府が「必要悪」であるという思い込みを捨て、その活動をビジネスの視点で冷徹に見つめ直したとき、私たちがどれほど不条理な契約を強いられているかが浮き彫りになります。

教育と国家の分離を

Anti-American Textbooks - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの公教育の現場で、教科書の内容がいかに「反米的」に変質しているか、そしてその根底にある「教育の国家独占」という問題について、自由主義経済学の大家ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの思想を継承するルーウェリン・ロックウェル・ジュニア氏が激しい論考を展開しています。

氏は、現在の公立学校の教育者の多くが、国家を愛する一方でアメリカそのものの歴史や伝統を憎んでいると断じます。その象徴が、いわゆる「Woke(目覚めた)」教科書による歴史の改ざんです。例えば、かつて「新大陸の発見者」として讃えられたクリストファー・コロンブスは、今や「ジェノサイド(大量虐殺)の主犯」として描かれています。一部の教育者は、コロンブスが先住民を奴隷化し、金を手に入れるために残酷な刑罰を科したという側面のみを強調し、マレー・ロスバードが主張したような「西洋文明の拡大」という視点を完全に排除しようとしています。

また、奴隷制度についても、左派的な「サザン・パブティー法律センター(SPLC)」などが主導し、アメリカの建国そのものが「人種的不正義」という罪の上に成り立っているという教育を徹底させています。ジェームズ・マディソンやトーマス・ジェファーソンといった国父たちが奴隷を所有していたことを強調し、彼らが掲げた「万人は平等である」という理想さえも偽善として切り捨てようとする動きです。これに対しロックウェル氏は、南部連合を単に「悪」と決めつける現代の風潮を批判し、ロバート・E・リー将軍のような人物が持っていた名誉や徳性さえも否定する「道徳の独占」に異を唱えています。

ロックウェル氏が提示する究極の解決策は、ミーゼスの言葉を借りれば「教育と国家の完全な分離」です。政府が公教育を独占している限り、教える内容を巡る政治的な対立は永遠に終わりません。教育を自由市場に委ねることで、親は自分の子供にふさわしいと信じる教育(例えば伝統的な価値観を重んじる学校など)を自由に選べるようになります。「不健全な知識を詰め込まれて精神を不自由にするくらいなら、健康な文盲の方がましだ」というミーゼスの過激とも言える警告を引用し、氏は公教育制度そのものの廃止こそが、アメリカの魂を守る唯一の道であると訴えています。

危機で備えるべき10の死因

The 10 Way That Will Die When SHTF - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】もし、ある地域や国が二度と立ち直れないような壊滅的な事態、いわゆる「SHTF(万事休すの事態)」に陥ったとしたら、あなたとご家族は生き残ることができるでしょうか。ある専門家の予測によれば、米国で電力網が完全に停止した場合、わずか1ヶ月で人口の半分が命を落とすとされています。この記事では、大災害発生後の最初の30日間で人々が直面する、最も一般的な「10の死因」のうち主要なものを挙げ、生き残るための具体的な対策を提案しています。

まず、最大の脅威は「水の欠乏」です。人間は水なしでは3日しか生きられません。災害時には不衛生な水の摂取による感染症や下痢が命取りになります。これに対しては、電力を必要としない重力式の浄水器や、携帯用フィルター、さらにウイルス殺菌用の漂白剤やヨウ素剤を常備しておくことが不可欠です。次に「飢え」です。食料なしで生きられるのは21日間ですが、多くの家庭の備蓄は数日分に過ぎません。日常的に消費するパスタや米、缶詰などを多めに買い置きし、使った分を補充するローテーション備蓄を今すぐ始めるべきです。

また、「持病の薬の枯渇」や「体力の低下」も深刻な問題です。処方薬が切れることで健康を害するだけでなく、精神的に不安定になった人々が暴徒化する危険性もあります。また、エレベーターが止まり、自力で物資を運ばなければならない状況では、肥満や運動不足が致命的な弱点となります。日頃から体を鍛え、生活習慣を見直しておくことが、何よりの生存戦略となります。さらに、小さな怪我から生じる「感染症」や、排泄物などの処理不全による「衛生環境の悪化」も、医療体制が崩壊した状況下では容易に死に直結します。救急処置の知識を学び、医療用品を揃え、手洗いや消毒を徹底する習慣を身につけておかなければなりません。

最後に、最も避けたい事態が「略奪者による被害」です。食料が尽き、絶望した隣人や友人が、あなたの備蓄を狙って襲ってくるかもしれません。これを防ぐには、自分が備蓄を持っていることを決して口外しない「秘匿性」が重要です。同時に、周囲の人々にも備えを促して地域全体の絶望度を下げつつ、いざという時には家族を守るための防衛手段を講じる覚悟も必要です。絶望的な状況を生き抜くために、今できる準備を一つずつ進めていきましょう。

マリ政府、カナダ産金大手と事業再開

Mali and Canadian miner reset ties over $900 million gold asset with 10-year deal | Business Insider Africa [LINK]

【海外記事紹介】西アフリカのマリ共和国政府と、カナダの産金大手バリック・ゴールド社との間で、同国最大の金資産を巡る対立が解消され、今後10年間にわたる新たな事業継続合意が成立しました。このニュースは、資源ナショナリズムの波が押し寄せる中で、国家と外資系企業がいかに妥協点を見出すかを示す象徴的な事例として、国際投資の世界で大きな注目を集めています。今回の合意は、マリ政府が2023年に採択した新しい鉱業法を巡る緊張関係に終止符を打つものです。この新法は、鉱山プロジェクトに対する国家の関与を拡大し、税率を引き上げるという強硬な内容であったため、一時は深刻な対立を招いていました。

しかし、今回の和解により、バリック・ゴールド社は世界銀行の紛争解決センターに提起していた仲裁申し立てを撤回しました。これに応じてマリ政府側も、同社やその関係先に対する法的訴追を取り下げ、拘束していた従業員を釈放するとともに、鉱山の運営管理権を同社に返還しました。マリの指導者は、この合意によって国の歳入を支える基幹産業に「安定性と透明性が回復した」と強調しています。政府が掲げる改革は断行しつつも、交渉によって互恵的な解決が可能であることを国際社会に示した形です。

この合意のプロセスにおいて、バリック・ゴールド社は新たな実現可能性調査を完了させました。それによれば、露天掘りで約6年、坑内掘りで約16年にわたり、経済的に採算が取れる埋蔵量が確認されています。年間の総生産量は約42万オンスに達すると予測されており、長期的な収益源としての価値が改めて裏付けられました。マリ西部に位置するこのロウル・グンコト鉱山複合体は、マリ国内で最大の金生産量を誇るだけでなく、バリック・ゴールド社にとっても世界で最も収益性の高い事業の一つです。

2024年時点で、この鉱山は約9億ドルという極めて大きな収益を叩き出しており、マリ国家の財政と企業の利益の双方にとって、まさに戦略的な要石となっています。資源を巡る政治的リスクが世界的に高まる中で、今回の10年契約は、投資家にとって一つの安心材料となるでしょう。アフリカにおける鉱山開発の先行きは、今後もグローバルな金市場に大きな影響を及ぼし続けるに違いありません。

アインホーン氏「金は米国債の座を奪う」

David Einhorn: Gold Is Replacing US Treasurys As Reserve Asset - Business Insider [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名なヘッジファンド・マネージャーであり、億万長者の投資家としても知られるデビッド・アインホーン氏が、世界経済の構造変化について極めて重要な見解を示しました。アインホーン氏は、これまで世界の基軸準備資産として君臨してきた米国債に代わり、金がその地位を奪いつつあると分析しています。同氏が率いるグリーンライト・キャピタルは、10年以上にわたって金への投資を続けてきましたが、現在の状況はかつてない転換点にあるというのです。世界中の中央銀行が米国債への信頼を揺るがせる一方で、安全資産としての金の価値を再評価し、保有量を急速に増やしている現状が浮き彫りになっています。

具体的には、中国が国内銀行に対して米国債の保有を削減するよう指示したという報告を、アインホーン氏は重要な兆候として挙げています。世界の中央銀行による金の購入意欲は年々高まっており、2025年には約863トンもの金が買い入れられました。これは、中国をはじめとする国々が通貨レベルでの競争を意識し、米国債中心のポートフォリオから脱却しようとしている動きの表れです。アインホーン氏は、現時点において、金はすでに米国債と並ぶ、あるいはそれに代わる主要な準備資産になりつつあると断言しています。

同氏が米国債よりも金を長期的な投資先として選ぶ背景には、二つの大きな懸念があります。一つは、アメリカの不透明な通商政策です。貿易摩擦が激化し、米国の政策が不安定さを増す中で、多くの国々がドル以外の資産で貿易決済を行うようになっています。もう一つは、アメリカの深刻な財政赤字です。アインホーン氏は、現在のアメリカの財政・金融政策はもはや論理破綻しており、増え続ける債務は維持不可能な水準に達していると指摘しています。この持続可能性への疑念が、投資家をドル建て資産から遠ざける要因となっているのです。

こうした「脱ドル化」の動きは、2022年のロシアへの経済制裁を機に加速しましたが、昨年のトランプ政権による関税導入がさらに拍車をかけました。外国人投資家の間では「アメリカ売り」の機運が高まり、法定通貨の価値下落を恐れて金のような現物資産を確保する「通貨安トレード」が一般化しています。アメリカの金融支配力が揺らぐ中、私たちは資産のあり方を根本から再考すべき局面に立たされていると言えるでしょう。

ドルを待つ厳しい時代

Schiff on Golf Cart Chronicles: The Dollar Is Starting a Tough Decade | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な投資家であり経済評論家でもあるピーター・シフ氏が、ポッドキャスト番組「ゴルフカート・クロニクルズ」に出演し、米ドルの衰退と貴金属市場の動向について警告を発しました。シフ氏は、最近の貴金属市場で見られた価格の下落は、決して偶然の産物ではなく、政治的な意図に基づいた「組織的な攻撃」であると分析しています。同氏によれば、金が1オンス5,500ドル、銀が120ドルを超えていた状況は、トランプ政権や連邦準備制度、そしてアメリカ経済全体に対する「不信任投票」を意味していました。政権側はこの危機的なメッセージを打ち消すために、市場介入という手段で爆弾を解除せざるを得なかったのだと指摘しています。

シフ氏は、これからの10年間はドルのパフォーマンスが低迷し、金利が高止まりする非常に厳しい時代になると予測しています。かつてアメリカ市場は10年以上にわたって世界を支配し、強いドルを背景に莫大なリターンをもたらしてきました。しかし、その輝かしい時代は終わりを告げ、今後はドル安が進み、米国市場は外国市場や新興国市場、そして金に対して劣後するようになると断言しています。この変化の背景として、同氏は1970年代の金本位制離脱を引き合いに出しています。当時はドルの価値が3分の1にまで急落し、金や石油の価格が爆発的に上昇しました。今回の混乱の引き金となるのは、世界が「ドル本位制」から離脱することであり、その影響は当時と同等、あるいはそれ以上に深刻なものになると警鐘を鳴らしています。

基軸通貨としての地位を失うことは、一般のアメリカ人の生活に直撃します。これまでアメリカを支えてきた外国からの融資が止まることで、金利は急騰し、物資の供給は激減します。自国で製品を十分に生産できないアメリカでは、棚から商品が消え、価格が高騰するという、生活水準の劇的な低下を招くことになります。シフ氏は、ITバブルや住宅バブルの崩壊を的中させてきた自身の経験に基づき、投資家や投資アドバイザーに対して「群れ」に従うのをやめ、独自の視点を持つべきだと主張します。特にビットコインなどの暗号資産を「偽の資産」と切り捨て、将来的な訴訟リスクを避けるためにも、顧客にこれらを勧めるべきではないと強く忠告しています。私たちは今、資産防衛のあり方を根本から見直すべき時期に来ていると言えるでしょう。

イラン、相互の経済利益を強調

Amid Saber-Rattling, Iran Touts Economic Benefits To West If Nuclear Deal Reached - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権による軍事的な威圧が強まる中、イラン政府が欧米諸国に対し、核合意の再構築がもたらす「相互の経済的利益」を強調し、緊張緩和を働きかけています。2026年2月、スイスのジュネーブで予定されている米国との実務協議を前に、イランのハミド・ガンバリ経済外交副局長は、「合意を永続させるためには、米国側にも迅速かつ高い経済的リターンが必要だ」と述べ、石油、ガス、鉱業、そして航空機購入といった分野での共通の利益を提示しました。

かつて2015年に核合意が成立した際、イランは老朽化した旅客機を刷新するため欧米企業に大量発注を行いましたが、トランプ氏が合意から一方的に離脱したことで、ボーイング社などは200億ドル(約3兆円)規模のビジネスチャンスを瞬時に失った経緯があります。イラン側は今回、こうした経済的メリットを再びちらつかせることで、制裁解除に向けた交渉の進展を狙っています。しかし、事態は極めて予断を許さない状況です。イスラエルのネタニヤフ首相は、イランが到底受け入れられない「ウラン濃縮の全面停止」や「弾道ミサイル計画の解体」といった条件を突きつけるようトランプ氏に働きかけており、これらが事実上の「毒薬条項」となって交渉を破綻させる懸念が高まっています。

軍事的な緊張もピークに達しています。米国はすでに中東に空母「アブラハム・リンカーン」を配備していますが、さらに世界最大の空母「ジェラルド・フォード」を急行させており、二個空母打撃群による包囲網を形成しています。米国防総省は、交渉が決裂した場合には数週間にわたる継続的な軍事キャンペーンを展開する準備を進めていると報じられました。イラン側は、経済制裁によって無実の市民が苦しんでいる現状を打破すべく外交攻勢をかけていますが、市場関係者はこれを「嵐の前の静けさ」と見ています。対話による経済的リターンか、それとも大規模な軍事衝突か。中東情勢は今、かつてないほど危機的な岐路に立たされています。

言論封殺を許すな

Media Freedom…if We Can Keep it! - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの元下院議員ロン・ポール氏は、急速に拡大する独立系メディアの重要性と、それを脅かす検閲の動きについて強い警告を発しています。かつて主流メディアの看板番組を担っていたタッカー・カールソン氏のような人物が、テレビ局という組織を離れてもなお、SNS上で数百万単位の視聴者に直接メッセージを届け、巨大メディアを凌駕する影響力を持ち始めている現状は、自由を愛する人々にとって大きな武器となっています。インターネットというツールを通じて、政府や巨大企業のフィルターを通さない「生の声」を発信できるようになったことは、民主主義における言論の市場に革命をもたらしました。

しかしポール氏は、この自由な表現を巡る戦いは決して終わっていないと強調します。かつてのパンデミック下で、公的な見解に疑問を呈しただけで多くのアカウントが消去されたように、権力側は常に自分たちに不都合な情報を「誤情報」と決めつけ、国家権力を使って封じ込めようと画策しています。特に欧州では「デジタルサービス法」のような全体主義的な手法が導入され、市民を保護するという名目で、政府が望まない発信を弾圧する監視社会が形成されつつあります。アメリカ国内においても、特定の政治的抗議を行う人々を威嚇したり、TikTokの強制売却を強行したりといった動きに見られるように、左右を問わず「自分たちの気に食わない発信」を排除しようとする「キャンセル・カルチャー」が蔓延しています。

大手メディアと政府が結託し、国民に特定の価値観を押し付けようとする力は依然として強大です。ポール氏は、もし私たちが「自分たちに都合の良い発言だけを認め、反対意見を力で封じ込める」という姿勢を許してしまえば、最終的には誰の言論の自由も守られなくなると指摘しています。一度失われた自由を取り戻すことは極めて困難であり、独立系メディアという新たな表現の場を守り抜くためには、常に警戒を怠らず、不当な検閲に対して団結して抗議し続ける必要があると訴えています。

Z世代、「同性愛への寛容さ」に反発

Gen Z Rebels Against “Gay Acceptance” - Crisis Magazine [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの「Z世代」と呼ばれる若者たちの間で、これまで当然視されてきた「同性愛への寛容さ」に対して、これまでにない反発の動きが広がっています。ニューヨーク・タイムズ紙の寄稿記事は、2007年から2020年にかけて劇的に低下した「反同性愛の偏見」が、2020年を境に急激な逆転現象を見せていると報じました。しかし、ブランドン・ゴールドマン氏はこの現象を、単なる「道徳的な退行」ではなく、過激で押し付けがましい進歩主義的な文化的支配に対する、若者たちの「反乱」であると分析しています。

記事によれば、2024年の調査では、18歳から29歳の層において、同性愛者に対する差別禁止法や同性婚への支持が、2020年代初頭のピーク時から着実に減少しています。なぜこのような変化が起きているのでしょうか。リベラルな心理学者たちは、コロナ禍の政治的分極化や経済的不安を理由に挙げますが、ゴールドマン氏はより深い構造的な問題を指摘します。現代の若者、特に若い男性たちは、幼少期から「代名詞の使用強制」や「マイクロアグレッション(無意識の差別)」といった、いわゆる「ポリコレ(政治的正しさ)」を強要されてきました。また、DEI(多様性・公平性・包括性)政策の名の下で、雇用や昇進の機会から白人男性が排除されている実態もあります。例えば、テレビ番組の脚本家に占める白人男性の割合は2011年の48%から、2024年には11.9%にまで激減しました。

進歩主義のドグマを否定することは、今や若者にとって「パンクで破壊的な反抗」となっています。その結果、多くの若者が伝統的な宗教、特にキリスト教へと回帰しており、Z世代の教会出席率はどの世代よりも高くなっています。彼らは「多様性」という言葉が、実際には伝統の破壊や男性性の否定、そして自分たちを社会の隅に追いやるための「トロイの木馬」として使われてきたことに気づき始めたのです。リベラルな制度が押し付ける「寛容」への反発は、壊れたシステムに対する若者たちの切実な異議申し立てであり、かつての「当たり前」が崩れ去る、新たな文化的な激変期の到来を予感させます。

中国の対米輸出がなくなったら?

If China cut off all trade with the USA, what would … – Preppgroup [LINK]

【海外記事紹介】もし中国がアメリカへの輸出を完全に停止したら、アメリカ人の日常生活はどうなるでしょうか。米中の経済的相互依存は数十年にわたり、中国を「世界の工場」、アメリカを「最大の消費地」とする形で深まってきました。現在、スマートフォンから医薬品、産業部品、防衛システムに不可欠なレアアースに至るまで、中国製品はアメリカの生活基盤に深く組み込まれています。しかし、2025年に再始動したトランプ政権は、この関係を単なる貿易パートナーではなく、国家の存立を脅かす「戦略的リスク」と位置づけ、あえて対立を辞さない姿勢を鮮明にしています。

万が一、中国が輸出を停止すれば、その衝撃は瞬時に消費者の元へ届くでしょう。現在のアメリカは、電子機器や医薬品の原料、電気自動車のバッテリー、太陽光パネル、さらには軍事用レアアースに至るまで、驚くほど中国に依存しています。パンデミックの際にサプライチェーンが麻痺した教訓がありますが、意図的な封鎖が起きれば、自動車生産は止まり、医療費は高騰し、あらゆる家財道具の価格が数週間のうちに跳ね上がるでしょう。特に低・中所得層にとっては、物価高騰が「隠れた増税」として重くのしかかります。現代の製造業の規模とスピードにおいて、中国を即座に他国で代替することは不可能に近いのが現実です。

これに対し、トランプ大統領は「高価な関税を払ってでも国内回帰(リショアリング)や同盟国間での供給網構築(フレンドショアリング)を進めるべきだ」と主張しています。安価な輸入品に頼る短期的な利益よりも、地政学的なライバルに首根っこを掴まれているリスクを解消する方が、長期的な国益にかなうという考えです。すでに2026年に向け、アメリカ政府はアフリカ諸国とのレアアース調達合意や、100億ドル規模の戦略物資備蓄計画「プロジェクト・ボールト」を始動させています。これはアメリカが自立した工業国家として再生するための、痛みを伴う構造改革の一環なのだと記事の著者は主張していますが、果たしてそうでしょうか。

ドル上昇に警戒を

The Weak Dollar Narrative - RIA [LINK]

【海外記事紹介】現在、金融市場では「ドル安」というナラティブ(語り口)が広まり、投資家がこぞって海外資産に資金を投じていますが、経済アナリストのランス・ロバーツ氏は、こうした単純なストーリーに飛びつくことの危険性を指摘しています。ロイター通信などは、トランプ大統領のドル安を容認するような発言や利下げ期待、財政赤字への懸念を背景に、ドルが4年ぶりの安値をつけたと報じました。しかし、長期的な視点で見れば、ドルは依然として力強い上昇トレンドの中にあります。現在の水準は、ドルの歴史における「ニュートラル(中立)」な位置にすぎず、「ドルの終焉」や「法定通貨の崩壊」といった悲観論を裏付けるものではありません。

ロバーツ氏は、むしろ「ドル高への反転」が近い将来に起こる可能性を予測しています。テクニカル分析によれば、ドル指数は2025年の下落を経て、現在、過去の底打ち時と同等の「売られすぎ」の状態にあります。また、アメリカ経済の成長率は欧州や他の地域を依然として上回っており、この相対的な強さが資本を引き寄せ、ドルの買い支え要因となります。さらに、ベセント財務長官が「強いドル政策」を再確認し、新FRB議長の就任によってタカ派的な金融政策が意識されれば、短期間で心理的な反転が起こる公算が大きくなっています。

投資家がよく口にする「海外市場はアメリカより割安だ」という主張にも、同氏は慎重な見方を示しています。一見、海外株の株価収益率(PER)は低く見えますが、利益成長率や利益率、セクター構成の弱さを考慮すれば、自国の歴史的基準に照らして決して安くはないからです。むしろ、ドルが上昇に転じた場合、為替のマイナス影響と株価の下落が重なるダブルパンチに見舞われるリスクがあります。ロバーツ氏は、海外資産への投資は「ドル安」という物語に頼るのではなく、あくまでポートフォリオの多様化のためのツールとして扱うべきだと主張します。ルールに基づいたリバランシングを行い、通貨ヘッジを組み合わせるなど、ドルの急激な反転に備えたリスク管理こそが、現在の不透明な市場を生き抜く鍵となるといいます。