注目の投稿

「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-02-12

「ルールに基づく国際秩序」の幻

Trump Didn’t Destroy the ‘Rules-Based International Order’ - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ大統領が、第二次世界大戦後に築かれた「ルールに基づく国際秩序」を破壊しているという批判が世界中で渦巻いています。しかし、ある英文記事は、この告発には根本的な誤りがあると指摘しています。なぜなら、そもそもそんな高潔な秩序など最初から存在せず、実態は常に「偽善に満ちた茶番」に過ぎなかったからです。トランプ大統領の強引な手法は、確かに19世紀的な帝国主義を彷彿とさせますが、彼は単に、これまでの指導者たちが美辞麗句で隠してきたアメリカの本音を、隠さなくなっただけだというのです。

これまでの国際秩序には、常に二重基準が存在していました。アメリカとその同盟国は、国際法や倫理を無視して好きなように振る舞う一方で、敵対する国々に対しては、崇高な規範を盾に容赦ない制裁や圧力を加えてきました。この記事の著者は、冷戦後に行われた数々の軍事介入をその証拠として挙げます。1999年のコソボ紛争では、国連加盟国であるセルビアを爆撃し、その領土を切り離しました。また、2003年のイラク侵攻では、存在しない大量破壊兵器を口実に主権国家を破壊しました。これらはいずれも、アメリカが守ると称してきた「ルール」を自ら踏みにじる行為でした。

リビアやシリアでの介入も同様です。人権や民主主義を守るという大義名分を掲げながら、実際には一方的な政権交代を強行し、その結果、各地に凄まじい混乱とテロ、そして膨大な難民流出を招きました。こうした介入の結果、かつての帝国主義的な支配が、国連やEUといった「多国籍な帝国主義」に置き換わっただけに過ぎないと著者は鋭く分析しています。

結局のところ、トランプ大統領が「ルールに基づく秩序」を壊しているという主張は、自国の利益のためにシステムを私物化してきた欧米のエリート層による、自己正当化のための嘆きに過ぎません。彼らにとっての秩序とは、自分たちがルールを書き換え、他者を支配するための便利な道具だったのです。トランプ氏は確かに権威主義的な傾向を持つかもしれませんが、存在もしない「公正なシステム」を破壊したという罪を着せるのはお門違いです。世界は今、長年続いてきた偽善のメッキが剥がれ落ち、剥き出しの力関係が支配する真実の姿に直面していると言えるでしょう。

豪のイスラエル接近

Herzog Down Under | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】現在、イスラエルのアイザック・ヘルツォグ大統領がオーストラリアを訪問していますが、この動きが現地で激しい議論と波紋を広げています。かつてパレスチナ国家を承認したこともあるオーストラリア政府ですが、今回の招待は事実上の「方針転換」であり、イスラエルの植民地主義やガザでの行為を黙認、あるいは支持する姿勢への回帰であると、著者のキム・ロビンソン氏は厳しく指摘しています。

この記事が特に問題視しているのは、この訪問に合わせてオーストラリア国内で進められている言論統制の動きです。政府は、ボンダイビーチで起きたユダヤ人コミュニティーを狙ったとみられる銃撃事件をきっかけに、銃規制やメディア検閲、さらには新たな「ヘイトスピーチ法」の導入を急いでいます。しかし、その実態は、イスラエルのガザでの行動を「ジェノサイド(集団殺害)」と呼ぶことを犯罪化しかねない一方で、パレスチナ人の抹殺を叫ぶような言動は野放しにされるという、極めて不均衡なものだと著者は憤ります。実際にヘルツォグ大統領の来訪に抗議した人々は、警察による暴力的な鎮圧や逮捕に直面しており、表現の自由という民主主義の根幹が揺らいでいます。

また、オーストラリアがこれほどまでにイスラエルに対して「特別扱い」をする背景には、複雑な国際政治と利権の構造があります。オーストラリアはアメリカを中心とする情報共有ネットワーク「ファイブ・アイズ」の一員であり、戦略的な軍事・諜報拠点としての役割を担っています。そのため、アメリカの最も重要な同盟国であるイスラエルとの親密な関係を維持することは、政権にとって不可欠な条件となっているのです。国内には強力な親イスラエル・ロビー団体が存在し、政治資金やメディアを通じて政府の意思決定に深く介入しています。

著者は、かつて独立独歩の外交を目指したゴフ・ホイットラム元首相が、イスラエルによる不当なロビー活動や「政治的恐喝」を告発した歴史を振り返りつつ、現在の政治指導者たちが自らの利益や保身のために、国際法や人道的な原則を投げ捨てている現状を嘆いています。たとえ国際社会や人権団体がジェノサイドの警告を発し、子どもを含む多くの犠牲者が出ていようとも、オーストラリア政府は「帝国の忠実な僕」として、イスラエルの免責を支え続けるだろうという冷徹な分析です。

戦争を煽る情報提供者

Zionists Underwrite 'Native Informants' to Fuel America's Wars | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの外交政策の裏側で、特定の利益集団がいかにして他国への介入を正当化しているか。マット・ウルフソン氏による告発記事をご紹介します。2026年1月、ドナルド・トランプ政権がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束した際、その法的根拠の一つとなったのは、同国の野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏からの「要請」があったという情報でした。ウルフソン氏は、これが単なる一例ではなく、数十年にわたる根深い構造の一部であると主張しています。

その構造の鍵となるのが、パレスチナ出身の知識人エドワード・サイードが提唱した「ネイティブ・インフォーマント(現地の情報提供者)」という概念です。これは、母国を離れて欧米の学術界やメディアで地位を確立した非欧米の知識人が、帝国の権力者が「聞きたがっていること」を現地の専門知識として提供し、侵略や政権交代の道筋をつくる役割を指します。かつてイラク戦争の際に、「解放されればイラクの街は歓喜に包まれる」と予測してブッシュ政権を後押ししたレバノン系アメリカ人のフアード・アジャミ氏がその典型です。

筆者によれば、こうした「情報提供者」たちの背後には、イスラエルの国益を最優先するシオニストの強力なネットワークが存在しています。マチャド氏だけでなく、イラン、ナイジェリア、キューバなどの亡命者や知識人が、シオニスト資本のメディアやシンクタンクを通じて登用され、トランプ政権の外交政策に多大な影響を与えています。彼らは「自由」や「人権」という普遍的な言葉を使いながら、実際には当該国の主権を無視し、イスラエルにとって有利な地域秩序を構築するためにアメリカの軍事力や資源を利用しているというのです。

かつてアジャミ氏が予測を外し、イラクが泥沼化した教訓は生かされていません。現在、CBSニュースの編集長バリ・ワイス氏が率いるメディアなどを通じて、新たな「現地のスター」たちが次々と紹介され、イランの分割案や他国への介入が公然と議論されています。ウルフソン氏は、これら「情報提供者」たちの個人的な野心とシオニストの戦略が結びつくことで、アメリカ市民の利益とは無関係な場所で戦火が広がり、結果として世界をより危険な場所にしていると厳しく批判しています。

株暴落は悪ではない

Of Two Minds - A Market Crash and Recession Are Bullish, Not Bearish [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの経済界では今、極めて深刻な誤解が蔓延していると、ある記事が鋭い警鐘を鳴らしています。私たちは通常、株価の暴落や景気後退を「悪」と捉えがちですが、筆者はこれこそが資本主義を健全に保つための「強気」なプロセスであると主張しています。現在の市場に漂っている「経済や市場は常に右肩上がりであるべきだ」という考え方は、資本主義の本質から最も遠い「集団的な幻覚」に過ぎないというのです。本来、本物の資本主義とは、過剰な債務やレバレッジ、そして行き過ぎた投機を定期的に一掃することで、自己修正と適応を繰り返すシステムです。もしこの自浄作用をシステムから取り除いてしまえば、資本主義そのものが崩壊してしまいます。

記事では、市場が常に上昇し続けるという物語を支えるために、いくつかの正当化がなされていると指摘します。例えば、成長セクターを渡り歩けば成長は持続できるという説や、経済がもはや暴落に耐えられないから何としても阻止すべきだという意見、さらには中央銀行が流動性を操作すれば下落を完全に回避できるという過信です。しかし、これらはどれも破綻しています。強欲や熱狂といった人間の心理が引き起こす行き過ぎた投機は、必ずどこかでリセットされなければなりません。

この状況を理解するために、筆者は「森林火災」という非常に分かりやすい比喩を用いています。森にたまった枯れ木を定期的な小規模の火災が焼き払うことで、新しい命が芽吹く空間が生まれます。これが自然の摂理です。しかし、もし当局がこの「健康的な火災」を無理に抑え込んでしまったらどうなるでしょうか。森には負債や投機という名の「枯れ木」が危険なほど積み上がり、やがて火がついたときには、森全体を焼き尽くすような取り返しのつかない大火災へと発展してしまうのです。今の私たちは、まさにこの壊滅的な結末に向かっています。

市場が80パーセントも暴落し、数年かけてリセットされることは、損失を被る人々にとっては悲劇に見舞われた弱気相場に見えるでしょう。しかし、長期的で広い視点に立てば、システムの崩壊を防ぎ、経済を再び有機的に再生させるための極めて前向きなプロセスなのです。当局がさらなる刺激策を講じて、歪んだシステムを維持しようとすることは、資本主義を守ることではなく、むしろ破滅を早める行為に他なりません。

金をどこに保管するか?

Your Gold Is Only as Good as Where You Store It - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】資産防衛の手段として金(ゴールド)を保有する場合、多くの人が見落としがちな鉄則があります。それは「金そのものを持つことと同じくらい、どこに保管するかが重要である」という点です。現物の金塊を目の前にすると、その不変の価値に安心しがちですが、海外の投資専門家は、保管場所の選択を誤れば、政府や銀行による「資産没収」のリスクにさらされると警告しています。

現在、欧米諸国をはじめとする多くの国々は膨大な債務を抱え、実質的に破綻状態にあります。こうした国々の政府が窮地に陥ったとき、歴史が証明するように、彼らはなりふり構わず国民の資産を狙ってきます。増税や通貨発行による価値の希釈、そして資本規制。かつては安全と思われていた銀行の貸金庫でさえ、今や「ベイルイン」、つまり銀行救済のために預金や資産が強制的に削られる法律が整備されている地域では、決して安全な避難所ではありません。また、ETFなど証券化された金も、実際には現物以上の「紙の約束」が乱発されている疑いがあり、いざという時に手元に現物が残らないリスクを孕んでいます。

こうした背景から、真に賢明な投資家たちは、銀行システムから完全に切り離された「オフショア(国外)」の独立した保管施設へと金を移し始めています。特定の国の規制や政治的混乱から資産を物理的に遠ざける「資産の国際化」が、現代のサバイバルには不可欠なのです。著者は、金塊を保管する場所として、政府や銀行のコントロールが及びにくい司法管轄区を選ぶべきだと説いています。

では、具体的にどこが最適なのでしょうか。著者が推奨するのは、伝統的なスイスに加え、より現代的で顧客保護に積極的なシンガポール、そしてケイマン諸島の3拠点です。これらの地域は、米欧などの巨大な権力を持つ政府からの不当な圧力に対し、独自性を保ちながら投資家の権利を守ってきた実績があります。そして最も重要な戦略は、これらの中から一つを選ぶのではなく、三つの拠点に「分散」して保管することです。これにより、万が一どこか一箇所で予期せぬ法改正や紛争が起きても、全財産を失う事態を避けられます。自分の資産を自分自身でコントロールし続けるためには、特定の国家に依存しない知恵が求められているのです。

捏造された抗議デモ

Who’s Funding the Protest Movement? Who’s Behind it? It’s Called 'Manufactured Dissent' - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】世界各地で巻き起こる大規模な抗議デモや「草の根」の社会運動。これらが実は、打倒の対象であるはずの大企業や富裕層の財団によって裏で資金提供され、コントロールされているとしたらどうでしょうか。カナダの経済学者ミシェル・チョスドフスキー教授は、この現象を「製造された異議」と呼び、その危険性を鋭く指摘しています。

教授は、2011年の「ウォール街を占拠せよ」運動や、近年の人種差別反対運動などの事例を挙げ、これらがいかに「金融エリート」の手のひらの上で転がされているかを分析しています。驚くべきことに、ウォール街の強欲を批判する運動の背後には、ジョージ・ソロス氏の財団やフォード財団といった、グローバル資本主義の象徴とも言える組織からの巨額の資金が流れています。教授は「帝国(エリート層)に立ち向かう運動を組織しながら、その経費を帝国に支払ってもらうことなど不可能だ」と断じ、資金を受け取った時点で、運動はエリート層の利益を脅かさない「限定的な異議申し立て」に変質してしまうと警告しています。

また、教授はこうした運動が、しばしばアメリカなどの外部勢力による政権転覆(カラー革命)の道具として利用されている側面にも言及しています。例えばエジプトやチュニジアの「アラブの春」では、現地の運動指導者たちが米政府系の財団から支援を受け、特定のロゴやスローガンを使うよう訓練されていました。その結果、独裁者は倒れても、国際通貨基金(IMF)などが主導する新自由主義的な経済構造は温存され、国民の生活はむしろ悪化するという皮肉な結末を招いています。リビアの事例についても、メディアが報道しないNATOによる爆発的な破壊活動や、実はアフリカで最高水準だった当時の生活水準が壊滅した事実を指摘し、抗議運動が戦争や国家破壊を正当化する「隠れ蓑」にされていると批判しています。

真に社会を変えるためには、単に路上で声を上げるだけでなく、職場や大学、地域社会に根ざした強力な組織構造を持つことが不可欠だと教授は説きます。大企業は極めて緻密に組織化されていますが、彼らはあくまで少数派です。もし「99%」の民衆が現状を変えたいのであれば、エリート層の寄付金に頼るのではなく、自前のプログラムと指導力を持ち、現在の歪んだ経済システムの正当性そのものを問わなければなりません。チョスドフスキー教授の見解は、私たちがニュースで目にする「正義のデモ」の裏側にある冷徹な権力構造を直視し、自発的で独立した市民運動の重要性を再認識させるものです。

国民団結より地方分権を

Calls for “Unity” Help the Federal Government Seize More Power | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカでは現在、連邦政府が地方の権限を吸い上げ、中央集権化を推し進める動きが加速しています。海外の専門家が指摘するところによれば、国家というものは常に権力の集約を望む性質があり、アメリカでも連邦政府が州独自の政策に介入し、教育や医療、交通といった市民生活の細部にまで連邦機関の影がちらつくようになっています。本来、各州が自治権を持つのがアメリカの伝統的な姿でしたが、今や連邦政府の補助金が、州の政策を中央の意向に従わせるための強力な「手綱」として機能しているのが現状です。

この記事の著者が特に警鐘を鳴らしているのは、「国民の団結」や「統一性」という言葉が、中央政府の権力拡大の免罪符として使われている点です。具体的には「州から州への移動が自由である以上、一つの州の緩い規制は他州に悪影響を及ぼす」という論理が多用されています。例えば、銃規制や麻薬対策、そして移民政策において、一部の州が独自の寛容な方針をとれば、そこから人や物が全米に流れ込むため、結局は連邦政府が一律の基準で管理すべきだという理屈です。このように「州境が開放されているからこそ、政策も統一されなければならない」という主張が、中央集権を正当化する強力な武器となっていると著者は分析しています。

興味深いことに、著者はこの構図を歴史的な「逃亡奴隷法」の事例に重ね合わせています。かつて奴隷主たちが、自分たちの利益を守るために連邦政府の力を借りて全国一律の強制執行を求めたように、現代の政治家たちも、自分たちの理念を全米に押し付けるために中央の権力を利用しようとしているというのです。もし他州のやり方が気に入らないのであれば、本来は「州境を閉ざす」「連邦から離脱する」といった選択肢も議論されるべきですが、多くのアメリカ人は「国家は不可分な一つの単位である」という教育を受けているため、結局は中央政府による一括管理こそが唯一の解決策だと思い込まされていると指摘しています。

今日、アメリカ国内の文化的・思想的な分断はかつてないほど深まっています。著者は、こうした分断が進む今こそ、各地の自決権を尊重し、互いに干渉しない「地方分権」に立ち返るべきだと説いています。

公共サービスは資金不足か?

Are Government Services Underfunded? | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】スペインで発生した悲惨な列車事故をきっかけに、公共サービスの「資金不足」という言葉が議論の的となっています。犠牲者への哀悼の意を表しつつ、私たちは冷静に、政府が提供するサービスのあり方を経済学の視点から見つめ直す必要があります。多くの場合、公共サービスの質が低下すると、関係者は口を揃えて「予算が足りない」と主張しますが、問題の本質は金額の多寡ではなく、公共部門という仕組みそのものに潜んでいます。

まず、資金調達の本質を考えてみましょう。民間市場では、起業家が自らの責任で資金や労働力を確保し、消費者の需要を予測してサービスを提供します。消費者がその価値を認め、支払った対価が費用を上回れば「利益」が生まれ、価値が創造されたことが証明されます。しかし、公共部門は全く異なります。その資金は税金や借金、あるいは通貨発行によるインフレという形で、民間から強制的に徴収されたものです。そこには利益も損失もなく、サービスと収入が切り離されているため、資源が効率的に使われているかを確認する手段がありません。

自由市場において、物の価値を決めるのは個々の消費者の主観的な評価です。起業家は、「価格」という信号を頼りに、人々にとってより価値のあるものを生み出そうと努力します。対照的に、政府が運営する事業には、自発的な取引に基づく「真の価格」が存在しません。価格という情報がなければ、資源を合理的に配分することは不可能です。公共サービスを利用するのは「消費者」ではなく、単なる「利用者」に過ぎず、官僚が勝手に決めた予算の中で運営されるため、その事業が価値を生んでいるのか、それとも資源を破壊しているのかを判断する術がないのです。

公共サービスで常に「資金不足」が叫ばれる理由は、まさにこの計算不能な状況にあります。効率性が測定できないため、無駄が積み重なり、それを補うためにさらなる資源の投入が要求されるのです。また、利益追求の動機がないため、現場には改善のインセンティブが働かず、政治的に決まる賃金体系の中では、より少ない労働で多くの資源を要求することが合理的になってしまいます。

公共サービスは、民間市場に比べて常に高コストで低品質になりがちです。真の解決策は予算を増やすことではなく、公共の独占を縮小し、自由な民間企業による競争と、価格を通じた合理的な資源配分を取り戻すことにあります。

国家に「存在する権利」はない

Is Spite of What Zionists Say, It's a Good Thing to Criticize Governments | Mises Institute [LINK

【海外記事紹介】アメリカ国内で現在、信教の自由を巡る公聴会でのやり取りが大きな波紋を呼んでいます。発端は、親イスラエル派の活動家やラビたちが「反シオニズムは反ユダヤ主義である」と断定したことです。彼らの主張によれば、イスラエルという国家の存在を認めなかったり、その政策を批判したりすることは、それ自体がユダヤ人への差別にあたるとされています。具体的には、イスラエル国家を「非正当化」し、「悪魔化」し、さらには他国とは異なる「二重基準」で批判してはならないというのです。しかし、この記事の著者は、こうした言論の封じ込めは表現の自由に対する重大な脅威であると警鐘を鳴らしています。

著者は、いかなる国家にも「存在する権利」などというものは国際法上も自然法上も存在しないと指摘します。国連のアルバネーゼ特別報告者が述べているように、イタリアやフランスといった国々は現実に「存在」していますが、それ自体に法的な「存在する権利」があるわけではありません。権利を持つのはあくまで「人間(人民)」であり、国家という組織ではありません。国家は人間が作り出した便宜上の組織に過ぎず、歴史の中で絶えず形成され、解体されてきました。例えば、フランス共和国は1958年に成立した比較的新しい組織です。国家と、そこに住む民族や人々を混同してはなりません。したがって、イスラエル国家を批判したり、その正当性を問うたりすることは、他国と同様に認められるべき正当な政治的議論なのです。

現在、シオニストたちはイスラエルへの批判を「ヘイトスピーチ」や「デマ」と決めつけ、アメリカ憲法修正第1条が保障する表現の自由を制限しようとしています。しかし、特定の外国政府に対する批判を禁止することは、民主主義の根幹を揺るがす極めて危険な動きです。いかなる国家も神によって作られたものではなく、特権的な免責を享受すべきではありません。私たちは、国家という組織を神聖視する罠に陥ることなく、自由な批判の権利を守り抜く必要があります。もし特定の政府への批判を「差別」として封じ込めることを許せば、それは検閲の復活を招き、私たちの知る自由な社会は終焉を迎えることになるでしょう。

欧州にロシア回帰の兆し

Anchorage was the Receipt: Europe is Paying the Price... and Knows it. - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】ロシアのラブロフ外務大臣が放った「アンカレッジで、我々はアメリカの提案を受け入れた」という言葉。これが、米欧関係の欺瞞と、欧州が直面している冷酷な代償を象徴する「領収書」となっている現状を解説した論評をご紹介します。

2025年のアンカレッジ会談で、アメリカは関係改善の「提案」をテーブルに乗せましたが、実際にはその裏で米海軍を動かし、制裁執行の名の下に公海上でロシアの石油タンカーを追跡・拿捕し続けてきました。ラブロフ外相は、アメリカの言葉が単なる「パフォーマンス」であり、実際には制裁と海洋封鎖という「強制執行マシン」が止まることなく動き続けている矛盾を突きつけました。

この「制裁のブーメラン」を最も悲劇的な形で受けているのが欧州です。ロシア産ガスのシェアを45%から13%へ、石油を27%から3%以下へと強引に削減した結果、調整ではなく「切断手術」に近いダメージを負いました。欧州の経済的支柱であるドイツは、エネルギー価格の高騰により製造業が収縮し続けています。政府は自らの政策が招いたコストを補助金で補填するという、末期的な緊急避難措置を余儀なくされています。また、ロシアへの依存を脱したと言いつつ、実際にはより高価で不安定なアメリカのLNG(液化天然ガス)へと依存先を付け替えただけに過ぎません。

しかし、変化の兆しが現れています。権威ある外交誌フォーリン・ポリシーが、「欧州はプーチンへの回帰を準備している」という、かつては禁句だった見出しを掲げました。フランスやイタリアなどの主要国は、アメリカ抜きでロシアと直接交渉を行う必要性を悟り、凍結されていた対話チャンネルを密かに再開し始めています。これは思想の変化ではなく、「ロシアは崩壊しなかった」という冷徹な算術に基づく現実への適応です。

ロシア側はこの状況を冷静に読んでいます。ユーラシア統合を深め、独自の経済圏を構築したロシアは、欧州が自滅的な拒絶を続けて限界に達するのを待てる立場にあります。

欧州にとっての「ロシア回帰」とは、和解や悔い改めではなく、「ロシア抜きでは欧州の産業文明は存続できない」という地理的・物理的な現実の受け入れを意味します。スローガンや道徳劇の時代は終わり、欧州はアメリカの属国としてではなく、自らの生存をかけた主体的な外交へと舵を切らざるを得ない局面に立たされています。

金価格予想、6000ドルに引き上げ

Canadian Bank Ups 2026 Gold Forecast to $6,000 [LINK]

【海外記事紹介】カナダの有力銀行であるCIBC(カナダ・インペリアル商業銀行)が、最近の市場の調整局面にもかかわらず、2026年の金価格予想を1オンス6,000ドル、銀を100ドルへと大幅に上方修正したというニュースをご紹介します。これは、昨年10月時点の金4,500ドルという予想を塗り替える極めて強気な見通しです。

CIBCのアナリストがこれほどまでの高値を予測する背景には、止まらない「通貨(ドル)の減価」と、深刻化する地政学的リスクがあります。多くの投資家や中央銀行が、不透明な米国債から離れ、静かに金への資産配分を増やしていると指摘しています。また、トランプ大統領が次期FRB(連邦準備理事会)議長に指名したケビン・ウォーシュ氏についても、市場の「タカ派(利上げ派)」という評価を否定し、実際には「タカの皮を被ったハト(利下げ派)」になると分析しています。なぜなら、膨大な債務を抱える米国経済は、高金利環境にはもはや耐えられない「債務のブラックホール」に陥っているからです。

この記事のポイントを整理すると以下の通りです。

まず、強気な価格ターゲット。2026年の金価格は平均6,000ドル、2027年には6,500ドルに達すると予測。銀も2027年には120ドルまで上昇する見込みです。次に、ドルの信認低下。中央銀行が米国債の保有を減らし、通貨の切り下げに備える「不換紙幣(法定通貨)からの逃避」が加速します。そして、FRBのジレンマ。新議長候補のウォーシュ氏がどれほど厳格な姿勢を見せようとも、政府の借金と支出を支えるためには、最終的にFRBは利下げと資金供給(量的緩和)を選択せざるを得ないとみています。

主流派の金融機関であるCIBCが、法定通貨システムの構造的な欠陥をここまで率直に指摘するのは異例のことです。最近、金や銀が一時的に売られた局面もありましたが、CIBCはこれを「一時的なノイズ」と切り捨て、長期的な上昇トレンドは揺るぎないと結論付けています。

金需要、技術・産業向け堅調

Demand for Gold in Tech and Industry Was Steady in 2025 [LINK]

【海外記事紹介】「金は穴から掘り出されて別の穴に埋め直されるだけの、使い道のない石ころだ」という批判を耳にすることがありますが、それは大きな誤解です。2025年の金需要に関する最新データによれば、技術・産業分野での金需要は年間約223トンに達し、私たちの文明を支える不可欠な素材としての地位を改めて示しました。特に注目すべきは、急速に進化するAI(人工知能)分野です。金は銀と違って腐食せず、極めて高い導電性と加工性を持つため、AIを支える高速演算装置や接続素材において、代替不可能な役割を果たしています。

AIブームは、電子機器セクター全体に大きな変化をもたらしました。AI関連の製造需要が優先されたことで、一部の電子部品では価格高騰や供給不足といった「クラウドアウト(追い出し)」現象が発生しました。一方で、東アジア市場、特に日本を含むAIサプライチェーンが強固な地域では、電子機器向けの金需要は非常に堅調でした。また、次世代技術として期待される低軌道衛星通信の基板や、電気自動車(EV)、さらにはウェアラブル端末のセンサー技術など、最先端の「化合物半導体」分野でも金の採用が加速しています。これらは、従来の消費財市場の変動に左右されない、新しい技術主導の成長フェーズに入ったことを意味しています。

金の有用性はハイテク産業に留まりません。医療分野では、その安定性と光学特性を活かし、マラリアやHIVなどの迅速診断テストの核心部分に金ナノ粒子が使用されています。さらに研究段階では、金とチタンのナノワイヤーを用いて失明したマウスの視力を部分的に回復させるという驚くべき実験も行われており、命を救うための貴金属としての価値も高まっています。もちろん、宝飾品としての根強い人気も健在で、昨年の世界全体の金需要は史上初めて5,000トンを超える歴史的な記録を樹立しました。

投資家ウォーレン・バフェット氏はかつて金の有用性を否定しましたが、実際には金はその希少性と物理的特性ゆえに、世界で最も「役に立つ」金属の一つです。価格が高騰しているため、企業は使用量を抑える研究を続けていますが、それでも金が選ばれ続けるのは、それに代わる素材が存在しないからです。金は単なる資産としての「お金」であるだけでなく、私たちの未来のテクノロジーを動かす「万能の素材」なのです。

歴史小説と歴史の境界

The Challenge of Distinguishing History from Fiction | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】歴史小説と歴史的事実の境界線がいかに曖昧であり、私たちが抱く「心地よい物語」が、いかに真実を覆い隠してしまうかという問題について解説した論評をご紹介します。歴史小説の作家は、読者の興味を引くためにプロットを創作し、架空の対話やキャラクターを織り交ぜる自由を持っています。私たちがそこから歴史を学び、人間性を知ることは素晴らしいエンターテインメントですが、問題は、本来事実を伝えるべき歴史家が、虚構の物語を「正史」として提示し始めたときに起こります。

その最たる例が、アメリカのリンカーン大統領を巡る言説です。多くのアメリカ人は、リンカーンを奴隷解放のために戦った聖人君子のような英雄として仰いでいます。しかし、トーマス・ディロレンゾの著書『リアル・リンカーン』が指摘するように、教育現場で教えられている標準的な物語は、驚くほど事実と乖離しています。リンカーンが南北戦争を開始した最大の目的は、奴隷制度の廃止ではなく、あくまでも南部の分離独立を阻止し「連邦を維持すること」にありました。

実際、1862年の書簡でリンカーンは「奴隷を一人も解放せずに連邦を救えるならそうする」と明言しています。さらに、有名な「奴隷解放宣言」も、実際には北部(連邦側)に残った奴隷州の奴隷たちは解放せず、自身の権力が及ばない敵地(南部連合)の奴隷のみを「解放」すると宣言したに過ぎませんでした。これらは歴史的事実ですが、多くの人々はこの不都合な真実よりも、「善意に満ちた解放者」という物語を信じたがります。

経済学者ミーゼスは、優れたフィクションには「人間ならこう行動するだろう」という普遍的な人間理解があるため、事実と混同されやすいと分析しています。現代人は「奴隷制度は悪である」という価値観を共有しているため、過去の偉大な指導者も自分たちと同じ正義感に基づき、歴史の「正しい側」に立っていたはずだという期待を抱きます。歴史家がその期待に応える物語を提供するとき、事実は二の次になってしまうのです。

ミーゼスは、歴史の概念とは「かつての現実との一致」であり、自分たちを良く見せるための物語作りではないと説いています。私たちは、歴史を学ぶ際にそれが「事実」に基づいているのか、それとも「自分の願望を投影した物語」に過ぎないのかを冷静に見極める必要があります。

不確実なマネーの末路

Uncertain Money and Uncertain Times | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】かつて米連邦準備理事会(FRB)のボルカー議長が毎朝、ドルの価値を測る尺度として「今日の金価格」を気にしていた時代とは一変し、現職のパウエル議長が「貴金属の価格高騰はマクロ経済的には大したメッセージではない」と一蹴したとする、現代の通貨と資産の不確実性を巡る論評をご紹介します。会見でパウエル氏は、金・銀価格の歴史的な上昇はFRBの信頼性の欠如を意味するものではないと強気な姿勢を見せましたが、現実世界では「通貨の信頼性」を巡る動きがより生々しい形で表れています。

記事は、歴史的なエピソードとして、1978年に歌手のベット・ミドラーがコンサートツアーのギャラを金地金(インゴット)で要求したという、芸能界初の事例を引き合いに出しています。当時は1オンス100ドル台から800ドル台へ金が暴騰した時代でした。そして2026年現在、世界経済フォーラム(ダボス会議)に集まるエリートたちの裏側でも、エスコートの対価として、これまでのビットコインに代わり金の延べ棒や、なんと「DRAM(半導体メモリ)のスティック」が喜んで受け取られているという驚くべき噂が流れています。これは、デジタル資産(ゴールド2.0)と呼ばれたビットコインの魅力が薄れ、再び物理的な価値を持つものへと信頼が回帰している兆候かもしれません。

一方で、この「現物資産への逃避」も一筋縄ではいきません。金・銀市場ではわずか一日で数兆ドル規模の富が消失するという歴史的な暴落が発生しました。これはトランプ大統領によるタカ派のケビン・ウォーシュ次期FRB議長指名や、中国市場での過剰な投機マネーの引き揚げが引き金となったと分析されています。世界最大の金卸売市場である中国・深圳の「水貝(シュイベイ)」金市場では、買い取り価格と販売価格に巨大な開きが生じ、消費者の信頼はどん底に落ちています。

投資家の関心は、価格変動の激しい暗号資産から、ポリマーケットのような「予測市場」へと急速にシフトしており、バイナンスのような既存の取引所は利用者を半減させています。記事は、こうした現象を「不確実な時代の不確実なマネー」の末路として描いています。 

隠蔽は終わらない

It's Still a Coverup | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】エプスタイン事件の全容解明を目指し、2025年に超党派で成立した「エプスタイン・ファイル透明性法」ですが、その実態は「依然として隠蔽が続いている」と言わざるを得ない悲惨な状況にあります。この記事は、司法省が法律で定められた期限や公開義務を平然と無視し、権力者たちを守るための盾として機能している現状を、具体的かつ痛烈に告発しています。

この法律は、共和党のトマス・マッシー議員と民主党のロー・カーナ議員が主導し、政府高官を含むすべての関係者の実名や飛行記録、捜査資料を黒塗りなしで公開することを命じたものでした。しかし、司法省は当初の期限を大幅に過ぎてから、ようやく全資料の半分にも満たない一部を公開したに過ぎません。しかも、司法省のウェブサイトからトランプ大統領とエプスタインが写った写真を含む重要ファイルが説明なく削除されたり、議会への原本提供を拒否したりと、その対応は不誠実極まりないものでした。さらに、カシュ・パテルFBI長官は議会証言で「エプスタイン以外に加担者はいない」という、公開された資料の証拠とも矛盾する主張を堂々と行っています。

記事が最も深刻視しているのは、この「不処罰の構造」がアメリカの政治システムに深く根を張っている点です。過去を振り返れば、ビル・クリントン元大統領の偽証や、情報機関の幹部たちが議会で「嘘」をついても処罰されずに昇進してきた歴史があります。ヒラリー・クリントン氏のメール問題でも、当局は「違反の証拠はあるが起訴はしない」という特別扱いを選びました。今回のエプスタイン事件もまた、エリート層が互いを守り合う「超党派の隠蔽工作」の系譜に連なるものです。司法省の現職幹部たちは、かつてエプスタインに有利な司法取引を与えた組織そのものであり、自らの非行を暴くような調査を行うはずがありません。

結局のところ、検察官は政治的な上司に顔を伺い、議員は寄付者の名がリストに載るのを恐れ、諜報機関は自らの不正が露呈するのを防ごうとします。法律が誠実な運用を前提としていても、独立した執行メカニズムがなければ、権力者は秘密を選ぶという「経済的な合理性」に従うだけです。記事は、この現実を直視し、国家が自浄作用を持つという幻想を捨てるべきだと訴えます。

エリート免責の構造

Epstein and the Structure of Impunity | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】エプスタイン事件に関する機密文書の公開を巡り、現在アメリカでは「司法の不処罰」という深刻な構造的問題が浮き彫りになっています。この記事の著者は、世間の関心が個人のスキャンダルや名声の失墜にばかり向いている現状を危惧し、真の問題は「法律が権力者にとって不都合になったとき、政府機関がいかに容易にそれを無視できるか」という統治の仕組みにあると指摘しています。

2025年11月、米議会は「エプスタイン・ファイル透明性法」を成立させました。これは司法省に対し、30日以内にすべての記録を公開するよう命じた極めて明確な法律です。名誉毀損や政治的理由での黒塗り(非公開)を禁じるなど、これまでの曖昧さを排除した設計になっていました。しかし、司法省は期限を過ぎても一部の記録しか公開せず、広範な黒塗りを継続したまま、一度公開した文書を削除することまでありました。法的な義務があるにもかかわらず、不履行に対する罰則がないため、当局は「都合の良い範囲でのみ公開する」という対応を選択したのです。

著者は、これが単なる官僚的な遅延ではなく、米国のエリート層が享受している「免責」の構造そのものだと主張します。エリートたちの信頼性は道徳的な高潔さによって保たれているのではなく、情報操作や法的特権、恣意的な法執行といった「制度的な緩衝材」によって守られてきました。今回、司法省が法律を軽視して自己保護に走ったことで、こうした保護メカニズムが図らずも可視化されてしまったのです。信頼の失墜は、不快な事実が明らかになったからではなく、法律という絶対的な命令が「コストなしで無視できる」ことが証明されたために起きています。

行政機関を監視するはずの議会の対抗手段も、現実には形骸化しています。不服従に対する刑事告発を処理するのは司法省自身であり、民事訴訟は特権の壁に阻まれて遅々として進みません。その結果、行政側は「適当に時間を稼ぎ、部分的に公開して体裁を整える」ことが合理的な戦略だと学習してしまいました。この記事は、この構造を正さない限り、どんなに立派な透明性法を作っても、それは単なる象徴的なジェスチャーに終わり、権力の暴走を止めることはできないと鋭く批判しています。真の問題は個人の不道徳ではなく、チェック・アンド・バランスが機能しなくなったシステムの機能不全にあるのです。

「麻薬との戦い」の偽善

Uncle Sam, Drug Traffickers, and Their Friendship | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ政府が掲げる「麻薬との戦い」の裏側で、歴代政権がいかに地政学的な利害を優先し、麻薬密売に関与する独裁者や指導者たちと「密月関係」を築いてきたか。その驚くべき偽善の実態を暴く論評をご紹介します。物語は2024年、ホンジュラスの前大統領フアン・オルランド・エルナンデス氏が、数百トンのコカインを米国に密輸した罪で禁錮45年の実刑判決を受けたことから始まります。彼は米国から多額の麻薬対策支援を受けながら、裏では「国家公認の麻薬密売」を行っていました。しかし、2025年12月、トランプ大統領はこの有罪判決を受けた密売人を「政治的迫害の犠牲者」として恩赦を与え、釈放したのです。

こうしたパターンは、数十年前から繰り返されてきました。パナマの独裁者マヌエル・ノリエガは、CIAなどの米情報機関の貴重な資産として、ゲリラ情報の提供や暗殺計画に協力していました。米国は彼が麻薬密売で巨万の富を築いていることを把握していましたが、ニカラグアのサンディニスタ政権打倒という戦略目標を優先し、彼の犯罪を黙認していました。彼が起訴されたのは、戦略的な価値がなくなった後のことでした。ペルーでも、CIAから年間100万ドルの支援を受けていた情報機関トップのモンテシノス氏が、裏では麻薬王から賄賂を受け取り、保護料を徴収していました。

さらに衝撃的なのは、コロンビアの元大統領アルバロ・ウリベ氏のケースです。彼はワシントンの最も忠実な同盟者として巨額の支援を受けましたが、米機密文書によれば、大統領就任前からメデジン・カルテルのパブロ・エスコバルと親交があり、「有力な麻薬密売人」のリストに名を連ねていました。そして現在、最も露骨な事例として挙げられているのが、エクアドルのダニエル・ノボア大統領です。2025年に発覚した調査報道によれば、彼の家族が経営するバナナ輸出会社から、過去数年間にわたり合計700キロ以上のコカインが発見されていました。警察の報告書は「大統領一家の会社」であることを理由に隠蔽されました。

このように、米国は表向きには「麻薬撲滅」を叫び、軍事支援を行っていますが、そのパートナーたちが麻薬密売そのものを主導している現実を意図的に無視し続けています。マルコ・ルビオ国務長官はノボア大統領との「強固なパートナーシップ」を称賛し、一家の密売疑惑には一切触れていません。

2026-02-11

テック依存の落とし穴

One Glitch Away From Chaos (It’s scary how fragile the human existence is) – Preppgroup [LINK]

【海外記事紹介】月曜日の朝、アラームが鳴らず、スマートスピーカーは沈黙し、銀行アプリも開かない。そんな光景から始まるこの記事は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)で発生した大規模なシステム障害を切り口に、私たちの日常生活がいかに危うい基盤の上に成り立っているかを鋭く告発しています。世界中のクラウド市場の約3割を支配するアマゾンの一拠点でのトラブルが、SNSや動画サイトだけでなく、航空機のチェックイン、銀行決済、さらには自宅のスマートロックや防犯カメラまでを麻痺させました。著者は、これを単なる「一時的な不具合」ではなく、テクノロジーに依存しすぎた現代社会への深刻な警告であると捉えています。

現在、インターネットのインフラの約7割を、アマゾン、グーグル、マイクロソフトのわずか3社が支配しています。私たちは「クラウド」という言葉を、データがどこか魔法のような安全な場所に保管されているかのように捉えがちですが、実態は「他人の倉庫にあるコンピュータ」に過ぎません。その倉庫が闇に包まれれば、私たちの生活も同時に停止します。支払いやドアの解錠といった日常の基本的な動作までもが、一企業のミス一つで左右される現状は、進歩という名の「依存」に他なりません。著者は、デジタル化が進むほど、私たちは「所有」を失い、企業の「許可」を得て生活している状態に陥っていると指摘します。

さらに恐ろしいのは、これが「事故」ではなく「意図的」に引き起こされる可能性です。中央銀行デジタル通貨(CBDC)などが導入され、完全なキャッシュレス社会になった時、システムを遮断されることは、社会的な死を意味します。著者は、今回のような障害を、将来起こりうる組織的なサイバー攻撃や管理社会による強制停止の「リハーサル」だと警告しています。デジタルという「鎖」が断ち切られたとき、社会はパニックと混乱に陥るでしょう。

こうした危機を前に、著者は「インターネットが存在しないかのように備える」ことを提唱しています。手元に現金を残し、オフラインでも動く機器を使い、重要な情報は紙に印刷して保管すること。そして、システムが機能しなくなったときでも助け合える地域のネットワークを築くこと。利便性の裏側に潜む脆弱性を直視し、システムが「一時的」ではなく「永久」に停止する前に、自立した生活基盤を整えるべきだというメッセージは、デジタル化を急ぐ私たち日本人にこそ重く響くはずです。

大企業はヒーローか悪党か

Big Business: Hero, Villain, Or Both? | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】この記事の著者は、「大企業はヒーローか、それとも悪党か」という問いに対し、自由主義経済の歴史的な議論を引き合いに出しながら、多角的な視点を紹介しています。

まず紹介されるのは、20世紀の思想家アイン・ランドの視点です。彼女は1961年に、アメリカの驚異的な工業発展を支えた実業家たちを「アメリカで最も迫害されている少数派」と呼びました。人類史上かつてない生産性を発揮し、人々の生活を豊かにした英雄であるにもかかわらず、知的階級や官僚からは「強欲な搾取者」としてスケープゴートにされているという主張です。彼女の目には、大企業は消費者への貢献の結果として成功したにもかかわらず、不当に疎まれる悲劇のヒーローとして映っていました。

一方で、経済学者のマレー・ロスバードやミルトン・フリードマンは、これとは対照的な「悪党」としての側面を指摘します。ロスバードは、大企業こそが国家と結託して自由経済を破壊してきた主犯であると論じました。彼らの多くは、政府に働きかけて補助金や独占権、有利な規制といった特権を引き出し、競合他社を排除することで、一般市民の犠牲の上に利益を得ようとする「重商主義者」だというのです。フリードマンもまた、「多くの実業家は自由市場の敵である」と述べ、市場が本来持つ抑制機能を政府を利用して回避しようとする大企業の性質を批判しました。

著者は、これら二つの視点は決して相容れないものではないと結論づけています。アイン・ランドが説いた「自由な市場で価値を生み出し、成功を収める企業」としての理想像は称賛に値します。一方で、ロスバードらが批判した「政治と癒着して不当な特権をむさぼる実業家」の実態には、軽蔑の目を向けるべきです。現代の私たちに求められるのは、大企業を盲目的に敵視したり崇拝したりすることではありません。相手が「利益を上げること自体が邪悪だ」と言うならランドの論理で起業家を擁護し、相手が「企業と政府の癒着」を嘆くならフリードマンの論理で自由市場による解決を説く。状況に応じて、ビジネスの「正の側面」と「負の側面」を冷静に見極めるバランス感覚が必要なのです。

世界経済フォーラムとエプスタイン氏

The WEF Is Being 'Epsteined' - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】世界経済フォーラム(WEF)の現職CEO、ボルゲ・ブレンデ氏が、故ジェフリー・エプスタインとの深い関わりを指摘され、組織が「崩壊」の危機に瀕しているという驚くべきニュースをお伝えします。米司法省が先日、エプスタインに関連する約350万ページに及ぶ膨大な記録を公開したことで、事態は急展開を迎えました。その記録には、WEFのリーダーであるブレンデ氏の名前が頻繁に登場し、彼がこれまで主張してきた「エプスタインとは一度夕食を共にしただけ」という釈明が事実と異なることを裏付ける証拠が示されています。

実際には、ブレンデ氏とエプスタインの間で2018年から2019年にかけて少なくとも27通のメッセージが交わされ、エプスタインの自宅で3回の個別夕食会が行われていたことが判明しました。これを受け、WEF理事会はブレンデ氏に対する外部機関による独立調査を開始。内部では、前会長のクラウス・シュワブ氏がスキャンダルによって事実上の更迭に追い込まれたのに続き、現トップも不名誉な形で去ることになるのではないかとの懸念が広がっています。

この記事の著者は、WEFの背後で実権を握っているのは、世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOであると指摘します。ブラックロックはWEFの最大の資金源であり、軍需、金融、ハイテク、製薬といった主要産業を牛耳る存在です。著者の推測によれば、フィンク氏はWEFのイメージを刷新するために、エプスタインとの汚点を持つブレンデ氏を排除しようと、自身が影響力を持つメディアを通じてこの情報を意図的に流した可能性があるというのです。

さらに深刻なのは、エプスタインの背後にいたのがイスラエルのモサドなどの諜報機関であり、彼らが世界の指導者や富豪たちを性的なスキャンダルで「恐喝」し、支配下に置いてきたという構図です。各国の王室や大統領、首相までもがこの「エプスタイン・ゲーム」に加担していたとすれば、このスキャンダルの連鎖は、現在の世界秩序そのものをドミノ倒しのように崩壊させる破壊力を持っています。

著者は、この混沌はエリート層による支配構造が終わりを迎える予兆であると述べ、私たち市民が良心と共感に基づいた新たな文明を築くチャンスであると呼びかけています。

レガシーメディアの崩壊

Washington Post Axes One‑third of Staff as Legacy Media Collapse Continues - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカを代表する名門紙「ワシントン・ポスト」が、全従業員の3割にあたる約300名の記者を解雇するという衝撃的なニュースが入ってきました。これは単なる一企業のリストラではなく、かつて世論を支配した「レガシーメディア」の崩壊が決定的な段階に入ったことを象徴しています。同紙のマット・マレー編集局長は、長年にわたる巨額の赤字と、読者のニーズに応えられていない現状を認めました。特に注目すべきは、同紙が特定の政治的思想に偏りすぎ、一部の読者層に向けてしか記事を書いてこなかったことが経営悪化の要因であると示唆した点です。

ワシントン・ポストは現在、深刻なジレンマに直面しています。オーナーである億万長者のジェフ・ベゾス氏は、中立性を高めることで購読者を広げようと画策し、大統領選での特定候補への支持表明を中止させました。しかし、この方針転換は長年のリベラルな支持層を怒らせて数万人の解約を招く一方で、保守層からの信頼を勝ち取るまでには至っていません。世論調査によれば、新聞やテレビなどの既成メディアを信頼しているアメリカ人はわずか28%と過去最低を記録しています。特に若年層のメディア離れは顕著で、情報の主役はSNSや個人ポッドキャストへと完全に移り変わりました。かつて情報の「門番」だったメディアの権力は、情報の民主化によって崩壊したのです。

記事の著者はさらに踏み込み、ワシントン・ポストを「統治階級の広報機関」であると厳しく批判しています。1950年代から続くCIAのメディア操作計画「プロジェクト・モッキンバード」を引き合いに出し、同紙を含む主要メディアの幹部たちが、外交問題評議会(CFR)のようなエリート組織のメンバーとして、政府と一体となって世論を形成してきた歴史を指摘します。記者たちは単に政策を報じるだけでなく、支配階級の一員として政策そのものを作ってきたというのです。

レガシーメディアの衰退は、情報の透明性や自由を重んじる人々にとっては歓迎すべき事態かもしれません。しかし、著者は「ディープステート(闇の政府)」がこのまま黙って権力を手放すことはないと警告しています。彼らはSNSへの検閲圧力を強め、インフルエンサーを雇い、ボットを使って偽の世論を捏造するなど、新たな戦場での情報戦を仕掛けてくるでしょう。メディアの形が変わっても、真実を巡る戦いはむしろ激しさを増しているようです。

破壊と復興のマッチポンプ

Trump’s Keynesian Plan for Ukraine | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ政権がウクライナの復興に向けて打ち出した「繁栄計画」の実態について、鋭い批判を展開する記事をご紹介します。現在、ウクライナとアメリカは、ダボス会議において約10年で8000億ドル、日本円にして約120兆円という巨額の資金を投じて国を再建する「繁栄協定」の署名を計画しています。ウクライナのゼレンスキー大統領は、この計画が経済を回復させ、雇用を創出し、ウクライナに活気を取り戻すと強調しています。しかし、この記事の著者は、この計画をトランプ大統領による「ケインズ主義的」な手法であり、政財界が癒着した「縁故資本主義」の典型であると厳しく断じています。

なぜケインズ主義的なのか。それは、穴を掘って埋めるような無意味な公共事業が富を生むと説く、経済学者ケインズの理論をなぞっているからです。著者は、アメリカ政府がNATOを通じてロシアを刺激し、戦争を引き起こしてウクライナを破壊しておきながら、今度は多額の税金を使って復興させようとするのは、壊れた窓を修理して経済が潤うと錯覚するようなものだと指摘します。もしゼレンスキー氏が本当に経済や雇用を心配していたのであれば、そもそもNATOの傀儡となって戦争を始めるべきではありませんでした。戦争がなければ、若者たちの命やインフラ、人的資本が失われることはなく、復興のための巨額資金も不要だったはずです。一度失われた数百万人の命は、どんな復興計画でも取り戻すことはできません。

さらに記事が問題視しているのは、世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク氏が「繁栄アドバイザー」としてトランプ氏のチームに加わったことです。ブラックロックは、ロッキード・マーティンやボーイングといった名だたる防衛産業の主要株主であり、武器を売って利益を得る一方で、破壊された国を直してさらに儲けようとしています。これはまさに、特定の企業が政府と結託して国民の税金を吸い上げる構造です。戦争で武器を売り、復興で投資機会を得る。これこそが、自ら溝を掘って自ら埋めるという「死の商人」によるマッチポンプの構図だと著者は非難しています。就任時にすべての戦争を終わらせ、ワシントンの腐敗を一掃すると約束したトランプ氏ですが、現実は既得権益の「泥沼」に飲み込まれ、新たな利権構造を作り上げているのではないかという、厳しい警告を含んだ内容です。

借金まみれのクリスマス

Americans Borrowed A Lot to Pay for Christmas 2025 [LINK]

【海外記事紹介】2025年のクリスマス、多くのアメリカ人がクレジットカードという「魔法のカード」を使って祝宴をあげましたが、その後の家計には厳しい現実が突きつけられています。連邦準備理事会(FRB)の最新のデータによると、12月の消費者信用残高は予想外に急増し、前月比240億ドル増(年率5.7%増)を記録しました。これは2025年全体の平均伸び率の2倍以上に相当します。米国民が抱える消費者債務(カード、学生・自動車ローン等)はついに5.11兆ドルに達し、住宅ローンを含めた家計債務全体では18.59兆ドルという過去最高額を更新しています。

この「クリスマス・ラッシュ」は、実は不吉な予兆かもしれません。2025年後半、インフレと貯蓄の枯渇により消費者の借り入れ意欲は大幅に減退していましたが、12月だけは「最後の一振り」のようにクレジットカード(リボルビング債務)の利用が跳ね上がりました。マイク・マハリー氏は、これを「健康的な消費」ではなく、限界に近い家計が無理をして捻出した「借金まみれの祝祭」であると分析しています。実際、年収下位80%の世帯では消費が停滞し、一部の富裕層が消費全体を牽引する「K字型」の格差が鮮明になっています。

家計をさらに追い詰めているのが、高止まりする金利です。FRBによる利下げ期待とは裏腹に、クレジットカードの平均年利は19.61%と極めて高く、一部では30%近いケースも見られます。その結果、延滞率も悪化の一途をたどっています。

クレジットカードは、信用スコアが高い層(プライム層)でさえ、支払い遅延が前年比で47%も増加しています。学生ローンは、支払い猶予期間が終了した影響で、深刻な延滞(90日以上)への移行率が2000年の統計開始以来、最速のペースで急上昇しています。

リーガルシールド社の「消費者ストレス指数」は、コロナ・パンデミック初期の2020年3月以来の最高水準を記録しており、破産に関する相談も急増しています。マハリー氏は、パンデミック時の蓄えを使い果たし、カードの限度額まで使い切ったアメリカ人にとって、今回のクリスマス商戦は「最後のガス欠前の加速」だったのではないかと警鐘を鳴らしています。

政府は金取引に介入するな

South Dakota Lawmakers Vote To Kill Government “Transactional Gold” Boondoggle [LINK]

【海外記事紹介】米国サウスダコタ州議会において、州政府が主導する「取引型ゴールド(決済用金)」の導入法案が否決されたというニュースをお伝えします。この法案は、州政府が公認の貴金属保管庫を設置、あるいは特定の民間業者を指名し、金や銀を用いた電子決済システムを構築・運営するというものでした。一見すると、インフレ対策や通貨の多様化を求める健全な貨幣運動の一環のようにも見えますが、サウスダコタ州の銀行協会や商工会議所、そして健全な貨幣制度を推進する有力団体「健全な貨幣防衛連盟」までもが、この法案を「官民癒着による無駄な事業」として激しく批判し、反対票を投じる結果となりました。

反対派が懸念したのは、すでに民間市場で自由に行われている金・銀の売買や貯蔵、決済サービスに州政府が不必要に介入し、特定の業者を「お墨付き」にすることで自由競争を阻害する点です。法案を後押ししていたのは、政府の権威を背景に集客を狙う決済アプリ業者などの特定ベンダーであり、彼らは「州公認の業者を使わなければ金が没収される」といった、消費者の不安を煽る不適切なマーケティングを行っていたとも指摘されています。また、この法案が通れば、町中の小さなコインショップまでが銀行並みの厳格なライセンス登録を義務付けられ、膨大な事務負担と規制にさらされるリスクがありました。議員たちは、「国民は政府に自分の金(ゴールド)を管理されることを望んでいない」という、草の根の声に耳を傾けたのです。

サウスダコタ州は、もともと貴金属への課税や規制が少ないことで「健全な貨幣指標」において全米4位という高い評価を得ています。今回の否決は、政府が新たな仕組みを「作る」ことよりも、既存の規制を取り払い、自由な取引を維持することこそが真の健全な貨幣政策であるという判断を下したことを意味します。健全な貨幣防衛連盟のJP・コルテス執行理事は、州がすべきなのは決済ビジネスへの介入ではなく、中央銀行と同様に「州の予備費として金を保有し、財政の健全性を高めることだ」と提言しています。

ドイツが米国から金を取り戻す日

Germany Wants Its Gold Back (Again) - The Daily Reckoning [LINK]

【海外記事紹介】ドイツが誇る3350トンという世界第2位の金準備を巡り、米国に預けている分を「今すぐ本国へ戻すべきだ」という議論が再燃している状況をお伝えします。現在、ドイツはその保有量の約37%、時価にして約1700億ドル相当(2026年時点の金価格高騰下ではさらに高額)をニューヨーク連邦準備銀行の地下金庫に保管しています。この体制は、冷戦期にソ連の戦車部隊が西ドイツへ侵攻するリスクに備えた「安全保障上の避難」として始まりました。しかし、トランプ政権の再来による大西洋両岸関係の変化や、グリーンランド買収提案に代表される予測不能な外交姿勢を背景に、ドイツ国内では「もはや米国は信頼できる保管先ではない」との危機感が主流の議論に浮上しています。

かつて、ドイツ連邦銀行の監査官がニューヨークの金庫を視察しようとした際、入り口の控え室までしか入れなかったり、報告書の重要部分が黒塗りにされたりといった不透明な対応が、疑惑を深める要因となってきました。これに対し、元連邦銀行調査部長のエマニュエル・メンシュ氏ら有力な経済学者は、戦略的自立のために金の帰還を提言しています。さらに、欧州議会議員のマルクス・ファーバー氏のように、ドイツの当局者が自ら金塊を数え、詳細に記録する「実地監査」を定期的に行うよう求める声も強まっています。一方で、連邦銀行のヨアヒム・ナーゲル総裁は「連銀は信頼できるパートナーだ」として静観の構えを見せていますが、与党内からも「金準備が地政学的な人質にされるべきではない」との主張が出ており、足元は揺らいでいます。

米国側でもトランプ大統領やイーロン・マスク氏が政府効率化の一環として、長年行われていないフォートノックス等の金準備の全面監査を示唆しており、これが「実は金はもう存在しないのではないか」という長年の疑惑を刺激する形となっています。もし監査や返還要求の結果、実際に金塊が不足しているような事態が判明すれば、それは今世紀最大の金融スキャンダルとなり、ドルへの信頼を根底から破壊しかねません。貿易摩擦や同盟関係の亀裂が深まる中、ドイツが「自分の財布を自分の手元に置く」という極めて当たり前の要求を突きつける日は、そう遠くないかもしれません。それは、戦後の信頼に基づいた国際金融秩序が「新しい現実」へ移行する決定的な瞬間となるでしょう。

米財政、新たな危険水域に

US Government Adds $481B in Debt in 3 months | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの財政状況が、もはや「持続不可能」という言葉すら生ぬるいほどの、壊滅的な「列車事故」に向かっているという警告記事をご紹介します。2026年に入り、米政府の債務問題は新たな危険水域に突入しました。2025年1月に債務上限に達して以降、一時的に借り入れが制限されていましたが、制限解除後のわずか7カ月間で約2兆2800億ドルもの巨額資金が市場から吸い上げられました。現在、年間2兆ドル以上のペースで借金が増え続けることが「新しい常識」となっており、このままでは4年ごとに10兆ドルの負債が積み上がっていく計算です。

さらに深刻なのは、借金の「質」の悪化です。債務の平均満期は5.8年まで短縮しており、これは政府がより頻繁に借金を借り換え(ロールオーバー)しなければならないことを意味します。特に2026年には、前年より6000億ドルも多い債務の借り換えが控えており、市場の消化能力が追いつかなくなるリスクを孕んでいます。そして、ついに恐れていた事態が現実となりました。政府が支払う利息負担だけで、年間1兆ドルという途方もない大台を突破したのです。これはもはや、2021年頃まで語られていた「負担可能な債務」という概念を完全に置き去りにし、国家財政から現金が激しく流出し続けている異常事態です。

市場では、トランプ大統領に指名された次期FRB(連邦準備理事会)議長のケビン・ウォーシュ氏の手腕に注目が集まっています。彼は短期金利を引き下げる一方で、FRBの保有資産を圧縮して長期金利への抑制を外す「イールドカーブの急勾配化」を容認する姿勢を見せています。しかし、債務が中長期の国債に集中している現状では、この政策は将来の利息支払いをさらに膨らませる「諸刃の剣」となります。

この記事は、現在の財政状況を「数十年間にわたって時を刻んできた時限爆弾がついに爆発した」と表現しています。金や銀の価格高騰は、この財政破綻への不安心理を如実に反映しています。最終的に、FRBは再び長期国債を買い支える量的緩和(QE)に手を染めざるを得なくなり、それが米ドルの信頼をさらに失墜させるという、出口のない悪循環が予見されています。米国債を世界で最も保有する私たち日本人にとっても、対岸の火事では済まされない、極めて切迫した報告と言えるでしょう。

アメリカファーストの死

The death of 'America First' | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事紹介】トランプ大統領が掲げた「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」というスローガンが、今やタカ派の介入主義者たちによって完全に書き換えられ、形骸化してしまったという衝撃的な論考をご紹介します。2016年当時、トランプ氏のこの言葉は、ブッシュ政権以来の泥沼の戦争に疲弊した有権者に対し、「不必要な海外介入を控える」という平和への約束として響きました。かつての共和党主流派であるネオコン(新保守主義者)たちの好戦的な姿勢とは一線を画し、米国の国益を最優先して深入りを避ける「自制の外交」を期待させるものだったのです。しかし、この記事の著者は、現在のトランプ政権周辺で起きている現実は、その当初の理念とは真逆の方向へ進んでいると告発しています。

かつてトランプ氏を批判していたタカ派の政治家たちが、今では「アメリカ・ファースト」という看板を掲げながら、かつて以上の介入主義を正当化しています。マルコ・ルビオ国務長官は、ベネズエラでの政権交代やイランへの軍事的威圧、さらにはグリーンランドの買収提案までもが「米国第一」だと主張しています。バンス副大統領もイランへの爆撃の可能性を示唆し、ヘグセス国防長官はイランの核施設への攻撃を「力による平和であり、米国第一の体現だ」と称賛しました。著者は、こうした言説を「言葉の乗っ取り」であると断じています。本来、自国の若者の血を流さないためのスローガンだったはずが、今や特定の国への攻撃や他国の内政干渉を正当化するための便利な「ステッカー」に成り下がってしまったというわけです。

さらに深刻なのは、トランプ氏本人の変節です。かつて彼を支持したマジョリー・テイラー・グリーンやトーマス・マッシー、ランド・ポールといった反介入主義的な政治家たちは遠ざけられ、代わりに好戦的なリンゼイ・グラハム議員らがトランプ氏の側近として返り咲いています。トランプ氏は「この言葉を作ったのは自分であり、その定義を決めるのも自分だ」と豪語していますが、その実態はかつてのネオコン的な外交政策への回帰に他なりません。著者は、もはや「アメリカ・ファースト」という言葉は中身を失い、死に体だと嘆きます。かつて多くの人々が期待した「終わりのない戦争の終結」という夢は、権力者たちの手によって無残にも打ち砕かれ、再び米国は世界各地での紛争へと足を踏み入れようとしているのです。

教育の主権を家庭に取り戻せ

Republicans Save the Department of Education - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な自由主義政治家、ロン・ポール氏は、トランプ大統領と共和党が教育省の廃止という公約を事実上放棄した現状を、鋭い論調で批判しています。トランプ大統領は2024年の選挙戦中、1979年の設立以来、巨額の予算を投じながら学力低下を招いてきた教育省を閉鎖すると公言していました。2025年3月には省の廃止を求める大統領令に署名し、リンダ・マクマホン教育長官のもと、初等・中等教育プログラムを労働省へ移管するなどの解体作業に着手したかのように見えました。しかし、ポール氏によれば、先日トランプ大統領が署名した2026会計年度の歳出法案は、教育省を「救済」する内容となっているのです。共和党が多数派を占める上下両院で可決されたこの法案には、教育省に対して法定責任を果たすための人員維持を義務付け、他省庁への資金移管を禁止する条項が含まれています。

さらに驚くべきことに、この法案は教育省の予算を増額しています。ポール氏は、連邦債務が年間数兆ドル単位で膨れ上がる中で、憲法上の根拠を欠く閣僚部門の予算を増やすことは、極めて誤った判断だと断じています。もし教育省の完全な廃止が政治的に困難であるなら、少なくとも予算を削減すべきでしたが、現実には逆の方向に進んでいるというわけです。ポール氏は、教育省を本当に廃止するためには、不適切な教育システムに巨額の血税を投じることに憤る国民が、教育の管理権を州や地方、そして親の手へと取り戻すよう、議員たちに絶え間ない圧力をかけ続ける必要があると説いています。

こうした中央集権的な動きに対し、ポール氏は希望の光として、親が子供の教育をコントロールできる「教育貯蓄口座」や、私立学校、ホームスクーリングといった代替案の人気が高まっていることを挙げています。法案には私立学校の授業料やホームスクーリング費用に対する税額控除も盛り込まれており、これが既存の公教育に代わる選択肢を後押ししています。ポール氏は自身のオンライン・カリキュラムを例に、批判的思考力や企業家精神を育む教育の重要性を強調し、自由主義の理念に基づいた真の教育こそが、政治的なしつけに代わるべきだと主張しています。単なる行政機構の組み換えではなく、教育の主権を家庭に取り戻すことこそが、アメリカが直面する教育危機の唯一の解決策であるという、厳しい現実認識に基づいた提言となっています。

バブル景気から逃れられない理由

In Support of the Austrian Business Cycle Theory | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】今回は「オーストリア学派」の経済循環理論をめぐる、現代的な議論について紹介します。この理論は、中央銀行がインフレ的な信用拡大を通じて金利を人為的に引き下げると、本来なら不採算であるはずの事業に資金が流れ、資源の誤配置が起きると主張します。これが経済の「ブーム」を生みますが、やがて消費者の実情に合わないことが露呈し、中央銀行が引き締めに転じると、反動として「バスト(崩壊)」が訪れます。つまり、中央銀行の金融緩和こそが景気循環の罠を仕掛けているという考え方です。しかし、これには批判もあります。批判者は、経営者が経験から学習する存在であるなら、中央銀行の罠に何度もかかると考えるのは不自然だと主張します。賢明な経営者なら、中央銀行が後で金利を上げることを予測し、目先の低金利に惑わされず行動することで、景気循環そのものを無力化できるはずだというのです。

これに対し、この記事の著者は反論を展開しています。景気循環の本質は単なる金利の上下ではなく、通貨供給量の変化が引き起こす「無から有を交換する」という実体経済への実害にあるからです。中央銀行が貨幣を増やすと、その新しい資金を手にした人々へと、富を生み出す人々から資源が強制的に移転されます。このプロセスが始まってしまうと、経営者がどれほど将来を予測していても、景気循環の波を止めることはできません。また、通貨供給の変化が経済に影響を及ぼすまでのタイムラグは一定ではなく、予測は極めて困難です。さらに重要なのは、個々の経営者の立場です。例えば、建設業者が「この住宅需要は金融緩和による一時的なものだ」と見抜いていても、現実に目の前に需要がある以上、それに応えなければ即座に市場から脱落してしまいます。経営者には、その波に乗るか、ビジネスを辞めるかという選択肢しかありません。

結局のところ、中央銀行が緩和的な姿勢をとった時点で、経済の実害はすでに始まっており、人々の期待や予測によってその帰結を回避することは不可能なのです。この記事は、個人の賢明な判断だけでは防げない構造的な問題が中央銀行制度には内包されていることを、改めて浮き彫りにしています。著者が強調するように、景気循環という破壊的なサイクルの責任は、学習しない経営者にあるのではなく、そもそもその罠を仕掛け続けている中央銀行の側にこそあると言えるのです。

国民を分断する政府の戦略

Stop Fighting Your Neighbor: The Mechanics of State Power and How to Opt Out | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの論壇から、国家権力がどのようにして国民を分断し、自らの支配を正当化しているのかを鋭く分析した論考をご紹介します。私たちは危機のたびに政治や文化の対立によって敵味方に分かれ、隣人と争わされますが、著者はこれこそが権力の思うツボだと指摘します。国民が互いに争うことで注意が逸らされている間に、官僚機構は拡大し、監視や統制の仕組みが静かに強化されていくのです。国家というシステムは、その支配を維持するために、わざと内部に敵を作り出し、国民を「保護」に依存させ続ける必要があるという冷徹な視点が示されています。

この記事の著者は、人為的な危機の構築についても言及しています。インフレによって通貨の価値を下げ、複雑な規制で自由な経済活動を妨げることで、人々は将来に不安を感じ、確実性を約束してくれる「派閥」へと逃げ込みます。私たちが旗印やスローガンを掲げて隣人と罵り合っている隙に、中央銀行は預金を削り取り、利権団体は独占を固めています。著者は、こうした状況を「寄生虫」に例えています。宿主である国民を生かさず殺さず、流血に気づかないほど混乱させて搾取し続けるのが、生産性を持たないシステムの生存戦略だというわけです。

文明の基礎は、互いの自己所有権を認め合い、双方が利益を得る「自発的な交換」にあります。しかし、国家が育む「永久的な戦争心理」は、この相互尊重を破壊します。隣人は交換のパートナーではなく、打ち負かすべき敵へと変貌させられます。著者は、この分断こそが政治権力を制限できる唯一の力である「自由な結びつき」を奪う手段だと警告します。インフレを止められず、まともなサービスを提供できなくなった権力は、もはや恐怖と強制、そして絶え間ない「緊急事態」の演出でしか自らを維持できなくなっています。

では、私たちはどうすべきでしょうか。著者は、国家の仕組みを奪い取ろうとしたり、既存の政治勢力のどちらかを選んだりする「ゲーム」から降りることを提案しています。国家の許可を必要としない経済関係を築き、政府の通貨に頼らない取引や、独自の信頼ネットワークを構築する「カウンター・エコノミクス」の実践です。ビットコインでの決済や、握手で成立する信頼に基づいた取引、あるいは官僚を通さない相互扶助こそが、新しい世界への一票になると説いています。

2026-02-10

対イラン、米の理不尽な要求

Scott Horton Debunks Iran War Propaganda - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイランの間で緊張が極限まで高まる中、対外干渉に反対するリバタリアンの論客、スコット・ホートン氏が、イラン核問題を巡る根深いプロパガンダの嘘を暴いています。2026年2月、トランプ政権はイランに対し、核開発の完全停止に加え、イスラエルに届くミサイルの全廃、さらには「代理勢力」への支援停止という、およそ受け入れ不可能な最後通牒を突きつけました。ホートン氏は、これこそが歴史上繰り返されてきた「拒絶させるための提案」であり、戦争を正当化するための口実作りに過ぎないと指摘します。

振り返れば、イランは1968年から核不拡散条約(NPT)の加盟国であり、国際原子力機関(IAEA)の厳格な査察を長年受け入れてきました。アメリカのタカ派は「イランの濃縮活動そのものが宣戦布告に等しい」と煽りますが、実際には核兵器開発の証拠は見つかっていません。かつて話題になった「秘密の核兵器計画」を示す証拠物件も、実際にはイスラエルによる捏造であったことが、後にIAEAやCIAによって確認されています。ホートン氏によれば、イランの指導部は核兵器そのものを作るのではなく、ブラジルや日本のように、いざとなれば核武装できる技術力を持つことで抑止力を図る「潜在的核保有状態」を目指してきたのです。

2015年の核合意(JCPOA)によって、イランは自ら厳しい制限を課し、平和利用を証明しようとしました。しかしトランプ政権がこの合意を一方的に破棄し、さらには昨年6月にイランの核施設を爆撃したことで、外交による解決は風前の灯火となっています。いまアメリカが求めている「ミサイルの廃棄」は、国家の主権と防衛能力を完全に放棄せよと迫るものであり、これを呑む国はどこにもありません。ホートン氏は、アメリカがイスラエルの意向を汲むあまり、不可能な要求を積み重ねてイランを窮地に追い込み、予測不能な大戦争のリスクを冒している現状に、強い危機感を表明しています。

欧州、言論弾圧で二重基準

Across the West, speaking for Palestine is now a crime | The Electronic Intifada [LINK]

【海外記事紹介】いま、欧米諸国で「パレスチナ支持」を訴えることが、事実上の犯罪として扱われ、言論の自由が危機に瀕しています。この記事の著者であるジャーナリストのアリ・アブニマ氏は、パレスチナでの出来事を告発するために訪れたスイスで、警察によって突如拘束され、国外追放処分を受けました。後に裁判所はこの拘束を憲法違反と認めましたが、アブニマ氏は、これが欧米全体で広がる「イスラエルの犯罪を告発する声を封じ込める組織的なキャンペーン」の一部であると警鐘を鳴らしています。

アメリカでは、コロンビア大学の抗議デモに関連して拘束されたパレスチナ人女性、レカ・コルディア氏の事例が衝撃を与えています。彼女は手続き上の不備を突かれ、劣悪な環境の施設に長期拘束されています。裁判所が釈放を命じても、当局は法の抜け穴を利用して拘束を続けており、司法すら機能不全に陥っています。また、パレスチナ擁護派の外国人学生や教職員を標的にした一斉検挙や強制送還も行われており、連邦裁判所からは「言論弾圧のための憲法違反の共謀」であるとの厳しい批判も出ています。

弾圧はヨーロッパでも深刻です。フランスでは、イスラエル軍兵士を「大量虐殺者」と呼んだ女性が懲役刑を言い渡されました。ドイツではパレスチナ連帯のデモが暴力的に抑制され、イギリスではジェノサイド反対のプラカードを掲げただけで逮捕される一方で、虐殺を支持するプラカードは容認されるという、二重基準が常態化しています。さらに、親イスラエル派の億万長者によるTikTokの買収など、SNS上の検閲体制も強化されつつあります。

民主主義や言論の自由を至高の価値と謳う欧米諸国が、特定の国家を擁護するために自らの理念を犠牲にし、反対の声を上げる市民を犯罪者として追い詰めている――。この記事は、私たちが信じている「自由な社会」が、いかに容易に全体主義的な監視社会へと変貌しうるかという冷酷な現実を、具体的な被害者の声とともに突きつけています。

銃の権利、共和党の裏切り

Trump’s Assault on Our Right to Keep and Bear Arms - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守層を長年支えてきた「銃の権利」という大原則が、いまトランプ政権下で揺らいでいます。2026年2月、ワシントンD.C.の連邦検察官が「銃を市内に持ち込む者は、他州の免許があろうと逮捕する」と断言したことに端を発し、トランプ大統領本人もこれに同調する構えを見せました。事の起こりは先月、ミネアポリスの抗議デモで、合法的に銃を携行していたアレックス・プレッティ氏が連邦入国税関捜査局(ICE)の捜査官に射殺された事件です。トランプ氏は「銃を、しかも予備の弾倉まで持っていたのは良くないことだ」と被害者を非難し、さらにはFBI長官も「デモに銃を持ち込むことは許されない」と公言しました。

これは、これまでの共和党の立場からすれば驚くべき「変節」です。銃所有の自由を訴える団体や一部の共和党議員からは、「政府の暴政に立ち向かうための憲法修正第2条を、左派系のデモ参加者が行使した途端に見捨てるのか」という激しい怒りの声が上がっています。民主党議員からも「オバマが銃を奪いに来ると騒いでいた連中が、実はトランプ政権に銃を奪われようとしている」と皮肉られる始末です。トランプ政権のこうした姿勢は、単なる気まぐれではなく、国家の本質を突いていると言えるでしょう。20世紀の思想家マレー・ロスバードが説いたように、国家とは暴力の使用を独占しようとする組織であり、たとえ憲法に制限があろうとも、権力者は常にその制限を突破して支配を強めようとするものです。

アメリカ革命の火種となったのは、イギリス軍が植民地人の銃を没収しようとしたことでした。建国の父たちが憲法に銃の権利を刻んだのは、武装した市民こそが自由を守る最後の砦だと信じていたからです。しかし現在の政権は、法執行機関による「市民への処刑」を正当化するために、合法的な銃携行すら犯罪視しようとしています。歴史学者の視点で見れば、これはイデオロギーの問題ではなく、国家権力による個人の権利への侵害に他なりません。私たちは、政治的な立場にかかわらず、この「武装する権利」への攻撃に対して警戒を強める必要があります。

歴史は算術ではない

History Is Not a Mathematical Calculation | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】歴史とは、単なる数学的な計算や科学実験のようなものではなく、常に新しい発見に満ちた壮大な人間ドラマである――。歴史家クライド・ウィルソンのこの言葉は、私たちが過去をどう捉えるべきかについて、非常に重要な示唆を与えてくれます。昨今のアカデミズムでは、歴史を数値化しようとする動きが目立ちます。例えば、アメリカ南北戦争の原因を探るために、当時の宣言書に含まれる「奴隷制」という単語の出現回数を数え、その割合を円グラフにするような手法です。しかし、こうした「科学主義」的なアプローチは、歴史の真実を見誤らせる恐れがあります。特定の言葉が何度使われたかというデータだけでは、当時の人々が何を重んじ、どのような動機で行動したのかという、事件の背後にある「意味」を説明することはできないからです。

経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは、歴史を理解するためには、個々の人間が何を望み、どのような価値観を持って決断を下したのかを探る「サイモロジー(心理学的歴史理解)」が不可欠だと説きました。歴史とは事実の羅列ではなく、人間の経験そのものです。単に事実を並べるだけでは、意図的に特定の事実だけを抜き出し、誤った物語を捏造することも容易になってしまいます。歴史を学ぶ真の目的は、誰が正しかったかを裁くことではなく、「何が、なぜ起きたのか」を解明することにあります。そのためには、数値を追うのではなく、当時の指導者や市民が遺した日記、手紙、あるいは地域に伝わる記憶に耳を傾ける必要があります。

例えば、かつての南部社会には「富裕な農場主」と「貧しい白人」しかいなかったという説が一般的でしたが、歴史家のフランク・オウスリーは、実際にはそのどちらにも属さない独立自営農民が多数派であったことを、当時の生活の実感や記憶を辿ることで明らかにしました。統計データや紋切り型の階級闘争論だけでは、こうした歴史の「手触り」や「質感」は消し去られてしまいます。大学の権威が認めた論文だけでなく、当事者たちの物語を幅広く参照して初めて、私たちは過去の過ちから真に学ぶことができるのです。歴史をイデオロギー的なスローガンとしてではなく、人間理解のための「物語」として捉え直す姿勢が、今こそ求められています。

ブラジル、偽りの市場経済

Brazil’s Social Function Trap: When Property Becomes Conditional, Markets Become Political | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】ブラジルは、民主主義と市場経済を兼ね備えた国として知られています。しかし、そこで暮らす人々の実感は少し異なります。所有権という、市場経済の根幹をなす権利が、実は非常に不安定な状態にあるからです。経済の自由を重視する視点から書かれた今回の記事は、ブラジルにおける「所有権の罠」について鋭く分析しています。

ブラジル憲法は所有権を保障していますが、同時に「所有権は社会的機能を果たさなければならない」という条件を付けています。一見すると、社会貢献を促す耳ざわりの良い言葉のようですが、ここが落とし穴です。「平和的に取得したから自分のものだ」という理屈ではなく、「国家が社会的に有益だと認める限りにおいて、あなたの所有を認める」という論理にすり替わってしまうのです。この「社会的機能」の定義は時の政府や政治状況によっていくらでも伸縮するため、私有財産は常に、政治的な介入というリスクにさらされることになります。

例えば、都市開発や公共事業の名目で行われる「収用」が挙げられます。所有者が拒否しても、国家は「公共の利益」を掲げて強制的に進めることができます。争点は「収用できるか」ではなく「いくら支払われるか」という手続き上の問題に矮小化され、長年築いてきた商売のネットワークや地域の信頼といった、金銭に換算しにくい価値は無視されがちです。

経済とは、数百万の人々が自由な選択と拒否を繰り返す中で成り立つプロセスです。国家が「公共の利益」を理由に個人の計画を上書きしてしまうと、市場が本来持っている「何が本当に必要か」を発見する機能が失われます。結果として、人々は長期的な投資を避け、手っ取り早い利益だけを追い求めるようになります。

記事の著者は、ブラジルの現状を「偽装された社会主義」とまで呼んでいます。看板は私有財産を認める資本主義ですが、中身は国家がコントロールする体制です。大きな企業はロビー活動で身を守れますが、小さな商店や個人はリスクを直接背負わされます。

結局、ブラジルの経済停滞は、才能の欠如ではなくインセンティブの欠如によるものです。所有権が国家に対する明確な境界線として機能しない限り、真の繁栄は訪れません。ブラジルに必要なのは、新たな公約ではなく、所有権を「正当化の不要な絶対的権利」として回復させることだと、この記事は締めくくっています。

ディープステートと裏社会

Why the Deep State will always need the Underworld as an outsourcing partner. – Preppgroup [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの政治評論家、ミラン・アダムス氏による論評は、私たちの社会の裏側に潜む「ディープステート(影の政府)」と「裏社会」の切っても切れない共生関係について、極めて刺激的な視点を提示しています。

物語の始まりは1982年、ロンドンの橋の下で遺体となって発見された「神の銀行家」ことロベルト・カルヴィ氏の事件です。彼はバチカン銀行とマフィア、そして「P2」と呼ばれる秘密結社の架け橋となっていましたが、最後は儀式的な手法で殺害されました。著者は、映画『ゴッドファーザー PART III』のクライマックスにもなったこの事件を単なる過去の惨劇ではなく、現実の世界がどのように動いているかを示す「予告」だったと指摘します。

私たちは通常、政府とマフィアは対立するものだと考えがちです。しかし、著者はこれらを「鏡合わせの存在」であると論じています。マフィアの組織構造は、責任の所在を曖昧にする現代の企業階層そのものであり、一方、諜報機関もまた、公にできない工作――例えば政変の資金調達や暗殺など――を遂行するために、裏社会の力を必要としてきました。これを著者は「ディープステートのアウトソーシング(外部委託)」と呼んでいます。

歴史を振り返れば、第二次世界大戦中の「オペレーション・アンダーワールド」で、米海軍が港湾の治安維持のためにマフィアのボスと手を組んだ例や、冷戦期にCIAがカストロ暗殺のためにギャングを雇った例など、官民の境界線が消滅した瞬間は多々あります。著者に言わせれば、表の権力が「清廉潔白」であるためには、汚れ仕事を引き受ける裏のパートナーが不可欠なのです。

現代において、この関係はさらに進化しています。かつてのような派手なギャングは姿を消しましたが、それは彼らが滅びたからではなく、デジタル化し、企業化したからです。巨大銀行による麻薬カルテルの資金洗浄や、暗号資産を利用した追跡不能な送金、さらにはエプスタイン事件に象徴されるような、権力者を操るための情報工作へと変貌を遂げました。

私たちが生きる現代社会は、表向きの法治国家としての顔の裏に、高度にシステム化された裏社会との共生関係を抱え込んでいる。この記事は、そのような戦慄すべき構造を浮き彫りにしています。

2026-02-09

アメリカ南北戦争の欺瞞

Lincoln’s Union Army Was More Evil Than the Israeli Defense Force - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの政治経済評論家であるポール・クレイグ・ロバーツ氏が、アメリカ史の根幹に関わる非常に衝撃的な主張を展開しています。

ロバーツ氏は、ウォルター・ブライアン・シスコ氏の著書を引用し、19世紀のアメリカ南北戦争におけるリンカーン大統領率いる北軍の行為を、現代のパレスチナ情勢におけるイスラエル軍の蛮行をも上回るものだったと厳しく批判しています。かつて文明社会の戦争は戦闘員同士に限られていましたが、リンカーンはこの規範を破り、南部民間人を組織的に攻撃する「総力戦」の先鞭をつけたというのです。

記事では、北軍による具体的な加害行為が列挙されています。ミズーリ州では全郡の住民が強制退去を命じられ、ニューオーリンズでは女性たちへの暴行が奨励されました。さらに、解放を掲げたはずの北軍兵士が黒人女性を蹂躙し、町を焼き払った事例も数多く記されています。ロバーツ氏は、これらは「パレスチナ人をテロリストと見なして攻撃するイスラエル軍」と同様の論理、つまり「南部人はすべて敵の協力者である」という偏見に基づいた憎悪の戦争であったと指摘します。

また、リンカーン大統領の真の動機についても異を唱えています。一般にリンカーンは奴隷解放の英雄とされますが、ロバーツ氏に言わせれば、戦争の真の目的は北部の工業化を支えるための「関税」を南部に支払わせることにありました。有名な奴隷解放宣言も、実際には南部の混乱を狙った軍事的な策講に過ぎず、北部支配下の地域では奴隷制が維持されていたという歴史的側面を強調しています。

さらに、南北戦争後の北軍将校たちが、先住民族の掃討に向かった点に触れ、「黒人のために戦った」という公式な歴史がいかに欺瞞に満ちているかを批判します。ロバーツ氏は、リンカーンこそが主権国家の連合体であった合衆国憲法を破壊した「戦争犯罪人」であるとまで断言しています。

リンカーンの理想主義的なイメージが覆される内容ですが、ロバーツ氏は、現在の米国社会がこの過去の道徳的崩壊を直視せず、歴史を隠蔽していることに強い危機感を抱いています。かつての南部の騎士道精神を象徴するリー将軍のような人物が、敵地の民間人への暴行を厳禁したこととは対照的に、略奪を繰り返した北軍が勝利の象徴として称えられ続けている現状を、文明の破壊として嘆いているのです。

市場経済の真の敵

Billionaires, Not Socialists, Are the Biggest Threat to the Free Market | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのエコノミスト、トーマス・エドレム氏による論評は、保守派やリバタリアンが陥りがちな「社会主義の恐怖」というステレオタイプを真っ向から否定し、現代の自由市場における真の敵は「大富豪(ビリオネア)」であると断じる、極めて重要な内容です。

エドレム氏は、現代アメリカの経済システムを、自由主義ではなく「経済ファシズム」と定義しています。本来の社会主義とは「政府による生産手段の所有」を指しますが、現在のアメリカで起きているのは、政府が巨大な官僚組織を通じて資本主義を管理・運営し、特定の民間企業の利益を保証する仕組みです。著者は、ワシントンのシンクタンクが「社会主義という幽霊」との架空の戦いにエネルギーを費やす一方で、実在する「ファシズムの脅威」を無視していると厳しく批判しています。

記事が指摘する最も不都合な事実は、イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグといった名だたるビリオネアたちが、実は「政府の乳房」に吸い付く寄生的な存在であるという点です。彼らの富は純粋な市場競争だけで築かれたのではなく、巨額の政府補助金や情報機関との契約、そして競合を排除する規制によって保証されています。例えば、マスク氏一人に投じられた補助金や契約金を米国の世帯数で割ると、一世帯あたり2,300ドル(約35万円)もの血税が彼一人のために消えている計算になります。

著者は、オバマケア(医療保険制度改革)を例に挙げ、これが「社会主義的」な公的医療にならなかったのは、議会を所有するビリオネアたちが、自分たちの利益が保証される「民間委託型」のカルテル構造を維持したかったからだと説いています。結果として米国は、欧州の社会主義的な医療制度よりも高いコストを払いながら、より悪い健康状態に苦しむという皮肉な状況に陥っています。

政府と癒着した大富豪らがロビイストを通じて税金を吸い上げ、利益を私物化し、損失を国民に押し付けることで、自由市場は根本から歪められています。

エドレム氏は、左派が主張する「富裕層への増税」も的外れだとしています。問題は富裕層が税金を払わないことではなく、「税金を取りすぎている」ことにあるからです。自由市場を守るためには、架空の社会主義を叩くのをやめ、政府と癒着した大富豪による縁故資本主義こそを打倒すべきだ、とこの記事は強く結んでいます。

米教育省は生き延びた

The Department of Education Lives On - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ政治の舞台で今、保守派や教育改革を支持する人々の間で大きな波紋を呼んでいるニュースがあります。トランプ大統領が、自身の公約とは裏腹に、教育省の存続と予算維持を認める法案に署名したという動きです。ロン・ポール元下院議員の立法補佐官を務めたアダム・ディック氏の論評をもとに、その内幕を解説します。

2024年の大統領選挙期間中、トランプ氏は「教育省を廃止し、教育の権限を各州に返還する」という劇的な改革を繰り返し訴えてきました。支持者たちの多くは、連邦政府による教育への介入が終わることを期待していましたが、先週、議会下院は教育省に対し、過去2年間とほぼ同水準の予算を計上することを承認しました。さらに驚くべきことに、トランプ大統領はこの2026会計年度の予算を含む「包括的歳入法(HR 7148)」に自ら署名し、これが法律として成立したのです。

この新法の内容を詳しく見ると、単に予算を維持しただけではないことが分かります。リバタリアン系の雑誌「Reason」が指摘するように、今回の法律には「教育省の各部署を縮小したり、地方へ分散させたりすることを禁止する」という文言まで盛り込まれています。つまり、省の解体どころか、現状の組織構造を維持するための「鍵」がかけられた形です。

この事態は、大統領が所属する共和党が上下両院で多数派を握っている中で起きました。本来であれば、大統領の強力なリーダーシップのもとで公約通り教育省の解体が進むはずの政治環境でしたが、現実はその正反対の結果となりました。トランプ氏は、自らが廃止を叫んでいた閣僚級官庁に対して、昨年をわずかに上回る額の予算を与えることを容認したのです。

アダム・ディック氏は、この矛盾した動きを「教育省は生き延びた」という皮肉なニュアンスとともに伝えています。大統領が公式の場で掲げるスローガンと、実際の立法プロセスで署名する中身との間に横たわる深い溝は、ワシントンの政治がいかに強固な既得権益や官僚構造に守られているかを如実に物語っています。

教育の地方分権を期待していた人々にとっては、今回の署名は大きな裏切りとも取れる展開です。トランプ政権が今後、第2期の中で本当に教育省の解体に踏み切るつもりがあるのか、それともポーズだけに終わるのか、この予算案の成立はその姿勢を占う上で極めて重要な意味を持っています。

仮想通貨の暗い真実

The Dark Truth About Crypto and Bitcoin | GAINS, PAINS & CAPITAL [LINK]

【海外記事紹介】現在、投資の世界では、歴史上類を見ないほど大規模な「トロイの木馬」作戦が進行しているかもしれません。ギリシャ神話で難攻不落のトロイを陥落させた巨大な木馬のように、一見すると便利で画期的に見えるものが、実は私たちの自由を内側から破壊する仕掛けであるという指摘です。その正体こそが、ビットコインをはじめとする仮想通貨(暗号資産)だというのです。

そもそも、アメリカの連邦法では、中央銀行であるFRB以外の者が通貨を発行することは禁じられており、違反すれば厳しい罰則が科されます。実際、偽造通貨を作れば即座に逮捕されるのに、なぜ時価総額が数兆ドルにも達する「通貨(カレンシー)」を名乗る仮想通貨の創設者たちは、誰一人として通貨偽造罪で捕まらないのでしょうか。この不可解な沈黙の理由は、仮想通貨が政府やエリート層にとって都合の良い、新しい金融システムの「実験場」であり「隠れみの」だからだと今回の記事の著者は説いています。

かつて4代の大統領顧問を務めたハラルド・マルムグレン博士は、すでに2015年の時点で、政府や銀行が「現金のない社会」を目指していると警告していました。その狙いは、ブロックチェーン技術を用いた「単一の台帳」によって、個人のあらゆる支出、収入、資産、さらには行動パターンまでも、政府がリアルタイムで監視・追跡できる体制を築くことです。もし統計的に不自然な支出があれば、それがたとえ合法的な買い物であっても、当局から釈明を求められ、行動を制限される未来がやってくるかもしれません。

金融界の大物たちの発言を繋ぎ合わせると、その意図はさらに鮮明になります。JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏は、ビットコインの「匿名性」を否定し、規制されたデジタル通貨を求めています。また、世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク氏は、あらゆる資産を「トークン化」し、すべてを台帳で追跡可能にすることを目指すと公言しています。つまり、私たちが「既存のシステムからの脱出口」だと信じている仮想通貨やブロックチェーンこそが、皮肉にも政府が国民のプライバシーを完全に奪い、金融システムを掌握するための究極の管理ツールになりつつあるというのです。

一見自由への鍵に見えるものが、実はもっと強固な檻の扉だとしたら。私たちは今、利便性の代償として何を差し出そうとしているのか、冷静に見極める必要がありそうです。

「夢の軍隊」の悪夢

Trump's $1.5 Trillion 'Dream' Military' - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ大統領が掲げる2027会計年度の国防予算案、いわゆる1.5兆ドルの「ドリーム・ミリタリー(夢の軍隊)」構想について、退役空軍中佐のウィリアム・アストア氏らが極めて批判的な視点からその危険性を告発しています。トランプ大統領は、現在の約1兆ドルの予算をさらに5,000億ドル上乗せし、総額1.5兆円、日本円にして230兆円を超える規模にまで膨らませようとしていますが、著者はこれをアメリカの民主主義と精神を崩壊させる「国民的悪夢」であると断じています。

この構想の象徴となっているのが、ピート・ヘグセス戦争長官が掲げる「戦士の精神」への回帰であり、かつての国防省という名称をわざわざ「戦争省」へと戻した点に政権の姿勢が象徴されています。さらにトランプ大統領は、かつてレーガン大統領が夢想したミサイル防衛構想を「黄金のドーム」として復活させ、さらには自らの名を冠した新型戦艦を含む「黄金の艦隊」の建造を目論んでいます。著者はこうした動きを、冷戦時代の「スター・ウォーズ計画」の焼き直しに過ぎないと批判し、ソ連というライバルが消滅して久しい現代において、これほど膨大な軍備が必要なのかという根本的な問いを投げかけています。

特に深刻なのは、軍事予算が膨らみ続ける一方で、米軍自身が過去30年間にわたって一度も会計監査に合格しておらず、さらにはベトナムやアフガニスタン、イラクといった戦場でも勝利を収められていないという事実です。著者は、失敗すればするほど予算が増えるという国防省の構造を、ワシントンに居座る巨大な「塊(ザ・ブロブ)」と呼び、それが今や議会やメディア、果ては映画やゲーム業界までをも取り込んで社会全体を軍事化していると警告しています。これは、かつてアイゼンハワー大統領が退任演説で警告した「軍産複合体」の脅威が、最悪の形で現実化した姿に他なりません。

アイゼンハワーは、過度な軍事支出は労働者の汗や科学者の知性を盗む行為であり、国家を「鉄の十字架」に括り付けるものだと喝破しました。著者はその精神を引き継ぎ、1.5兆ドルもの巨費を投じることはアメリカを救うどころか、経済的、政治的、そして精神的な崩壊を招くだけだと主張しています。トランプ支持者の中には、彼が「終わりのない戦争」を止めてくれると信じて投票した人々も多くいましたが、現実はベネズエラやイランへの強硬姿勢を見ても分かる通り、より攻撃的な「軍事帝国」への道を突き進んでいます。この記事は、アメリカが建国250周年を前にして、かつて自らが抵抗したはずの「帝国の軍事支配」そのものに変貌してしまった悲劇を浮き彫りにしています。

金と崩れる米国債神話

Long Bonds vs. the Gold Bull - The Gold Advisor [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの債券市場で、今、非常に不穏な動きが見え始めています。投資家たちの間では、アメリカ政府の信用に対する信頼が大きく揺らいでおり、それが金市場の動向にも強く影響しているのです。多くの方が「FRB(連邦準備理事会)が金利をすべて決めている」と思いがちですが、実はFRBが直接操作できるのは銀行間の短期金利であるフェデラル・ファンド金利だけです。住宅ローンや国債などの長期金利は、最終的には市場の需給によって決まります。ここで注目すべきは「30年物国債」の利回りです。

現在、この長期金利が「5%」という極めて重要な節目を突破しようとしています。市場には「債券自警団」と呼ばれる、ヘッジファンドや機関投資家などの強力なプレーヤーたちがいます。彼らは政府の財政運営が放漫だと判断すると、容赦なく債券を売り浴びせ、金利を押し上げます。彼らは現在、膨大な政府債務や根強いインフレ、地政学的な不安定さを冷徹に見つめており、その動きはアメリカ政府への「不信任投票」に近いものがあります。もし長期金利が5%を超えて定着すれば、住宅市場は冷え込み、政府の利払い負担は雪だるま式に増え、株式市場から資金が流出する恐れがあります。

こうした状況下で、異例の事態が起きています。通常、金利が上がれば利息を産まない「金」は売られるはずですが、2022年以降、金利上昇に逆行するように金の価格が急騰しているのです。これは、世界中の投資家や中央銀行が、もはや米国債を「安全な避難先」とは見なさず、究極の資産として金を選び始めていることを意味します。たとえ金利が高くても、システム自体がストレスにさらされている時には、金は債券市場の動きを無視して独歩高を続ける性質があるのです。

さらに、トランプ大統領が次期FRB議長にタカ派とされるケビン・ウォーシュ氏を指名したことも、市場に衝撃を与えています。景気刺激のために利下げを求める大統領と、インフレを警戒するFRBとの間で、今後激しい摩擦が予想されます。中央銀行が利払いを抑えるために無理な利下げや資金供給を行えば、さらなるインフレを招き、通貨価値を毀損させるでしょう。アメリカは今、本格的な財政危機の入り口に立っているのかもしれません。米国債の神話が崩れる中で、金が「真のグローバル準備資産」としての地位を確立しようとしている現在の流れは、日本の投資家にとっても決して無視できない重大な局面だと言えるでしょう。

「平和の大統領」は嘘だった

Donald Trump Is No Peace President | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】トランプ・アメリカ大統領の第2期政権が始まってから1年余り、多くの日本人が抱いていた「平和のトランプ」というイメージが、残酷なまでに崩れ去っています。リバタリアン研究所のサイトに最近掲載された英文記事は、トランプ氏がかつての反介入主義的な公約を捨て去り、歴代大統領をも上回る軍事行使に踏み切っている実態を、生々しいデータとともに告発しています。

記事が突きつける現実は衝撃的です。2025年からのわずか1年間で、トランプ大統領の命を受けた米軍は7カ国を攻撃しました。空爆の頻度は極めて高く、第2期政権の最初の5カ月だけで、バイデン前大統領の4年間の通算回数に匹敵する攻撃が行われています。特に注目すべきは、ベネズエラでの前代未聞の軍事作戦です。今年1月3日、トランプ大統領は「アブソリュート・リゾルブ作戦」を断行し、ベネズエラのマドゥロ大統領を自国の首都カラカスから拉致・連行しました。現職の国家元首を武力で拘束し、米国で裁判にかけるというこの行為は、国際法の根本を揺るがす事態として世界を震撼させています。

中東でも緊張は極限に達しています。昨年6月22日、トランプ大統領は史上初めて米軍によるイラン本土への直接攻撃を命じました。ステルス爆撃機B-2を用い、イランの核施設を「完全に粉砕した」と豪語しています。また、イエメンのフーシ派に対しても「ラフ・ライダー作戦」を展開し、250人以上の民間人の犠牲者を出すなど、凄まじい火力を投入しています。ソマリアでの空爆回数も、過去のブッシュ、オバマ、バイデン3代の政権の合計を上回るペースで激増しており、犠牲となった一般市民の声は、情報の闇に葬られつつあります。

記事の著者は、トランプ氏が掲げていた「力による平和」というスローガンが、実際には「歯止めのない武力行使」に変貌していると分析しています。かつて彼を支持した反戦派の期待とは裏腹に、政権内部ではタカ派の閣僚が台頭し、ドローンや特殊部隊を用いた「秘密裏の戦争」をかつてない規模で拡大させています。

トランプ大統領は今や、国際社会のルールを顧みず、自らの意志を軍事力で押し通す「武闘派」としての顔を露わにしています。私たちが目撃しているのは、平和の使いではなく、アメリカの軍事プレゼンスを暴力的なまでに拡大させる、極めて攻撃的な指導者の姿なのです。

著名投資家「暴落が来る」

"I Expect A Crash": Harris Kupperman - by Quoth the Raven [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名なヘッジファンド・マネージャーであるハリス・カッパーマン氏が、最新の投資家向け文書で「市場の暴落を予期している」という衝撃的な見解を示しました。彼は、現在の市場が実体経済から完全に乖離した「官製バブル」の状態にあると厳しく批判しています。

カッパーマン氏によれば、現在のアメリカの政治・経済システムは、もはや国民の繁栄を目指すものではなく、単に「資産価格の維持」を至上命令とするシステムに変貌してしまったといいます。2022年にインフレ抑制のために金利が引き上げられた際、テック株や不動産市場が打撃を受けましたが、結局、政府と連邦準備制度(FRB)はリスクを取った富裕層を救済するために、経済の健全性を犠牲にしてまで資金を注入しました。その結果、一般の人々がインフレで苦しむ一方で、テック株などの資産バブルだけが延命されるという歪な構造が生まれたのです。

彼は、今の経済を「かつてのバブルを救済するために、さらに巨大なバブルを膨らませ続けている世界」と表現しています。このため、彼は一般的な指標となる大型株やテック企業への投資を避け、独自の戦略に舵を切っています。

具体的には、富裕層が混乱や増税から逃れるために集まるドバイやフロリダなどの地域に関連する事業、そして無限の財政出動と通貨価値の低下から利益を得られる「貴金属(金・銀)」の関連セクターに注力しています。また、過剰な債務を抱える欧米諸国とは対照的に、規律ある経済運営を行っている「新興国市場」にも期待を寄せています。

カッパーマン氏は、現在の市場がいつ暴落してもおかしくないと考えていますが、同時に奇妙な自信も覗かせています。なぜなら、暴落が起きれば即座に政府による大規模な「流動性注入(お金のバラマキ)」が行われることが目に見えており、それが最終的に彼の保有するような「実物資産に近い銘柄」をさらに押し上げると信じているからです。

「世界経済は過剰な流動性に苦しむだろうが、政府がそれを止めることはない。それこそが投資の追い風になる」という彼の冷徹な分析は、今の異常な市場環境を生き抜こうとするプロの覚悟を感じさせると同時に、日本の人々にも資産防衛のヒントを与えてくれます。

ビットコインにも広がる「紙の取引」

The Phantom Supply Problem: How Wall Street's Derivatives Machine May Be Quietly Dismantling Bitcoin's Scarcity Thesis [LINK]

【海外記事紹介】ビットコインの最大の魅力は、発行上限が2100万枚と決められている「希少性」にあります。中央銀行が際限なくお金を刷る現代において、数学的に担保されたこの希少性は、ビットコインを「デジタル・ゴールド」たらしめる根拠となってきました。しかし、現在アメリカの金融界では、ウォール街が構築した複雑な金融システムが、この希少性の神話をひそかに解体しているのではないかという、衝撃的な議論が巻き起こっています。

この記事が警告しているのは、ビットコインそのもののコードが書き換えられることではありません。ビットコインを裏付けとした先物取引やETF(上場投資信託)、オプションといった「デリバティブ(金融派生商品)」の巨大な構造が、事実上、無限の「合成供給」を生み出しているという点です。著名なアナリストらは、これを「ビットコインの仮面をかぶった準備預金制度」と呼んでいます。例えば、保管庫にある1枚のビットコインが、ETFの裏付けになりつつ、同時に先物取引の証拠金やローンの担保として、何重にも「所有権」が主張される仕組みです。これでは、市場に流通するビットコインが2100万枚を超えて存在しているのと同じ効果を生んでしまいます。

かつて金(ゴールド)の市場でも、現物の数倍から数十倍もの「紙の金」が取引されることで、現物の希少性が価格に反映されにくくなったという歴史があります。ビットコインも今、同じ道を辿っているというのです。実際に、ビットコインの価格形成の主導権は、個人投資家の現物売買から、ウォール街のアルゴリズムや巨大な資本によるデリバティブ取引へと移っています。

皮肉なことに、ビットコイン界隈が長年待ち望んでいた「機関投資家の参入」や「ETFの承認」が、この状況を加速させました。投資のプロたちは、ビットコインの未来を信じているのではなく、現物と先物の価格差を利用してノーリスクで利益を抜く「裁定取引」などの道具としてビットコインを利用しています。彼らにとってビットコインは、単なる「在庫」に過ぎません。

ビットコインのコードが定める「2100万枚」というルールと、金融資本が作り出す「無限の供給」との間で、今まさに激しい戦いが繰り広げられています。もしこのまま金融化が進めば、ビットコインは既存のコモディティ市場と同様、レバレッジと操作が渦巻く、かつての理想とはかけ離れた資産になってしまうかもしれません。

貴金属価格、「紙の取引」で混乱

Stackers smiling, traders trounced - Research - Goldmoney [LINK]

【海外記事紹介】貴金属市場において、現物の裏付けがない「紙の取引」が価格をいかに混乱させているか。この記事は、2026年2月第1週に起きた金と銀の激しい値動きを例に、市場の歪みを鋭く指摘しています。

この1週間で金と銀の価格は乱高下しました。特に銀の変動は凄まじく、週半ばに1オンス92ドルをつけたかと思えば、週末には73ドル台まで急落しています。一般的には「投機筋が買っている」と説明されがちですが、実態は異なります。取引所のデータを見ると、ヘッジファンドなどの投機的な買い注文は、今世紀最低水準まで落ち込んでいるのです。

では、なぜ価格がこれほど動くのでしょうか。背景にあるのは、デリバティブ(金融派生商品)による「実体のない供給」です。例えば、ニューヨークの取引所(COMEX)における銀の先物契約数は、取引所の倉庫にある現物在庫の約4倍に達しています。本来、契約の期限が来れば現物を引き渡すか契約を更新する必要がありますが、現物が圧倒的に足りないため、価格を強引に押し下げることで買い手を振り落とそうとする力が働いているのです。

一方で、賢明な投資家たちはこのボラティリティに惑わされていません。大手銀行が2026年を通じての金高値を予想する中、富裕層は価格が下がった局面を絶好の現物購入チャンスと捉えています。実体のない紙の市場が混乱する一方で、現物を手元に置く人々は「してやったり」と微笑んでいる状況です。

また、この記事は日本の政局にも注目しています。2月8日の衆議院総選挙で大勝した高市早苗首相の経済政策です。彼女が進める積極的な財政出動やインフレ抑制策は、短期的には景気を刺激するように見えますが、長期的にはさらなるインフレと金利上昇を招くと著者は予測しています。世界最大の資本供給国である日本の金利が上がれば、欧米の国債への資金流入が減り、ドルの信頼性やビットコインのような代替資産の環境も一変する可能性があります。

市場がデジタルや書類上の数字だけで動いている今こそ、現物という「物理的な現実」の価値がかつてないほど高まっている。そんなメッセージが込められた分析です。 

2026-02-08

トランプ氏の経済戦争

Trump Is Broadening His Use of Economic Warfare - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ政権が、関税と制裁をかつてないほど多角的な「経済兵器」として活用し、世界秩序を塗り替えようとしています。ジャーナリストのテッド・スナイダー氏が、その実態を詳細に報告しています。

トランプ大統領にとって「関税」とは、単なる通商政策の枠を超えた「辞書の中で最も美しい言葉」です。彼は2025年4月2日の「解放の日」に、全加盟国に対する一律10パーセントの最低関税と、貿易赤字に応じたさらに高い「相互関税」を発表しました。当初の目的は「略奪されたアメリカの富を取り戻す」ことでしたが、現在その用途は、政権交代の強制、他国の選挙介入、さらには領土の買収へと急拡大しています。

特に過激なのが、イラン、ベネズエラ、キューバに対する「政権交代」を目的とした経済封鎖です。ベネズエラでは、2026年1月に軍事攻撃によってマドゥロ氏を排除した後、暫定政権に対し「アメリカの要求をすべて飲むまで石油は一滴も掘らせない」と圧力をかけています。キューバに対しても、2026年1月29日に「国家緊急事態」を宣言し、キューバに石油を供給するあらゆる国に対して制裁関税を課す大統領令に署名しました。これは、経済を意図的に崩壊させて現体制を転覆させようとする、極めて直接的な経済戦です。

さらに驚くべきは、この兵器が同盟国や民主的なプロセスにも向けられている点です。ホンジュラスの選挙では、トランプ氏が支持する候補が勝たなければ「一銭も金は出さない」と公言し、イラクの選挙でもイラン寄りの勢力が政権に入れば石油収入を凍結すると脅しました。

また、トランプ氏の悲願である「グリーンランド買収」においても、関税は強力な交渉ツールとなっています。2026年1月、彼はグリーンランド譲渡を拒むデンマークやそれを支持するフランス、ドイツなど欧州8カ国に対し、「買収に同意するまで関税を課す」と宣言しました。マクロン大統領に対しても、アメリカの外交方針に従わなければフランス産ワインに200パーセントの関税をかけると脅すなど、関税は今や他国の主権や外交方針を力ずくで変えさせるための「経済ミサイル」と化しています。

カナダに対しても、中国製電気自動車の輸入を巡って100パーセントの報復関税をちらつかせるなど、トランプ流の経済戦は「アメリカの覇権を強制するための武器庫」の主役となっています。

かつての自由貿易のルールを根底から覆すこの動向は、同盟国である日本にとっても、これまでの常識が通用しない新しい時代の到来を告げるものと言えるでしょう。

主権の乗っ取り

The EU is Trying to Steal Hungary's Elections - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】欧州連合(EU)がハンガリーの選挙を「盗もうとしている」という、非常に衝撃的な告発を含む記事をご紹介します。政治アナリストのジェリー・ノーラン氏が、ハンガリーの主権をめぐって今まさに起きている、民主主義の仮面を被った「制度的な監視」の実態を鋭く批判しています。

事の発端は、ある非政府組織(NGO)が、ハンガリーの選挙データへのアクセス権を求めてソーシャルメディアの「X」を提訴したことです。このNGOは、その資金の約半分をドイツ政府から、約4分の1をEUから得ており、事実上の「公的機関の代理人」と言える存在です。彼らはこの動きを「透明性の確保」という美名で正当化していますが、著者のノーラン氏は、これこそが他国の主権を裏側から乗っ取ろうとする「ブリュッセルとベルリンの連合体」による権力行使であると切り捨てています。

他国からの資金で運営される団体が、一国の選挙に関する言論データに特権的なアクセスを求めることは、単なる監視ではなく、外部からの支配に他なりません。本来、ハンガリーの選挙はハンガリー国民のものであり、EUの技術官僚やドイツの省庁、ましてやその出先機関のようなNGOが口を出すべき領域ではないはずです。

こうした動きは、EUがよく用いる手法だと記事は指摘します。まず「外国の介入」や「民主主義の保護」といった道徳的な大義名分を掲げ、次にデータの管理や解釈権を要求します。データを握るということは、選挙の正当性を後からどうとでも操作できる力を握ることを意味します。EUに従わないハンガリーのような国に対して、最初から「有罪」のレッテルを貼り、その反抗を「病理」として処理しようとする地ならしなのです。

ここには深刻な非対称性があります。ドイツやフランス、オランダといった主要国の選挙は神聖不可侵な国内問題として扱われ、疑問を呈することさえ陰謀論として退けられます。しかし、中東欧のハンガリーやスロバキア、セルビアといった国々に対しては、最初から疑いの目を向け、外部からの監督が必要だと決めつけます。これはもはや民主主義ではなく、特定の国々だけに課された「条件付きの主権」でしかありません。

EUはもはや普遍的な価値を輸出しているのではなく、NGOの看板を掲げ、中立を装った政府資金によって「強制的な服従」を輸出しているのだと、著者は厳しく批判しています。ハンガリーの選挙に手を出すな、という彼の叫びは、一国の主権がいかに巧妙な手口で脅かされているかという、現代の国際政治が抱える闇を浮き彫りにしています。

こうした「法の支配」を掲げた外部介入の問題は、日本にとっても決して他人事ではありません。

過保護な政府

Nanny State States | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカがいかに「ナニー・ステート」、つまり過保護で干渉好きな「子守国家」であるか。それを如実に物語っているのが、全米各地に張り巡らされた複雑怪奇なアルコール規制の実態です。今回ご紹介する記事は、自由の国を自称するアメリカの裏側に潜む、不自由な現実を鋭く突いています。


その象徴的な例が、サミュエル・アダムスが昨年末に発売した「ユートピア2025」というビールです。このビールは、職人魂の結晶として30年以上の歳月をかけて開発され、アルコール度数はなんと30パーセントに達します。陶器のボトルに入れられた芸術品のような限定品ですが、驚くべきことに、全米15の州ではこのビールを購入することが法律で禁じられています。「自由か死か」をスローガンに掲げるニューハンプシャー州でさえ、度数が高すぎるという理由で違法とされているのです。

アメリカのアルコール規制はこれだけにとどまりません。食料品店でお酒が一切買えない州もあれば、ビールしか扱えない州もあります。日曜日になると販売時間が厳しく制限されたり、全面禁止になったりする地域も珍しくありません。さらに驚くべきは、7つの州では政府がすべての酒屋を所有・経営しているという事実です。民間が店を開くことは許されず、どのブランドをいくらで売るか、営業時間は何時までか、すべてをお役人が決定しています。

また、成人の定義についても矛盾が目立ちます。結婚ができ、軍隊に入って戦うこともでき、選挙権もある「大人」であっても、21歳になるまではお酒を一杯買うことすら許されません。ハッピーアワーを禁止している州や、自治体単位で禁酒を貫く「ドライ・カウンティ(禁酒郡)」も依然として数多く存在しています。

著者は、こうした規制のすべてが「自由な社会」とは相容れないものだと断言します。本来、自由な社会であれば、アルコールは他の商品と同じように扱われるべきです。何をいつ売るか、いくらで提供するかは、政府ではなく民間企業が決めるべきことであり、政府が個人の嗜好や商取引に口を出すべきではありません。

多くのアメリカ人は自分たちが自由な社会に住んでいると信じていますが、実際には、教育や医療、そしてこのお酒の問題に至るまで、生活の隅々まで国家の管理下に置かれています。この記事は、お酒を飲むか飲まないかという個人の選択以前の問題として、政府とアルコールを完全に切り離し、真の意味での「個人の自由」と「財産権」を取り戻すべきだと強く訴えています。

一見すると、公衆衛生を守るための妥当な規制のようにも思えますが、政府による過度な介入が個人の自律性をいかに損なっているか、私たち日本人も「当たり前」だと思っている規制を考え直すきっかけになるかもしれません。

ダボス会議と国家資本主義

Davos 2026: The Elite Agenda and What Comes Next - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】2026年1月下旬、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)が幕を閉じました。今回は伝説的な投資家であり自由主義者としても知られるダグ・ケイシー氏の見解を通じ、そこで語られた「エリートたちの議題」と、トランプ政権が突き進む驚くべき世界戦略についてお伝えします。

まず、ダボス会議でトランプ大統領が強調したのは、アメリカ国内の「住宅価格の適正化」でした。しかし、その論理は極めて矛盾しています。大統領は、住宅を持っていない若者のために価格を下げたいと言う一方で、すでに住宅を所有している人々の資産価値を守るため、価格を「安くしすぎてはならない」とも主張しています。ケイシー氏はこれを、政府が市場のすべてを管理しようとする「メガロマニア(誇大妄想)」的なアプローチだと批判しています。関税による資材高騰を放置したまま、金利操作や規制緩和だけで住宅問題を解決しようとする姿勢は、さらなるバブルを招くだけだと警鐘を鳴らしています。

さらに衝撃的だったのは、大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が発表した「ガザ地区の再開発計画」です。現在、戦争で廃墟と化したガザを、データセンターや高級リゾートが並ぶ「スマートシティ」へと変貌させるという構想です。しかし、そこには現在住んでいる200万人のパレスチナ人の行方についての視点が欠けています。ケイシー氏はこの計画を「現実離れした愚行」と断じ、住人を追い出してビジネス拠点を作るという発想は、中東の火種をさらに大きくするだけだと指摘しています。

外交面でも、トランプ大統領は「グリーンランドの買収」を公然と要求しました。デンマークに対し「良い方法(外交)か、難しい方法(圧力)か」を選べと迫り、応じない場合は欧州諸国に関税を課すと脅しています。これは既存の同盟関係やNATOの枠組みを無視した、まさに「不動産取引」のような外交手法です。

AI(人工知能)についても、ダボスでは「安全保障戦略」としての側面が強調されました。ケイシー氏は、当初は国家や巨大企業が民衆を監視し抑圧するためにAIを利用するだろうと予測しています。しかし、歴史上の印刷機がそうであったように、いずれAIは「民主化」され、個人のハッカーや反逆者たちが権力に対抗する武器へと変わっていくはずだという、彼らしい楽観的な展望も語っています。

総じて、2026年のダボス会議から見えてくるのは、政治がビジネスを飲み込み、国家がすべてのルールを書き換える「国家資本主義」の加速です。ケイシー氏は、こうした権力の集中は最終的に通貨の不安定化とゴールド(金)の高騰を招くと分析し、個人が自衛することの重要性を改めて説いています。

金高騰は経済政策への警告

Schiff on The Competent Investor: Even Greenspan Agrees with Me | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの経済論客ピーター・シフ氏がポッドキャスト番組に出演し、昨今の貴金属市場の乱高下と、通貨の本質について鋭い分析を披露しました。彼の主張によれば、先週起きた金と銀の急落は、決して市場の自然な動きではなく、ドルや連邦準備制度(Fed)に対する不信感の火を消そうとする、政治的な意図が絡んだ「組織的な売り崩し」だったというのです。

シフ氏は、金や銀の価格上昇は、現政権と中央銀行に対する「不信任投票」のようなものだと指摘します。ドル危機や政府債務の危機が迫っているという警告信号を、当局がもみ消そうとした可能性があると見ています。しかし、彼はこうした市場操作によって一時的に価格が抑えられたとしても、ドルの崩壊という根本的な流れは変わらないと断言しています。

興味深いのは、かつてFedの議長を務めたアラン・グリーンスパン氏のエピソードです。意外に思われるかもしれませんが、現代的な中央銀行の象徴のようなグリーンスパン氏でさえ、実は「金価格」を政策決定の最も重要な指標にしていたというのです。金が上がれば通貨供給が過剰であり、下がれば引き締まりすぎている。つまり、金は市場の「気圧計」であり、事実上の金本位制に近い運用を彼は行っていたのだとシフ氏は指摘します。この警告信号を無視して崖っぷちまで進み続ける今の政策がいかに危険か、彼は強く訴えています。

また、シフ氏は暗号資産(仮想通貨)についても厳しい見解を述べています。特にビットコインを大量保有するマイクロストラテジー社のマイケル・セイラー氏を例に挙げ、彼の利益は「紙の上」の数字に過ぎないと指摘します。もし彼が実際に売却しようとすれば価格は暴落し、巨額の損失が出る。今の価格が維持されているのは、彼自身が買い支えを続けているからに過ぎず、その戦略には限界があると警告しています。

投資家の多くが金鉱株を過小評価している点についても、シフ氏は「彼らは金価格の上昇を一時的なバブルだと思い込んでいる」と述べています。しかし、もし高値が新しい常識(ニューノーマル)となり、さらに上昇を続けるのであれば、現在の株価はあまりに割安です。

ドルが他国の通貨に対しても本格的に下落し始める「次のドミノ」が倒れる前に、本物の資産である金に目を向けるべきだ。確信に満ちたシフ氏の言葉は、崖から落ちる前に警告に耳を貸すべきだという、私たちへの最後通牒のようにも響きます。

起業家を恐れる社会

TGIF: Damn Those Innovators! | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】今回は、映画や歴史的な実例を交えながら、自由な社会における「イノベーションと起業家精神」の重要性を説いた記事をご紹介します。

自由主義の論客であるシェルドン・リッチマン氏は、私たちの生活、健康、そして快適さは、リスクを背負って世界を変えようとする起業家たちによって支えられていると主張します。しかし、歴史を振り返ると、こうした先駆者たちは常に歓迎されてきたわけではありません。

経済史学者のディアドラ・マクロスキーが指摘するように、社会が成功者への「嫉妬」に支配されると、私たちは皆、その代償を払うことになります。一方、社会全体が「良いアイデアがあるなら、やってみなさい!」という前向きな姿勢に包まれるとき、繁栄は飛躍的に高まります。

ところが、経済学者トーマス・ソウェルが記録しているように、歴史上多くの場所で、革新的な「仲買人マイノリティ」が迫害されてきました。ヨーロッパのユダヤ人、東南アジアの華僑、アフリカのインド人やレバノン人がその例です。彼らは「何も生産せずに金儲けをしている」という大衆の誤解から、虐殺を含む悲惨な暴力にさらされることさえありました。


こうした「革新者への恐怖」を象徴的に描いたのが、1952年のイギリス映画『白衣の男』です。アレック・ギネス演じる主人公シドニーは、汚れがつかず、一生破れない驚異的な合成繊維を開発します。全人類を洗濯や買い替えから解放するはずの世紀の発明でしたが、待っていたのは称賛ではなく、凄まじい反発でした。

工場のオーナーたちは「貿易の均衡が崩れる」と危惧し、労働者たちは「仕事がなくなる」と恐れました。さらに、洗濯を商売にしている老婆までもが「なぜ科学者は放っておいてくれないのか」と怒りをあらわにします。最終的にオーナーと労働者は手を組み、この発明を闇に葬ろうと、シドニーに対して暴力まで振るうのです。

映画の最後、発明が一時的に失敗したと知った人々は、安堵して笑います。ナレーターは「シドニーの失敗のニュースは世界に安堵をもたらした」と語りますが、これは非常に皮肉な一言です。

リッチマン氏は、イノベーションは短期的には既存の仕事を奪う「創造的破壊」を伴うものの、長期的には人々を豊かにし、新しい機会を生み出すと説きます。もし人類が常に「停滞」を選び、変化を拒んできたとしたら、私たちは今も洞窟で暮らしていたはずです。

現代においても、大企業が便利な技術をわざと隠蔽しているといった陰謀論が語られることがありますが、経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは、熾烈な競争がある市場においてそのようなことはあり得ないと断じています。

私たちは今、変化を嫌い、集団の利益を守るために個人の創造性を抑圧しようとする風潮の中にいます。しかし、シドニーのような不屈の精神を持つ個人こそが、不完全な世界をより良くする唯一の原動力であることを忘れてはなりません。

私たちがイノベーターを温かく迎える文化を維持できるかどうかが、日本の未来を左右するとも言えそうですね。

シルクロードの終着駅・日本

【グローバルヒストリーを読む】上野の森美術館(東京)で先日開いた展覧会「正倉院 THE SHOW」は、奈良の正倉院の宝物の魅力に最新の技術で迫る試みだった。なかでも見応えがあったのは、再現模造でよみがえった「螺鈿紫檀五絃琵琶」などの宝物だ。現物を精密に調査し、同じ素材や伝統的な技法を用いて、古代の姿を忠実に作り直したこれらの宝物からは、当時の最高の工芸技術がうかがえた。


正倉院は「シルクロードの終着駅」と呼ばれる。その宝物には、はるか西方から伝わった異国風のデザインや技術が用いられたものが多く含まれる。これら国際性に富む宝物は、当時の日本列島が東西文化交流の集積地であったことを物語っている。 

16世紀の「大航海時代」に世界の一体化が始まるはるか以前から、ユーラシア諸地域では、いくつかのルートを通じて、経済的・文化的交流が行われていた。ルートには大きく3つあった。中央ユーラシア北部を東西に結ぶ「草原の道」、その南の砂漠地域に点在するオアシス諸都市を結ぶ「オアシスの道」、南方の海上を船で往来する「海の道」である。

このうちオアシスの道は、シルクロード(絹の道)とも呼ばれる。シルクロードとは、ドイツの地理学者リヒトホーフェンが19世紀後半に、タリム盆地(現中国新疆ウイグル自治区南部)を東西に横断する古代の諸交通路を指して用いた語だが、現在ではより一般的に、近代以前の東西交流ルートを指して用いることも多い。

ユーラシア大陸の東西を結ぶ中央アジアの道は、世界有数の高山とその間に広がる砂漠の道である。その砂漠の周辺に点在する河川や湧水地が、オアシスと呼ばれる。紀元前一千年期に、山麓の地下水脈から水を引き、灌漑に利用する地下水路(カナート)を作る技術が確立すると、灌漑農業が発達してオアシス農村集落が点々と形成されていった。オアシス集落は基本的に農村だが、手工業生産や交易の拠点としても発達し、市場や防御施設を備えていく。

オアシスの道の中心となるのは、タリム盆地とソグディアナ(ほぼ現ウズベキスタン)のオアシス諸都市だった。紀元前2世紀後半、漢の武帝が張騫を西域に派遣したとき、張騫は中央アジアのオアシス国家がすぐれた馬を産出することや、インドと交易していることなどを朝廷に報告した。これをきっかけに西域方面に対する漢の関心は高まり、漢は匈奴の勢力を排除してタリム盆地のオアシス諸都市を西域都護の監督下に置き、通商の利益の確保に努めた。

後漢の時代には、「大秦」という名で中国に知られるようになっていたローマ帝国への使節の派遣が試みられた。西域都護となった班超は、西域のオアシス国家など50余国を服属させ、部下の甘英をローマ帝国に派遣しようとしたが、地中海方面の航海に関する危険などの情報から失敗したとされる。

オアシス周辺の可耕地は限られるため、長距離交易はオアシス経済にとって重要な意味を持った。砂漠地帯の交易は、ラクダを連れた隊商(キャラバン)によって行われ、オアシス諸都市には隊商のための宿泊施設が作られた。隊商によって運ばれるのは、シルクロードという呼び名の起源となった絹織物のほか、毛皮、金・銀などの貴金属、香料などの贅沢品だった。

中央アジアのイスラーム化以前、オアシスの道の主役として長距離交易を担ったのは、ゾロアスター教やマニ教を信仰するイラン系の商業民族ソグド人だった。ソグド人の本拠である地域はソグディアナといわれるが、その中心都市サマルカンドは、紀元前から有力なオアシス国家として知られていた。ソグド人の隊商は唐の長安にも多数往来したが、当時多く作られた陶器、唐三彩の「胡人」像は、彫りの深い異国風の風貌を持ち贅沢品を商う彼らに対する、中国の人々の強い興味を示している。ソグド人は、ウイグルなど遊牧国家の中でも経済的な力を握り、アラム文字に起源を持つソグド文字からウイグル文字が作られるなど、文化的にも大きな影響を与えた。

中国の史料がサマルカンドの風俗として記すところによれば、サマルカンドでは「子供が生まれれば氷砂糖を口に含ませ、手のひらに膠(にかわ)を置く。成長してから、口がうまくなり、銭が膠に粘りつくように手の中に集まることを願うのである」という。これは、ソグド人の商売上手が周囲の諸民族にも有名だったことを示している。ソグド人の書いたソグド語の手紙も残っており、彼らが広いネットワークを持って商業情報を収集していたことがわかる。

オアシスの道は、商品のみならず、宗教や文化の伝播する道でもあった。仏教がインドから伝わったのもオアシスの道を通じてであり、タリム盆地と中国内地をつなぐ交通路上のオアシス都市・敦煌では、大規模な石窟寺院が造営された。

元宮内庁正倉院事務所長の杉本一樹氏は「われわれが自国の文化の源流を考える際には、シルクロード全体を考えなくてはならない」と指摘する(『正倉院』)。日本で危うい排外主義が高まりを見せる現在、日本文化を形づくってきた古代以降の国際交流の歴史をたどることは、それなりに重要な意味を持つに違いない。

2026-02-07

米議員は株取引の天才?

The Vain Struggle to Curb Congressional Stock Trading | The Libertarian Institute [LINK]

アメリカ国民の政治不信を象徴するような根深い問題についてお伝えします。それは、連邦議員たちによる「株取引」を巡る倫理的問題です。

議員たちは、委員会の報告や非公開の会議を通じて、一般市民が知り得ない機密情報を日常的に手に入れています。こうした特権的な情報を利用して株を売買する「インサイダー取引」の疑いが、絶えず浮上しているのです。驚くべきことに、2024年のデータでは、民主党議員のポートフォリオは平均31パーセント、共和党議員は26.1パーセントの利益を上げており、市場の指標であるS&P500の伸びを大きく上回っています。

この問題に対処するため、2012年には「STOCK法」という法律が制定されました。議員や職員が非公開情報を使って個人的な利益を得ることを禁じ、取引内容の迅速な公開を義務付けたものです。しかし、現状ではこの法律は「骨抜き」の状態にあります。報告義務を怠った際の罰金はわずか200ドルと、富裕層である議員たちにとっては痛くも痒くもない金額です。さらに、コロナ禍で機密情報に基づいた数億ドル規模の疑わしい取引が行われた際も、実際に訴追された議員は一人もいません。

記事では、特定の議員による「不自然なほどタイミングの良い」取引例が具体的に挙げられています。エネルギー関連の委員会に所属しながらリチウム企業の株を大量に購入したり、銀行が破綻する直前に鮮やかに売り抜けたりといった事例が、与野党を問わず後を絶ちません。かつて「投資の神様」ウォーレン・バフェットよりも投資が上手いと揶揄されたペロシ元下院議長だけでなく、多くの議員が市場平均を凌駕する「成功」を収めているのです。

こうした現状に対し、アメリカ国民の怒りは頂点に達しています。最新の世論調査では、共和党支持者の87パーセント、民主党支持者の88パーセントという圧倒的多数が、議員の個別株取引を禁止すべきだと回答しています。

現在、超党派の議員グループによって、本人や家族の株取引を全面的に禁止する「議会への信頼回復法」などの法案が提出されていますが、その先行きは不透明です。なぜなら、自分たちの首を絞めるようなルールを決められるのは、他ならぬ議員自身だからです。委員会までは進んでも、本会議での採決となると、自らの経済的自由を手放したくない議員たちの抵抗によって、法案はことごとく立ち消えになっています。

国民がどれほど説明責任を求めても、外部からの強制的な監視がない限り、根深い慣習は変わらない。この記事は、そんなアメリカ議会の自浄能力の欠如を痛烈に批判しています。

イラン抗議デモの内幕

There’s More Than Iranian Protest Behind the Iran Protests - Antiwar.com [LINK]

2026年1月、イラン全土を揺るがした大規模な抗議デモについて、最新の国際情勢を分析したレポートをご紹介します。今回のデモは2009年以来の最大規模となりましたが、そこにはイラン国内の切実な声だけでなく、アメリカによる極めて戦略的な「経済戦」の影が色濃く投影されています。

まず、デモの直接的な引き金となったのは、通貨リアルが大暴落したことによる深刻な生活苦です。人々が街に飛び出した怒りの理由は、間違いなく本物でした。しかし、この経済危機を意図的に作り出したのはアメリカの制裁政策です。イランはかつて核合意を遵守していましたが、トランプ政権は一方的に合意を破棄して制裁を強化しました。アメリカのベッセント財務長官も「経済を崩壊させ、人々を街に駆り出すことが制裁の狙いであり、実際に機能した」と、これが「経済的統治術」であることを公言しています。

アメリカの介入は経済面だけにとどまりませんでした。デモが拡大すると、トランプ大統領はSNSを通じて「アメリカは救出に向かう準備ができている」と介入をちらつかせ、ついには「新たな指導者を探すべき時だ」と、公然と政権交代を促しました。

しかし、こうしたアメリカの言動は、事態をさらに悲劇的な方向へ向かわせた可能性があります。専門家によれば、アメリカが軍事介入を示唆したことで、イラン政権側は「放置すれば体制が転覆させられる」という強い危機感を抱き、デモを早期に鎮圧するために、より残忍で暴力的な弾圧を選択したというのです。つまり、アメリカの「助け」を呼ぶ声が、結果としてイラン政府による数千人の犠牲者を出すほどの苛烈な取り締まりを招いてしまったという皮肉な構図です。

さらに驚くべきことに、アメリカ政府内では現在、デモ参加者を「鼓舞」するために、イランの治安部隊や指導者を標的にした戦略的爆撃を行うことまで検討されていると報じられています。これは、デモ隊に政府施設を制圧させる自信を与えるための「条件作り」だというのです。

一方で、外国勢力のあからさまな介入の影が見えたことで、イラン国内では「外国に国を壊されたくない」という反発も起き、政府支持の集会に数十万人が集まるという逆転現象も起きました。

この記事が伝えているのは、イランの人々の純粋な不満が、大国の地政学的な戦略に利用され、翻弄されているという残酷な現実です。一連の抗議活動を単なる「独裁に対する民主化運動」という枠組みだけで捉えるのは、事態の本質を見誤ることになるでしょう。

(Geminiで要約)

政府の私生活干渉

Another Question That Only Libertarians Are Asking - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

米国農務省が発表した最新の「国民向け食事指針」が、今アメリカで大きな議論を呼んでいます。今回の改訂では、かつての「食事ピラミッド」を逆転させたような内容となり、タンパク質の優先や加工食品の回避が推奨されました。中でも特に注目を集めているのが、アルコールに関する項目です。1980年代には「控えめに」という程度の助言でしたが、今回は「健康のためにはより少なく」、あるいは「完全に避けるべき」という、より踏み込んだ内容になっています。

こうした指針が発表されるたびに、学界、業界、政治家たちの間では激しい論争が巻き起こります。例えば、公衆衛生の専門家は「アルコール業界への配慮が足りない」と批判し、業界団体は「現状とさほど変わらない」と静観するといった具合です。しかし、この記事の著者であるローレンス・ヴァンス氏は、リベラルも保守も、ある「根本的な問い」を見落としていると指摘します。それは、「そもそもなぜ、政府が国民の食べ方や飲み方に指針を出す必要があるのか」という問いです。

ヴァンス氏によれば、リベラルや保守の人々は、政府が指針を出すこと自体には哲学的な反対をしません。彼らは単に、その内容が自分の思想(環境問題や薬物対策など)に合致しているかどうかで良し悪しを判断しているに過ぎません。これに対し、自由至上主義(リバタリアン)の立場は明確に異なります。

彼らの主張はシンプルです。政府の役割は、物理的な強制力から国民を守ること、つまり警察、国防、裁判に限定されるべきであり、個人の私生活に干渉することではないというものです。健康や栄養、安全に関するアドバイスは、政府という「強制力を伴う機関」が行う必要はなく、自由市場に任せるべきだと考えます。

多くの人々は、政府機関を「公平で信頼できる存在」と信じる一方で、民間の研究機関や消費者団体、医師たちの出す情報を「業界の利益に左右される」と疑う傾向があります。しかし著者は、これに疑問を呈します。本来、どの研究者の意見を信じ、どのような食生活を送るかは、個人の自由な選択に委ねられるべきです。

結論として、この記事は、政府が私たちの「健康」を理由に私生活の細部にまで介入してくる現状に、もっと自覚的であるべきだと訴えています。政府の指針を鵜呑みにするのではなく、民間が提供する多様な情報を自分自身で選び取り、判断する。その「選択の自由」こそが、真に守られるべきものだというわけです。

(Geminiで要約)

ウクライナ、本当の苦難はこれから

Peace Won’t Save Ukraine: What Comes After the War May Be Worse - LewRockwell [LINK]

2026年2月、ウクライナを巡る情勢は大きな転機を迎えています。アブダビで行われているアメリカ・ウクライナ・ロシアの3カ国協議によって、停戦への期待がにわかに高まってきました。しかし、今回ご紹介する記事は、たとえ明日銃声が止んだとしても、ウクライナが直面する本当の苦難はそこから始まるのだと、非常に重い警告を発しています。

著者が最も懸念しているのは、4年間にわたる激しい戦闘がウクライナ国民の精神と社会構造に刻み込んだ、深刻な「戦争の後遺症」です。

第一の課題は、国民の精神的な壊滅状態です。最新の調査によれば、前線の兵士の3分の2がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えており、民間人の間でもその割合は7割を超えています。適切な支援体制が整わない中で、多くの人々が合成麻薬やアルコールに逃げ込んでおり、これが社会全体の暴力性や自殺、家庭崩壊を劇的に増加させています。過去のベトナム戦争やアフガニスタン紛争が証明しているように、戦場から戻った人々の心の傷は、平時においても「目に見えない戦争」として社会を蝕み続けるのです。

第二に、武器の蔓延と組織犯罪の台頭です。前線から流出した軍用武器や手榴弾が、すでに一般市民や犯罪グループの手に渡っています。ソ連崩壊後の1990年代にロシアなどで見られたような、武装した犯罪組織が跋扈する暗黒時代が再来するリスクが高まっています。すでに退役軍人が法執行機関と武力衝突を起こす事件も頻発しており、統治能力が弱まった国内で治安の悪化が深刻な問題となっています。

第三に、国家と国民の間の深刻な亀裂です。戒厳令下で強行された徴兵、いわゆる「強制的な連行」や、蔓延する汚職、そして大統領任期を過ぎても権力を握り続けるゼレンスキー政権に対する不満が、国民の間で爆発寸前まで溜まっています。最近では、汚職対策機関の弱体化を狙った政府に対し、主要都市で大規模な抗議デモが発生しました。停戦によって「外敵」という共通の脅威がなくなれば、この内なる不満が一気に噴出し、国内が混乱に陥る可能性があります。

記事は、欧州諸国もこの「戦後の危機」に備えるべきだと訴えています。PTSDを抱えた数百万人の避難民が近隣諸国へ流出する可能性があり、その影響はウクライナ国内に留まりません。

結論として、著者は「平和は終着点ではなく、より複雑で不透明な新章の始まりに過ぎない」と述べています。物理的な復興以上に、傷ついた社会をどう再建するのか。それは西側諸国が語る「経済支援」という言葉だけでは解決できない、気の遠くなるような難題なのです。

(Geminiで要約)

関税は家計に打撃

Peter Schiff: More Tariffs Mean Less Affordability | SchiffGold [LINK]

米国を代表する経済論客、ピーター・シフ氏が2026年2月5日に発表した最新の見解をご紹介します。今回の彼のメッセージは、金や銀といった貴金属の乱高下、ビットコインの失速、そしてトランプ政権下の関税政策がもたらす家計への打撃という、非常に多岐にわたる重要な内容を含んでいます。

まず、最近の貴金属市場で起きた「暴落」について、シフ氏は極めて冷静な、むしろ前向きな見方をしています。金や銀が史上最高値を更新した直後に大幅に下落したことで、メディアは「バブルが弾けた」と騒ぎ立てましたが、彼はこれを単なる一時的な調整に過ぎないと一蹴しました。むしろ、急激な価格上昇に怖気付いていた人々にとって、この引き戻しは絶好の買い場であると主張しています。シフ氏によれば、市場の本質的な弱気材料は何一つ増えておらず、長期的な上昇トレンドは依然として揺るぎないものだということです。

一方で、シフ氏が非常に厳しい言葉を向けているのがビットコインです。彼は「ビットコインが最高の資産であるという神話は崩壊した」と断言しています。2021年のピーク時と比較すると、金建てで見たビットコインの価値は60パーセントも下落しているという事実を挙げ、ビットコインを「デジタル・ゴールド」と呼ぶことの危うさを指摘しました。特に、巨額の資金をビットコインに投じているマイクロストラテジー社のような企業のビジネスモデルが、ビットコインの投資リターンの低さによって限界を迎えていると警告しています。

また、実体経済については、政府が喧伝する「強い経済」という物語に疑問を呈しています。最新の雇用統計(ADP雇用統計)が予測を大幅に下回る低水準だったことを受け、雇用市場の真の弱さが露呈し始めていると分析しました。

そして、日本の皆さんにとっても関心の高い「関税」の問題です。シフ氏は、関税が直接的な「通貨供給量の拡大(インフレ)」を引き起こすわけではないとしても、私たちの生活に深刻な影響を及ぼすと警鐘を鳴らしています。関税は特定の物品の価格を確実に押し上げ、人々の「購買力」を奪います。政府が「これはインフレではない」と言い張ったとしても、一般市民が日用品を買う際に感じる「手が届かなくなる感覚(アフォーダビリティの低下)」は否定できない事実です。シフ氏は、政治的な言葉のすり替えに惑わされず、物価上昇が家計に突きつける現実を直視すべきだと締めくくっています。

(Geminiで要約)

聖書は共産主義を肯定?

Does Acts Show Early Christian Communism? | Mises Institute [LINK]

新約聖書の「使徒行伝」には、初期のキリスト教徒が持ち物を売り払い、すべてを共有していたという記述があります。これをもって「聖書は共産主義を肯定している」と主張する人々が現代でも絶えませんが、果たしてそれは正しい解釈なのでしょうか。今回ご紹介する記事は、経済学と聖書解釈の両面からこの誤解を解き明かしています。

まず、記事の著者が指摘するのは「カテゴリーの誤り」です。現代の社会主義や共産主義は、国家による強制的な財産の没収や公的所有を指します。しかし、聖書に描かれているのは、あくまで信者たちが自発的に行った「分かち合い」です。この記事の著者は、これを混同することは、自発的な親切と強制的な制度を一緒にするようなものだと批判しています。

当時のエルサレムでなぜこのような極端な共有が行われたのか、そこには特有の歴史的背景がありました。ペンテコステという祭りの際に、ローマ帝国各地から集まった数千人もの人々が急激にキリスト教に改宗し、信仰の教えを乞うためにエルサレムに長期間留まることになったのです。彼らはもともと短期滞在の予定だったため、生活費が底を突き、巨大な経済危機に直面しました。そこで現地の信者たちが、この緊急事態を乗り切るための「一時的な救済措置」として、自らの土地や財産を売って助け合ったというのが事の実態です。

さらに重要な点は、聖書全体が「私有財産」を否定していないという事実です。使徒行伝の中でも、すべての信者が家を売ったわけではなく、多くの信者が自分の家を教会の集まりの場として提供し続けていたことが記されています。もし私有財産が禁止されていたなら、このような記述は矛盾してしまいます。

また、ペテロが嘘をついた信者アナニアを叱責する場面では、「売る前もあなたの物であり、売った後もその金はあなたの自由になったのではないか」と述べています。つまり、財産を売るかどうかも、その金を寄付するかどうかも、完全に個人の自由意志に任されていたのです。

結論として、この記事の著者は、初期教会の行動は「特定の状況下での自発的な隣人愛」であり、国家の政策としての共産主義を正当化するモデルにはなり得ないと結論づけています。聖書の教えを現代の政治制度に無理に当てはめることは、聖書の文脈と経済学の本質の両方を見誤ることになると警鐘を鳴らしているのです。

(Geminiで要約)

ドルの特急列車、終着駅へ

Schiff w/ Lin: The Dollar’s Gravy Train is Ending | SchiffGold [LINK]

著名なエコノミスト、ピーター・シフ氏が最新のインタビューで、これまでの「ドルの黄金時代」が終わりを迎え、金を中心とした新しい通貨秩序が到来するという衝撃的な見通しを語っています。

シフ氏がまず強調したのは、世界中の中央銀行が密かにドルの保有を減らし、代わりに金を積み増しているという事実です。これは単なる一時的なトレンドではなく、ドルが世界の基軸通貨として享受してきた「法外な特権」が失われる歴史的な転換点だと彼は見ています。これまでアメリカは、世界中にドルをバラまくことで豊かな生活を謳歌してきましたが、その「無料の特急列車」はいよいよ終着駅に近づいています。

この変化の裏には、深刻な資金調達の問題があります。現在、アメリカの膨大な国債を欲しがる民間投資家が消えつつあり、結局は中央銀行である連邦準備制度(Fed)が、いわば「最後の買い手」として借金を肩代わりせざるを得なくなっています。借金を中央銀行が紙幣を刷って賄うようになれば、待っているのは猛烈なインフレです。シフ氏は、債務危機が通貨危機を招き、それが手に負えない物価高騰につながるという「負の連鎖」を強く警告しています。

また、トランプ政権が掲げる関税政策についても、シフ氏は論理的な矛盾を鋭く突いています。トランプ氏は「関税によって政府は巨額の収入を得られるが、国民が支払う価格は上がらない」と主張していますが、シフ氏はこう問いかけます。「もしアメリカ人が支払わないのであれば、その税金はいったい誰が払っているのか? もし本当に関税だけで国が潤うのなら、なぜ所得税を廃止してすべて関税にしないのか?」と。関税が結局は国内の物価を押し上げ、国民の負担になるという現実に目を向けるべきだというわけです。

暗号資産(仮想通貨)については、依然として厳しい姿勢を崩していません。ビットコインは「デジタル・ゴールド」として、インフレヘッジ(物価高騰への備え)になると宣伝されていますが、シフ氏に言わせれば、それは実体のある本物の金から人々を遠ざけるための、巧妙なキャッチコピーに過ぎません。

シフ氏は、2008年のリーマンショックの際もアメリカの政策失敗をいち早く予見し、金や外国資産への投資を提唱しました。今回もまた、アメリカ国内の経済が崩壊するリスクに備えるには、金や銀、そして健全な他国の通貨や株式に資産を分散させるべきだと説いています。

アメリカという経済大国の衰退と、金という「本物の貨幣」の再評価。このダイナミックな変化は、ドルに依存してきた世界経済全体に、非常に重い課題を突きつけていると言えそうです。

(Geminiを利用)

南北戦争という過ち

We Will Barro You | Mises Institute [LINK]

ロバート・バローという経済学者をご存知でしょうか。彼は自由主義経済の大家として知られ、ノーベル経済学賞の候補にもたびたび名前が挙がる人物です。今回ご紹介するのは、そのバロー氏が自著の中で展開した、アメリカ南北戦争に対する非常に刺激的な視点です。


一般的に、南北戦争は奴隷制を終わらせるための正義の戦いであり、リンカーンは大統領として偉大な英雄であったとされています。しかし、バロー氏の主張はこれに真っ向から反対するものです。彼は、南北戦争を「アメリカ史上最大の過ち」であった可能性さえ指摘しています。

この議論の出発点は、1990年代のソ連崩壊にあります。当時、ソ連から多くの共和国が分離独立しようとしていましたが、驚くべきことにアメリカ政府は当初、この解体に消極的でした。バロー氏は、その理由をアメリカ自身の歴史に求めています。もしアメリカが他国の分離独立を正当な権利として認めてしまえば、かつて南部諸州の分離独立を力で抑え込み、多大な犠牲を払って「連邦の維持」を優先した南北戦争の正当性が揺らいでしまうからです。

南北戦争による人的・経済的損失は凄まじいものでした。60万人以上の兵士が命を落とし、南部の経済は壊滅しました。南部の市民一人あたりの所得は、戦争前は北部の80パーセント程度でしたが、戦後は40パーセントにまで激減し、その水準を回復するのに100年以上を要したのです。

ここで、「奴隷解放のためなら、それほどの犠牲もやむを得なかったのではないか」という反論があるでしょう。しかし、バロー氏はこの点にも疑問を呈します。第一に、戦争による経済の衰退は、白人だけでなく解放されたはずの黒人層をも苦しめました。第二に、戦争で奴隷制を終わらせても、その後の100年間、黒人への深刻な差別や隔離は解消されませんでした。

バロー氏は、1830年代にイギリスが西インド諸島で行ったように、政府が奴隷所有者から奴隷を買い取ることで平和的に解放を進める道があったはずだと説いています。実際、西半球の他の国々では、戦争を経ずに奴隷制が廃止されていきました。ブラジルの例を見れば、アメリカでもあと数十年待てば、これほど悲惨な内戦を経ずとも、奴隷制は自然に終焉を迎えていた可能性が高いというのです。

現代の価値観からすれば、非常に議論を呼ぶ見解ではありますが、バロー氏の指摘は、国家の統合という大義名分がいかに大きな代償を強いるのか、そして「正義の戦争」という美名の裏にどれほどの経済的、社会的な誤算が隠れているかを、私たちに鋭く問いかけています。

いかがでしょうか。歴史の教科書とは一味違う、経済学者の冷徹かつ論理的な分析を通じて、アメリカという国の複雑な背景が見えてくるのではないでしょうか。

(Geminiを利用)

金高騰とドルの崩壊

Schiff w/ Diesen: Gold Is Headed Much Higher | SchiffGold [LINK]

著名なエコノミストであるピーター・シフ氏が、最新のインタビューで金価格の劇的な上昇と、アメリカを襲う深刻な経済危機について警鐘を鳴らしています。投資家にとって、あるいは世界経済の動向を注視する私たち日本人にとっても、非常に見過ごせない内容です。

シフ氏は、金価格が1オンス5,000ドルを遥かに超えて上昇していくと予測しています。かつて彼がこの数字を口にした時よりも、現在の状況ははるかに悪化しているからです。長年にわたって経済の問題を先送りし続けてきた結果、今やアメリカはドル危機と債務危機という、2008年のリーマンショックが「日曜学校のピクニック」に思えるほど凄まじい嵐に直面していると彼は見ています。

特に氏が懸念しているのは、アメリカの住宅市場に漂う「偽りの富」の幻想です。現在の高すぎる住宅価格は、実際には誰も手が届かない水準にあり、売りたくても売れない「紙の上の利益」に過ぎません。トランプ政権がこのバブルを維持し、さらに膨らませようとしていることを、シフ氏は強く批判しています。人々を「自分は金持ちだ」と錯覚させるためにバブルを温存することは、実体経済をさらに歪めるだけだというわけです。

また、ドルの価値が下がり続ける根本的な原因として、アメリカ政府に対する信頼の失墜を挙げています。過去の危機では、ドルは安全資産として買われる傾向がありましたが、今回は違います。膨大な赤字と止まらないインフレに対し、世界はもはやアメリカが自力で解決できるとは信じていません。実際、ドル指数は4年ぶりの安値を更新し、スイスフランに対しても史上最安値を記録するなど、市場の不信感は数字に表れています。

シフ氏はさらに、トランプ大統領の強硬な外交や関税政策が、ドルの覇権を自ら壊していると指摘します。世界から借金をしなければ軍隊すら維持できない国が、他国を敵に回すような振る舞いをすれば、他国がドルの保有を止めるのは当然の帰結です。すでに世界中の中央銀行はドルを手放し、自国通貨の裏付けとして金(ゴールド)を買い集めています。

この厳しい経済環境は、一般市民の生活を直撃しています。生活費は上がり続け、雇用市場は冷え込み、多くのアメリカ人が生活に窮しています。シフ氏は、こうした不満が今年の議会中間選挙で爆発し、共和党が議席を失う大きな要因になるとも予言しています。

資産を守るための「究極の避難先」として、氏がなぜこれほどまでに金を強調するのか。その背景にある、ドルの終わりの始まりという冷徹な分析は、私たちの資産運用の考え方にも一石を投じるものと言えそうです。

(Geminiを利用)

人民元が金で裏打ちされる日

Schiff w/ Sanchez: Blockchain is a Digital Ponzi Scheme | SchiffGold [LINK]

エコノミストのピーター・シフ氏が、ジャーナリストのリック・サンチェス氏とのインタビューで、アメリカの経済政策が招くドルの終焉と、ビットコインの本質について極めて厳しい見解を述べています。

シフ氏がまず指摘したのは、世界各国、特に中国がドル離れを加速させている現状です。膨大な債務を抱えるアメリカがドルを刷り続ける限り、ドルを持ち続けることは購買力を失い続けることを意味します。中国がドルの保有を減らし、自国通貨の国際化を進めるのは、経済的に極めて合理的な判断だというわけです。

ここでシフ氏は、経済の主導権は「消費する側」ではなく「生産する側」にあるという本質を説いています。中国などの生産国は、自分たちが作ったものを自国や新興国で消費することができますが、何も生産せず借金で消費を支えるアメリカは、世界がドルを受け入れなくなれば、たちまち何も消費できなくなります。世界という「無料の特急列車」に乗っていられた時代は終わりを迎えつつあります。

ドル覇権を終わらせるための「チェックメイト(将棋でいう王手)」として、シフ氏は中国が人民元を金(ゴールド)で裏打ちし、金との交換を保証すべきだと提唱しています。そうすれば、何の裏付けもないドルよりも、金に裏打ちされた人民元の方が信頼されるようになるからです。さらに香港ドルをドルペッグから人民元ペッグへと切り替えれば、ドルの優位性は完全に失われると彼は見ています。

また、最近の金価格の下落についても、シフ氏はホワイトハウスによる「組織的な相場操縦」であると疑っています。ドルの信頼が揺らぐことを恐れた政権が、メディアを通じて「次のFRB議長候補はタカ派でインフレに強い」といった情報を流し、空売りを仕掛けて金価格を押し下げたという分析です。

最後に、シフ氏はビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を「デジタル版のポンジ・スキーム(ネズミ講)」と呼び、痛烈に批判しています。ビットコインは日常の決済に使うにはコストが高すぎて実用的ではなく、単に先に買った人が後から来る人に高値で売り抜けるためだけの仕組みに過ぎないという主張です。ブロックチェーンという分散型の技術を使ってはいても、その経済的なダイナミクスは過去のネズミ講と同じであり、いずれ崩壊は免れないと警告しています。

(Geminiを利用)

2026-02-06

トークン化金、ビットコインに勝る?

Schiff vs. Ammous: Tokenized Gold Trumps Bitcoin | SchiffGold [LINK]

著名な投資家ピーター・シフ氏が、ビットコイン支持者のアモウス氏との対談で、これまでの論争を一変させる議論を展開しました。シフ氏が強調したのは、単なる金とビットコインの比較ではなく、「トークン化された金」がビットコインを完全に凌駕するという視点です。彼は、テザー・ゴールドのような実物資産裏付け型のトークンを「デジタル化された本物の通貨」と呼び、対するビットコインを「実体のない『無』をトークン化したもの」と厳しく批判しました。

シフ氏がビットコインを危惧するのは、その需要が純粋な投機のみに依存している点です。ビットコインには金のような実需が存在しないため、価値を支える理論的な底がありません。人々が値上がりを信じているうちは高値を維持できますが、期待が一度崩れれば、価値がゼロに向かって暴落するリスクを常に抱えています。シフ氏は、価格が下落し始めている現状を挙げ、ビットコインには実体経済の裏付けがないことを改めて指摘しました。

対照的に、金はデジタル技術と融合することで、歴史的な弱点であった「持ち運びの不便さ」を克服しつつあります。物理的な金を移動させるのは困難ですが、ブロックチェーン上で請求権をトークン化すれば、スイスの安全な金庫に保管したまま、世界中で瞬時に価値を移転できます。シフ氏は、「私たちは現在、法定通貨システムの終焉を目撃しており、金がドルの代替として再び通貨の地位を取り戻す『再貨幣化』の初期段階にある」と述べました。

市場に供給される年間の新規の金は約7,000億ドル相当に達し、ビットコインの新規発行額とは比較にならない規模です。これほどの供給を市場が吸収し続けていることこそが、金の圧倒的な需要の証左です。中央銀行が意図的に通貨価値を減らし続けるインフレの時代において、シフ氏によれば、ブロックチェーンの正しい使い道は「最も信頼できる資産である金に利便性を与えること」に他なりません。それこそが、インフレから資産を守る真の解決策になると結論づけています。この記事は、円安やインフレに直面する私たちにとっても、通貨の本質を問い直す重要な示唆を含んでいます。

(Geminiで要約)

二大政党制と真の支配層

Why America's Two-Party System Will Never Threaten the True Political Elites | Mises Institute [LINK]

アメリカで新しい大統領が就任する際、メディアや歴史家たちは「権力の平和的な移行」が実現したと熱狂的に報じます。これは民主主義の至高の美徳とされていますが、ある論評によれば、これは支配エリートが自らの正当性を維持するために広めている「神話」にすぎません。選挙によって「国民の意志」が示され、それに応じて統治者が交代するという物語は、市民が現在の体制を受け入れるための、いわば一種の世俗的な宗教のような役割を果たしているというのです。

しかし、著者はこの物語の核心にある「権力は本当に移譲されているのか」という点に鋭い疑問を投げかけます。実際には、選挙で選ばれる公職者たちは支配層の「公的な顔」にすぎず、その背後にある真の支配エリートは、政権交代の前後で何ら変わることなく権力を保持し続けています。その証拠として、政権が代わっても国の根幹に関わる主要な政策がほとんど変化しないという現実があります。中絶や多様性に関する議論といった、いわゆる「文化戦争」の分野では多少の変化が見られますが、エリート層の経済的・政治的権力の源泉である外交政策や中央銀行の制度、そして巨大な社会保障プログラムなどは、実質的に選挙の結果によって左右されることはありません。これらは支配層にとって「不可侵」の領域なのです。

ここで著者が引用するのが、イタリアの社会学者ヴィルフレド・パレートの視点です。パレートは民主主義体制における支配層を、互いに利権を与え合うパトロンとクライアントの複雑なネットワークとして捉えました。これを「プルート・デモクラシー(富豪政治的民主主義)」と呼び、企業家や労働団体、政府職員などが共生関係を築き、国家の富を合法的に略奪するシステムだと定義しています。この巨大な利権構造を維持するために費やされる労力や資源を考えれば、数年おきの選挙の結果次第でその地位をあっさりと手放すなど、支配層にとっては論理的にあり得ないリスクなのです。

そのため、二大政党制そのものが、エリートに容認された政党だけが競い合う仕組みとして機能しています。パレートの分類によれば、政権を交互に担う共和党と民主党はどちらも「体制内政党」であり、支配層の一部にすぎません。一方で、システムを根本から変えようとする「妥協のない政党」は、過激派として権力の座から徹底的に遠ざけられます。さらにガエタノ・モスカの指摘を借りれば、有権者は政党が提示したメニューの中から代表者を選んでいるにすぎず、エリートにとって不都合な候補者は、政党という門番によってあらかじめ排除されているのが実態です。

結局のところ、権力の平和的な移行という言葉は、システムに害を及ぼさない範囲での「担当者の入れ替え」を意味しているにすぎません。支配層が享受する富や名声、特権はあまりに大きく、それを本当の意味で開かれた自由な選挙の結果に委ねることは、彼ら自身にとっても、その恩恵にあずかる利権関係者にとっても、到底受け入れられないことなのです。この記事は、民主主義という華やかな舞台裏で、変わることのない権力構造が脈々と受け継がれている冷酷な現実を浮き彫りにしています。

(Geminiで要約)