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インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-02-19

カエルの毒で殺害?

Resistant to Novichok, Russia Had To Go to South America To Find Lethal Frog Poison To Kill Navalny! - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】ロシアの反体制活動家、アレクセイ・ナバリヌイ氏の死から2年。イギリスやドイツなど欧州5カ国が、「ナバリヌイ氏はプーチン大統領の命により、南米産のカエルの毒で殺害された」とする共同声明を発表しました。記事の著者は、このあまりに奇妙で劇的な主張を、西側諸国による極めて作為的なプロパガンダであると厳しく批判しています。

かつてナバリヌイ氏は、ソ連時代の化学兵器「ノビチョク」で毒殺されかかったと報じられましたが、奇跡的に生還し、数カ月後には元気にロシアへ戻りました。今回、西側の情報機関がノビチョクではなく、わざわざ南米産のカエルから抽出される「エピバチジン」という希少な毒を持ち出したのは、ノビチョクで死ななかったナバリヌイ氏の物語に、よりセンセーショナルな新味を加えるためだと著者は分析します。南米のジャングルから毒を調達するという設定は、プーチン氏を「ジェームズ・ボンドの悪役」のように仕立て上げる劇場型の演出であり、大衆の感情を操作する巧妙な手口だというわけです。

しかし、この主張には多くの疑問が残ります。そもそも、ロシアの刑務所で亡くなったナバリヌイ氏の遺体から、誰がどのようにしてサンプルを採取し、どこの研究所で分析したのかという客観的な証拠が一切示されていません。また、2年前の死について、なぜ今このタイミングで発表されたのか。それは、ウクライナ支援を訴えるミュンヘン安全保障会議の開催時期と、ナバリヌイ氏の命日に合わせた政治的パフォーマンスである可能性が高いといえます。

著者は、欧米の支配層が児童虐待などの醜悪なスキャンダルに揺れる中で、国民の目をそらすためにこうした「ロシアの脅威」を再生産していると指摘します。証拠に基づかない情報機関の言い分を鵜呑みにさせる手法は、過去の歴史が証明するように、信頼性に欠けるものです。イギリスの情報機関が得意とする「毒ガエル」の物語は、あまりに不自然で、事実というよりは創作された心理作戦の色彩を強く帯びています。

自由は静かに奪われる

Liberty Without Strings - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ合衆国建国の父の一人、ジェームズ・マディソンは「自由は暴力や戦争といった破滅的な激変よりも、漸進的な一歩ずつの積み重ねによって失われることが多い」と言い残しました。元判事のアンドリュー・ナポリターノ氏はこの言葉を引用し、現在アメリカで起きている憲法上の権利の侵害に強い懸念を表明しています。事端となったのは、第5巡回区控訴裁判所による最近の判決です。同裁判所は、不法移民問題が深刻であり憲法の規定に従うのは時間がかかりすぎるとして、法執行機関が「憲法の角を削る(簡略化する)」ことを認めてしまいました。

アメリカ憲法修正第4条は、政府による不当な捜索や押収から個人のプライバシーを守るため、非常に厳格な手続きを定めています。政府が誰かを逮捕したり家宅捜索したりする場合、犯罪の相当な根拠を裁判官に提示し、対象を特定した「令状」を取得しなければなりません。これは、個人の権利が政府から与えられたものではなく、人間であることに由来する「譲渡不可能な自然権」であるという信念に基づいています。しかし、今回の判決はこの歴史的な原則を投げ捨て、移民税関捜査局(ICE)の職員が、裁判官の審査を経ることなく身内同士で発行した「行政令状」のみで、大規模な一斉摘発を行うことを容認してしまったのです。

さらに深刻なのは、この権力の濫用が移民のみならず、アメリカ市民にも及んでいる点です。ICEは、自らを批判したり公道で活動を撮影したりした市民の通信記録を、通信事業者に対して行政令状で要求していることが判明しました。言論や集会の自由は修正第1条で絶対的に守られている権利ですが、政府は司法令状をバイパスすることで、市民の正当な活動を萎縮させています。裁判官が署名しないような根拠のない要求を、民間企業を介して間接的に行う手法は、憲法が禁じている行為を裏口から実行しているに等しいものです。

こうした変化は、一見すると特定の社会問題への効率的な対処に見えるかもしれません。しかし、これこそがマディソンの警告した「自由が少しずつ削り取られるプロセス」そのものです。政府が国民の自由を保護するという本来の任務を忘れ、効率の名の下に憲法という盾を無効化すれば、それはもはや自由社会ではなく「隷属」への道となります。憲法への忠誠を欠いた公権力による、目立たない形での権利の侵害こそが、私たちの自由にとって最大の脅威なのです。

敗北を認められない欧州

Why can’t western leaders accept that they have failed in Ukraine? [LINK]

【海外記事紹介】ウクライナでの戦争が始まって4年、欧米の指導者たちがなぜ「自らの失敗」を認められないのかについて、元外交官のイアン・プラウド氏が痛烈な分析を行っています。現在、戦況はウクライナの敗色が濃厚であるにもかかわらず、欧州のリーダーたちは依然として戦いの継続に固執しています。例えば、ロシア軍の規模制限を停戦の条件に挙げるような発言が見られますが、これはロシアを敗北に追い込めると信じているか、あるいは自国民に対して嘘をつき続けているかのどちらかだと著者は指摘します。

軍事面では、ロシアの領土拡大が緩慢であることを理由に「ロシアが苦戦している」と報じる主流メディアもありますが、現実は異なります。ロシア軍はドローンや滑空爆弾といった低コストで量産可能な新技術を迅速に導入し、消耗戦に適応しました。また、遺体交換のデータからは、ウクライナ側がロシアの10倍以上の兵士を失っている可能性が示唆されています。しかし、著者は「日々の戦線の微細な変化に注目するのは目くらましに過ぎない」と断じます。戦争の勝敗を決めるのは軍隊ではなく、経済だからです。

現在のウクライナは実質的に破綻しており、EUが借金をして提供する「贈り物」に完全に依存しています。対するロシアは、対照的に債務比率が低く、莫大な外貨準備と貿易黒字を維持しており、長期戦に耐えうる体力を保持しています。プーチン大統領は、欧州が経済的・政治的に自滅していくのを待つだけで、ウクライナに対して一方的な撤退を要求できる立場にあります。欧州の指導者たちが失敗を認められないのは、最初から「ウクライナは必ず勝つ」と有権者に約束してしまったからです。

結局のところ、欧州のリーダーたちは核戦争のリスクを恐れながらも、ウクライナ人に「最後の一人まで戦え」と促し、自国の繁栄を犠牲にしました。この「勝てない代理戦争」で欧州を窮地に陥れた指導者たちは、将来、国民からの厳しい審判を免れないでしょう。戦争が終わる時、プーチン氏は弱者としてではなく、強者として欧州と再対峙することになります。私たちは、日々の戦況マップから一歩引いて、この冷酷な経済的・政治的現実を直視する必要があります。

習近平体制の行方

Structure, Loyalty, and Power: Understanding China’s Party-State Under Xi Jinping | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】2026年に入り、中国人民解放軍の最高幹部である張又侠氏と劉振立氏に対する調査が発表されました。これは2023年から続く大規模な粛清の集大成とも言える動きで、習近平国家主席に近いとされた人物までもが対象となっています。公式には腐敗防止を目的としていますが、実態は軍のトップ層を習氏への絶対的な忠誠心を持つ者だけで固めるという、毛沢東時代以降では前例のない規模の権力掌握が進んでいます。習氏は「軍の最高責任者は主席一人である」という体制を強化しており、今や軍の意思決定機関である中央軍事委員会は、事実上習氏個人の手の中に完全に収まった形です。

この背景を理解するには、中国という国家の特殊な構造を知る必要があります。中国は単なる独裁国家ではなく、共産党が国家のあらゆるレバーを握る「党国体制」です。軍は国家の軍隊ではなく党の武装部門であり、政府機関よりも党組織が常に上位に置かれています。習政権下では、1980年代に進められた「党と政府の分離」という改革の流れが完全に逆転しました。現在では大学、メディア、国有企業、さらには民間企業や外資系企業にまで党の委員会が入り込み、実質的なガバナンスを支配しています。主要な人事権を党の組織部が握る「ノメンクラトゥーラ」システムにより、忠誠心こそが出世の絶対条件となっているのです。

こうした極端な中央集権化は、迅速な政策執行や規律の維持という面では強みとなりますが、同時に大きな危うさも孕んでいます。地方政府は北京からの査察を恐れて過度な忖度やリスク回避に走り、軍においても戦場での能力より政治的な忠誠が優先されることで、実際の戦闘能力が損なわれる懸念が生じています。忠誠を誓うだけのイエスマンで周囲を固めれば、不都合な情報がトップに届かなくなる「情報のボトルネック」が発生し、台湾情勢などの危機に際して誤った判断を下すリスクが高まります。

習氏は、2027年の党大会に向けてさらに権力構造を垂直に整えていくでしょう。しかし、歴史を振り返れば、官僚が直言を避け、皇帝が孤立した時代の中国帝国は、しばしば政策の誤算を繰り返してきました。現在の中国のシステムは、習氏個人の支配力を極限まで高めることで強固な一貫性を保っていますが、その硬直性が将来の危機において柔軟な適応を妨げる毒となる可能性も否定できません。党が銃を握り、国家が党の意志を執行するこの巨大な「個人化されたシステム」が、真のストレスにさらされた時にどう機能するのか。世界は今、その真価を注視しています。

銀の紙上取引が限界に

Paper Promises vs Physical Reality: The Silver Market’s Breaking Point [LINK]

【海外記事紹介】「金は金であり、紙は紙である。人間のいかなる発明も、これらを変えることはできない」というトマス・ペインの言葉が、今ほど重く響く時はありません。この記事は、現在の銀市場が「紙の約束」と「物理的な現実」の乖離によって、かつてない限界点に達していると警告しています。自然界に存在する銀の量は地質学的な制約を受けますが、紙の通貨やデリバティブは、政策一つで無限に増やすことができるからです。

現在、銀市場における「ペーパーシルバー(紙の上の銀取引)」と現物の比率は、実に356対1という驚くべき規模に達しています。これは、現物1オンスに対して356オンス分の請求権が存在することを意味します。このシステムは、参加者全員が現物の引き渡しを求めないという前提で成り立つ「部分準備」的な構造ですが、現物需要が急増すれば、この不均衡は一気に破綻します。実際に、コメックス(ニューヨーク商品取引所)の銀在庫は心理的な節目である1億オンスを割り込み、現物確保のための引き出しが加速しています。

さらに、この需給逼迫はアジア市場に顕著に表れています。上海の銀価格は欧米のスポット価格に対し、1オンスあたり約10ドルのプレミアム(上乗せ金利)がついており、これは深刻な現物不足を反映しています。これまでの銀価格は先物市場、つまり「紙」の力で抑え込まれてきましたが、産業用需要が急拡大する中で、ついに物理的な市場が価格決定権を握り始めています。過去5年間の累積不足量は8億オンスを超え、これは世界の一年間の鉱山生産量に匹敵します。

背景には、中央銀行による通貨供給の再加速があります。米連邦準備制度(FRB)は再び緩和姿勢を見せており、紙幣が増刷され続ける中で、ドルの購買力は着実に削がれています。トマス・ペインが数世紀前に喝破した通り、実物資産と紙の契約は別物です。紙の約束が現実の金属の供給能力を超えて増殖し続ける時、市場が崩壊するのはもはや理論の問題ではなく、時間の問題と言えるでしょう。私たちは、無限に印刷できる「紙」ではなく、物理的な限界を持つ「実物」が真の価値を持つ時代に立ち会っているのかもしれません。

AIの判断、人間の判断

No Country for Old Probability Theorists | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】昨今のAI、特に大規模言語モデル(LLM)の急速な発展を背景に、人間特有の「判断」の本質がどこにあるのかという議論が深まっています。この記事の著者は、経営学や経済学の視点から、判断を「本源的な判断(Original Judgment)」と、代理人に任せられる「派生的な判断(Derived Judgment)」の2つに分けて考察しています。企業家は不確実な状況下で資源をどう使うかという最終的な決定権を持ちますが、その一部を部下やAIといった代理人に委ねることがあります。しかし、代理人はあくまで与えられた権限の範囲内で動く存在であり、自らを雇ったり解雇したり、権限の範囲そのものを変えたりすることはできません。この「最後に責任を負う権利」こそが本源的な判断なのです。

現在のAIは、膨大なデータから次の言葉を予測する「確率エンジン」として機能しています。これは計算可能な「リスク」を扱う能力には長けていますが、将来が予測不可能な「ナイト的不確実性」に対処する能力とは本質的に異なります。シャンパン製造を例に挙げれば、貯蔵中にボトルが割れる確率は統計的に予測できる「リスク」ですが、そもそもどの銘柄を作るか、あるいはシャンパン事業に参入するかどうかを決めるのは、数式では表せない「不確実性」への挑戦です。保険業界でも同様で、過去のデータに基づく料率計算は確率の問題ですが、どのデータを計算に含めるべきか、その基準が妥当かどうかを判断するのは人間の主観的な知性なのです。

著者はこの「責任の所在」を象徴する例として、映画『ノーカントリー』の冷酷な殺し屋、アントン・シガーの行動を引用しています。シガーはコイン投げで犠牲者の運命を決めようとしますが、それは自らの判断をコインという「確率」に委ねているに過ぎません。しかし、物語の中で一人の女性が「決めるのはコインではなく、あなた自身だ」と指摘し、コイン投げに応じることを拒否します。これは、たとえ判断を道具や確率に委ねたとしても、その「委ねるという選択」をした本人に最終的な責任があることを示唆しています。

AIがどれほど高度な予測を提示しても、それを採用し、実行に移すという選択には常に人間による本源的な判断が介在しています。技術が進化し、あらゆる事象がデータ化される時代だからこそ、私たちは「責任を伴う判断」を機械に丸投げすることはできないという冷徹な事実を忘れてはなりません。AIは優れた助言者にはなり得ますが、自らの運命や事業の根幹を決定する主体にはなり得ないのです。

専門家と政府の結託

When Moderation Becomes Method: Scientism and the Prestige of Experts | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】現代社会において、特定の立場を鮮明にせず、技術的かつ中立的な姿勢を保つ専門家が大きな信頼を集めています。過激な対立を避け、データに基づいた「穏健さ」を装うことは知的成熟の証とさえ見なされていますが、この記事の著者は、この穏健さが単なる態度を超えて、一つの統治手法と化している現状に鋭い警鐘を鳴らしています。専門家が技術やデータの言語に閉じこもる時、本来行われるべき価値観の議論は脇に追いやられ、政治的な判断が単なる「最適化」の問題へとすり替えられてしまいます。専門家は支配するのではなく助言し、強制するのではなく推奨するという形を取りますが、その一歩一歩の細かな調整が積み重なることで、人々の行動や社会政策は強力に規定されていくのです。

この傾向の顕著な例として、現代の長寿に対する執着が挙げられています。本来の医療の枠を超え、身体を管理可能なシステムと見なし、データによって常に最適化し続けようとする動きは、老化という人間の条件を単なる技術的課題へと変質させました。数値化できるものだけが重視され、数値に馴染まない本質的な事柄が軽視されるこの現象は、医療のみならずあらゆる公的分野に波及しています。科学的な言語を武器にする知識人たちは、明白な原則を表明することを避け、エビデンスのみに従う「中立」という立場を取ることで、自らの決定を科学的必然性という盾の裏に隠してしまいます。

ここで著者は、オーストリア学派の経済学者たちの洞察を引用し、この穏健な中道主義の危うさを指摘します。ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが論じたように、部分的な修正として導入された介入は、さらなる歪みを生んで次の介入を正当化し、最終的には管理の絶え間ない拡大を招きます。また、フリードリヒ・ハイエクが「科学主義」と呼んだ誤謬は、複雑な人間社会に自然科学の手法を安易に適用し、数値化できない知識を切り捨てる傲慢さを生み出しました。こうした専門家たちの「穏健な手法」は、権力を制限するのではなく、むしろ権力の拡大を洗練された形で受け入れやすくする役割を果たしています。急進的な命令ではなく、データに基づいた丁寧な推奨という形で忍び寄る管理社会の足音に、私たちはもっと自覚的になる必要があるでしょう。中道とはバランスではなく、社会全体が合理的な管理へと傾いていく緩やかな坂道なのかもしれません。

金本位制復帰の激変緩和策

Can We Go Back to the Gold Standard? | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】金や銀の価格が過去最高値を更新する中、かつての「金本位制」への復帰は可能なのかという議論が再燃しています。この記事の著者は、現在の金価格の高騰はドルの弱体化を如実に反映したものだと指摘します。かつて米国では1879年から1933年まで、1ドルは純金およそ1.5グラムという一定の重量で定義されていました。しかし、1934年の切り下げや1971年のニクソン・ショックを経て、ドルは金との結びつきを完全に失った「不換紙幣」へと変貌しました。その結果、ドルの購買力は1932年と比較して金換算で200倍以上も低下し、名目上の価値は99パーセント以上も失われたことになります。

もし今日、かつての定義(1ドル=金1.5グラム)で金本位制に戻るとどうなるでしょうか。現在約45万ドルのダラスの平均的な住宅は、金貨換算でわずか2,000ドル程度になります。しかし、単純な復帰は深刻な格差を生みます。現在、現物の金を所有しているアメリカ人は人口の約1割に過ぎず、残りの大半を占める債務者や現金保有者、年金生活者は、資産価値の激減によって壊滅的な打撃を受けるからです。そこで著者は、社会に混乱をもたらさない現実的な復帰プロセスを提案しています。

その具体的な方法は、まず米財務省が保有する約8,133トンの公式金準備を、すべての市民に公平に分配することです。計算上、1人あたり約24グラムの金を受け取ることになります。さらに、現在の通貨供給量(M2)である23兆ドルをこの金準備で完全に裏付けるため、金の価格を1グラムあたり約2,743ドルへと大幅に再評価します。これにより、各家庭には相応の金資産が分配され、新たな経済の出発点となります。この体制下では、中央銀行による無制限の通貨発行や金利操作は不可能になり、部分的準備銀行制度から100パーセント準備制度へと移行します。

金本位制への復帰は、単なる通貨制度の変更に留まりません。通貨供給量が安定すれば、生産性の向上に伴って物価は自然に下落し、景気循環による不況や失業も抑制されます。政府の肥大化が止まり、インフレという目に見えない税金から解放されることで、家族の暮らしや社会の健全性が取り戻されるというのです。政府がこの決断を下すかどうかに関わらず、個人が金や銀を所有することは、ドルのインフレに対する自己防衛として極めて重要であると著者は結んでいます。

勝者はいつもエリート層

Voter ID is Common Sense, But it Won’t Fix Anything | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカでは現在、連邦選挙における写真付き身分証明書(有権者ID)の提示を義務付ける「SAVE America Act」を巡り、激しい政治論争が巻き起こっています。本記事は、この有権者ID問題がいかに「常識的」な提案であるかを解説しつつ、同時にそれがアメリカが抱える真の病理を解決するには到底及ばない理由を鋭く分析しています。

有権者IDの導入に賛成する論理は明快です。公正な選挙を維持するために、投票者が本人であることを公的なIDで確認するのは、他の事務手続きと同様に当然の措置といえます。世論調査でも民主党支持者の7割以上を含む圧倒的多数の国民がこの措置を支持しています。反対派は「広範な不正の証拠がない」ことや「IDを持たない数百万人が投票できなくなる」ことを理由に挙げますが、著者はこれらを現状維持のための「口実」に過ぎないと切り捨てます。不正は「広範」である必要はなく、接戦区を狙い撃ちすれば十分であり、またIDを持てない人々がいるのなら、選挙制度を緩めるのではなくIDを取得しやすくすることこそが政治の役割だからです。

しかし、著者が真に警告しているのは、このID論争そのものが「目くらまし」であるという点です。共和党も民主党も、有権者の関心をこうした「党派的な対立」に釘付けにすることで、国民が本当に注視すべき問題から目を逸らさせているというのです。

過去20年間、オバマ、トランプ、バイデンといった歴代大統領は、いずれも「現状(ステータス・クオ)を打破する変革」を掲げて当選しました。しかし、蓋を開けてみれば、どの政権も結局は「縁故主義、インフレ、軍事介入」という既存の利権構造を温存してきました。真の権力は、テレビに映る政治家ではなく、顔の見えない官僚機構や政財界のエリート層(エスタブリッシュメント)にあり、彼らは自分たちの権力を脅かさない範囲でのみ、二大政党に激しい喧嘩をさせているのです。

有権者が「自分たちの党が勝てば世の中が良くなる」と一喜一憂している間、エリート層は着々と国民の富を吸い上げ、権力を拡大し続けています。著者は、有権者IDのような個別の政策で国が良くなることはないと断言します。真の変革が始まるのは、保守・リベラルの双方が「自分たちは選挙で勝っているつもりでも、実はどちらもエリート層に負け続けている」という現実に気づいた時だけなのです。

貧しさは生き残る武器

Surviving Capitalism: The Scarcity Advantage | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】「資本主義は資本を持つ者のためのシステムであり、貧しい者には機能しない」という主張をよく耳にしますが、今回の記事の著者はこれを「甘い誤解」だと断言します。資本主義の真の本質は、単なる資金の多寡ではなく、限られた資源に対してどう振る舞うかという「規律」のテストにあるというのです。

その象徴的な事例として挙げられているのが、インドの伝説的な実業家アニル・アンバニ氏の転落劇です。2008年、彼は420億ドルの資産を誇る世界第6位の富豪でした。名門の家柄、ウォートン校でのエリート教育、そして膨大な資金。成功の条件をすべて備えていたはずの彼ですが、現在はその資産のほとんどを失っています。なぜでしょうか。市場が罰したのは「金の不足」ではなく、規律なき過剰な拡大とリスク管理の欠如だったからです。一方で、堅実なキャッシュフローを重視し、忍耐強く機会を待った兄のムケシュ・アンバニ氏は、今や世界屈指の成功を収めています。

著者が強調するのは、実は「貧しさ(欠乏)」こそが、資本主義で生き残るための最強の武器になり得るという逆説的な事実です。貧しい人々にとって、リソース(資源)の不足は教科書の中の知識ではなく、日々の「OS(オペレーティング・システム)」そのものです。歯磨き粉を最後まで使い切り、電気を消し、買い替えよりも修理を選ぶ。こうした「限られた資源を尊重する」というミクロ経済的な行動様式こそが、資本主義の土台となる規律なのです。

資本主義は、あなたが「どこから来たか」は問いません。問われるのは、いざチャンスが訪れた時に「資源を尊重できるか」という一点です。規律を欠いた富裕層が、甘い見通しと過剰な借金で自滅していく一方で、欠乏の中で鍛えられた人々は、リスクを慎重に見極め、複利の力を味方につけて着実に成長していきます。

「欠乏はトラウマではなく、トレーニングである」という言葉は、現代社会を生きる私たちに強い示唆を与えてくれます。資本主義の本質を理解し、派手な成功よりも「長く生き残ること」を優先する姿勢こそが、真の豊かさへの近道なのかもしれません。

AIブーム、崩壊の危機?

The World’s Hottest Trade Is Built on Fake Money — And It’s About to Collapse – GAINS, PAINS & CAPITAL [LINK]

【海外記事紹介】現在、世界経済を牽引している「AIブーム」が、実は実体のない「偽のお金」の上に築かれた巨大なバブルであり、崩壊の危機に瀕しているという衝撃的な分析をご紹介します。2022年末の「ChatGPT」登場以来、市場の利益の8割、株価上昇の7割以上をAI関連銘柄が占めてきましたが、この強気相場の裏側で深刻な赤信号が灯っています。

まず驚くべきは、渦中のオープンAI社のサム・アルトマンCEO自身が、現在の状況を「ドットコム・バブル」に似たバブルであると認めている点です。自らの地位や富が直結する技術をバブルと呼ぶのは極めて異例であり、業界のトップが何らかの限界を察知している可能性を示唆しています。事実、AIへの巨額投資を続けてきた大手IT企業「マグニフィセント7」の株価は、2025年9月をピークに停滞し、チャート上でも不吉な下落の兆候を見せ始めています。

特に危惧すべきは、AI企業間で行われている「循環取引」です。例えば、マイクロソフトがオープンAIに投資した130億ドルの大半は、そのままマイクロソフトのクラウドサービス利用料として戻ってきています。また、エヌビディアによる巨額投資も、自社製チップの購入資金に充てられることが期待されていました。つまり、自ら顧客に資金を貸し付けて自社製品を買わせるという、持続不可能な「身内回し」の構図で売上が底上げされているのです。

さらに、驚異的な利益を上げているはずのIT大手が、AIへの設備投資資金を賄うために巨額の借金を重ねている実態も判明しました。アルファベット社(グーグル)が「100年債」という異例の長期債を発行しようとしていることは、その焦燥感の表れかもしれません。

足元では、エヌビディアがオープンAIとの1000億ドル規模の提携を撤回したとの報道があります。時価総額1兆ドルを自称しながら売上がわずか200億ドルのオープンAIが、政府に救済を求めるような動きを見せていることも不安を煽ります。AIという「砂上の楼閣」が崩れれば、市場全体が未曾有のクラッシュに見舞われるリスクがあり、投資家は今、かつての歴史的暴落前夜と同じ瀬戸際に立たされていると記事は分析しています。

ベトナム、金闇市場の規制強化

Vietnam tackles gold fever with black market crackdown - Nikkei Asia [LINK]

【海外記事紹介】ベトナムでは今、国民の「金(ゴールド)熱」とも呼べる異常な需要を背景に、政府が闇市場の撲滅に向けた大規模な規制に乗り出しています。今回の新制度は、長年続いていた金の独占体制の終焉と、不正取引への厳罰化を柱とする大きな転換点となっています。

ベトナムの人々にとって、金は単なる宝飾品ではなく、通貨ドンよりも信頼できる「安全資産」です。かつてはバイクや家の価格がドンではなく金の量で提示されるほど生活に根付いており、国民の約80%が政治・経済の不確実性に対する最大の防御策と考えています。しかし、この高い需要が、国外との価格差を利用した密輸や闇市場を肥大化させる原因となってきました。

2月9日に施行された新政令「法令340」では、金の違法生産に対して最大3億ドン(約180万円)の罰金が科せられることになりました。また、国境を越えた密輸には1億ドン、無許可の業者からの購入にも2000万ドンの罰金が設定されています。ベトナム政府はこれまで、2012年から10年以上にわたり、国営企業であるサイゴン・ジュエリー(SJC)に金の生産と貿易を独占させてきました。しかし、この独占が国内価格を高止まりさせ、さらには汚職の温床にもなっていたのです。

実際、昨年にはSJCの元責任者が横領などの罪で禁錮25年の判決を受けています。国営メディアも「独占がチェックの働かない特権を生み、不正の機会を助長した」と批判的に報じています。これを受け、政府は昨年12月にようやく独占体制を解消しました。今後は民間への開放を進めることで、正規の供給量を増やし、国内価格を国際水準に近づけることを狙っています。

当局のもう一つの狙いは、国民が自宅に「死蔵」している膨大な金の地金を、経済活動を活性化させるための投資に回させることです。アジアで中国、インドに次ぐ第3の金市場であるベトナムが、この「金熱」をいかに制御し、健全な投資市場へと脱皮させられるか。一党独裁体制下での市場開放と汚職撲滅という、ベトナム経済の現在地を象徴する動きと言えるでしょう。

2026-02-18

原発ルネサンス

The New Nuclear Energy Resurgence - by Zion Lights [LINK]

【海外記事紹介】かつて「危険な過去の遺物」と揶揄された原子力発電が、いま世界中で劇的な復活を遂げています。本記事は、理想論やイデオロギーに基づいたエネルギー政策が限界を迎え、現実的な脱炭素の切り札として原子力が再評価されている現状を報告しています。

象徴的な変化は、長年「脱原発」の旗振り役だった欧州で起きています。2011年の福島第一原発事故後、ドイツはすべての原発を停止させ、風力や太陽光への完全移行を目指す「エネルギー転換」を推し進めました。しかし、その結果待っていたのは、石炭火力への依存増大とエネルギー価格の高騰という厳しい現実でした。こうした失敗を受け、ドイツのフリードリヒ・メルツ新首相は「原発停止は戦略的な誤りだった」と公に認め、隣国フランスと足並みを揃えてEUレベルでの原子力支援に舵を切りました。ベルギーも同様に、予定していた原発全廃方針を撤回し、既存の原子炉の運転延長を決定しています。

米国でも、トランプ政権のもとで原子力セクターの活性化が加速しています。行政命令を通じて、数年かかっていた新型原子炉の認可プロセスを18ヶ月未満に短縮し、連邦地での建設や国内ウラン生産の強化を打ち出しました。一方、英国も次世代の小型モジュール炉(SMR)や核融合研究に大規模な投資を行っています。こうした動きは、風力や太陽光といった天候に左右される「変動性再エネ」だけでは、安定した電力供給と脱炭素の両立が不可能であるという専門家の指摘を、政治がようやく受け入れ始めたことを意味しています。

特筆すべきは、中国の猛追です。中国は従来の原発建設だけでなく、1960年代に米国で開発されながらも放置されていた「トリウム溶融塩炉」など、より安全でクリーンな次世代技術の実用化で世界をリードしようとしています。対照的に、オーストラリアやスペインなど、いまだに冷戦時代の恐怖や感情的なイメージに縛られ、原発禁止や廃止に固執する国々も残っています。

しかし、記事の著者は、原子力の密度、信頼性、そして炭素排出ゼロという特性は、他のエネルギー源では代替できないと強調します。もはや原子力は「過去のエネルギー」ではなく、科学的なリアリズムに基づいた「未来の基盤」として認識されつつあります。イデオロギーを捨て、気候変動という難題に正面から向き合う勇気を持った国々から、新しいエネルギーの地図が書き換えられようとしています。

中世を美化するな

Modern Freedom Beats Feudal Serfdom - by Marian L Tupy [LINK]

【海外記事紹介】昨今、アメリカの保守層の一部で中世の封建制度を「現代より優れていた」と美化する動きがありますが、本記事は当時の凄惨な現実を突きつけ、その幻想を真っ向から否定しています。

かつての封建社会は、一握りの超富裕層と、圧倒的多数の極貧層に二分されていました。17世紀のフランスでは国民の10%が富裕層、残り90%は物乞いに近い困窮者だったと推定されています。人々の生活は常に飢えと隣り合わせで、1800年当時のフランスですら1日の平均摂取カロリーは1,846キロカロリーに過ぎず、成人に必要な2,000キロカロリーを下回っていました。その結果、ビタミン欠乏症や寄生虫病が蔓延し、衛生状態も最悪でした。都市の溝は排泄物で溢れ、死者の服を奪い合うために人々が他人の死を待つような、道徳も尊厳もない世界だったのです。

労働環境も過酷を極めました。農業の機械化以前は、子供すら「遊ばせておく余裕」はなく、コメ田では子供たちが奴隷のように打ち叩かれながら働かされていました。暴力は日常の一部であり、14世紀フィレンツェの殺人率は人口10万人あたり150件と、現代の英国(0.95件)やイタリア(0.48件)とは比較にならないほど危険な社会でした。また、農奴は土地に縛られた「所有物」として扱われ、人間としての権利など存在しませんでした。

封建制を支持する人々は、君主が国民の繁栄に責任を持つと主張しますが、歴史はその逆を証明しています。例えば「太陽王」ルイ14世は、相次ぐ戦争でフランスを破滅させ、国民を飢餓に陥れました。現代の私たちが享受している繁栄は、封建的な階級制度ではなく、過去200年間の市場経済と権力の制限によってもたらされたものです。

著者は、現代のアメリカを「失敗した国家」と呼ぶ悲観論を退け、2025年の一般市民の生活は、かつての王侯貴族よりも比較にならないほど豊かであると強調します。過去の失敗したシステムに救いを求めるのではなく、理性と歴史的経験に基づき、現在の自由なシステムを維持・発展させることこそが、未来の問題を解決する唯一の道であると結論付けています。

一触即発の核の影

Senator Tom Cotton’s Ode to US Nuclear Weapons - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】最後の大規模な核軍縮条約であった「新START(新戦略兵器削減条約)」が失効したことを受け、保守強硬派として知られるトム・コットン上院議員がウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿した論考が波紋を呼んでいます。コットン氏は、条約の失効を外交の失敗ではなく、ロシアと中国という「二大核ライバル」に対してアメリカを脆弱なまま放置してきた「戦略的誤りの是正」であると歓迎し、アメリカ独自の核抑止力再構築を呼びかけました。

コットン氏が特に強い警戒感を示しているのは、2025年半ばまでに運用可能な核弾頭が600発を超え、2030年までに1,000発に達すると予測される中国の急速な軍拡です。同氏は、これまでのアメリカの「一方的な自制」が敵対国の増長を許したと主張し、以下の6項目からなる核近代化計画を提唱しました。

  • 多弾頭化の復活: 条約制限のために一発に制限していた陸上配備型ICBM(ミニットマンIIIおよび次世代型センチネル)を、本来の多弾頭搭載能力まで戻すこと。
  • 戦域核能力の増強: 核搭載型海洋発射巡航ミサイル計画の完遂。
  • 前方展開: 欧州および太平洋地域への戦術核兵器の追加配備。
  • 極超音速兵器の開発: ロシアや中国に対抗し得る極超音速核伝達システムの加速。
  • 核実験のタブー打破: 1992年以来の「爆発を伴う核実験」のモラトリアムを終わらせ、エネルギー省に対し実験再開への準備を求めること。

これに対し、軍縮の専門家であるテッド・ガレン・カーペンター氏は、コットン氏の主張を「独善的で無謀な傲慢さ」であると痛烈に批判しています。カーペンター氏は、INF(中距離核戦力全廃条約)や領空開放条約(オープンスカイ条約)から先に離脱し、軍備管理の枠組みを壊してきたのはアメリカ側であると指摘。2025年10月にトランプ大統領が表明した核実験再開の意向は、世界を管理不能な核軍拡競争へと引き戻す危険性があるとして警鐘を鳴らしました。

コットン氏は「核戦争を抑止することは、実際に戦うよりも遥かに安上がりだ」と述べ、軍拡こそが平和への道であると説きますが、歴史が証明するように、軍拡競争は往々にして破滅的な結末を招きます。条約という「足かせ」が外れた今、世界は再び、一触即発の核の影が支配する不透明な時代へと足を踏み入れようとしています。

アメ車の逆襲?

The Great Automotive Deregulation? | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ政権が、環境保護庁(EPA)を通じて「米国史上最大規模の規制緩和」を断行したことが大きな波紋を呼んでいます。EPAのリー・ゼルディン長官は、温室効果ガスを人類の健康への脅威とみなす「危急認定」を撤廃したことを発表しました。この決定は、2009年のオバマ政権以降、政府が「気候変動対策」という名目で自動車の排ガスを厳格に規制してきた根拠を、根底から覆す歴史的な転換点となります。これに伴い、バイデン前政権が設定していた高い燃費基準は大幅に引き下げられただけでなく、議会による罰則の事実上の廃止によって、今や燃費基準は法的な強制力を持たない単なる推奨事項へと格下げされました。

今回の措置について、リベラル派のメディアや専門家からは、アメリカの自動車産業が世界から取り残されるという懸念の声が上がっています。彼らは、中国や欧州が電気自動車へのシフトを加速させる中で、ガソリン車への回帰を促す規制緩和は、将来的な競争力を損なう自滅行為だと主張しています。特に、中国のBYDのようなEV大手に市場を譲り渡すことへの危機感をあらわにし、規制こそが技術革新を促し、企業の存続を助けてきたのだという独特の論理を展開しています。しかし、筆者はこうした専門家たちの主張を、消費者の好みや市場の現実を無視した、規制のための自己正当化に過ぎないと一蹴しています。

実際のところ、多くのアメリカ国民は、維持費や初期費用が高い最新の環境対応車よりも、信頼性が高くパワフルな大型トラックやガソリン車を選んできました。フォードのF-150が長年アメリカで最も売れている事実が示す通り、人々のライフスタイルは規制によって簡単に書き換えられるものではありません。今回の規制緩和は、政府の介入によって歪められていた市場を、再び消費者の手に取り戻す試みであると言えます。もちろん、この決定は今後、民主党系の州や環境団体からの激しい訴訟に直面することが予想されますが、これまで「環境保護」の美名の下で犠牲になってきたアメリカの自由な自動車文化が、再び息を吹き返すきっかけになることは間違いありません。

本物の証明

The One Man Who The 'Epstein Files' Make Look Better | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】性犯罪者ジェフリー・エプスタインを巡る一連の機密文書、いわゆる「エプスタイン・ファイル」の公開が続く中で、皮肉にもその文書によって評価を高めることになった一人の政治家がいます。それは、自由至上主義(リバタリアン)の象徴であり、3度の元大統領候補としても知られるロン・ポール元下院議員です。

凄惨な虐待の詳細や、米イスラエル諜報機関との不透明な繋がりが次々と明るみに出る中、公開されたメールの中にポールの名前が登場したことは、当初多くの人を驚かせました。しかし、その中身を紐解いてみると、ポールがエプスタインの「顧客」や「友人」であったわけではないことが分かります。むしろ正反対です。ファイルの中でエプスタインとその仲間たちは、ポールを激しく嫌悪し、嘲笑の対象にしていたのです。

彼らがポールを忌み嫌った理由は明確です。ポールが、エプスタインの周囲にいたエリート層が支持・加担していた「米イスラエル戦争マシン」に真っ向から反対していたためです。2008年や2012年の大統領選の際、他の共和党候補者が盲目的にイスラエルへの忠誠を誓い、イランへの爆撃を支持する中で、ポールだけは一貫して反戦の立場を貫きました。メールの中で、ある人物はポールを「イスラエルを支持しない変人(dinkus)」と呼び、彼が米国の介入主義を批判することを不快感とともに報告していました。

タッカー・カールソン氏は自身の番組でポールと対談し、「敵を見ればその人物が分かるというが、エプスタインという怪物を敵に回していたことは、ロン・ポールという男が本物であることの証明だ」と称賛しました。米国を腐敗させた支配層にとって、平均的な国民がポールの「アメリカ・ファースト」という誠実な理念に共感し、彼が大統領になる可能性は、何よりも耐え難い恐怖だったのです。

エプスタイン・ファイルは、世界で最も邪悪な人々が、世界で最も誠実な政治家の一人をいかに疎んでいたかを浮き彫りにしました。かつては異端視されたポールの「他国の戦争のために米国の若者と血税を差し出すべきではない」という主張は、今や米国の保守層の中で大きな潮流となっています。この記事は、エプスタインという闇のネットワークがいかに政治と結びついていたかを示すと同時に、その闇に決して染まらなかった人物の潔白を、期せずして証明する結果となったのです。

ロシアは超大国でない?

Russia Is No Superpower? Then What The Hell Does That Make Europe? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月、ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議の熱狂とは裏腹に、欧州の凋落とロシアの圧倒的な実力を突きつける衝撃的な論考を、ジャーナリストのジェリー・ノーラン氏が発表しました。ノーラン氏は、EUの外相に相当するカヤ・カラス氏が「ロシアはもはや超大国ではなく、経済はボロボロだ」と演説したことを、現実を直視しない「エリートたちの集団的な自己欺瞞」であると厳しく批判しています。

記事がまず指摘するのは、戦場における無慈悲な数字のリアリティです。2025年から2026年初頭にかけての遺体収容の記録によれば、ウクライナ側とロシア側の戦死者比率は37対1という驚くべき数字に達しています。ゼレンスキー大統領は自国軍を「欧州最強」と呼びますが、その最強の軍隊が、西側の兵器や情報の支援を総動員しながらも、ロシアの産業的な消耗戦によって組織的に粉砕されているのが現状です。これは単なる軍隊の消耗ではなく、ウクライナという国家そのものの枯渇を意味しています。

さらに深刻なのは、ロシアの軍需生産能力がNATO全体を圧倒している事実です。NATOのルッテ事務総長ですら「ロシアが3カ月で作る量を、NATO全体で1年かけて作っている」と警告せざるを得ません。2025年にロシアが生産した砲弾等は700万発を超え、2021年比で17倍という驚異的な伸びを見せています。一方、かつて「世界の工場」を自負した欧州、特にドイツの工業地帯は、安価なロシア産ガスを自ら拒絶し、高価な米国産液化天然ガスに依存したことで、歴史的な脱工業化の渦中にあります。フォルクスワーゲンが創業以来初めて国内工場を閉鎖し、名門鉄鋼メーカーが人員を大幅に削減するなど、欧州の産業基盤は音を立てて崩れています。

ノーラン氏は、欧州が「製造」を「コンサルティングや金融」といった虚業に置き換えてしまったことが最大の敗因だと分析します。ロシアは購買力平価(PPP)ベースで日本を抜き、世界第4位の経済規模に成長しており、何を作るべきかを知る「実物経済」の強みを発揮しています。また、極超音速ミサイルなどの最新兵器において、ロシアは西側が迎撃不可能な技術的優位を確立しました。

結局のところ、この記事が問いかけているのは欧州の生存戦略そのものです。実体のある工場を閉鎖し、風力発電とTEDトークで戦争に勝てると信じ込んだツケが、今、空っぽになった武器庫と経済の停滞という形で回ってきています。カラス氏が「ロシアは超大国ではない」と強弁するならば、自国の防衛すらままならず、米国の保護領に甘んじる今の欧州はいったい何と呼ぶべき存在なのか。ノーラン氏は、現実を無視したプロパガンダに浸り続ける欧州指導層に対し、厳しい引導を渡しています。

気候危機の嘘

Goodbye and Good Riddance to the Endangerment Finding - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの経済評論家デイビッド・ストックマン氏が、トランプ政権による「二酸化炭素の危急認定」撤廃を巡り、気候変動問題の本質を鋭く突いた論考を発表しました。この記事によれば、2009年のオバマ政権下で行われた、温室効果ガスが人類の脅威であるという断定を覆した今回の決定は、これまでの経済失策を補って余りある歴史的な快挙であると評価されています。ストックマン氏は、化石燃料に基づく現代文明が地球を沸騰させているという主張を「全くのデタラメ」と切り捨て、気候危機の言説は、国家権力を拡大して市場経済を統制しようとする政治エリートたちが作り上げた嘘だと断言しています。

記事が論拠とするのは、45億年にわたる地球の地質学的・気候学的な歴史です。地球の気候は産業革命以前から、プレートテクトニクスや小惑星の衝突、さらには地球の軌道や傾きの変化、黒点活動のサイクルといった強力な自然の力によって、激しく変動し続けてきました。現在の二酸化炭素濃度は約420ppmですが、5億3000万年前のカンブリア爆発以降、地球の歴史において現在はむしろ例外的に低温で、二酸化炭素濃度も極めて低い時期に当たります。人類が今直面しているのは破滅的な温暖化ではなく、長い歴史のサイクルにおける「冷涼な影」の部分なのです。

かつて地球が今より12度も気温が高く、氷河がほとんど存在しなかった2億年以上の期間、生命は豊かに育まれ、現在の経済を支える石炭や石油といった化石燃料の源となる有機物が蓄積されました。ストックマン氏は、石油工学や地質学の知見こそが真の気候科学であり、それに基づいた資源探査が成功を収めてきた事実が、過去の温暖な地球環境を証明していると説きます。また、白亜紀には気温が上昇する一方で二酸化炭素濃度が急落した時期もあり、二酸化炭素が気温上昇の主因であるという単純なモデルは地質学的な事実に反します。

さらに、直近1万年ほどのホロセン期を見ても、現在より数度気温が高かった「気候最適期」に、エジプトやインダスなどの古代文明が誕生し、農業が発展しました。逆に「小氷期」と呼ばれる寒冷期には、飢饉や疫病が蔓延し、多くの犠牲者が出ました。歴史は「温暖な方が人類にとって幸福である」ことを証明しているのです。記事は、19世紀半ばを基準にして現代の温暖化を煽る「ホッケースティック曲線」などのデータがいかに不自然であるかを指摘し、気候危機の嘘に終止符を打つべきだと訴えています。

この歴史的視点に立てば、トランプ政権による規制の撤廃は、科学を装ったプロパガンダから脱却し、人類の繁栄を支える安価で効率的なエネルギーシステムを守るための極めて重要な一歩と言えるでしょう。

通貨崩壊、歴史は繰り返す

Going the Way of the Denarius - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】歴史は繰り返す、あるいは少なくとも韻を踏むと言われます。数千年の時を隔てた古代ローマと現代社会において、政府が全く同じ過ちを犯し続けている事実は、時代を超えて変わることのない「人間の本性」を如実に物語っています。政治の世界には、いつの世も公衆の利益よりも自身の権力を優先する利己的な人々が集まり、彼らは直面する問題に対して常に同じ、安易で破滅的な解決策を選択するのです。

古代ローマが共和制から帝国へと変貌を遂げた際、相次ぐ外征による巨額の軍事費を賄うために取られた手段は、通貨デナリウスの「改鋳」、つまり質の低下でした。歴代の皇帝は、銀貨に含まれる銀の割合を少しずつ減らして卑金属を混ぜ、ディオクレティアヌス帝の時代には、銀は一切含まれず青銅のみとなりました。その結果、当然のごとく猛烈なインフレが発生し、ローマ帝国は再起不能な衰退へと向かいました。現代の政府もまた、自らの野心が生んだ債務を帳消しにするため、かつての皇帝たちと同じように通貨の価値を意図的に引き下げ、その負担を納税者に押し付けています。

現代の「皇帝」たちは、古代ローマよりもさらに巧妙です。かつては少なくとも実体のある金属を貨幣にしていましたが、現代ではまず銀との交換を約束した証書を発行し、やがてそれを何の裏付けもないただの紙切れ、すなわち不換紙幣に置き換えました。そして今、ドルの崩壊が現実味を帯びる中で、彼らが最後の手品として繰り出そうとしているのが「デジタル通貨」です。これは紙幣の不便さを解決するという名目で導入されますが、真の目的は、国民のあらゆる取引を政府の監視下に置き、必要に応じていつでも通貨の価値を操作することにあります。

通貨の価値を勝手にいじることができない金(ゴールド)を、中央銀行は「野蛮な遺物」と嘲笑います。しかし、政府にとって不都合な金の不変性こそが、実は庶民の財産を守る最後の砦なのです。過去5000年間、あらゆる人造の通貨が崩壊するたびに、世界は必ずこの「野蛮な遺物」へと立ち戻ってきました。デジタル通貨という新たな試みも、最終的には支配者たちの手によってデナリウスと同じ運命を辿るでしょう。私たちは、歴史が教えるこの不変の法則から目を逸らすべきではありません。

エプスタイン氏とリバタリアン

The Epstein Saga and the Libertarian Delusion - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】自由至上主義者(リバタリアン)は、しばしば「陰謀論好き」と揶揄されます。しかし、彼らはこれまで、テロとの戦いや監視社会の危険性、パンデミック時の過剰な介入など、多くの事象において本質を突いてきました。そんな彼らが今、熱狂的に信じているのが「ジェフリー・エプスタイン事件」の裏にあるとされる巨大な権力者たちの性加害・恐喝ネットワークの存在です。しかし、この記事の著者は、リバタリアンたちが「エプスタインの顧客リスト」という幻想に執着している現状を「リバタリアンの妄想」であると厳しく批判しています。

FBIが公開した300万ページを超える膨大な捜査ファイルによれば、エプスタイン自身による児童虐待の証拠は山ほど見つかりましたが、他の著名人が組織的に関与していた、あるいは彼らを恐喝していたという確かな証拠は今のところ見つかっていません。例えば、公開が強く望まれていたリストから浮上した6名の名前も、その多くは事件とは無関係な人物や、エプスタインの顧客ではあっても性的犯罪への関与は否定されている人物でした。特にドバイの港湾大手元会長が「拷問ビデオを愛した」というメールを理由に辞任に追い込まれた件も、実際には中東の不祥事に対する皮肉であった可能性が高く、児童虐待とは無関係であることが判明しています。

それにもかかわらず、リバタリアンや左右の政治陣営がこの陰謀論を信じ続けるのは、各々が「エプスタインの闇を暴けば敵を倒せる」という感情的な執着を持っているからです。リバタリアンたちの「妄想」とは、「政府やエリートの不正を暴きさえすれば、国民が目覚めて自由な社会を求めて蜂起する」という根拠のない期待に他なりません。過去、エドワード・スノーデンが政府による不当な監視を命懸けで告発した際も、多くの国民は無関心なままでした。

著者は、たとえエプスタインの背後に真の巨悪がいたことが証明されたとしても、米国民が「政府の権力を削ごう」とは考えず、むしろ「再発防止のために政府にさらなる権力を与えよう」とするだろうと指摘します。自由な社会を築くことは、単に陰謀を暴くことよりも遥かに困難な道です。それは、何世代にもわたって国家への依存を刷り込まれてきた人々の価値観を根底から変える説得を伴うからです。陰謀論という「安易な妄想」に逃げ込むリバタリアンの姿勢は、かえって自由への歩みを遠ざけているのかもしれません。

事実上の併合を加速

Israel Approves Major Land Grab in West Bank - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】イスラエル政府が、1967年の第三次中東戦争による占領開始以来初めて、ヨルダン川西岸地区の広大な土地を「国有地(state property)」として登記することを承認しました。この決定は、同地区の「事実上の併合(de-facto annexation)」を加速させる歴史的な転換点として、国際社会に激震を広げています。

今回の措置は、ベツァレル・スモトリッチ財務相、ヤリブ・レビン法相、イスラエル・カッツ国防相といった強硬派閣僚らによって提案されたものです。彼らはこれを「入植プロセスの真の革命」と自賛しています。具体的には、西岸地区の約60%を占める「エリアC」を対象に、未登記の土地の所有権を確認するプロセスを開始し、所有権を証明できない土地を次々とイスラエルの国有地に編入していく計画です。スモトリッチ氏は「パレスチナ国家という概念を葬り去る」と、その野心を隠していません。

しかし、パレスチナの人々にとって、この登記プロセスで所有権を証明することは極めて困難です。この地域では、英国委任統治時代やヨルダン統治時代の古い書類しか残っていないケースが多く、煩雑な法的手続きを強いることで「合法的に」土地を没収する「巨大な土地強奪(mega land grab)」であると、人権団体やパレスチナ自治政府は強く非難しています。

国際社会の反応も厳しく、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「国際法への明白な違反であり、二国家解決の望みを絶つものだ」と即時撤回を求めました。また、エジプト、カタール、ヨルダン、トルコといった周辺諸国も「危険なエスカレーション」であるとして猛烈に抗議しています。イスラエルの最大の同盟国である米国のドナルド・トランプ大統領も、以前から「併合は起こらない」と釘を刺してきましたが、イスラエル政府は今回の措置を「秩序と統治の回復」という論理で強行しています。

この決定により、ヨルダン川西岸地区でのイスラエルによる支配は、もはや一時的な軍事占領ではなく、永久的な主権行使へと質的な変化を遂げようとしています。

イラン抗議デモの内幕

The Israelization of the Iranian January 2026 Protests - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】イランで起きた抗議デモについて、その背後で蠢く不穏な動きを告発する論評をご紹介します。この記事の著者イラナ・マーサー氏は、今回のデモに参加している人々の振る舞いが、従来のイラン人による抗議活動とは明らかに異なり、まるで「イスラエル化」しているようだと指摘しています。

著者は、今回の事態を米イスラエルによる「政権交代工作」の典型的な台本通りであると断じています。そのプロセスは、まず米国が過酷な経済制裁によってイラン経済を破壊し、国民を困窮と絶望に突き落とすことから始まりました。特にスコット・ベセント米財務長官がドル不足を仕掛けてイラン通貨リアルを暴落させたことは、その決定打となりました。続いて、困窮した国民による自然発生的な不満を、外部勢力が組織的な暴動へと変質させました。驚くべきことに、イスラエルの諜報機関モサドはペルシャ語のSNSを通じて「我々は街頭で諸君と共にいる」と公然とデモ隊を煽動しています。

さらに、マイク・ポンペオ前国務長官も「街頭のすべてのイラン人と、その横を歩くすべてのモサド工作員に新年のお祝いを申し上げる」と発言するなど、介入の事実は隠しようもありません。著者が最も注目しているのは、抗議の変質です。歴史的にイランのデモ隊は政府の象徴を標的にしても、自国の聖地を焼き払うような宗教的・国家的象徴の冒涜は行いませんでした。しかし、今回のデモではそのような破壊行為が目立っており、これはイスラエルが関与する「国際テロ」の手口に酷似しているといいます。

デモ隊には4万台ものスターリンク端末が供給され、外部から武器も持ち込まれているとの報告もあります。トランプ大統領も「欺瞞としての外交」を使い、イラン側を油断させている間にイスラエル側が工作を進められるよう加担しました。著者は、イスラエルの真の狙いはイランを「破壊」し、中東諸国を分断して、自分たちに従順な属国に変えることにあると警鐘を鳴らしています。モサドの掲げる「謀略なければ国は滅びる」という標語が示す通り、イランの混乱は仕組まれた悲劇であるというのが著者の見解です。

自由市場と普通の人々

Freedom at the Extremes: Why Liberty Attracts Both the Brilliant and the Plain | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】自由主義や自由を尊ぶ運動には、ある奇妙な特徴があります。それは、知能指数の分布(ベルカーブ)において、極めて明晰な頭脳を持つ層と、ごく平凡で素朴な層の両極端から熱烈な支持を集めるという点です。左派勢力は、自由主義を支持する一部の人々の知的な不十分さを揶揄し、それを右派への攻撃材料にしようとします。しかし、そこには人間社会の本質に対する重大な見落としがあります。

人類の文明を築き上げてきたのは、決して高名な哲学者や数学者だけではありません。読み書きすらできない農民たちが、直感と度胸、そして「交換と公平性」という本能的な理解を武器に、幾多の困難を乗り越えて文明を支えてきました。自由市場という概念は、机上の空論ではなく、人間の本性に深く刻まれた「直感的なもの」なのです。自分が働いた証としての「貨幣」が、寄生的な振る舞いを抑制し、500人程度の小さなコミュニティを超えた大規模な協力関係を可能にしました。特別な理論を知らなくとも、勤勉で誠実な普通の人々がささやかな富を築ける場所、それが自由市場なのです。

一方で、階級のない社会を約束する社会主義の幻想は、現実の意思決定の場では即座に崩壊します。社会主義が語らない不都合な真実とは、「自由市場の競争プロセスによって発見された階級」を、「官僚による独裁的な階級」に置き換えるだけに過ぎないという点です。市場は常に能力をテストし、報酬と罰を与え続けますが、官僚組織には能力を検証する独立したメカニズムが存在しません。ただ「任命」があるだけなのです。

最近では、AIによる全方位の監視と膨大なデータ処理によって、資源の最適な配分が可能になると信じるテクノクラート(技術官僚)も現れています。しかし、たとえAIが合理的な配分をシミュレートできたとしても、なぜ私たちは、誰もが参加でき、コストもかからない「市場」という精密な仕組みを捨てて、莫大なエネルギーを消費する国家の独占システムに依存しなければならないのでしょうか。何より、結果の平等が強制される退屈な檻の中では、人間の精神は窒息してしまいます。自由とは単に効率的なだけでなく、私たちが「生きている」ことそのものの証なのです。

自給自足が国を滅ぼす

Mercantilism in America: The Trouble with Self-Sufficiency | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】ドナルド・トランプ氏の経済政策の根幹にある「重商主義」的な世界観について、その危険性を警告する論評をご紹介します。トランプ氏は長年、「中国がアメリカを食い物にしている」と主張し、関税や自国優先主義によって「自給自足」の経済を取り戻そうとしています。しかし、この記事の著者は、その前提となる考え方には重大な誤謬があると指摘しています。

第一の誤りは、貿易を「一方が得をすれば他方が損をする」というゼロサム・ゲームと捉える点です。実際には、自発的な貿易は双方に利益をもたらします。例えば、アメリカの消費者は中国製の安価な製品によって恩恵を受け、浮いたお金を他の消費や投資に回すことで新たな雇用を生んできました。また、アップルやテスラといった米企業は、中国の効率的なサプライチェーンと巨大市場を活用することで、時価総額を劇的に増大させてきました。貿易赤字という数字だけを見て「負けている」と判断するのは、実態を見誤る会計上のフィクションに過ぎません。

第二に、雇用を守るために変化を拒む姿勢です。歴史的に見れば、技術革新や貿易による「創造的破壊」こそが経済を前進させてきました。洗濯機が普及して家事代行の仕事が減っても、それによって労働力はより生産性の高い分野へ移動しました。現在、アメリカの製造業の雇用が減っているのは、貿易のせいではなく、オートメーション化による生産性向上が主因です。無理に工場を国内に戻そうとすれば、かえって非効率を招き、消費者の負担を増やすことになります。

第三に、最も危険なのが「自給自足」への執着です。分業こそが富の源泉であり、何でも自国で作ろうとすれば、国民は貧困に向かいます。例えば、バイデン政権が継承した半導体支援法(CHIPS法)では、巨額の補助金を投じて工場を誘致していますが、1人雇用するのに1000万ドル(約15億円)もの公費がつぎ込まれている計算になります。これは経済合理性を欠いた特権階級への利益供与に他なりません。

トランプ氏は、アメリカが抱える37兆ドルもの膨大な借金という現実から目を逸らし、中国を敵に仕立てることで国民の不安を煽っています。しかし、真の繁栄は自由な市場にこそあり、過去の栄光を追った重商主義的な幻想は、アメリカの未来を危うくするギャンブルであると著者は結んでいます。

投資の進化論、不適合者が生き残る

Survival of the Least Fit | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】私たちは今、投資の「進化論」における歴史的な転換点に立っています。生物の進化とは、単なる「進歩」ではなく、特定の環境への「適応」です。例えば、ガラパゴス諸島の鳥が特定の餌を食べるために7インチもの長い嘴を発達させれば、その環境下では最強となります。しかし、環境が劇的に変化した瞬間、その特化しすぎた嘴は致命的な弱点となり、その種は即座に絶滅へと追い込まれます。これと同じことが、現在の投資の世界でも起きようとしています。

ナシーム・タレブ氏が提唱した「不適合者の生き残り」という概念によれば、特定の幸運な時期に最適化しすぎた者ほど、環境の変化に脆弱になります。過去17年間、私たちはゼロ金利や米国テック企業の独占、右肩上がりの株価指数といった「異常に平穏な環境」に浸ってきました。しかし、2026年現在の現実は、目に見える高金利、中国のイノベーションの台頭、米ドルの衰退、そして貴金属価格の急騰という、全く異なる景色に塗り替えられています。にもかかわらず、多くの投資家は依然として「過去の成功体験」という長すぎる嘴を持ったまま、新しい環境に適応できずにいます。

具体的には、伝統的な「株60・債券40」の比率を守り続けるファイナンシャル・プランナーや、マクロ経済を軽視して「アメリカの下げに賭けるな」と説くバフェット信奉者たちが、その危機に直面しています。実際、金(ゴールド)のパフォーマンスは、今やバフェット氏のバークシャー・ハサウェイ株を上回る勢いです。また、暴落の痛みを知らない若手ファンドマネージャーや、米国のテック株が永遠に支配し続けると信じる「テック至上主義者」、利益よりも理念を優先する「ESG信奉者」たちも、過去の成功に最適化されすぎています。彼らは、環境が変われば一瞬で「不適合者」となるリスクを抱えているのです。

結論として、これからの激動の時代を生き抜くのは、昨日の追い風に最適化した者ではなく、環境の変化を前提とした「反脆弱性」を持つ者です。特定の物語や手法に固執せず、多様な可能性に対して謙虚であり続けることが、絶滅を回避する唯一の道といえます。自然選択が報いるのは、絶対的な強者でも賢者でもなく、変化に対して最も柔軟に自らの「嘴」の形を整えることできる者なのです。

銀、現物不足が深刻

Physical Silver Demand Is Challenging Paper-Driven Futures Market [LINK]

【海外記事紹介】銀(シルバー)市場で今、歴史的な地殻変動が起きています。長年、銀の価格は「ペーパーシルバー」と呼ばれる先物取引などの書類上のやり取りによって支配されてきましたが、足元では現物資産としての銀の需要が、その支配構造を打破し始めています。2025年にかけて銀価格は一時1オンス120ドルの大台を突破する驚異的な高騰を見せましたが、その背景には、市場の根幹を揺るがす深刻な「現物不足」があります。

現在、銀の市場構造は極めて歪な状態にあります。統計によれば、世界に存在する現物1オンスに対し、書類上の銀は356オンスも存在するという、約350倍以上の乖離が生じています。これは、預金者全員が一斉に現金を引き出そうとすれば破綻する「準備預金制度」下の銀行と同じ状況です。投資家が書類上の約束ではなく、実物の銀の引き渡しを求め始めた途端、このペーパーシステムは崩壊の危機に直面します。実際に、ニューヨークのコメックス取引所では現物在庫が1億オンスの節目を割り込み、歴史的な低水準にまで落ち込んでいます。

特にアジア市場、なかでも中国とインドでの現物需要がこの動きを加速させています。上海市場では欧米のスポット価格に対して1オンスあたり10ドルものプレミアム(上乗せ金利)がつく異常事態が続いています。工業用需要も旺盛で、太陽光パネルや電気自動車、人工知能向けデータセンターなど、現代社会に不可欠なハイテク産業が、価格に関わらず現物を確保しようと動いています。鉱山生産が需要に追いつかない供給不足は今年で5年連続となる見込みで、過去5年間の累計不足量は、世界全体の年間採掘量に匹敵する8億オンスに達しようとしています。

銀価格は一時120ドルから75ドル付近まで調整しましたが、これは証拠金の引き上げによって、レバレッジをかけた投機家が振り落とされた結果に過ぎず、現物不足という根本原因は何ら解決していません。今、私たちは「書類上の数字」を操作する投機家と、喉から手が出るほど「実物」を欲する産業界・投資家との壮絶な綱引きを目撃しています。もし現物の引き渡しを求める動きがさらに強まれば、これまでの常識を覆すような価格再編が起こる可能性も否定できません。

ミレイ氏が中央銀行を救った理由

How Milei Saved Argentina’s Central Bank, by Oscar Grau - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、就任前「中央銀行を爆破して廃止する」という過激な公約を掲げ、世界中の自由主義者を熱狂させました。彼は中央銀行による通貨発行を「人類史上最大の盗み」と断じ、アルゼンチン・ペソを「ゴミ以下の価値しかない」と批判して、米ドルへの完全移行を約束していたのです。しかし、政権発足から1年以上が経過した現在、ミレイ氏は公約を果たすどころか、むしろ中央銀行を「救済」し、その存続を確実にしているというのが、この記事の鋭い指摘です。

アルゼンチン国民は長年のハイパーインフレにより、すでに実質的な経済活動をドルで行っており、ペソへの信頼は皆無です。本来、ミレイ氏が主張していたようにペソに価値がないのであれば、中央銀行を即座に閉鎖しても経済的な混乱は限定的だったはずです。むしろ、通貨発行を即座に停止し、通貨市場への介入をやめることで、残されたペソの希少価値が上がり、国民の信頼を回復させる道もありました。しかし、ミレイ政権が実際に選択したのは、中央銀行の負債を政府の借金に付け替え、銀行セクターの利益を守るという、極めて「官僚的」な手法でした。

驚くべきことに、ミレイ政権下でのマネタリーベース(通貨供給の基礎)は、2025年半ばまでに就任時の4倍にまで膨れ上がっています。これは、彼が批判していた前政権の4年間分に匹敵するペースです。ミレイ氏は「ペソの不足をドルで補う」という理論を掲げましたが、実際には中央銀行を通じて大量のペソを刷り続け、輸出業者から強制的にドルを買い叩くことで、外貨準備を積み増しています。これは、自由な市場競争とは真逆の、国家による強力な市場介入に他なりません。

結局のところ、中央銀行の幹部に旧知の銀行家を据えたミレイ氏は、銀行家たちが抱えていた焦げ付きかねない債権を政府が保証することで、金融エリートたちを救ったのです。中央銀行は今や、ミレイ氏にとって廃止すべき悪ではなく、政権を維持し、特定の利権を守るための「不可欠な資産」へと変貌してしまいました。自由の闘士としての仮面の下で、彼は皮肉にもアルゼンチン史上最も通貨を膨張させた大統領の一人として、中央銀行の寿命を延ばし続けているのです。

「自由の英雄」の現実

Serving the Devil to Help Milei Plunder Argentina, by Oscar Grau - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、自らを「アナルコ・キャピタリスト(無政府資本主義者)」と称し、自由主義の旗手として世界的に注目を集めてきました。スペインの経済学者ヘスス・ウエルタ・デ・ソト教授らオーストリア学派の重鎮たちは、当初ミレイ氏を「自由の英雄」と絶賛し、その登場を歴史的快挙と祝福しました。しかし、政権発足から1年以上が経過した現在、その実態は理想とは程遠いものに変貌しています。

ミレイ氏は選挙戦で、中央銀行の廃止や通貨のドル化、増税なしの歳出削減を公約に掲げていました。しかし、2023年12月の就任直後に54%もの通貨切り下げを行い、その後も段階的な通貨安を維持しています。確かに財政黒字は達成しましたが、それは純粋な歳出削減だけでなく、公約に反する増税によって支えられたものでした。さらに、彼が批判していたはずの「政治家特権階級」を閣僚に迎え入れ、中東情勢では強硬な姿勢を示すなど、自由主義とは相容れない新保守主義的な色彩を強めています。

経済政策の面でも、深刻な矛盾が露呈しています。デ・ソト教授はミレイ氏を、通貨発行による赤字穴埋めを犯罪化しようとする誠実な指導者だと持ち上げていますが、現実は真逆です。ミレイ政権下での通貨ペソの発行ペースは、1990年以降の歴代政権を合算したものを上回る速さで急増しています。また、公債の乱発によって金融セクターに利益を誘導する一方で、国民の貯蓄や生活は破壊され続けています。アルゼンチン国民は今なお、自国通貨への信頼を失い、生活防衛のために米ドルに頼らざるを得ないハイパーインフレ状態に置かれています。

かつて国家を「悪魔の化身」と呼んだデ・ソト教授のような学者が、今やミレイ氏から勲章を授与され、そのプロパガンダを担う広告塔となっている現状は、自由主義の理念に対する裏切りと言わざるを得ません。ミレイ氏の手法は、自由の美名の下で国家権力を強化し、特定の金融利権を潤す「略奪」に近いものとなっています。このまま経済破綻という結末を迎えれば、その失敗の責任は、本来守られるべき「自由の理念」そのものに押し付けられてしまうでしょう。私たちは、独裁的な手法を厭わない偽りの英雄が、自由主義という高潔な思想を泥にまみれさせている現実に目を向ける必要があります。

お金の魔法はない

Why Mises's The Theory of Money and Credit Is Still Important Today | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】経済が危機に陥るたび、なぜ「お金」の問題はこれほどまでに複雑で不可解になるのでしょうか。その答えを知る鍵は、100年以上前に書かれた一冊の古典にあります。オーストリア学派の経済学者、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの著書『貨幣および流通手段の理論』です。

ミーゼスが伝えたかったメッセージは、驚くほどシンプルです。「貨幣(お金)や信用(貸付)は魔法ではない」ということです。これらはお金そのものを生み出すことはできても、実体のある「富」を魔法のように創出することはできません。貨幣とは、政府が強制的に決めたものではなく、人々がより円滑に取引を行うために自然に選んだ社会的な道具に過ぎません。その価値の源泉は、政府の命令ではなく、人々の信頼にあるのです。

特に注目すべきは、ミーゼスの「信用」に対する鋭い分析です。彼は、貯蓄に基づいた健全な貸付と、銀行が「何もないところから」作り出す「流通信用」を厳格に区別しました。現代の銀行システムが、実際の貯蓄を上回る融資を行うと、市場の利子率は人為的に低く抑えられます。これが「ブーム(好景気)」の正体です。安価な資金に踊らされた企業は、本来なら採算の合わない長期的な投資プロジェクトに乗り出します。しかし、現実に存在する資源や労働力には限りがあるため、いずれ行き詰まり、崩壊します。これが「バスト(不況)」です。

ミーゼスによれば、インフレや信用拡大による景気刺激策は、物資の希少性という現実を覆い隠すための「ごまかし」に過ぎません。紙幣を増刷しても、世の中のモノが増えるわけではなく、単に購買力を再分配し、投資の判断を狂わせるだけです。ミーゼスが金本位制を支持したのは、金へのノスタルジーからではなく、政治家が恣意的に通貨価値を操作することを防ぐ「歯止め」が必要だと考えたからです。

現代社会を見渡せば、債務に依存した成長、低金利による資産バブル、そしてインフレが招く格差の拡大など、ミーゼスが警告した通りの現象が溢れています。彼の理論は、不況を、木を剪定するように「間違った資源配分を正し、経済を健全な状態に戻すために必要な作業」だと捉えます。真の繁栄はお金の印刷機からではなく、生産と貯蓄からしか生まれません。貨幣が政治的な道具に変質したとき、経済システムは脆くなり、危機は不可避となります。この一世紀以上前の教訓こそ、私たちが今最も耳を傾けるべき真実なのです。

公民権法の撤廃を

Why We Should Repeal the Civil Rights Act | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守主義者や自由至上主義者の間で今、1964年に制定された「公民権法」を撤廃すべきだという極めて過激で波紋を呼ぶ議論が再燃しています。この議論を紐解くと、そこには単なる人種問題を超えた、国家権力と個人の自由を巡る深刻な対立が見えてきます。この記事は、公民権法こそが「憲法を食い尽くした法律」であり、肥大化する政府の専制的な武器になっていると批判しています。

論理の核心は、公民権法が個人の基本的な自由である「結社の自由」「契約の自由」「表現の自由」と相容れないという点にあります。自由な社会においては、誰と交流し、誰とビジネスを行うかを選択する権利は個人に属するはずですが、反差別法はこの「選択」そのものを政府が規制することを可能にしました。この記事は、「差別とは選択することそのものである」と述べ、政府が国民の選択を規制することは、最終的に国民の思想や良心の自由を統制することに繋がると警鐘を鳴らしています。

さらに記事は、公民権法が「政府の巨大化」を正当化するエンジンとして機能していると指摘します。差別の撤廃という道徳的な名目を掲げることで、政府は州や個人に対して無限の権力を行使できるようになりました。興味深いのは、これがリベラル派だけでなく、保守派にとっても政治的な武器になっているという指摘です。トランプ政権を含む歴代の政権が、公民権部門を政敵への攻撃や調査に利用してきた実態を挙げ、この法律が本来の目的を離れ、権力闘争の道具に成り下がっていると批判しています。

また、保守派が掲げる「能力主義(メリット制)」や「色盲社会(人種を問わない社会)」という理想も、この記事の視点からは批判の対象となります。国家が「能力」を定義し、それを民間に強制することは、結局のところ別の形の国家強制に過ぎないというのです。真の自由とは、人種的な枠を設けたい大学もあれば、特定のグループを優先したい企業もある、という多様な選択が許容される状態を指します。すべてを政府が決めた基準に当てはめるのではなく、市場の契約に委ねるべきだという主張です。

もし公民権法が撤廃されれば、企業は訴訟を恐れずに自由に雇用でき、大学は本来の学びの場に戻り、銀行の与信は政治的な割り当てではなく実力に基づいたものになると著者らは説きます。この主張は、現代の多様性(DEI)重視の流れに真っ向から対立するものですが、行き過ぎた国家の介入が個人の自由を蝕んでいるという危機感は、多くのアメリカ人の間で共有されつつあります。

私たちは、「差別の禁止」という善意から生まれた法律が、時として国家による専制の隠れ蓑になり得るという逆説的な現実に直面しています。日本においても、公正な社会と個人の自由の境界線をどこに引くべきか、この鋭い問いかけは決して他人事ではありません。

小市民を守れ

A Brief History of the Petite Bourgeoisie | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】格差社会が深刻化する米国で、今あらためて「プチ・ブルジョアジー」と呼ばれる小市民層の存在に注目が集まっています。2008年の金融危機以降、そして近年のパンデミックを経て、政府による巨額の救済策やインフレは、富裕層をより豊かにする一方で、地道な生産活動を行う人々を追い詰めてきました。この記事は、歴史的に軽視されがちだった小規模事業者という階級が、実は自由な経済の基盤であり、同時に国家による搾取の最大の犠牲者であると論じています。

そもそもプチ・ブルジョアジーとは何を指すのでしょうか。それは単なる所得水準による中産階級とは異なります。自分の所有する店舗や道具を使い、家族や少数の従業員と共に自らも汗を流して働く人々、つまり職人や商店主、家族経営の農家などのことです。彼らは資本家としての側面を持ちながら、熟練労働者としての顔も併せ持っています。19世紀の古典的自由主義者たちは、彼らこそが社会を支える生産的階級であり、自由な市場において誠実に競争し、コミュニティの安定に寄与する存在であると理想化しました。

しかし、政治の表舞台では、彼らの声は驚くほど届きません。現代の政治論争は、巨大な多国籍企業と、組織化された賃金労働者という二極化された対立軸で語られがちです。その影で、GDPの40パーセント以上を支え、雇用の45パーセント近くを創出している小規模事業者の利益は、常に後回しにされてきました。マルクス主義においても、彼らは労働者の敵であるブルジョアの端くれとして分類されましたが、実際には彼らもまた、国家と結託した巨大資本、いわゆる特権的階級によって市場から締め出される側に立たされています。

記事が最も強調するのは、この階級間の搾取の構造です。中央銀行による通貨発行やインフレ、そして特定の業界を保護する規制や補助金は、政府に近い金融エリートや巨大企業に富を移転させる仕組みとして機能しています。古典的自由主義の理論によれば、これは市場の自然な動きではなく、国家による合法的な略奪に他なりません。小規模事業者は、自らの知恵と労働で価値を生み出しているにもかかわらず、人為的に歪められた経済環境の中で、巨大資本の軍門に降ることを強いられているのです。

私たちは今、巨大企業が大きすぎて潰せないとして保護される一方で、街の商店や小さな工場が静かに消えていく光景を目の当たりにしています。真に自由で公正な社会を取り戻すためには、この地道な生産者たちが、国家の干渉を受けずにその価値を存分に発揮できる環境を再構築しなければならないのです。

効率的市場仮説は正しいか?

Challenging the Efficient Market Hypothesis and Fundamentals Analysis | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】金融市場において長年信じられてきた「効率的市場仮設」という理論があります。これは、株価などの資産価格は利用可能なすべての情報を即座に反映しており、誰も市場を出し抜いて利益を得ることはできないという考え方です。しかし、オーストリア学派経済学の視点に立つ最新の記事は、この定説に対して極めて鋭い批判を投げかけています。この議論の核心を読み解いてみましょう。

まず、効率的市場仮説が抱える最大の矛盾は、市場参加者が全員同じ情報に基づき、同じ結論に達すると仮定している点です。もし全員が将来に対して同じ予想を持っているのであれば、そもそも売買という取引自体が成立しません。現実の市場は、価格が上がると考える買い手と、下がると考える売り手という、異なる予想を持つ人々が存在するからこそ成り立っています。また、仮説では過去のデータ分析は無意味だとされますが、実際には個人の持つ過去の知識こそが将来の行動を規定するのであり、これを否定すれば経済の進歩すら説明できなくなります。

投資における利益についても、効率的市場仮説は「偶然の産物」であると片付けてしまいます。しかし、真の利益とは、起業家が消費者の需要を誰よりも正確に予測し、過小評価されている資源を有効に活用した結果として生じる「知見の報酬」です。不確実な未来に対して能動的に計画を立て、研究を重ねる姿勢こそが経済を動かすのであり、投資家を単なる受動的な存在と見なす理論は現実から乖離しています。

さらに、市場で繰り返される暴騰や暴落、いわゆる「バブル」の原因についても、この記事は重要な指摘をしています。多くの専門家は、バブルを投資家の心理的な「非合理な行動」のせいにしがちです。しかし、真の元凶は中央銀行による人為的な金融緩和政策にあります。本来、市場の利子率は人々の消費傾向を反映するものですが、中央銀行が無理に利下げを行うことで、シグナルが歪められます。その結果、起業家や投資家は誤った判断を下し、実体のない繁栄、つまりブームが作り出されます。この誤りが露呈した時に訪れるのが、深刻な景気後退や市場の崩壊なのです。

結論として、株式投資を実体経済から切り離された「数字のゲーム」と捉えるべきではありません。株への投資は、本質的に事業への投資そのものです。市場が効率的であるという幻想に惑わされず、消費者の声に耳を傾け、中央銀行の政策がもたらす歪みを冷静に見極めること。激動する現代の金融市場を生き抜くためには、こうした本質的なファンダメンタルズ分析に立ち返る勇気が必要だと言えるでしょう。

ダリオ氏「世界秩序は崩壊した」

It’s Official: The World Order Has Broken Down [LINK]

【海外記事紹介】世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオ氏が、自身のSNSで極めて衝撃的な警告を発しました。ダリオ氏は、第二次世界大戦後の1945年から続いてきた国際秩序が、今まさに「正式に崩壊した」と断言しています。これは、先日のミュンヘン安全保障会議での各国の反応を現地で直接見聞きした結果によるもので、世界は今、国際法やルールが支配する時代から、剥き出しの力が支配する「ジャングルの法則」の時代へと完全に移行したというのです。

ダリオ氏によれば、現在の主要国は「囚人のジレンマ」と呼ばれる心理的な袋小路に陥っています。相手が軍備を増強し、経済的な圧力を強める中で、自国だけが歩み寄れば「弱さ」と見なされ、将来的に破滅を招く。そのため、どの国も平和的な対話を諦め、貿易や先端技術、資本の流れ、さらには軍事的な衝突に至るまで、際限なくエスカレートせざるを得ない状況にあると分析しています。特にダリオ氏が危惧しているのは、こうした不信の連鎖によって、本来であれば回避可能であったはずの「愚かな戦争」が、いとも簡単に引き起こされてしまうリスクです。

さらに、ダリオ氏は「資本の戦争」の激化についても強い警鐘を鳴らしています。他国の資産凍結や、特定市場からの締め出しといった手段が、国際政治の標準的な戦術として常態化しました。これにより、私たちが当たり前だと信じてきた自由な投資や決済の基盤は、常に政治的なリスクに晒されることになります。ダリオ氏は、これを国家が富を強力な武器として活用する新時代の象徴だと捉えています。

この外部的な無秩序は、各国の内部に潜む深刻な経済的ストレスとも共鳴しています。歴史的なレベルまで積み上がった政府債務と、解消の目処が立たない格差の拡大。政府はもはや、増税や、通貨を大量発行してその価値を薄めることでしか、この矛盾を解決できない段階に来ています。ダリオ氏はこれを、歴史上の覇権国家が衰退する際に必ず辿る「ビッグサイクル」の最終局面、すなわち大きな混乱を伴う秩序の再編期であると位置づけています。

ダリオ氏は、政府の債務に関連する資産から離れ、金や特定の国に依存しない中立的な資産への分散を急ぐよう説いています。 

2026-02-17

宇宙戦争の無駄遣い

Space-based interceptors make even less sense now - Defense One [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ国防総省と軍需産業が、現在、宇宙配備型の迎撃ミサイル・システムの構築を提案していますが、マサチューセッツ工科大学の研究者らは、この計画が技術的・経済的に極めて不合理であると警鐘を鳴らしています。そもそも、現在のアメリカのミサイル防衛の主力である地上配備型中間コース防衛、いわゆるGMDには、決定的な弱点があります。それは、ミサイルが宇宙空間を飛行する中間段階において、本物の核弾頭と、安価で軽量な「おとり」を区別できないという問題です。この識別問題は数十年にわたり未解決のままであり、実際の攻撃に対して現行のシステムはほぼ無力である可能性が高いと指摘されています。

この問題を回避する策として浮上したのが、おとりが放出される前の「ブースト段階」、つまり打ち上げ直後の上昇中に迎撃する手法です。これには宇宙空間に迎撃機を配置する必要がありますが、ここに大きながあ落とし穴があります。ミサイルの上昇時間はわずか3分程度しかありません。衛星は常に軌道上を移動しているため、広大な地球上のあらゆる発射地点を常に射程に収めるには、数千から数万基という膨大な数の衛星を配備しなければなりません。さらに、ロシアや中国がミサイルの燃焼時間を短縮する対策を講じれば、このシステムは容易に無効化されてしまいます。

こうした実用化の困難さに直面し、国防総省側は「宇宙配備型の迎撃機を、再び中間段階の防衛に転用する」という本末転倒な議論を始めています。宇宙からの迎撃であれば目標到達までに時間に余裕ができるため、衛星の数は減らせるという理屈です。しかし、これでは結局、地上配備型と同じ「おとりを識別できない」という元の問題に逆戻りするだけです。しかも、宇宙空間への配備と維持には莫大な費用がかかる上、衛星には寿命があるため、10年ごとにすべてを打ち替えなければなりません。研究者らは、巨額の税金を投じて何ら解決策にならないシステムを構築しようとするこの動きに対し、政策立案者は警戒すべきだと強く主張しています。

シオニズム至上主義に一石

White House Religious Liberty Commission Member Pokes the Zionist Bear - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権の「信教の自由委員会」のメンバーが、タブー視されてきた「イスラエルへの忠誠」という聖域に足を踏み入れ、波紋を広げています。元ミス・カリフォルニアで、2025年にカトリックに改宗したキャリー・プレジャン・ボラー氏が、委員会での公聴会において、反ユダヤ主義と反シオニズムの定義を巡り、真っ向から疑問を呈したのです。

事の発端は、ボラー氏が委員会に招かれたユダヤ系リーダーに対し、「ガザでのパレスチナ人の大量殺害を非難したり、政治的シオニズムを拒絶したりすることは、反ユダヤ主義(ヘイト)にあたるのか?」と問いかけたことでした。さらに彼女は、「シオニストではないカトリック教徒は、あなたの定義によれば全員が反ユダヤ主義者になるのか?」と、鋭く追及しました。

対するパネリストや、トランプ政権の閣僚級メンバーであるポーラ・ホワイト=ケイン氏(福音派の牧師)、マイク・ハッカビー駐イスラエル大使(バプテスト派牧師)らは、現代のイスラエル建国を「聖書の預言の成就」と見なす強い「キリスト教シオニズム」の立場をとっています。彼らにとって、イスラエルを支持しないことは神の意志に背くことであり、「反シオニズム=反ユダヤ主義」という定義は譲れない一線です。そのため、ボラー氏の質問そのものが不適切で差別的であるという空気が会場を支配しました。

しかし、記事はボラー氏の問いを「必要不可欠で、遅すぎたほどだ」と支持しています。カトリック教会(前教皇フランシスコや現教皇レオ)は、ガザでの惨状を「戦争ではなく虐待だ」と非難しつつ、反ユダヤ主義も否定するという立場をとっています。ボラー氏は、「特定の神学(シオニズム)への忠誠を、アメリカにおける言論の自由や道徳的正当性の踏み絵にするべきではない」と訴えたのです。

結局、ボラー氏はパトリック委員長によって委員会を解任されました。しかし、彼女が突きつけた問い——「宗教の自由を掲げる国で、なぜ特定の政治思想への同調が強制されるのか」——は、今後の米国の外交政策と言論の自由の在り方に一石を投じています。ワシントンで主流となっている「シオニズム至上主義」のコンセンサスに対し、勇気を持って疑問を呈した彼女の姿勢は、多くの米国人に深い議論を促しています。

米軍事能力の衰退

Israel Needs Time Before Another Iran War—Here's Why | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月現在、米国とイランはオマーンで再び交渉のテーブルについています。しかし、この外交の再開は「平和への道」ではなく、消耗しきった兵器・防空システムの在庫を補充するための「戦略的な一時停止(タイムアウト)」に過ぎないのではないか——。そんな冷徹な軍事・産業的視点からの分析をご紹介します。

2025年6月に発生した「12日間戦争」は、中東の軍事バランスにおける深刻な脆弱性を露呈させました。米国はこの短期間の紛争で、約150発のTHAAD迎撃ミサイルと80発のSM-3ミサイルをイスラエル防衛のために消費しました。問題はその「補充」にあります。THAADの年間生産数はわずか11〜12発。今回消費した分を埋め戻すだけでも、現在の生産ペースでは12年以上かかる計算になります。米国の軍需産業は、もはや現代の激しい紛争の消費スピードに全く追いついていないのです。

12日間戦争において、イスラエルは徹底した検閲で被害を隠しましたが、衛星データはイランのミサイルが高い精度で主要な軍事施設や情報拠点、石油精製所を直撃していたことを示しています。さらに深刻なのは、イスラエル自身の迎撃ミサイル「アロー」も底を突きかけていたことです。つまり、戦争の終結は外交の成果というより、「弾薬が物理的に尽きようとしていたから」という側面が強いのです。

現在進められている交渉についても、歴史は「欺瞞」の可能性を示唆しています。2025年の攻撃は、核交渉のわずか3日前に、トランプ政権とイスラエルによる「誤情報キャンペーン」の下で実行されました。イラン側が外交に集中し、軍事的な警戒を緩めた隙を突いたのです。今回のオマーンでの交渉も、イスラエルが2200億シェケル(約615億ドル)もの巨費を投じて防空システムを再構築し、米国が弾薬在庫を回復させるための「時間稼ぎ」であるという見方が有力です。

米国は「例外的な超大国」を自負してきましたが、現実は過酷です。中国との台湾有事シミュレーションでは、長距離弾薬は1週間持たずに枯渇すると予測されています。一つの同盟国を2週間支えるだけで12年分以上の在庫を失う現状では、もはや無制限の軍事支援は不可能です。ワシントンがこの「物理的な限界」を認め、抑制的な外交政策に転換しない限り、アメリカの覇権は砂上の楼閣となるでしょう。

ルビオ氏の新帝国主義

U.S. Calls for New Colonial Era - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのマルコ・ルビオ国務長官がミュンヘン安全保障会議で行った演説が、国際社会に大きな波紋を広げています。ルビオ氏は、第二次世界大戦後に終焉を迎えた「植民地時代の精神」を復活させるべきだという、極めて異例かつ過激な主張を展開しました。氏は、これまで国際法という抽象的な概念の背後に隠れて世界の安定を脅かしてきた勢力に対し、もはや法的手段や外交決議だけで対応することはできないと断言しています。そして、トランプ大統領率いるアメリカが歩み始めた新たな道こそが、かつて西欧諸国が数世紀にわたって世界中に帝国を築き上げた、あの拡大の歴史への回帰であると強調しました。

ルビオ氏は演説の中で、1945年の大戦終結を境に、西側諸国の支配が衰退へと向かったことを公然と嘆いています。氏は、共産主義革命や反植民地運動によって、かつての偉大な帝国が縮小を余儀なくされた歴史を否定的に捉え、今こそ再びアメリカとヨーロッパが手を取り合い、かつての支配的な地位を取り戻すべきだと呼びかけました。これは、戦後の国際秩序そのものを一つの「過ち」であったと示唆する、非常に挑戦的な歴史修正主義の視点と言わざるを得ません。ルビオ氏は、衰退は自ら選ぶものであり、トランプ政権はその選択を拒否して再び世界の覇権を握るつもりであると、強い言葉で同盟国に同調を求めたのです。

しかし、この主張に対しては厳しい批判も噴出しています。分析家のアルノー・ベルトラン氏は、ルビオ氏の言葉はアメリカの利益を最優先する「アメリカ・ファースト」の精神に基づいたものであり、ヨーロッパを対等なパートナーとしてではなく、単にアメリカの覇権を守るための代理勢力として利用しようとする意図が見え隠れすると警告しています。強者が弱者を支配するという帝国主義の本質を考えれば、アメリカがヨーロッパと利益を分け合うなどという甘い期待は通用しないというのです。

さらに、サミュエル・ハンチントン氏がかつて指摘したように、西側諸国が世界を支配できたのは思想や価値観が優れていたからではなく、組織的な暴力の行使において優位に立っていたからに過ぎません。今日、軍事技術や経済力はもはや西側の独占物ではなく、多極化が進む現代において、19世紀のような植民地支配を再現しようとする試みは、破滅的な結末を招くだけの「時代錯誤な妄想」であるとの指摘もあります。ルビオ氏が掲げるこの極端な新帝国主義のビジョンが、今後の日米関係や世界の安全保障にどのような影を落とすのか、注視していく必要があります。

中露、イラン・キューバへの米圧力に対抗

Russia and China Are Expanding Their Cooperation To Counter US Efforts To Bully Iran and Cuba - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】ロシアと中国が、アメリカによるイランやキューバへの圧力に対抗するため、戦略的・経済的な協力をかつてない規模で拡大させています。2026年1月29日、テヘラン、北京、モスクワで同時に署名された「三カ国戦略協定」は、変化する国際秩序の最前線を示す象徴的な出来事となりました。この協定は、2025年6月に発生したイランとイスラエルの戦争を経て、中露両国がイランの防衛力を再建し、西側諸国による孤立化政策を無効化しようとする強い決意の表れです。

軍事面では、中国がステルス機を検知可能な長距離監視レーダーや、高性能な地対空ミサイルシステムを供給し、ロシアも攻撃ヘリコプターの引き渡しを開始するなど、イランの防空網と打撃力は以前よりも格段に強化されています。この三カ国協定は、北大西洋条約機構のような自動的な軍事同盟ではありませんが、外交面での足並みの連動や、制裁を回避するための人民元やルーブルを用いた独自の決済メカニズム、さらには情報機関同士の連携を網羅しています。これにより、イランは中国の「一帯一路」構想や、中露が主導する輸送回廊に深く組み込まれ、米ドルの支配力に依存しない経済圏の構築を急いでいます。

一方、カリブ海のキューバに対しても、中露は密接に連携しながら支援の手を差し伸べています。トランプ政権による制裁強化で深刻なエネルギー危機に直面しているキューバに対し、ロシアは原油や石油製品の直接供給という形で実利的な援助を行い、中国は電力インフラの整備や食料安全保障を担っています。特に中国は、大規模な財政援助に加えて、数万トン規模の米の寄付や再生可能エネルギーへの投資を通じて、キューバ経済の崩壊を食い止めようとしています。

これらの動きは、単なる言葉だけの連帯ではなく、具体的かつ組織的な行動を伴うものです。ロシアと中国は、アメリカによる制裁や軍事的な威嚇が通用しない、新しい金融と安全保障のインフラを着々と構築しています。これは、かつてのアメリカ一極支配が終わりを告げ、多極化する新しい世界秩序へと移行している現実を明確に物語っています。アメリカによる経済的な締め付けを無効化しようとするこの新勢力の台頭は、今後の国際政治のあり方を根本から変えてしまう可能性を秘めていると言えるでしょう。

米保守派メディアの混沌

American Pravda: Nick Fuentes, Tucker Carlson, Jeffrey Epstein, and Pizzagate, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの右派メディア界で起きた衝撃的な事件、チャーリー・カーク氏の暗殺と、それに続く言論空間の激変について紹介します。2025年9月、若手保守派の旗手として絶大な人気を誇ったカーク氏が、プロの警備下にありながら遠距離から狙撃されるという、ケネディ大統領暗殺を彷彿とさせる事件が発生しました。当局は単独犯による犯行と断定しましたが、一部の分析家は、カーク氏が死の直前にイスラエル支援の立場から離れ、タッカー・カールソン氏に近い批判的な姿勢に転じていたことから、背後に組織的な陰謀があったのではないかと疑っています。

この事件後、急速に存在感を高めたのが、かつて主流派から追放されていた若手ポッドキャスター、ニック・フエンテス氏です。彼はこれまで、ユダヤ系ロビーの影響力に対する過激な批判により、YouTubeなどの主要プラットフォームから排除されてきました。しかし、カーク氏の死を境に、ニューヨーク・タイムズ紙が彼を「右派の新たなリーダー」として異例の長文記事で紹介し、タッカー・カールソン氏やピアーズ・モーガン氏といった大物との対談が次々と実現しました。これにより、彼の視聴者数は数千万単位にまで爆発的に増加しました。

一方で、フエンテス氏の変節を指摘する声もあります。彼はかつて反体制的な立場でしたが、最近ではトランプ政権によるベネズエラ攻撃を「石油を奪うためなら殺しても構わない」と熱狂的に支持するなど、極右的な帝国主義者、いわゆる「ネオコン」に近い言動を見せるようになっています。また、カーク氏暗殺へのイスラエル関与説を頑なに否定する姿勢も、かつての彼を知る支持者からは「買収されたのではないか」という不信感を招いています。

対照的に、メディア界の巨人タッカー・カールソン氏は、より踏み込んだ発言を続けています。彼は、ノルドストリーム・パイプラインの破壊への米国の関与や、ケネディ暗殺におけるCIAの役割、さらには9/11テロに関する政府の公式見解への疑問を呈するドキュメンタリーを制作するなど、タブーを次々と破っています。カーク氏の死とフエンテス氏の台頭、そしてカールソン氏の孤軍奮闘は、アメリカの保守派メディアがいかに混沌とした状況にあるかを物語っています。言論の自由を掲げながらも、その裏側でうごめく権力構造や資金源の影を、私たちは冷静に見極める必要があるでしょう。

移民と植民

TGIF: Immigration vs. Settler Colonialism | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】リバタリアニズム(自由至上主義)の旗手として知られるマレー・ロスバードが、晩年に「自由な移民」に反対する姿勢を見せたことは、支持者の間で長年議論の的となってきました。シェルドン・リッチマン氏による本論評は、ロスバードが1994年の論文で展開した「移民制限」の根拠がいかに歴史的・論理的に誤っていたかを鋭く検証しています。

ロスバードは、ソ連崩壊時に「エストニアやラトビアにロシア人が押し寄せ、現地の文化や言語を破壊しようとした」ことを目撃し、考えを変えたと述べています。しかし、リッチマン氏はこれに対し「歴史の取り違え」を指摘します。実際にバルト諸国へロシア人が大量流入したのは、ソ連による占領期(1944年~1990年)の出来事であり、ソ連崩壊後にはむしろロシア人は流出していました。また、この流入は個人の自由な意思による「移民」ではなく、ソ連当局が意図的に進めた「植民地主義的入植(Settler Colonialism)」でした。つまり、占領下で行われた国家ぐるみの人口操作を、自由な国境移動と混同して議論の土台に据えたロスバードの論理は、根本から崩れているというわけです。

さらにリッチマン氏は、現代の移民制限派がよく用いる「福祉国家の維持」という言い訳も一蹴します。移民が福祉を食いつぶすという懸念に対し、統計データによれば、移民が支払う税金と彼らが民間部門で生み出す経済的価値を考慮すると、財政への影響はほぼ中立、あるいはプラスに働いています。さらに、「福祉国家という政府の失敗を解決するために、個人の移動の自由を奪う(さらなる政府の介入を招く)」という考え方は、経済学者ミーゼスが批判した「介入主義の連鎖」そのものであると批判しています。

リッチマン氏が強調するのは、経済的な動機による移民は、受け入れ先の雇用や家賃といった市場原理によって自然に調整されるため、パニックを煽るような「大群の押し寄せ」は現実には起こり得ないということです。リバタリアンであれば、想像上の危機を理由に国家権力を強化するのではなく、たとえ困難が伴っても「移動の自由」という基本原則を貫くべきである。ロスバードへの敬意を払いつつも、自由を守るためには彼の過ちを正視しなければならない——。リッチマン氏の論考は、自由至上主義の真価を問う熱いメッセージとなっています。

政府は企業ではない

Government’s Business Plan Is Predation - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】政府という組織には、民間企業のような「ビジネスモデル」は存在しません。なぜなら、彼らの活動の本質はサービスによる競争ではなく、「掠奪」にあるからです。経済ジャーナリストのジョージ・F・スミス氏は、私たちが当然のものとして受け入れている「税金」や「国家」という仕組みを、自由市場の論理に照らして鋭く解剖しています。

通常の企業は、利益を出すために消費者の顔色を伺い、常にイノベーションを求められます。かつてマイクロソフトがマッキントッシュの登場に慌てて「Windows」を開発したように、市場での競争は消費者に便益をもたらします。もし価格や品質に納得がいかなければ、私たちはその商品を買わない自由があります。しかし、政府との関係においてその自由はありません。政府は暴力を独占し、税金という形で一方的に資金を徴収します。驚くべきことに、多くのアメリカ人はこれを「市民の義務」や「愛国心」と捉えていますが、スミス氏に言わせれば、これは市場のルールを無視した「犯罪的」な構造に他なりません。

政府の「事業計画」の最たるものは、際限のない貨幣発行(通貨膨張)です。政府は中央銀行と結託し、膨大な借金を積み上げながら、その利息を納税者に押し付けます。この「不換紙幣」という仕組みこそが、政府の飽くなき戦争への欲望を支える資金源となっているのです。自由主義経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは、国家を「社会の基礎」と認めつつも、それは神ではなく単なる「強制と抑圧の道具」に過ぎないと警告しました。しかし、その道具を扱うのもまた不完全な人間である以上、国家が「正しく管理」されることは歴史上ほとんどありませんでした。

結局のところ、選挙によって指導者が入れ替わったとしても、国家が「掠奪的機関」であるという本質的な公理が揺らぐことはありません。スミス氏は、私有財産や社会の秩序を守る役割でさえ、暴力装置である国家に委ねるのではなく、市場のメカニズムに信頼を置く方がはるかに健全であると説いています。政府が「必要悪」であるという思い込みを捨て、その活動をビジネスの視点で冷徹に見つめ直したとき、私たちがどれほど不条理な契約を強いられているかが浮き彫りになります。

教育と国家の分離を

Anti-American Textbooks - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの公教育の現場で、教科書の内容がいかに「反米的」に変質しているか、そしてその根底にある「教育の国家独占」という問題について、自由主義経済学の大家ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの思想を継承するルーウェリン・ロックウェル・ジュニア氏が激しい論考を展開しています。

氏は、現在の公立学校の教育者の多くが、国家を愛する一方でアメリカそのものの歴史や伝統を憎んでいると断じます。その象徴が、いわゆる「Woke(目覚めた)」教科書による歴史の改ざんです。例えば、かつて「新大陸の発見者」として讃えられたクリストファー・コロンブスは、今や「ジェノサイド(大量虐殺)の主犯」として描かれています。一部の教育者は、コロンブスが先住民を奴隷化し、金を手に入れるために残酷な刑罰を科したという側面のみを強調し、マレー・ロスバードが主張したような「西洋文明の拡大」という視点を完全に排除しようとしています。

また、奴隷制度についても、左派的な「サザン・パブティー法律センター(SPLC)」などが主導し、アメリカの建国そのものが「人種的不正義」という罪の上に成り立っているという教育を徹底させています。ジェームズ・マディソンやトーマス・ジェファーソンといった国父たちが奴隷を所有していたことを強調し、彼らが掲げた「万人は平等である」という理想さえも偽善として切り捨てようとする動きです。これに対しロックウェル氏は、南部連合を単に「悪」と決めつける現代の風潮を批判し、ロバート・E・リー将軍のような人物が持っていた名誉や徳性さえも否定する「道徳の独占」に異を唱えています。

ロックウェル氏が提示する究極の解決策は、ミーゼスの言葉を借りれば「教育と国家の完全な分離」です。政府が公教育を独占している限り、教える内容を巡る政治的な対立は永遠に終わりません。教育を自由市場に委ねることで、親は自分の子供にふさわしいと信じる教育(例えば伝統的な価値観を重んじる学校など)を自由に選べるようになります。「不健全な知識を詰め込まれて精神を不自由にするくらいなら、健康な文盲の方がましだ」というミーゼスの過激とも言える警告を引用し、氏は公教育制度そのものの廃止こそが、アメリカの魂を守る唯一の道であると訴えています。

危機で備えるべき10の死因

The 10 Way That Will Die When SHTF - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】もし、ある地域や国が二度と立ち直れないような壊滅的な事態、いわゆる「SHTF(万事休すの事態)」に陥ったとしたら、あなたとご家族は生き残ることができるでしょうか。ある専門家の予測によれば、米国で電力網が完全に停止した場合、わずか1ヶ月で人口の半分が命を落とすとされています。この記事では、大災害発生後の最初の30日間で人々が直面する、最も一般的な「10の死因」のうち主要なものを挙げ、生き残るための具体的な対策を提案しています。

まず、最大の脅威は「水の欠乏」です。人間は水なしでは3日しか生きられません。災害時には不衛生な水の摂取による感染症や下痢が命取りになります。これに対しては、電力を必要としない重力式の浄水器や、携帯用フィルター、さらにウイルス殺菌用の漂白剤やヨウ素剤を常備しておくことが不可欠です。次に「飢え」です。食料なしで生きられるのは21日間ですが、多くの家庭の備蓄は数日分に過ぎません。日常的に消費するパスタや米、缶詰などを多めに買い置きし、使った分を補充するローテーション備蓄を今すぐ始めるべきです。

また、「持病の薬の枯渇」や「体力の低下」も深刻な問題です。処方薬が切れることで健康を害するだけでなく、精神的に不安定になった人々が暴徒化する危険性もあります。また、エレベーターが止まり、自力で物資を運ばなければならない状況では、肥満や運動不足が致命的な弱点となります。日頃から体を鍛え、生活習慣を見直しておくことが、何よりの生存戦略となります。さらに、小さな怪我から生じる「感染症」や、排泄物などの処理不全による「衛生環境の悪化」も、医療体制が崩壊した状況下では容易に死に直結します。救急処置の知識を学び、医療用品を揃え、手洗いや消毒を徹底する習慣を身につけておかなければなりません。

最後に、最も避けたい事態が「略奪者による被害」です。食料が尽き、絶望した隣人や友人が、あなたの備蓄を狙って襲ってくるかもしれません。これを防ぐには、自分が備蓄を持っていることを決して口外しない「秘匿性」が重要です。同時に、周囲の人々にも備えを促して地域全体の絶望度を下げつつ、いざという時には家族を守るための防衛手段を講じる覚悟も必要です。絶望的な状況を生き抜くために、今できる準備を一つずつ進めていきましょう。

マリ政府、カナダ産金大手と事業再開

Mali and Canadian miner reset ties over $900 million gold asset with 10-year deal | Business Insider Africa [LINK]

【海外記事紹介】西アフリカのマリ共和国政府と、カナダの産金大手バリック・ゴールド社との間で、同国最大の金資産を巡る対立が解消され、今後10年間にわたる新たな事業継続合意が成立しました。このニュースは、資源ナショナリズムの波が押し寄せる中で、国家と外資系企業がいかに妥協点を見出すかを示す象徴的な事例として、国際投資の世界で大きな注目を集めています。今回の合意は、マリ政府が2023年に採択した新しい鉱業法を巡る緊張関係に終止符を打つものです。この新法は、鉱山プロジェクトに対する国家の関与を拡大し、税率を引き上げるという強硬な内容であったため、一時は深刻な対立を招いていました。

しかし、今回の和解により、バリック・ゴールド社は世界銀行の紛争解決センターに提起していた仲裁申し立てを撤回しました。これに応じてマリ政府側も、同社やその関係先に対する法的訴追を取り下げ、拘束していた従業員を釈放するとともに、鉱山の運営管理権を同社に返還しました。マリの指導者は、この合意によって国の歳入を支える基幹産業に「安定性と透明性が回復した」と強調しています。政府が掲げる改革は断行しつつも、交渉によって互恵的な解決が可能であることを国際社会に示した形です。

この合意のプロセスにおいて、バリック・ゴールド社は新たな実現可能性調査を完了させました。それによれば、露天掘りで約6年、坑内掘りで約16年にわたり、経済的に採算が取れる埋蔵量が確認されています。年間の総生産量は約42万オンスに達すると予測されており、長期的な収益源としての価値が改めて裏付けられました。マリ西部に位置するこのロウル・グンコト鉱山複合体は、マリ国内で最大の金生産量を誇るだけでなく、バリック・ゴールド社にとっても世界で最も収益性の高い事業の一つです。

2024年時点で、この鉱山は約9億ドルという極めて大きな収益を叩き出しており、マリ国家の財政と企業の利益の双方にとって、まさに戦略的な要石となっています。資源を巡る政治的リスクが世界的に高まる中で、今回の10年契約は、投資家にとって一つの安心材料となるでしょう。アフリカにおける鉱山開発の先行きは、今後もグローバルな金市場に大きな影響を及ぼし続けるに違いありません。

アインホーン氏「金は米国債の座を奪う」

David Einhorn: Gold Is Replacing US Treasurys As Reserve Asset - Business Insider [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名なヘッジファンド・マネージャーであり、億万長者の投資家としても知られるデビッド・アインホーン氏が、世界経済の構造変化について極めて重要な見解を示しました。アインホーン氏は、これまで世界の基軸準備資産として君臨してきた米国債に代わり、金がその地位を奪いつつあると分析しています。同氏が率いるグリーンライト・キャピタルは、10年以上にわたって金への投資を続けてきましたが、現在の状況はかつてない転換点にあるというのです。世界中の中央銀行が米国債への信頼を揺るがせる一方で、安全資産としての金の価値を再評価し、保有量を急速に増やしている現状が浮き彫りになっています。

具体的には、中国が国内銀行に対して米国債の保有を削減するよう指示したという報告を、アインホーン氏は重要な兆候として挙げています。世界の中央銀行による金の購入意欲は年々高まっており、2025年には約863トンもの金が買い入れられました。これは、中国をはじめとする国々が通貨レベルでの競争を意識し、米国債中心のポートフォリオから脱却しようとしている動きの表れです。アインホーン氏は、現時点において、金はすでに米国債と並ぶ、あるいはそれに代わる主要な準備資産になりつつあると断言しています。

同氏が米国債よりも金を長期的な投資先として選ぶ背景には、二つの大きな懸念があります。一つは、アメリカの不透明な通商政策です。貿易摩擦が激化し、米国の政策が不安定さを増す中で、多くの国々がドル以外の資産で貿易決済を行うようになっています。もう一つは、アメリカの深刻な財政赤字です。アインホーン氏は、現在のアメリカの財政・金融政策はもはや論理破綻しており、増え続ける債務は維持不可能な水準に達していると指摘しています。この持続可能性への疑念が、投資家をドル建て資産から遠ざける要因となっているのです。

こうした「脱ドル化」の動きは、2022年のロシアへの経済制裁を機に加速しましたが、昨年のトランプ政権による関税導入がさらに拍車をかけました。外国人投資家の間では「アメリカ売り」の機運が高まり、法定通貨の価値下落を恐れて金のような現物資産を確保する「通貨安トレード」が一般化しています。アメリカの金融支配力が揺らぐ中、私たちは資産のあり方を根本から再考すべき局面に立たされていると言えるでしょう。

ドルを待つ厳しい時代

Schiff on Golf Cart Chronicles: The Dollar Is Starting a Tough Decade | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な投資家であり経済評論家でもあるピーター・シフ氏が、ポッドキャスト番組「ゴルフカート・クロニクルズ」に出演し、米ドルの衰退と貴金属市場の動向について警告を発しました。シフ氏は、最近の貴金属市場で見られた価格の下落は、決して偶然の産物ではなく、政治的な意図に基づいた「組織的な攻撃」であると分析しています。同氏によれば、金が1オンス5,500ドル、銀が120ドルを超えていた状況は、トランプ政権や連邦準備制度、そしてアメリカ経済全体に対する「不信任投票」を意味していました。政権側はこの危機的なメッセージを打ち消すために、市場介入という手段で爆弾を解除せざるを得なかったのだと指摘しています。

シフ氏は、これからの10年間はドルのパフォーマンスが低迷し、金利が高止まりする非常に厳しい時代になると予測しています。かつてアメリカ市場は10年以上にわたって世界を支配し、強いドルを背景に莫大なリターンをもたらしてきました。しかし、その輝かしい時代は終わりを告げ、今後はドル安が進み、米国市場は外国市場や新興国市場、そして金に対して劣後するようになると断言しています。この変化の背景として、同氏は1970年代の金本位制離脱を引き合いに出しています。当時はドルの価値が3分の1にまで急落し、金や石油の価格が爆発的に上昇しました。今回の混乱の引き金となるのは、世界が「ドル本位制」から離脱することであり、その影響は当時と同等、あるいはそれ以上に深刻なものになると警鐘を鳴らしています。

基軸通貨としての地位を失うことは、一般のアメリカ人の生活に直撃します。これまでアメリカを支えてきた外国からの融資が止まることで、金利は急騰し、物資の供給は激減します。自国で製品を十分に生産できないアメリカでは、棚から商品が消え、価格が高騰するという、生活水準の劇的な低下を招くことになります。シフ氏は、ITバブルや住宅バブルの崩壊を的中させてきた自身の経験に基づき、投資家や投資アドバイザーに対して「群れ」に従うのをやめ、独自の視点を持つべきだと主張します。特にビットコインなどの暗号資産を「偽の資産」と切り捨て、将来的な訴訟リスクを避けるためにも、顧客にこれらを勧めるべきではないと強く忠告しています。私たちは今、資産防衛のあり方を根本から見直すべき時期に来ていると言えるでしょう。

イラン、相互の経済利益を強調

Amid Saber-Rattling, Iran Touts Economic Benefits To West If Nuclear Deal Reached - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権による軍事的な威圧が強まる中、イラン政府が欧米諸国に対し、核合意の再構築がもたらす「相互の経済的利益」を強調し、緊張緩和を働きかけています。2026年2月、スイスのジュネーブで予定されている米国との実務協議を前に、イランのハミド・ガンバリ経済外交副局長は、「合意を永続させるためには、米国側にも迅速かつ高い経済的リターンが必要だ」と述べ、石油、ガス、鉱業、そして航空機購入といった分野での共通の利益を提示しました。

かつて2015年に核合意が成立した際、イランは老朽化した旅客機を刷新するため欧米企業に大量発注を行いましたが、トランプ氏が合意から一方的に離脱したことで、ボーイング社などは200億ドル(約3兆円)規模のビジネスチャンスを瞬時に失った経緯があります。イラン側は今回、こうした経済的メリットを再びちらつかせることで、制裁解除に向けた交渉の進展を狙っています。しかし、事態は極めて予断を許さない状況です。イスラエルのネタニヤフ首相は、イランが到底受け入れられない「ウラン濃縮の全面停止」や「弾道ミサイル計画の解体」といった条件を突きつけるようトランプ氏に働きかけており、これらが事実上の「毒薬条項」となって交渉を破綻させる懸念が高まっています。

軍事的な緊張もピークに達しています。米国はすでに中東に空母「アブラハム・リンカーン」を配備していますが、さらに世界最大の空母「ジェラルド・フォード」を急行させており、二個空母打撃群による包囲網を形成しています。米国防総省は、交渉が決裂した場合には数週間にわたる継続的な軍事キャンペーンを展開する準備を進めていると報じられました。イラン側は、経済制裁によって無実の市民が苦しんでいる現状を打破すべく外交攻勢をかけていますが、市場関係者はこれを「嵐の前の静けさ」と見ています。対話による経済的リターンか、それとも大規模な軍事衝突か。中東情勢は今、かつてないほど危機的な岐路に立たされています。

言論封殺を許すな

Media Freedom…if We Can Keep it! - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの元下院議員ロン・ポール氏は、急速に拡大する独立系メディアの重要性と、それを脅かす検閲の動きについて強い警告を発しています。かつて主流メディアの看板番組を担っていたタッカー・カールソン氏のような人物が、テレビ局という組織を離れてもなお、SNS上で数百万単位の視聴者に直接メッセージを届け、巨大メディアを凌駕する影響力を持ち始めている現状は、自由を愛する人々にとって大きな武器となっています。インターネットというツールを通じて、政府や巨大企業のフィルターを通さない「生の声」を発信できるようになったことは、民主主義における言論の市場に革命をもたらしました。

しかしポール氏は、この自由な表現を巡る戦いは決して終わっていないと強調します。かつてのパンデミック下で、公的な見解に疑問を呈しただけで多くのアカウントが消去されたように、権力側は常に自分たちに不都合な情報を「誤情報」と決めつけ、国家権力を使って封じ込めようと画策しています。特に欧州では「デジタルサービス法」のような全体主義的な手法が導入され、市民を保護するという名目で、政府が望まない発信を弾圧する監視社会が形成されつつあります。アメリカ国内においても、特定の政治的抗議を行う人々を威嚇したり、TikTokの強制売却を強行したりといった動きに見られるように、左右を問わず「自分たちの気に食わない発信」を排除しようとする「キャンセル・カルチャー」が蔓延しています。

大手メディアと政府が結託し、国民に特定の価値観を押し付けようとする力は依然として強大です。ポール氏は、もし私たちが「自分たちに都合の良い発言だけを認め、反対意見を力で封じ込める」という姿勢を許してしまえば、最終的には誰の言論の自由も守られなくなると指摘しています。一度失われた自由を取り戻すことは極めて困難であり、独立系メディアという新たな表現の場を守り抜くためには、常に警戒を怠らず、不当な検閲に対して団結して抗議し続ける必要があると訴えています。

Z世代、「同性愛への寛容さ」に反発

Gen Z Rebels Against “Gay Acceptance” - Crisis Magazine [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの「Z世代」と呼ばれる若者たちの間で、これまで当然視されてきた「同性愛への寛容さ」に対して、これまでにない反発の動きが広がっています。ニューヨーク・タイムズ紙の寄稿記事は、2007年から2020年にかけて劇的に低下した「反同性愛の偏見」が、2020年を境に急激な逆転現象を見せていると報じました。しかし、ブランドン・ゴールドマン氏はこの現象を、単なる「道徳的な退行」ではなく、過激で押し付けがましい進歩主義的な文化的支配に対する、若者たちの「反乱」であると分析しています。

記事によれば、2024年の調査では、18歳から29歳の層において、同性愛者に対する差別禁止法や同性婚への支持が、2020年代初頭のピーク時から着実に減少しています。なぜこのような変化が起きているのでしょうか。リベラルな心理学者たちは、コロナ禍の政治的分極化や経済的不安を理由に挙げますが、ゴールドマン氏はより深い構造的な問題を指摘します。現代の若者、特に若い男性たちは、幼少期から「代名詞の使用強制」や「マイクロアグレッション(無意識の差別)」といった、いわゆる「ポリコレ(政治的正しさ)」を強要されてきました。また、DEI(多様性・公平性・包括性)政策の名の下で、雇用や昇進の機会から白人男性が排除されている実態もあります。例えば、テレビ番組の脚本家に占める白人男性の割合は2011年の48%から、2024年には11.9%にまで激減しました。

進歩主義のドグマを否定することは、今や若者にとって「パンクで破壊的な反抗」となっています。その結果、多くの若者が伝統的な宗教、特にキリスト教へと回帰しており、Z世代の教会出席率はどの世代よりも高くなっています。彼らは「多様性」という言葉が、実際には伝統の破壊や男性性の否定、そして自分たちを社会の隅に追いやるための「トロイの木馬」として使われてきたことに気づき始めたのです。リベラルな制度が押し付ける「寛容」への反発は、壊れたシステムに対する若者たちの切実な異議申し立てであり、かつての「当たり前」が崩れ去る、新たな文化的な激変期の到来を予感させます。

中国の対米輸出がなくなったら?

If China cut off all trade with the USA, what would … – Preppgroup [LINK]

【海外記事紹介】もし中国がアメリカへの輸出を完全に停止したら、アメリカ人の日常生活はどうなるでしょうか。米中の経済的相互依存は数十年にわたり、中国を「世界の工場」、アメリカを「最大の消費地」とする形で深まってきました。現在、スマートフォンから医薬品、産業部品、防衛システムに不可欠なレアアースに至るまで、中国製品はアメリカの生活基盤に深く組み込まれています。しかし、2025年に再始動したトランプ政権は、この関係を単なる貿易パートナーではなく、国家の存立を脅かす「戦略的リスク」と位置づけ、あえて対立を辞さない姿勢を鮮明にしています。

万が一、中国が輸出を停止すれば、その衝撃は瞬時に消費者の元へ届くでしょう。現在のアメリカは、電子機器や医薬品の原料、電気自動車のバッテリー、太陽光パネル、さらには軍事用レアアースに至るまで、驚くほど中国に依存しています。パンデミックの際にサプライチェーンが麻痺した教訓がありますが、意図的な封鎖が起きれば、自動車生産は止まり、医療費は高騰し、あらゆる家財道具の価格が数週間のうちに跳ね上がるでしょう。特に低・中所得層にとっては、物価高騰が「隠れた増税」として重くのしかかります。現代の製造業の規模とスピードにおいて、中国を即座に他国で代替することは不可能に近いのが現実です。

これに対し、トランプ大統領は「高価な関税を払ってでも国内回帰(リショアリング)や同盟国間での供給網構築(フレンドショアリング)を進めるべきだ」と主張しています。安価な輸入品に頼る短期的な利益よりも、地政学的なライバルに首根っこを掴まれているリスクを解消する方が、長期的な国益にかなうという考えです。すでに2026年に向け、アメリカ政府はアフリカ諸国とのレアアース調達合意や、100億ドル規模の戦略物資備蓄計画「プロジェクト・ボールト」を始動させています。これはアメリカが自立した工業国家として再生するための、痛みを伴う構造改革の一環なのだと記事の著者は主張していますが、果たしてそうでしょうか。

ドル上昇に警戒を

The Weak Dollar Narrative - RIA [LINK]

【海外記事紹介】現在、金融市場では「ドル安」というナラティブ(語り口)が広まり、投資家がこぞって海外資産に資金を投じていますが、経済アナリストのランス・ロバーツ氏は、こうした単純なストーリーに飛びつくことの危険性を指摘しています。ロイター通信などは、トランプ大統領のドル安を容認するような発言や利下げ期待、財政赤字への懸念を背景に、ドルが4年ぶりの安値をつけたと報じました。しかし、長期的な視点で見れば、ドルは依然として力強い上昇トレンドの中にあります。現在の水準は、ドルの歴史における「ニュートラル(中立)」な位置にすぎず、「ドルの終焉」や「法定通貨の崩壊」といった悲観論を裏付けるものではありません。

ロバーツ氏は、むしろ「ドル高への反転」が近い将来に起こる可能性を予測しています。テクニカル分析によれば、ドル指数は2025年の下落を経て、現在、過去の底打ち時と同等の「売られすぎ」の状態にあります。また、アメリカ経済の成長率は欧州や他の地域を依然として上回っており、この相対的な強さが資本を引き寄せ、ドルの買い支え要因となります。さらに、ベセント財務長官が「強いドル政策」を再確認し、新FRB議長の就任によってタカ派的な金融政策が意識されれば、短期間で心理的な反転が起こる公算が大きくなっています。

投資家がよく口にする「海外市場はアメリカより割安だ」という主張にも、同氏は慎重な見方を示しています。一見、海外株の株価収益率(PER)は低く見えますが、利益成長率や利益率、セクター構成の弱さを考慮すれば、自国の歴史的基準に照らして決して安くはないからです。むしろ、ドルが上昇に転じた場合、為替のマイナス影響と株価の下落が重なるダブルパンチに見舞われるリスクがあります。ロバーツ氏は、海外資産への投資は「ドル安」という物語に頼るのではなく、あくまでポートフォリオの多様化のためのツールとして扱うべきだと主張します。ルールに基づいたリバランシングを行い、通貨ヘッジを組み合わせるなど、ドルの急激な反転に備えたリスク管理こそが、現在の不透明な市場を生き抜く鍵となるといいます。

消費者物価指数に気をつけろ

CPI Is Cooling But What About Inflation? [LINK]

【海外記事紹介】アメリカで発表された1月の消費者物価指数(CPI)は、市場の予想を下回る落ち着きを見せ、連邦準備理事会(FRB)がインフレとの戦いに勝利しつつあるかのような印象を与えています。総合指数は前年同月比2.4%に低下し、昨年12月の2.7%から確実に減速しました。特に、家計を圧迫していたガソリンなどのエネルギー価格が大幅に下落し、家賃や食品価格の伸びも緩やかになったことから、メディアや専門家の多くは「中低所得層にとって待望の救いとなる素晴らしいニュースだ」と歓迎しています。この結果を受けて、市場ではFRBが6月にも利下げに踏み切るとの期待が一段と高まっています。

しかし、経済アナリストのマイク・マハリー氏は、この「見かけの数字」に惑わされてはいけないと警鐘を鳴らしています。まず、現在のCPIの算出方法は1990年代に改定されており、実態よりも低く出るように設計されているという指摘です。もし1970年代当時の計算式を適用すれば、現在のインフレ率は公式発表の2倍近い6%に達している可能性が高いといいます。また、サービス価格の伸びは依然として根強く、物価上昇の勢いが完全に収まったと判断するのは時期尚早です。さらに重要なのは、物価上昇はあくまで「症状」に過ぎず、真の「病因」である通貨供給量の増大、つまり本来の意味でのインフレがむしろ加速しているという事実です。

記事が最も危惧しているのは、FRBが水面下で再び「量的緩和」へと舵を切っている点です。FRBは先月から、事実上の通貨増刷によって米国債の購入を再開しており、通貨供給量はパンデミック時のピークを上回る勢いで増加しています。FRBは現在、借金漬けのバブル経済を支えるための「利下げ・緩和」と、物価を抑えるための「引き締め」という、相反する要求の板挟み、いわゆる「キャッチ22」の状態に陥っています。政府が発表する「冷え込んだCPI」という数字は、FRBがさらなる緩和策を正当化するための格好の材料に使われるでしょう。しかし、通貨の乱発が続く限り、真のインフレの火種が消えることはなく、将来的にさらなる代償を払うことになりかねないと著者は指摘しています。

2026-02-16

カリフォルニア州の経済的自殺

California and The Art of Economic Suicide | Economic PrismEconomic Prism [LINK]

【海外記事紹介】カリフォルニア州が、自らの首を絞めるような「経済的自殺」へと突き進んでいます。かつて黄金の州と呼ばれた同州で今、富裕層を標的にした前代未聞の増税案が浮上し、大きな波紋を広げています。2026年カリフォルニア億万長者税法案と名付けられたこの住民投票案は、純資産が10億ドルを超える個人に対し、その資産の5%を一度限りの「物品税」として課そうというものです。

この法案の背後には、深刻な財政赤字があります。現在の州政府は、最大200億ドルにものぼる予算の穴を埋める必要に迫られており、約200人の億万長者から1,000億ドルの臨時収入を巻き上げ、それを医療費などに充てようと画策しています。一見すると「富裕層から取って弱者を救う」という耳当たりの良い慈善事業のように聞こえますが、現実は甘くありません。著者のM.N.ゴードン氏は、州政府が富裕層を「無限に残高があるATM」のように扱う愚かさを厳しく批判しています。

最大の問題は、課税対象となる人々が黙って資産を没収されるのを待ってはいないということです。実際、カリフォルニア州では過去6年連続で転出者が転入者を上回る人口減少が続いており、オラクルやヒューレット・パッカードといった大企業も相次いで州外へ拠点を移しています。今回の増税案を受け、対象者の8割から9割は、すでに他州へ住民票を移したか、移住の準備を進めていると報告されています。当局が徴税に乗り出す頃には、残されているのは空っぽの大邸宅と「売り出し中」の看板だけ、という事態になりかねません。

経済ジャーナリストのヘンリー・ハズリットが説いたように、経済の本質は「目に見える影響」だけでなく「目に見えない長期的な影響」を見極めることにあります。目に見えるのは、一時的に入ってくる税収と新しいクリニックですが、目に見えないのは、失われる膨大な資本と将来の雇用です。富裕層が資産を売却して納税に充てれば、それは本来新しいスタートアップや技術開発に投資されるはずだった資金が消えることを意味します。州政府が目先の現金に固執するあまり、経済を動かすダイナミックなエンジンを破壊してしまえば、残されるのは肥大化した官僚組織と崩壊したインフラだけです。この記事は、こうした「略奪」に基づく社会の構築が、いかに州の未来を暗いものにするかを強く警告しています。

環境保護の浪費

Wasted Effort - by T.L. Davis [LINK]

【海外記事紹介】世界が熱狂する「環境保護」や「最新技術」の裏側で、いかに膨大な時間と資源が浪費されているか。アメリカの論客、T.L. デイビス氏が投げかける鋭い指摘は、論理的な思考を重んじる私たちに冷や水を浴びせるような衝撃です。氏は、現代社会が「もっともらしい善意」に踊らされ、実態の伴わない空虚な活動に何十年も費やしている現状を厳しく批判しています。

その筆頭として挙げられているのがリサイクルです。自治体の要請に従って市民が真面目にゴミを分別しても、実際に再利用されるプラスチックはわずか10%程度に過ぎません。経済的な合理性がないために、残りの大半は結局そのまま投棄されています。これは効率化という真実から目を背け、「取り組んでいるふり」をするための過剰なパフォーマンスに過ぎないとデイビス氏は断じます。また、地球温暖化の元凶とされる二酸化炭素についても、自然界が排出する量に比べれば人類の影響は微々たるものであり、多額の税金を投じて二酸化炭素を敵視する今の風潮は、科学的根拠を欠いた「幽霊」を追いかけているようなものだと主張します。

さらに批判の矛先は、次なる熱狂の対象である人工知能、AIにも向けられます。現在、AIは世界を革命的に変えると喧伝されていますが、実際には既存の情報の焼き直しに過ぎず、自己増殖的に知能を高めるという前提には論理的な飛躍があります。データセンターの莫大な電力を賄うために電気代が高騰し、人間同士の関わりが希薄化していく未来に、どれほどの価値があるのでしょうか。デイビス氏は、風力発電のような非効率なシステムに補助金を注ぎ込むのではなく、地域ごとに自立できる小型核原子炉のような、真に人類に利益をもたらす技術に目を向けるべきだと説いています。

政治家や企業が提供する「解決策」という名のマーケティングに、私たちはあまりにも無批判ではないでしょうか。デイビス氏が危惧するのは、AIによって政府と市民の距離がさらに遠ざかり、真実がアルゴリズムによってフィルターにかけられてしまう未来です。こうした「無駄な努力」の積み重ねが限界を迎える時、私たちは論理の崩壊を目の当たりにすることになるだろうと、この記事は警鐘を鳴らしています。私たちは今一度、立ち止まって考える必要があるのかもしれません。

米憲法の氷河期

The Coming Constitutional Ice Age - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカで今、憲法が保障する個人の自由が凍結されるような「憲法の氷河期」とも呼ぶべき事態が進行しています。元裁判官のアンドリュー・ナポリターノ氏は、移民税関捜査局、通称「ICE(アイス)」の活動が、法を超えた準軍事組織のような変貌を遂げている現状に強い警告を発しています。

現在、アメリカ南部を管轄する第5巡回区控訴裁判所が下した衝撃的な判決により、テキサス、ルイジアナ、ミシシッピの3州では、憲法上の手続きが事実上無効化されています。本来、アメリカ合衆国憲法修正第4条は、警察などの政府機関が人を逮捕したり家宅捜索を行ったりする際、裁判官が発行する「令状」を必要と定めています。しかし、この最新の判決は、ICEの捜査官同士が互いに許可を出し合うだけの「行政令状」によって、司法のチェックを受けることなく、いつでも、どこでも、誰でも逮捕することを容認してしまいました。これは、かつてアメリカ独立戦争の引き金となったイギリス植民地時代の「一般令状」の悪夢を再来させるものです。

さらに事態を深刻にしているのは、政府による虚偽と不当な暴力の連鎖です。ICEの活動中には、脅威を与えていないアメリカ市民が殺害されたり、乳幼児が逮捕されたりする事態まで起きていますが、政府はそれについて嘘を重ね、責任を回避しています。驚くべきことに、最高裁は「国民が政府に嘘をつくのは罪だが、政府が国民に嘘をつくのは罪ではない」という不合理な解釈を維持しています。こうした司法の怠慢が、ICEによる強引な家宅侵入や、令状のない不当逮捕に「白紙委任状」を与えてしまっているのです。

ナポリターノ氏は、裁判所が本来の役割である「憲法の番人」としての機能を放棄し、政治的な移民抑制策を優先させている現状を厳しく指弾しています。このままでは、路上で突然市民権の証明を求められるような監視社会が日常となり、アメリカが築き上げてきた法治国家の基盤が崩れ去ってしまいます。憲法が定めた個人の尊厳よりも政府の利便性が優先されるこの「氷河期」は、移民だけの問題ではなく、すべてのアメリカ国民、そして自由を尊ぶ世界中の人々にとって無視できない深刻な危機なのです。

キューバ、植民地に戻る?

Will Cuba Return to US Colonial Rule? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとキューバの緊張が再び極限まで高まる中、キューバがかつてのような「米国の植民地」に逆戻りしてしまうのではないかという、歴史の転換点を予感させる論評をご紹介します。長年この地域を追い続けてきたベテラン・ジャーナリストのエリック・マーゴリス氏は、現在のトランプ政権による締め付けが、キューバを国家崩壊の淵へと追い込み、意図的な支配構造の再構築を狙っていると強く警鐘を鳴らしています。

かつてアーネスト・ヘミングウェイが愛し、誇り高い「西インド諸島の貴族」と称されたキューバの人々は、半世紀以上にわたる米国の経済封鎖に耐え続けてきました。フィデル・カストロ氏が築いた社会主義体制は、米国の圧力に屈することを拒み続けてきましたが、2026年現在の状況はかつてないほど絶望的です。トランプ政権がベネズエラへの関与を強めた真の目的は、ハバナへ供給されていた不可欠な石油ルートを断つことにありました。その結果、現在キューバでは電力の半分が失われ、公共交通や工場、さらには軍の活動までもが停止し、食糧不足が深刻化しています。かつての経済の生命線であった観光業も、燃料不足による航空便のキャンセルで壊滅的な打撃を受けています。

マーゴリス氏は、この「兵糧攻め」の先に米国が描くシナリオを鋭く指摘します。島を麻痺させ、民衆の蜂起を誘発することで、現在の政権を転覆させるという筋書きです。フロリダ州に拠点を置くカストロ政権を嫌う亡命キューバ人グループや、マルコ・ルビオ国務長官といった強硬派は、共産主義体制の崩壊を勝ち誇るように見守っています。彼らの関心はすでに「ポスト・カストロ」の利権にあり、ハバナの再開発計画や、かつての悪名高き賭博と売春が横行した時代を彷彿とさせる支配体制の復活を画策していると氏は述べています。

結局のところ、この強硬策は米国内の選挙戦略とも密接に結びついています。フロリダ州の亡命キューバ人票を固めることは、米大統領選において極めて重要な意味を持ちます。このままでは、誇り高き歴史を持つハバナの街並みは、フロリダのフォートローダーデールのようなどこにでもある米国の観光都市へと変貌し、キューバは再び米国の事実上の植民地へと転落してしまうでしょう。ロシアの影響力は一掃され、カリブ海に浮かぶ不屈の島は、今、まさに国家としての存亡を懸けた最大の危機に直面しています。

銀、供給不足続く

Silver Market Expected to Run Sixth Straight Supply Deficit This Year [LINK]

【海外記事紹介】銀(シルバー)市場が2026年も、6年連続となる歴史的な供給不足に直面する見通しです。シルバー・インスティテュートの最新データによれば、昨年の需要は供給を約9,500万オンス上回り、過去5年間の累積不足量は、実質的に鉱山生産の丸1年分に相当する8億オンスを超えました。2026年も約6,700万オンスの不足が予測されており、市場には「物理的に銀が足りない」という極めてタイトな状況が続いています。

需要の構造を詳しく見ると、興味深い変化が起きています。価格が高騰したことで、太陽光発電パネル向けなどの産業需要や宝飾品需要は、代替素材への切り替えが進み、数パーセント減少すると見られています。しかし、その減少分を補って余りあるのが、爆発的な投資需要です。特に欧米の投資家が、不安定な地政学リスクや米ドルの先行きの不透明感、さらには米連邦準備制度(FRB)の独立性への懸念から、銀を「安全な避難先」として再び買い求めています。インドでも投資意欲は依然として旺盛で、こうした現物投資の増加が、市場全体の需給をさらに引き締めています。

一方で、供給側は限界に達しつつあります。鉱山生産やリサイクルは10年ぶりの高水準となる10億5,000万オンスに達する見込みですが、それでも旺盛な需要を賄うには不十分です。銀の多くは銅や鉛の副産物として生産されるため、銀価格が上がったからといってすぐに増産できるわけではありません。そのため、不足分は市場の在庫を取り崩すことで補われており、それがさらなる価格上昇の圧力となっています。シルバー・インスティテュートは、最近の価格調整を経てもなお、銀の強気相場を支える要因は強固に維持されていると分析しています。金(ゴールド)の上昇に伴い、銀もまた、単なる工業用金属を超えた「戦略的資産」としての存在感を強めています。

金銀をいつ売るべきか?

When Should You Sell Your Gold and Silver [LINK]

【海外記事紹介】「金や銀をいつ売るべきか」――。投資家にとって永遠の課題とも言えるこの問いに対し、貴金属市場の専門家マイク・マハレイ氏が、鋭い洞察を交えて語ったポッドキャストの内容をご紹介します。マハレイ氏は、マカオの高級ホテルがロビーの床に埋め込まれていた79キログラムもの金塊を取り出して売却し、約1,280万ドルを手にしたというニュースを例に挙げ、私たちが直面している「通貨価値の崩壊」という厳しい現実に警鐘を鳴らしています。

かつて1980年代、米国の25セント硬貨には実質的な購買力がありましたが、現在、1965年以前に鋳造された銀含有率90%の銀貨の価値は、約14.60ドル(ガソリン数ガロン分)にまで跳ね上がっています。金や銀の価格が上がっているというよりは、法定通貨の購買力が劇的に低下しているのです。マハレイ氏は、香港ドルや米ドルを含むすべての法定通貨は、政府による過剰な発行とインフレによって価値を失い続けていると指摘します。世界的な債務の増大という「ブラックホール」から逃れるため、政府はインフレを意図的に引き起こしており、貯蓄を現金で持ち続けることは、負けが決まった戦略になりつつあります。

では、私たちはいつ金や銀を売るべきなのでしょうか。マハレイ氏の答えは明確です。「目的を持って売るべきであり、感情で売るべきではない」ということです。売却が正当化されるのは、例えば自宅の修理という「実体のある価値」に変換する場合や、人生を豊かにする経験としての旅行、あるいは高利利息の負債を返済して自身のバランスシートを強化する場合です。逆に、最も避けるべきなのは「価格が上がったから」という理由だけで売り、その利益をただ減価していく現金として持ち続けることです。目的のない現金化は、貴金属が守ってくれているはずのインフレリスクに自らをさらす行為に他なりません。

銀市場についても、銀製のスーパーボウル優勝トロフィーの価値が1年で2.6倍以上に急騰した例を挙げ、現在の価格調整はむしろ絶好の機会であると示唆しています。中央銀行による爆買いや脱ドル化の波、そして膨大な国家債務という根本的な要因は消えていません。私たちは、永続的な価値を持つ「本物のお金」を、ただの「紙くず」に変えてしまわないよう、慎重な判断が求められています。

金と自由

Liberty Eroding, Gold Rising: 30 Years of Warning [LINK]

【海外記事紹介】経済学者のリチャード・サルスマン氏が、自身の著書『金と自由』の出版から30年を経て、現代の危機的な状況を警告する論評をご紹介します。サルスマン氏は、金(ゴールド)に基づいた通貨制度と「政治的・経済的な自由」は密接に関係していると説いています。政府が健全であれば通貨も健全であり、その逆もまた然りです。しかし、21世紀の最初の四半世紀を振り返ると、米国を含む世界各地で「自由」が浸透するどころか、政府の肥大化と通貨の劣化が同時に進むという、極めて憂慮すべき事態が進行しています。

この記事の核心は、金価格の上昇を単なる「資産価値の高騰」ではなく、「米ドルの価値の喪失」として捉える視点にあります。これは、1971年に金本位制を完全に放棄して以降、政治家が福祉や戦争の費用を賄うために際限なく紙幣を刷り続け、通貨を「おもちゃ」のように扱ってきた結果です。サルスマン氏の分析によれば、1913年の米連邦準備制度(Fed)設立以来、ドルの購買力は実質的に99%も失われました。つまり、かつての健全な統治が失われ、政府が「権利の保護者」から「富の再配分者」へと変質したことが、通貨の崩壊を招いているのです。

著者は、ヘリテージ財団などのデータによる経済的自由の指標と金価格には明確な「逆相関」があることを図表で示しています。自由が損なわれるほど、逃避先としての金の価値は跳ね上がります。実際、21世紀に入ってから金の投資リターンはS&P500指数を上回る年が多く、平均して株式を年率17%ポイントもアウトパフォームしてきました。しかし、多くの投資アドバイザーは今なお金を「野蛮な遺物」と嘲笑し、政府の借金によって支えられた不換紙幣のシステムに依存し続けています。

サルスマン氏は、金本位制への復帰は官僚や中央銀行の手によって成し遂げられることはないと断言します。それは、個人が自分の生命、自由、財産を守るという「古典的自由主義」の精神を取り戻したとき、初めて可能になるものです。この記事は、私たちが当たり前だと思っている「紙幣」の価値がいかに脆い土台の上に立っているのか、そして金がいかに「自由の守護者」として機能し続けているのかを、30年間にわたる一貫した警告とともに示しています。

ビットコインの闇

Politicians Pushed Bitcoin, Empires Printed Fiat—Now Gold and Silver Are Here to Close the Books on Their Crimes [LINK]

【海外記事紹介】「デジタル・ゴールド」と称賛されたビットコインの神話が崩壊し、金や銀といった「本物の通貨」が、腐敗した政治と金融秩序に引導を渡そうとしている――。そんな衝撃的な視点を提示する、ニコ・モレッティ氏による論評をご紹介します。著者は、ビットコインを「中央銀行に対する草の根の反乱」と信じ込むのはもはや危険だと警鐘を鳴らしています。近年の調査では、ビットコインの初期開発がMIT(マサチューセッツ工科大学)や、悪名高いジェフリー・エプスタイン周辺の不透明な資金源、さらには国家機関の影がちらつくネットワークの影響下にあった可能性が浮上しているからです。

この記事が告発するのは、デジタル通貨が結局のところ、既存の権力構造に取り込まれてしまったという現実です。その象徴として挙げられているのが、トランプ氏と仮想通貨取引所バイナンスの創設者、チャンポン・ジャオ氏を巡る疑惑です。トランプ氏がジャオ氏を恩赦した後、バイナンス側からトランプ氏関連のプロジェクトに巨額の資金が流れ込んだという不透明な経緯を、著者は「パートナーシップではなく、買収である」と厳しく断じています。かつて、数学的で誰にも支配されないと謳われたビットコインは、今や大統領の慈悲や規制当局の思惑、そして巨大資本の操作によって価格が左右される、極めて政治的な「カジノ」に変質してしまったというのです。

一方で、市場の資金は静かに、しかし力強く「実物資産」へと回帰しています。過去半年でビットコインが4割以上急落する一方で、金や銀、そしてその採掘企業の株価は驚異的な上昇を見せました。著者は、1933年に米国政府が金(ゴールド)の私有を禁じた歴史を振り返り、政府がなぜ実物貨幣を嫌うのかを解説しています。それは、金や銀のように発行量を操作できない「正直な貨幣」が流通している限り、政治家は際限のない戦費調達や、借金による放漫財政、さらには不都合な権力の維持が不可能になるからです。

フィアット通貨(法定通貨)が戦争や監視社会の血流となってきたのに対し、金や銀は「帝国の敵」として、常に国家の暴走にブレーキをかける役割を担ってきました。著者は、現在のデジタル資産ブームを、既存の腐敗を隠蔽するための最後の手品であると見ています。私たちが今直視すべきは、誰かのプログラムによって操作されるトークンではなく、数千年の歴史の中で一度も価値がゼロになったことのない、政治家や億万長者にも印刷できない貴金属の価値であると結論づけています。この激動の時代、私たちは偽りの革新に踊らされるのか、それとも誠実な資産に立ち返るのか、その選択を迫られているようです。

石油ピーク論の幻想

Proven Petroleum Reserves and the Myth of “Peak Oil” | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラのマドゥロ政権が、米国によって「麻薬テロリスト」と断じられ拘束されたという衝撃的なニュースを背景に、エネルギー問題の本質を突く論評をご紹介します。著者はまず、マドゥロ氏を自国民を窮乏させながら身内を潤してきた社会主義独裁者の系譜に連なると厳しく批判しています。しかし、この記事の真の主題は政治情勢そのものではなく、長年ささやかれてきた「ピークオイル(石油生産の限界)」説がいかに根拠のない「神話」であるかという点にあります。

地球上の資源が有限であることは事実ですが、著者は「石油が枯渇する」というパニックは不要だと断言します。驚くべきことに、世界の石油の「確認埋蔵量」は、消費が進んでいるにもかかわらず年々増加しているのです。2009年には1.3兆バレルだった埋蔵量は、現在1.7兆バレルにまで増えています。これは、技術革新によって以前は採掘不可能だった資源が利用可能になったためです。著者はこれを、資本主義と自由な市場が生み出した勝利であると評価しています。特に、個人の鉱物資源所有権を認め、民間企業が競い合って技術を磨く米国のような体制こそが、効率的なエネルギー供給を可能にしているというのです。

この主張を裏付けるために、著者は「銀貨の価値」を用いた興味深い比較を行っています。1964年以前の米国の10セント硬貨(銀貨)に含まれる銀の現在の市場価値を計算すると、今日では約2ガロンのガソリンを購入できます。対して、約100年前の1920年代、同じ10セント硬貨(当時の額面通り)では、わずか3分の1ガロンのガソリンしか買えませんでした。つまり、連邦準備制度によるインフレや膨大な国家債務があるにもかかわらず、実質的なガソリン価格は100年前よりも約6倍も安くなっているのです。これは、社会主義的な統制が経済を停滞させる一方で、資本主義的な生産手段の私有がいかに生活の質を向上させるかを如実に示しています。

ベネズエラは世界最高の埋蔵量を持ちながら、社会主義政策によって生産能力が破壊され、南米で最も豊かな国から最も貧しい国の一つへと転落しました。著者は、マドゥロ体制の終焉が、ベネズエラの人々にとって天然資源の恩恵を取り戻し、経済的な繁栄を再建する好機となることを期待しています。この記事は、資源の枯渇を恐れるよりも、その資源をいかに自由な経済活動の中で活用する体制を整えるかこそが、人類の未来を左右するという重要な視点を提供しています。

民族自決と個人の自由

National Self-Determination and Individual Liberty | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】リバタリアニズム(自由至上主義)の思想家として知られるマレー・ロスバードが提唱した、「国家の自己決定権と個人の自由」に関する画期的な視点を紹介する記事をお届けします。一般的に自由至上主義者は、国家や民族といった集団的な概念を個人の自由と対立するものとして否定的に捉えがちです。しかし、ロスバードはこうした見方を「単純すぎる」と一蹴しました。彼は、人間は孤立した原子のような存在ではなく、文化、伝統、言語を共有する「民族」というコミュニティの中で生きる存在であることを重視し、真の自由を追求するためには国家の自己決定権こそが道標になると説いたのです。

この記事の核心は、ロスバードが「国家の自己決定権」を、個人の「自己所有権」から派生した道徳的原則と見なしていた点にあります。彼によれば、国家の境界線はそこに住む人々の自発的な合意と財産権に基づいている場合にのみ正当化されます。そして、この原則を現実のものとするための絶対的な条件が「分離独立権」の承認です。地域や民族グループが、中央政府の強制から逃れ、自らの意思で独立する権利を明確に認めない限り、自己決定という言葉は単なる欺瞞に過ぎないと彼は主張しました。これは、肥大化した中央政府による統治ではなく、小さな単位での自治こそが個人の自由を守る最良の盾になるという考え方です。

さらにロスバードは、米国史における南部伝統や「州の権利」の擁護を通じ、中央集権化がいかに個人の自由を破壊するかを具体的に論じています。リンカーン大統領による連邦権力の強化、徴兵制の導入、所得税の創設などを、彼は「個人の自由を破壊する怪物的行為」と批判しました。彼は、保守派のパトリック・ブキャナンらと政治的同盟を結んだことで一部から矛盾を指摘されましたが、それは戦略的な選択でした。教義の純粋さに固執して孤立するのではなく、現実の政治において「国家債務の忌避」や「個人の自由への配慮」を共有できる勢力と手を組むことで、リバタリアニズムを空理空論から現実の力へと変えようとしたのです。この記事は、私たちが社会の中で他者と共存しながらいかに自由を確保すべきか、その現実的な処方箋を提示しています。

価値の客観と主観

The Putnam Twist: The End of Value | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】20世紀を代表する哲学者の一人、ヒラリー・パトナムらが編纂した著作『価値自由な経済学の終焉』を巡る書評をご紹介します。本書は、経済学が「客観的な事実」のみを扱う科学であるべきだという従来の常識に対し、哲学的な視点から鋭い疑問を投げかけています。著者は、パトナムの政治的・経済的な判断には批判的でありながらも、彼が展開した「価値と事実の絡み合い」に関する議論については、現代の経済学や倫理学を再考する上で極めて重要な示唆を含んでいると高く評価しています。

一般に、科学の世界では「事実は客観的で記述的なもの」「価値は主観的で規範的なもの」と厳格に区別されます。経済学においても、ライオネル・ロビンズらの学説以降、経済学者は「何が効率的か」という手段については論じても、「何が究極的に善い目的か」という価値判断には踏み込まないことが美徳とされてきました。しかし、パトナムはこの区別が幻想であると主張します。彼は、例えば「勇気がある」「賢明である」といった言葉を挙げ、これらは事実を記述すると同時に評価も含んでおり、両者を切り離すことはできないと説いています。もし勇気を「恐怖を感じないこと」という事実のみで定義すれば、それは単なる「無鉄砲」との区別がつかなくなり、言葉が持つ本来の真実味を失ってしまうからです。

この記事では、このパトナムの主張に対し、経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの反論も紹介されています。ミーゼスは、たとえ日常的に価値判断が含まれる言葉であっても、科学的な定義によって価値を排除することは可能だと考えました。しかし、パトナムはさらに踏み込み、理性的な対話そのものが、公平さや感受性といった「価値を含んだ概念」なしには成立しないと指摘します。つまり、私たちが「客観的で正しい結論」を導き出そうとする営みの土台そのものに、主観的とされる価値観が深く根を張っているというのです。経済学が単なる数字の計算を超えて、人間の幸福や社会のあり方を論じる際、私たちが「事実」だと思っているものの背後にどのような「価値」が隠れているのか。本書は、数値化できない倫理の重要性を改めて突きつけています。

2026-02-15

環境利権と金融界

Climate and the Money Trail - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】現在、世界中で熱狂を呼んでいる「脱炭素」や「グリーン・ニューディール」といった環境運動。その背後で糸を引いているのは、純粋な若き活動家たちではなく、実は世界経済を牛耳るメガバンクや超巨大資本であるという、驚くべき金の流れを暴く論評をご紹介します。かつてグローバル化を推し進め、環境破壊の片棒を担いできたはずの金融界の巨頭たちが、なぜ今、こぞって環境保護の急先鋒に立っているのでしょうか。その狙いは地球を救うことではなく、呼吸する「空気」までも金融商品化し、数千兆円規模の新たな富を創出する壮大な経済戦略にあります。

事の始まりは数年前、アル・ゴア氏やゴールドマン・サックス出身のカーニー前イングランド銀行総裁といった金融界の重鎮たちが、気候変動リスクを口実に「グリーンボンド(環境債)」などの金融スキームを構築したことに遡ります。ブラックロックやJPモルガン、HSBCといった世界有数の資産運用会社や銀行が名を連ねる「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」は、いわば「キツネが鶏小屋のルールを書いている」ような状態です。彼らは、化石燃料依存の経済を捨てさせ、自分たちが支配する「グリーン経済」へ強制的に資金を誘導する仕組みを作り上げました。

ここで注目すべきは、グレタ・トゥンベリさんやアメリカのアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員といった、大衆の支持を集めるアイコンの存在です。彼らの熱意は本物かもしれませんが、その活動をプロモーションし、メディアのスポットライトを当てているのは、アル・ゴア氏に近いネットワークや、ジョージ・ソロス氏の財団から資金提供を受けた組織です。欧州委員会のユンカー元委員長が、グレタさんの演説に感動したふりをして巨額の環境予算を発表した際も、実はその決定は1年も前に世界銀行や世界経済フォーラムの間で既になされていたものでした。

この記事が警告しているのは、環境保護という「善意の仮面」を被った世界経済の再編です。ビル・ゲイツ氏や孫正義氏といった億万長者たちが名を連ねる投資グループが、優先的に政府資金にアクセスできる体制が整えられています。国連の専門家がかつて認めたように、気候変動政策の本質は「環境政策」ではなく、世界の富を再分配するための「経済政策」なのです。地球を救うという大義名分の下で、私たち一般市民が犠牲を強いられる一方で、金融エリートたちは新たな利権を確実に手中に収めようとしています。

世界の貨物首都・重慶

How Chongqing Powers China Across the New Silk Roads - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】中国内陸部に位置する巨大都市・重慶。3,200万人もの人口を抱え、山々にへばりつくように超高層ビルが立ち並ぶその姿は、もはや「サイバーパンク」を超越した存在感を放っています。しかし、重慶の真の凄みは、その視覚的な圧倒さではなく、21世紀の地政学・地経学における「心臓部」としての役割にあります。この記事は、重慶がいかにして中国の広域経済圏構想「一帯一路」の文字通り「ゼロ地点」となり、世界を繋ぎ止めているかを鮮やかに描き出しています。

重慶には、世界最大の物流ネットワークの起点を示す「キロメートル・ゼロ」の記念碑があります。ここから出発するのが、重慶、新疆、欧州を繋ぐ国際貨物列車「渝新欧(ユシンオウ)」です。総延長1万1,000キロを超えるこの鉄道は、わずか13日間でドイツのデュイスブルクに到達します。船便より1カ月も早く、航空便の5分の1のコストで、ノートパソコンから衣類、医療機器に至るあらゆる「メイド・イン・チャイナ」を欧州へ送り届けています。この青いコンテナの列は、ユーラシア大陸の動脈として機能しているのです。

さらに重慶は、北の欧州だけでなく、南の東南アジアへも触手を伸ばしています。「新陸海新通道(ILSTC)」と呼ばれるルートは、重慶を拠点にシンガポールやベトナム、ラオスを繋ぎ、今や中国の地方州とASEAN諸国の貿易の約4割を支えるまでになりました。さらに驚くべきは、そのネットワークが太平洋を越え、南米ペルーのチャンカイ港にまで直行便として繋がったことです。これにより、南米との輸送時間は15日間短縮され、コストも大幅に削減されました。重慶は今や、単なる内陸都市ではなく、鉄道、道路、水路を統合した「世界の貨物首都」へと変貌を遂げています。

紅海での紛争など、地政学的な動乱が海運を脅かすたびに、安定した重慶発の鉄道ルートは世界中の企業から「救世主」として選ばれています。ポルシェやアウディといった世界的メーカーが重慶に拠点を構えるのは、この圧倒的な接続性があるからです。西側諸国がロシアを迂回しようとする試みの中、重慶はカザフスタンやトルコを経由する「中央回廊」をも柔軟に使い分け、ユーラシアの物流を支配し続けています。重慶は、変わりゆく世界情勢の中で、中国が世界と繋がるための最も戦略的な「結節点」であり続けているのです。

生活費危機の犯人

The Affordability Crisis and the UniParty’s Inflation Shell Game - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの家計を直撃している「物価高騰」の正体と、それを利用する政治の不誠実な実態について、評論家のデビッド・ストックマン氏が痛烈な分析を行っています。2026年に入り、トランプ政権の2期目が始まって1年が経過しましたが、多くの家庭に届く電気料金の請求書は、前年比で6.7%も上昇しています。これはパンデミック以降続く異常な高騰の延長線上にあり、有権者が期待した「物価の沈静化」が、いかに現実とかけ離れているかを物語っています。

ストックマン氏は、政治家たちが展開する「インフレ率は鈍化している」という主張が、いかに一般市民の感覚と乖離しているかを指摘します。例えば、アメリカの食卓に欠かせない牛挽肉の価格は、この1年で約19%も上昇し、パンデミック前と比較すると実になんと72%も跳ね上がっています。鶏肉や乳製品も同様で、一時的な価格の上下はあっても、数年前の安価な水準に戻る兆しは全くありません。トランプ大統領は「バイデン前大統領の失政」を声高に責めますが、データの推移を見れば、物価高の責任は民主・共和両党がほぼ半分ずつ分け合っているのが実情です。

さらに深刻なのは、卵の価格急騰に見られるような、場当たり的な政策の連鎖です。大規模な養鶏場での鳥インフルエンザ対策として行われた1億羽以上の殺処分と、それに対する巨額の補償金は、結果として価格を以前の3倍にまで押し上げました。これは特定の政治家の責任というより、両党が癒着する農業ロビーの構造的な問題だと氏は喝破します。結局のところ、インフレの本質的な原因は、中央銀行であるFRBが過去数年間にわたって、膨大な借金を賄うために無尽蔵に紙幣を刷り続けてきたことにあります。

現在、アメリカが直面している「生活費危機」は、決して一時的な不運ではなく、金融・財政政策の失敗が積み重なった結果です。にもかかわらず、トランプ氏はインフレ抑制に動くFRBを批判し、再び緩和的な政策を求めています。ストックマン氏は、もしこのまま無責任な通貨供給が続けば、ドルの価値は10年以内に4割近く下落し、家計の困窮はさらに加速すると警告しています。政治的なスローガンで現実を覆い隠す「インフレのすり替え」に、もはや国民は騙されるべきではないという、厳しい提言が込められています。

中国でゴールドラッシュ

China’s gold rush: why families are doubling down on precious metals | South China Morning Post [LINK]

【海外記事紹介】春節を目前に控えた中国で、今、空前のゴールドラッシュが起きています。景気の先行き不透明感が増す中、中国の多くの家庭にとって、金は単なる装飾品ではなく、不安定な経済を生き抜くための「安全保障」としての存在感を強めています。特に今年の春節は、金の価格が高騰しているにもかかわらず、贈り物や投資目的での購入が急増しています。

国際的な金価格は、今年1月後半には1オンスあたり5,600ドルという歴史的な高値を記録し、現在は5,000ドル前後で推移しています。中国国内の小売価格も、昨年2月頃と比較して2倍近い水準まで跳ね上がりました。この価格高騰を受けて、広東省東莞市などの製造拠点では、純金よりも手頃な「銀に金メッキを施した宝飾品」が、帰省する出稼ぎ労働者たちの間で爆発的な人気を呼んでいます。故郷の親戚や恋人への贈り物として、現金よりも価値が目減りしにくい金関連の品を選ぶ人が増えているためです。

一方、大都市の中間層の間では、金はさらに切実な投資対象となっています。北京に住むある翻訳家は、中東情勢の悪化といった地政学リスクのニュースを耳にするたび、資産を守るために金関連の金融商品へ資金を投じていると語ります。不動産市場や株式市場の低迷が続く中、高い収益は望めずとも、金こそが「最も安全な賭け」であるという認識が定着しているのです。こうした過熱ぶりを受け、当局もリスク管理の強化に乗り出しており、銀行では投資商品の購入条件を厳格化するなどの措置が取られています。

しかし、この価格高騰は庶民の生活、特に農村部での結婚文化に重い影を落としています。中国の伝統的な結婚では、指輪やネックレス、ブレスレットの「三つの金」を贈ることが不可欠な通過儀礼とされています。現在、このセットを揃えるには少なくとも5万元、日本円で100万円を大きく超える費用が必要となり、一般の労働者家庭にとっては数年分の貯蓄を費やすほどの重い負担となっています。広州でタクシー運転手として働く女性は、まだ15歳の息子の将来のために、今から毎年5グラムずつ金を買い溜める計画を立てているといいます。先行きの見えない時代だからこそ、中国の人々は家族の未来を守るために、必死に黄金を追い求めているのです。

「幽霊雇用」のからくり

Peter Schiff: Jobs Vanished, No Surprise | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家ピーター・シフ氏が、自身のポッドキャストで、米国の雇用統計の信憑性と、その背後に隠された経済の深刻な病理について鋭い分析を行いました。シフ氏がまず糾弾したのは、政府が発表した衝撃的な雇用データの下方修正です。驚くべきことに、2019年まで遡って計250万件もの雇用が「最初から存在しなかった」として抹消されました。シフ氏は、政府が何年もかけて「雇用は創出された」と嘘の報告を積み上げてきた事実を指摘し、労働市場が公式発表よりもはるかに脆弱であったことを強調しています。

なぜこのような「幽霊雇用」がデータに紛れ込むのでしょうか。シフ氏は、米労働統計局が採用している「出生死亡モデル」という手法に欠陥があると断じています。これは「毎月一定数の企業が新たに誕生し、人を雇っているはずだ」という単なる仮定に基づいて数字を上乗せする仕組みです。実際には企業が生まれていなくても、政府は「生まれているはずだ」という前提で存在しない雇用をカウントし続け、市場を誤認させてきたというのです。

また、関税政策などによる海外からの投資促進という政治的な物語についても、シフ氏は真っ向から否定しています。実際には資金は米国から流出しており、世界は着実に「脱ドル化」のプロセスを進めています。米国が世界の貿易において重要性を失い、ドルの価値が大幅に下落することで、米国の国際的な影響力も失われていくという厳しい見通しを示しました。

シフ氏は、現代の政策立案者が忘れてしまった経済の基本原則についても改めて言及しています。豊かさとは、政府が作り出す「需要」から生まれるのではなく、消費を抑えた「貯蓄」と、それを元手にした「投資」による「供給(生産)」から生まれるものです。貧困を解決する唯一の方法は、人々が手に入れられる「モノ」を実際に作り出すことであり、紙幣を刷って需要を煽ることではないと説いています。

最後に、仮想通貨についても自身の見解を述べています。シフ氏は、実体のないビットコインを「何も価値がないものを愚か者に売る投機」と切り捨て、今後は「金をトークン化したデジタル資産」が主流になると予測しています。金の裏付けがあるトークンは、金そのものに価値があるため、一攫千金は狙えませんが、価値の保存手段としてビットコインに取って代わる優れた製品になると締めくくりました。

政府は通貨に手を出すな

Schiff on Reality Check: Get the Government Out of Money | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家ピーター・シフ氏が、金融番組「リアリティ・チェック」に出演し、金や銀の価格下落を投資家が歓迎すべき理由と、政府による通貨管理の危険性について熱弁をるいました。シフ氏は、足元の貴金属価格の軟調さを「失敗」ではなく「絶好の機会」と捉えています。この下落は、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨、あるいは過剰に買われていたハイテク株やAI関連株の暴落に伴う「追い証」を解消するための強制的な売却に巻き込まれた結果であり、金そのものの価値が損なわれたわけではないと分析しています。

シフ氏の予測によれば、爆発的に増え続ける米国の債務を賄うために、政府が無からドルを刷り続ける限り、金の価格は中長期的にさらなる高値を目指すことになります。現在のドルの発行ペースを考えれば、金価格が1オンス5,000ドルから2万ドルへと急騰する事態も、そう遠くない未来に起こり得ると警鐘を鳴らしました。彼はこうした自身の確信の根拠として、アラン・グリーンスパン氏以降、歴代のFRB議長たちが繰り返してきた失政を挙げています。安易な金融緩和によってバブルを膨らませ、崩壊の種をまき続けてきた中央銀行の歩みこそが、インフレを加速させ、経済を破綻へと向かわせているというのです。

現在の資産価格はファンダメンタルズから完全に乖離しており、私たちは一つのバブルから次のバブルへと渡り歩いているに過ぎません。シフ氏に言わせれば、2008年のリーマンショックさえも、今後訪れる巨大な経済崩壊の前触れに過ぎないのです。世界中でドルの信頼が失われ、ドルからの脱出が加速しているのは、現政権の政治的選択がその動きを後押ししているからであり、賢明な国際社会はすでにドルの先行きを見限っていると指摘しています。

最後に、シフ氏はリバタリアンとしての核心的な主張を展開しました。「通貨の管理を政府から引き離し、民間セクターに委ねるべきだ」という提言です。政府が税金として資金を集めるのではなく、魔法のように無から通貨を捏造できる現状が諸悪の根源であると説いています。そして、もし民間が自由に通貨を選べるようになれば、選ばれるのはビットコインのようなデジタル資産ではなく、歴史的な裏付けを持つ金や銀になるだろうと締めくくりました。政府の干渉を排除した「誠実な通貨」の再構築こそが、私たちが直面する危機の本質的な解決策なのです。

不可解な雇用統計

The Government Job Eraser Strikes Again! [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの雇用統計が、実は見かけほど堅調ではない可能性が浮上しています。今回の記事が指摘するのは、米連邦準備理事会(FRB)が政策決定の根拠としている雇用データが、後から大幅に下方修正される「職消しゴム」とも呼ぶべき実態です。今年1月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBは利下げの見送りを決定しました。パウエル議長はその理由として、雇用市場が「安定」しており、経済活動が力強く拡大していることを挙げました。しかし、その根拠となった労働統計局のデータには大きな疑問符が付きます。1月の雇用報告では、市場予想の7万件を大きく上回る13万件の雇用増が発表され、メディアはこの「ポジティブ・サプライズ」を大々的に報じました。ところが、この記事の著者が注目すべきだと警鐘を鳴らすのは、華やかな見出しの裏に隠された「改定値」の存在です。

驚くべきことに、1月の良好な数字が発表される一方で、前月12月の数字は下方修正され、さらに年末の統計モデルの見直しによって、これまでに積み上げられてきた雇用のうち、実に40万3000件分が「抹消」されました。この修正を加味すると、2025年を通じてのアメリカ経済の月平均雇用創出数は、わずか1万5000件にとどまっていたことになります。毎月の速報値だけを見ている一般の日本人からすれば、アメリカの労働市場が絶好調であるかのような印象を受けますが、現実はそれとは大きくかけ離れているのです。しかも、こうした下方修正は今回に限ったことではなく、労働統計局の常套手段となっています。2024年3月から2025年6月の間だけでも、当初発表されていた雇用のうち約91万件が後から消し去られていました。2023年に至っては、12カ月のうち10カ月で下方修正が行われるという異常な事態でした。

統計の性質上、修正が入ること自体は避けられませんが、不可解なのは、なぜその修正のほとんどが「雇用の減少」方向ばかりに働くのかという点です。2003年以降、年間確定値が速報値を下回った回数は、上回った回数の2倍に達しています。これは、政府機関が時の政権や経済を良く見せようと意図的に数字を操作しているのではないかという疑念を抱かせます。最も深刻な問題は、中央銀行のトップたちが、この信頼性に欠けるデータをもとに金利という世界経済を左右する重要な決断を下していることです。足元の数字が砂上の楼閣であるならば、それに基づいた政策判断が経済を誤った方向へ導くリスクを、冷静に見極める必要があります。

関税増でも膨らむ財政赤字

Trump Administration Still Running Budget Deficits Despite Surge in Tariff Revenue [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権下のアメリカでは、関税収入が急増しているにもかかわらず、連邦政府の財政赤字が解消されないどころか、膨らみ続ける支出によってさらなる債務の深みに沈み込んでいる実態があります。マイク・マハリー氏による最新の報告によれば、1月の連邦財政は946億ドルあまりの赤字を記録しました。これは前年同月比で26パーセント減少してはいるものの、依然として巨額の赤字を垂れ流している状態に変わりはありません。赤字幅が縮小した背景には、政府収入の力強い伸びがあります。特に、トランプ大統領が掲げる関税政策の影響は顕著です。しかし、一部の専門家が主張する「関税収入だけで所得税を廃止できる」といった見通しは、数字を見る限り現実味のない幻想に過ぎません。なぜなら、アメリカ政府には根深い「支出癖」という問題があるからです。

トランプ政権は1月だけで6545億ドルもの巨額支出を行いました。これは前年比で2パーセントの増加です。環境保護局や教育省の予算削減、あるいは政府効率化省(DOGE)による無駄の指摘など、支出削減に向けた動きが喧伝されてはいますが、全体像を見れば支出の軌道は依然として上向きです。2025会計年度の支出総額は7兆ドルを超え、1日あたりに換算すると192億ドルもの税金が使われている計算になります。「歴史的減税と支出削減」を謳った法律も、実際には支出の「増加ペース」を抑えるだけで、絶対的な支出額を減らすものにはなっていません。結局のところ、政治の世界では支出削減を口にするのは容易でも、実行に移すことは極めて困難であることを今回のデータは物語っています。さらに深刻なのは、利払い費の増大です。米連邦債務は38兆7000億ドルという天文学的な数字に達しており、1月だけで718億ドルもの利息が支払われました。2026会計年度の最初の4カ月間で支払われた利息は、国防費やメディケアの予算を上回り、社会保障費に次ぐ第2の支出項目となっています。

かつての低金利時代に発行された国債が次々と満期を迎え、より高い金利の国債に借り換えられているため、利払いの負担は今後も増え続ける一方です。財政赤字を関税で埋め合わせようとする試みは、加速する支出と利払いの暴走を前にして、その効果を打ち消されています。

五輪メダル、資産価値が飛躍

Just How Much Are Those Olympic Medals Worth? [LINK]

【海外記事紹介】現在開催中のミラノ・コルティナ冬季五輪で、アスリートたちが夢見る「金メダル」の驚きの実態と、その経済的価値に迫るレポートをご紹介します。表彰台の頂点で輝く金メダルですが、実はその中身のほとんどが「銀」であることは意外に知られていません。今大会の金メダルは、500グラムのスターリングシルバー(銀92.5%の合金)で作られており、その表面をわずか6グラムの24金でコーティングしたものです。つまり、物理的な実体としては「銀メダル」に薄い金の膜を張ったものと言えます。

しかし、注目すべきはその「価値」の激変です。近年の貴金属価格の高騰により、今大会のメダルは、わずか2年前のパリ五輪当時と比較して、資産価値が劇的に跳ね上がっています。現在の銀相場(1オンス約78ドル)で計算すると、メダルに含まれる銀だけの価値で約1,160ドルに達します。パリ五輪時の銀メダルの価値が約535ドルだったことを考えると、銀の部分だけでも2倍以上の値打ちがあることになります。さらに、6グラムの金(1オンス5,000ドル換算で約965ドル)を加えると、金メダル1個の時価は約2,125ドル、日本円にして約32万円相当にものぼります。

もしこのメダルを純金で製作したとしたら、その価値は8万3,300ドル(約1,250万円)を超えてしまいます。五輪史上、純金のメダルが授与されたのは1904年のセントルイス五輪と1908年のロンドン五輪のわずか2回のみで、当時はメダル自体が非常に小さく、金価格も1オンス20ドル足らずという時代でした。現代の巨大なメダルを純金で作ることが現実的でないのは、この価格差が理由です。ちなみに、銅と亜鉛の合金である銅メダルの価値は、わずか4ドル(約600円)程度。著者は冗談交じりに「3位にはならないことだ」と付け加えています。

華やかなスポーツの祭典の裏側で、メダルの価値がこれほどまでに上昇している事実は、金や銀がいかに優れた「価値の保存手段」であるかを如実に物語っています。インフレが続く世界において、アスリートが手にするのは、単なる名誉の証以上の重みを持った「真の資産」であると言えるでしょう。

2026-02-14

飢餓を武器にした外交

When Did Starvation Become an Acceptable Tool of Foreign Policy? - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの外交政策において、いつから「飢餓」が正当な手段として扱われるようになったのでしょうか。かつてリチャード・ニクソン大統領は、チリの経済に「悲鳴を上げさせろ」とCIAに命じました。しかし、経済とは抽象的な概念ではなく、その実態は飢えに苦しむ人々です。現代において「制裁」や「経済封鎖」という言葉は、飢餓を利用した脅迫の言い換えに過ぎません。アイゼンハワー大統領はキューバに対し「彼らが飢えればカストロを追い出すだろう」と語り、半世紀以上が経過した現在、ポンペオ前国務長官もイランに対し「国民に食事をさせたいなら米国の要求に従え」と同趣旨の発言をしています。トランプ政権下でも、この残酷な政策は「最大限の圧力」として継続・強化されています。

現在、キューバでは燃料不足により電力供給が滞り、経済の生命線である観光業も崩壊寸前です。トランプ大統領はキューバへの石油輸入を完全に遮断する大統領令に署名し、石油を送る国には関税を課すと脅しています。これは外交ではなく、意図的に飢餓を引き起こそうとする「経済戦争」です。国連事務総長も、石油不足がキューバの深刻な人道危機を招き、社会崩壊につながると強い懸念を表明しています。権力者の暗殺やクーデターが失敗し続けた結果、米国は四半世紀にわたり失敗し続けてきた「国民を飢えさせて政権を転覆させる」という、非人道的で違法な手段をさらに激化させているのです。

イランに対しても同様の論理が働いています。米国の制裁はイランの通貨を暴落させ、中間層を激減させ、国民の生活を破壊しました。米財務省のベッセント長官は、イランの銀行が破綻し、インフレが爆発して人々が街頭に繰り出したことを「経済外交の成果」であり「良いニュース」だと公言しています。しかし、イラン政府が国民の求める経済改革を行おうにも、米国の制裁がある限りそれは不可能です。米国はイランが防衛力を放棄し、政権が交代するまで制裁を解かない構えです。

こうした一方的な制裁による死者数は、武力衝突による犠牲者に匹敵するという研究結果も出ています。外交の場から対話が消え、飢餓を武器にして他国の政権を屈服させようとする米国の姿勢は、果たして現代の国際社会で許容されるべきものなのでしょうか。私たちは、特定の政権への善悪の判断とは別に、一般市民を標的にした「飢餓の輸出」という政策の倫理性について、今一度深く考える必要があります。

大新聞の終焉

The Turmoil at the Washington Post Does Not “Threaten” Democracy | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの名門紙ワシントン・ポストで大規模な人員削減が進んでおり、一部の知識人からは「民主主義の危機だ」という悲鳴が上がっています。しかし、本当にそうでしょうか。かつてニクソン政権を追い詰めたウォーターゲート事件の栄光を知る人々は、ジェフ・ベゾス氏による買収後の同紙の変容を嘆き、「政府を監視するジャーナリズムが失われれば、国民は情報の島を失い、政府は狼と化す」と警告しています。しかし、現在の主流メディアが本当に民主主義の守護者として機能しているのか、冷静に問い直す必要があります。

歴史を振り返れば、アメリカのジャーナリズムはトーマス・ジェファーソンが掲げた理想から遠ざかり、長らく国家権力を補完する道具として機能してきました。主流メディアは、自分たちがエリート層を保護し、リベラルな統治体制を維持するための広報機関と化していることに気づいていません。例えば、トランプ前政権下で同紙が熱心に報じた「ロシア疑惑」は、後に根拠の薄いものだったことが判明しました。また、新型コロナウイルスのパンデミックの際には、自由を制限するロックダウンやマスク着用義務を熱狂的に支持し、今では有力な説となっている「研究所流出説」を「デマ」として一蹴し、情報の多様性を自ら闇に葬ったのです。

かつての「社会の不正を暴く記者」たちの物語も、多分にフィクションが含まれています。教科書に載るような有名な暴露記事の多くが、実は事実に反する誇張や虚偽であったことが後の調査で明らかになっています。主流メディアの記者たちは、政府当局者と親密な関係を築き、互いに便宜を図り合うことで特権的な地位を守ってきました。しかし、インターネットの普及がこの癒着構造を破壊しました。かつてのデューク大学ラクロス部員による暴行疑惑事件では、主流メディアが一斉に「有罪」の合唱を繰り返す中で、事実に基づき異議を唱え、最終的に無実を証明したのは、組織に属さない独立した記者たちでした。

ワシントン・ポストの衰退は、民主主義の終焉ではなく、特権的なエリートによる情報独占の終わりを意味しています。莫大な負債を抱えながら国民に犠牲を強いる政府を、主流メディアの記者が喝采して支える時代は終わるべきなのです。ニュースルームで育てられた「職人」がいなくなっても、インターネットを通じて事実を追求する独立したジャーナリストたちが、既存メディアよりもはるかに優れた仕事で政府の不正を暴いていくでしょう。私たちは、巨大新聞社の終焉を恐れる必要はないのです。

米国のスタグフレーション

Schiff w/ Horowitz: Gold Is Being Targeted | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家ピーター・シフ氏が、ダニエル・ホロウィッツ氏のインタビューに応じ、現在の経済政策や市場動向に対する痛烈な批判を展開しました。シフ氏は今、金や銀といった貴金属の価格を抑制しようとする「組織的な攻撃」が行われていると主張しています。驚くべきことに、彼はトランプ政権までもがその動きに関与している可能性を示唆しました。当局は、金属価格の急騰が米ドルや債券市場に及ぼす悪影響をますます懸念しているといいます。さらに、連邦準備理事会(FRB)の新たな理事たちが政権の意向に従う「操り人形」として行動する可能性があり、FRBの独立性が形骸化しつつあることに対し、深い懸念を表明しました。

シフ氏は、景気後退とインフレが同時に進行する「スタグフレーション」のメカニズムについても詳しく解説しています。多くの人は不況下では物価が下がると考えがちですが、実際には経済が弱体化して生産性が落ちれば、供給が減ることで物価はむしろ上昇します。現在の米国が直面している「生活コストの危機」の本質は、民主・共和両党が責任をなすりつけ合っているような単純な話ではなく、通貨価値の減退、つまりドル安によって国民の稼ぎや貯蓄の購買力が失われていることにあると断じています。

また、トランプ政権が推進する関税政策についても、シフ氏は厳しい目を向けています。関税は一部の国内生産者を保護するかもしれませんが、輸入部品のコストを押し上げることで、結果としてアメリカの製造業全体の競争力を削いでしまう「諸刃の剣」であると警告しました。例えば鉄鋼関税は、国内の鉄鋼メーカーには有利に働いても、より高価な材料を買わされる自動車メーカーなどの需要を減らし、経済全体に悪影響を及ぼすというわけです。

最後に、ビットコインを中心とする仮想通貨業界についても、シフ氏の持論は揺らぎません。彼は仮想通貨に実質的な価値はほとんどなく、現在の市場価値は過大評価されていると一蹴しました。最近の政府によるビットコインへの歩み寄りは、ビットコイン推進派から多額の資金提供を受けたことによる政治的な動機に基づくものであり、決して本質的な理念によるものではないと批判しています。

制御不能の米政府債務

Schiff w/ Livera: Debt is the Bubble, Bitcoin Isn’t the Answer | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家ピーター・シフ氏が、ビットコイン支持者として知られるステファン・リベラ氏のインタビューに応じ、アメリカ経済の構造的な欠陥とビットコインの限界について語りました。シフ氏が最も懸念しているのは、制御不能に陥った膨大な連邦政府の債務です。彼は、どの政党が政権を握ってもこの債務の増大は止まらず、アメリカは借金を返済するどころか、その利払いすら満足にできない状況にあると指摘しています。さらに、トランプ大統領が住宅価格の上昇を望む発言をしていることにも触れ、本来は高すぎて手が出せない「住宅バブル」の状態にあるにもかかわらず、政治的なインセンティブがさらなるバブルを助長していると批判しました。

連邦準備理事会(FRB)の人事についても、シフ氏は鋭い見解を示しています。トランプ大統領がパウエル議長を「ハト派ではない」と批判し、新たな議長を指名しようとする動きは、より大幅な利下げやバランスシートの拡大、つまり、より規律の緩い金融政策を求めている証拠だというのです。一方で、シフ氏は新しい技術そのものを否定しているわけではありません。人工知能(AI)については、労働力を節約しビジネスの効率を高める「人類の進歩」としての計り知れない可能性を認めています。知能の向上が生産性を飛躍させ、本来なら百年かかる発明を一年で成し遂げるような未来も描き出していますが、それはあくまで「健全な通貨」によって市場の歪みが抑えられていることが前提です。

仮想通貨については、相変わらず厳しい姿勢を崩していません。シフ氏によれば、近年のビットコインの上昇は、ウォール街が「カジノの胴元」のように手数料を稼ぐために熱狂を煽った結果に過ぎず、投資家の資産が失われても彼らは気にしないのだと断言しています。また、マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー氏による巨額のビットコイン投資についても、平均購入価格に対して現在の価格はわずかな含み益がある程度に過ぎず、もし大量の売却を試みれば市場は暴落し、多額の損失を被るだろうと予測しています。「ビットコイン以外の資産を買っていれば、もっと良い財務状態だったはずだ」と切り捨てました。

企業は金保有を

Schiff on Wolf Financial: Corporations Should Be Buying Gold | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家であるピーター・シフ氏が、金融メディア「ウルフ・フィナンシャル」のインタビューに応じ、米ドルに対する信頼の失墜と、企業が資産防衛のために金(ゴールド)を保有すべき理由について語りました。シフ氏は長年、現在の不換紙幣制度の危うさを指摘してきましたが、今回の発言では特に、中央銀行の動向と企業の財務戦略における「真の安全資産」の重要性を強調しています。まずシフ氏が注目しているのは、世界各国の中央銀行がドルの保有を減らし、金へとシフトしているという明確な動きです。これは、中央銀行が米ドルの価値維持や米政府の財政再建能力に対して、もはや信頼を失っている証拠であると彼は分析しています。中央銀行が金を買い続けている事実は、ドルの代替資産として金が再認識されていることを示しており、これが世界経済のゲームチェンジャーになると警鐘を鳴らしました。

一方で、金に関連する市場セクターは、本来の価値に対して依然として過小評価されているとシフ氏は見ています。市場参加者の多くが「現在の価格は維持できない」と保守的な見方をしているため、次の四半期決算などで予想を上回る数字が出れば、ウォール街もようやく再評価に動くのではないかと述べています。また、企業の財務戦略についても厳しい見解を示しました。特に、ビットコインを大量に購入しているマイクロストラテジー社の事例を挙げ、その投資結果がいかに悲惨であるかを論じています。同社は過去5年間で巨額の資金をビットコインに投じてきましたが、その価値は購入額を大きく下回っており、ピーク時からは大幅に下落しています。シフ氏によれば、ビットコインへの投資は資産の保全ではなく、単なるカジノでのギャンブルに等しい行為です。

シフ氏は、多額の現金を保有する企業の財務担当者に対し、インフレによって購買力が減退するドルをそのまま持ち続けるのではなく、価値の保存手段として優れた金に分散投資すべきだと助言しています。現金が目減りしていく中で、配当や自社株買い、あるいは金での保有を選択することが、賢明な財務管理であると説いています。最後に、政治的な言動が国際関係や経済戦略を混乱させるリスクについても触れ、地政学的な不安定さが世界に懸念を与えている現状を指摘しました。日本にとっても、ドルの価値変動や新たな資産防衛のあり方は避けて通れない課題です。

金鉱株に投資チャンス

A Generational Opportunity in Miners - The Daily Reckoning [LINK]

【海外記事紹介】資源投資のスペシャリストであるマット・バディアリ氏が、現在の金鉱株市場に訪れている「一世一代の投資機会」について、非常に鋭い分析を行っています。今週、金鉱株市場ではヘッジファンドや目先の利益を追うトレーダーによる投げ売りが起きましたが、バディアリ氏はこれを「一時的な揺さぶり」に過ぎないと一蹴しています。むしろ、これから数年の間に起きる特別な変化を見逃すべきではないと、投資家たちに強い確信を持って呼びかけています。

現在、金や銀の価格は過去一年間で劇的に上昇していますが、その驚異的な上昇が鉱山会社の収益に反映され始めたのは、実は今まさに始まったばかりなのです。バディアリ氏は、鉱山セクターには今後、未曾有のキャッシュフローの津波が押し寄せると予測しています。その予兆は、大手鉱山会社の決算報告に明確に現れています。例えば、シルバーコープ社の最新の決算によれば、銀の販売価格は前年同期比で80パーセント、金は58パーセントも上昇しました。さらに、大手のアグニコ・イーグル社にいたっては、販売価格の上昇によって純利益が前年の5億ドルから15億ドルへと、わずか一年で3倍近くにまで膨れ上がっています。

それにもかかわらず、驚くべきことに、こうした好決算はまだ株価に全く反映されていません。アグニコ・イーグル社の株価は、市場全体の金鉱株指数と同じ動きにとどまっており、突出した利益成長が無視されている状態です。バディアリ氏は、ここに巨大な投資のチャンスがあると考えています。鉱山会社は、生産コストを増やすことなく販売価格だけが上昇しているため、増えた売上の大部分がそのまま利益として積み上がります。現在の価格水準が維持されるだけで、業界全体で過去最高益が次々と更新されることになるでしょう。

さらに、今後の展開としてバディアリ氏は、潤沢な資金を手にした大手企業による買収劇が始まると見ています。鉱山は工場とは違い、資源の量には限りがあるため、大手は次の採掘現場を確保するために、有望な開発プロジェクトを持つ中小型の企業を買い叩き始めます。現在は、保有する資産の価値に対して株価が極端に割安な企業が市場に溢れており、これら「開発段階の企業」の価値が爆発する瞬間が近づいています。私たちは今、金そのものへの投資から、その恩恵を最大限に受ける金鉱株へと、投資のステージが移り変わる歴史的な転換点に立っているのかもしれません。

中国の少女、金投資で成功

China ‘genius’ girl, 10, began buying gold 3 years ago to avoid parents spending her lucky money | South China Morning Post [LINK]

【海外記事紹介】中国・河北省に住む10歳の少女が、お年玉(紅包)を使って3年前から金(ゴールド)を買い続け、その「先見の明」が大きな話題を呼んでいます。彼女が投資を始めたのは2023年。その理由は「両親にお年玉を使われてしまうのが怖かったから」という、子供らしい切実なものでした。現金よりも金の方が価値を保存しやすいと考えた彼女は、毎年受け取る約4,000元(約8万円)のお年玉をコツコツと金に変えていきました。

彼女の投資成果は驚異的です。2023年の買い始めの価格は1グラムあたり約460元(約1万円)でしたが、2026年2月現在、中国国内の金価格は1グラムあたり1,100元(約2万3,000円)を突破。わずか3年で価値が2倍以上に膨れ上がった計算になります。現在、彼女の手元には約30グラムの金があり、時価総額は33,000元(約70万円)に達しています。母親は「娘は私より優れた投資家だ。もっと早く娘の真似をしていればよかった」と苦笑交じりに語っています。

専門家は、2026年に入ってからの金価格急騰の背景として、以下の要因を挙げています:

地政学的リスクの増大:特に米国の政策を巡る不確実性。
関税の脅威:ドナルド・トランプ氏による関税引き上げ示唆。
中央銀行の買い増し:各国の中央銀行が安全資産として金を蓄積。

SNS上では、この少女を「天才投資家」「タイムトラベラー」と称賛する声が相次いでおり、「将来の成功した実業家の姿が見える」といったコメントで溢れています。2026年1月30日には、次期FRB議長人事を巡る観測から金価格が一時的に急落し、多くの投資家がパニックに陥る場面もありましたが、この少女は動じることなく「今後も買い続ける」と宣言しています。

10歳の少女が示した「長期投資と現物資産」の重要性は、不安定な経済状況にある大人たちにとっても大きな教訓となりそうです。