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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-05-10

古代の民族大移動

【グローバルヒストリーを読む】ユーラシア大陸の東西でネットワークを支えた二つの大帝国、漢帝国とローマ帝国は2世紀まで安定を享受していた。しかし3世紀に入ると、その繁栄は崩壊へと向かう。東アジアでは漢が滅亡して魏晋南北朝の騒乱期に突入し、ローマ帝国では軍人皇帝が乱立する「3世紀の危機」と呼ばれる大混乱の時代を迎えたのである。

中国の歴史5 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝 (講談社学術文庫)

この3世紀から6世紀にかけては、世界的な寒冷化が進行した時期でもあった。寒冷化はユーラシア各地の農業や牧畜に甚大な打撃を与え、特に元来厳しい環境にある草原地帯の遊牧民・牧畜民は、生存をかけて周囲の肥沃な農耕地帯へと進出せざるを得なくなった。中央ユーラシアにおける遊牧民の動向は東西で連動しており、4世紀後半には、西進した北匈奴の流れを汲むとされる「フン」がヨーロッパに侵入。これがゲルマン人の大移動を引き起こす引き金となった。

一方、東アジアでは紀元前2世紀後半以来、騎馬遊牧民の匈奴が漢と共存・対立を繰り返していたが、内紛と天災により次第に統合力を失い、東西、次いで南北へと分裂した。南匈奴は後漢に服属して長城以南の華北へ移住し、空いたモンゴル高原では、かつて匈奴に従属していた鮮卑(せんぴ)が台頭する。鮮卑は後のモンゴル民族の源流の一つであり、君主の称号として「カガン(可汗)」を用いた。この呼称は後に「カーン」や「ハーン」へと変化していく。彼ら鮮卑もまた、寒冷化から逃れるように3世紀には複数の集団に分かれ、豊かな華北を目指して南下を開始した。

当時の華北は、漢代以来の移住政策により遊牧集団と漢人が入り混じり、彼らは王朝や地方豪族の軍事力の中核を担っていた。4世紀初め、西晋の内紛を機に南匈奴が匈奴帝国の再興を掲げて自立すると、鮮卑などもこれに追随した。ここに遊牧勢力が割拠する「五胡十六国時代」が幕を開け、以後、隋・唐の統一に至るまで、華北には遊牧系民族による王朝が次々と興亡することになる。

5世紀前半、鮮卑の拓跋(たくばつ)部が北魏を建国して華北を統一した。一方、西晋が滅びると、王族の一部が江南の建康(現・南京)で東晋を再興。華北と江南にそれぞれ北朝と南朝の政権が並び立つ情勢が固定化し、後漢滅亡から約370年に及ぶ「魏晋南北朝時代」が形成された。この時代は①モンゴル高原の遊牧国家②中国式の統治を導入した華北の諸王朝③江南を基盤とする漢人政権(六朝)——という「三重構造」が特徴である。各地で遊牧民と漢人、あるいは北からの移住者と先住民が混交し、新たな政治体制や文化が醸成されていった。

特に江南の南朝は、南海交易で大きな利益をあげていく。百年以上にわたり戦乱が続いた華北に比べて、政権交代はあったものの、江南の漢民族王朝は社会経済的に安定していた。この民族大移動の時代にも海洋ネットワークは順調に発展した。

周辺民族の活発化は、朝鮮半島や日本列島にも国家形成の波をもたらした。新興国家の支配者たちは、中国王朝から官職や称号を授かる「冊封(さくほう)」を受けることで、国内における支配の正当性を固めようとした。また、分裂状態にあった中国の諸王朝も、自らの勢威を示すためにこれら周辺諸国との結びつきを重視した。こうして形成された朝貢と冊封に基づく国際秩序は、東アジアの特有の形式として19世紀半ばまで存続することとなる。

日本の古代国家形成もこの潮流の中にある。3世紀、「倭」と呼ばれた日本列島では多くの小国が分立していたが、有力な邪馬台国の女王・卑弥呼は魏に遣使し、「親魏倭王」の称号を得た。5世紀に入ると、権力を確立したヤマト政権(倭の五王)が南朝へ朝貢し、朝鮮半島における軍事的な影響力の承認を求めた。彼らは渡来人がもたらす高度な技術を吸収すると同時に、中国王朝の権威を背景に国内の強大化を図ったのである。

当時の朝鮮半島は高句麗・百済・新羅が競り合う三国時代であり、ヤマト政権は鉄資源の供給地である「加羅(加耶・任那)」諸国と連携し、半島への進出を試みた。さらに百済との同盟を通じて、漢字、儒教、暦、そして仏教といった、国家統治に不可欠な先進文化を組織的に輸入していった。

魏晋南北朝時代の動乱が生んだこの文化の奔流は、単なる文物にとどまらず、「中華」を世界の中心とする思想までも日本にもたらし、定着させた。その影響は驚くほど息が長い。例えば、安土桃山時代に訪れたスペイン人やポルトガル人を、中国で南方の野蛮人を指す「南蛮」と呼んだことや、幕末に「尊皇攘夷」を掲げて列強を排除しようとした動きも、その根底には古代に伝播した中華思想がある(川本芳昭『中華の崩壊と拡大』)。

かつて排外主義のスローガンであった「尊皇攘夷」という概念そのものが、実は海外由来の枠組みであったという事実は、極めて示唆に富んでいる。それは古代からのグローバルなネットワークを経て伝わった文化が我々の思考に深い影響を及ぼしている事実を物語ると同時に、純粋な「自国のみ」の文化に閉じこもる排外主義が、歴史の必然としていかに困難であるかを教えてくれている。

独撤兵に一分の理

One Cheer for Trump’s Germany Troop Withdrawal - The American Conservative [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領がドイツ駐留米軍の削減を表明したことについて、ケイトー研究所のダグ・バンドウ氏は、「正しい政策を誤った理由で行っている」と評しています。トランプ氏は、ドイツのメルツ首相が米国のイラン攻撃を「無謀で世界経済を混乱させている」と批判したことに激怒し、その意趣返しとして5000人の兵力削減を打ち出しました。しかし、これは国家の安全保障戦略に基づく決断ではなく、単なる個人的な憤慨によるものです。トランプ氏はイタリアやスペインに対しても、自身の軍事行動を支持しないことを理由に同様の脅しをかけていますが、これは米軍を国防の組織としてではなく、自身の私兵や護衛隊のように扱っている証左といえます。

トランプ氏は以前から欧州の「安保タダ乗り」を批判してきましたが、1期目の4年間、そして再選後の現在に至るまで、実質的な軍事負担の軽減はほとんど進んでいません。それどころか、史上最大規模の軍備増強を推し進め、イランとの紛争を泥沼化させることで、結果として米国の納税者に多大なコストを強いています。バンドウ氏によれば、トランプ氏には一貫した外交哲学がなく、オバマ政権の核合意を代替案なしに破棄したのも、イランが自身の要求に屈しないことに腹を立てて戦争に突き進んだのも、すべては個人的な感情が優先された結果です。その不適切な軍事介入の代償を、今や世界全体が支払わされている状況にあります。

一方で、欧州諸国の側にも問題はあります。米国による「軍事的な生活保護」に依存し続けることで、自国の防衛に必要なコストを社会福祉へと回し続けてきました。欧州の軍事能力には依然として大きな欠陥があり、米国の戦力を自前で代替するには約1兆ドルの費用がかかると試算されています。しかし、欧州諸国は再武装に向けた抜本的な措置を先延ばしにし、トランプ氏の強引な貿易要求に屈することで、現状の防衛補助金にしがみつこうとしています。トランプ氏もまた、安保上の優位性を利用して同盟国から資金を搾り取ることには熱心ですが、米国の若者の血が流れるリスクを減らすことには無頓着です。

国防総省の本来の役割は国内の防衛であり、他国のための福祉であってはなりません。トランプ氏は「アメリカ・ファースト」を掲げながらも、実際にはイスラエルの政治的利益のためにイランとの愚かな紛争を開始し、アメリカ国民の安全を二の次にしています。今回のドイツ撤退が、結果として米国の過剰な軍事介入を縮小させる一歩になるのであれば歓迎すべきことですが、それが単なる大統領の機嫌次第で決まるようでは、真の国家利益は遠のくばかりです。絶対的な権力は腐敗するという格言通り、自身の虚栄心を満たすために世界を翻弄し続けるトランプ氏の姿勢が、米経済と国際秩序に致命的なダメージを与えようとしています。

帝国を選んだ代償

When America Chose Empire - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】経済・技術ライターのジョージ・スミス氏は、アメリカが本来持っていた反帝国主義の伝統を捨て、帝国への道を選んだ歴史的転換点について考察しています。1901年、フィリピンのサマール島バランギガで起きた出来事は、その象徴です。米軍の占領下で虐待を受けた地元住民が反撃し、米兵74人が死亡したことに対し、ジェイコブ・スミス将軍は「10歳以上の者は全員殺せ」「荒野にせよ」と命じ、村々を焼き払い民間人を虐殺しました。驚くべきことに、将軍は軍法会議にかけられたものの、罪状は殺人ではなく「軍の規律を乱した」という程度のもので、退職処分で済まされました。当時の米国にとって、異民族への残虐行為は、野蛮人に対する一種の「エチケット違反」程度にしか捉えられていなかったのです。

これは、ワシントンやジェファーソンといった建国の父たちが掲げた、外国との紛争を避けるというビジョンからの完全な逸脱でした。ジョン・クインシー・アダムズがかつて述べたように、初期の入植者たちは先住民から土地を買い取り、合意と自発的な結びつきによって社会を形成したはずでした。そこには征服や奴隷化といった「暴力の沼」は存在しませんでした。しかし、1898年の米西戦争がすべてを変えました。フィリピン、グアム、プエルトリコを手に入れた米国は、作家のマーク・トウェインが風刺したように、「文明化」という名目のもと、他国の独立を助けるふりをしてその土地を奪う「欧州流の帝国主義」に手を染めたのです。

社会学者のウィリアム・グラハム・サムナーは、当時こう警告していました。軍事衝突でスペインに勝ったとしても、帝国主義という「思想」においてスペインに征服されてしまえば、米国もまた破産した衰退国家への道を辿ることになると。この転換を体現したのがセオドア・ルーズベルトです。彼は海軍力を背景に「大きな棍棒(大言壮語せずに武力を備える)」を振りかざし、国家の偉大さを誇示することを称揚しました。かつて南北戦争で南部の独立を力でねじ伏せた経験が、合衆国を「自由な連合体」から、離脱を許さず他者を制圧する「不可分な一国家」へと変容させていたのです。

ルーズベルトが説いた、絶え間ない労働と闘争、そして勝利を求める「激しい生の教義」は、国民にとっては高揚感を与えるものでした。しかし、政府にとってはそれは「終わりのない戦争」を意味しました。積極的な介入主義を追求し続けた結果、現在のアメリカは巨額の債務に喘ぎ、地球上の全生命を消し去るほどの武力を備えた好戦的な国家となってしまいました。自由の擁護者として始まった国家が、帝国への道を選択した代償は、現代の地政学的な混迷と危機の中に深く刻まれているのです。

米経済の三重苦

When the Persian Gulf Supply Shock Meets the Warsh Fed: Stagflation and the Coming AI Bubble Bust - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】元米予算管理局長のデビッド・ストックマン氏は、トランプ政権によるイランへの軍事介入が招いた「ペルシャ湾供給ショック」と、新たに連邦準備理事会(FRB)議長への就任が有力視されるケビン・ウォーシュ氏の金融政策が衝突することで、米経済が深刻なスタグフレーションに陥ると警告しています。現在、米国内のトラック輸送に不可欠なディーゼル燃料の価格は、年初から56%も急騰しました。年間換算で約950億ドルのコスト増となり、このエネルギーショックが経済の隅々にまで波及し始めています。

ストックマン氏は、パウエル現FRB議長がインフレを「一時的」と見誤り、実質金利をマイナス圏に放置して投機を煽った失策を厳しく批判しています。対照的に、ウォーシュ氏が率いる次期FRBは、1970年代の失敗を繰り返さないために、供給ショックによる物価上昇を容認せず、通貨の番人として「健全な通貨」政策を断行すると予測しています。これは、高騰するエネルギー価格に対して、FRBが需要を抑制するデフレ的な圧力をかけることを意味し、結果として経済活動は激しく収縮することになります。

現在の米経済を支えているのは人工知能(AI)関連の投資ブームですが、ストックマン氏によればこれも「砂上の楼閣」に過ぎません。2025年の企業設備投資の伸びの82%はAIとデータセンター関連によるもので、それ以外の実体経済における投資は、実質ベースでマイナス0.4%と既に縮小しています。AIバブルによって覆い隠されていた景気後退の兆候は、燃料価格の暴騰という直撃弾を受けて一気に表面化するでしょう。

これまで、市場が混乱に陥るたびに中央銀行は資金を供給して救済してきましたが、ウォーシュ体制下のFRBにそのような支援は期待できないと同氏は述べています。ペルシャ湾からの供給ショックが経済を直撃する一方で、AIバブルが崩壊し、さらにはFRBによる金融引き締めが追い打ちをかけるという「三重苦」の時代が到来しようとしています。トランプ政権がもたらした不必要な紛争が、米経済をスタグフレーションと大収縮の崖っぷちへと追い込んでいるというのが、ストックマン氏による極めて悲観的な予測です。

トランプ氏に手札なし

The Gulf Separating the US and Iran is Too Wide to Bridge - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏は、トランプ政権がイランとの和平交渉に進展があるかのように装い、株式市場の好転や原油先物価格の下落を狙う「意図的な欺瞞」を繰り返していると批判しています。ジョンソン氏によれば、米国とイランの主張は根本的に相容れず、今後6ヶ月以内に交渉による終結が実現する可能性は皆無です。米国の高官や識者の多くは、イランを崩壊寸前のテロ国家とみなし、核開発の即時停止と無制限の査察を求めています。これに対し、イラン側はレバノンやガザでの完全停戦を条件として掲げ、ホルムズ海峡の制権を譲らない構えを崩していません。

実際にイランは5月5日に「ペルシャ湾海峡庁(PGSA)」を設立し、海峡を通行する全船舶に対し、登録と通行料の支払いを義務付けました。米国側はイランの軍事力が壊滅し、指導部が分裂しているという誤った前提に立っていますが、ジョンソン氏は、イランの軍事能力は依然として健全であり、ロシアや中国、パキスタンからの支援を受けて経済も回復し始めていると指摘します。さらに、イランの政治指導部と革命防衛隊はかつてのイラク戦争を共に戦った強固な結束で結ばれており、米国の期待するような体制崩壊は現実的ではありません。

トランプ大統領は現在、いくつかの深刻なジレンマに直面しています。ガソリン価格の高騰に対する国民の怒りは高まり、米国経済は衰退の兆しを見せています。また、イランへの攻撃を再開すれば米軍の兵器備蓄はさらに枯渇し、イランによる報復は米国とイスラエルに甚大な被害をもたらすでしょう。加えて、紛争の継続は中露との関係をさらに悪化させます。ジョンソン氏は、真の脅威は軍事的なものではなく経済的なものであると強調します。

ホルムズ海峡の封鎖が続くことで、世界のエネルギーと商品供給は前例のない危機にさらされています。2025年時点のデータでは、ペルシャ湾周辺諸国は世界の原油供給の約32%、液化天然ガス(LNG)の約20%、そして肥料原料となる尿素の輸出において36%という巨大なシェアを占めています。さらに、半導体製造やバッテリーに必要な硫黄は世界の生産量の44%、ヘリウムも33%に達しています。イランは現在、これらの資源の輸出をPGSAの管理下で再開すべく、サウジアラビアやカタールとの外交交渉を進めています。もし近隣諸国がイランと手を結べば、この地域における米国の影響力は失墜するでしょう。世界的な大恐慌の足音が迫る中、最終的に妥協を強いられるのは米国であり、トランプ大統領はもはや有効な手札を持っていないと、ジョンソン氏は冷徹に分析しています。

ミレイ氏、演説と現実

Myths and Truths About Milei and Argentina’s Public Debt, by Oscar Grau - The Unz Review [LINK]

【海外記事より】ミレイ大統領率いるアルゼンチンの経済政策について、エコノミストのオスカー・グラウ氏は、ミーゼス研究所に掲載されたマヌエル・ガルシア氏らの見解を批判的に検証しています。論争の核心は、2023年12月の就任時にミレイ氏が公約していた中央銀行(BCRA)の閉鎖を断行すべきだったか、という点にあります。ガルシア氏は、当時のBCRAが抱えていた巨額の利付負債、通称「レリック爆弾」がマネタリーベースの約3倍に達していたことを挙げ、即時の閉鎖はハイパーインフレか金融システムの崩壊を招く危険があったと主張しています。しかしグラウ氏は、ミレイ氏がこの「爆弾」の処理を優先して中銀閉鎖を先送りしたことは、国民の利益よりも銀行エリートの利益を優先した政治的選択であると厳しく指摘しています。

ガルシア氏がミレイ氏の戦略を「秩序ある清算」として評価する一方で、グラウ氏はその実態が中銀の負債を財務省の負債へと付け替える大規模な再編に過ぎないと分析しています。この過程で、2025年8月までにマネタリーベースは4倍に膨れ上がっており、ミレイ氏の政策は依然としてインフレ的であり、債務に依存したものだと述べています。また、ガルシア氏は将来的にインフレが完全に沈静化すると予測していますが、グラウ氏は現在の通貨システム自体が通貨供給量の増大を前提としている以上、そのような期待はアルゼンチンのような国では非現実的であると一蹴しています。

さらに、記事はミレイ氏の「自由主義者」としての資質にも疑問を呈しています。ガルシア氏は2025年になっても中銀閉鎖が進まない現状に対し、ミレイ氏が「言い訳」を始めていると批判し始めましたが、グラウ氏に言わせれば、ミレイ氏には最初から中銀を閉鎖する意志などなかったという結論に至ります。中銀総裁が「自分の任期中に中銀を閉鎖することはない」と明言していることからも、ミレイ政権が長年続いてきた政府による通貨独占と介入の仕組みを維持する決断をとうの昔に下していたことは明らかだと主張しています。

結論として、グラウ氏はミレイ氏を「右派のエスタブリッシュメント政治家」と位置づけ、マレー・ロスバードら真の自由至上主義(リバタリアニズム)の理想とはかけ離れた存在であると結論づけています。ミレイ氏が演説で掲げる理想と、実際に彼が行っている増税や債務管理、通貨発行といった国家主義的な政策との間には埋めがたい溝があります。中銀の閉鎖という公約は、今や果たされない約束となりつつあり、アルゼンチン国民は依然として政府による通貨抑圧の中に置かれたままであるというのが、グラウ氏による冷徹な現状分析です。

迫り来る飢餓

The Coming Famine: Why Millions Will Starve and What You Must Do Now – NaturalNews.com [LINK]

【海外記事より】ナチュラル・ニュース創設者のマイク・アダムス氏は、極めて深刻な警鐘を鳴らしています。トランプ政権とその同盟国によるイランとの戦争が長期化し、ホルムズ海峡が封鎖され続ければ、2027年末までに世界で数百万人が飢餓で亡くなる可能性があるという主張です。これは自然災害によるものではなく、エネルギー供給の遮断が引き起こす「人為的な大惨事」であると彼は述べています。ホルムズ海峡は世界の天然ガス供給の25%を担う要所ですが、紛争によってこの供給路が断たれたことで、現代農業に不可欠な窒素肥料の生産が危機に瀕しています。

現代の食糧システムは、天然ガスから肥料を作るハーバー・ボッシュ法に依存しており、現在生きている約40億人の命はこのプロセスに支えられています。しかし、カタールの液化天然ガス(LNG)施設が攻撃を受け、ロシアや中国も肥料の輸出を制限したことで、世界の肥料価格は急騰しています。アダムス氏によれば、肥料の使用量がわずか10%減少するだけで、トウモロコシなどの収穫量は最大30%も落ち込む可能性があります。この影響は栽培サイクルの関係で時間差を置いて現れるため、真の危機が訪れるのは2027年になると同氏は予測しています。

この飢餓の波は、スーダンやイエメン、バングラデシュといった国々を直撃するだけでなく、米国も例外ではないと記事は警告しています。食料価格の高騰やスーパーの棚の空白、そして農家の相次ぐ破産が現実味を帯びています。米国は自国の石油やガスを輸出して戦略備蓄を減らしており、エネルギーコストの上昇が農業経営をさらに圧迫しています。アダムス氏は、すべての道が食糧システムの崩壊に向かって「スローモーション」で進んでいると現状を分析しています。

事態を打開する唯一の方法は、戦争を即座に終結させて供給ルートを回復させることですが、それが叶わない場合に備え、同氏は個人レベルでの自給自足を強く推奨しています。具体的には、家庭菜園での食料生産、数カ月分の燃料備蓄、太陽光発電によるエネルギーの確保など、政府に頼らない「自己責任の備え」が必要です。食料供給の脆弱性が露呈した今、貯蓄を確保し、消費を抑えて生活を分散化させることが、来るべき大飢饉から生き残るための唯一の防衛策であると、冷静な論調ながらも強い危機感を持って訴えています。

ミーゼス研の機能不全

The Influence and Significance of Human Action After 75 Years Finally in Print [LINK]

【海外記事より】オーストリア学派の経済学に多大な影響を与えたルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの主著『ヒューマン・アクション』。その出版75周年を記念した論文集『75年を経たヒューマン・アクションの影響と意義』がようやく刊行されましたが、その内容と出版プロセスを巡って混乱が生じています。法学者のステファン・キンセラ氏は、ミーゼス研究所による今回の出版が、組織内の不協和音を露呈するものになっていると指摘しています。当初、この論文集は2024年に開催された会議の成果として、寄付者や参加者に約束されていたものでした。しかし、潤沢なリソースがあるはずの研究所が1冊の本をまとめるのに2年を要したことに対し、関係者からは生産性の低さを批判する声が上がっています。

さらに、完成した書籍には看過できない不可解な点が見受けられます。まず、裏表紙の紹介文では「序文(Foreword)」を引用しているにもかかわらず、実際の本文には「はしがき(Preface)」しか存在しないという、初歩的な編集ミスが指摘されています。しかし、それ以上に衝撃的なのは、重版分の目次に追加された脚注の内容です。そこには、同研究所の最も著名なフェローの一人であるハンス・ヘルマン・ホッペ教授が、2026年4月1日付でその地位を解任された旨が記されています。学術書において、その著者の一人を冒頭で否定するような注釈を入れるのは極めて異例であり、読者や寄付者の間では困惑が広がっています。

著作権の扱いについても議論を呼んでいます。今回の書籍は、商用利用を制限する比較的厳しいライセンスで発行されました。しかし、執筆者の一人であるホッペ教授は、自身の論文をより自由度の高いライセンスで公開しています。キンセラ氏は、資本主義を標榜する団体がなぜ「商用利用」を制限するようなライセンスを採用し、読者に誤解を与えるような権利主張を行うのかと疑問を呈しています。かつての研究所はオープンな出版方針を掲げていましたが、近年はその姿勢が後退しているようです。

今回の出版をめぐる騒動は、単なる事務的なミスの積み重ねではなく、伝統ある研究所内部での深刻な対立を反映しているように見えます。ホッペ教授は他にも軍事史に関する会議の論文集への寄稿を終えていますが、そちらの出版も遅延しており、刊行の目処は立っていません。偉大な経済学者の功績を称えるはずの記念碑的な著作が、皮肉にも組織の機能不全と変質を浮き彫りにする結果となってしまいました。自由社会の原則を説く学術団体にとって、情報の公開性や執筆者への敬意は不可欠なはずですが、現在のミーゼス研究所はその岐路に立たされているといえるでしょう。

帝国の虚飾

Trump Goes to China, But Iran Holds All the Cards - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】イランのアラグチ外相がロシアと中国を相次いで訪問したことは、ユーラシア統合の原動力となる「ロシア・イラン・中国(RIC)」の三角形がかつてない強固なものになったことを象徴しています。中国の王毅外相は、米国とイスラエルによるイラン攻撃を「非合法」と断じ、イランが国家の主権と安全を守ることを全面的に支持する姿勢を鮮明にしました。これは、北京がテヘランを主要なグローバル・パワーとして正式に認め、その後ろ盾になるという強力なメッセージです。北京はトランプ政権の威圧的な外交とは対照的に、対等な外交と主権の尊重を重視しており、イランが核兵器を開発しないという約束を高く評価しつつ、平和的な原子力の利用権を認めています。

ホルムズ海峡の情勢についても、中国は米国の封鎖に終止符を打つことを求めつつ、イランが提唱する海峡の新たな法的枠組みを尊重する意向を示しています。中国にとってこの海峡はエネルギー輸入の生命線であり、イラン主導の「地域安全保障アーキテクチャ」を支持することで、米国という「混乱と嘘の帝国」を排除した、西アジアの新しい秩序を構築しようとしています。王毅外相は、イランの正当な主張への支持、ペルシャ湾からの米軍基地の撤退、そして戦後のイラン復興への積極的な参加という3つの柱を明確にしました。これは、イランの戦略的資産としての「抵抗」を北京が十分に理解し、それを政治的資本として交渉のテーブルに乗せることを認めたことを意味します。

経済面では、米国の制裁を無効化するための「金融冷戦」がRICの間で激化しています。イランは2012年に国際決済ネットワーク(SWIFT)から追放されましたが、現在では人民元、ルーブル、ルピーなどを用いた独自の貿易決済体系を構築しています。特に対中貿易の決済は人民元やバーター取引で行われ、ロシアの決済システムとも連結しています。ホルムズ海峡で新たに導入された通行料の徴収システムは、イランの銀行のみが徴収権を持つ形となっており、海峡を通過するすべての国がイランの金融システムを利用せざるを得ない状況を作り出しています。これは、米国によって凍結された資産の回収や、戦後復興の資金源として機能するだけでなく、欧米に制裁の解除を迫る強力なカードとなります。

トランプ大統領は北京を訪問しますが、そこで直面するのは、中国が米国の依存する産業サプライチェーンや希少資源を完全に掌握しているという現実です。米国法の域外適用はもはや中国国内では通用せず、米国の構造的な脆弱性が浮き彫りになっています。中国は囲碁のように、長年かけて盤面を有利に形作ってきました。米国がイランとの消耗戦で無力さを露呈する一方で、イランは西アジアでの優位性を固めつつあります。独自のイデオロギーと社会の団結、そして「野蛮な侵略者」を兵站の崩壊によって破産させるという戦略が、驚くべき地政学的な逆転劇を生み出しています。カオスと海賊行為を繰り返す帝国がRICの現実に直面し、その虚飾が剥がれ落ちようとしています。

不自然な原油取引

Oil trader pockets reported $125 mn on suspiciously well-timed Iran bet – media — RT Business News [LINK]

【海外記事より】原油市場において、驚くべきタイミングで巨額の利益を上げた取引が物議を醸しています。市場分析プラットフォームの「コベイシ・レター」が報告した内容によると、アメリカとイランの間で戦争終結に向けた進展があったとされる直前に、あるトレーダーが1億2500万ドルもの利益を手にした疑いが出ています。この取引が行われたのは5月6日の水曜日の午前3時40分ごろで、目立ったニュースがない時間帯であったにもかかわらず、約9億2000万ドルに相当する1万枚近い原油の売りポジションが、不自然なほど大量に投入されました。

その後、午前4時50分にアメリカのニュースサイト「アクシオス」が、アメリカとイランが停戦合意に近づいていると報じました。このニュースを受けて原油価格は2時間以内に12%以上も急落し、事前に売り注文を出していたトレーダーは、わずか1時間余りで巨額の含み益を得ることになりました。価格はその後反発しましたが、このタイミングの良すぎる取引に対し、内部情報を利用したインサイダー取引ではないかという疑念が市場関係者の間で強まっています。

現在のアメリカとイランをめぐる情勢下では、空爆や停戦、外交的な進展に合わせた不自然な賭けが、伝統的な金融市場だけでなく予測市場でも相次いでいます。イギリスの「ガーディアン」紙によれば、これまでにもアメリカによる空爆直前や、4月のトランプ大統領による停戦発表の数時間前に、合わせて10億ドルを超える巨額の賭けが行われてきました。特に4月の停戦発表時には、予測市場において数日間で1億ドルを超える賭け金が投じられたと報じられており、政治的な決定を事前に知る立場の人間が関与している可能性が指摘されています。

こうした事態を重く見たホワイトハウスは、今年3月24日に職員に対し、戦争に関する内部情報を用いた取引を行わないよう警告を発したと伝えられています。これは、イランのエネルギー施設への攻撃が急遽一時停止されるという政策転換の発表直前に、数分間で7億6000万ドル相当の原油先物が取引されるといった事案が過去に発生したためです。特定の予測市場のアカウントが停戦のタイミングを正確に的中させて利益を上げている事実もあり、市場の健全性が問われています。

今回の1億2500万ドルの利益確定は、一連の不自然な取引の中でも特に規模が大きく、市場に強い関心を集めています。外交上の重大な進展が、一部の投資家にとって莫大な富を生み出す機会となっている現状に、厳しい視線が注がれています。インサイダー取引の疑いが浮上する中で、国家の安全保障に関わる重要な情報がどのように管理され、市場に影響を与えているのか、今後も慎重な議論が必要とされるでしょう。

2026-05-09

選好とは?

【キーワード】選好(Preference)とは、私たちが何かを選び、行動する際に、心の中で複数の選択肢に優先順位をつけることを指します。オーストリア学派経済学において、この概念は単なる「好みの問題」ではなく、人間のあらゆる「意志のある行動」の背後にある、最も重要な土台の一つとして捉えられています。私たちは日々、限られた時間や資源をどのように使うかという選択を迫られています。このとき、自分にとって最も価値が高いと感じる目的を一番に選び、それ以外の目的を後回しにするという順序こそが、選好の本質なのです。

この選好の最大の特徴は、それが徹底して「主観的」であるという点にあります。ある人が「リンゴよりもミカンを好む」としても、別の人にとっては全く逆かもしれません。価値というものは物自体に備わっているのではなく、一人ひとりの心の中に存在します。また、同じ人であっても、置かれた状況や時間の経過によって、その優先順位は刻一刻と変化していきます。そのため、選好は特定の時点における個人の内心の状態を反映したものであり、他人が外から客観的に測ったり、他人の満足度と比較したりすることはできません。

さらに、オーストリア学派は「選好は数字で表すことができない」と考えます。これを「序数的」な性質と呼びます。例えば、第1位に野球観戦、第2位にドライブという順位をつけることはできますが、野球観戦がドライブよりも「2.5倍好きだ」というように、満足の度合いを具体的な数字で計算することは不可能です。満足感には共通の単位が存在しないため、足し算や引き算などの算術を行うことは論理的に成り立たないのです。

私たちが実際にどのような選好を持っているのかは、頭の中で考えていることではなく、実際の「行動」によってのみ示されます。例えば、1時間の空き時間に映画を観に行かずにコンサートへ行ったなら、その人はその瞬間に映画よりもコンサートを高く評価していたことが証明されます。口先で何を言おうとも、実際に選んだ行動こそが、その人の真の優先順位を世に示しているのです。このように、選好を人間の具体的な選択の結果として捉えることで、私たちは複雑な経済の仕組みを、人間の心を通した一貫した物語として理解できるようになります。

イラン核武装の嘘

Two Weeks to an Iranian Nuke – The Ultimate False Flag Lie - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】元米予算管理局長のデビッド・ストックマン氏は、イランが「数週間以内に核兵器を保有する」という言説を、歴史上最も悪質な「偽旗(捏造された口実)の嘘」であると断じています。国際原子力機関(IAEA)の報告によれば、イランは60%濃縮ウラニウムを約400キロ保有しており、これを兵器級の90%以上に高めるには数日か数週間しかかからないとされています。しかし、ストックマン氏は「核分裂物質の製造」と「実用的な核兵器の構築」の間には、埋めようのない巨大な技術的・工学的ギャップがあると指摘しています。

核兵器を完成させるまでの道のりを20マイルの過酷な旅に例えるなら、ウラニウムの濃縮に成功した段階は、ようやく「1マイル地点」に到達したに過ぎません。残りの19マイルには、核反応を制御し、爆発させるための高度な「物理パッケージ」の設計、精密な爆縮レンズの製造、中性子起爆装置の開発、そしてミサイルに搭載するための小型化といった、気の遠くなるような高い壁が立ちはだかっています。昨年3月のギャバード米国家情報長官による議会証言でも、イランの濃縮技術は認めつつも、兵器化に関する活動や能力は完全に欠如していることが明言されています。

核爆発を成功させるには、グレープフルーツ大の兵器級ウラニウムを、100万分の1秒という極めて短い時間内に、均一かつ猛烈な圧力で圧縮しなければなりません。これには、誤差1ミリ以下の精度で加工された爆薬レンズや、数千万気圧に耐える精密な設計が必要です。わずかな歪みがあれば、核反応は「不発」に終わります。北朝鮮でさえ、核デバイスをミサイルに搭載可能なサイズに小型化するまでには、最初の核実験から何年もの歳月を要しました。ましてや、一度も核実験を行っていないイランが、実戦配備可能な核兵器を保有しているという主張は、物理学的にも工学的にも全く根拠がないものです。

ストックマン氏は、イランが60%濃縮ウラニウムを蓄積したのは、核武装のためではなく、トランプ政権が一方的に破棄した核合意に代わる新たな交渉を引き出すための「外交上のチップ」であったと分析しています。2015年の合意時には、イランは保有していた濃縮ウラニウムの97%を廃棄し、わずか300キロまで削減した実績があります。現在の危機は、対話よりも爆撃を選択し、事実を歪曲して「数週間で核保有」と煽る政治勢力によって作り出されたものです。ストックマン氏は、核兵器製造の現実を知る者であれば、現在のイラン脅威論がいかに虚偽に満ちたものであるかは明白であり、この「大きな嘘」に基づいた戦争が世界経済を破滅に導こうとしていると強く警告しています。

ドル乱発は止まらず

Doug Casey on the New Fed Chair and the Coming Inflation Wave [LINK]

【海外記事より】投資家であり作家のダグ・ケーシー氏は、ジェローム・パウエル氏の後任として連邦準備理事会(FRB)議長への就任が有力視されているケビン・ウォーシュ氏について、極めて批判的な見解を述べています。ケーシー氏は、FRB議長を「国内で2番目に権力を持つ人物」と呼び、エリート層の一員であるウォーシュ氏が、トランプ大統領の意向を汲んで金利を低く抑え、大量のマネーを刷ることで、目先の資産価格を支える役割を果たすだろうと予測しています。ケーシー氏によれば、FRB議長が誰であっても、もはや崩壊寸前のアメリカの債務という「巨大なネズミ講」を維持するためには、通貨発行を乱発する以外に選択肢はないのが現状です。

ウォーシュ氏は、AI(人工知能)による生産性向上が利下げの根拠になると示唆していますが、ケーシー氏はこれに強く異を唱えています。AI分野には数兆ドルもの資金が投じられていますが、それが実際に利益を生むかは不透明であり、巨大な金融バブルの震源地となっていると指摘しています。近い将来、AIバブルが弾けた際、ウォーシュ氏は「大きすぎて潰せない」企業を救済するためにさらなる公的資金を投入せざるを得なくなり、それがインフレの波をさらに加速させることになると警告しています。

一般市民にとっての展望はさらに過酷なものです。ケーシー氏は、政府を維持するために新たに数兆ドルが刷り出されることで、食料、住居、ガソリン、医療といった生活必需品の価格は、賃金の伸びを遥かに上回る速さで上昇し続けると確信しています。また、中国や日本がアメリカの国債を買わなくなる中で、FRBだけが唯一の買い手となり、財政ファイナンス、すなわち通貨発行による借金の穴埋めが公然と行われるようになります。これは、2008年の金融危機を遥かに凌ぐ規模の危機を招く予兆に他なりません。

ケーシー氏は、現在の状況を「氷山に衝突した後のタイタニック号」に例え、誰が船長(FRB議長)であっても沈没は免れないと述べています。投資戦略としては、今後も続く通貨増発と物価高騰に備え、ゴールドやビットコイン、コモディティ、そして海外資産への分散投資が引き続き有効であると説いています。さらに、政府が自身の財政を維持するために、個人の年金や401k(確定拠出年金)に対して政府債務への投資を義務付けるという、平均的なアメリカ人にとって「とどめの一撃」となるような政策が取られるリスクについても注意を促しています。

通貨詐欺の支え

The Nominalistic Principle and Fiat Money: Law as a Crutch for the Monetary Swindle [LINK]

【海外記事より】弁護士のアレッサンドロ・フジッロ氏は、現代の法定通貨制度が「名目主義」という法原則を支えとして、いかに国民の財産を実質的に搾取しているかを批判的に論じています。民法における名目主義とは、例えば「1,000ドルを支払う」という契約において、たとえ支払い時までに通貨の価値(購買力)が激減していたとしても、債務者は額面通りの1,000ドルを支払えば義務を果たしたとみなす原則です。フジッロ氏は、この法的枠組みが、国家がインフレを通じて実質的な債務を逃れる「ステルス・デフォルト(隠れた債務不履行)」を正当化していると指摘しています。

この原則の根底には、「通貨とは国家の命令によって生まれるものである」という「表券主義(チャータリズム)」の思想があります。19世紀から20世紀にかけて、ナップやケインズらによって体系化されたこの理論は、現代の「現代貨幣理論(MMT)」にも引き継がれています。ケインズは、国家には通貨の定義を書き換える権利がある、いわば「辞書を編集し直す権利」があると考えました。しかしフジッロ氏は、この国家の独占的権限こそが、契約の当事者間の公平性を損ない、債権者から債務者(特に巨額の借金を抱える国家自身)への系統的な富の移転を引き起こしていると述べています。

フジッロ氏はリバタリアン(自由至上主義)の立場から、「契約の権利移転説」を提唱しています。これによれば、契約の本質は単なる約束ではなく、具体的な「稀少な資源」に対する所有権の移転です。もし通貨が国家によって恣意的に操作され、その実質的な価値が希釈されるなら、移転されるべき所有権の中身は空洞化してしまいます。国家は契約の保証人でありながら、同時にその中身を操作する「利益相反」の状態にあります。この構造的な矛盾により、現代の金銭契約は、実質的に第三者(国家)が後から内容を変更できる不完全なものになっているのです。

さらに、この批判は銀行制度における「部分準備」にも向けられています。銀行が預かっている以上の通貨を貸し出す行為は、一つの資源に対して二つの相容れない所有権を創出する「詐欺的な権利移転」であると著者は断じます。金やビットコインのような、物理的または数学的に供給量が限定され、第三者によって「辞書を書き換えられる」ことのない通貨こそが、契約の誠実さを取り戻す鍵となります。フジッロ氏は、操作不可能な通貨の存在こそが、契約の真の価値を守り、個人の自由と財産を国家の恣意的な侵害から守るための不可欠な条件であると結論づけています。

米中対立、舞台は深海へ

Latest US-China rivalry combines undersea dominance with a race to riches | South China Morning Post [LINK]

【海外記事より】米中対立の最前線は今、静かな深海へと移っています。トランプ大統領の訪中を目前に控えた現在、両国は核潜水艦による軍事的な主導権争いと、海底に眠る希少資源の争奪戦を激化させています。これまで米海軍が圧倒してきた「水中ドメイン」において、中国は急速に技術差を縮めており、海底を大国間競争の「新たなフロンティア」と位置づけています。米議会の諮問委員会は、中国人民解放軍の潜水艦近代化と深海資源開発が戦略的に統合されていることに強い警戒感を示しています。

海底資源をめぐる「ゴールドラッシュ」も加速しています。トランプ大統領は昨年、国連海洋法条約の枠組みを事実上バイパスし、国際水域での商業採掘を加速させる大統領令に署名しました。これは、中国が支配するレアアース供給網への依存を断ち切るための措置です。米国は日本などの同盟国と連携し、独自の採掘基準を確立することで中国の交渉力を削ごうとしています。実際に日本でも、深海掘削船「ちきゅう」が南鳥島沖でレアアース泥の抽出に成功するなど、具体的な成果が出始めています。しかし、中国側も中・下流の加工・精製工程における独占的地位を背景に、容易には供給網の主導権を渡さない構えです。

海底採掘技術は、そのまま軍事転用が可能な「デュアルユース(軍民両用)」の性質を持っています。深海でのロボット操作や海底マッピングの技術は、そのまま潜水艦戦の能力向上に直結します。米海軍は冷戦時代の監視システム(IUSS)を刷新し、中国の潜水艦が港を出た瞬間から追跡できる体制を整えようとしています。これに対し、中国側は米国の「一方的な透明性」の確保、つまり自軍の動きが筒抜けになることを深く懸念しています。また、米国は水中ドローン「メデューサ」などの無人兵器を大量投入し、西太平洋を「監視の目」で埋め尽くす戦略を採っています。

こうした深海の覇権争いは、台湾情勢とも密接に関わっています。米国は日本、韓国、フィリピンといった同盟国を結ぶ「第一列島線」を、中国艦隊を太平洋に出さないための「海の壁」として強化しています。無人艇やスマート機雷によって中国側の軍事行動のコストを跳ね上げ、武力による現状変更を思いとどまらせる「拒否的抑止」が戦略の核心です。今月14日のトランプ・習近平会談では、この海底での一触即発の競争が主要な議題になると見られており、軍事と経済が絡み合う深海の対立は、21世紀の米中関係を左右する決定的な要因となっています。

米国株、3割下落も

Big Discounts Await | Economic Prism [LINK]

【海外記事より】金融コラムニストのM・N・ゴードン氏は、伝説的な経済予測家として知られるゲーリー・シリング氏の分析を引き合いに出し、現在の米国経済が直面している「薄氷」の上の状況を解説しています。シリング氏は1980年代初頭、世の中がインフレへの恐怖に包まれていた時代に、金や美術品への投資を勧める主流派に背を向け、金利の長期的な低下と債券市場の繁栄を的中させました。その実績を持つ彼が、現在、2026年末までに株価が30%急落する可能性があると強い警鐘を鳴らしています。

シリング氏が懸念する最大の要因は、これまで世界経済を牽引してきた米国の個人消費の限界です。2026年3月の実質可処分所得の伸びはわずか0.4%にまで鈍化し、個人の貯蓄率も3.6%に低下しています。これは、人々が現在の生活を維持するために、雨の日のための蓄えを取り崩していることを意味しています。さらに、米国・イスラエルとイランの間で続く紛争が「戦争税」のような役割を果たし、ガソリン価格を50%も押し上げています。燃料代の高騰は、成長の原動力である裁量的支出を圧迫し、消費者の経済基盤を揺るがしています。

株式市場のバリュエーションについても、シリング氏は「現実から乖離したファンタジーの世界」にいると分析しています。シラーCAPE比率(株価収益率)はドットコム・バブル以来の水準である41を超え、売上高倍率(P/Sレシオ)も過去最高の3.63に達しました。投資家は企業の実際の資産価値や収益からかけ離れた、あまりに高い価格を支払っている状態です。歴史的な視点に立てば、20%から30%の修正が起きても不思議ではなく、それはむしろ「歴史的な正気」に戻るプロセスであるとシリング氏は述べています。

経済の構造的な部分でも、住宅市場の硬直化や企業の設備投資の減退など、深刻な兆候が見られます。住宅市場は低金利時代のローンを手放したくない売り手と、現在の高金利では買えない買い手の間で凍りついています。また、AI分野を除けば民間企業の設備投資も著しく冷え込んでいます。シリング氏の予測はこれまでのところ早すぎる面もありましたが、インフレ調整後の所得の停滞と膨れ上がる国家債務という矛盾を抱えたまま、安易な成長の時代は終わりを告げようとしています。もし彼の予測通りに弱気相場が訪れれば、あらゆる資産が「セール価格」になる日が来るかもしれません。

自死する帝国

America’s Suicide Pact - The Chris Hedges Report [LINK]

【海外記事より】アメリカの衰退はドナルド・トランプ氏の登場によって始まったのではなく、それ以前から進行していた「帝国の自死」の最終章に過ぎません。作家でありジャーナリストのクリス・ヘッジズ氏は、歴史家アーノルド・トインビーの「文明は他殺ではなく自殺によって滅びる」という言葉を引用し、現在のアメリカが内側からの腐敗によって崩壊の危機にあると分析しています。この「自死への行進」は、レーガンやクリントン政権下で支配階級が自らの利益のために国家を食い物にし始めた時から始まりました。民主主義の柱であった選挙、司法の牽制、自由な報道といった制度は、億万長者階級の意向に従う不道徳な者たちによって空洞化され、今や国民を抑圧するための道具に成り下がっています。

ヘッジズ氏は、共和党と民主党の両エリートたちが、労働組合を破壊し、誠実なジャーナリストを排除し、富裕層に有利な税制を築き上げてきたと批判しています。かつてのような製造業による富の創出は失われ、代わって株価操作や国民への過酷な借金漬けが利益の源泉となりました。一方で社会福祉は削られ、警察は軍事化され、世界最大の刑務所システムが構築されました。こうした中で膨れ上がった軍需産業は、納税者の血税を吸い上げる巨大な寄生体となっています。最近のイランを巡る情勢も、帝国の覇権を弱体化させながら一部の層を潤す、虚しい戦争の連鎖の一環に過ぎません。トランプ氏は、こうした腐敗をリベラルな外装なしに、より剥き出しの形で表現している存在なのです。

支配階級の道徳的退廃を象徴するのが、故ジェフリー・エプスタイン氏を巡るスキャンダルです。そこにはトランプ氏だけでなく、ビル・クリントン元大統領、ビル・ゲイツ氏、元CIA長官といった政財界の有力者が名を連ねていました。彼らはテレビの中では対立しているように見えても、実際には「物事を決定する階級」としての地位を維持することを最優先する、同じチームのメンバーです。彼らは自分たちのネットワークを守るためには原則を捨て、住宅危機や薬物乱用、不平等といった国民の苦しみに対して共感を持つことがありません。この特権階級にとって、国民の声が届かない閉鎖的な「メリット・アリストクラシー(能力主義的貴族制)」こそが世界の仕組みとなっているのです。

もはや既存のシステムが自浄作用を発揮することはありません。民主党は選挙対策に巨額の資金を投じながらも、国民の支持を失い、企業の操り人形のような存在に成り果てました。帝国の力が衰えるにつれ、国民は不都合な事実から目を背け、空想の世界や「アメリカ例外主義」という神話に逃避しています。社会は失敗の原因を移民やマイノリティ、知識人といった身近な標的に転嫁し、共感や理解を育む文化や芸術は、残酷な超軍事主義へと置き換えられています。トランプ氏という存在は、決して突然変異ではありません。それは、末期の病に侵されたアメリカという国家が、死の間際に見せている偽らざる素顔そのものなのです。

侵される所有権

How Governments, Corporations, and Technocratic Systems Are Quietly Redefining Ownership in the Twenty-First Century – Preppgroup [LINK]

【海外記事より】サバイバル系ブログ、プレップグループの記事は、現代社会において「所有権」という概念が、かつてのような神聖不可侵の権利から、政府の都合次第で制限・没収され得る「条件付きの行政的特権」へと静かに変貌を遂げていると警鐘を鳴らしています。本来、私有財産は民主主義の基盤であり、個人の自由を保障する壁であるはずですが、インフラ整備や持続可能性、国家安全保障といった「公共の利益」を名目に、その壁が取り壊されつつあります。著者は、2005年のケロ対ニューロンドン市事件という米最高裁判決が、政府による私有地の強制収用を経済開発目的でも認める道を開き、所有の本質を心理的にも変質させたと指摘しています。

現在、この強制収用の権限は、単なる道路や鉄道建設を超え、半導体工場、再生可能エネルギー網、二酸化炭素輸送パイプライン、さらにはスマートシティ計画といった広範な分野で、常態化した経済計画の手段として利用されています。アイオワ州などの農業地帯では環境政策を背景にした土地収用に農民が激しく抵抗し、ニューヨーク州では経済競争力を理由に代々の家を追われる高齢者がいます。歴史的に政府は目に見える戦争や危機の際のみ権力を拡大してきましたが、今や「経済競争」や「気候変動」といった終わりのない緊急事態を理由に、国家が個人の自律性を上書きする論理が正当化されているのです。

こうした傾向は、一部の専門家から「ネオ・封建制」とも呼ばれています。中世への回帰ではなく、形の上では所有権を持っていても、実際には環境規制やゾーニング、複雑な行政手続き、さらにはアルゴリズムによる管理システムの下に、個人の支配力が階層的に埋もれていく状態を指します。土地はアイデンティティや継承の対象ではなく、行政上の「最適化」を待つ経済的な変数として扱われるようになっています。特にデジタル技術の進化により、政府や企業がエネルギー消費や環境コンプライアンスをリアルタイムで監視できるようになり、所有権はますます行動の適合性を条件とした「利用権」に近づいています。

記事は、自由とは本来「非効率」なものであり、個人の抵抗や交渉こそが中央集権的な権力の肥大化を防ぐ防波堤であったと述べています。現在の統治システムが追求する「効率性」や「最適化」の裏側で、市民が自らの生活空間に対して持っていた主権が失われつつあります。この変化は革命のような激しさではなく、平時の行政手続きの中に少しずつ積み重なることで、前の世代が考えもしなかったような所有の再定義が完了しようとしています。私たちが単なる「管理された参加者」になるのか、それとも「独立した所有者」であり続けられるのか、21世紀の大きな岐路に立たされているといえるでしょう。

アフリカで脱ドル化拡大

De-Dollarization Alert: Mozambique Considering Converting Dollar Debt to Yuan Debt [LINK]

【海外記事より】モザンビーク政府が、中国に対して抱える約14億ドルの債務を、米ドル建てから人民元建てへと転換することを検討しています。この記事の著者であるマイク・マハリー氏は、この動きを世界で加速する「脱ドル化」の新たな兆候であると指摘しています。深刻な流動性不足に直面しているモザンビークに対し、国際通貨基金(IMF)などは債務状況が持続不可能であると警告しており、中国側からの提案を受けて今回の再編案が浮上しました。同様の動きは他のアフリカ諸国でも見られ、昨年にはケニアが50億ドルの債務を人民元に切り替えました。エチオピアやザンビアも通貨スワップや人民元での支払いを検討しており、アフリカ全域で中国による通貨の国際化戦略が着実に浸透しています。

世界全体で見れば、外貨準備高に占める人民元の割合は依然として2%未満であり、50%を超える米ドルとは大きな開きがあります。しかし、かつては考えられなかった「人民元による取引」が現実のものとなり、少しずつそのシェアを広げている事実は無視できません。マハリー氏は、世界が単一の基軸通貨による支配から、複数の通貨とゴールドが重要な役割を果たす「多極的」な金融システムへと向かっているとの見解を示しています。実際、中央銀行による金準備の急速な拡大は、既存の基軸通貨に対する信頼の分散を反映したものです。ドルの支配的地位がすぐに揺らぐことはありませんが、多様化を求める各国の動きは着実な潮流となっています。

こうした「脱ドル化」の進展は、米国経済にとって決して小さくないリスクを孕んでいます。米国が巨額の財政赤字を抱えながら多額の借り入れや支出を続けられるのは、ドルが世界準備通貨として特別な地位にあるからです。世界中でドルに対する根強い需要があるからこそ、米連邦準備制度(FRB)のインフレ政策による悪影響が吸収され、国債市場も安定しています。しかし、もし海外投資家によるドルや米国債への需要が減退すれば、ドル安が進行し、金利は急騰することになります。たとえ世界が完全にドルを放棄しなくても、需要がわずかに低下するだけで、米国国内には激しい物価上昇が生じ、国民の購買力は削がれてしまいます。

現在、ドルは相対的に強含みで推移しており、目立った経済危機も起きていません。それにもかかわらず、ゴールドの価格がドルに対して歴史的な上昇を見せているのは、ドルという通貨に対する長期的な信頼が低下し始めているためだとアナリストは分析しています。モザンビークのような国々がドルから離れる選択をすることは、単なる一国の債務問題にとどまりません。それは、世界経済の構造が静かに、しかし確実に変化していることを象徴する出来事と言えます。ドルへの依存を減らそうとする各国の模索は、米国の特権的な経済基盤を根底から揺さぶり、将来的に通貨危機を引き起こす火種となる可能性を秘めています。

独経済、軍需主導に

From market to military: Germany’s private sector is imploding. — RT Business News [LINK]

【海外記事より】ドイツ経済は、2年間にわたる景気後退を経て、2025年にはわずか0.2%ながらもプラス成長に転じ、安定の兆しを見せているように見えます。しかし、RTニュースルームの記者たちは、この回復が民間主導ではなく、政府支出によって支えられた危ういものであると分析しています。2025年の政府支出は前年比で5.6%増加し、国内総生産(GDP)に占める割合は50%を超えました。かつてのドイツが堅持してきた、民間主導の輸出型モデルとは明らかに異なる経済構造へと変貌を遂げつつあります。政府が多額の資金を投じてもなお経済が低空飛行を続けている事実は、市場の競争にさらされている民間部門が深刻な不振に陥っていることを示唆しています。

かつてのドイツ経済の柱であった自動車や化学産業は、エネルギーコストの高騰や国際的な競争激化により苦境に立たされています。株価を見ても、ポルシェなどの大手企業が低迷する一方で、防衛関連企業や政府プロジェクトに携わる企業の価値は急騰しています。例えば、防衛大手のラインメタル社の時価総額は、2022年初頭の約40億ユーロから約670億ユーロへと驚異的な拡大を遂げました。これは、市場の論理ではなく、政府の政治的・戦略的な判断に基づく需要が経済を牽引している現状を浮き彫りにしています。こうした動きは「軍事ケインズ主義」と呼ばれ、民間投資が弱まった際に政府が軍事支出を増やすことで需要を創出し、雇用や成長を維持しようとする政策の一環と見なされています。

この構造転換は製造現場にも及んでおり、ドイツ産業連盟の推計によれば、現在ドイツの工業企業の約17%が防衛サプライチェーンに関わっています。自動車部品の需要減少に苦しむ企業が、防空システムや装甲車用のエンジン製造へと舵を切る事例も増えてきました。注目すべきは雇用情勢の変化です。2019年以降、製造業では約25万人の雇用が失われましたが、その約半分にあたる12万人の減少が2025年という単一年に集中しています。米国に比べて製造業の依存度が高いドイツにとって、この雇用の喪失は経済全体への波及効果が大きく、単なる数字以上の深刻な意味を持っています。

ドイツは歴史的に、過度な借金に対して強い拒否感を持ってきました。かつてのハイパーインフレの記憶から、財政赤字を厳格に制限する「債務ブレーキ」が導入されてきましたが、近年はこの原則も揺らいでいます。ウクライナ情勢などを受けた国防基金の創設や、国防費の一部を債務制限の対象外とする措置により、今後5年間で巨額の軍事支出が計画されています。安価なロシア産エネルギー、中国の旺盛な需要、そして米国の安全保障という、かつての経済を支えた3つの柱を同時に失ったドイツは、国家財政を投入することでこの難局を乗り切ろうとしています。しかし、兵器のような非生産的な支出は、民間の工作機械のように将来の付加価値を生み出すものではなく、根本的な競争力の回復には繋がらない懸念が残されています。

2026-05-08

財政赤字とは?

【キーワード】財政赤字(budget deficit)とは、政府が一定期間に集めた税金などの収入よりも、使ったお金の方が多くなってしまった状態を指します。政府は足りない分のお金を、誰かから借りることで補わなければなりません。一般的に、政府は「国債」という債券を売ることで、民間からお金を借ります。オーストリア学派の視点に立つと、この財政赤字は単なる帳尻合わせの問題ではなく、私たちの生活に深刻な影響を及ぼす仕組みであることが見えてきます。

政府が不足した資金を調達する方法は、大きく分けて3つあります。1つ目は税金ですが、これ以上の増税が政治的に難しい場合、政府は2つ目の方法である「借金(国債の発行)」を選びます。もし、政府が民間の投資家から直接お金を借りるだけなら、世の中に出回るお金の総量は変わりません。しかし、民間が政府にお金を貸すと、その分だけ民間の会社が事業を広げるために使えるお金が減ってしまいます。これを「クラウディング・アウト」と呼び、本来なら新しい製品やサービスの開発に使われたはずの貴重な資源が、政府の事業に吸い取られてしまうのです。

さらに深刻なのが、3つ目の調達方法である「お金の追加発行(インフレ)」です。政府の借金を支えるために中央銀行が新しいお金を刷り、それを使って国債を買い支えることがあります。こうなると、世の中にお金があふれ出し、お金1円あたりの価値が下がって、結果として物価が上がります。これは、国民の貯金の価値をこっそり削り取る「目に見えない税金」のようなものです。特に、固定の年金で暮らす人々や、後からお金を受け取る人々が、物価上昇の被害を最も強く受けることになります。

オーストリア学派の経済学者は、こうした財政赤字が経済をゆがめ、不自然な好景気とその後の景気後退、つまり「バブルの崩壊」を引き起こす原因になると警告しています。政府が人為的に作り出した好景気は、資源が間違った場所に投資される「誤った投資」を招きます。最終的には、政府が無理に支出を増やすのではなく、支出そのものを大幅に削減し、民間の自由な活動を妨げないことこそが、健全な経済を取り戻す唯一の道であるとオーストリア学派は主張しているのです。

米、力の幻想

From ‘Midnight Hammer’ to begging for uranium: The delusion of American power in a war that never ends – NaturalNews.com [LINK]

【海外記事より】アメリカの軍事力の誇示がいかに虚構に満ちたものであるか、そしてトランプ政権が陥っている深刻な矛盾について、批判的な視点からの分析を紹介します。2025年、米国は「ミッドナイト・ハンマー作戦」を派手に宣伝し、イランの核プログラムを「壊滅させた」と豪語しました。しかし現在、米政府はその「破壊したはず」の濃縮ウランを米国に引き渡すようテヘランと交渉しています。これは、軍事作戦が失敗に終わったことを暗に認める、屈辱的な外交上の「敗北」であると著者は指摘しています。

この記事が強調する主なポイントは以下の通りです。

第一に、ミッドナイト・ハンマー作戦の「空虚な勝利」です。ステルス爆撃機B-2などを投入した大規模な空爆は、実際には核心的な核能力を排除できておらず、トランプ大統領が「ウランは米国に来る」と発言したことは、かつての壊滅宣言と真っ向から矛盾しています。勝利者が条件を突きつけているのではなく、懇願に近い形での譲歩を迫られているのが実態です。

第二に、ホルムズ海峡におけるアメリカの限界です。世界の石油の20%が通過するこの要衝を、米国は依然として支配できていません。それどころか、2025年1月にはフーシ派のミサイルが米海軍の駆逐艦の至近距離まで到達し、米軍の防空システムの脆弱性が露呈しました。圧倒的な軍事力を誇るはずの帝国が、比較的安価な対艦ミサイルに苦戦している事実は、ワシントンの力の限界を如実に示しています。

最後に、こうした「力の幻想」を支えるプロパ政権とメディアの共謀です。核施設を永久に破壊したという政府の主張をメディアは鵜呑みにし、現在の交渉の行き詰まりさえも「外交的勝利」として報じています。しかし現実には、イランやロシア、中国、さらには非国家主体までもが米国の戦術に適応しており、米軍の威嚇はもはや空文化しています。強硬なレトリックの裏で、アメリカの覇権が内側から崩壊しつつあるという、冷酷な現実をこの記事は淡々と描き出しています。

訪中とボーイング

Wrapped in a Boeing: will Trump’s China visit include another aircraft deal? | South China Morning Post [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領の二度目となる訪中を控え、米国航空機大手ボーイングの命運が注目されています。米イラン戦争によるエネルギー供給の混乱や、不安定な世界経済の真っ只中で行われる今回の訪問において、10年近く途絶えていた中国によるボーイング機の大型発注が復活するかどうかが、経済・外交両面の焦点となっています。かつて上海航空は、2017年のトランプ大統領初訪中の際の「ボーイング・ギフト」と呼ばれる大型契約を背景に、787ドリームライナーなどの最新鋭機で急成長を遂げましたが、パンデミックや737MAXの安全性問題、そして米中関係の冷却化という「完璧な嵐」に襲われ、現在は機体の老朽化という課題に直面しています。

今月予定されている首脳会談に向けて、ボーイングのケリー・オートバーグCEOも同行するとの情報があり、市場では500機規模の737MAXや数十機のワイドボディ機を含む大型受注への期待から、同社の株価が上昇しています。しかし、交渉の行方は依然として不透明です。アナリストによれば、交渉は進展しているものの、最終的な決定は首脳会談の直前まで持ち越される可能性が高いとされています。オートバーグCEOは、中国側が懸念していたスペアパーツの問題については「良好な解決策」に達したと述べる一方で、政治的な後押しがなければ早期の契約締結は困難であるとの認識を示しています。

中国側は今回の交渉において、これまでの「一括購入」という政治的な形式から離れ、各航空会社が個別にボーイングと交渉することを認めるなど、一定の柔軟性を見せています。これは、両国が航空機の取引を外交的なレバレッジ(交渉材料)として利用しつつも、半導体や希少金属、イラン情勢といったより重要度の高い問題から航空機問題を切り離そうとする意図の表れとも指摘されています。中国国内では、国産旅客機C919の導入が進んでいるほか、安全面や品質への根強い懸念、さらにはボーイング側の生産遅延といった実務的なハードルも存在します。

今回の訪中で契約が成立しなかったとしても、年内に予定されているAPECやG20といった国際会議の場での進展も視野に入れられています。米国の通商代表部は、巨額の貿易赤字を解消するために航空機のほか、農産物や医薬品の輸出拡大を狙っています。経済ライターの視点から見れば、今回のボーイングをめぐる動向は、単なる一企業の商談を超え、激動する国際情勢下で米中双方がどこまで実利的な妥協点を見出せるかを占う、重要な試金石になると言えるでしょう。

キリスト教シオニストのロビー活動

Prominent Christian Zionist Group Is Lobbying U.S. Lawmakers on Israel—Without Revealing It's Funded by Israel [LINK]

【海外記事より】アメリカの有力なキリスト教シオニスト団体「イーグルス・ウィングス」が、イスラエル政府から多額の資金提供を受けながら、それを公表せずに米連邦議員へのロビー活動を行っている実態が明らかになりました。ジャーナリストのニック・クリーブランド=スタウト氏による報告によれば、同団体はイスラエル外務省から総額70万ドルの支払いを受けており、そのうち約24万ドルが今年、ワシントンD.C.でのロビー活動に割り当てられたといいます。

今週開催された「イスラエル・アドボカシー・デー」では、500人以上が参加し、議会で100以上の会合を持つ計画が立てられました。しかし、イベントのスポンサー一覧にイスラエル外務省の名はなく、団体の創設者であるロバート・スターンズ牧師も、会場を訪れたイスラエル外務省当局者に謝辞を述べるにとどまり、資金関係については言及しませんでした。イスラエル政府側の内部文書には、教会に通う人々が「反イスラエル的」な立場を取るのを防ぐために、このプロジェクトが非常に重要であると記されています。

専門家は、外国政府から資金提供を受けて米政府の政策に影響を与えようとする活動は、「外国代理人登録法(FARA)」に抵触する可能性が高いと指摘しています。宗教団体は純粋な宗教活動であれば登録を免除されますが、今回のように具体的な政策提言を行う政治活動は「グレーゾーンではない」と法曹関係者は警鐘を鳴らしています。議員側は、対話している相手が外国政府の代弁者であることを知る権利がありますが、現在はその事実が伏せられたままです。

背景には、これまでイスラエルの強力な支持基盤であったアメリカの福音派が、特に若年層の間で支持が急速に低下しているという危機感があります。イスラエル政府は、パブリック・リレーションズの戦いを「第8の戦線」と位置づけ、アメリカの世論を味方につけるために空前の規模で資金を投入しています。しかし、その手法が透明性を欠いたまま行われている事実は、アメリカ国内の法治主義や言論の自由をめぐる議論に新たな波紋を広げています。

革命の土台は思想

The Battle of Ideas Paves the Way for Radicals and Revolutionaries - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】歴史を動かす急進的な革命や大きな社会変化は、単なる「優れた理論」だけでは起こりません。ミーゼス研究所のライアン・マクマケン氏は、歴史上の事例を引きながら、革命の成否を分けるのは「イデオロギー」と「歴史的状況」が合致したときに生まれる「政治的機会」であると論じています。

1917年のロシア革命を主導したレーニンは、そのわずか数ヶ月前まで、自分たちの世代で革命が成功するとは確信していませんでした。しかし、第一次世界大戦によるロシア帝国の弱体化と、それに続く暫定政府の混乱という「政治的機会」が訪れたことで、一気に権力を掌握することに成功しました。歴史学者ラルフ・ライコによれば、当時のロシアは市民社会が弱く国家が強大であり、自由主義の思想(ロックやアダム・スミスなど)が根付いていなかったことも、社会主義イデオロギーが急速に浸透する土壌となりました。

マクマケン氏は、成功する革命や改革には三つの重要な要素が必要だと指摘します。第一に、既存の政治制度が人口の期待に応えられなくなり、弱体化すること。第二に、国民が既存制度の失敗を認識し、新しい制度を受け入れる準備ができていること。そして第三に、既存制度が崩壊する前から、代わりとなるイデオロギーが選択肢の一つとして認知されていることです。

この構造は、1990年代のソ連崩壊や、18世紀のアメリカ独立革命にも当てはまります。アメリカ独立における自由主義のイデオロギーは、革命の数十年も前から存在していましたが、実際に独立へと動いたのは、英国の重税や戦後の政策混乱という「政治的機会の窓」が開いたときでした。イデオロギーは人々の「利益」が何であるかを定義し、既存の体制を「不当なもの」として枠付け直す役割を果たします。

現代の自由主義や反国家運動にとっても、この教訓は重要です。現在の欧米諸国では、エリート層がいまだに「国家は安定と繁栄の源である」というフィクションを維持できています。しかし、将来的に財政や地政学的な状況が変化し、既存体制の正当性が揺らいだとき、事前に積み重ねられてきた「思想の戦い」が真価を発揮します。急進的な変化を求める運動は、平時から知的・思想的な土台を築きつつ、歴史的な転換点が訪れるのを注視し続ける必要があると、著者は冷静に分析しています。

言論介入の脅威

The Comey Indictment and Free Speech - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】アメリカにおける言論の自由の原則と、それに対する政府の介入の危うさについて、元判事で法学者のアンドリュー・ナポリターノ氏が論じています。合衆国憲法修正第1条は「言論の自由を制限する法律を制定してはならない」と定めており、そこには政府が存在する前から自由は人間に備わっているという思想が込められています。1960年代以降、裁判所は政府に対し、たとえ辛辣で脅迫的な内容であっても、広範な言論を許容するよう求めてきました。言論は政府に媚びるものではなく、自由な「思想の市場」において淘汰されるべきものだからです。

しかし現在、トランプ政権の司法省は、元FBI長官のジェームズ・コミー氏を起訴するという異例の事態に至っています。その理由は、コミー氏が自身のSNSに、砂浜に並べられた貝殻で「8647」という数字が描かれた写真を投稿したことにあります。政府側は、この数字が「第47代大統領であるドナルド・トランプ氏を殺害(86)する」という意図を表明したものであると主張しています。「86」という数字は飲食業界で「品切れ」を意味する隠語として使われますが、これを暗殺の脅迫と見なしたのです。

これに対しナポリターノ氏は、この投稿は憲法で保護された言論の範囲内であると明言しています。2023年の最高裁判決では、発言や行動の解釈が複数存在し、そのうち一つでも犯罪に当たらない解釈があれば、被告人に有利な非犯罪的な解釈を優先すべきであるという原則が示されました。これを「寛容の原則」と呼びます。コミー氏の投稿には、具体的な行動が伴っておらず、過去の判例に照らしても、即座に実行可能な手段がない場合の過激な発言は、直ちに処罰の対象にはならないとされています。

また、1969年のブランデンブルク対オハイオ州事件の判決では、他者がその言論に対して反論や挑戦を行う時間がある限り、あらゆる言論は「無害」であり、憲法で保護されるべきであるとの判断が下されました。政府が言論を恣意的に解釈し、起訴の根拠とするならば、憲法が保障する自由は無意味なものになってしまいます。ナポリターノ氏は、政府が言論の自由に介入し続けることは、法治国家としての正当性を損なう重大な脅威であると、冷静に警鐘を鳴らしています。

平和のカギは財産権

Property Rights: The Root Cause of the Palestinian-Israeli Conflict [LINK]

【海外記事より】パレスチナとイスラエルの対立は、数世紀にわたって維持されてきた私的な財産権の体系が破壊され、人種に基づいた国家所有に置き換えられた必然的な結果である——。エコノミストのサイファディーン・アモウズ氏は、自身の論考の中でそう指摘しています。1947年以降、パレスチナにおける財産権は、土地の大部分を所有し、さらなる強奪を続け、決して売却せず、特定の人種グループにのみ貸し出す政府機関へと取って代わられました。宗教的、人種的な対立は、この地域において歴史的に稀なことでしたが、現在の財産権制度は、どこであっても暴力的な紛争を引き起こす性質のものだと著者は分析しています。

1945年の調査によれば、当時のユダヤ人による土地所有は全体の5.67%に過ぎず、残りの多くはイスラム教徒やキリスト教徒が所有していました。しかし、ユダヤ人国家の樹立を目指す運動は、組織的なテロや追放キャンペーンを通じて、人口でも土地所有でも少数派であった状態から、強引に支配を広げました。1948年の戦争以前から、数十万人のパレスチナ人が故郷を追われていた事実は、多くの歴史家によって記録されています。イスラエル建国の父とされる指導者たちも、当時は自分たちが侵略者であり、先住民から土地を奪おうとしていることを認める発言を残していました。1947年から49年にかけて約500の村や町が破壊され、約80万人ものパレスチナ人が難民となりましたが、彼らには現在も帰還の権利が認められていません。

機能面から見れば、現在のイスラエルは人種に基づいた土地の独占的な社会主義機関であり、外国からの援助を受けてパレスチナ人の土地を奪い続けていると著者は述べます。文明社会のような自由な土地市場とは異なり、イスラエル土地管理局は特定の層にのみ補助金付きで土地を貸し出しています。この市場の歪みが、紛争の歴史を理解する鍵となります。アメリカやカナダなどの入植社会とは異なり、パレスチナには既存の私的財産権の体系があったにもかかわらず、それが暴力的に無効化されました。アモウズ氏は、私有財産こそが文明の基盤であり、それが尊重されない場所では、人間は分断され、動物的な生存競争へと退化してしまうというルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの思想を引用し、財産権の侵害こそが対立の根源であると結論付けています。

現在もヨルダン川西岸地区では土地の強奪が続いており、パレスチナ人は市民権や法的権利を否定されたまま、軍事支配下で過酷な生活を強いられています。検問所による移動の制限や、恣意的な逮捕、さらには拷問の報告も絶えません。一方で、入植者によるパレスチナ人への暴力はほとんど罰せられず、政府の補助金によって支えられています。このような構造は、財産権を保護し、平和的な文明を築くという現代社会の規範に逆行するものです。著者は、イスラエルがこのような非効率な体制を維持できているのは、先進諸国からの巨額の補助金による寄生的な関係があるからだと指摘します。中東の平和は、宗教的対話ではなく、あらゆる個人の財産権が等しく保障されるという基本に立ち返ることでしか達成されないと記事は結ばれています。

ハイパーインフレのリスク

The Risk of Hyperinflation - The Great O'Neill [LINK]

【海外記事より】金融アナリストの「グレート・オニール」氏は、欧米諸国で常態化しているインフレが、一歩間違えればハイパーインフレという破滅的な事態を招くリスクについて警告しています。多くの政府は通貨の購買力を毎年2%ずつ計画的に低下させる「穏やかなインフレ」を目指していますが、長期的にはその影響は甚大です。例えば2000年の100ドルは、現在では約52ドルの価値しかなく、ビッグマック指数で見れば、かつて44個買えたものが今では16個しか買えない計算になります。こうした購買力の低下が制御不能に陥ったとき、99%以上の価値が失われるハイパーインフレが発生します。

ハイパーインフレは、常に政府の手によって引き起こされる現象であると著者は指摘します。通貨は政府と共生関係にあり、政治や経済システムが崩壊すれば、信用市場を規制し紙幣を増刷する主体である政府によって通貨も崩壊するからです。歴史的に見れば、イギリスはハイパーインフレを経験したことがない極めて稀な例ですが、それが今後も続く保証はありません。ある国がハイパーインフレの犠牲になるかどうかを判断する基準は、深刻な危機に直面した際、政府が「正しい行動」をとるか「誤った道」を選ぶかにかかっています。

その具体例として、第一次世界大戦後のドイツとイギリスの対照的な対応が挙げられます。ドイツのワイマール共和国は、戦債と国民の期待の板挟みになり、金本位制を維持できずに紙幣を増刷し続けました。その結果、1923年には貯蓄や年金が完全に無価値となり、中産階級は家財を売って食料を購うほど窮乏し、社会秩序が崩壊しました。一方でイギリスは、同時期に金利を7%まで引き上げるという痛みを伴う緊縮策を断行しました。失業率は20%近くに達しましたが、インフレを抑え込み、通貨の価値を守ることに成功したのです。

現代の欧米諸国のリーダーたちが、再び同様の危機に直面した際、かつてのイギリスのような苦渋の決断を下せるかは極めて疑わしいと著者は見ています。現代の政治において「健全な通貨」という概念はもはや顧みられず、2020年のコロナ禍では米国で50%、英欧でも25%もマネーサプライが増加しました。選挙民が経済的な痛みを即座に和らげることを政府に求める現代の政治構造では、金利を二桁に引き上げるような処置は政治的自殺行為に等しいからです。もし私たちが通貨の価値を守るための厳しい引き締めを拒み続けるのであれば、ハイパーインフレのリスクはかつてないほど高まっていると言わざるを得ません。

金需要が過去最高

Gold Demand Up in Q1; Sets Record in Value Terms [LINK]

【海外記事より】エコノミストのマイク・マハリー氏によれば、今年第1四半期の金需要は前年同期比で2%増加し、価値ベースでは過去最高を記録しました。場外取引を含む金需要は1231トンに達し、価格の高騰も相まってその総価値は1930億ドルと、前年比で74%もの劇的な伸びを見せています。この背景には、金の宝飾品需要が高価格の影響で苦戦する一方で、投資需要と中央銀行による力強い買い支えがあったことが挙げられます。

投資分野では、金地金とコインの需要が前年同期比42%増の474トンとなり、2013年以来の極めて高い水準を記録しました。特に中国の投資家による購入が目立ち、前年比67%増の207トンに達しています。これは他の国内資産と比較した金の良好なパフォーマンスに加え、貿易リスクや世界的な地政学的緊張の高まりが要因とされています。インドでも需要が34%増加したほか、欧州や米国でも活発な取引が見られました。一方で、金ETFへの流入は地域差があり、アジアでは一貫して増加したものの、北米では3月に大幅な流出を記録しています。

中央銀行による金の純購入量は、前年同期比3%増の244トンとなりました。金価格が過去最高値を更新し、ロシアやトルコが一部売却に転じたにもかかわらず、全体としては買い越しが続いています。ポーランドが31トン、ウズベキスタンが25トンの金を追加したほか、中国やチェコ、UAEなども購入を続けています。こうした動きは、不確実な時期における価値の保存手段として、中央銀行が金に対して強い信頼を寄せていることを示しています。また、公表されていない潜在的な買いも相当量あると推測されており、中国の中央銀行が公表値の2倍以上に当たる5000トンを超える金を保有している可能性も指摘されています。

宝飾品需要は、価格高騰が逆風となり世界全体で23%減少しました。特に中国とインドでの落ち込みが激しく、コロナ禍以降で最低の水準となっています。対照的に、テクノロジー分野での需要は1%増加しました。特にAIインフラの急速な拡大に伴い、高性能チップ向けに金の使用が増えています。今後は、地政学的要因が引き続き金の需要を牽引し、中央銀行の買いや投資目的の蓄積が継続すると予想されます。一方で、高値の影響で宝飾品市場は引き続き厳しい状況が続く見通しです。

崩壊した国際秩序

The world order has collapsed. Now comes the dangerous part — RT World News [LINK]

【海外記事より】ロシアの国際政治学者であるフョードル・ルキヤノフ氏は、現代がかつての国際秩序が崩壊し、極めて危険な移行期にあると論じています。1986年に当時のソ連とインドが発表した「デリー宣言」では、軍拡競争を終わらせ、経済的正義と平等の安全保障に基づく「新世界秩序」の構築が謳われました。ソ連指導部は対立を乗り越えた安定的な枠組みを夢見ましたが、現実はソ連の崩壊を経て、アメリカとその同盟国によるリベラルな秩序の独占へと向かいました。この体制は冷戦後、一時期は世界の終着点であるかのように見えましたが、2010年代に入るとその基盤には亀裂が生じ始め、2026年の今日、以前の秩序は事実上消滅したと言わざるを得ません。

現在の国際政治の特徴は、強国が既存の法や慣習を無視するだけでなく、その政治手法が極めて衝動的で矛盾に満ちている点にあります。政府は行動した後に即興で対応し、昨日の発言を今日平然と翻すような状況が続いています。これは単なる集団的な不合理ではなく、古い制約が消えた今を歴史的な好機と捉え、新たな秩序が固まる前に少しでも多くの利益を確保しようとする各国の本能的な動きの表れです。政治的影響力、資源、金融、技術、そして文化に至るまで、あらゆる分野で世界の再分配が同時に始まっており、大国は自らの野望を達成するための手法を模索し、試している段階にあります。

かつての歴史では、混乱の後に必ず新しい均衡が生まれ、対立の末に新たな枠組みが構築されてきました。しかし、今回はその保証がありません。現代の国際社会は、更地に新しい建物を建てるような状況ではなく、過去の遺物となった機能不全の組織や慣習が依然として混在しているからです。国際連合のような組織も、権威は失墜しながらも、各国が自らの利益にかなう時だけ都合よく利用し続けています。また、貿易摩擦や制裁、地政学的な断絶が進む一方で、グローバルな経済ネットワークは驚くべき粘り強さで完全な崩壊を拒んでおり、激しく対立する国同士でも間接的な取引が続けられています。

真に新しい国際的な枠組みを創り出すプロセスは、極めて苦痛を伴うものになるでしょう。異なる時代の断片や相容れない思想、制度を無理につなぎ合わせ、機能する形にまとめ上げなければならないからです。圧力や威嚇によって強引に統合を試みる国もありますが、それはさらなる断片化を招く危険をはらんでいます。過去の転換期とは異なり、現代の指導者たちは、将来どのような世界を目指すべきかという青写真を持っていません。普遍的な原則も、成功の定義も共有されないまま、古いルールだけが消え去り、合意に基づいた代替案も見当たらないという不透明な状況が続いています。

2026-05-07

マルクス経済学とは?

【キーワード】マルクス経済学(Marxist economics)とは、19世紀後半にドイツの思想家カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスが確立した、資本主義の仕組みを批判的に分析する経済学の体系です 。この学派の最大の特徴は、経済の動きを単なる市場の取引としてではなく、歴史的な「階級闘争」の過程として捉える点にあります 。マルクスは、社会が原始共産制から奴隷制、封建制を経て資本主義へと進み、最終的には労働者が主役となる社会主義や共産主義へ至るという、歴史の必然的な法則を唱えました 。

マルクス経済学の土台となっているのは「労働価値説」という考え方です 。これは、ある商品の価値は、その生産に注ぎ込まれた「社会的に必要な労働時間」の量によって決まるという理論です 。しかし、現実の資本主義では、労働者が生み出した価値のすべてが、給料として支払われるわけではありません。マルクスによれば、労働者が生み出した価値のうち、給料を上回る部分は「剰余価値」と呼ばれ、それらは資本家が利益として独占してしまいます 。これがマルクスの説く「搾取」の正体であり、資本家と労働者の間の避けられない対立を生む原因だとされています 。

一方で、個人の自由な選択や市場の役割を重視するオーストリア学派などの経済学者は、この理論を厳しく批判してきました 。例えば、オーストリア学派のオイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクは、マルクスの理論には重大な矛盾があると指摘しました 。彼は、物の価値は注がれた労働の量ではなく、それを使う人間がどれほど満足を得られるかという「主観的な価値」によって決まると説きました 。また、資本家が利益を得るのは、労働者が将来受け取るはずの成果を「今すぐ」お金として前払いし、将来の不確実なリスクを肩代わりしていることへの正当な対価であると考えたのです。

マルクス経済学は、資本主義の矛盾を鋭く突いたとして、世界中の政治や社会運動に巨大な影響を与えてきました 。しかし、現在では、ソ連の崩壊などの歴史的経験や、自由な市場が豊かさを生み出す仕組みの解明が進んだことにより、その経済理論としての有効性は多くの経済学者から疑問視されています 。

原油高、米経済を直撃

The US will suffer more from oil shock than China, Russia, or EU | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事より】米トランプ政権は、米国の膨大な石油生産量がイランによるホルムズ海峡封鎖の衝撃から自国を保護すると主張していますが、国際政治専門家のローズマリー・ケラニック氏はこれを「誤解」であると断じています。ケラニック氏は、石油市場がグローバルに統合された「巨大な浴槽」のようなものであると説明します。どこか一つの蛇口(供給源)が閉じられれば浴槽全体の水位が下がり、産油国であるかどうかにかかわらず、すべての消費国の価格が上昇するからです。

実際に、トランプ大統領が誇示していた米軍用タンカーの海外派遣が、皮肉にも国内の石油供給をアジアなどの高価格帯市場へ流出させる経路となっています。米エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、4月下旬には米国内の在庫が620万バレルも急減しており、ガソリン価格は戦争開始前の2月の3.03ドルから、4月には4.24ドルへと跳ね上がりました。ホルムズ海峡の封鎖によって失われた供給の穴は、時間差を伴って米国経済を直撃しようとしています。

驚くべき事実は、米国が中国、ロシア、欧州連合(EU)と比較しても、石油ショックの影響を最も深刻に受けるという点です。その理由は、米国経済の「石油集約度」の高さにあります。米国は1単位のGDPを生み出すために、EUの2倍、中国の1.4倍、そして産油国であるロシアよりも20%多く石油を消費しています。これは、米国が根強い自動車文化を持ち、公共交通機関や電気自動車(EV)への移行において他国に大きく遅れをとっているためです。

対照的に中国は、戦略的理由からEVや電動鉄道の普及を推進し、石油市場の価格変動から自国の輸送システムを切り離すことに成功しつつあります。米国が長期的にこの脆弱性を克服するには、中国の戦略に倣って石油依存からの脱却を図るしかありません。しかし、短期的にはホルムズ海峡を再開させるためにイランと交渉する以外に道はなく、事態が悪化してトランプ大統領の交渉力が低下する前に、一刻も早い決断が求められていると記事は結んでいます。

西の紙、東の現物

The Precious Paper Problem: The Divergence in Western Bullion Markets [LINK]

【海外記事より】金(ゴールド)の価格がこの2年で約2倍に急騰し、銀(シルバー)もそれを上回る上昇を見せています。しかし、地政学アナリストのアルマン・シドゥ氏によれば、欧米の貴金属市場で付けられている価格は、現物の実態から深刻に乖離し始めているといいます。ロンドンやニューヨークなどの西側市場が、現物の裏付けが不透明な「紙の上の請求権」に依存する一方で、上海などの東側市場は現物の受け渡しを大前提としており、この二つのシステムの歪みが世界の金融秩序を揺るがしています。

ロンドン貴金属市場協会(LBMA)などの西側市場は、顧客が銀行に金を預けても、特定の金塊の所有権を持たず、銀行の帳簿上の債権として処理される「未割当勘定」が主流です。これは銀行が現物以上の請求権を発行できる信用モデルであり、現物の引き出し要求が集中すれば、システムは容易に破綻します。対照的に、上海黄金交易所(SGE)などの東側市場では、取引前に現物を預託し、取引の90%以上で実際に金塊が受け渡される、資産モデルを採用しています。この哲学的な違いが、西側の「紙の価格」と東側の「現物の価格」の間に無視できない乖離を生んでいます。

この乖離は地政学的なリスクも浮き彫りにしています。2022年に欧米諸国がロシアの中央銀行資産を凍結したことで、ドルの信頼性は揺らぎました。さらに、西側の市場が「預かっているはずの金」を実際に引き渡せないのではないかという疑念が広まったことで、ドイツやインド、東欧諸国などは、ロンドンなどに預けていた金の現物を本国へ回収する動きを加速させています。中央銀行や富裕層は、もはや欧米の指標価格を信用せず、シンガポールやドバイといった現物の保管が法的に保証される市場へと資産を移しています。

シドゥ氏は、この問題を解決するために、顧客の金を銀行の資産として転用することを禁じ、米国の金準備の全容を物理的に調査する「2025年金準備透明化法」の成立が必要だと提言しています。今後、西側の紙の価格と東側の現物価格の差はさらに拡大し、西側メディアがそれを「市場の変動」と呼ぶ一方で、東側の買い手は「割安な現物」として蓄蔵を続けるでしょう。金という最古の資産において、所有権という基本原則を軽視し続けた欧米市場のツケが、通貨の信頼性そのものを損なおうとしています。

実物資産へシフト

From Bad Debt to Hard Money | The Rude Awakening [LINK]

【海外記事より】投資専門家のバイロン・キング氏は、現在の世界経済を「不良債権の周期表」になぞらえ、あらゆる債務が限界に達していると警鐘を鳴らしています。米国では現在、学生ローンの残高は1.84兆ドルに達し、自動車ローンも1.6兆ドル規模に積み上がっています。さらに、AI開発やデータセンター建設に投じられた莫大な資本も、収益性が伴わなければ大規模な評価損や計画中止に追い込まれるリスクを孕んでいます。

米連邦政府の財政も深刻です。支出の約40%が借金で賄われており、国債の利払いだけで年間1兆ドルを超えています。エネルギーコストの上昇が物価を押し上げる一方で、実質的な生産性が停滞している現在の状況は、まさに「インフレの台本」通りに進んでいると言えるでしょう。プライベート・クレジットの危機は、ダムの決壊を引き起こす最大の亀裂となる可能性があります。

こうした厳しい見通しに対し、記事は資産の「リスク回避」を最優先すべきだと提言しています。保有するすべての銘柄を再評価し、保有し続ける明確な理由がないものは売却して現金化することを勧めています。1990年にドナルド・トランプ氏が述べた「現金は王様(Cash is king)」という言葉の通り、不況下では現金こそが安値で資産を買うための武器となり、日々の支払いを支える安心感につながります。

一方で、資産防衛とリターンの両立を目指す場として注目されているのが「鉱業」セクターです。2025年初頭に2600ドルだった金価格は、現在4800ドル付近まで急騰しています。人件費や資材費も上がっていますが、この価格上昇は企業の純利益に劇的な恩恵をもたらしています。過去15年間、市場の資金はハイテクなどの成長セクターに集中し、鉱業は資金不足に喘いできましたが、現在は過大評価されたセクターから金や銀、銅といった「ハード・アセット(実物資産)」へと資本の移動が始まっています。

結論として、守るべき理由のないポジションは5月のうちに手放し、現金を確保しながら機敏に動くことが求められます。市場全体が債務問題に揺れる中で、準備のできた投資家にとっては、実物資産へのシフトが大きな機会となります。この夏、多くの投資家が休暇を取る一方で、危機の本質を理解し、割安になった実物資産に目を向ける者こそが、最終的に富を守り抜くことができると結んでいます。

米イスラエル、特殊な関係

How the US-Israel Relationship Weakens America and Harms the World - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】米陸軍の元小隊長であり、現在は独立系ジャーナリストとして活動するブライアン・マクリンチー氏は、先月開催されたロン・ポール研究所のカンファレンスで、米国とイスラエルの特殊な関係が米国を弱体化させ、世界に害を及ぼしていると訴えました。マクリンチー氏は、自身のパナマ進駐時の体験を引き合いに出し、同盟国であるはずのイスラエルが米国の軍事行動を事前に他国へ漏らしていた可能性を示唆した上で、この関係がいかに一方的で不可解なものであるかを詳述しています。

米国はイスラエルに対し、年間38億ドルの軍事支援を約束していますが、補完的な予算を含めるとその額はさらに膨れ上がります。イスラエルは世界でも有数の富裕国であるにもかかわらず、第二次世界大戦以降、米国の対外援助全体の30%近くを占める最大の受け取り手となっています。さらに、エジプトやヨルダンへの援助も、イスラエルとの平和を維持するための「口止め料」としての側面が強く、実質的にはイスラエルのための支出であると氏は指摘します。また、イラクやシリアでの政権交代戦争はイスラエルの安全保障上の利益を優先したものであり、その経済的コストは2.9兆ドルに達し、多くの米軍兵士の命や精神的健康を奪ってきました。

人道的な観点からも、米国の支持を背景としたイスラエルの軍事行動や、ライバル国への経済制裁がもたらす悲劇は計り知れません。ガザやレバノンでの凄惨な被害に加え、過去のイラク制裁では数十万人の子供たちが命を落としました。こうした米国の振る舞いは中東での反米感情を煽り、9.11テロ事件を含む多くのテロ行為の直接的な動機となってきました。つまり、米国はイスラエルを支援することで、自国民をテロの脅威に晒しているという皮肉な構造があります。

さらに、この関係は米国内の自由をも脅かしています。イスラエル批判を「反ユダヤ主義」と決めつけ、言論を封殺するための法整備や教育現場への圧力が強まっています。マクリンチー氏は、イスラエルは「民主主義の標榜者」や「不可欠な情報パートナー」を自称しながら、実際には米国に対して激しいスパイ活動を行い、都合の良い情報を流して米国を戦争に誘導してきたと批判します。現在、米国民の多くはこの歪んだ関係に嫌気が差し始めており、党派を超えて、外国の干渉から米国の自由と富を取り戻すべき時が来ていると結んでいます。

勝利という物語

Trump's Self-Serving Narrative Crashes Against the Reality of War | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】米国によるイランへの軍事行動について、コラムニストのテッド・スナイダー氏は、トランプ政権が「勝利」という架空の物語を構築することで、現実の失敗を覆い隠そうとしていると指摘しています。スナイダー氏によれば、ウクライナのゼレンスキー大統領が敗北の責任を回避するために虚偽の物語を作っているのと同様に、トランプ氏もまた、達成されていない目標を「完遂した」と言い換えることで、紛争からの出口を探っているといいます。

トランプ政権が掲げた目標は、政権交代、ミサイル計画の除去、代理勢力との遮断、ウラン濃縮の停止の4点でした。まず政権交代について、トランプ氏は「実現した」と主張していますが、現実は異なります。ハメネイ師の後継者となったモジタバ氏は政権中核の人物であり、これは体制の継続です。ミサイル計画についても「壊滅した」と発表されましたが、情報当局の分析では発射台の60%以上、ミサイルの約半分が健在です。地下基地やおとりによって、多くの戦力が温存されているのが実態です。

地域内の代理勢力が「粉砕された」という物語も現実に即していません。ヒズボラなどは高度な攻撃能力を維持し、米軍基地への攻撃を続けています。最も重大な嘘は核開発に関するものです。トランプ氏はイランが濃縮ウランの引き渡しに同意したと述べていますが、そのような事実はありません。同氏は高濃縮ウランを「核の塵」と呼び変えて過小評価していますが、イランは依然として濃縮技術を保持しています。民間目的の濃縮というイランのレッドラインを、米国は軍事力で動かすことはできませんでした。

巨額の戦費を投じながら目標を達成できなかった政権は、言葉の定義を変えて事態を収束させようとしています。作戦名を「プロジェクト・フリーダム」と改称し、議会回避のために「敵対行為は終了した」と通知しました。しかし実際には、その直後にも米軍がイラン船舶を沈没させるなど戦火は止んでいません。スナイダー氏は、この戦争が勝利ではなく、失敗を隠蔽するためのフィクションで終わらされようとしていると警鐘を鳴らしています。政治家が言葉で現実を歪めようとする中、作り上げられた物語は、米国の真の実力を疑わせる結果を招いていると結んでいます。

「反ユダヤ主義」の嘘

Dissecting An “Antisemitism” Psyop | by Caitlin Johnstone | May, 2026 | Medium [LINK]

【海外記事より】英国におけるパレスチナ連帯デモと反ユダヤ主義的攻撃を巡る報道のあり方について、作家のケイトリン・ジョンストン氏が厳しい視点で分析しています。スターマー英首相は先日、ゴールダーズ・グリーンで起きた刺傷事件を受け、繰り返されるデモの「累積的影響」を理由に抗議活動の禁止を示唆しました。これに呼応するように、スカイニュースなどの大手メディアは、デモが反ユダヤ主義的な攻撃の「背景」や「文脈」で行われていると繰り返し報じています。しかし、ジョンストン氏は、こうした報道にはデモと攻撃を直接結びつける証拠が一切欠如していると指摘します。

記者のモリー・マローン氏は、ユダヤ人コミュニティへの攻撃が増加しているという「背景」の中でデモが行われていると述べ、視聴者の感情に訴えかける手法をとっています。ジョンストン氏によれば、これは論理的な因果関係を示すのではなく、単に二つの出来事を同じ文脈で語り続けることで、人々の頭の中に誤った関連性を植え付けようとする心理操作に他なりません。例えば、冷蔵庫の音が足首の痛みの原因であると、証拠もなく「背景」という言葉だけで結びつけるような不当な論法と同じであると彼女は批判しています。

さらに、メディアは政府のテロ立法調査官による「デモが反ユダヤ主義を助長している」という根拠のない主張を無批判に引用しています。一方で、ゴールダーズ・グリーンの事件については重要な事実が伏せられています。加害者が精神科病院から退院したばかりで深刻なメンタルヘルスの問題を抱えていたことや、被害者の中にユダヤ人ではない男性も含まれていたことには触れず、あたかも特定の思想に基づいたヘイトクライムであるかのように印象操作が行われているのです。

こうしたプロパガンダの動きは、ユダヤ人を守るためではなく、イスラエルとそれと足並みを揃える欧米政府の利益を守るためのものだとジョンストン氏は主張します。西側諸国でパレスチナ支持の声を封じ込めようとする動きは、事実に基づかない感情的な結びつけによって正当化されており、真実を伝えるべき報道機関がその片棒を担いでいる現状に強い警鐘を鳴らしています。事実を淡々と見つめれば、デモの禁止を正当化する論理がいかに脆弱であるかが浮き彫りになります。

ナチスは生き延びた

Germany was never truly “de-nazified” after WWII, Medvedev claims – NaturalNews.com [LINK]

【海外記事より】ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長は、第二次世界大戦後のドイツにおいて、真の意味での「非ナチ化」は一度も行われなかったと主張しています。メドベージェフ氏は、冷戦期の対抗手段としてナチスの高官を利用するために、欧米諸国が意図的にこのプロセスを妨害したと批判しています。この記事は、ロシア側の政治的意図を含みつつも、戦後ドイツが直面した歴史的な事実を浮き彫りにしています。

歴史的な記録は、この主張の一部に不都合な真実があることを示しています。国立第二次世界大戦博物館の分析によれば、1950年代の西ドイツ法務省職員の過半数が元ナチ党員であり、ホロコーストに関与した機関や死刑判決を下した裁判所にいた人物が要職に就いていました。当時のアデナウアー首相は「新しい水がない限り、古い泥水を捨ててはならない」と述べ、元ナチス関係者を政府内に留めることを正当化しました。1948年の米軍占領地域の調査でも、裁判官や検察官の60%から70%が元ナチ党員であったことが判明しています。

冷戦の激化に伴い、連合国側の優先順位は「反ファシズム」から「反共産主義」へと劇的に変化しました。ソ連に対する防波堤として西ドイツを利用するため、ナチスの戦争犯罪を追及する動きは急速に弱まりました。その象徴的な存在が、アデナウアー政権で首相府長官を務めたハンス・グロブケ氏です。彼はユダヤ人を差別するニュルンベルク人種法の制定に関与した人物でありながら、戦後の西ドイツで最も権力のある官僚の一人として君臨しました。

メドベージェフ氏は、こうした不完全な過去の清算が、現在のロシアと欧州の緊張関係にも影を落としていると警告しています。同氏は、現在の欧州連合がNATOよりも敵対的な軍事同盟に変貌する可能性があると主張し、ナチズムのイデオロギーが冷戦下の便宜主義によって埋め殺されただけで、完全には消滅していないのではないかという疑念を投げかけています。歴史家たちは、ナチスの思想は世代交代によって社会から退いたと考えてきましたが、国際情勢が緊迫する中で、かつての「負の遺産」が再び政治的な文脈で議論の的となっています。

暗号資産、凍結の衝撃

The War on Crypto Was Always About Control - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】米国のベッセント財務長官は、イランに関連する複数のデジタルウォレットを制裁対象とし、3億4400万ドル相当の暗号資産(仮想通貨)を凍結したと発表しました。エコノミストのマーティン・アームストロング氏は、この出来事を単なる中東情勢の一環としてではなく、政府による暗号資産への支配力が強まっている実態を示す重要な転換点であると指摘しています。多くの愛好家は、暗号資産が政府の権力が及ばない「システムの外部」に存在すると信じてきましたが、今回の措置はその幻想を打ち砕くものとなりました。

ブロックチェーンの取引記録は公開されており、政府が取引所や決済業者、ステーブルコインの発行体に法令遵守を強制すれば、エコシステム全体に対して強力な影響力を行使できます。実際に、ステーブルコイン最大手のテザー社は当局に協力し、制裁対象となった資金のアドレスを凍結しました。政府がプロトコルや発行体のレベルでウォレットを凍結できるようになった事実は、デジタル資産が政府の意のままに操作可能な「プログラム可能な金融執行ツール」へと変質したことを意味しています。

アームストロング氏は、政府が自国の債務危機に直面すると、資本規制や徴税、監視を妨げるいかなる存在も許容しなくなると警告しています。現在はイランが対象ですが、将来的にこの仕組みは税務執行や政治的過激主義、さらには環境規制への準拠など、政府が脅威とみなすあらゆる事象に適用される可能性があります。皮肉なことに、匿名性が期待されたブロックチェーンは、今や現金や金よりも詳細に個人の財務履歴を暴き出す、史上最大の監視ツールになりつつあります。

世界は現在、対立する経済圏に分裂し、米国はドルや決済インフラを地政学的な武器として活用しています。今回の凍結劇は単なる制裁のニュースではなく、政府がグローバルなデジタル資金の流れを監視し、隔離し、制御する能力を手に入れたことを示しています。暗号資産が国家の介入を受けないという考えは、もはや過去のものになったと言えるでしょう。この記事は、私たちが直面している金融管理の未来を冷静に予見しています。

トランプ兄弟、戦争で利益

Trump Brothers: Profiting from War - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】ドナルド・トランプ氏の息子であるジュニア氏とエリック氏が、軍用ドローンのビジネスを通じて多額の利益を得る可能性について、インフォウォーズの元編集者カート・ニモ氏が伝えています。投資企業の「アメリカン・ベンチャーズ」は、パワーアス社、エクステンド社、アンユージュアル・マシンズ社という3つの国防関連企業の株式を保有しています。ブルームバーグによると、その投資額は約7億5000万ドルに達しており、米国防総省(ペンタゴン)が今後2年間で11億ドルを投じる「ドローン・ドミナンス」計画の契約獲得を目指しています。この計画では、2028年初頭までに20万台以上の無人機を調達する予定です。

パワーアス社には、元特殊作戦部隊の専門家ブレット・ヴェリコヴィッチ氏が最高執行責任者として参画し、トランプ政権の元特使キース・ケロッグ退役中将も顧問を務めています。ケロッグ氏は、イランを経済的・軍事的に壊滅させるべきだと主張し、民間インフラの破壊を厭わない徹底抗戦を肯定しています。また、イスラエル企業のエクステンド社は、米国の中央軍に近いタンパに拠点を置き、ペンタゴンやイスラエル国防省から多額の契約を獲得しています。同社はイスラエル軍出身者によって設立され、ガザやレバノンでの作戦にも関連するAI技術を提供しています。

こうした動きの背景には、トランプ氏が昨年6月に署名した、国内のドローン生産を優先する大統領令があります。外国製ドローンの輸入を制限したことで、パワーアス社などが市場を独占しやすい環境が整いました。倫理監視団体のディラン・ヘドラー・ゴデット氏や、クインシー研究所のウィリアム・ハルトゥング研究員は、大統領の息子が特定の軍事企業の利益に関与している現状は、重大な利益相反の疑いがあると指摘しています。

トランプ・ジュニア氏は、自身の投資会社が現政権の政策に影響を与えており、政府のメッセージ構築にも関与したと述べています。ハルトゥング研究員は、大統領の息子が政治顧問を務めながら軍事企業の運命から個人的な利益を得ることは、深刻な倫理的課題であると警鐘を鳴らしています。この記事は、トランプ一族を過去の戦争協力企業になぞらえ、国防政策と家族の利益の境界が極めて曖昧になっている現状を冷静に報告しています。

2026-05-06

ケインズ経済学とは?

【キーワード】ケインズ経済学(Keynesian economics)とは、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズの思想に基づき、政府がお金の使い方を調整することで不況を乗り越えようとする考え方です。この学派では、経済を個人の行動の集まりとしてではなく、社会全体の需要や供給といった大きな塊、つまり「マクロ」の視点で捉えるのが特徴です。具体的には、景気が悪くなって失業者が増えるのは、社会全体の「需要」が足りないからだと考えます。そのため、政府がわざと税金以上の支出を行う「財政赤字」を出して公共事業などにお金を使い、無理やりにでも需要を作り出すことでフル雇用を目指すべきだと提唱します。逆に、世の中にお金が回りすぎて物価が上がるインフレの時には、政府が人々の使えるお金を吸い上げることで、過剰な支出を抑える役割を担うべきだとされています。

しかし、こうしたケインズ的な政策には多くの批判も存在します。例えば、自由な市場を重視するオーストリア学派の視点から見ると、政府が借金をしてまでお金を使うことは、本来なら民間の工場や設備に使われるはずだった貴重な資源を政府が奪い取ってしまう行為に他なりません。これを「クラウディングアウト」と呼び、将来の世代が受け継ぐはずの工場や機械が減ってしまい、結果として未来を貧しくさせる要因になると指摘されています。また、政府は民間企業のように利益を出す必要がないため、その支出が本当に国民の役に立っているのかを測る客観的なものさしを持っていません。そのため、どれほど人助けをしたいと願っても、実際には目隠しをしたまま飛行機を操縦しているような危うい状態にあるといえます。

さらに、ケインズ経済学は経済を数式やグラフで説明しようとしますが、これは人間の複雑な行動を単純化しすぎているという批判もあります。現実の経済は、何百万もの異なる個人が、それぞれの目的を持って行動する結果として成り立っています。これらを「消費者」や「労働」といった一括りの言葉で処理し、政府がコントロールできると考えるのは、傲慢な姿勢といえるでしょう。たとえ政府の介入によって一時的に景気が良くなったように見えても、それは市場が本来持っている調整機能を歪めているだけであり、長期的にはより大きな不況を招く恐れがあるのです。私たちは、目に見える政府の支出だけでなく、その裏側で失われている民間の可能性や将来の負担にも目を向ける必要があります。

タングステン利権とトランプ一族

Trumps, Tungsten, and Tax Dollars | The Rude Awakening [LINK]

【海外記事より】米国の金融ライター、ショーン・リング氏が、トランプ政権の資源政策と大統領一族の不透明な利益関係について報じています。現在、米国政府は装甲弾や半導体、極超音速兵器に不可欠な希少金属「タングステン」の確保を急いでいます。タングステンは、中国が世界供給の80%以上を支配しており、北京が輸出制限に踏み切ったことで国防総省に緊張が走りました。リング氏によれば、この戦略的物資の確保を巡る動きの背後で、トランプ大統領の息子たちによる巧妙な投資が進んでいるといいます。

事の始まりは、ニューヨークの小さな持ち株会社、スカイライン・ビルダーズ・グループでした。ドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏は、特定の証券会社を通じてこの企業の株式を静かに買い進め、目立たない形で持ち分を築きました。一方で、ピニ・アルトハウス氏が率いる投資会社コーブ・キャピタルが、カザフスタンにある世界最大級のタングステン鉱床の開発権を獲得しました。アルトハウス氏は、トランプ大統領やルビオ国務長官、ラトニック商務長官から「直接的な支援」を受けたと公言しており、ラトニック氏はカザフスタン大統領に宛てて同プロジェクトを支持する親書を送ったと報じられています。

特筆すべきは、この民間プロジェクトに注ぎ込まれる巨額の公的資金です。米輸出入銀行(EXIM)と米国際開発金融公社(DFC)は、合計で最大16億ドルに及ぶ納税者負担の融資や保証を示唆しました。リング氏は、プロジェクトが失敗すれば損失は政府、つまり国民に転嫁される一方で、成功すれば莫大な利益が民間株主の手に入ると指摘しています。そして、その恩恵を授かる株主の一人が、直前にこの関連企業の株式を取得していたトランプ一族であるという構図です。

こうした手法は、今回が初めてではありません。トランプ・ジュニア氏がパートナーを務める投資会社が関与したレアアース企業やドローンメーカーでも、一族が投資した直後に多額の政府支援や連邦プログラムが決定するというパターンが繰り返されています。リング氏は、タングステン不足への対策自体は正当な国防上の要請であるとしつつも、国家政策と一族のポートフォリオがこれほど直接的かつ大規模に結びついている現状に強い疑念を呈しています。産業政策という名目のもとで、ホワイトハウスの決定が私的な富に変換されるスピードと規模は、これまでのワシントンの常識を逸脱していると、冷静な筆致で警鐘を鳴らしています。

イラン核計画の生みの親

Did you know the US and Israel helped create Iran’s nuclear project? Here’s the story — RT World News [LINK]

【海外記事より】米国のトランプ大統領がイランとの戦争を開始して以来、中東全域で数千人の犠牲者が出る事態となっていますが、同大統領はこの状況を「非常にうまくいっている」と表現しました。大統領は、この軍事行動の目的を、米国人がイランの核武装に脅かされないようにするためだと説明しています。しかし、現在米国やイスラエルが破壊しようとしているイランの核インフラの歴史を紐解くと、そこには深い皮肉が隠されています。記者のエリザベータ・ナウモヴァ氏によれば、そもそもイランの核プロジェクトの生みの親は、他ならぬ米国とイスラエル自身だったのです。

イランの核開発は、現体制下で始まったわけではありません。その起源は1950年代、米国にとって親密な同盟者であったパフラヴィー国王の時代に遡ります。当時のアイゼンハワー政権が推進した「平和のための原子力」計画の一環として、米国はイランに核技術を輸出し、1967年には最初の研究用原子炉を供与しました。イランの専門家たちは米国や欧州で訓練を受け、イスラエルもまたイランの科学界との協力関係を深め、技術的な土台作りを支援していました。当時はイランが米国の戦略的パートナーであったため、その核野心は西側諸国によって「近代化の象徴」として歓迎されていたのです。

1979年のイスラム革命によって国王が失脚した際、ドイツの協力で進められていた原子炉建設は最終段階にありました。革命後、西側の専門家は国外へ去り、プロジェクトは凍結されましたが、米国が提供したインフラと育成された専門知識はそのまま残りました。さらに、その後のイラン・イラク戦争において、建設中の原子力発電所が攻撃を受けた経験は、イランの指導者層に「核能力は生存に関わる問題である」という教訓を刻み込みました。西側からの支援を失ったイランは、ロシアや中国へとパートナーを変え、独自に技術を維持・発展させる道を選びました。

現在の米国やイスラエルの激しい憤りには、奇妙な後味の悪さが漂っています。トランプ大統領はかつて自国が育てるのを助けた核インフラを消し去ろうとしており、イスラエルもまた、かつて自国の専門家が育成に協力した核能力を破壊しようとしています。ナウモヴァ氏は、イランの核開発そのものが「善」から「悪」へ変わったのではなく、単にそれが米国のコントロールできない政府の手に渡ったことで「容認できないもの」へと変わったのだと指摘しています。かつての同盟者が残した遺産が、今や世界を揺るがす国際危機の中心となっている事実に、歴史の複雑な逆転劇が見て取れます。

帝国の嘘

Imperial Lies and the War in Iran - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】アメリカが現在推し進めているイランとの戦争の背後にある「帝国の嘘」について、政治評論家のノーラン・デナロ氏が鋭い考察を述べています。デナロ氏によれば、国家が統治の正当性を国民に信じ込ませるための最大の道具はプロパガンダであり、現在のイラン情勢もその例外ではありません。米国憲法では、戦争を宣言する権限は議会にあると定められていますが、2月28日に開始されたこの無謀な戦争において、トランプ大統領は依然として議会の承認を得ておらず、憲法を遵守するという誓いを破り続けているとデナロ氏は批判しています。

こうした歴史の繰り返しとして、デナロ氏は2003年のイラク戦争を挙げました。当時、ブッシュ政権は「大量破壊兵器」という嘘の物語を捏造して開戦を正当化しましたが、その結果、数十万人の民間人の命が失われ、数兆ドルの戦費が米国内のインフレを招くという壊滅的な事態を招きました。今回のイラン戦争も、政府は「抑圧からの解放」という人道的な物語で包み隠していますが、実態は世界的な権力掌握と外国の影の影響に基づいた「国家公認の大規模な殺人」に過ぎないとデナロ氏は断じています。

イランが米国を攻撃するために核兵器を開発しているという主張についても、デナロ氏は疑問を呈しています。国防総省自身の2025年の報告書によれば、イランが実戦配備可能な核兵器を保有するにはあと10年近くかかる見通しであり、現在の攻撃に緊急の必然性はありませんでした。デナロ氏は、1953年の米国によるイランでのクーデターや、その後の周辺国での政権転覆といった歴史的背景を無視し、「善対悪」という単純な構図で国民を欺こうとする政府の姿勢を問題視しています。

幸いなことに、多くの国民がこうした「物語」の矛盾に気付き始めています。最新の世論調査では、61%のアメリカ人がこの軍事行動を「間違い」だと感じていることが示されました。デナロ氏は、嘘で塗り固められた帝国の崩壊を防ぎ、共和国としての理気を取り戻すためには、不都合な真実を語り続けることが不可欠であると説いています。軍事的な拡大よりも自国の自由を重んじるべきだというデナロ氏の主張は、帝国としての衰退期にある米国の現状を冷静に見つめ直すよう促しています。

戦争決断の内幕

Inside the Iran War decision: How Netanyahu sold Trump on a conflict his own advisers called ‘farcical’ – NaturalNews.com [LINK]

【海外記事より】米国をイランとの戦争へと踏み切らせた決断の裏舞台について、複数のメディアによる調査結果を基にこの記事は伝えています。記事によれば、この軍事行動の決定的な要因となったのは、ホワイトハウスのシチュエーションルームで行われたイスラエルのネタニヤフ首相による秘密のプレゼンテーションでした。ネタニヤフ氏はトランプ大統領に対し、イランの弾道ミサイル計画は数週間で破壊可能であり、現体制は崩壊寸前であると説きました。しかし、この楽観的な予測に対し、米国の情報機関や軍指導部からは激しい疑念の声が上がっていたことが明らかになっています。

ラトクリフCIA長官は、イスラエルが提示した体制崩壊の予測を「滑稽」だと切り捨て、ルビオ国務長官もまた、その内容を事実に基づかないデタラメであると強く批判しました。ケイン統合参謀本部議長は、トランプ氏に対して、イスラエルの主張は過大広告であり、米国の兵器在庫を大幅に枯渇させるリスクがあると直接警告しました。特に、イランがホルムズ海峡を封鎖した場合の対処の困難さを強調しましたが、トランプ氏はイランが早期に降伏すると信じ込み、これらの軍事的な懸念を退けたと報じられています。

政権内部で最も断固として反対の立場をとったのは、バンス副大統領でした。バンス氏は、イランとの戦争が地域的な混乱を招き、甚大な犠牲者を生むだけでなく、反戦を掲げてトランプ氏を支持した有権者基盤に対する政治的な「裏切り」になりかねないと警告しました。また、ホワイトハウスの広報担当者らも、以前はイランの核施設を破壊したと宣伝していた一方で、今になって「差し迫った脅威」を主張することの矛盾を指摘し、世論の反発を懸念していました。

しかし、これらの助言にもかかわらず、トランプ氏は「作戦承認」を下しました。攻撃開始から約6週間が経過した現在、ネタニヤフ氏が約束した勝利のシナリオは一つも実現していません。イランは連日のようにミサイル発射を続け、ホルムズ海峡の封鎖を維持しています。これにより世界の石油供給の5分の1が遮断され、深刻なエネルギー危機が引き起こされています。軍首脳部が「悲劇的な誤り」になると警告していた事態が現実のものとなり、米国は出口の見えない泥沼の紛争に引きずり込まれた形となっています。閣僚たちの専門的な知見よりも、外国首脳の甘い見通しが優先された結果、世界経済と安全保障が未曾有の危機に瀕している現状を記事は淡々と描き出しています。

大統領の精神変調

Has President Donald Trump Lost His Mind?, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事より】米国の政治・経済の混迷とトランプ大統領の現状について、歴史家であり政治評論家のロン・アンズ氏が論じています。アンズ氏は、トランプ氏が現在進めているイランとの戦争が、米国の軍事的な敗北だけでなく、大統領自身の精神的な変調を招いているのではないかと指摘しました。同氏によれば、トランプ氏は憲法を無視した関税政策や他国の指導者の拉致といった独断的な行動を繰り返しており、その行動はますます予測不能で非合理なものになっています。

特にイランとの戦争において、米軍は数週間にわたる激しい空爆を行ったものの、イランの軍事能力を実質的に低下させることには失敗しました。むしろ、米国の最新鋭兵器の在庫が急速に枯渇し、国防上の重大なリスクが生じていることが報告されています。アンズ氏は、イランがホルムズ海峡を封鎖したことで世界経済の急所を握られており、トランプ氏が進める海軍による対抗封鎖も効果を上げていないと分析しました。著名な国際政治学者のジョン・ミアシャイマー教授も、この戦争を「米国史上最大の外交政策上の失敗」と呼び、米国はすでに敗北していると断言しています。

経済面でも深刻な危機が迫っています。アンズ氏は、現在の米国の株価が好調を維持しているのは、石油の先物価格が不自然に操作され、現実の供給不足を反映していないためだと警鐘を鳴らしています。実際には、石油や天然ガスの不足により、すでに一部の国で配給制や空の便の運休が始まっており、この供給ショックが本格化すれば、世界経済は1970年代を上回る規模の壊滅的な打撃を受ける可能性があると同氏は予測しています。米国の公的債務がGDPの100%を超えた今、エネルギー価格の高騰によるインフレが金利を押し上げれば、国家破綻の連鎖を引き起こしかねない状況です。

アンズ氏は、トランプ氏が側近に対しても攻撃的な態度を取り、核兵器の使用許可を求めて拒絶されたという驚くべき証言にも触れています。また、ハイテク企業が主導するAI投資への熱狂も、不透明な会計処理によって膨らんだバブルである可能性を指摘しました。同氏は、現実を直視できない大統領の言動と、歪められた経済指標という「砂上の楼閣」が、イラン戦争という衝撃によって一気に崩れ去る寸前にあると見ています。米国の覇権が揺らぐ中で、世界全体が未曾有の大惨事に直面しているという、極めて重苦しい展望が示されています。

シオニズムと言論の危機

Zionists Are Gunning for Your Freedom of Speech | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカ合衆国憲法修正第1条が保障する「言論の自由」が、現在かつてない脅威にさらされていると、政治コラムニストのジャック・ハンター氏が伝えています。米国では伝統的に、他国で規制の対象となるような過激な表現であっても、民主主義の原則に基づき保護されてきました。しかし、最近ではイスラエル支持勢力による動きが活発化しており、政府への批判を「反ユダヤ主義」という言葉で枠組み化し、法的に罰せられるべきヘイトスピーチとして扱うよう求める声が強まっています。

この記事が特に注目しているのは、著名なラジオ司会者であり熱烈なシオニストとして知られるマーク・レヴィン氏の言動です。同氏は、イスラエルとイランの対立やガザ紛争をめぐる米国・イスラエルの政策を批判する人々を、一律に「ナチス」と呼んで非難しています。レヴィン氏は自身の番組において、米国の言論の自由は行き過ぎているとの持論を展開しました。同氏は、特定の主張を行う人々をデジタルプラットフォームから排除することに肯定的であり、政治的な意見表明をポルノグラフィと同様に制限すべき対象として語っています。

ハンター氏は、レヴィン氏が「ナチス」と呼ぶ対象のリストが、民主党からメディア、さらには著名な保守・リバタリアン系の人々にまで及んでいる事実を挙げています。同氏によれば、レヴィン氏のような人物の真の狙いは、憲法修正第1条そのものを変容させることにあります。本来、政治的議論を保護するために設計された法的条項を、イスラエル政府に批判的な言論を排除するための道具に作り変えようとしているという分析です。これは、建国以来250年近く守られてきたアメリカの国家としての根幹を、根本から変質させかねない行為であると同氏は見ています。

アメリカ人は歴史的に、たとえ嫌悪感を抱くような思想であっても、その表現の自由を重んじてきました。しかし、特定の外国への忠誠心に近い立場から、自国の憲法が保障する権利を制限しようとする動きが強まっていることに、ハンター氏は強い警鐘を鳴らしています。同氏は、アメリカ人は他国の安泰を願いつつも、自国の内政と自由の守護に専念すべきだと主張しました。自国よりも他国の利益を優先しているかのように見える論客の言葉に耳を傾けるのをやめ、アメリカ独自の価値観を再確認すべき時期に来ているという、冷静ながらも鋭い視点が提示されています。

世界経済の大惨事

Danger of a World Catastrophe - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】イラン情勢を巡る戦争の長期化が、世界的な大惨事をもたらす危険性について、政治家のジョン・ダンカン・ジュニア氏が寄稿しています。世界的な富豪として知られるLVMHのベルナール・アルノー氏は、この戦争が速やかに解決されなければ、経済に極めて深刻かつ否定的な影響を及ぼし、世界的な大惨事になると警告しました。ダンカン氏は、もし事態が迅速に解決すれば企業活動は正常な軌道に戻ると期待を示しつつも、2026年の先行きが不透明であることに強い危機感を表しています。

米国内の政治状況も切迫しています。ニュート・ギングリッチ元下院議長は、戦争の影響や生活コスト、ガソリン価格の問題が解決されなければ、選挙において共和党に勝ち目はないとの厳しい見通しを示しました。トランプ大統領は、イスラエルとの関係と自国経済の保護という極めて困難な板挟みの状況に直面しています。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者も、事態は人々が考える以上に悪化するだろうと予測しており、戦争が終結しなければ米国および世界経済が深刻な景気後退に陥る可能性を認めています。

外交政策の専門家であるジョン・ミアシャイマー教授は、世界経済はすでに揺らいでおり、戦争が長引くほど損害は拡大すると指摘しています。ダンカン氏は、イスラエルがイランに対して徹底的な攻撃を続け、服従あるいは破壊を目指す姿勢を崩していないことを危惧しています。また、経済学者のジェフリー・サックス教授も、イスラエルのネタニヤフ首相が米国をイスラエルのための終わりのない戦争に引き込んでいると批判しました。ダンカン氏によれば、このまま戦争を継続すれば、数百億ドル規模の支出にとどまらず、米国経済そのものを破壊することになりかねません。

ダンカン氏自身は保守派の立場から、イスラエルという国を祝福することと、現在のイスラエル政府の政策を支持することは別であると説いています。現在、原油価格は114.60ドルにまで高騰しており、戦争開始前の60ドル前後から大幅に上昇しています。ダンカン氏は、この戦争をこれ以上放置すれば、米国もまた社会主義的な勢力によって統治され、国家に長期的なダメージが及ぶことを深く懸念しています。世界の経済基盤が崩壊の淵にある中、米国の利益を最優先する政策への立ち返りと、早期の紛争解決が急務であるという視点で現状が分析されています。

中銀、3月は金売越し

Central Banks Added More Gold in March But Big Sales Sent Net Purchases Negative [LINK]

【海外記事より】世界の中央銀行による金への関心が依然として高い中、3月の動向について経済記者のマイク・マハリー氏が報告しています。3月単月で見ると、世界の中央銀行は公式に合計37トンの金を購入しました。しかし、トルコとロシアによる大規模な売却が響き、全体では27トンの純減という結果になっています。それでも、多くの中央銀行は戦略的な資産として金の積み増しを継続しており、特にポーランドの動きが際立っています。

ポーランド中銀は3月に11トンの金を追加し、2026年に入ってからの購入量は計31トンに達しました。これにより同国の金準備高は581トンとなり、準備資産全体に占める割合は約31%まで上昇しています。ポーランド中銀のグラピンスキ総裁は、将来的に金保有量を700トンまで増やし、世界で最も多くの金を保有する「エリート10カ国」入りを目指す意向を示しています。一方、ウズベキスタンやカザフスタン、そして37カ月連続で買い続けているチェコなども着実に保有量を増やしています。中国も購入ペースを加速させており、公表されている金準備高は2313トンに達しましたが、実際にはその2倍以上にあたる5000トン超を秘匿している可能性も指摘されています。

対照的に、一部の国では国内事情により売却を余儀なくされています。トルコは通貨の支えやエネルギーコストの支払いに充てるため、3月に60トンという大量の金を売却しました。ロシアもまた、経済制裁の影響による予算不足を補うために金準備を取り崩し、3月には6トンの純減を記録しています。こうした動きがあるものの、世界全体で見れば、中央銀行による金購入の勢いは歴史的な高水準を維持しています。2025年の通算購入量は前年比で21%減少したものの、2010年から2021年の平均値を大きく上回る863.3トンを記録しました。

中央銀行が金に固執する背景には、インフレ対策だけでなく、ドルの武器化に対する警戒感があります。金は物理的な資産であるため、他国が制裁によって差し押さえることが困難であり、有事の際にも即座に現金化できる利点があります。ワールド・ゴールド・カウンシルの調査によれば、今後12カ月間で世界の金準備が増加すると予想する中央銀行は95%に達しており、減少を予測する銀行は皆無でした。一時的な売却はあるものの、経済的・地政学的な不透明感が続く中で、中央銀行による金へのシフトという長期的な潮流は今後も揺るぎないものと見られています。

瀬戸際のドル

Peter Schiff: The Dollar Is on the Brink | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】米国の経済状況と米ドルの先行きについて、経済評論家のピーター・シフ氏が自身の見解を述べています。シフ氏は、現在の米国経済は一般に認識されているよりもはるかに深刻な問題を抱えていると指摘しました。シフ氏によれば、米国は単なる金融危機ではなく、米ドルの価値の暴落と国債の信用危機の瀬戸際に立たされています。現在の米国株式は、どのような指標を用いても極めて割高な水準にあり、市場が完璧な状態を前提とした価格設定になっているため、わずかな狂いが生じるだけで大規模な価格調整が起こるリスクがあるとシフ氏は警鐘を鳴らしています。

債券市場についても、シフ氏は厳しい見方を示しています。シフ氏は、長期投資家が米国債や社債を保有する合理的な根拠は見当たらないと主張しました。現在の利回りは、債務不履行やインフレのリスクを相殺するには低すぎると考えているためです。もし債権への投資を検討するのであれば、米国以外の海外市場に目を向けるべきだというのがシフ氏の助言です。また、暗号資産についても、ビットコインを支えていた物語は崩壊したと批判的な立場をとっています。ここ1年、機関投資家などのいわゆる「賢い投資家」が売却を進める一方で、個人投資家やETFの購入者が蓄積を続けている現状を、非常に不健全な市場動向であると分析しています。

一方で、シフ氏が今後の資産保全の手段として期待を寄せているのが金です。金価格の上昇は、外国の中央銀行を中心とした脱ドルの動きによって牽引されてきましたが、この傾向は今後、個人投資家や民間機関にも拡大していくとシフ氏は予想しています。シフ氏は、物価の真の変化を測るためには、中央銀行が際限なく発行できる法定通貨ではなく、中立的な尺度である金を基準にする必要があると説いています。金で資産を測定すれば、多くの資産価値が実は下落していることに気付くはずであり、見かけ上の価格上昇は通貨価値の低下に過ぎないという考えを示しました。

シフ氏は、これまでの自身の予測の多くが現実のものとなっており、政策の歪みや通貨の質の低下といったパズルのピースはすでに揃っていると述べています。残された不確実性は、最終的な崩壊がいつ起こるかというタイミングの問題だけです。シフ氏は、その時期を正確に特定することは困難であるとしつつも、投資家はさらなる猶予があると思い込むのではなく、破綻が差し迫っているという前提で備えを固めるべきであると締めくくりました。経済の基盤が揺らぐ中で、伝統的な資産価値のあり方が根本から問い直されているという、シフ氏の強い危機感が伝わる内容となっています。

2026-05-05

オーストリア学派経済学とは?

【キーワード】オーストリア学派経済学(Austrian economics)とは、19世紀後半にオーストリアのウィーンで生まれた、人間の「意志のある行動」をすべての出発点とする経済学の体系です。この学派の最大の特徴は、経済を単なる数字や数式の集まりとしてではなく、一人ひとりの人間が「現状をより良くしたい」と願って行う選択の積み重ねとして捉える点にあります。20世紀の巨頭ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは、この根本となる考え方を「人間の行為」と呼び、無意識の反射的な動きとは明確に区別しました。

私たちが何かを選ぶとき、その価値は人によって全く異なります。これを「主観的価値」と呼びますが、ある人にとって宝物でも、別の人には無価値であることは珍しくありません。そのため、オーストリア学派は、政府などの外部の人間が「社会全体の満足度」を数式で計算し、経済を完璧にコントロールすることは不可能だと考えます。むしろ、自由な市場で決まる「価格」こそが、何がどれくらい必要とされているかという情報を、世界中の人々に伝える最も優れた信号の役割を果たしていると高く評価します。

景気の波についても、独自の鋭い視点を持っています。一般的に不況は市場の失敗だと思われがちですが、オーストリア学派は、政府や中央銀行がお金の量を無理に増やし、利子を不自然に下げることが真の原因だと指摘します。こうした介入が、実現不可能な建設計画や過剰な投資という「間違い」を引き起こし、その後のバブル崩壊を招くというのです。したがって、不況の際も、政府が無理に支出を増やすのではなく、市場が自ら間違いを正すまで余計な手出しをしないことが、最も早い回復への道であると主張します。

この学派の教えは、経済とは特別な専門家が操作する機械ではなく、私たちの自由な選択が織りなすダイナミックな協力のネットワークであることを教えてくれます。個人の創意工夫と自由な交換を重んじるその哲学は、現代においても、過度な政府介入への警鐘として強い輝きを放ち続けています。

金の国内移送急ぐ

India Continues to Bring Its Gold Home [LINK]

【海外記事より】アメリカのコラムニストであるマイク・マハレイ氏による、インドが進める「ゴールドの国内回帰」に関する分析をご紹介します。近年、インド準備銀行は海外に保管していた金準備を自国へ移送する動きを加速させています。2024年春にはイギリスの保管庫から100トンの金を国内に戻し、さらにその後半年間で104トンを移送しました。最新のデータによれば、インドが保有する880.52トンの金準備のうち、約77%にあたる680トンがすでに国内で保管されています。2023年3月の時点では国内保管の割合は約37%に過ぎませんでしたが、短期間でその比率が劇的に高まったことになります。かつてはロンドンなどの海外で保管することが一般的でしたが、現在は自国の資産を安全な場所に置いておくことが、中央銀行にとっての共通認識となりつつあるようです。

こうした動きの背景には、アメリカによるドルの「武器化」に対する警戒感があります。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて西側諸国が実施したロシアへの経済制裁や資産凍結、さらにはアフガニスタンの外貨準備の凍結といった出来事が、各国の中央銀行の考え方を大きく変えました。主要7カ国が主権資産へのアクセスを制限したことで、預けている資産が他国にコントロールされるリスクが浮き彫りになったのです。インドは2017年から継続的に金を購入しており、その保有量を270トン以上増やしています。インドのメディアによれば、これはアメリカの財務省証券への依存を減らし、外貨準備を多様化させる「脱ドル化」の一環であると指摘されています。為替市場の変動やアメリカの高金利といった要因も、金への投資を後押ししているようです。

この傾向はインドに限ったことではありません。ワールド・ゴールド・カウンシルの調査によると、多くの国の中央銀行が制裁リスクを懸念しており、金の国内保管を計画する銀行の割合は2020年の50%から、現在は68%にまで上昇しています。ドイツやイタリアでも金の回収を求める声が上がっており、ポーランドやハンガリーなどはすでに大規模な国内回帰を実施しています。こうした流れは、第三者に資産を預けることに伴うリスクを排除し、物理的な現物資産を自国で直接管理することの重要性を再認識させるものです。投資家が金を保管する際にも、盗難や詐欺のリスクを考慮した上で、信頼できる保管先を選ぶことが重要になります。マハレイ氏は、資産を銀行や政治の影響から切り離し、保険で保護された安全な施設で個別に管理することの利点を挙げ、中央銀行と同様の慎重な姿勢を求めています。

トランプ政権の狂気

Scott Ritter: Iran War Reignites as U.S. Pushes to Reopen the Strait of Hormuz - YouTube [LINK]

この動画は、緊迫した中東情勢について、元国連査察官のスコット・リッター氏が分析したものです。

米イラン紛争の再燃とホルムズ海峡

  • 武力行使の背景: 米国がホルムズ海峡を武力で開放すると発表したことで、一時的な停戦が終わり、事実上の戦争状態に戻りました。
  • 現状の戦況: 米国はイランの小艇を撃沈したと主張していますが、リッター氏は米国の軍事インフラが地域内でほぼ壊滅状態にあり、発表は「嘘」や「歪曲」に満ちていると指摘しています。

米国政権の現状と「狂気」

  • トランプ大統領への批判: リッター氏は、トランプ大統領を「自己愛性パーソナリティ障害」を抱えた精神的に不安定な人物と厳しく批判し、彼が現実に基づかない独自の空想世界で決断を下していると述べています。
  • 側近の影響: 大統領の周囲にはイスラエル寄りのシンクタンクの影響を受けた、現実を正しく把握できない人物ばかりが集まっており、諜報機関の正確な情報が届いていないとしています。

経済的・地政学的リスク

  • 湾岸諸国の危機: イランは、米国の攻撃が続けばクウェートやUAEなどの石油インフラを完全に破壊すると警告しています。これが現実になれば、原油価格は1バレル200ドルを超え、世界経済は崩壊します。
  • UAEの賭け: アラブ首長国連邦(UAE)はイスラエルとの連携を強めていますが、これはイランが戦略的に敗北しない限り成立しない極めて危険な賭けであると分析されています。

結論

リッター氏は、米国の封鎖政策や軍事行動はすべて失敗しており、イランは経済的にも軍事的にも健在であると主張しています。現在の米国の行動は、大統領の個人的な承認欲求や絶望的な選挙状況からくる「心中」に近いものであり、世界を破滅に導く恐れがあると警鐘を鳴らしています。

出口のない迷路

Will Trump’s new ploy work? | John Mearsheimer & Trita Parsi - YouTube [LINK]

【海外動画より】アメリカのトランプ大統領が直面しているイラン情勢の深刻な行き詰まりについて、シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授が鋭い分析を行っています。ミアシャイマー氏は、現在のアメリカの状況を「完全な敗北」と表現し、当初掲げた戦略目標が何一つ達成されていないと指摘しています。

トランプ政権はイスラエルの助言を受け入れ、イランに対して強力な海上封鎖を敷きましたが、これが皮肉にもアメリカ自身を苦しめる結果となっています。海上封鎖は本来、長期的な効果を狙うものですが、その影響で原油価格が高騰し、アメリカ国内のガソリン価格は戦争中よりも高い水準に達しています。ミアシャイマー氏は、イランが受けている経済的打撃は確かに甚大であるものの、イラン指導部が降伏することはないと断言しています。国家の存立に関わる脅威に直面した際、近代国家は想像を絶する苦痛に耐え抜く能力を持っているからです。

一方で、アメリカ国内では経済的苦痛が政治的な危機へと直結しています。中間選挙を控えた共和党議員たちは、終わりの見えない状況とインフレに焦りを募らせており、トランプ氏の政治的立場はイランよりも先に限界を迎える可能性があると分析されています。ミアシャイマー氏は、トランプ氏がこの窮地を脱するために、軍事力の行使というさらなる賭けに出る危険性にも言及していますが、それは事態をさらに悪化させ、世界経済に壊滅的な打撃を与える恐れがあるといいます。

結局のところ、トランプ氏は自らが掲げた「アメリカ・ファースト」の理念に反し、他国の利害に引きずられたことで、出口のない迷路に迷い込んでしまったようです。ミアシャイマー氏は、イランが核濃縮能力を完全に放棄することはないと見ており、トランプ氏がいかにしてこの失敗を「勝利」として演出するかが今後の焦点になると述べています。かつてないほどのアメリカの威信の低下と、中東における安全保障の枠組みの崩壊は、日本を含む国際社会全体に重大な再考を迫るものとなっています。

軍産複合体の米国

A nation captured by the military industrial complex: US military budget greater than next EIGHT countries combined – NaturalNews.com [LINK]

【海外記事より】アメリカの軍事予算は2025年に9210億ドルという巨額に達し、中国、ロシア、ドイツ、イギリス、インド、サウジアラビア、フランス、日本という続く8カ国の防衛費を合算した額を上回りました。この記事は、アメリカ政府がいわゆる「軍産複合体」に完全に乗っ取られている現実を浮き彫りにしています。国民皆保険制度を「社会主義的だ」と批判する政治家たちが、その一方で、存在を正当化するために絶え間ない紛争を必要とする軍事機構に対しては、何のためらいもなく数兆ドルもの国富を投じていると批判しています。本来であれば飢餓や貧困、病に苦しむ人々を救うために使われるべき資金が、戦場を破壊し墓を増やすためだけに費やされているというのです。

世界全体の防衛支出が過去最高の2.6兆ドルに達する中で、アメリカは自らが作り出した負の循環に陥っています。軍需企業は国庫を食いつぶしてインフレを助長し、自ら防ぐと称しているまさにその戦争を、自らの利益のために製造しているのが実態です。トランプ大統領は2027年までに軍事予算を1.5兆ドルに増額する案を提示していますが、これは冷戦のピーク時を実質ベースで90%も上回る規模です。この記事は、もはやこれは「防衛」ではなく「永久戦争の準備」に他ならないと断じています。軍需企業は平和からは利益を得られず、恐怖や対立の激化、そして差し迫った脅威という宣伝を糧にして成長を続けているからです。

欧州もまた、この軍拡競争に熱心に参画しています。ドイツは1073億ドル、イギリスは943億ドルと、わずか1年で数百億ドル規模の増額を行いました。さらに欧州連合(EU)は「欧州再武装計画」を提案しており、多額の借り入れによって防衛体制を強化しようとしています。しかし、こうした軍事化の影で最も深刻な被害を受けているのは外交です。例えばミンスク合意の不履行などは、国家間の信頼を根本から破壊しました。今やロシアなどの対立国にとって、西側諸国が呼びかける平和交渉は信用の置けないものとなっており、外交による解決を困難にしています。

さらに、ロシアの資産約300億ドルを没収した行為は、世界の金融システムに衝撃を与えました。西側諸国はこれを「凍結」と呼びますが、ロシア側は「窃盗」と呼んでいます。この行為によって、ドルやユーロといった西側通貨の信頼性は失墜しました。もし今日ロシアの資産が奪われるなら、明日は中国、その次は他国というように、いつ自国の資産が没収されるか分からないという不安が世界中に広がっています。その結果、ドル離れの動きが加速しており、これは巡り巡ってインフレや通貨価値の下落として、アメリカ国民自身の生活を脅かすことになります。軍産複合体という組織は、紛争を煽ることで私腹を肥やしますが、その代償は物価高や際限のない借金、そして終わりのない戦争という形で、一般市民が支払わされることになると警告しています。

日本の新たな役割

Corking the Front Door: Japan’s New Role in the Global Siege of China - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】アメリカのブロガー、ティーナ・アントニス氏の記事によれば、日本は長年維持してきた「平和主義の殻」を脱ぎ捨て、中国を包囲するための戦略的な「地域の兵器庫」としての役割を急速に強めています。特に注目すべきはフィリピンとの軍事的な統合です。4月21日、高市早苗政権下の日本政府は、防衛装備品の輸出制限を事実上撤廃しました。これにより、1967年以来の「武器輸出三原則」に象徴される法的な壁が完全に取り払われ、殺傷能力のある兵器を他国へ提供することが可能になりました。記事はこの転換について、単なる政策変更ではなく、日本が「民主主義の兵器庫」として機能するための構造的な再編であると指摘しています。

この戦略の具体例として、フィリピン海軍に対するあぶくま型護衛艦の提供計画が挙げられます。以前は武器を取り外すことが条件とされていましたが、今回のルール変更によって、武装したままの譲渡が可能になりました。これにより、南シナ海の「玄関口」とも言えるルソン海峡において、日本製の兵器を装備したフィリピン軍が、中国に対する強力な抑止力、あるいは封鎖の担い手となる道が開かれました。高市政権はこれを「継戦能力」というドクトリンで説明しており、同盟国間に強固な産業基盤を築くことで、米軍や自衛隊が常に現場に張り付かなくても、現地の軍が代理でゲートキーパーの役割を果たせるようにすることを目指しています。

また、自衛隊の活動範囲も劇的に拡大しています。フィリピンでの米比共同演習「バリカタン」において、自衛隊はこれまでのオブザーバー参加ではなく、約1,400人の隊員が正式な参加者として加わりました。この演習では、日本の88式地対艦誘導弾などを用いて船舶を撃沈する訓練も行われています。こうした軍事的な動きを支えるのが、1月に締結された日比物品役務相互提供協定(ACSA)です。これにより、軍需物資やサービスの提供が税制面も含めて簡素化され、フィリピンの島々が自衛隊の活動拠点として機能する下地が整いました。

記事の分析によれば、これら一連の動きは、中国のエネルギー供給路を断つための巨大な戦略の一環です。ルソン海峡という「表玄関」を日本とフィリピンが、マラッカ海峡という「裏口」を米国が抑えることで、中国の生存圏を絞り上げようとしています。筆者のアントニス氏は、米国が中国の経済的・産業的な競争力に正面から対抗できないため、物流の要所を物理的に遮断する「無力化」の戦略にシフトしたのだと論じています。日本はこの冷戦的な包囲網において、単なる追随者ではなく、兵器供給と実戦力の両面で不可欠な役割を担うようになっています。

戦争で誰が儲けたか?

Pay Day: Learn Who Cashed In When Trump Went to War | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカのハイテク専門家トーマス・カラット氏の記事によれば、トランプ大統領が掲げていた「終わりのない戦争を終わらせる」という公約とは裏腹に、米国はイランに対してイラク侵攻以来最大規模となる軍事作戦「エピック・フューリー」を開始しました。驚くべきことに、この攻撃は議会の宣誓布告もなく、外交交渉が継続されている最中に決行されました。ペンタゴン(米国防総省)は、イラン側に米軍を攻撃する計画はなかったと報告していますが、この記事は、この戦争によって誰が巨額の利益を得たのかという、戦時経済の冷徹な側面に光を当てています。

まず、軍需産業がかつてない活況を呈しています。ロッキード・マーティン社の株価は、攻撃開始初日に史上最高値を記録しました。この記事は、兵器の消耗と調達のサイクルが企業に莫大な利益をもたらす仕組みを指摘しています。例えば、イランが数万ドルの安価なドローンを投入するのに対し、米国は1発400万ドルのミサイルで迎撃します。この迎撃のたびに新たな発注が保証され、その費用は米国の納税者が負担することになります。トランプ氏は国防予算の大幅な増額を掲げ、主要な軍需企業のCEOをホワイトハウスに招いて兵器の増産に合意しました。これらの企業が、トランプ氏の政治活動における主要な献金者であるという事実も記事は伝えています。

さらに、エネルギー分野でも劇的な変化が起きています。世界第2位の液化天然ガス(LNG)輸出国であるカタールのインフラが、イランとの報復合戦の中で破壊されました。これにより、米国の最大の競合相手であったカタールからの供給が途絶え、世界のエネルギー市場は米国のLNGに依存せざるを得ない状況に追い込まれました。シェニエール・エナジーなどの米エネルギー企業の株価は急騰し、米国による市場の独占が今後10年にわたって続くとの予測も出ています。トランプ氏は、石油価格の上昇を米国にとっての利益と捉えていますが、これはガソリン価格の高騰に苦しむ一般市民の視点とは対照的です。

最も不透明なのは、機密情報を利用した不正な取引の疑いです。機密情報を悪用して予測市場で利益を得た兵士が訴追される一方で、大統領の発表直前に動いた数億ドル規模の石油先物取引や、戦争開始を的中させた不審な口座については、十分な捜査が行われていないと記事は批判しています。この記事は、国家安全保障という名目のもとで、特定の利益団体が莫大な富を手にし、その代償を一般の消費者が支払わされるという、現代の「戦争国家」の構造を浮き彫りにしています。有権者が望んだ平和とは程遠い現実が、そこには横たわっています。

言論封殺の決議案

House Resolution Calls for Tech Companies to Censor Speech - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】アメリカのカート・ニモ氏が執筆した記事によれば、米連邦議会において、特定の言論をテクノロジー企業に検閲させるよう求める超党派の決議案が提出されました。ニュージャージー州選出の民主党ジョシュ・ゴットハイマー議員と、ニューヨーク州選出の共和党マイク・ローラー議員が、ハサン・ピーカー氏やキャンディス・オーウェンズ氏といった著名なインフルエンサーによる「反ユダヤ主義的で憎悪に満ちた言辞」を非難する決議案を導入しました。この決議は、オンライン上での誤情報や過激な主張がユダヤ人への暴力を助長しているとし、SNSプラットフォームや指導者に対し、より強力な対策を講じるよう求める内容となっています。記事は、これら両議員が親イスラエル・ロビー団体から多額の資金提供を受けていると指摘し、彼らの優先順位は米憲法が保障する言論の自由を守ることよりも、外国政府の利益を優先することにあるのではないかと批判的な視点を示しています。

イスラエルのネタニヤフ首相も、以前からSNSのアルゴリズムを調整して自国への批判を排除するよう求めてきました。米国内でも、著名なポッドキャスターであるマーク・レヴィン氏が、イスラエルを批判する人々を「ナチス」や「ジハーディ」と呼び、彼らの言論をテクノロジー企業が封じ込めるべきだと主張しています。同じく有力なインフルエンサーであるベン・シャピーロ氏も、Xなどのプラットフォームが「ゴミのストリーム」になっているとし、イーロン・マスク氏側へ働きかけを行っていることを認めました。さらに、名誉毀損防止同盟(ADL)のジョナサン・グリーンブラット氏は、SNSを監視し、入手した情報をFBIと共有していると述べています。同氏は、主要なプラットフォームがイスラエルに批判的なコンテンツの削除を徹底していないと不満を表明し、反シオニストをプラットフォームから完全に排除するよう要求しています。

こうした動きは、単なる民間団体の要請にとどまらず、政府機関にも及んでいるようです。記事によれば、イスラエル出身のラビであるイェフダ・カプラン氏が、米国務省内にイスラエル批判に対抗するための専門部門を設立し、SNS上で誤情報とされる内容を排除するアルゴリズムの開発が進められていると明かしました。タッカー・カールソン氏はこの状況に対し、外国政府の行動を批判することがヘイトクライムとみなされ、自国で検閲を受ける日が近づいていると警鐘を鳴らしています。YouTubeからTikTok、ウィキペディアに至るまで、あらゆる通信手段が特定の意図によって制御され、批判的な声や歴史的記録が消し去られる懸念があるとしています。

記事の結びでは、アメリカで本格的な検閲体制が整いつつあるという見通しが示されています。執筆者のニモ氏は、こうした検閲に対抗するためには、人々が憲法で保障された権利を行使し、怯むことなく声を上げ続ける必要があると強調しています。不当な「ヘイト」というレッテル貼りに屈せず、言葉を用いて抵抗することが、表現の自由を守るための唯一の手段であると論じています。以上が、米国内で進行しているテクノロジー企業を通じた言論統制の動きに関する、海外記事の主な内容です。現状では、超党派の政治家や有力なインフルエンサー、そしてロビー団体が一体となって、イスラエルに対する批判的な言説を排除しようとする流れが強まっていることが報告されています。

政府が殺す資本主義の精神

Government Kills the Spirit - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】イラン戦争に伴う燃料価格の高騰を受け、米国の格安航空会社(LCC)スピリット航空が倒産に追い込まれました。戦争開始以来、ジェット燃料の価格は2倍に跳ね上がり、同社は運賃の値上げや路線の削減で対応してきましたが、低価格を最大の武器とするビジネスモデルは限界を迎えました。スピリット航空はトランプ政権に救済を求めたものの、政府側が支援の条件として株式の取得、つまり「政府による所有権」を要求したことで交渉が破綻し、終焉を迎えました。

この記事の著者である元米下院議員ロン・ポール氏は、こうした政府による民間企業への介入を厳しく批判しています。スピリット航空の苦境は今に始まったことではなく、数年前には生き残りをかけてジェットブルー航空との合併を模索していました。しかし、司法省が反トラスト法を盾にこの合併を阻止したことが、結果として今回の倒産を招いたと著者は指摘します。政府の強硬な法執行が、かえって市場の競争力を削ぎ、企業と消費者の双方に不利益をもたらした一例といえるでしょう。

現在、トランプ政権はスピリット航空以外にも、鉄鋼大手のUSスチールや半導体大手のインテル、さらには鉱山会社など、数々の民間企業に対して政府が所有権を持つ「投資」を進めています。国家安全保障を名目に政府が企業の意思決定を覆す「黄金株」を保有する手法は、一見すると救済策のように見えますが、ポール氏はこれを「経済的ファシズム」の典型であると断じます。名目上は民間企業であっても、政府がその一部を所有すれば、資本の効率的な配分は歪められ、経営判断は消費者ではなく官僚の意向を伺うものに変質してしまうからです。

こうした現状に対し、かつて民主党政権の介入を批判していた保守層や共和党支持者が沈黙を守っていることにも、ポール氏は警鐘を鳴らしています。大統領の所属政党がどこであれ、政府による民間企業の所有は自由と繁栄に対する脅威であることに変わりはありません。政治家が自らの投資リターンを優先して市場を操るような不健全な体制を止めるため、著者は連邦政府や連邦準備制度が民間企業の所有権を持つことを法律で禁止すべきだと強く主張しています。

ミーゼス研、輝き失う

My Years with the Mises Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカの自由至上主義的な法理論家、ステファン・キンセラ氏は、自身が30年以上関わってきた「ミーゼス研究所」の変遷と現状への懸念を綴っています。1982年に設立された同研究所は、オーストリア学派経済学と自由の思想を広める「知的故郷」として、世界中の学者や活動家に多大な影響を与えてきました。特に1990年代後半から2012年頃にかけては、インターネットを最大限に活用し、膨大な書籍や論文を無料で公開するオープン・パブリッシング戦略によって、世界的な思想の拠点となりました。

しかし、キンセラ氏は、近年の研究所がかつての輝きを失い、深刻な停滞期にあると指摘しています。その象徴的な出来事が、長年多大な貢献をしてきた高名な学者、ハンス・ヘルマン・ホッペ教授の解任です。教授は現在の研究所の組織運営を批判する論考を発表した後、上級フェローの地位を追われました。キンセラ氏は、この決定を不当なものとして批判し、研究所の内部で権力が一部の親族や側近に集中している「創業者症候群」が問題の根源であると述べています。

また、実務面でも後退が見られるといいます。かつては著作権に縛られない自由な知識の普及を掲げていましたが、現在は制限の強いライセンスが採用されるようになり、情報の拡散が妨げられています。さらに、名称変更やウェブサイトの改修によって過去の貴重な資料へのアクセスが困難になり、大学院プログラムなどの野心的な事業も相次いで中止されました。キンセラ氏は、このままでは研究所が単に資金を維持するだけの、形骸化した組織になりかねないと危惧しています。

同氏は、研究所が本来の使命を取り戻すためには、組織構造の抜本的な改革が必要だと提言します。職員や家族を含まない、独立した理事会を設置し、執行部に適切な権限と責任を与えるべきだとしています。そして、ホッペ教授への謝罪と復帰こそが、信頼回復の第一歩になると強調しています。私物化を排し、真に真理を追究する場へと立ち戻ることを、長年の協力者の立場から切実に訴えて、この記事を締めくくっています。

2026-05-04

公理とは?

【キーワード】公理(axiom)とは、それ自体が自明であり、わざわざ証明する必要がないほど明らかな真実、あるいは議論の出発点となる根本的な前提を指します 。数学や論理学の世界ではおなじみの言葉ですが、オーストリア学派経済学においても、揺るぎない知識を積み上げるための「建物の土台」として非常に重要な役割を果たしています 。私たちは普段、何かを正しいと判断する際に実験や統計データを求めがちですが、この学派では、人間の理性が直接理解できる「疑いようのない事実」からすべての理屈を導き出そうとします 。

この学派が最も大切にしている土台が「人間行為の公理」です。これは「人間は目的を持って行動する」という、極めてシンプルで当たり前の事実を指します 。私たちが何かを選ぶとき、それは今の状況をより良くしたいという願いがあり、そのために限られた手段を使おうとしているはずです 。もし誰かが「人間は目的を持って動くわけではない」と反論したとしても、その反論自体が「相手を説得する」という目的を持った一つの行為になってしまいます 。つまり、この公理を否定しようとすること自体がその正しさを証明してしまうため、これは誰にとっても否定できない絶対的な真実なのです 。

注目すべきは、このたった一つの公理から、経済の複雑な仕組みが魔法のように解き明かされていく点です。例えば、人間が行動するという事実からは、必ず「価値の序列」や「資源の不足」、さらには「成功と失敗」といった概念が論理的に導き出されます 。これは、数学者がいくつかの公理から複雑な定理を証明していく過程によく似ています。実験室でのテストが必要な物理学や化学とは異なり、経済学は私たちの心の中にある「行動する」という確信を出発点にして、一歩一歩、論理の鎖をつないでいく純粋な論理の学問なのです 。

こうした考え方は、現代のデータ重視の風潮からは少し意外に思えるかもしれません。しかし、数字やグラフは過去の出来事を記録したものでしかなく、それらが将来も同じように繰り返される保証はありません 。一方で、公理から正しく導き出された結論は、人間が人間である限り、時代や場所を問わず常に正しいものであり続けます 。公理とは、目に見える現象の奥底に流れる変わることのない真実を見抜くための、最も強力な思考の道具であると言えるでしょう。

原油200ドル超えも

U.S. GAS REACHES $4.45 & IRAN HASN'T CLOSED RED SEA YET - w/ Professor Steve Hanke - YouTube [LINK]

【海外動画より】この動画では、経済学者のスティーブ・ハンケ教授が、ホルムズ海峡の封鎖に伴う深刻な世界経済の危機について語っています。教授によれば、供給停止による原油価格の高騰は既に発生していますが、現状の価格はまだ不十分であり、在庫が枯渇すれば200ドルを超えるような次の価格高騰が起こる可能性があると警告しています。原油のような必需品は価格弾力性が低いため、需要を抑えるには価格を劇的に上げるしかなく、それは事実上の世界的な不況を招くことになります。

アジア諸国の備蓄は、パキスタンのように数日分しかない国から、韓国や台湾、日本のように1ヶ月前後の国まで様々ですが、全体として非常に脆弱な状態にあります。一方で、中国は100日分以上の膨大な備蓄を持ち、さらにイランが海峡外に浮かせている大量の原油が中国の小規模製油所に供給され続けているため、7月頃までは持ちこたえられる見通しです。この状況下でトランプ政権が進める封鎖政策は、結果的にイランに外交的なレバレッジを与えてしまっていると教授は指摘します。イランのインフレ率は実際には116%に達しており、極めて厳しい状況にありますが、彼らは西側諸国よりもはるかに高い苦痛への耐性を持っており、この「我慢比べ」においてはイランが有利な立場にあるという分析です。

湾岸諸国においても、将来的な脱化石燃料を見据えて生産を早めたいアラブ首長国連邦がOPECを離脱するなど、独自の動きを見せています。米国に目を向けると、戦費と債務の利払い負担が急増しており、利払い費が国防予算を上回るという、帝国の衰退を示す象徴的な局面を迎えています。教授は、この問題を解決するには憲法を改正し、スイスのように債務に法的上限を設ける「債務ブレーキ」を導入するしかないと主張しています。

最終的にトランプ大統領は、ガソリン価格の上昇という国民からの直接的な圧力に直面し、イランに対して妥協を余儀なくされる可能性が高いというのが教授の見解です。この戦争は、米国の外交政策における歴史的な失敗として記録される恐れがあり、世界経済は私たちが認識している以上に深刻な停滞の入り口に立たされていると言えます。

究極の防衛策

The 91-Year Debasement Trade: Why $4,600 Gold is Just the Beginning - James Grant - YouTube [LINK]

【海外動画より】米国の金融専門家ジェームス・グラント氏が、現在の米国の金融市場が抱える構造的なリスクと、金の歴史的な役割について冷静な分析を述べています。現在の米国経済では、インフレ率が3.5%程度で推移し、30年物国債の利回りが5%に迫る一方で、GDP成長率は2%程度にとどまっています。この状況下でグラント氏は、特にプライベートクレジットと呼ばれる不透明な債務市場に強い懸念を示しています。2020年から2021年にかけてのゼロ金利時代に実行された膨大な融資が、現在の金利上昇局面で大きな重荷となっており、特に生命保険会社などが高利回りを求めてリスクの高い債権を抱え込んでいる現状が指摘されています。

グラント氏は、技術革新の歴史を振り返り、現在のAIブームについても慎重な見方を示しています。過去の鉄道や光ファイバーの事例と同様に、技術そのものが本物であっても、その実用化や収益化に先んじて投資バブルが発生するのが歴史の常です。現在はデータセンターへの過剰投資や過度な借り入れが行われており、実際の利益が伴う前に金融的な破綻を招くリスクがあると警告しています。投資家は期待感から高値で買い、安値で売るという過ちを繰り返す傾向があり、現在の市場も新たなサイクルの始まりというよりは、一つの過剰なサイクルの終焉に向かっている可能性が高いと冷静に論じています。

金の価格が1オンス4,600ドルを超える水準にあることについて、グラント氏はこれを単なる短期的な投機対象ではなく、紙幣がその価値を失っていく歴史的な過程における長期的な投資と捉えています。1934年から続く通貨の価値低下という大きな流れの中で、金は政治的な意図から独立した「真のお金」としての地位を保ち続けています。中央銀行などは金利を生まない金を時代遅れと見なす傾向がありますが、実際にはアジアを中心に中央銀行や個人が再び金への信頼を強めています。米連邦準備理事会(FRB)などの通貨当局が、自らの裁量を制限する金の存在を避ける一方で、金は誰の負債でもない資産として、混乱期における究極の防衛策であり続けていると締めくくっています。

トランプ氏の戦略、中国を強化

Trump’s Strategy Is Making China More Powerful — Unintentionally | Prof. Jiang Xueqin - YouTube [LINK]

【海外動画より】トランプ米大統領の戦略が、皮肉にも中国を世界で最も強力で尊敬される国へと押し上げているという分析について、ジャン教授こと江学勤(ジャン・シュエチン)氏が解説しています。ジャン氏は、現在の中東情勢を俯瞰し、戦場での出来事以上に、中国やパキスタン、そして戦後のアメリカ主導の世界システムに何が起きているのかが重要であると説いています。トランプ氏が中国を弱体化させる意図で行動しながら、実際には中国の戦略的弱点を解消し、その影響力を高めるという正反対の結果を招いているという非常に興味深い指摘です。

中国にとって過去20年間の最大の弱点は、石油輸入の約80%が通過するマラッカ海峡をアメリカ海軍に掌握されている「マラッカ・ジレンマ」でした。しかし、現在の中東での対立を通じ、中国はイランから石油の優先的なアクセス権を得ており、アメリカの制裁下でも購入を続けた忠誠心への報酬として、ホルムズ海峡を自由に通過できています。これにより、中国は長年の脆弱性を克服し、アメリカの意図に反して独自のエネルギー供給網を構築することに成功しています。アメリカの信頼性が揺らぐ中で、多くの国々が代替案としての中国に目を向け始めているのが現状です。

また、停戦の仲介役として意外な存在感を示したのがパキスタンです。パキスタンは、アメリカの同盟国であるサウジアラビアと密接な関係を持ちつつ、隣国イランとも長い国境を接しており、両者から信頼される稀有な立場にあります。1971年にアメリカと中国の歴史的な橋渡しをした時のように、今回も自国の経済的・安全保障上の利益を守るために、米イラン間の交渉を主導しました。これに対し中国は、軍を派遣することなく、技術や経済協力を通じてイランを支え、一貫性のないアメリカに代わって安定をもたらすリーダーシップを外交的に示しました。

歴史を振り返れば、古代ギリシャのアテナイが過剰な拡大によって没落したように、帝国が傲慢さから衰退を加速させるパターンは繰り返されています。アメリカが紛争に注力する一方で、中国は一帯一路などのプロジェクトを通じて着実に同盟を築き、軍事力と同等に重要なソフトパワーや信頼を獲得しています。世界は今、第二次世界大戦後にアメリカが英国に代わったような、覇権の大きな転換期にあるのかもしれません。アメリカが消え去るわけではありませんが、その指導力に疑問が呈される中で、中国が新たな選択肢として台頭している事実は否定できないと動画は結んでいます。

撤退だけが出口

Ep. 6231 - Larry Johnson on Trump’s Tenuous Ceasefire with Iran - 4/30/26 - YouTube [LINK]

【海外動画より】トランプ政権下の米国とイランを巡る緊迫した情勢について、元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏が解説している動画をご紹介します。ジョンソン氏は、米国が現在直面している軍事的な選択肢の乏しさと、今後訪れるであろう経済的な影響について冷静な分析を行っています。まず軍事面において、米国にはイランを打倒するための現実的な選択肢が欠けていると指摘されています。イランが保有する巡航ミサイルやドローンなどの脅威により、米国の艦船はイラン沿岸から200マイル以内に近づくことができず、封鎖の実効性が低いのが現状です。また、これまでの戦闘で精密誘導ミサイル等の在庫が著しく減少しており、それらの製造に不可欠なレアアースを中国が管理しているため、供給体制の構築も困難になっています。地上軍を投入しようにも、現代のミサイル技術の前ではかつてのような大規模な軍の集結は不可能であり、イランの防衛力を突破するには膨大な兵力が必要となるため、現実的ではありません。

ジョンソン氏は、トランプ大統領が「勝利した」と宣言してこの状況から撤退することが唯一の出口であると述べています。一方で、政権内部にはさらなる攻撃を促す圧力もあり、外交的な出口戦略は見えていません。イラン側もまた、1980年代のイラン・イラク戦争を経験した世代が指導部を占めており、結束力は非常に強固です。彼らは国際法に基づいたウラン濃縮の権利を主張しており、米国の要求に簡単に屈する可能性は低いと分析されています。

最も深刻なのは、まだ表面化していない経済的影響です。ジョンソン氏はこれを津波に例え、これから世界を襲う破壊的な混乱を警告しています。ホルムズ海峡の情勢不安により世界の石油供給の20%が影響を受けており、燃料価格の高騰は避けられません。さらに、液化天然ガスや肥料の供給不足が食料生産の減少を招き、1年から2年後には深刻な食糧不安や政治的混乱が世界規模で発生する恐れがあります。中国は、米国が中東で軍事力を消耗し、経済的に疲弊していく様子を静観しており、この紛争が長引くほど米国の戦略的地位は低下し、世界経済への打撃も大きくなっていくと結論づけています。

早まる帝国の衰退

Trump RUSHES Arms to Israel for Imminent Strike, Iran Drops HAMMER on US Navy | KJ Noh - YouTube [LINK]

【海外動画より】中東情勢と米国の地政学的戦略について、ジャーナリストのダニー・ハイフォン氏が専門家のKJ・ノー氏を招いて分析した内容をご紹介します。現在、米国はイスラエルへ大量の武器輸送を急いでいますが、これはイランとの直接的な衝突が再燃する予兆と見られています。一方でイランは、米海軍の封鎖をかいくぐり数十隻のタンカーを通過させるなど、戦略的な優位性を誇示しています。ノー氏は、イランが軍事的・地理的な優位を背景に「エスカレーションの支配権」を握っており、米国は負けが確定している賭けにさらに資金を投じているような状況だと指摘しています。

この紛争による経済的打撃は深刻で、世界の石油市場ではすでに約7億バレルの供給不足が生じていると説明されています。今後この不足分は1兆バレルに達する可能性があり、石油や天然ガス、化学製品の価格高騰は避けられません。興味深いのは、トランプ政権による石油供給の封鎖や依存の強化が、結果として世界の脱炭素化を加速させているという皮肉な分析です。特に中国は再生可能エネルギーや電気自動車の分野で準備を進めており、米国の行動が図らずも中国の産業を後押しする結果を招いています。米国は「支配するか支配されるか」という二元論に固執し、現実的な妥協案を見いだせていないと論じられています。

東アジアにおいても緊張は高まっています。米国はイラン戦に備えて他地域から資源を転用していますが、同時に日本や韓国を「代理人」として中国との対立に組み込もうとする動きを強めています。特に日本については、軍事予算の倍増、殺傷能力のある兵器の輸出解禁、そして台湾情勢への関与強化など、急速な再軍備が進んでいることが指摘されました。米国は自らの覇権を維持するために、同盟国を巻き込んだ軍事的な包囲網「キル・ウェブ」を構築しようとしています。しかし、現実にそぐわない軍事万能主義は帝国の衰退を早めるだけであり、私たちはこの終わりのない紛争の連鎖を止めるための連帯が必要であると締めくくられています。

コロナ関連文書、隠蔽疑惑で起訴

COVID Conniving Receives First Federal Indictment | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】新型コロナウイルスに関連する公文書の隠蔽疑惑を巡り、連邦政府の元高官が起訴されるという異例の事態に発展しました。今回、連邦大陪審によって起訴されたのは、パンデミック対策の責任者であったアンソニー・ファウチ氏の元側近、デビッド・モレンズ被告です。米司法省の発表によれば、同被告は連邦捜査における記録の改ざんや虚偽記載、公文書の隠蔽や切除、さらには米国に対する共謀罪などの疑いが持たれています。モレンズ被告は、新型コロナの起源に関連する可能性がある連邦政府の助成金の役割を隠蔽するため、情報公開法(FOIA)に基づく開示請求を逃れる工作を組織的に行っていたとされています。

起訴状の内容によれば、モレンズ被告は同僚に対し、情報公開請求の調査が始まる前に「メールを消滅させる方法」を学んだと伝え、「ほとんどのメールを個人のGmailに転送した後に削除した」といった趣旨の連絡をしていたことが明らかになっています。公文書の保存と開示は法律で義務付けられていますが、被告はこうした法的手続きを組織的に回避しようとしていました。一方、その上司であったファウチ氏については、ジョー・バイデン氏が大統領退任直前の朝に、過去10年間に犯した可能性のあるあらゆる罪について恩赦を与えたため、起訴の対象からは外れています。議会の調査では、ファウチ氏が新型コロナに関する責任を回避するために裏で糸を引いていた中心人物であったことが指摘されています。

今回の事件の背景には、中国の武漢ウイルス研究所で行われていた、ウイルスの感染力を意図的に高める「機能獲得研究」に対する連邦政府の資金提供を、政府高官らが必死に隠そうとした経緯があると見られています。武漢研究所は以前から安全性の欠如が指摘されており、国務省も機密扱いで警告を発していましたが、その事実が公表されたのはパンデミックが始まってから数年後のことでした。もし、新型コロナが史上最大級の政府の失策の結果であったことが当初から認識されていれば、政治家や科学者たちが「救世主」のように振る舞い、市民の日常生活に対して強大な統制権を行使することは困難だったはずだと著者は述べています。

司法省のトッド・ブランシュ検事総長は、今回の起訴について「国民が最も政府を必要としていたパンデミックの最中に、信頼を著しく裏切る行為が行われた」と厳しく非難しました。これまでワシントンでは、国民を欺く行為は「被害者のいない犯罪」として扱われがちでしたが、今回のモレンズ被告の起訴が、官僚による隠蔽工作を厳しく追及する先例となることが期待されています。長年にわたり情報公開制度の不備や政府の監視体制を批判してきた著者のジム・ボバード氏は、こうした捜査が継続されることこそが、アメリカの民主主義にとっての「追加接種(ブースター)」になると強調しています。

米欧の亀裂、中国の利

How can China best profit from Trump’s latest rift with traditional US allies? | South China Morning Post [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領が伝統的な同盟国である欧州諸国との間で亀裂を深めている現状は、中国にとって戦略的な好機となる可能性があると報じられています。トランプ氏は、イランとの戦争への協力を拒否したことを理由にドイツからの軍隊撤退を命じ、イタリアやスペインに対しても同様の脅しをかけています。これらの国々には合計5万人以上の米軍兵士が駐留しており、特にドイツは米空軍の兵站拠点として極めて重要な役割を担ってきました。さらに、デンマーク領グリーンランドの買収を改めて示唆するなど、主権を軽視するかのようなトランプ氏の言動は、欧州諸国に「もはやアメリカの安全保障には頼れない」という強い危機感を抱かせています。

専門家によれば、中国にとっての最優先事項は、冷静さを保ち、アメリカが対立の矛先を再び中国へと向け直す隙を与えないことだとされています。現在、イギリス、カナダ、フィンランド、スペインといった伝統的な米同盟国のリーダーたちが相次いで訪中しており、ワシントンが残した空白を埋めるべく、中国との関係強化を模索し始めています。専門家は、多くの西側諸国がアメリカからの「脱リスク」の必要性を認識しており、中国との関係修復に努めている現状は、北京にとって相対的に有利な状況であると分析しています。アメリカ自らが同盟の枠組みを乱すことで、結果として中国への圧力が緩和されるという構図が浮かび上がっています。

しかし、欧州諸国がアメリカと距離を置く一方で、中国との経済的な火種も依然として残っています。欧州連合(EU)は、中国による過剰生産や補助金政策が域内産業を圧迫しているとして警戒を強めており、電気自動車(EV)や太陽光発電などの戦略的分野において、中国企業を標的にした厳しい規制を導入し始めています。これに対し中国側は報復を示唆しており、経済面での緊張は続いています。また、トランプ氏によるグリーンランドへの関心については、フィンランドの外相が「領土の保全は譲れない一線である」と強く反発するなど、欧州全体で主権に対する警戒感が高まっています。

結局のところ、中国がこの状況から最大の利益を得るためには、アメリカが自壊させている同盟関係の隙間に静かに浸透し、欧州諸国にとっての「代替的なパートナー」としての地位を確立することが鍵となります。トランプ政権が自国第一主義を強め、NATO(北大西洋条約機構)の団結を損なうほど、中国は直接的な対立を避けつつ、世界政治における自らの影響力を拡大させる余地を得ることになります。アメリカと欧州の間に生じた深い亀裂は、単なる一時的な不和にとどまらず、国際秩序の再編を促す長期的な転換点となる可能性を秘めています。

欧州、個人資産に牙

Europe Explores Wealth Taxes, Capital Taxes, And Exit Taxes | Armstrong Economics [LINK]

【海外記事より】欧州委員会が、富裕税、資本税、そして最も懸念すべき「出国税」に関する詳細な調査報告書を公開しました。この記事の著者であるマーティン・アームストロング氏は、欧州当局がこれまで「公平性」や「連帯」という言葉の裏に隠してきた本音を、ついに隠さなくなったと指摘しています。報告書では、いかにして個人の富に課税し、所有権を監視し、税逃れを防ぐか、そして何より「資本が域外へ逃げ出すのをいかに阻止するか」が公然と論じられています。これは、欧州各国の政府が政府債務危機の最終局面に突入しつつある中で、個人の資産を封じ込めようとする動きの表れであると著者は警鐘を鳴らしています。

現在、欧州経済は深刻な停滞期にあります。ドイツの製造業は衰退し、過度な環境政策や制裁によるエネルギー価格の高騰が産業を圧迫しています。その結果、欧州の資本は長年にわたって米国へと流出し続けてきました。欧州連合(EU)の当局はこの資本逃避の現状を正確に把握しており、政策の抜本的な改革によって信頼を取り戻すのではなく、物理的に資本を閉じ込める「封じ込め」の戦略に舵を切ったようです。報告書の中では、これまでの富裕税が期待したほどの税収を上げられなかった理由として、富裕層が資産を再編したり、物理的に国外へ移住したりすることを挙げています。これこそが、EUが出国税を重要視している最大の理由です。

出国税とは、個人が国外へ移住したり資産を移転したりする際に、まだ売却していない資産の含み益に対して課税する仕組みであり、実質的な「資産没収メカニズム」として機能します。当局はデジタル化された税務システムや不動産登記、実質的支配者の追跡、さらには国際的な情報共有を通じて、個人の資産を完全に可視化しようとしています。これは単なる税制の議論ではなく、政府債務危機が加速する前に、欧州域内に資本をトラップ(罠)にかけるための準備であると著者は分析しています。歴史を振り返れば、債務危機に直面した政府は、最終的に私有財産の権利を再定義し、資本の移動を制限するという道を常に辿ってきました。

欧州の多くの国々では、年金や医療、国防、そして環境対策などの膨大な支出を賄うための数学的な計算がすでに成り立たなくなっています。政治家たちは、公的な破綻を免れるための解決策として、民間の貯蓄を「収穫」の対象と見なしているようです。こうした課税は当初、超富裕層のみをターゲットにしているように見せかけますが、実際には政府の資金源を確保するために、課税対象の閾値は徐々に引き下げられていくのが通例です。著者は、富裕税や出国税にデジタルIDや中央銀行デジタル通貨(CBDC)が組み合わさることで、監視体制が完成し、一度資本規制が導入されれば逃げ出すことは不可能になると予測しています。欧州の信頼が崩壊し、権威主義的な側面が強まる中で、自身の資産を守るための行動を急ぐべきであると、この記事は締めくくられています。

米軍拠点の被害甚大

How Iran has damaged the US military footprint in the Middle East (PHOTOS, VIDEOS) — RT World News [LINK]

【海外記事より】現在、中東地域においてアメリカ軍の拠点に甚大な被害が出ているとの報道が相次いでいます。報道によれば、イランとの軍事衝突が激化する中で、アメリカ国防総省は当初の想定を上回る損害を被っており、中東各地にある少なくとも16カ所の米軍基地が攻撃を受けたとされています。当初、国防総省は今回の戦争に関わる費用を約250億ドルと見積もっていましたが、これには基地の修復費用が含まれておらず、実際の総額は400億ドルから500億ドルに達する可能性があるとCNNなどは伝えています。攻撃の対象は、クウェートやサウジアラビア、バーレーンなど8カ国に及び、倉庫や司令部、航空機の格納庫、滑走路、そして高額なレーダーシステムなどが破壊されました。特にクウェートのキャンプ・ブーリングへの攻撃では、長年で初めて敵側の固定翼機による爆撃が確認されたとのことです。

アメリカ政府は、被害の実態を伏せるために情報の制御を試みているようです。3月中旬には、衛星画像を提供する民間企業に対し、敵対勢力への情報流出を防ぐという名目で、画像の公開を14日間遅らせるよう要請しました。さらに4月に入ると、トランプ政権は特定の関心領域に関する画像を自発的に差し控えるよう各社に求めたと報じられています。しかし、流出した画像や各種報道からは、1機約2億7000万ドルのE-3セントリー早期警戒管制機や、F-35戦闘機といった高価値の資産が損傷、あるいは破壊されたことが判明しています。また、イラン側の攻撃により、アメリカ軍の要とも言える長距離レーダーや通信機器の多くが機能を失い、域内に設置されていた防護ドームのほとんどが破壊されたとの調査結果も示されています。人的被害についても、アメリカ軍はこれまでに13人の死亡と400人以上の負傷を認めています。

この状況は、長年アメリカの軍事力に依存してきた湾岸諸国との関係にも変化を及ぼしています。自国の領土に米軍基地を置くことで得られるはずだった「保護の傘」が揺らぎ始めたことで、サウジアラビアなどの周辺国は、アメリカとの同盟関係だけに依存することの危うさを感じ始めています。さらに、ホルムズ海峡の封鎖などによって石油や天然ガスの輸出が滞る中、アラブ首長国連邦が原油取引の決済を米ドルから中国の人民元に切り替える可能性を示唆するなど、経済面での影響も表面化しています。アメリカ軍は中東に5万人規模の兵力を展開し、空母を派遣して態勢を立て直そうとしていますが、かつてのような圧倒的な軍事的優位性が揺らいでいる様子が浮き彫りになっています。現在の中東情勢は、単なる軍事衝突の枠を超え、地域におけるアメリカの影響力そのものを問う事態へと発展しているようです。