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インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-02-25

ウクライナ和平への道

Peace in Ukraine Requires Urgency From Both Sides | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】ウクライナでの戦争を終結させるための外交交渉が、かつてないほどの緊迫感を持って語られています。2026年2月現在、ゼレンスキー大統領がトランプ政権から「6月の交渉期限」を提示されたと明かし、NATOのルッテ事務総長も「悲惨な戦争の終結には困難な選択が必要だ」と述べるなど、和平への圧力が急速に高まっています。ロシア側でも、強硬派からの突き上げや米国との交渉の遅れに対する苛立ちが募っており、戦況がロシア優位に進む中で、開戦初期以来となる直接対話がようやく動き出しています。

この記事の著者は、平和を実現するためには「双方の安全保障上のニーズとレッドライン(譲れない一線)の尊重」が不可欠であると説いています。驚くべきことに、両国はすでに重要な譲歩を見せ始めています。ウクライナは事実上のNATO加盟断念と、クリミアやドンバス地方の割譲を容認する姿勢を示し、対するロシアも、ウクライナが第三国から安全保障を受けることやEUへ加盟することを認め、凍結資産を再建費用に充てることについても妥協の余地を見せています。

最大の焦点は、安全保障の枠組みと領土の線引きです。ロシアはウクライナのNATO不加盟を絶対条件としていますが、ウクライナはこれに対し、EU条約に基づく強力な防衛援助義務を代替案として検討しています。領土問題では、ロシアはドンバス全域の確保を外交的に確定させたい考えですが、ウクライナは軍事的に維持している土地を守りつつ、自国の80%を独立した主権国家として存続させる道を探っています。これは1940年代にソ連との戦争を経て独立を守り抜いたフィンランドの歴史的な決断にも重なります。

4年以上にわたる戦いで、数十万人の尊い命が失われ、国土は荒廃しました。著者は、今の外交交渉でテーブルに乗っている条件の多くは、実は開戦直後にも合意可能だった内容であると指摘し、その遅れを深く嘆いています。しかし、双方が自国の「勝利」として国民に説明できるナラティブを構築し、安全保障上の実利を確保できる外交の道は、まだ残されています。さらなる犠牲を重ねる前に、この「最後の一線」を越えて平和を掴み取ることが、すべての関係者に求められています。

ガザ再建計画と米不動産マネー

The Gaza Plan’s 'Sick Kind of Detachment' and its Dangers for America | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権によるガザ再建計画「レイズ・アンド・リビルド」、すなわち「破壊と再建」が孕む深刻な欺瞞と、それが米国社会に及ぼす危険性について、ジャーナリストのマット・ウルフソン氏が鋭く告発しています。2026年1月、ダボス会議の壇上に立ったジャレッド・クシュナー氏は、未来的な高層ビルや高級リゾート、データセンターが並ぶガザの完成予想図を披露し、これを「ガザの人々のための夢の計画」であると胸を張りました。クシュナー氏は100%の雇用や最新の教育・医療制度を約束し、投資家には利益を、メディアには「前向きな物語に集中せよ」と呼びかけましたが、その口調は中堅コンサルティング会社の営業プレゼンのように軽やかで、現場の悲劇とはあまりにかけ離れたものでした。

この記事の著者は、この光景を「異常な乖離」と呼び、厳しく批判しています。ガザでは今この瞬間も、浸水したテントで子供たちが凍え死に、瓦礫の下に無数の遺体が埋もれているのです。それにもかかわらず、その場所を不動産開発の対象として語る感性は、過去の植民地主義者がインドやパリで行った、歴史を消去して近代化を強行する手法と何ら変わりません。こうした「近代化」という美名は、かつての英仏帝国が石油資源を管理するために用いたコードネームと同じ役割を果たしています。イスラエルの指導層もまた、1990年代からハイテク技術を武器に、パレスチナ人を監視下に置きながら「シンガポールのような繁栄」という餌をぶら下げ、その実態は自由を奪う「屋根のない監獄」を作り上げてきたと指摘されています。

今回の再建計画の背後には、米国の有力な不動産開発業者や技術者たちのネットワークが存在します。彼らはガザを白紙の状態から作り直すために、まずは現地の住民を移動させ、テロ組織の武装解除を条件に掲げていますが、その本質は「強圧と懐柔」による支配にあります。しかし、著者が最も警鐘を鳴らしているのは、この「ガザ・モデル」がガザだけに留まらず、すでにアメリカ国内にも輸入されているという点です。ニューヨークやマイアミで進められているスマートシティ化や、監視カメラによる厳格な治安維持、そして不動産価格の高騰による元々の住民の追い出しは、ガザで行われていることと構造的に同じです。かつての中間層が家を追われ、その子供たちが低賃金の配達員として働く現状は、帝国的な開発が生む共通の帰結なのです。

トランプ大統領が提唱する、連邦地に建設予定の「フリーダム・シティ」構想もまた、歴史や地域性を無視した管理社会の雛形と言えます。著者は、私たちがガザで起きている「異常な乖離」を他人事として見過ごし、この冷酷な開発論を受け入れてしまえば、最終的にはアメリカ国民自身も、クシュナー氏が描くような「上からの心理的コントロール」が行き届いた未来に閉じ込められることになると警告しています。ガザの悲劇を不動産ビジネスの好機として捉えるような価値観が、私たちの社会の屋台骨をも蝕もうとしている事実に、私たちは今すぐ目を向ける必要があります。

揺らぐ韓国の対米観

Watching Uncle Sam From Seoul - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】「ソウルからアンクル・サム(米国)を注視する」——元外交官で東アジア専門家のジェフリー・ロバートソン氏による、トランプ政権の予測不能な外交が韓国に与えている衝撃と、同盟の変質を分析した論考を要約します。

著者は、2026年1月のベネズエラでのマドゥロ大統領拘束作戦(アブソリュート・リゾルブ作戦)や激化する対イラン紛争を機に、韓国の対米観が「信頼」から「不信と計算」へと決定的に変化したと指摘しています。

記事が分析する韓国側の主な懸念は以下の通りです。

  • 「予測可能性」の崩壊: かつての米韓同盟は、6カ国協議や緻密な同盟調整といった「プロセス」に基づき、リスクを管理し安定を維持することを目的としていました。しかし現在のトランプ外交は、SNSや大統領個人の感情に突き動かされた「即興劇」のように見えます。韓国にとって、この不確実性は死活的な脅威です。

  • ベネズエラとイランの衝撃: 国連の承認も自衛権の行使でもないベネズエラでの電撃作戦や、明確な戦略的根拠(民主化か、核阻止か、体制転換か)が見えないイランへの攻撃は、ソウルの専門家たちに「朝鮮半島も単なるパフォーマンスの舞台にされるのではないか」という恐怖を植え付けました。

  • 「戦略的支点」としての悪用: 朝鮮半島は米国のインド太平洋戦略における「支点(テコ)」ですが、韓国側は、米国(あるいはトランプ一族)の利益を守るために自分たちが中国やロシアに対する盾として使い捨てられることを恐れています。

  • 同盟の空洞化: 韓国世論は依然として同盟を支持していますが、その中身は変質しています。若手の政策立案者は、パートナーシップの多角化、独自の防衛力強化、外交的自律性の拡大といった「ヘッジ(保険)戦略」を公然と議論し始めています。中には、BRICSへの接近や、中国の覇権を容認した場合の利得を検討する者さえ現れています。

「韓国人は米国の力を信じなくなったのではなく、米国の『着実さ(steadiness)』を信じなくなったのだ」。著者は、米国があらゆる地域を混乱の舞台として扱うなら、ソウルは米国との間に距離を置き、共通の運命ではなく「冷徹な計算」に基づいて動くようになると警告しています。

経済制裁による殺人

The Architectures of Ruin – How Sanctions Kill in Venezuela and Beyond - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】「崩壊の構造 —— ベネズエラと世界で制裁がいかに人を殺すか」。著名な経済学者フランシスコ・ロドリゲス氏の著書『ベネズエラの崩壊』と、医学誌『ランセット』に掲載された共同研究を基に、制裁という名の「経済的包囲網」がもたらす凄惨な結末を分析した論考をご紹介します。

著者のマイケル・ホームズ氏は、ベネズエラの悲劇を単なる「社会主義の失敗」という道徳劇として片付ける見方を否定します。ロドリゲス氏の厳密なデータ分析によれば、ベネズエラの経済崩壊の約半分は、金融アクセスや石油市場を遮断した米国の制裁が直接的な原因であると指摘されています。

記事の主なポイントは以下の通りです。

  • 「焦土作戦」としての制裁: 2017年の金融制裁と2019年の石油禁輸は、すでに危機にあったベネズエラ経済を「死の淵」へと突き落としました。これにより、国家は電力網、水道、公共医療を維持するための収入を失いました。これは政権の銀行口座を狙ったものではなく、国民の生存基盤そのものを狙った「経済的包囲戦」であったと著者は論じています。

  • 年間50万人以上の超過死亡: ロドリゲス氏らが『ランセット』誌で発表した研究では、過去50年間の150カ国以上のデータを分析。その結果、米国や欧州による一方的な経済制裁は、年間約56万4000人の超過死亡と関連していることが判明しました。これは現代の戦争による死者数に匹敵、あるいはそれを上回る規模であり、その犠牲者の多くは5歳未満の子供たちです。

  • 民主主義という名の欺瞞: 西側諸国は「民主主義のため」という名目で制裁を正当化しますが、実際には医療品や食料の輸入を困難にし、500万人以上の難民を生み出す人道的大惨事をもたらしました。これは、 regime change(政権交代)という政治目的を人命よりも優先させた結果であると厳しく告発しています。

  • 民意の乖離: ベネズエラ国民の約75%が制裁の緩和を望み、約65%が対話による解決を求めています。しかし、マドゥロ政権、米国の強硬策、そしてそれと足並みを揃える急進的な野党勢力という三者の「ゼロサム・ゲーム」によって、国民の切実な願いは無視され続けています。

著者は、現代の金融ツールは従来の兵器と同じくらい破壊的であり、ベネズエラは「帝国による新しい戦争の実験場」にされたと結論づけています。

トランプ氏変節、揺れる支持層

Does MAGA want Trump to ‘make regime change great again’? | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事紹介】「MAGAはトランプに『レジームチェンジ(政権交代)』の再興を望んでいるのか?」——ジャーナリストのジャック・ハンター氏による、2026年に入り急変したトランプ政権の外交姿勢と、揺れる支持層(MAGA)の動向を分析した記事を要約します。

2016年の初当選時、トランプ氏は「イラクやリビアのような失敗した国家建設や政権交代の政策を放棄する」と宣言し、反戦・非介入主義を掲げる「アメリカ・ファースト」派の支持を集めました。しかし、2026年1月現在、その姿は一変しています。

記事が指摘する「トランプ変節」の現状は以下の通りです。

  • ベネズエラでの電撃作戦: 年明け早々、米国はベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を拘束。トランプ氏は「現在ワシントンがベネズエラを統治している」と豪語しています。

  • 次なる標的への脅し: メキシコの麻薬カルテルへの攻撃を示唆し、キューバの体制崩壊を狙い、イランに対しても「地上軍(ブーツ・オン・ザ・グラウンド)を恐れない」と介入を警告しています。

  • 側近の入れ替わり: 非介入主義の旗手と期待されたJD・ヴァンス副大統領は、ベネズエラの石油や反共主義を理由に攻撃を正当化。かつて政権交代に反対していたトゥルシ・ギャバード氏は沈黙し、代わってマルコ・ルビオ国務長官やリンゼイ・グラハム議員といった「タカ派」がトランプ氏の耳目を独占しています。

MAGA支持層の反応:

興味深いのは、支持層の反応です。マージョリー・テイラー・グリーン議員のように「いつから政権交代が流行りになったのか」と困惑する声がある一方で、スティーブ・バノン氏やマット・ウォルシュ氏のような有力インフルエンサーは、「中東(イラク)の二の舞にさえならなければ、西半球(ベネズエラ等)での権力行使は歓迎だ」と、独自の論理でこの「新レジームチェンジ」を正当化し始めています。

世論調査(YouGov)では、ベネズエラ侵攻への米国民全体の支持は39%にとどまる一方、共和党支持者に限れば74%が賛成という「タカ派への回帰」が見て取れます。

著者は、タッカー・カールソン氏のような抑制派が依然としてトランプ氏のそばにいるものの、現在のホワイトハウスは新保守主義(ネオコン)のウィッシュリストを実現しているかのような状態にあり、2026年の外交は極めて危険な領域に入っていると結んでいます。

むき出しの帝国主義へ

What is US plan to reverse West's decline? Undo decolonization, revive 'great Western empires' - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事紹介】「欧州の植民地帝国を復興し、デコロニゼーション(脱植民地化)を覆す」——ジャーナリストのベン・ノートン氏による、2026年ミュンヘン安全保障会議でのマルコ・ルビオ米国務長官の演説を分析・告発する記事をご紹介します。

ノートン氏は、ルビオ氏の演説が「20世紀後半の反植民地闘争の成果を否定し、西側諸国の覇権を武力で再構築しようとする宣戦布告である」と論じています。

記事が指摘するルビオ演説の「新植民地主義的」な重要ポイントは以下の通りです。

  • 偉大なる西側帝国の称賛: ルビオ氏は、第2次世界大戦前の5世紀間にわたる西側の拡大(宣教、入植、征服)を「偉大で高貴な文明の行進」と称賛しました。1945年以降の脱植民地化の動きを「神を信じない共産主義者による陰謀」と呼び、西側諸国がこれまでの「植民地犯罪への罪悪感」を捨て、自らの伝統に誇りを持つべきだと主張しました。

  • 「新西側世紀」の構築: ルビオ氏は、米国と欧州が団結し、世界の人口の86%(グローバル・マジョリティ)を占める「グローバル・サウス」を再び西側の支配下に置く「新しい西側の世紀」を築くことを呼びかけました。

  • 自身のアイデンティティの転換: キューバ系であるルビオ氏ですが、演説では自身のルーツを「イタリアやスペインの征服者(コンキスタドール)」に求めました。彼は、先住民を虐殺・追放して「空っぽの平原を農地に変えた」入植者の末裔としてのアイデンティティを強調し、先住民へのジェノサイドという歴史的事実を事実上否定(ホワイトウォッシュ)しました。

  • 中国を排除した西側供給網: ルビオ氏は、西側の脱工業化を「中国による策略」と描き、中国を孤立させるための「クリティカル・ミネラル(重要鉱物)の西側専有供給網」の構築を提唱しました。

ノートン氏は、この演説に欧州の指導者たちがスタンディングオベーションを送った事実に注目し、西側のエリートたちが「民主主義や人権」という建前を捨て、剥き出しの帝国主義に回帰しようとしていると結論づけています。

ディープステートの外交私物化

Where in the Constitution is ‘the interagency’ anyway? | Blaze Media [LINK]

【海外記事紹介】「そもそも、憲法のどこに『省庁間合議(インターエージェンシー)』なんて言葉があるのか?」——作家のチャールズ・ゴイエット氏による、米国の「ディープステート(影の政府)」が外交政策を私物化し、大統領の権限を形骸化させている現状を告発する論考をご紹介します。

著者は、最近ニューヨーク・タイムズ紙などで明らかになった新事実を引き合いに出し、ディープステートがいかにして憲法上の制約を超えて活動しているかを鋭く問い直しています。

  • ニクソン政権へのスパイ工作: 最近公開されたウォーターゲート事件関連の機密文書により、ペンタゴン(国防総省)がニクソン大統領の国家安全保障会議(NSC)に対して13ヶ月に及ぶスパイ活動を行っていたことが判明しました。デタント(緊張緩和)やベトナム撤退を進める大統領の方針を嫌った軍トップが、下士官を使って機密文書を盗み出していたのです。著者はこれを「静かなクーデター」であったと示唆しています。

  • 「省庁間合議(インターエージェンシー)」という虚構: トランプ政権下でアレクサンダー・ビンドマン中佐が「大統領の方針は『省庁間合議(インターエージェンシー)』の合意と矛盾している」と証言したことを、著者は痛烈に批判します。憲法のどこにも規定されていないこの「合議」なるものが、選挙で選ばれた大統領の意思を上書きする正当性はどこにあるのか、と。

  • 「国家の中の国家」としての実態: 著者は、これら官僚機構やインテリジェンス・コミュニティを「アメリカ軍事帝国の執行機関」であると定義します。彼らはルールなき「国家の中の国家」として振る舞い、その唯一の目的は「帝国の拡大」です。JFKの暗殺疑惑から現代のウクライナ代理戦争に至るまで、彼らは常に国民の預かり知らないところで世界を核戦争の淵に追いやっていると警鐘を鳴らします。

著者は、個別の不祥事を正すだけでは不十分であり、ギリシャ神話のヘラクレスが川の流れを変えて厩舎を掃除したように、米国が「グローバル軍事帝国」という路線そのものを放棄し、本来の共和国へと帰還(カム・ホーム)することこそが唯一の解決策であると結論づけています。

破滅への全力疾走

The U.S. Is Sprinting Towards Disaster - by Daniel Larison [LINK]

【海外記事紹介】「米国は災害に向かって猛進している」——外交問題の専門家ダニエル・ラーリソン氏による、トランプ政権下で激化するイラン危機への警告を要約してご紹介します。

フィナンシャル・タイムズ紙などの報道を引用しつつ、著者は現在の状況を「戦略なきまま、夢遊病のように戦争へと歩を進めている」とする専門家の見解に対し、現実はさらに深刻だと指摘します。トランプ大統領はこの数週間、理性を欠いた開戦の脅しを繰り返し、軍隊を集結させています。これは夢遊病などではなく、「絶壁の縁に向かって全力疾走(スプリント)している」状態であるというのです。

記事が警告する主なポイントは以下の通りです。

  • 強硬派の扇動: 共和党内やワシントンには、数十年にわたってイランとの衝突を望んできたタカ派(トム・コットン議員やリンゼイ・グラム議員など)が存在します。トランプ氏は党内に意見の相違がある際、常にこうした「狂信的な」強硬派の意見を採用し、国民の多数が望まない方向へ舵を切る傾向があります。

  • 「取引(ディール)」という煙幕: 大統領が口にする「取引」のレトリックは、単なる言い逃れに過ぎません。「自分は交渉の席を用意したが、イランが拒否した」というアリバイを作り、衝突の責任をすべて相手に押し付けようとしていると著者は分析します。

  • 屈服か破壊か: トランプ氏にとっての「平和」とは、相手が自身の極端な要求に無条件で屈服することを指します。イランが頭を下げない以上、大統領はためらいなく死と破壊を解き放つ準備を進めています。

  • 議会の不在: 本来、開戦の決定は国民の代表である議会に委ねられるべきですが、トランプ氏は議会や国民に説明する必要すら感じていません。そして、それを止めるべき議会の野党側は、あたかも「深い眠り」についているかのようです。

著者は、賢明な指導者であれば、無謀な脅しをやめて艦隊を撤収させ、非現実的な要求を捨てて核問題での妥当な妥協点を探るべきだと結論づけます。しかし、現政権が自らその方針を転換する兆しは見えず、米国は破滅的な紛争へと突き進んでいると警鐘を鳴らしています。

キリスト教シオニズムの問題点

The Precariousness of Christian Zionism - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「キリスト教シオニズムの危うさ」——マイク・ハッカビー駐イスラエル大使が語った「ナイル川からユーフラテス川まで(大イスラエル計画)」という領土拡張への支持を契機に、カトリック系メディア『クライシス・マガジン』に掲載された論考を要約してご紹介します。

著者は、ハッカビー氏のようなキリスト教シオニスト(主に福音派や一部のカトリック)が抱く「パレスチナを含む全領土は神によってユダヤ人に与えられた」という信念が、神学的にも歴史的にも重大な誤りであると批判しています。

記事が指摘するキリスト教シオニズムの主な問題点は以下の通りです。

  • 神学的誤認: 聖書(ガラテヤ人への手紙など)によれば、アブラハムへの約束の真の成就は特定の「国家」ではなく「キリスト」にあります。また、旧約聖書において土地の所有権は常に神にあり、イスラエル人の居住は「契約への忠実さ」という条件付きのものでした。

  • 歴史的矛盾: シオニズムは19世紀末に始まった「世俗的な」政治運動であり、宗教的な救済計画とは本来別物です。1897年の第1回シオニズム会議でテオドール・ヘルツルがこの言葉を使った際も、それは多分に政治的な協力者を募るためのものでした。

  • ユダヤ教内部からの批判: ホロコースト生存者であるラビ・ワイス氏らが指摘するように、伝統的なユダヤ教の教えでは、神殿崩壊後に自らの手でユダヤ国家を再建することは禁じられています。つまり、シオニズムはキリスト教のみならず、ユダヤ教の信仰とも相容れない側面を持っています。

  • キリストの教えとの乖離: キリスト教シオニストは、ユダヤ人の帰還を「終末(キリストの再臨)」の条件として熱望しますが、これは現在のパレスチナ人の生活や権利、生命を奪う行為を正当化する道具となっています。これは、平和と隣人愛を説いた福音書の教えに真っ向から反するものです。

ベネディクト16世が説いたように、聖書が示す「平和の王の領土」とは特定の国民国家ではなく、全人類に開かれた「新しいエルサレム(教会)」を指します。著者は、地上の神殿や領土に固執するキリスト教シオニズムは、キリストによって成就され、普遍化された聖書の約束を、再び古いナショナリズムの枠に閉じ込めるものであると結論づけています。

麻薬戦争から米墨戦争へ?

Did Civil War in Mexico Just Begin? - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「メキシコで内戦が始まったのか?」——経済評論家のマイケル・スナイダー氏は、メキシコ最大級の麻薬カルテル「ハリスコ新世代カルテル(JNGC)」の首領エル・メンチョの殺害をきっかけに、メキシコ全土が未曾有の混乱に陥っている現状をレポートしています。

著者は、不都合な真実として「麻薬密売はメキシコ経済の柱の一つである」と指摘します。カルテルは長年、政府軍を凌ぐほどの火力を持ち、実質的に国の一部を支配してきました。これまではカルテル同士の内戦にエネルギーが割かれてきましたが、今回の首領殺害にCIAが深く関与していたことが判明したことで、カルテルが共通の敵(メキシコ政府と米国)に対して団結するという、極めて不穏な事態に発展しつつあります。

現在、ハリスコ州のプエルト・バジャルタやグアダラハラでは、カルテルによる激しい報復活動が展開されています。

  • 都市の封鎖: 軍の移動を妨害するため、バスやタクシーが焼き払われ、道路が封鎖されています。

  • 交通インフラの麻痺: グアダラハラ国際空港では滑走路から煙が上がり、観光客がパニックに陥って避難する様子がSNSで拡散されています。

  • 市民と観光客への影響: 街全体がロックダウン状態にあり、閉じ込められた米国人観光客が「遺言状の場所を家族に伝えた」といった緊迫した証言も報じられています。

さらに懸念されるのは、これが米国内に波及する可能性です。一部のSNSアカウントは「米国内での大規模なテロ作戦」を警告しており、JNGCはトランプ政権に対しても「全面戦争」の構えを見せています。

著者は、もしメキシコ政府がカルテルによって崩壊するようなことがあれば、米国は介入(侵攻)を余儀なくされ、最悪の場合「米墨戦争」に発展するリスクがあると警告しています。「麻薬戦争」は今や、一国の治安問題を超え、北米全体の安全保障を揺るがす全く新しいレベルへと突入したというのがスナイダー氏の見解です。

イラン民主化の欺瞞

If You Think the US Wants To Bring Democracy to Iran, Watch What They’re Currently Doing to Iraq - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「米国がイランに民主主義をもたらそうとしている」という主張がいかに欺瞞に満ちたものであるか。独立系ジャーナリストのケイトリン・ジョンストン氏による、イラクの現状を引き合いに出した鋭い告発記事をご紹介します。

著者は、米国が掲げる「民主主義」の実体とは、「ワシントンの指示に従う自由」であり、「ワシントンが認めたリーダーを選ぶ自由」に過ぎないと断じます。その具体的な証拠として、現在のイラクにおけるトランプ政権の介入を挙げています。

トランプ大統領は、イラクの次期首相候補として有力なヌーリ・マリキ氏が「イランに同情的すぎる」として、同氏が就任するならイラクの石油収入を遮断すると猛烈に脅迫しています。2003年の侵攻後、イラクの石油収入はすべてニューヨーク連邦準備銀行を通じて米ドルで支払われる仕組みに作り替えられました。これは、米国がいつでもイラクの国家予算を差し押さえ、一瞬にして国を破産させる「生殺与奪の権」を握っていることを意味します。

著者は、2003年の「イラクの自由作戦」の結果が、100万人の死者と地域の混沌、そして米国の軍靴の下での隷属であったことを指摘します。米国が中東で独裁政権や君主制を支え続けているのは、まさに「民意」を恐れているからです。もし真の民主主義が実現すれば、人々はイスラエルや米国に敵対し、自国民の利益を優先するリーダーを選ぶことを、ワシントンは熟知しています。

さらに恐ろしい指摘として、イランに対する米国の真の狙いは「民主化」ですらない可能性があると著者は論じています。タカ派の戦略家たちが提唱しているのは、イランを民族ごとに分断する「バルカン化(小国乱立状態)」です。これにより、統一国家としてのイランを破壊し、反抗的な地域大国を消滅させ、傀儡政権を維持する手間すら省こうとしているというのです。

「米国が求めているのは民主主義ではなく、地球規模の支配である」。この冷徹な結論は、自由や権利という美辞麗句の裏側に潜む、帝国の生存本能を浮き彫りにしています。

都市生活のリスク

The Scary Truth About Living in Big Cities During the Turbulent Times Ahead - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「平穏な時代、都会は魅力的だが、混乱の時代、都会は負債になる」。投資家であり社会評論家のジェフ・トーマス氏による、激動の時代における「都市生活のリスク」についての洞察をご紹介します。

トーマス氏は自身の経験から、大都市が直面する2つの致命的な脆弱性を指摘しています。1つは供給網の脆弱性です。1973年のオイルショックを例に、都市生活がいかに他者への依存(燃料、食料、電気、水の供給)の上に成り立っているかを説きます。田舎なら自力で暖を取り、食料を確保する手段がありますが、都市では供給が止まった瞬間に選択肢が消え、人々は絶望し、その絶望が暴徒化を招く脅威となります。

2つ目は、都市部で発生する暴動の予測不可能性です。著者は暴動を「理由なきカオス」と表現します。一度火がつくとゲリラ戦のようにいたる所で同時多発的に発生し、警察の手にも負えなくなります。アパートの向かいに住む人の名前すら知らない希薄な人間関係の中では、相互扶助は期待できず、食料不足の中でパンを一つ持って歩くことさえ命がけの行為になると警告しています。

著者が推奨するのは、危機が本格化する前に「ボルトホール(逃げ込み場所)」を確保することです。理想的な避難場所の条件として以下の3つを挙げています。

  1. 政治的に安定した政府: 危機に際して強権的・独裁的にならない体制。

  2. 良き隣人: 互いに助け合える自立した人々がいるコミュニティ。

  3. 豊かな食料と水: 周囲に農地があるか、自給自足の手段がある場所。

歴史を振り返れば、多くの人は「最後の瞬間」まで待ち、パニックになってから逃げ出そうとします。しかしその時には、道中の燃料不足や略奪、そして移住先での既存住民からの拒絶(よそ者への不信感)といった困難が待ち受けています。

「最善を願う」のではなく、今すぐ「最悪に備える」こと。都市の利便性が凶器に変わる前に、自立した生活基盤をどこに築くべきか、真剣に検討すべき時が来ているとトーマス氏は締めくくっています。

政治の本質

The Notion That Politicians 'Work for the People' Is Ludicrous on Its Face - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「政治家が国民のために働いているという考えは、それ自体が滑稽である」。リバタリアン(自由至上主義)の論客ゲイリー・D・バーネット氏は、2026年2月25日付の最新コラムで、現代の政治システムを「吸血生物」と皮肉り、その本質を痛烈に批判しています。

著者は、政治の本質を「他者を支配したいという欲望」であると定義します。いかなる政治家であっても、強制力を持って他人の上に立つことに合意している以上、その選択は道徳に反しており、自由を奪うものであると主張します。一部の人が「システムの中から変えよう」と善意で参加しても、その地位を維持するために強制力(税や暴力)を行使せざるを得ない以上、結果は同じだと切り捨てます。

現在の米国についても、著者は「狂気のテストに合格した状態」だと描写しています。

  • 社会の混乱: 戒厳令に近い移民法執行が市民の不安を煽り、統制を強化する手段となっている。

  • 経済の崩壊: 39兆ドルを超える巨額債務と通貨価値の下落(デベースメント)により、インフレの津波が庶民を襲い、多くの家庭が日々の生活すら困難になっている。

  • 外交の暴走: イスラエルの命令に従うかのようなイランへの攻撃示唆、ベネズエラやグリーンランドへの脅し、そしてCIAが関与する麻薬カルテルとの「偽りの麻薬戦争」がメキシコを地獄に変えている。

著者は、こうした深刻な事態の裏で、人々が「UFO」や「スキャンダル」、「ナショナリズムを煽るスポーツイベント」といった偽旗工作や気晴らしに気を取られている間に、AIによる監視、デジタルID、中央銀行デジタル通貨(ステーブルコイン)化といった「技術官僚(テクノクラート)による統制」が着々と進んでいると警告します。

「一体何人の政治家が、この狂気を止めるために国家を解体しようとしているか? 答えはゼロだ」と著者は断言します。政治家は寄付金を集めて再選すること、つまり権力を維持することのみを目的として存在しており、国民のために働くことなどあり得ない、というのがバーネット氏の冷徹な結論です。

キリスト教シオニズムの正体

The Huckabee Interview: How a Biblical Justification for Genocide Exposed the Core of Zionism and Its Threat to Civilization - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】テレビ番組でのある対談が、世界の地政学を揺るがす「地震」を引き起こしました。マイク・ハッカビー駐イスラエル米国大使がタッカー・カールソン氏のインタビューに応じ、「ナイル川からユーフラテス川に至るまでの土地は、神がユダヤ人に与えたものだ」と述べ、イスラエルによるその全域の領有を支持すると明言したのです。米国人ジャーナリスト、マイク・アダムス氏によるこの記事は、この発言が単なる個人的見解ではなく、米国の対中東政策の根底に潜む「キリスト教シオニズム」という思想の正体を暴いたものだと主張しています。

ハッカビー氏の発言は、サウジアラビア、エジプト、ヨルダンを含む14以上のイスラム諸国から即座に、かつてないほど激しい共同非難を浴びました。これらの国々は、この発言を「国際法に対する明白な違反」であり、「地域の安全に対する重大な脅威」であると断じました。著者は、ハッカビー氏が示した「神による征服の権利」という思想は、現代の文明社会や国際規範、平和的共存とは根本的に相容れない「民族至上主義的な教義」であると鋭く批判しています。

記事の核心は、こうした思想の根拠とされる「聖書の解釈」そのものが、19世紀以降に作られた「偽造」であるという指摘です。よく引用される「イスラエルを祝福する者は祝福される」という一節(創世記12:3)には、原文のヘブライ語でも主要な翻訳でも「イスラエル」という言葉は含まれておらず、本来はアブラハム個人とその子孫を通じた「全人類への祝福」を指すものでした。著者は、これを19世紀のスコフィールドらの神学が意図的に歪め、現代の政治実体としてのイスラエルへの無条件支援を正当化する「洗脳ツール」に変えてしまったと論じています。

この発言による地政学的な代償は計り知れません。アラブ諸国との信頼関係は一夜にして崩壊し、米軍によるイラン攻撃のための領空通過許可も、サウジアラビアなどによって拒絶される事態を招きました。また、正統派ユダヤ教徒(Torah Jews)からも、「シオニズムは19世紀の世俗的なナショナリズムであり、ユダヤの信仰とは無関係である」との反論が出ています。著者は、特定の民族が神の許可を得て他者を殺害し土地を奪うという論理を許せば、世界は永続的な混沌に陥ると警告し、私たちがこの「19世紀のナショナリズム」の呪縛を解き、相互尊重に基づく平和を模索すべきであると結んでいます。

帝国崩壊の音

The Sound of a Collapsing Empire - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】「帝国が崩壊する音は、爆発音ではなく、力ないトイレの洗浄音だった」。元米国空軍中佐のカレン・クウィアトコウスキ氏は、最新の記事で米軍の象徴とも言える最新鋭空母の惨状を引き合いに出し、超大国の終わりの始まりを痛烈に描き出しています。

その舞台は、建造費に約170億ドル(現在の価値)という巨費が投じられた史上最高額の軍艦、空母ジェラルド・R・フォードです。この「最新鋭」の軍艦が今、地中海でイランとの緊張に備える最前線にありながら、深刻な「トイレ問題」に直面しているというのです。豪華客船の技術を流用した真空式の排水システムは、軍事任務にはあまりに華奢で、配管の細さが仇となって故障が頻発しています。ある区画のバルブが一つ壊れれば、その部門のトイレがすべて使用不能になり、隊員たちは一回用を足すために40分以上も列に並ぶことを強いられています。

さらに深刻なのは、この修理が寄港中でなければ実質的に不可能である点です。本来予定されていた保守点検をキャンセルし、イスラエル支援のために無理な展開を続けた結果、5000人の乗組員の生活環境は劣悪を極めています。弱冠19歳の若者たちが、極限のストレス下で戦う空母の飛行甲板。配管に詰まった布やモップの頭は、単なる不注意ではなく、出口のない現状に対する若い兵士たちの怒りと欲求不満の表れではないかと著者は推測しています。

著者は、この事態を米国の軍事・産業・政治複合体の「無責任の象徴」と断じます。憲法を守ることよりも大統領への個人的な忠誠や見栄えを重視する高官たち、そして膨大な予算を投じながら稼働率が低い最新鋭兵器。これらは「借金によって世界的な覇権を維持できる」という幻想に基づいた外交政策の末路であるという指摘です。

「アメリカ帝国」の舞台が幕を閉じようとする今、この空母のトイレの前で交わされる隊員たちの落胆の声は、政治的愚行と帝国の放漫さに対する痛烈なリフレクション(省察)となるでしょう。著者は、私たちがこの「ポスト帝国」の段階にいかに平和的に、そして自由な姿で着地できるかを想像し始める時が来たと結んでいます。

欧州官僚の言論統制

How Unelected EU Officials Built a Transnational Speech Police | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】欧州連合(EU)の非選出の官僚たちが、いかにして「超国籍的な言論警察」を作り上げたか。多国籍テック企業のシニアマネージャーを務めるトマス・カラット氏による、衝撃的な内部告発的レポートをご紹介します。

2025年12月、欧州委員会はデジタルサービス法(DSA)に基づき、旧ツイッターのXに対し1億2000万ユーロ(約200億円)の罰金を科しました。驚くべきは、その理由が犯罪教唆などではなく、チェックマークのデザインや広告のレイアウトといった「透明性の欠如」にすぎなかったことです。著者は、これが単なる規制ではなく、世界で最も強力な「選挙で選ばれていない規制機関」による、民主的なプロセスを経ない言論統制の始まりであると警告しています。

DSAの本質は、EU加盟27カ国のうち、最も厳しい言論法を全欧州の標準にできる点にあります。さらに「信頼できる通報者」として政府公認のNGOや欧州刑事警察機構(ユーロポール)を任命し、プラットフォームに迅速なコンテンツ削除を迫る仕組みを構築しました。著者は、これが特に保守的な政治的主張や政権批判を標的にしており、プラットフォーム側も巨額の罰金を恐れて、法が求める以上の過剰な検閲を行う「構造的なインセンティブ」が働いていると指摘します。

その最たる例として挙げられているのが、ルーマニアでの大統領選挙です。2024年、反主流派の候補者が勝利すると、欧州委員会は根拠不明な「ロシアの介入」を理由にTikTokへの調査を開始し、それを口実に選挙自体が無効化されました。後にプラットフォーム側が「ロシアの関与を示す証拠は見当たらない」と回答したにもかかわらず、選挙結果は覆されたままです。

さらに著者は、EUの外交政策に批判的なジャーナリストや元軍高官の銀行口座が、裁判もなしに行政判断だけで凍結されている現状を報告しています。「ハイブリッドな脅威」や「不安定化活動」という曖昧な言葉を使い、反対派の経済的な息の根を止めるこの手法を、著者は「委員会による権威主義」と呼んでいます。このシステムは、民主主義がブリュッセルの制御不能な結果を生み出さないよう設計されており、自由な言論を脅かす最大の装置になりつつあります。

米右派の変質と自由の死

Rise of the Right-Wing Leninists | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守政治が「右派レーニン主義」とも呼ぶべき危険な変質を遂げているという、リバタリアン研究所のトーマス・エドレム氏による論考をご紹介します。

著者は、ウラジーミル・レーニンの「誰が誰を追い越すか(どちらがどちらを滅ぼすか)」という言葉を引き、現代米国の左右両陣営が、法治主義よりも「敵を撃破するための政治権力の行使」を優先させている現状を危惧しています。特に衝撃的なのは、米国内でICE(移民税関捜査局)などの法執行官によって殺害された一般市民、レネー・グッド氏とアレックス・プレッティ氏の死に対する保守層(MAGA)の反応です。彼らは、犠牲者が過去にパトカーのテールランプを壊したといった些細な非行を挙げ、「自業自得だ」と死を正当化しました。著者はこれを、法執行官の本来の任務である「生かして捕らえ、裁判にかける」という役割の完全な放棄であり、法治国家の崩壊であると断じています。

この傾向を著者は「右派レーニン主義」と呼びます。左派が反対者を「ナチス」と呼び死を喜ぶのと同様に、現在の右派も反対者を実態に関わらず「共産主義者」と一括りにし、国家による殺害すら容認する文化に染まっているという指摘です。自由な人間である証しとは、政府の役人に対しては常に疑いの目を向け、市民に対しては推定無罪の原則を守ることにあるはずですが、現在の米国右派にはその精神が失われつつあります。

著者は劇作家ロバート・ボルトの『わが命つきるとも』におけるトマス・モアの台詞を引用します。「悪魔を捕らえるためにイングランド中のすべての法を切り倒してしまったら、その後に悪魔が自分の方を向いた時、平らになった土地のどこに隠れる場所があるのか」と。政敵を滅ぼすために法を破壊すれば、最終的に守られるべき自由そのものが消滅してしまいます。

トランプ政権の幹部たちが犠牲者の墓の上で踊るような振る舞いを見せる中、著者は、政治的敵対者の死を望むことは自由の完全な敗北を認めることに等しいと警告します。法を武器として悪用するのではなく、法そのものを守ることこそが、米国が本来模範としてきた自由への唯一の道であると、エドレム氏は切実に訴えています。

麻薬戦争の解決策

Another Drug Lord Killed. Is the Drug War Now Over? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】メキシコで「エル・メンチョ」の名で知られる大物麻薬王、ネメシオ・オセゲラ・セルバンテスが殺害されたというニュースが世界を駆け巡りました。米国の弁護士であり自由尊重主義者のジェイコブ・ホーンバーガー氏は、この記事の中で、こうした「麻薬王の殺害」に熱狂する主流メディアの姿勢を、冷ややかな、しかし確信に満ちた筆致で批判しています。

著者は、大物麻薬王が殺害されるたびに「麻薬戦争に大きな進展があった」と喜ぶ人々の思考を「滑稽」だと切り捨てます。なぜなら、同様の出来事は過去数十年にわたって繰り返されてきた既視感のある光景に過ぎないからです。今回のエル・メンチョの死も、麻薬組織に「大きな打撃」を与えたと報じられていますが、現実は麻薬戦争の終結どころか、むしろ報復の連鎖と暴力の激化を招いています。実際にグアダラハラなどの都市では、殺害直後から激しい報復戦が始まっており、政府はさらなる弾圧を余儀なくされています。

歴史を振り返れば、1993年にコロンビアのパブロ・エスコバルが殺害された際も、当時の麻薬捜査官たちは歓喜に沸きました。しかし、ドラマ『ナルコス』が描いた通り、一人の王がいなくなれば即座に別の組織がその利権を奪い合い、暴力の総量はむしろ増え、麻薬の流通が止まることはありませんでした。国連の報告によれば、過去10年でコカインの利用者は大幅に増加しており、軍事的な制圧がいかに無意味であるかを統計が証明しています。

著者が最も深刻だと考えているのは、この終わりのない「麻薬戦争」が、米国内の市民の自由やプライバシーを破壊する口実となり、同時にメキシコという国そのものを崩壊させてきたという点です。ホーンバーガー氏は、一貫して主張している解決策を提示します。それは「薬物の合法化」です。麻薬王やブラックマーケット、それに付随する暴力の連鎖を一掃する唯一の方法は、それを法的な管理下に置き、犯罪組織の収益源を根絶することです。武力による解決は、関係する当局者たちの利権を永続させるための「ラケット(不正な金儲け)」に過ぎないと著者は喝破しています。

米の野望を阻止する者

Who Can Halt the ‘America First’ Ambition Rolling Across the Globe? – China Can - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権が掲げる「アメリカ・ファースト」という野望の正体と、それを阻止し得る勢力について、元英国外交官のアラスター・クルーク氏による鋭い分析をご紹介します。著者は、現在のアメリカが抱く「西側の支配力の回復」という壮大な目標が、冷酷な「力は正義なり」というニヒリズムに基づいていると指摘しています。

トランプ政権の幹部たちは、過去500年にわたる欧米の覇権が共産主義や反植民地主義によって衰退したと考え、それを力によって取り戻そうとしています。国際法を「ジャングルの掟」と切り捨て、他国の許可を得ずに突き進むこの動きを止めることができるのは誰か。クルーク氏は、ロシアやイランと連携した中国こそが、その鍵を握っていると主張します。

現在、米国は中国経済を貿易戦争で絞め殺し、海上封鎖によってエネルギー経路を遮断しようと画策しています。しかし、著者は、米国が自らの傲慢さ(ヒュブリス)ゆえに致命的な見落としをしていると警告します。軍事面では、中国は1941年当時の米国のような圧倒的な生産能力を持っており、造船能力は現在の米国の200倍に達します。一方、米国の軍艦は錆に覆われ、修理すらままならない惨状です。

さらに深刻なのは金融面での敗北です。トランプ氏は関税によって中国を屈服させられると考えていましたが、実際には中国は米国以外の世界市場へと輸出先を転換し、過去最高の貿易黒字を記録しています。対照的に、米国は構造的な貿易赤字と膨大な債務を抱え、実質的に「破産状態」にあります。中国が米国債の購入を停止すれば、米国の財政状況は悪化の一途を辿るでしょう。

著者の分析によれば、トランプ氏の戦略の核心は、米国の輸出を伸ばすために中国に市場シェアを譲らせることですが、競争力を失った米国製品にはその力がありません。結局、米国はドルを切り下げ、さらなる赤字支出に頼るしかなく、システム全体に亀裂が入り始めています。米国の市場は例外的な存在であり、誰もそこから排除されるわけにはいかないという「アメリカの傲慢」こそが、自らを窮地に追い込んでいるのです。カードを握っているのは、もはや米国ではなく中国であるというのが、著者の冷徹な結論です。

ある女性の政治的勇気

American Pravda: A Christian Beauty Queen Challenges Zionist Power, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守論壇で大きな議論を呼んでいる、ある女性の政治的勇気についての記事をご紹介します。執筆者は、米国の社会批評家ロン・アンズ氏です。

著者はまず、自分自身が抱いていた「ミス・コンテストの優勝者」に対する偏見を告白することから始めています。トランプ政権下では、実務経験不足で混乱を招いた元美少女コンテスト出身の起用が目立ちましたが、元ミス・カリフォルニアのキャリー・プレジャン・ボーラー氏だけは、それらの人物とは全く異なる「本物の強さ」を持っていたと、著者は高く評価しています。

彼女は、トランプ大統領が新設した「ホワイトハウス宗教自由委員会」のメンバーに任命されました。しかし、ガザ地区での凄惨な死と破壊を目の当たりにした彼女は、自身の信仰をエバンジェリカルからカトリックへと改宗し、委員会で「私はカトリック教徒として、シオニズムを完全に拒否する」と宣言したのです。これが、反シオニズムを即座に反ユダヤ主義と結びつける他の委員たちの激しい怒りを買いました。

著者が特筆しているのは、プレジャン氏が主流メディアの「レッテル貼り」に一切屈しなかった点です。彼女は「私の教会は常にシオニズムを拒否してきた。全米7,200万人のカトリック教徒を反ユダヤ主義者と呼ぶのか」と問い直し、イスラエルによるガザでの虐殺を是認するのかと真っ向から追及しました。著者は、この姿勢を「政治の世界では極めて稀な個人的勇気」であると称賛しています。

プレジャン氏は、2009年のミスUSA大会でも、政治的に正しい回答をすれば優勝できた場面で、あえて自身の宗教的信念に基づいた発言を選び、栄冠を逃した過去があります。著者は、彼女が単に「アクセス(権力への近さ)」や地位を守るために魂を売るような人物ではなく、孤立を恐れずに真実を語る自由な人間であると分析しています。

この記事を通じて著者は、米国の政治家たちが特定のロビー団体を恐れて沈黙する中で、一人の「カリフォルニアの母親」が示した道徳的な一貫性が、いかに現政権や社会に衝撃を与えているかを浮き彫りにしています。米国内の宗教的・政治的な対立がいかに深刻であるか、私たちは彼女の行動から読み取ることができます。

銀の魅力とは?

Pressing Questions Asked by Gold & Silver Investors... (Winter 2026) [LINK]

【海外記事紹介】貴金属への投資に関心を持つ方々からは、基礎的な仕組みから専門的な運用方法まで多岐にわたる質問が寄せられます。2026年冬、市場が活況を呈する中で特に多くの方から選ばれた3つの代表的な疑問に対し、専門家が分かりやすく回答しています。これから資産を守り、増やそうと考えている日本人の皆様にとっても、非常に示唆に富む内容となっています。

まず、銀という金属の特殊性についてです。銀はしばしば「貧者(貧しい人)の金」と呼ばれますが、その魅力は金に劣りません。金に比べて1オンスあたりの価格が手頃なため、多くの現物を持てるという利点があります。金価格が高騰すると、投資家はより多くの数量を確保できる銀に目を向け始めますが、銀市場は金よりも規模が小さいため、わずかな資金流入でも価格が劇的に跳ね上がる性質を持っています。さらに、銀には「貨幣」と「産業資材」という2つの顔があります。光の反射率や電気・熱の伝導率において地球上の金属で最高クラスの性能を誇り、AIやクリーンエネルギー分野での需要が爆発しています。歴史的に見ても銀は金に対して割安な水準にあり、直近の半年間の価格動向は、市場がようやく銀の真の価値に気づき始めたことを示唆しています。

次に、どの政府発行のコインが優れているかという点です。結論から言えば、投資家の好みによりますが、賢明な投資家は米造幣局の製品を避ける傾向にあります。近年の管理不備により、米政府系コインは市場価格に対して非常に高い手数料(プレミアム)が乗っており、売買価格の差も拡大しています。他の国の政府発行コインはより効率的に供給されていますが、経験豊富な投資家は、さらに手数料が安く、換金効率の良い民間鋳造所発行のバーやラウンド(メダル型の地金)へとシフトしています。

最後に、これはアメリカに限った話になりますが、貴金属を用いた個人年金(IRA)の受け取り方法についてです。将来、積み立てた資産を受け取る際、必ずしも売却して現金化する必要はありません。保有する現物をそのまま自宅に引き出し、現物資産として受け取ることが可能です。もちろん、一部を売却して現金で受け取ることもでき、状況に応じた柔軟な選択ができる点が大きなメリットです。

リーマンショックのツケ

JPMorgan CEO: This Looks A Lot Like the Run-Up to 2008 [LINK]

【海外記事紹介】現在の経済状況には、2008年のリーマンショック直前を彷彿とさせる不気味な共通点が見え隠れしています。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、資産価格の高騰と、銀行業界の競争激化によって融資基準が緩和されている現状が、2008年以前の数年間と酷似していると強い警鐘を鳴らしています。マイク・マハリー氏によるこの記事は、金融界の重鎮が抱く焦燥感と、私たちが直面している危うい経済構造の本質を浮き彫りにしています。

ダイモン氏は、人々が現在の高い資産価格や取引量に安住し、「何の問題も起きない」と楽観視し始めていることに大きな不安を感じています。かつての2005年から2007年にかけても、好景気の波がすべてを押し上げ、誰もが巨額の利益を上げ、限界までレバレッジをかけていました。しかし、ダイモン氏に言わせれば、資産価格が高いこと自体がリスクを増大させているのです。利益を追求するあまり、一部の貸し手が融資基準を緩めて「愚かな行為」に走っている現状は、かつての不動産バブル崩壊前夜と重なります。次の危機の引き金がAI関連のソフトウェアになるのか、あるいは別の何かなのかは分かりませんが、サイクルは必ず一転すると同氏は断言しています。

この記事の核心的な指摘は、世界経済が2008年の過ちを真に清算できていないという点にあります。リーマンショック後、連邦準備制度(FRB)は長期間のゼロ金利と巨額の債券購入を続け、経済に膨大なマネーを注入しました。これにより資産価値と債務が膨張し、経済は「安易なマネー」という劇薬なしでは立ち行かない依存状態に陥りました。2019年にも引き締めを試みましたが、経済が揺らぎ始めるとすぐに利下げへと転じ、パンデミックによる大規模な刺激策でさらなる先送りがなされたに過ぎません。

現在、マネーサプライは再び急速に拡大しており、インフレ圧力が強まっています。FRBが緩和的な姿勢を強めるほど、ドルの購買力は低下し、ダイモン氏が危惧する過熱した火に油を注ぐことになります。経済という名の「依存症患者」は、現状を維持するためにより多くの薬を必要としていますが、それは破滅的な過剰摂取への道かもしれません。投資家は目先の熱狂をノイズとして退け、来るべきサイクルの転換に備えて、自らの資産を守るための計画を冷徹に立てるべきであると、この記事は締めくくっています。

プラチナ、構造的な供給不足

World Platinum Investment Council: Recent Price Correction Better Aligns Market With Fundamentals [LINK]

【海外記事紹介】貴金属市場が激動の様相を呈する中、プラチナ価格の動向が大きな注目を集めています。2025年に前年比119%という驚異的な上昇を記録したプラチナは、2026年1月下旬には1オンスあたり2,923ドルの史上最高値を付けました。その後、金や銀とともに大幅な価格調整局面を迎えましたが、現在は2,000ドル付近で底堅く推移しています。マイク・マハリー氏によるこの記事は、世界プラチナ投資評議会(WPIC)の見解を引きながら、この価格変動の背景にある真の要因を鋭く分析しています。

評議会の分析によれば、1月の急騰は地政学リスクやマクロ経済環境を背景とした「貴金属ブーム」に巻き込まれた結果であり、市場のファンダメンタルズ(基礎的条件)から一時的に大きく乖離していました。独自の価格帰属モデルを用いた試算では、1月26日時点のスポット価格と理論値の間には500ドル以上の乖離、つまり「説明のつかないプレミアム」が乗っていたと指摘されています。しかし、その後の価格調整と2月の緩やかな回復を経て、市場は再びプラチナ独自の需給バランスという現実的な動向に焦点を合わせ始めました。

現在、プラチナ市場が直面している最も重要な事実は、構造的な供給不足が解消されていない点です。2024年には約100万オンスの供給不足が発生し、2025年もそれを上回る規模の不足が見込まれています。2026年こそ需給が均衡する見通しですが、市場の逼迫感は依然として強く、2027年以降は再び不足に転じ、2030年までその傾向が続くと予測されています。この需給のタイトさは、現物のリースレートの高止まりや、ロンドン店頭市場での「バックワーデーション(先物より現物が割高な状態)」という現象に明確に表れています。

今後の価格を支える要因として、世界プラチナ投資評議会は5つのポイントを挙げています。継続的な供給不足、鉱山生産とリサイクル双方の停滞、米国の関税導入リスクを相殺する中国の投資・宝飾需要の強さ、そして歴史的に見て金価格に対してプラチナが依然として割安であるという点です。2011年以前はプラチナの方が金よりも高価であるのが一般的でした。この記事は、最近の価格調整が市場を健全な状態に戻したと結論付けており、投資家は一時的なブームではなく、長期的な需給の不均衡という本質的なリスクとチャンスに目を向けるべきであると説いています。

ドルの強さを見直す

Of Two Minds - Money Is Funny That Way: The Case for USD Supremacy [LINK]

【海外記事紹介】「米ドルは崩壊し、その価値はゼロに向かう」という予測は、現代の経済論壇ではもはや定説のように語られています。無制限の通貨発行がハイパーインフレを招き、かつてのワイマール共和国のような悲劇を辿るというシナリオです。しかし、今回ご紹介する記事の著者、チャールズ・ヒュー・スミス氏は、こうした「ドルの終焉」という通説に対し、あえて「米ドルの覇権(シュプレマシー)」という正反対の可能性を検討すべきだと提唱しています。

スミス氏は、通貨を単なる紙切れではなく、社会的な合意に基づく「功利的な価値」を持つツールとして捉え直しています。例えば、私たちは価値を保存するために資源裏付け型の通貨を貯蓄し、一方で価値が減り続ける「スタンプ紙幣」のような通貨はすぐに使おうとします。しかし、実社会において最も強力なのは「ネットワーク効果」です。世界中の僻地の市場から大都市のオフィスに至るまで、最も広く受け入れられ、取引の摩擦が少ないのは依然として、保護用のビニールケースに入った、ピン札の100ドル紙幣です。この「どこでも使える」という利便性こそが、他のどの通貨も代替できない圧倒的な価値を生んでいるのです。

また、不換紙幣は「何にも裏付けられていない」と批判されますが、著者はこれを否定します。ドルの価値とは、世界最大の経済圏に参加し、その法体系や制度、社会的信頼を利用するための「入場許可証」なのです。税金を納め、正規の経済活動を行うためにはその国の通貨が不可欠であり、この参加権があるからこそ、ドルは強力な需要に支えられています。

さらに重要な視点は、通貨も他の商品と同様に「需給」で価格が決まるという点です。たとえ供給が増えても、それを上回るスピードで世界的な需要が拡大すれば、その価値は上昇します。世界的にリスクが高まる局面では、安全な資産、流動性の高い資産への需要が爆発的に高まります。ドルの覇権シナリオは、この「供給を上回る需要の拡大」と、ネットワーク効果による自己強化的なループによって成立します。通貨の未来を予測するのは困難ですが、固定観念を捨て、ドルの多面的な強みを再認識することは、不透明な時代を生き抜く投資家にとって極めて重要であると著者は結んでいます。

投げ売りは本当か?

Is China Really Dumping US Treasuries? - RIA [LINK]

【海外記事紹介】最近、主流メディアでは「中国がドル離れのために米国債を投げ売りしている」という言説が飛び交っています。ドル時代の終焉や、米国の資金基盤の喪失、そして金利の急騰を予言するような扇情的な内容が目立ちますが、果たしてこれらは真実なのでしょうか。今回の記事が解き明かす「金融の舞台裏」を詳しく解説します。

まず、多くの人々を不安にさせているデータがあります。中国の米国債保有額は、かつての1.2兆ドルから600億ドルへと、約10年で半減しました。しかし、この記事の著者であるランス・ロバーツ氏は、保有額の減少が直ちに「投げ売り」や「構造的な撤退」を意味するわけではないと指摘します。ここで鍵となるのは、米国財務省が発表するデータの性質です。この統計は主に「カストディ(保管)」データ、つまり証券が決済や保管のためにどこに置かれているかに基づいています。財務省自身も、外国居住者が第三国の口座で保管している場合、真の所有国は反映されないと明言しています。

では、中国の米国債はどこへ消えたのでしょうか。その答えは、ベルギーとルクセンブルクという2つの小さな国にあります。データを見ると、中国の保有額が減少した時期に、ベルギーの保有額が急増していることがわかります。中国は地政学的なリスク、特にロシアの資産凍結のような制裁を回避するため、米国内ではなく、ユーロクリアの本拠地であるベルギーなどの国際的な決済ハブに保管場所を移しているに過ぎません。これらを合算して調整すると、中国の米国債保有額は2011年当時と実質的に変わっていないことが明らかになります。

中国が保管場所を変える理由は、単なるリスク回避だけではありません。欧州の拠点を利用することで、決済の効率化や、米国債を担保とした資金調達の柔軟性を高めるという実利的な目的があります。中国にとって、自国通貨の安定や輸出競争力の維持のためにドル資産は依然として不可欠であり、パニック的な「脱ドル化」は自国経済を破壊する行為に他なりません。投資家の皆様は、こうした刺激的な見出しに惑わされるべきではありません。米国債の価格を動かす真の要因は、地政学的な陰謀論ではなく、米国の経済成長やインフレ率、そして連邦準備制度の政策です。米国債を、ポートフォリオの流動性とリスク管理のための道具として冷静に捉えることが、賢明な投資判断への近道となります。

2026-02-24

劣化する嘘

We Deserve Better War Propaganda - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】独立系ジャーナリストのケイトリン・ジョンストン氏による、アメリカ政府とメディアが垂れ流す対イラン戦争プロパガンダの質の低下と、その背景にある不気味な慢心について批判したコラムをご紹介します。

著者は、現在の対イラン戦争に向けた世論誘導が、もはや「説得」の体裁すら整えていないと切り捨てています。例えば、米政府の中東特使が「イランは核爆弾製造まであと1週間という段階にある」と主張しましたが、これはタカ派が30年以上も繰り返し使ってきた嘘の使い回しに過ぎません。あまりにも透明な嘘であるため、イスラエルのメディアですら「イランには濃縮のための機械も兵器プログラムもない」と嘲笑する始末です。

また、イラン当局が抗議デモに参加した女性の胎内を切り開いたというショッキングなニュースが拡散されていますが、これも「残虐行為プロパガンダ」の典型であり、匿名の一人の証言以外に何の証拠もありません。イラク戦争での「大量破壊兵器」の嘘を経験した世界において、独立した確実な証拠がない限り、米政府が打倒したがっている政権についての主張は即座に却下されるべきですが、メディアは依然としてこうした「嘘」を垂れ流し続けています。

著者は、かつてのイラク戦争時のような緻密な世論形成(合意の捏造)すら行われず、あまりに質の低いプロパガンダがまかり通っている現状に危機感を募らせています。これは、アメリカ国民が戦争に圧倒的に反対していることを帝国側がもはや気にかけておらず、国民の「合意」を得る必要すら感じないほど、その専制的な本性を剥き出しにしている証拠であると分析しています。

結局のところ、信憑性の低い嘘を平気でつく今の姿勢は、国民を愚弄しているだけでなく、帝国の中心部で革命が必要なほど腐敗が進んでいることを示していると結論づけています。戦争という巨大な惨劇を正当化する努力すら惜しむようになった支配層の姿は、今後の暗い未来を予感させるものであると警告しています。

混乱した西洋

The Discombobulated West - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】独立系メディアによる、混迷を極める現代の西洋と、イランや中国を巡る帝国主義的な動きの末路を痛烈に批判したコラムをご紹介します。

著者は、現在の世界が一切の正当化を放棄し、なりふり構わぬ剥き出しの力による支配という、新しい歴史的フェーズに突入したと指摘しています。トランプ政権が推し進める関税中心の外交とイランへの軍事的威圧は、多極化を目指すロシア、中国、イランといった勢力との最終決戦の様相を呈しています。現在、アメリカでは巨大な投機バブルが支配していますが、歴史的に見て略奪と混乱を繰り返す帝国は、バブル崩壊後の出口を常に戦争に求めてきました。軍産複合体という巨大な利権構造は、経済的信用を失った西洋資本主義の唯一の逃げ道となっており、2027年の国防予算が大幅に増額される見通しの中、破綻を隠すための戦争の足音が近づいています。

また、この記事は西洋社会が抱える病理についても鋭く言及しています。トランプ、ネタニヤフ、そしてエプスタインを巡るシンジケートは、政権を揺るがしかねないスキャンダルであるエプスタイン・ファイルから国民の目を逸らすために、物語を書き換える必要に迫られています。一方で、欧州は安価なロシア産エネルギーを捨て、非常に高価なアメリカ産LNGに依存することを決めた結果、かつての工業大国ドイツですら倒産と廃業が日常化しており、まさに脱工業化の勝利というべき皮肉な事態に陥っています。

4月初旬に予定されているトランプ氏の訪中は、米ドル支配を維持するための最後の大取引を狙ったものですが、中国がこれに応じる可能性は低いと見られています。中国はすでに独自の経済圏を構築し、着実にドル離れを進めています。結局のところ、イランを巡る対立は、アメリカとシオニストによる帝国主義が生き残るのか、それともロシア、中国、そしてBRICSが主導する多極化世界へと移行するのかを決める、歴史的な分水嶺となると結ばれています。

製薬利権に別れを

The Year in Review: MAHA's Wins, DMSO Discoveries, and the Window We Can't Lose [LINK]

【海外記事紹介】匿名医師「A Midwestern Doctor」による、医療・食の改革運動「MAHA(Make America Healthy Again)」の劇的な進展と、自身の研究プロジェクトの成果を振り返る論説をご紹介します。

筆者は、パンデミック以降の代替メディアの台頭と、連邦保健当局への改革派の介入が、数十年来の医療の腐敗を正す千載一遇のチャンスを生み出していると説いています。2025年に始まったMAHAの取り組みは、わずか1年で、これまで不可能と思われていた多くの変革を実現しました。例えば、山積みだった子供向けのワクチン接種スケジュールを大幅に削減し、医師との対話を重視する形に改めたほか、不健康な超加工食品を推奨してきた「食のピラミッド」を刷新し、動物性脂肪の再評価や有害な種子油の危険性の周知を進めています。さらに、合成着色料の廃止や水道水へのフッ素添加の見直し、医薬品のテレビ広告規制の再開など、巨大な利権構造に真っ向から切り込んでいます。

こうした公的な改革と並行して、筆者は「忘れ去られた医学」の復活に心血を注いでいます。その中核が、安価でありながら炎症や痛みの緩和、さらには脳卒中ケアや視力改善にまで驚異的な効果を示す可能性を持つ「DMSO(ジメチルスルホキシド)」の研究です。筆者はこの2年間、英語圏だけでなくロシアや中国の膨大なデータベースから数千もの研究論文を掘り起こし、AIを駆使して「DMSO百科事典」とも呼べるプロジェクトを完遂させました。この取り組みの目的は、患者自身が自分の体を癒やす手段を手にすることで、製薬利権に依存しない「新しい治癒の概念」を文化として定着させることにあります。

筆者は、今後さらに「血液紫外線照射療法」や「オゾン療法」といった、同様に強力でありながら歴史の闇に葬られてきた治療法の情報を順次公開していく予定です。これらの「忘れ去られた療法」が普及することは、現代の硬直化した医療パラダイムに対する強力なカウンターとなり、MAHAが進める構造改革を草の根から支える力になると確信しています。

スタグフレーションが起きる理由

What Causes Stagflation? | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】経済停滞(スタグネーション)と物価上昇(インフレ)が同時に進む「スタグフレーション」がなぜ起きるのか、その根本的な原因を解説した論考をご紹介します。

かつて主流派経済学では、失業率を下げようとすれば物価が上がり、物価を抑えようとすれば失業率が上がるという「トレードオフ(二者択一)」の関係があると考えられていました。しかし、経済学者のミルトン・フリードマンらはこの説に異を唱えました。中央銀行が景気を刺激しようとして通貨供給量を増やすと、一時的には人々が豊かになったと感じて需要が増え、生産が拡大して失業率が下がります。しかし、人々が物価上昇に気づき、将来のインフレを予想し始めると、実質的な購買力の低下に合わせて行動を調整するため、景気刺激の効果は消え去ります。結果として、経済成長は元の水準(あるいはそれ以下)に戻る一方で、高い物価上昇だけが残ることになります。これがフリードマンの説くスタグフレーションの仕組みです。

さらにこの記事では、フリードマンの理論を一歩進め、スタグフレーションの本質は「無からの富の移転」にあると指摘しています。中央銀行が通貨を増刷することは、裏付けのない「無」からお金を作り出すことであり、それによって商品を買うという行為は、「何か(商品)」と「何もないもの(刷られただけのお金)」を交換することに他なりません。このプロセスによって、実際に価値を生み出している人々(富の創出者)から、新しく作られたお金を手にした人々へと、実質的な資源が奪われてしまいます。

この資源の収奪が繰り返されると、社会全体の富を生み出す力が弱まり、経済成長が鈍化します。それと同時に、市場にはモノに対して過剰なお金が存在するため、物価は上昇し続けます。つまり、中央銀行による通貨膨張政策は、常にスタグフレーションの種をまいていると言えます。

スタグフレーションの症状が目に見えて悪化するかどうかは、社会全体の「貯蓄」の状態に左右されます。自発的な貯蓄が十分にあり、経済の基礎体力が維持されている間は症状が隠されることもありますが、貯蓄が底をつけば、不況と物価高が同時に襲いかかる悲惨な状況が表面化します。結論として、スタグフレーションは突発的な事故ではなく、過剰な通貨発行という政策がもたらす必然的な帰結であると警告しています。

アルゼンチン、投資引き揚げの危機

Emerging Markets Soar While Argentina Waits | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】世界最大の資産運用会社ブラックロックによる最新の市場分析と、それとは対照的なアルゼンチン経済の厳しい現実を対比させたレポートをご紹介します。

2026年に入り、新興国市場は目覚ましい飛躍を遂げています。ブラックロックの報告によれば、MSCI新興国株指数は1月だけで約9%上昇し、先進国市場を大きく引き離しました。特にアジアのAI関連技術や、メキシコ、ブラジル、ベトナムといったグローバル・サプライチェーンの再構築の恩恵を受ける国々への投資が加速しています。ブラジルでは、2025年の対内直接投資(FDI)が過去10年で最高水準の841億ドルに達するなど、活況を呈しています。

一方で、大統領による強力なプロパガンダで注目を集めてきたアルゼンチンは、この新興国ブームから完全に取り残されています。大統領は投資を呼びかけるために頻繁に訪米を繰り返していますが、実際の数字は残酷です。アルゼンチンの株価指数(メルバル)は、インフレ率を差し引いた実質ベースでマイナス成長に陥っており、2025年の直接投資額も2003年以来初めてマイナスの赤字を記録しました。また、2023年末から2025年8月までに約1万5000社もの企業が倒産するという事態に陥っています。

この停滞の主な要因として、政府による為替市場の操作と、依然として重い税負担が挙げられています。自由市場経済を標榜しながらも、実際には国家による介入が続いており、これが国内生産を破壊し、投資家を遠ざけています。皮肉なことに、左派政権下のブラジルやコロンビアの方がアルゼンチンよりも国家介入が少なく、経済パフォーマンスが良いという現実があります。

結局のところ、投資家は政治家の演説や「願望」には動かされません。資金は冷徹に実数を見極め、自らに利益をもたらす場所へと音も立てずに移動します。プロパガンダでは経済の停滞とインフレ(スタグフレーション)という現実を隠し通すことはできず、アルゼンチンは今、深刻な「投資引き揚げ」の局面に立たされていると結ばれています。

犠牲になる中小企業

When Government Favors Big Business over Small Enterprise | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ経済において、政府がいかに大企業を優遇し、中小企業を相対的に衰退させてきたかという歴史的・構造的な背景を分析したレポートをご紹介します。

2025年末の統計によれば、ウォール街の大企業が過去最高の利益と株価を記録する一方で、メインストリートの中小企業はインフレやコスト増に苦しむという格差が鮮明になっています。19世紀のアメリカでは、国民の大多数が自営業者や小規模な農家でしたが、20世紀半ばから現在に至るまで、経済全体に占める中小企業の割合は一貫して低下し続けています。現在、アメリカの全企業数の99パーセント以上を中小企業が占めているにもかかわらず、その雇用シェアは46パーセントにすぎず、総収入に占める割合は40パーセントを切るまでに落ち込んでいます。

この変化には、自由市場における規模の経済といった自然な要因も含まれますが、本レポートは政府による不当な介入が中小企業を追い詰めていると厳しく指摘しています。例えば、複雑な規制は大規模な法務部門を持つ大企業には耐えられても、小規模な組織にとっては重い固定費となり、競争力を削いでしまいます。また、関税の引き上げは原材料を輸入する中小メーカーに直接的なコスト増を強いる一方で、大企業はこれらのコストを価格に転嫁しやすく、逆に保護の恩恵を受けやすい立場にあります。さらに、中央銀行による通貨膨張は、資金調達に有利な大手企業に資金を集中させ、中小企業への投資を滞らせる歪みを生んでいます。

政府が「戦略的」とみなす特定分野への補助金や直接投資も、その性質上、管理のしやすい大企業に集中する傾向があります。「大きすぎて潰せない」という救済措置は、非効率な大企業の延命を助け、新たな中小企業の参入機会を奪っています。特に戦争や地政学的な対立を背景とした「国家による経済操作」が強まるほど、政治的に成果をアピールしやすい大企業が重用され、多様でダイナミックな中小企業が犠牲になります。真に自由な市場であれば、非効率な大企業は淘汰され、その資本が新たな挑戦者に再分配されるはずですが、政府の介入がその健全な新陳代謝を阻害していると結論づけられています。

金銀、さらに重要に

Silver’s Breakout, Retail Pandemonium, and the Push for Sound Money [LINK]

【海外記事紹介】2026年に入り、銀(シルバー)市場で起きた歴史的な暴騰と急落、そして米国内で加速する「健全な貨幣(サウンド・マネー)」への動きについて、貴金属取引大手マネー・メタルズ・エクスチェンジのステファン・グリーソンCEOによる分析をご紹介します。

銀相場は、45年間にわたって壁となっていた1オンス50ドルを突破し、一時120ドルまで急騰するという現代市場でも稀に見る劇的な動きを見せました。その後、1日で約28パーセント下落するという史上最大規模の調整を経て、現在は70ドル台後半で推移しています。金も同様に、過去3年間で価値が2倍以上に上昇しており、現在は一時的な調整局面にあるものの、構造的な強さは維持されています。

この激動の裏では、現物市場に深刻な歪みが生じています。現在、世界の銀精錬能力の半分以上が中国に集中しており、米国内の精錬所は1年以上のバックログ(受注残)を抱え、パンク状態にあります。この精錬のボトルネックにより、古い銀貨がスポット価格を大幅に下回る価格で取引される一方で、中国やドバイでは高いプレミアムがつき、米国から現物の銀が流出するという国際的な裁定取引が活発化しています。また、米国の一般市民で金銀を保有しているのはわずか1〜2パーセントに過ぎませんが、この層が少しでも拡大すれば、現在の現物供給インフラは維持できないだろうと予測されています。

さらに注目すべきは、米国各州で進む「健全な貨幣」を実現するための法整備です。現在、貴金属の購入に消費税を課す州はわずか5州にまで減り、14の州では売却時の所得税も撤廃されました。ユタ州やテキサス州などでは州独自の金準備を保有する動きも加速しています。連邦レベルでも、米国の金準備の透明性を高めるための監査法案や、ニューヨーク近郊に集中している保管庫を分散させる「シルバー法案」などが提出されています。

グリーソン氏は、中央銀行がドルに代わる第一の予備資産として金を蓄積し、脱ドル化が進むなかで、貴金属市場は「新しい現実」のフェーズに入ったと指摘しています。今後も激しいボラティリティ(価格変動)は続くものの、現物の需給逼迫と通貨への不信感を背景に、金と銀の重要性はさらに高まっていくと結論づけています。

自由主義の好機

Epstein Files: An Opportunity for Libertarians - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】元アメリカ下院議員のロン・ポール氏が、エプスタイン事件のファイル公開をめぐる混乱が、いかに自由至上主義(リバタリアニズム)の普及と政府への不信感を高める好機であるかを説いた論説をご紹介します。

エプスタイン・ファイルの分析により、政治、ビジネス、学術界のエリートたちとジェフリー・エプスタインとの深い繋がりが次々と明らかになっています。特に、エプスタインがイスラエルのモサドやアメリカのCIAといった諜報機関と協力し、未成年の少女たちを利用して権力者を脅迫する仕組みを構築していたという疑惑は極めて深刻です。主要メディアや多くの政治家がこの問題に消極的な一方で、オルタナティブ・メディアは諜報機関との関わりや彼の不審な死の真相を執拗に追い続けています。

ロン・ポール氏は、司法省がファイルの全容公開を拒み続けていることや、トランプ政権が議会に強制されるまで公開を渋った事実は、国民の政府に対する不信感を決定的なものにすると指摘しています。かつてマレー・ロスバードがウォーターゲート事件を「政府への信仰を破壊した希望の光」と評したように、今回のエプスタイン事件は、性虐待を権力維持の道具にするというその邪悪さにおいて、ウォーターゲートを遥かに凌ぐ衝撃を社会に与えています。

現在、アメリカは39兆ドルに迫る膨大な債務と、不換紙幣(フィアット・マネー)システムに起因する経済危機の瀬戸際にあります。過度な外交介入への反発と相まって、ドルの基軸通貨としての地位も揺らいでいます。ポール氏は、こうした「福祉・戦争・不換紙幣」という現行システムの崩壊が近づくなかで、国民が政府のプロパガンダを見抜き、自由を重んじるクリティカル・マスを形成することが不可欠だと説いています。

結論として、この危機と不信感を追い風に、政府の権限を厳格に制限し、憲法に基づいた自由と平和を取り戻すための運動を広めるべきだと呼びかけています。エプスタイン事件の真相究明は、単なるスキャンダルの解明ではなく、巨大化した政府権力を解体し、真の自由社会を再建するための第一歩となる可能性を秘めていると論じられています。

2026-02-23

現実主義の正反対

War on Iran Is the Opposite of ‘Realism’ - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権が中東で進める大規模な軍事増強を受け、イランとの戦争がいかにアメリカの「現実主義(リアリズム)」的な国益に反するかを警告する論説をご紹介します。

この記事は、現在トランプ政権が掲げている「柔軟な現実主義」という外交指針を真っ向から否定しています。本来、現実主義とは地理的条件や軍事力の配分に基づき、自国の安全と繁栄を最優先する考え方です。地球の反対側にある中規模国家に過ぎないイランは、超大国であるアメリカにとって直接的な軍事脅威ではなく、その統治形態が神権政治であるかどうかも、リアリズムの観点からは介入の理由にはなりません。

むしろ、アメリカがイランを攻撃することは、本来阻止すべき「地域覇権国」を自らの手で作り出すという致命的な過ちを犯すことになると論評されています。現在、中東で覇権を狙っているのはイスラエルであり、宿敵であるイラン体制が崩壊すれば、イスラエルは世界経済にとって不可欠なこの地域全体を支配する力を得ることになります。アメリカにとっての最善策は、軍を引き揚げてイラン、トルコ、アラブ諸国による自然な勢力均衡を促すことであり、イスラエルの覇権争いを肩代わりすることではありません。

現在、アメリカはイランの報復を封じ込めるために、指導部の殺害を含む大規模な先制攻撃を準備していると分析されています。しかし、ひとたび戦火が広がれば、ホルムズ海峡の封鎖による世界的な石油危機や、米軍兵士への甚大な被害、さらにはイスラエルによる核兵器使用の可能性まで、最悪のシナリオが現実味を帯びてきます。

トランプ大統領は、軍事的な威圧によって交渉を有利に進めようとしているのかもしれませんが、空母を含む海軍の3分の1を地域に派遣するような行為は、かえってイスラエルによる挑発を招き、アメリカを望まない戦争へと引きずり込む危険性を高めています。アメリカにとって失うものが大きすぎるこの戦争を回避するためには、一刻も早い外交的な沈静化が必要であると結ばれています。

約束を守らない国

Sergei Lavrov is Right: America is 'Agreement Incapable' | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】ロシアのラブロフ外相が、アメリカを「合意不可能な国」と非難した背景と、国際社会で揺らぐアメリカの信頼性について分析した記事をご紹介します。

ラブロフ外相は先日、「アメリカは合意を履行する準備ができていない」と述べ、2025年8月にアラスカで行われたトランプ・プーチン会談での約束が守られていないと主張しました。こうした「ワシントンは約束を守らない」という批判は、ロシア外交の定番となりつつありますが、今やその不信感はロシア以外にも広がっています。

過去20年間を振り返ると、アメリカは驚くほど多くの国際協定から一方的に離脱してきました。2001年の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約に始まり、トランプ前政権下でのイラン核合意(JCPOA)、中距離核戦力(INF)全廃条約、そしてオープンスカイ条約からの離脱が続きました。こうした相次ぐ「約束破り」は、敵対国だけでなく同盟国にも、アメリカの約束は一時的なものに過ぎないという強い不信感を与えています。

その結果、国際社会ではアメリカ主導の多国間主義から、BRICSや上海協力機構(SCO)といった「オルタナティブ(代替的)な枠組み」へのシフトが加速しています。2024年に劇的な拡大を遂げたBRICSは、今や世界人口の45パーセントを占め、独自の決済システム「BRICSペイ」の構築などを通じて、ドル依存からの脱却を図っています。制裁や合意離脱を外交手段として多用するアメリカに対し、これらの組織は「信頼できないワシントン」に代わる新たな極として存在感を高めているのです。

記事は、アメリカが信頼を再構築するためには、たとえ不完全な合意であってもそれを維持し、予測可能な枠組みを作ることが不可欠だと説いています。ロシアや中国、そして一部の欧州諸国までもが「アメリカ抜き」の防衛や経済の自律性を模索し始めるなか、アメリカが「合意不可能な国」という汚名を返上できなければ、世界は多極化という不可避な流れに飲み込まれていくことになると警告しています。

トランプ関税、最高裁判決の影響小

The Supreme Court Only Slightly Complicated Trump’s Tariff-Centric Foreign Policy - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】トランプ大統領の外交戦略の柱である関税政策に対し、連邦最高裁判所がブレーキをかけたものの、その実質的な影響は限定的であるとする分析をご紹介します。

アメリカ連邦最高裁判所は、トランプ大統領が「国際緊急経済権限法」に基づいて課していた関税について、6対3の判決で違憲との判断を下しました。この判決は、大統領が恣意的かつ無期限に関税を課す権限を制限したため、トランプ氏が他国に譲歩を迫るための「経済的な武器」としての威力は、一時的に弱まったようにも見えます。しかし、トランプ大統領はすでに判決の隙間を縫うような別の法的根拠を模索しており、全世界一律の関税を15パーセントに引き上げる方針を維持するなど、強気の姿勢を崩していません。

分析によれば、今回の判決がトランプ外交に与える影響が小さい理由は、彼がすでに世界の主要な経済国のほとんどと、新しい貿易協定の交渉を終えていることにあります。各国はアメリカ市場へのアクセスを制限されることを恐れ、最高裁の判決が出る前にトランプ氏の要求を飲んで合意に至りました。そのため、トランプ氏の関税外交は、すでにその目的の大部分を達成していると言えます。

唯一の大きな例外は中国です。3月末から予定されているトランプ大統領の訪中において、習近平国家主席がこの判決を理由に強気な交渉を見せる可能性はあります。しかし、トランプ氏側も新たな法的枠組みへの移行によって、2026年の関税収入は実質的に変わらないとの見通しを示しており、中国に対して圧力をかけ続ける構えです。

結局のところ、最高裁の判決はトランプ外交の手続きをわずかに複雑にしたに過ぎません。関税を交渉の武器にするというトランプ氏の手法は、すでに世界経済のルールを塗り替えており、法的な制約を乗り越えて当初の目標を達成しようとする彼の戦略は、今後も継続される見通しです。

国家を消すボタン

Rothbard’s Button Might Be Liberty’s Last Hope - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】リバタリアンの経済学者マレー・ロスバードが提唱した「国家を即座に消滅させるボタン」という比喩を通じ、真の自由を取り戻すための道筋を説いた論説をご紹介します。

この記事は、現代社会が「政府による国民への攻撃」や「メディアによる監視」といった、オーウェル的な悪夢に直面していると警告しています。憲法に頼ったり「良い政治家」を選んだりするだけでは根本的な解決にはなりません。なぜなら、国家の本質とは、税金や通貨の偽造(増刷)を通じて、他人が生産した富を強制的に奪い取る「政治的手段」そのものだからです。

ここで登場するのが、ロスバードの「ボタン押し(ボタン・プッシャー)」という考え方です。もし押すだけで国家を消滅させ、人々に自由を返せるボタンがあるなら、自由主義者は親指に水ぶくれができるまでそのボタンを押し続けるべきだという主張です。

この理想を現実のものとした歴史的な例として、戦後ドイツの経済相ルートヴィヒ・エアハルトが挙げられています。1948年当時、ドイツ経済はハイパーインフレとナチス時代からの価格統制によって壊滅状態にありました。エアハルトは連合軍の監視の目を盗み、日曜日に独断で「通貨改革」と「価格統制の完全撤廃」を断行しました。翌月曜日、空っぽだった商店の棚には商品が溢れ、闇市場は消滅しました。これは「ドイツの経済奇跡」と呼ばれますが、エアハルト自身は「奇跡ではなく、自由という原則に基づき、個人の創意工夫を解放した当然の結果だ」と述べています。

現在の指導者の中で、こうした「国家による略奪」を根本から断ち切るために、連邦準備制度(Fed)や所得税の廃止を訴えたのはロン・ポール氏のような極少数の人物に限られています。記事の結論として、真に必要なのは、国家を肥大化させるルールを作る者ではなく、自らの職務を消滅させるほどに国家の制限を撤廃し、国民を「組織的な犯罪」から解放する指導者、すなわち「ボタン押し」の精神を持つ人物であると説いています。

不適切な司法長官

Bondi Strikes Out - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月11日、アメリカの下院司法委員会で行われたパム・ボンディ司法長官の証言について、自由至上主義の思想家ルー・ロックウェル氏が、そのあまりにも不適切な対応を厳しく批判する論考を発表しました。ロックウェル氏は、正当な憲法上の疑義に対して侮辱的な言葉を投げ返したボンディ氏の態度は、司法長官という職務に全くふさわしくないと断じています。

この公聴会で最大の焦点となったのは、性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関連する機密文書、いわゆる「エプスタイン・ファイル」の公開をめぐる問題です。共和党のトーマス・マッシー議員は、児童性売買の共謀者としてリストに挙がっていた億万長者のレスリー・ウェクスナー氏の名前が、当初なぜ黒塗りされていたのかを厳しく追及しました。これに対しボンディ氏は、質問に真摯に答えるどころか、マッシー議員を「トランプ嫌いの精神疾患を抱えた、失敗した政治家」と罵倒し、まともな議論を拒絶しました。

さらに深刻な問題として、民主党のプラミラ・ジャヤパル議員によって、司法省が有力者の名前を隠す一方で、本来保護されるべき被害児童の実名を伏せずに公開し、彼女たちに修復不可能な二次被害を与えた事実が明らかにされました。傍聴席には被害者たちが姿を見せていましたが、ボンディ氏は彼女たちへの謝罪を拒み、議員の質問を「派手な演出にすぎない」と切り捨てました。また、ボンディ氏がジャヤパル議員のファイル検索履歴を監視した記録を手に持っていたことも判明し、司法省による立法府への不法な監視ではないかという疑念まで浮上しています。

この公聴会では、委員会の幹部であるジェイミー・ラスキン議員に対しても、ボンディ氏が「落ちぶれた負け犬弁護士」と怒鳴りつける場面がありました。ロックウェル氏は、このような子供じみた侮辱を繰り返す人物が司法のトップに座っている現状を「国家の恥」と表現しています。有力者を保護し、被害者を傷つけ、さらに自分たちを監視する司法のあり方に、党派を超えた強い批判が集まっています。

インド、金投資盛ん

Indian Gold Demand Robust in India In January as Prices Scaled New Highs [LINK]

【海外記事紹介】世界第2位の金市場であるインドにおいて、価格が過去最高値を更新し続けるなかでも、投資需要が極めて堅調に推移している現状を伝えるレポートをご紹介します。

今年1月、金価格はルピー建てで10グラムあたり17万5231ルピーという驚異的な最高値を記録しました。ルピー安の影響もあり、現地の金価格は前年比で24パーセントも上昇しています。特筆すべきは、これまで現物資産を好んできたインドの投資家たちの間で、金ETF(上場投資信託)への関心が爆発的に高まっている点です。

インドの金ETFは9か月連続で資金流入を記録し、運用資産残高は前年比で3倍以上に急増しました。1月には保有量が初めて100トンの大台を超え、110トンに達しています。ワールド・ゴールド・カウンシルの分析によれば、金ETFへの流入額が初めてインド株式への流入額を上回っており、投資家の資産配分の好みが株式から金へとシフトしつつある可能性が示唆されています。

インドの人々にとって、金は単なる贅沢品ではなく、経済的・文化的に不可欠な「富の保存手段」です。インドの全世帯の87パーセントが何らかの形で金を保有しており、所得層に関わらず、最も低い収入層の世帯でさえ4分の3以上が金を購入しているというデータもあります。宝飾品としての需要は価格高騰により数量ベースで2割ほど減少していますが、コインやバーといった投資向け製品への関心は依然として高く、価格が一時的に下がればすかさず買いが入る「押し目買い」の意欲が非常に強いのが特徴です。

欧米市場では価格高騰に伴う利益確定の売りも見られますが、インドの投資家はさらなる値上がりを期待して保有を続ける傾向にあります。この「インドの金愛」とも言える強固な需要は、世界的な金価格の下支え要因として今後も重要な役割を果たしそうです。

国家は犯罪組織

Nock’s War on the State | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの思想家アルバート・ジェイ・ノックが、国家の本質を「犯罪組織」になぞらえて批判した論考についてご紹介します。ノックは完全な無政府主義者ではありませんでしたが、国家を最小限に抑えるべきだと説く古典的自由主義の立場から、その肥大化を厳しく指弾しました。

ノックは、人間の欲求を満たす手段には「富の生産と交換」という経済的手段と、他人が作った富を「無償で奪い取る」という政治的手段の2つしかないと指摘しました。彼によれば、国家の本質とは、ある集団が別の集団を支配し、経済的に搾取するために編み出された「政治的手段」を体系化した制度に他なりません。つまり、社会は「奪われる側」と、暴力や威嚇を背景に他人の生産物で優雅に暮らす「奪う側」の2グループに分かれているという冷酷な現実を、彼は突きつけました。

ノックが特に現代的だと言えるのは、民主主義国家であっても、その犯罪的な本質は全体主義国家と何ら変わらないと論じた点です。1936年、大恐慌に苦しむ人々がフランクリン・ルーズベルト大統領を救世主のように仰いだ際、ノックは人々が依存心から「より良いボス」を求めているに過ぎないと見抜いていました。彼は、国家が個人の自発的な協力関係、つまり「社会的権力」を侵食し続けることに警鐘を鳴らしました。例えば、かつて災害が起きた際にボランティアが迅速かつ自律的に解決していた問題も、国家が肥大化すれば、人々は何でも政府に頼り、自分たちの能力を衰退させてしまうというのです。

さらに彼は、外国の残虐な独裁政治を批判しながら自国の国家権力を容認する人々の「驚き」を、あまりに世間知らずだと切り捨てました。歴史を見れば、国家は自らの利益のために、可能であれば常に略奪や虐殺を行ってきたからです。彼はメディアがすべきことは、国家の悪行に驚くことではなく、国民に「国家とはこういうものだ、一体何を期待しているのか」と歴史的事実を突きつけ続けることだと説きました。

ノックの結論は悲観的でもあります。大衆は真実よりも耳に心地よい嘘をつく政治家を選びがちであり、国家を抑制するには有権者に極めて高い規律が必要だからです。私たちが投票という儀式で「新しい支配者」を選ぶとき、それは国家の本質的な犯罪性を肯定しているに過ぎないのかもしれません。今、私たちが目にしている国際情勢や国内の政治も、ノックが描いた「社会的権力を奪い、自己増殖を続ける国家」という構図の中に収まっていると言えます。

「保育器の赤ちゃん」の嘘再び

'Incubator Babies' Are Back, With Iran In Crosshairs - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】歴史家や政治評論家の間では、戦争が始まる直前には決まって「残虐な嘘」がプロパガンダとして流布されるという警鐘が鳴らされています。現在、トランプ政権下で緊張が高まるイラン情勢において、かつての湾岸戦争を彷彿とさせるような極端な情報戦が繰り広げられています。

トランプ大統領は先週、イラン国内の騒乱で3万2000人が殺害されたと述べ、イランの人々は現体制下で「地獄に住んでいる」と非難しました。この数字はイラン反体制派の主張をも大きく上回る極めて高い見積もりですが、一方でイラン政府側は、犠牲者は3117人であり、その多くは米国やイスラエルに支援された「テロリスト」による犠牲者であると反論しています。イラン側は、米国が反政府運動を組織化するために数千台のスターリンク端末を秘密裏に送り込んだとも主張しており、双方の主張は真っ向から対立しています。

こうした中、一部の米メディアが報じた「刑務所内で女性が暴行され、証拠隠滅のために子宮を摘出されている」という衝撃的なニュースが波紋を呼んでいます。これに対し、ロン・ポール研究所のダニエル・マクアダムス氏は、こうした刺激的で証拠のない主張は、国民を戦争へ駆り立てるための極めて稚拙なプロパガンダであると指摘しました。これは、1990年の湾岸戦争直前に「イラク軍がクウェートの病院で未熟児を保育器から放り出して殺害した」と証言した少女の訴えが、後に米国のPR会社によって仕組まれた大嘘であったことが判明した「ナイラ証言」の再来であるというのです。

かつての失敗した戦争のたびに「今回は違う」と言い聞かされてきましたが、歴史を振り返れば、アメリカが特定の国を標的にする際、国民の感情を揺さぶるための虚偽の物語が利用されるパターンは不変です。私たちが再び「保育器の赤ちゃん」のような物語に騙され、悲劇的な軍事介入を支持してしまうのか、それとも過去の教訓から真実を見極めることができるのか、今まさにその冷静な判断が問われています。

2026-02-22

繁栄を失わないためには

The Pattern Behind History's Golden Ages [LINK]

歴史家ヨハン・ノルベリ氏は、その著書において古代ギリシャから現代にいたるまでの人類の繁栄、いわゆる黄金時代には驚くほど共通したパターンがあると指摘しています。それは、開放性と知的な自由、そして貿易によって築かれ、一方で恐怖や教条主義、そして孤立によって崩壊するという法則です。

黄金時代とは、単なる領土の拡大を指すのではなく、文化的な創造性や科学的な好奇心、そして経済成長が同時に花開く時期を意味します。例えば古代ギリシャのアテナイでは、貧弱な土地を補うために外の世界へ踏み出す貿易の精神が、新しいアイデアを尊ぶ好奇心と民主主義を育みました。アッバース朝時代のバグダードは、異なる宗教や文化を寛容に受け入れ、ギリシャ哲学を翻訳して取り入れることで、代数学などの高度な科学技術を生み出しました。また、中国の宋王朝は、ヨーロッパが産業革命を迎えるはるか以前に、羅針盤や印刷、火薬といった技術を確立し、自由な市場と私有財産権によって莫大な富を築いていました。

しかし、これらの黄金時代は例外なく終焉を迎えています。アテナイは戦争による不安から部族主義に陥ってソクラテスを死刑に処し、アッバース朝は宗教的な正統性を守るために批判的な思考を排除し始めました。宋王朝の後に続いた明王朝は、安定を求めて貿易を制限し、過去の形式に固執することで数百年にわたる停滞を招いたのです。

ノルベリ氏は、私たちは今、歴史上かつてないほど豊かで自由な世界的な黄金時代に生きていると述べています。極度の貧困はこの数十年で激減し、世界中で最新の知識が共有されています。しかし、この繁栄を維持するためには、過去の失敗から学ばなければなりません。社会に不安が広がると、人々は「アテナイ的」な外への探求を止め、壁を作って守りに入る「スパルタ的」な思考に陥りがちです。知識や富は、ただそこにある金の塊ではなく、絶えず新しく生み出され、再生し続けなければならないものです。

私たちが直面している課題に対し、貿易や移民、そして新しいアイデアを拒絶して孤立の道を選べば、かつての輝かしい文明と同じように衰退を免れることはできないでしょう。私たちが自分たちの文明を開放的に保ち、他者との比較や学習を続けられるかどうかが、この黄金時代を次世代に引き継げるかの分かれ道となります。

野蛮な植民地主義の復活

Rubio Declared a Return to Brutal Western Colonialism - and Europe Applauded - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】先日開催されたミュンヘン安全保障会議において、マルコ・ルビオ米国務長官が行った演説の内容とその不気味な歴史的含意について、鋭い批判記事を紹介します。ルビオ氏は、トランプ政権の外交方針として「第2次世界大戦まで約5世紀にわたって続いた西欧の植民地秩序を復活させる」という驚くべき意図を表明しました。

ルビオ氏の歴史観によれば、1945年までの欧州による世界植民地化は、資源の略奪や搾取ではなく、西欧の探検、革新、創造性に満ちた「輝かしい時代」であったとされます。彼は、宣教師や兵士たちが大海を渡り、未開の民に「優れた文明」をもたらしたと賛美しました。その上で、過去80年間の停滞は「神なき共産主義革命」や「反植民地蜂起」によってもたらされた「帝国の衰退」であると断じ、欧州諸国に対し、アメリカと共に「人類史上最大の文明」である西欧の支配力を再興しようと呼びかけたのです。

驚くべきは、この演説が各国の元首や外交官から熱烈な拍手とスタンディングオベーションで迎えられたことです。ルビオ氏の物語には、植民地支配に伴う残虐な弾圧、産業規模のジェノサイド(大量虐殺)、先住民の奴隷化といった歴史的実態が完全に欠落しています。かつての帝国間競争が、最終的にヨーロッパ全土を焦土と化した二度の世界大戦を引き起こしたという教訓も無視されています。

この記事は、ルビオ氏が「過去80年間、西欧は植民地主義を放棄した」と主張している点も誤りであると批判しています。実際には、米国が欧州から帝国のバトンを引き継ぎ、軍事基地や経済包囲網(世界銀行やIMF)を通じて「洗練された形」で支配を継続してきたに過ぎないからです。トランプ政権が今やろうとしているのは、これまでの外交的建前をかなぐり捨て、むき出しの武力によって「帝国の首領」としての地位を固めることです。

著者は、国際法を無視し、力による植民地秩序へ回帰しようとするこの試みは、最終的に世界を破滅へと導く「自滅的な道」であると強く警告しています。かつての「野蛮な植民地主義」が、今、アメリカの公式な外交方針として復活しようとしているのです。

礼儀正しい戦争党

Democrats Aren’t Resisting Trump’s Iran War Because They Secretly Support It - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイランの間で戦争の危機が刻一刻と迫る中、野党であるはずの民主党がなぜ沈黙を守っているのか。その「不都合な真実」を鋭く突いた記事をご紹介します。現在、2003年のイラク侵攻以来最大規模の航空戦力が中東に集結しており、近くイランへの攻撃が開始されるとの予測が飛び交っています。しかし、驚くべきことに米議会の民主党指導部からは、この無謀な軍事行動を阻止しようとする動きがほとんど見られません。

記事によれば、ハキーム・ジェフリーズ氏やチャック・シューマー氏といった民主党のトップが沈黙している理由は、彼らが「本心ではトランプ大統領のイラン攻撃を支持しているから」だといいます。民主党の帝国主義者たちにとって、トランプ氏は「手を汚してくれる悪役」として都合の良い存在なのです。自分たちは表向きは「ルールや議会の手続き」について苦言を呈し、良識あるふりをしながら、裏では帝国の邪魔者を排除してくれるトランプ氏の強硬策を歓迎しています。

象徴的な例として、民主党のマーク・ウォーナー上院議員の発言が挙げられています。彼は「大統領がすべての選択肢をテーブルに置くのは適切だ」と述べ、イランの「体制転換(レジームチェンジ)」に賛同する意向を示しました。彼の批判の矛先は「戦争そのもの」ではなく、トランプ氏のやり方が「不器用で礼儀を欠いている」という点にすぎません。つまり、民主党の本音は「戦争には賛成だが、もっとスマートに、もっと多くの爆弾を核施設に落とすべきだった」という極めて好戦的なものなのです。

著者は、アメリカには「礼儀正しい右翼戦争党」と「粗野な右翼戦争党」の二つしか存在しないと断言します。バイデン政権下でのガザ情勢という広報上の悪夢から解放された民主党は、今やトランプ氏という「悪役」にすべての非難を押し付けつつ、自らの帝国主義的な野望を叶えようとしています。トランプ氏の暴走を助長しているのは、実のところ対抗勢力であるはずの民主党の「静かな協力」であるという指摘は、現代アメリカ政治の闇を浮き彫りにしています。

米教育現場とシオニズム

More Teaching About Israel as Victim - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの公立学校において、ホロコーストや反ユダヤ主義に関する教育を義務化する動きが加速している現状と、その背景にある政治的意図を批判的に分析した記事をご紹介します。この記事によれば、テキサス州の教育委員会は、全米で初めて幼稚園から高校までの全学年を対象とした「必読図書リスト」の作成を検討しており、その中にはエリー・ヴィーゼルの『夜』や『アンネの日記』といったユダヤ系図書が中心的な位置を占めています。

元CIA職員のフィリップ・ジラルディ氏は、こうした教育課程の義務化が、イスラエルを絶対的な「犠牲者」として描き、その政治的行動への批判を封じ込めるための「政治工作」であると主張しています。テキサス州にはすでに「ホロコースト記念週間」などの教育義務がありますが、今回のリスト作成にはイスラエルを支持する専門家や団体が深く関わっており、結果としてシオニズム(ユダヤ民族主義)を正当化する物語が公教育に浸透しようとしています。

記事は、教材として選ばれた著作の信憑性にも疑問を呈しています。例えば、ヴィーゼルの『夜』には、物語性を高めるための創作が含まれていると指摘し、また『アンネの日記』についても、戦後に父オットー氏によって多大な編集と加筆が行われたと述べています。こうした「物語」を批判の余地なく生徒たちに教え込むことは、自由な思考を奪うものだと警鐘を鳴らしています。

さらにミズーリ州では、イスラエルに対する批判を「反ユダヤ主義」と定義する国際的な基準を学習指導要領に導入する法案が進んでいます。これにより、イスラエルのパレスチナに対する政策をナチスと比較することなどが事実上禁止され、従わない教師が処罰される可能性も出ています。記事は、こうした言論の自由を抑圧する動きが、トランプ政権下の連邦政府や各州で「宗教の自由」という名の下に推進されている現状を強く非難しています。信仰と政治思想であるシオニズムを混同させ、イスラエルの暴力を神の祝福として正当化する教育は、本来のキリスト教的価値観や民主主義の精神とは相反するものであると結んでいます。

死を乗っ取った現代医療

How Medicine Hijacked Death and How to Reclaim a Better Way to Die [LINK]

【海外記事紹介】現代医療が「死」という人生の極めて重要なプロセスをどのように支配し、歪めてしまったのかを問い直す論説をご紹介します。かつて「死」は人生の自然な同伴者として受け入れられてきましたが、現代の医療産業は死を「克服すべき敵」と定義し、高額で時に無意味な延命治療を強いることで、死のプロセスを家族や本人から奪い去ってしまったと著者は指摘しています。

この変化は、1970年代にイヴァン・イリイチが提唱した「医療による支配」の予見通りであり、死が病院という閉鎖的な空間で管理される「商品」となったことを意味します。興味深いことに、医療の限界を知り尽くしている医師ほど、自分自身の最期には過剰な延命治療を望まず、自宅で家族に囲まれて過ごすことを選ぶ傾向にあります。これは、肋骨を折るほどの蘇生措置やICUでの孤独な最期が、個人の尊厳や精神的な安らぎとはかけ離れていることを示唆しています。

記事では、最近亡くなった、漫画「ディルバート」の作者スコット・アダムス氏の事例が挙げられています。アダムス氏は末期の進行性前立腺がんであることを公表し、自身の死に至る過程をネットを通じて発信し続けました。彼は最終的にキリスト教へ改宗し、「他者を助けること」や「真実に生きること」など、死を目前にして初めて気づく「本当に大切な価値観」を体現しました。著者は、こうした精神的な側面や、意識が脳の活動停止後も存続することを示唆する近死体験の研究を引き合いに出し、死を物質的な現象としてのみ捉える現代医学の限界を説いています。

さらに著者は、コロナ禍以降に懸念されている「ターボ癌」などの健康被害や、医療倫理が経済的利益によって軽視されている現状にも触れています。こうした不透明な状況下で、私たちが自身の尊厳を守るためには、延命の是非を事前に記す「リビング・ウィル(尊厳死宣言書)」などを準備し、医療の独占から自分の死を取り戻す必要があると訴えています。死を直視し、受け入れることこそが、皮肉にも今をより良く生きるための鍵となるのです。

「帝国第一」のトランプ政権

Here Goes Washington To War Again…Because It’s Still Empire First - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの外交政策に警鐘を鳴らす論説をご紹介します。現在、ワシントンではイランに対する戦意がかつてないほど高まっており、トランプ政権による軍事行動が秒読み段階に入ったとの報道も流れています。しかし、政治評論家のデビッド・ストックマン氏は、この動きが「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」ではなく、他国への介入を優先する「エンパイア・ファースト(帝国第一主義)」であると痛烈に批判しています。

ストックマン氏によれば、現在のイランはアメリカの安全保障にとって軍事的な脅威ではありません。イランの海軍力は米海軍のわずか6%に過ぎず、その大半はペルシャ湾内での活動に限られる小型艇です。空軍も1979年以前の旧式機が中心で、アメリカ本土を攻撃できる長距離爆撃機も保有していません。さらに、イランは自らのミサイル射程を2,000キロメートルに制限しており、これはワシントンから1万キロメートル離れた場所にあるアメリカへの攻撃を自ら放棄しているに等しい状態です。国防予算を見ても、年間1兆ドルを投じる国防総省に対し、イランは200億ドルと、わずか175時間分のアメリカの軍事費に相当する額しか充てていません。

それにもかかわらず、なぜアメリカは戦争へと突き進むのでしょうか。ストックマン氏は、その真の目的がアメリカの防衛ではなく、イスラエルなど「必要のない同盟国」への支援や、中東における帝国的権益の維持にあると指摘しています。かつての建国の父たちが「他国との紛争への深入り」を警告したことを無視し、イラン周辺に5万人以上の米兵を駐留させ続けている現状は、憲法が定める平和な共和国の姿から逸脱しているというのです。

また、イランの核開発や弾道ミサイルへの懸念も、交渉のテーブルで過剰に煽られていると氏は主張します。イランは本来、国際的な核不拡散条約の下で認められた権利を制限されており、2015年の核合意も遵守していたにもかかわらず、トランプ氏が一方的に離脱したことで緊張が再燃しました。ストックマン氏は、イランとの戦争がもたらすのは自由の拡大ではなく、膨大な増税と軍の肥大化、そして市民の自由の抑圧であると断じ、目先の中東情勢に惑わされず、アメリカ自身の真の安全保障を見つめ直すべきだと訴えています。

金と購買力の維持

Gold Volatility and the Fed’s Next Chapter [LINK]

【海外記事紹介】金価格の乱高下とアメリカ連邦準備理事会(FRB)の次なる章について、興味深い分析をご紹介します。トランプ大統領はパウエル議長の後任としてケビン・ウォーシュ氏を次期FRB議長に指名しました。この発表前後、金市場ではここ数年で最大級の急落が見られましたが、著名な投資家であるアクセル・メルク氏は、これを単なる「レバレッジ解消による一時的な調整」と冷静に分析しています。

メルク氏によれば、近年の金価格上昇を牽引してきたのは、かつてミーム株や仮想通貨を追いかけていた投機筋の参入でした。彼らがレバレッジをかけて市場になだれ込んだため、反転した際の下げ幅も暴力的なものになりました。しかし、この暴落は市場の「弱い手」を排除する健全なプロセスであり、個人投資家はこの下落局面を絶好の買い場と捉えて動いています。実際、実物資産を扱う卸売業者の現場では、一日の出荷額が保険の限度額に達するほどの活況を呈しているといいます。

金市場を巡る議論で今、最も注目されているのは「8,000ドル」という強気な予測です。JPモルガンなどが示すこのシナリオは、金が単なる「危機の回避手段」から「ポートフォリオの標準的な構成要素」へと変化することを前提としています。投資家や機関投資家がわずか数%でも配分を増やせば、株式や国債に比べて市場規模が小さい金の世界では、価格を劇的に押し上げる要因となります。

この背景にあるのは、アメリカの財政悪化に対する根強い懸念です。政府債務の膨張に歯止めがかからない中、インフレによって通貨の購買力がじわじわと奪われるリスクに、一般の投資家も気づき始めています。次期議長候補のウォーシュ氏は、FRBの肥大化したバランスシートの縮小や、過度な経済介入を控える「基本への回帰」を提唱する人物です。

メルク氏は、FRBのリーダー交代といったニュースが一時的な変動を招くことはあっても、本質的なストーリーは変わらないと強調しています。それは、長期的な「購買力の維持」という視点です。金価格の変動は激しいものですが、長い目で見れば、法定通貨の価値が目減りしていく中で、実物資産としての金が持つ重要性はかつてないほど高まっているのです。

株高の陰で起こっていること

Of Two Minds - Small Business in the TINA Economy/ Competing for the Scraps [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ経済の現状を鋭く分析した記事をご紹介します。現在、アメリカでは「TINA(ほかに選択肢がない)」という言葉が経済のキーワードとなっています。株価の上昇に沸く上位10%の富裕層が資産を膨らませる一方で、残り90%の一般家庭や中小企業が、逃げ場のないコスト増によって「溶け去る」ように衰退しているという衝撃的な内容です。

家計を圧迫しているのは、医療保険、住宅・自動車保険、光熱費、教育費、そして負債の利息といった、生活に不可欠な高額支出です。これらの分野は、少数の巨大企業による実質的なカルテルや準独占状態にあります。例えば、医療保険の保険料や自己負担額が急騰しても、地方の安価な選択肢は存在せず、消費者は巨大企業が提示する高い料金を支払うしかありません。ネット接続や携帯電話も同様で、表面的なキャンペーンはあるものの、実質的な価格競争は機能していません。

さらに深刻なのは、かつては地域密着型だった自動車修理や獣医などのサービスまでもが、プライベート・エクイティ(投資ファンド)に買収され、隠れたカルテルに取り込まれている点です。こうした「選択肢のない支出」が家計の大部分を飲み込むため、消費者が自由に使える「裁量的支出」の余枠は急激に縮小しています。

この構造が、中小企業を窮地に追い込んでいます。巨大企業は独占的な地位を利用して価格を釣り上げ、利益を12.9%も増加させる一方で、中小企業はカルテルによる運営コストの上昇と、顧客の購買力低下という二重苦に直面しています。その結果、大企業が雇用を増やす裏で、中小企業は生き残るために人員削減を余儀なくされており、2025年11月には12万件の雇用が失われました。

この記事は、こうした富の偏りや中小企業の衰退は決して自然現象ではなく、政治的なロビー活動や政策選択の結果であると断じています。現在は株価の活況で安定しているように見えますが、内側では深刻な融解が進んでいます。著者は、積もった雪が限界を超えて一気に崩れ落ちる雪崩のように、この「選択肢のない経済」がいずれシステム崩壊という予測不能な結末を迎えるだろうと警告しています。華やかなマクロ経済指標の影で、アメリカの地域社会を支えてきた基盤が音を立てて崩れているのです。

2026-02-21

金を安値で売った英政府

Sky News gains rare access to Bank of England's gold vaults | Money News | Sky News [LINK]

【海外記事紹介】ロンドンの地下深く、金融街の喧騒から隔絶された場所に、世界最大級の富が眠る「地下都市」が存在します。スカイニュースの記者が、これまで極秘とされてきたイングランド銀行(英中央銀行)の巨大な金庫室への立ち入りを特別に許可されました。地下鉄セントラル線がバンク駅の手前で急カーブを描くのは、実はこの強固な金庫室を避けるために設計されたからだという逸話があるほど、この場所はロンドンという都市の物理的な構造にまで影響を与えています。

この地下ネットワークには12の金庫室があり、合計で5000トンを超える金塊が保管されています。これはアメリカのフォートノックスよりも多く、ニューヨーク連邦準備銀行に次いで世界第2位の保管量を誇ります。特筆すべきは、ここに眠る金のほとんどはイギリス政府のものではなく、世界60カ国以上の中央銀行から預かったものであるという点です。ロンドンは歴史的に現物金の取引の中心地であり、各国はここで金を売買し、所有者のコードを書き換えるだけで実物を動かさずに取引を完結させています。

しかし、昨年はこの「動かざる金」が大きな動きを見せました。トランプ大統領による関税政策への懸念からニューヨークの金価格が跳ね上がり、ロンドンの金庫室からアメリカへ金塊を空輸する投資家が急増したのです。イングランド銀行のベイリー総裁は、世界情勢の不確実性が高まる中で、米ドルの先行きへの不安が安全資産としての「金」への回帰をさらに加速させていると指摘しています。

かつて1990年代末、イギリス政府は金の重要性を過小評価し、1オンス約275ドルという安値で保有量の半分以上を売却してしまいました。現在、金価格は1オンス5000ドルに迫っており、この売却による潜在的な損失は天文学的な数字に達しています。金は単なる古い資産ではなく、現代においても「究極の安全資産」としての地位を揺るぎないものにしています。ロンドンの地下に眠るこの膨大な輝きは、まさに世界経済の不安と信頼のバロメーターそのものと言えるでしょう。

GDPの幻想

The GDP Illusion: Surging Statistics Hide Pain for Average Americans | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの公式統計では「経済は絶好調」とされています。2025年第3四半期のGDP成長率は年率4.3パーセントという驚異的な数字を叩き出し、専門家たちは「アメリカ経済は過熱している」と称賛しました。しかし、その華々しい数字の裏側で、一般のアメリカ国民が感じている実感はそれとは真逆のものです。消費者信頼感指数は2014年以来の低水準に落ち込み、製造業指数は10カ月連続で収縮、さらに今年1月の人員削減数は2009年のリーマンショック以来の規模に達しています。なぜ、これほどまでに統計と実感の乖離が生じているのでしょうか。

その最大の理由は、GDPという指標そのものの欠陥にあります。GDPはあくまで「支出の総額」を測定するものであり、経済の健全性を測るものではありません。例えば、物価が上昇すれば支出額が増えるため、経済活動が停滞していてもGDPは上昇して見えます。また、現在の成長の約70パーセントは、富裕層による消費とAI関連の巨額投資によって支えられています。もしこのAIブームが「過剰投資」に終われば、現在の高いGDP数値は一気に崩れ去るでしょう。さらに、政府支出の増大もGDPを押し上げますが、その多くは民間から吸い上げた資金を非効率な軍事費などに投じているに過ぎません。

物価統計の歪みも無視できません。公式の消費者物価指数(CPI)が2.7パーセントであるのに対し、実際の生活実感に近いコスト(CLEWI)は5.5パーセント以上も上昇しています。住宅価格や光熱費、保険料の大幅な値上がりに対し、賃金の伸びが追いついていないのが実情です。さらに、関税の引き上げは輸入を減らして見かけ上のGDPを押し上げますが、実際には国民の購買力を奪い、貧しくしています。

結局のところ、政府が操作しやすい「支出の合計」であるGDPは、中低所得層の苦境や将来への不安を覆い隠す「幻影」に過ぎません。真の繁栄とは、操作された統計の中ではなく、民間の健全な成長や、あらゆる所得層での実質的な賃金上昇の中にこそ宿るものです。

奴隷制の「国有化」

Antebellum Federal Protections of Slavery | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ南北戦争前の歴史を振り返る際、奴隷制は南部諸州のみの問題と考えられがちですが、実態はより複雑でした。最新の研究が指摘するのは、実はアメリカ連邦政府こそが、数十年にわたり政策を通じて奴隷制を強力に保護・維持してきたという逆説的な事実です。

歴史家ポール・ジョンソン氏によれば、南北戦争直前の時点で、奴隷制は連邦政府という枠組みの中にいた方が、そこから離脱するよりもはるかに安全でした。当時の連邦議会では南部民主党が多数派を握っており、憲法改正による奴隷制廃止は事実上不可能だったからです。連邦政府による保護の象徴が「逃亡奴隷法」でした。この法律は、自由州(北部)に逃げ込んだ奴隷を元の所有者に返還することを連邦政府が義務付けるものでした。これにより、奴隷制の維持コストは南部だけでなく全米に「社会化」され、北部諸州もその片棒を担がされていたのです。驚くべきことに、当時の急進的な奴隷制廃止論者たちは、この不当な連邦法を無効化するために、むしろ「自由州こそが連邦から離脱すべきだ」と主張していたほどです。

さらに、1857年のドレッド・スコット判決は、黒人には市民権がなく、連邦政府には領土内での奴隷制を禁止する権限がないと断じ、奴隷制を事実上「国有化」して憲法で保護する立場を強めました。また、リンカーン大統領自身も、就任当初は奴隷制が存在する州への不干渉を約束しており、連邦政府が州の奴隷制に永久に介入しないことを明記した「コーウィン修正条項」を憲法に追加することにさえ同意していました。

自由市場の観点から見れば、奴隷制は極めて非効率でコストのかかる労働システムです。しかし、それが長年生き延びたのは、連邦政府が市場競争の原理からこの制度を隔離し、一部の所有者の利益を保護するために社会全体にコストを転嫁する政策を維持したからに他なりません。南北戦争という極限状態こそが、皮肉にも連邦政府による堅固な法的保護を打ち破り、奴隷解放を実現する唯一の機会となったのです。

英経済、失速の理由

Why Britain’s Economy Is Sputtering | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】一見すると、イギリスとアメリカの経済構造は似ているように見えます。どちらも製造業からサービス業、金融、知識労働へと移行した先進国だからです。しかし、その内実を詳しく分析すると、イギリス経済が停滞し、アメリカが成長を続ける根本的な理由が見えてきます。結論から言えば、アメリカのサービス業は知性や戦略、プラットフォームを売る「高生産性」なものであるのに対し、イギリスのそれは介護や小売、配送といった労働集約的で、規模の拡大が難しい「低生産性」な部門に偏っているのです。

アメリカでは、金融が単なる資産管理にとどまらず、イノベーションを引き起こすための「リスクを取る装置」として機能しています。一方で、イギリスの金融は既存資産の管理や規制への対応に終始しがちです。その差は、労働者の賃金にも明確に現れています。仮にイギリスの生産性がアメリカ並みに向上すれば、平均的な労働者の年収は約4000ポンド、日本円にして約80万円も増える計算になります。イギリスには世界屈指の大学や研究機関があり、人口あたりの論文数は世界トップクラスで、政府による研究開発支援もGDP比で見ればアメリカの倍以上の気前の良さです。しかし、その優れた科学的知見が、国内でビジネスとして結実していません。

この「商業化の失敗」の背景には、リスクマネーの不足があります。アメリカではベンチャーキャピタルの資金の約7割を年金基金が供給していますが、イギリスではわずか10パーセントにすぎません。かつてイギリスの年金基金は資産の半分を国内株に投資していましたが、現在は5パーセント以下にまで激減しています。その結果、イギリスで生まれた画期的な技術は、より深い資本市場とリスクを許容する土壌を求めてアメリカへ流出し、他国で製品化されてしまうという「技術の漏洩」が起きているのです。

結局のところ、この差は社会の選択の結果でもあります。アメリカが激しい競争と格差を容認して「ダイナミックな成長」を優先する一方で、イギリスは「社会の安定と雇用の維持」を優先してきました。しかし、その代償として、イギリス経済は活力を失い、世界をリードする高付加価値なサービスを生み出せなくなっています。イギリスが再び輝きを取り戻すには、科学的な強みを経済的なダイナミズムに変換するための、金融構造とリスクに対する社会的な意識改革が不可欠だと言えるでしょう。

自然科学模倣の危うさ

Winch Way Forward? | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】社会科学のあり方に革命的な視点をもたらした哲学者、ピーター・ウィンチの古典的名著『社会科学の観念』が、現代の経済学や哲学の文脈で改めて注目されています。1958年に刊行された本書は、ウィトゲンシュタインの思想を継承し、社会科学が自然科学の手法を模倣することの危うさを鋭く批判したものです。特筆すべきは、このウィンチの理論が、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが提唱した「人間行動学(プラクセオロジー)」、すなわち「人間の行動は経験的なテストを待たずとも論理的に導き出せる」とする独特の公理的手法を擁護する強力な武器になるという点です。

一般に、経済学などの社会科学において「頭で考えただけで世界の真理を導き出せるはずがない」という批判が根強くあります。しかしウィンチは、自然科学と社会科学の間には決定的な一線があると主張します。石などの自然界の物質は、同じ刺激に対して常に同じ反応を示しますが、人間は自らの理解に基づき、目的と手段を選択して「行動」します。ミーゼスが「自然科学は法則に従うが、人間は選択する」と説いたように、社会の出来事は外部からの因果関係だけで説明できるものではなく、当事者にとっての「意味」を理解しなければ捉えることができません。

ウィンチの議論で特に興味深いのは、「私的言語」という概念を用いた社会性の強調です。人は自分の考えを認識する際にも、他者と共有された社会的なルールや言語という枠組みを必要とします。例えば、誰かがエベレストを指さして「これがエベレストだ」と定義しても、その言葉が将来どう使われるべきかは、個人の決心ではなく社会的な文脈によって決まります。この「理解の共有」こそが社会科学の基盤であり、脳科学や物理学がどれほど進歩しても、人間が自らの意思で意味を見出す「行動」の領域を完全に代替することはできないというのです。

ウィンチの主張は、社会を単なるデータの集積と見なす現代の風潮に対し、人間の知性や相互理解の重要性を再認識させてくれます。

「脱成長」から脱却を

Environmentalism Without Degrowth [LINK]

【海外記事紹介】環境保護運動のあり方に一石を投じる、非常に興味深い視点をご紹介します。かつて過激な環境活動団体「エクスティンクション・レベリオン(絶滅への反逆)」の主要メンバーとして活動していたザイオン・ライツ氏が、最新の著書『Energy Is Life(エネルギーは命)』において、従来の「脱成長」や「欠乏」を美徳とする環境主義からの脱却を訴えています。

ライツ氏は自身の経験を振り返り、現代の環境主義がいかに「エネルギーの欠乏」に固執しているかを指摘します。多くの活動家は、気候変動対策には消費を減らし、不自由を受け入れることが不可欠だと主張しますが、氏はこれを「エネルギーの恩恵を十分に享受している豊かな人々による、無意識の特権」だと切り捨てます。例えば、氏のルーツであるインドの農村部では、信頼できるエネルギーがないために、蛇に噛まれても数時間かかる病院へ行く手段がなく、命を落とす人々が今も大勢います。彼らにとってエネルギーの欠乏は、死と直結する切実な問題なのです。

氏は、ネットゼロ(排出実質ゼロ)を目指す手段として、再生可能エネルギーだけでなく、原子力発電を積極的に活用すべきだと主張します。原子力をめぐる「放射性廃棄物」や「事故」への恐怖は、長年のプロパガンダやポップカルチャーによって植え付けられた「悪いイメージ」によるものが大きく、科学的な実態とは乖離していると説いています。日本の福島第一原発のメルトダウンで多くの人々が亡くなったといわれますが、調べてみると、実際には津波と地震が原因で亡くなったのであって、メルトダウンのせいではないのです。

実際にフランスが過去に行ったように、短期間で多数の原子炉を建設すれば、低炭素化と安価で安定した電力供給を同時に実現できるとライツ氏は言います。

「地球のために人間が我慢する」のではなく、「人間がより良く生きるために、いかにクリーンで豊富なエネルギーを作り出すか」を考えるべきだと氏は言います。豊かさを罪悪感として捉えるのをやめ、世界中の人々が恩恵を受けられる「エネルギーの豊穣」を目指すことこそが、真の意味での人類の進歩と環境保護を両立させる道だというのです。

米巨大IT株に不気味な兆し

The MAG-7 Just Triggered a Crash Signal — And the Dollar Can’t Save You This Time – GAINS, PAINS & CAPITAL [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの金融ストラテジスト、グレアム・サマーズ氏が、現在の株式市場における不気味な予兆について警鐘を鳴らしています。サマーズ氏によれば、これまでの強気相場の正体は、米ドルの価値下落から逃避するために資本が株式へと流れ込んだ「通貨安トレード」に過ぎないというのです。実際に、2025年上半期だけで米ドルはその価値の12パーセントを失いましたが、現在はその下落基調が足踏み状態にあります。これは、これまで株価を押し上げてきた最大の原動力の一つが消失しつつあることを意味しています。

さらに深刻なのは、債券市場が発している危険信号です。米国2年債の利回りが急落の瀬戸際にあり、これが現実となれば投資家がリスク資産から一斉に手を引き、安全資産へと逃避する「質への逃避」が始まると予測されます。アメリカ政府が景気拡大期であるにもかかわらず、リセッション時のような巨額の財政支出を続けている現状を考えれば、債券価格の上昇、つまり利回りの低下は市場の重大な変調を示唆しているのです。そして何より懸念されるのが、市場の牽引役であった「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる巨大IT企業群の動向です。2023年末からの株価上昇の75パーセント、S&P500の利益の80パーセントをこの7社が占めており、彼らを除けば強気相場など存在しなかったも同然です。

サマーズ氏は、これら主要銘柄のチャートが、2025年初頭の市場急落直前と全く同じ不吉な形状を描いていると指摘しています。数カ月にわたるもみ合いを経て、ついに下限を割り込み始めた現在の動きは、過去50年間のあらゆる大暴落を的中させてきた指標とも合致しているというのです。1987年のブラックマンデーやITバブル崩壊、そしてリーマンショック時と同じシグナルが点灯している今、投資家はドルの救済を期待することなく、目前に迫る危機に備える必要があると氏は結んでいます。

鉱山株の復活

The Rebirth of Mining - Tavi Costa [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの投資会社アズーリア・キャピタルのタビ・コスタ最高経営責任者は、現在の鉱業セクターの活況について、単なる一時的なブームではなく「鉱業の再誕生」という歴史的な転換点の幕開けであると分析しています。コスタ氏は、近年の金属価格の上昇を市場の天井と見る向きに対し、それは数十年にわたる投資不足という構造的な現実を無視した誤った見方だと反論しています。現在の状況は強気相場の初期段階、つまり投資家がようやく事態の重大さに気づき始めた「認識フェーズ」に過ぎないというのです。特に、すべての金属価格の指標となる金については、歴史的な視点から見て極めて過小評価されていると指摘します。

コスタ氏が提示する根拠は衝撃的です。かつて第2次世界大戦時のアメリカでは、膨大な政府債務の約51パーセントが金準備によって裏打ちされていました。しかし、債務規模が当時を上回る現在、その比率はわずか3パーセントにまで低下しています。もし過去と同様に51パーセントの裏打ちを再現しようとすれば、金価格は1オンスあたり7万5000ドルに達するという計算になります。これは単なる推測ではなく、現在の国家財政のバランスシートを歴史的先例に当てはめた冷徹な数字の結果です。また、供給面でも深刻な事態が起きています。統計開始以来初めて、世界全体で2年連続して新たな金鉱山の発見がゼロという、かつてない供給制約に直面しているのです。

こうした中でコスタ氏が最大の投資機会として注目しているのが、鉱山会社の株式です。長年、機関投資家から見捨てられ、人材も資金も枯渇していたこの業界は、現在、歴史的な割安水準にあります。しかし、脱グローバル化やサプライチェーンの再編、さらにはAIやデータセンター向けの膨大な電力需要といった現代の課題は、すべてその根底に金属資源を必要としています。「すべての道は金属に通じる」とコスタ氏が述べる通り、物理的な資産への回帰は避けられない流れです。特に銀の鉱山株については、銀価格そのものの上昇に対して極端に立ち遅れており、現時点での投資は短期的なトレードではなく、今後10年続く構造的な強気相場を見据えた戦略的な布石になると確信しています。私たちは今、最古の産業の一つである鉱業が、世界経済の基盤として再び目覚める瞬間に立ち会っているのかもしれません。

ドル安で米物価高騰

Peter Schiff: A Weak Dollar Means Higher Prices | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な投資家であり、経済評論家としても知られるピーター・シフ氏が、最新のポッドキャストにおいて、米ドル安がもたらす物価高騰とアメリカ経済の危機的な現状について警鐘を鳴らしています。シフ氏は、現在の市場指標がさらなるインフレを示唆していると指摘し、特に金や原油価格の動きに注目すべきだと述べています。金価格は一時的に5000ドルを下回る場面もありましたが、現在は再びその大台を超えて推移しており、シフ氏は5000ドルのラインが強力な下値支持線になっていると分析しています。また、原油価格についても、昨年12月の安値からわずか2カ月足らずで21パーセント以上も上昇し、半年ぶりの高値を更新したことに触れ、これが広範な物価上昇圧力、つまりインフレの明確な警告信号であると強調しています。

こうしたエネルギー価格の上昇の背景には、米ドルの弱体化があるとシフ氏は見ています。その最大の要因として挙げられているのが、膨張し続けるアメリカの連邦債務です。2025年1月にトランプ政権が発足してから約1年が経過しましたが、この短期間に債務は2.6兆ドルも増加し、総額は38.7兆ドルに達しました。シフ氏は、政府が掲げる貿易赤字の削減という目標についても、実態を伴わない「作り話」であると厳しく批判しています。実際に、2025年12月の貿易赤字は市場予想の約558億ドルを大きく上回る703億ドルを記録しました。一般的にドル安は輸出を促進し貿易赤字を減らすと考えられがちですが、シフ氏は、自国で生産できずに輸入に頼らざるを得ない製品が多い現状では、ドル安によって輸入コストが跳ね上がり、短期的にはむしろ貿易赤字を拡大させると指摘しています。

こうしたマクロ経済の歪みは、すでにアメリカ国民の日常生活を圧迫し始めています。シフ氏がその象徴として挙げるのが住宅市場です。住宅販売保留指数が過去最低水準にまで落ち込んでいる事実は、住宅価格が高騰しすぎて一般の人々には手が出せない状況にあることを物語っています。シフ氏は、最終的に住宅価格は買い手が支払える水準まで下落せざるを得ないと予測しています。このように、膨大な政府債務と根強い貿易赤字、そして通貨価値の下落という複合的な要因が、アメリカ経済に深刻なインフレをもたらそうとしています。投資家はこうしたドルの先安観に備え、金のような「健全な通貨」に目を向けるべきだとシフ氏は締めくくっています。

恐怖心が求める経済統制

Capitalism Untethered Scares the Public - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】経済評論家のジョージ・F・スミス氏が、人々の「恐怖心」がいかに政府による経済統制を正当化し、自由な資本主義を骨抜きにしてきたかを分析した論考を発表しました。

スミス氏はまず、多くの人が「お金」を政府が発行する紙幣だと信じ込んでいる現状に疑問を投げかけます。本来、通貨は市場の経済法則に従って自然発生したものでしたが、国家が自らを市場の規律から切り離し、自由に通貨供給量を操るために、通貨の管理権を独占してしまいました。かつての金本位制が崩壊したのは、制度そのものの欠陥ではなく、戦争や肥大化する予算のために、政府が金の制約を嫌って制度を放棄したからに他なりません。

1929年の大恐慌以降、大衆は「放置された資本主義」に恐怖を抱くようになりました。ケインズ経済学はこの恐怖を背景に、政府による介入を「健全な救済」として正当化しました。フランクリン・ルーズベルト(FDR)は、市場を「富を奪い去る悪魔」のように描き、一方で政府の権力を「国民のための健全な道具」と呼ぶことで、自由市場の自己調節機能を否定し、巨大な行政国家を作り上げました。今日、アメリカの経済的自由は、1970年代の緊急経済権限法などにより、大統領がその気になればいつでも停止できるほど脆弱なものになっています。

現代の「自由市場」は、税金、規制、補助金、そして果てしないお役所仕事という「包帯」でぐるぐる巻きにされたミイラのような状態です。2008年の金融危機で当時のブッシュ大統領が「自由市場を救うために自由市場の原則を捨てる」と言い放ったように、政治家たちは常に、自分たちが作り出した混乱を解決するために、さらなる統制を求めてきました。

しかしスミス氏は、1930年代の絶望的な状況とは異なり、現代には希望があると述べています。インターネットを通じて「オーストリア学派」の経済理論に誰でもアクセスできるようになったことで、政府のプロパガンダに惑わされず、政治に左右されない「健全な通貨(サウンドマネー)」の重要性に気づく人々が増えています。私たちはもはや、恐怖に支配されて「FDRのシミュレーター(模倣者)」に従うだけの囚人である必要はないのです。

ウクライナ、子供たちの行方

Epstein, Yermak and Zelensky - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】フランス人ジャーナリスト、ティエリ・メサン氏が、悪名高いジェフリー・エプスタイン事件の未公開文書と、ウクライナのゼレンスキー政権との間に存在する驚くべき闇の繋がりを告発しています。

この記事の核心は、エプスタインが単なる犯罪者ではなく、イスラエルの情報機関モサドのために要人を揺すり、支配するための「罠」を仕掛ける工作員であったという指摘です。メサン氏は、エプスタインがかつてキエフを頻繁に訪れ、ウクライナ国内で「供給源」を探していた証拠が米司法省の機密文書に含まれていると述べています。特に注目されているのが、ゼレンスキー大統領の右腕であったアンドリー・イェルマク前大統領府長官の動向です。イェルマク氏は大規模な汚職ネットワーク「ミダス作戦」の首謀者として失脚しましたが、彼の周辺では不気味な黒魔術や、イスラエルの「チャバド」の魔術師を招いた儀式、さらにはモデルエージェンシーを通じた若者の搾取といった噂が絶えません。

さらに衝撃的なのは、2026年2月にウクライナ議会(ラダ)に提出された民法改正案の内容です。この法案には、結婚年齢を14歳に引き下げるという条項が含まれており、ウクライナ国内では「国家公認の小児性愛」であるとして激しい非難とデモが起きています。恐るべきことに、この改正は2014年のマイダン革命以降に遡って適用される「遡及(そきゅう)効果」を持っており、これまでの児童虐待や誘拐の罪を帳消しにする狙いがあると見られています。メサン氏は、ゼレンスキー政権がロシアに連れ去られたと主張する「90万人の子供たち」の多くが、実はエプスタインのような国際的な人身売買ネットワークに消えたのではないか、という疑惑を提示しています。

現在、エプスタイン事件の文書は全体の3分の1しか公開されていませんが、残る600万ページには、ハンター・バイデン氏によるウクライナ兵への人体実験や、現政権による子供たちの誘拐といった、世界を震撼させる事実が隠されている可能性があります。この記事は、ウクライナが「民主主義の防波堤」どころか、国際的な闇の勢力と結びついた「バーバリズム(野蛮)」の拠点と化している現状を、司法とテクノロジーの両面から鋭く問い直しています。

米政府批判者が標的に

Trump’s DHS Targets ICE Critics on Social Media - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月、トランプ政権下の国土安全保障省(DHS)による、SNS上の政府批判者に対する大規模な個人特定工作が波紋を呼んでいます。GizmodoやTechCrunchなどの最新の報道によると、DHSはGoogle、Meta、Redditといった大手テック企業に対し、ICE(入国管理局)を批判したり監視したりしている匿名アカウントの氏名、メールアドレス、電話番号、IPアドレスなどの個人情報を開示するよう、膨大な数の「行政召喚(サブピーナ)」を送付しています。

この記事が告発する最も深刻な点は、これらの召喚状が裁判所の令状なしに発行されており、憲法修正第4条(不当な捜索・押収の禁止)および第1条(言論の自由)に直接違反している疑いが強いことです。実際に、ある67歳の退職者がICEに「良識ある対応」を求めるメールを送っただけで、DHSからGoogleに召喚状が送られ、後日連邦捜査官が自宅に現れるという威嚇事件も発生しています。ACLU(アメリカ自由人権協会)などの団体は、政府が法的な根拠なくSNS企業を「共犯」にして、批判的な市民をあぶり出し、沈黙させようとしていると厳しく批判しています。

さらに背景には、2025年9月に発令された国家安全保障大統領覚書第7号(NSPM-7)の影響があります。これにより、政権に批判的な言論や活動が「国内テロ」と同義に扱われるリスクが高まっており、パム・ボンディ司法長官やクリスティ・ノーム国土安全保障長官が、SNS上の「ヘイトスピーチ」を口実に個人を追跡する姿勢を鮮明にしています。特に、2025年9月のチャーリー・カーク氏暗殺事件以降、ネット上で冷ややかなコメントをした市民までもが「テロ支援者」として特定・解雇の対象にされるなど、言論のコストがかつてないほど高まっています。

ミネソタ州では、抗議活動中にICEによって米国市民のアレックス・プレッティ氏やレネ・ニコール・グッド氏が射殺されるという痛ましい事件も起きており、デジタル監視が物理的な暴力や不当な家宅捜索に直結する恐怖が現実のものとなっています。この記事は、かつてのニクソン大統領の「敵リスト」を彷彿とさせる、現代の権威主義的な市民弾圧の仕組みが完成しつつあると強く警告しています。

ウクライナ和平交渉の変質

The So-Called Ukrainian Peace Negotiations Are Now About Money - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】元アメリカ財務次官補のポール・クレイグ・ロバーツ氏が、現在行われているウクライナ和平交渉の極めて危うい変質について警鐘を鳴らしています。ロバーツ氏によれば、当初はロシアの安全保障やNATOの拡大阻止が焦点だったこの交渉は、今や「国家の安全」を棚上げにした「金儲けの場」へと成り下がっています。

この記事で最も驚くべき指摘は、解決の鍵を握るはずのプーチン大統領とトランプ大統領が直接対話をしていないという点です。交渉の実務を任されているのは、外交の専門家ではなく、双方の「利権」を代表する人物たちです。トランプ大統領側の交渉役は不動産開発業者のスティーブ・ウィトコフ氏であり、彼はアメリカ企業がロシアの資源を優先的に搾取できる条件を引き出すことを目指しています。一方、ロシア側の交渉役であるキリル・ドミトリエフ氏は、欧米の金融市場へのアクセス再開を望むロシアの富裕層やマネー勢力の利益を代弁しています。

ロバーツ氏は、プーチン大統領がアメリカの企業利益を優先的に認めることで、対立を回避しようとする「賭け」に出ているのではないかと分析しています。しかし、これはアメリカ政府の過去の裏切りを考えれば、極めてリスクの高い危うい信頼に基づいています。この方針転換に対し、長年ロシア外交を支えてきたラブロフ外相でさえも、ロシアの国家安全保障が金に売り渡され、国内企業が不利益を被ることに危機感を募らせ、異例の反対意見を述べているほどです。

本来の目的であったミサイル基地の撤去や国境の安全確保といった安全保障問題が、ビジネスの商談へとすり替えられていく現状は、ロシアの国家主義が欧米との一体化を望む金融勢力に敗北しつつあることを示唆しています。ロバーツ氏は、交渉が「金専門の男たち」に委ねられた瞬間、国家の安全は二の次になり、双方がプーチン大統領の「妥協の価格」を探り合っているだけだと厳しく批判しています。

サックス氏、イラン攻撃阻止訴え

No US War on Iran: An Open Letter to the UN Security Council - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、国連安保理に対し、アメリカによるイランへの軍事侵攻を阻止するよう求める緊急の公開書簡を発表しました。サックス教授は、トランプ大統領による「美しい艦隊」の派遣や、「体制転換こそが最善」といった発言は、武力による威嚇を禁じた国連憲章第2条4項に対する明白な違反であると強く訴えています。

教授によれば、現在の危機はイランが交渉を拒否したために起きたのではなく、むしろアメリカ側が、すでに成功し国際法となっていた「核合意(JCPOA)」を一方的に破棄したことに端を発しています。2015年に安保理が全会一致で採択した決議は、イランの平和的な核利用の権利を認め、厳格な監視の下で経済制裁を解除することを約束したものでした。しかし、アメリカはイスラエルなどのロビー活動に押される形でこの合意を離脱し、対話の姿勢を見せながらも裏では通貨暴落や物資不足を狙った「経済戦争」を仕掛け、イラン国民に多大な苦しみを与え続けています。

特に問題視されているのは、2025年6月の出来事です。当時、交渉が「前向きに進んでいる」とされていた最中に、アメリカはイスラエルによるイラン爆撃を支援し、自らも「ミッドナイト・ハマー作戦」によってイランを直接攻撃しました。サックス教授は、これらの一連の行動を「交渉を装った武力行使のパターン」であると断じています。アメリカが自らホスト国を務める国連のルールを無視し、イランだけでなくキューバやデンマークなど他国に対しても居丈高な脅しをかける現状は、国際社会全体の安全を脅かすものです。

教授は書簡の結びに、国連の生みの親であるフランクリン・ルーズベルト大統領が夢見た「法と正義が支配する時代」を想起し、安保理がその重い責任を果たして即時かつ無条件の武力威嚇の停止を求めるべきだと提言しました。核兵器の時代において、一国の独断による軍事行動を許すことは、人類の自己破滅を招く道に他なりません。今こそ、剣を鋤に打ち直し、外交の力で平和を取り戻すべき時であると、サックス教授は切実なメッセージを届けています。