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「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-02-16

銀、供給不足続く

Silver Market Expected to Run Sixth Straight Supply Deficit This Year [LINK]

【海外記事紹介】銀(シルバー)市場が2026年も、6年連続となる歴史的な供給不足に直面する見通しです。シルバー・インスティテュートの最新データによれば、昨年の需要は供給を約9,500万オンス上回り、過去5年間の累積不足量は、実質的に鉱山生産の丸1年分に相当する8億オンスを超えました。2026年も約6,700万オンスの不足が予測されており、市場には「物理的に銀が足りない」という極めてタイトな状況が続いています。

需要の構造を詳しく見ると、興味深い変化が起きています。価格が高騰したことで、太陽光発電パネル向けなどの産業需要や宝飾品需要は、代替素材への切り替えが進み、数パーセント減少すると見られています。しかし、その減少分を補って余りあるのが、爆発的な投資需要です。特に欧米の投資家が、不安定な地政学リスクや米ドルの先行きの不透明感、さらには米連邦準備制度(FRB)の独立性への懸念から、銀を「安全な避難先」として再び買い求めています。インドでも投資意欲は依然として旺盛で、こうした現物投資の増加が、市場全体の需給をさらに引き締めています。

一方で、供給側は限界に達しつつあります。鉱山生産やリサイクルは10年ぶりの高水準となる10億5,000万オンスに達する見込みですが、それでも旺盛な需要を賄うには不十分です。銀の多くは銅や鉛の副産物として生産されるため、銀価格が上がったからといってすぐに増産できるわけではありません。そのため、不足分は市場の在庫を取り崩すことで補われており、それがさらなる価格上昇の圧力となっています。シルバー・インスティテュートは、最近の価格調整を経てもなお、銀の強気相場を支える要因は強固に維持されていると分析しています。金(ゴールド)の上昇に伴い、銀もまた、単なる工業用金属を超えた「戦略的資産」としての存在感を強めています。

金銀をいつ売るべきか?

When Should You Sell Your Gold and Silver [LINK]

【海外記事紹介】「金や銀をいつ売るべきか」――。投資家にとって永遠の課題とも言えるこの問いに対し、貴金属市場の専門家マイク・マハレイ氏が、鋭い洞察を交えて語ったポッドキャストの内容をご紹介します。マハレイ氏は、マカオの高級ホテルがロビーの床に埋め込まれていた79キログラムもの金塊を取り出して売却し、約1,280万ドルを手にしたというニュースを例に挙げ、私たちが直面している「通貨価値の崩壊」という厳しい現実に警鐘を鳴らしています。

かつて1980年代、米国の25セント硬貨には実質的な購買力がありましたが、現在、1965年以前に鋳造された銀含有率90%の銀貨の価値は、約14.60ドル(ガソリン数ガロン分)にまで跳ね上がっています。金や銀の価格が上がっているというよりは、法定通貨の購買力が劇的に低下しているのです。マハレイ氏は、香港ドルや米ドルを含むすべての法定通貨は、政府による過剰な発行とインフレによって価値を失い続けていると指摘します。世界的な債務の増大という「ブラックホール」から逃れるため、政府はインフレを意図的に引き起こしており、貯蓄を現金で持ち続けることは、負けが決まった戦略になりつつあります。

では、私たちはいつ金や銀を売るべきなのでしょうか。マハレイ氏の答えは明確です。「目的を持って売るべきであり、感情で売るべきではない」ということです。売却が正当化されるのは、例えば自宅の修理という「実体のある価値」に変換する場合や、人生を豊かにする経験としての旅行、あるいは高利利息の負債を返済して自身のバランスシートを強化する場合です。逆に、最も避けるべきなのは「価格が上がったから」という理由だけで売り、その利益をただ減価していく現金として持ち続けることです。目的のない現金化は、貴金属が守ってくれているはずのインフレリスクに自らをさらす行為に他なりません。

銀市場についても、銀製のスーパーボウル優勝トロフィーの価値が1年で2.6倍以上に急騰した例を挙げ、現在の価格調整はむしろ絶好の機会であると示唆しています。中央銀行による爆買いや脱ドル化の波、そして膨大な国家債務という根本的な要因は消えていません。私たちは、永続的な価値を持つ「本物のお金」を、ただの「紙くず」に変えてしまわないよう、慎重な判断が求められています。

金と自由

Liberty Eroding, Gold Rising: 30 Years of Warning [LINK]

【海外記事紹介】経済学者のリチャード・サルスマン氏が、自身の著書『金と自由』の出版から30年を経て、現代の危機的な状況を警告する論評をご紹介します。サルスマン氏は、金(ゴールド)に基づいた通貨制度と「政治的・経済的な自由」は密接に関係していると説いています。政府が健全であれば通貨も健全であり、その逆もまた然りです。しかし、21世紀の最初の四半世紀を振り返ると、米国を含む世界各地で「自由」が浸透するどころか、政府の肥大化と通貨の劣化が同時に進むという、極めて憂慮すべき事態が進行しています。

この記事の核心は、金価格の上昇を単なる「資産価値の高騰」ではなく、「米ドルの価値の喪失」として捉える視点にあります。これは、1971年に金本位制を完全に放棄して以降、政治家が福祉や戦争の費用を賄うために際限なく紙幣を刷り続け、通貨を「おもちゃ」のように扱ってきた結果です。サルスマン氏の分析によれば、1913年の米連邦準備制度(Fed)設立以来、ドルの購買力は実質的に99%も失われました。つまり、かつての健全な統治が失われ、政府が「権利の保護者」から「富の再配分者」へと変質したことが、通貨の崩壊を招いているのです。

著者は、ヘリテージ財団などのデータによる経済的自由の指標と金価格には明確な「逆相関」があることを図表で示しています。自由が損なわれるほど、逃避先としての金の価値は跳ね上がります。実際、21世紀に入ってから金の投資リターンはS&P500指数を上回る年が多く、平均して株式を年率17%ポイントもアウトパフォームしてきました。しかし、多くの投資アドバイザーは今なお金を「野蛮な遺物」と嘲笑し、政府の借金によって支えられた不換紙幣のシステムに依存し続けています。

サルスマン氏は、金本位制への復帰は官僚や中央銀行の手によって成し遂げられることはないと断言します。それは、個人が自分の生命、自由、財産を守るという「古典的自由主義」の精神を取り戻したとき、初めて可能になるものです。この記事は、私たちが当たり前だと思っている「紙幣」の価値がいかに脆い土台の上に立っているのか、そして金がいかに「自由の守護者」として機能し続けているのかを、30年間にわたる一貫した警告とともに示しています。

ビットコインの闇

Politicians Pushed Bitcoin, Empires Printed Fiat—Now Gold and Silver Are Here to Close the Books on Their Crimes [LINK]

【海外記事紹介】「デジタル・ゴールド」と称賛されたビットコインの神話が崩壊し、金や銀といった「本物の通貨」が、腐敗した政治と金融秩序に引導を渡そうとしている――。そんな衝撃的な視点を提示する、ニコ・モレッティ氏による論評をご紹介します。著者は、ビットコインを「中央銀行に対する草の根の反乱」と信じ込むのはもはや危険だと警鐘を鳴らしています。近年の調査では、ビットコインの初期開発がMIT(マサチューセッツ工科大学)や、悪名高いジェフリー・エプスタイン周辺の不透明な資金源、さらには国家機関の影がちらつくネットワークの影響下にあった可能性が浮上しているからです。

この記事が告発するのは、デジタル通貨が結局のところ、既存の権力構造に取り込まれてしまったという現実です。その象徴として挙げられているのが、トランプ氏と仮想通貨取引所バイナンスの創設者、チャンポン・ジャオ氏を巡る疑惑です。トランプ氏がジャオ氏を恩赦した後、バイナンス側からトランプ氏関連のプロジェクトに巨額の資金が流れ込んだという不透明な経緯を、著者は「パートナーシップではなく、買収である」と厳しく断じています。かつて、数学的で誰にも支配されないと謳われたビットコインは、今や大統領の慈悲や規制当局の思惑、そして巨大資本の操作によって価格が左右される、極めて政治的な「カジノ」に変質してしまったというのです。

一方で、市場の資金は静かに、しかし力強く「実物資産」へと回帰しています。過去半年でビットコインが4割以上急落する一方で、金や銀、そしてその採掘企業の株価は驚異的な上昇を見せました。著者は、1933年に米国政府が金(ゴールド)の私有を禁じた歴史を振り返り、政府がなぜ実物貨幣を嫌うのかを解説しています。それは、金や銀のように発行量を操作できない「正直な貨幣」が流通している限り、政治家は際限のない戦費調達や、借金による放漫財政、さらには不都合な権力の維持が不可能になるからです。

フィアット通貨(法定通貨)が戦争や監視社会の血流となってきたのに対し、金や銀は「帝国の敵」として、常に国家の暴走にブレーキをかける役割を担ってきました。著者は、現在のデジタル資産ブームを、既存の腐敗を隠蔽するための最後の手品であると見ています。私たちが今直視すべきは、誰かのプログラムによって操作されるトークンではなく、数千年の歴史の中で一度も価値がゼロになったことのない、政治家や億万長者にも印刷できない貴金属の価値であると結論づけています。この激動の時代、私たちは偽りの革新に踊らされるのか、それとも誠実な資産に立ち返るのか、その選択を迫られているようです。

石油ピーク論の幻想

Proven Petroleum Reserves and the Myth of “Peak Oil” | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラのマドゥロ政権が、米国によって「麻薬テロリスト」と断じられ拘束されたという衝撃的なニュースを背景に、エネルギー問題の本質を突く論評をご紹介します。著者はまず、マドゥロ氏を自国民を窮乏させながら身内を潤してきた社会主義独裁者の系譜に連なると厳しく批判しています。しかし、この記事の真の主題は政治情勢そのものではなく、長年ささやかれてきた「ピークオイル(石油生産の限界)」説がいかに根拠のない「神話」であるかという点にあります。

地球上の資源が有限であることは事実ですが、著者は「石油が枯渇する」というパニックは不要だと断言します。驚くべきことに、世界の石油の「確認埋蔵量」は、消費が進んでいるにもかかわらず年々増加しているのです。2009年には1.3兆バレルだった埋蔵量は、現在1.7兆バレルにまで増えています。これは、技術革新によって以前は採掘不可能だった資源が利用可能になったためです。著者はこれを、資本主義と自由な市場が生み出した勝利であると評価しています。特に、個人の鉱物資源所有権を認め、民間企業が競い合って技術を磨く米国のような体制こそが、効率的なエネルギー供給を可能にしているというのです。

この主張を裏付けるために、著者は「銀貨の価値」を用いた興味深い比較を行っています。1964年以前の米国の10セント硬貨(銀貨)に含まれる銀の現在の市場価値を計算すると、今日では約2ガロンのガソリンを購入できます。対して、約100年前の1920年代、同じ10セント硬貨(当時の額面通り)では、わずか3分の1ガロンのガソリンしか買えませんでした。つまり、連邦準備制度によるインフレや膨大な国家債務があるにもかかわらず、実質的なガソリン価格は100年前よりも約6倍も安くなっているのです。これは、社会主義的な統制が経済を停滞させる一方で、資本主義的な生産手段の私有がいかに生活の質を向上させるかを如実に示しています。

ベネズエラは世界最高の埋蔵量を持ちながら、社会主義政策によって生産能力が破壊され、南米で最も豊かな国から最も貧しい国の一つへと転落しました。著者は、マドゥロ体制の終焉が、ベネズエラの人々にとって天然資源の恩恵を取り戻し、経済的な繁栄を再建する好機となることを期待しています。この記事は、資源の枯渇を恐れるよりも、その資源をいかに自由な経済活動の中で活用する体制を整えるかこそが、人類の未来を左右するという重要な視点を提供しています。

民族自決と個人の自由

National Self-Determination and Individual Liberty | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】リバタリアニズム(自由至上主義)の思想家として知られるマレー・ロスバードが提唱した、「国家の自己決定権と個人の自由」に関する画期的な視点を紹介する記事をお届けします。一般的に自由至上主義者は、国家や民族といった集団的な概念を個人の自由と対立するものとして否定的に捉えがちです。しかし、ロスバードはこうした見方を「単純すぎる」と一蹴しました。彼は、人間は孤立した原子のような存在ではなく、文化、伝統、言語を共有する「民族」というコミュニティの中で生きる存在であることを重視し、真の自由を追求するためには国家の自己決定権こそが道標になると説いたのです。

この記事の核心は、ロスバードが「国家の自己決定権」を、個人の「自己所有権」から派生した道徳的原則と見なしていた点にあります。彼によれば、国家の境界線はそこに住む人々の自発的な合意と財産権に基づいている場合にのみ正当化されます。そして、この原則を現実のものとするための絶対的な条件が「分離独立権」の承認です。地域や民族グループが、中央政府の強制から逃れ、自らの意思で独立する権利を明確に認めない限り、自己決定という言葉は単なる欺瞞に過ぎないと彼は主張しました。これは、肥大化した中央政府による統治ではなく、小さな単位での自治こそが個人の自由を守る最良の盾になるという考え方です。

さらにロスバードは、米国史における南部伝統や「州の権利」の擁護を通じ、中央集権化がいかに個人の自由を破壊するかを具体的に論じています。リンカーン大統領による連邦権力の強化、徴兵制の導入、所得税の創設などを、彼は「個人の自由を破壊する怪物的行為」と批判しました。彼は、保守派のパトリック・ブキャナンらと政治的同盟を結んだことで一部から矛盾を指摘されましたが、それは戦略的な選択でした。教義の純粋さに固執して孤立するのではなく、現実の政治において「国家債務の忌避」や「個人の自由への配慮」を共有できる勢力と手を組むことで、リバタリアニズムを空理空論から現実の力へと変えようとしたのです。この記事は、私たちが社会の中で他者と共存しながらいかに自由を確保すべきか、その現実的な処方箋を提示しています。

価値の客観と主観

The Putnam Twist: The End of Value | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】20世紀を代表する哲学者の一人、ヒラリー・パトナムらが編纂した著作『価値自由な経済学の終焉』を巡る書評をご紹介します。本書は、経済学が「客観的な事実」のみを扱う科学であるべきだという従来の常識に対し、哲学的な視点から鋭い疑問を投げかけています。著者は、パトナムの政治的・経済的な判断には批判的でありながらも、彼が展開した「価値と事実の絡み合い」に関する議論については、現代の経済学や倫理学を再考する上で極めて重要な示唆を含んでいると高く評価しています。

一般に、科学の世界では「事実は客観的で記述的なもの」「価値は主観的で規範的なもの」と厳格に区別されます。経済学においても、ライオネル・ロビンズらの学説以降、経済学者は「何が効率的か」という手段については論じても、「何が究極的に善い目的か」という価値判断には踏み込まないことが美徳とされてきました。しかし、パトナムはこの区別が幻想であると主張します。彼は、例えば「勇気がある」「賢明である」といった言葉を挙げ、これらは事実を記述すると同時に評価も含んでおり、両者を切り離すことはできないと説いています。もし勇気を「恐怖を感じないこと」という事実のみで定義すれば、それは単なる「無鉄砲」との区別がつかなくなり、言葉が持つ本来の真実味を失ってしまうからです。

この記事では、このパトナムの主張に対し、経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスの反論も紹介されています。ミーゼスは、たとえ日常的に価値判断が含まれる言葉であっても、科学的な定義によって価値を排除することは可能だと考えました。しかし、パトナムはさらに踏み込み、理性的な対話そのものが、公平さや感受性といった「価値を含んだ概念」なしには成立しないと指摘します。つまり、私たちが「客観的で正しい結論」を導き出そうとする営みの土台そのものに、主観的とされる価値観が深く根を張っているというのです。経済学が単なる数字の計算を超えて、人間の幸福や社会のあり方を論じる際、私たちが「事実」だと思っているものの背後にどのような「価値」が隠れているのか。本書は、数値化できない倫理の重要性を改めて突きつけています。

2026-02-15

環境利権と金融界

Climate and the Money Trail - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】現在、世界中で熱狂を呼んでいる「脱炭素」や「グリーン・ニューディール」といった環境運動。その背後で糸を引いているのは、純粋な若き活動家たちではなく、実は世界経済を牛耳るメガバンクや超巨大資本であるという、驚くべき金の流れを暴く論評をご紹介します。かつてグローバル化を推し進め、環境破壊の片棒を担いできたはずの金融界の巨頭たちが、なぜ今、こぞって環境保護の急先鋒に立っているのでしょうか。その狙いは地球を救うことではなく、呼吸する「空気」までも金融商品化し、数千兆円規模の新たな富を創出する壮大な経済戦略にあります。

事の始まりは数年前、アル・ゴア氏やゴールドマン・サックス出身のカーニー前イングランド銀行総裁といった金融界の重鎮たちが、気候変動リスクを口実に「グリーンボンド(環境債)」などの金融スキームを構築したことに遡ります。ブラックロックやJPモルガン、HSBCといった世界有数の資産運用会社や銀行が名を連ねる「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」は、いわば「キツネが鶏小屋のルールを書いている」ような状態です。彼らは、化石燃料依存の経済を捨てさせ、自分たちが支配する「グリーン経済」へ強制的に資金を誘導する仕組みを作り上げました。

ここで注目すべきは、グレタ・トゥンベリさんやアメリカのアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員といった、大衆の支持を集めるアイコンの存在です。彼らの熱意は本物かもしれませんが、その活動をプロモーションし、メディアのスポットライトを当てているのは、アル・ゴア氏に近いネットワークや、ジョージ・ソロス氏の財団から資金提供を受けた組織です。欧州委員会のユンカー元委員長が、グレタさんの演説に感動したふりをして巨額の環境予算を発表した際も、実はその決定は1年も前に世界銀行や世界経済フォーラムの間で既になされていたものでした。

この記事が警告しているのは、環境保護という「善意の仮面」を被った世界経済の再編です。ビル・ゲイツ氏や孫正義氏といった億万長者たちが名を連ねる投資グループが、優先的に政府資金にアクセスできる体制が整えられています。国連の専門家がかつて認めたように、気候変動政策の本質は「環境政策」ではなく、世界の富を再分配するための「経済政策」なのです。地球を救うという大義名分の下で、私たち一般市民が犠牲を強いられる一方で、金融エリートたちは新たな利権を確実に手中に収めようとしています。

世界の貨物首都・重慶

How Chongqing Powers China Across the New Silk Roads - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】中国内陸部に位置する巨大都市・重慶。3,200万人もの人口を抱え、山々にへばりつくように超高層ビルが立ち並ぶその姿は、もはや「サイバーパンク」を超越した存在感を放っています。しかし、重慶の真の凄みは、その視覚的な圧倒さではなく、21世紀の地政学・地経学における「心臓部」としての役割にあります。この記事は、重慶がいかにして中国の広域経済圏構想「一帯一路」の文字通り「ゼロ地点」となり、世界を繋ぎ止めているかを鮮やかに描き出しています。

重慶には、世界最大の物流ネットワークの起点を示す「キロメートル・ゼロ」の記念碑があります。ここから出発するのが、重慶、新疆、欧州を繋ぐ国際貨物列車「渝新欧(ユシンオウ)」です。総延長1万1,000キロを超えるこの鉄道は、わずか13日間でドイツのデュイスブルクに到達します。船便より1カ月も早く、航空便の5分の1のコストで、ノートパソコンから衣類、医療機器に至るあらゆる「メイド・イン・チャイナ」を欧州へ送り届けています。この青いコンテナの列は、ユーラシア大陸の動脈として機能しているのです。

さらに重慶は、北の欧州だけでなく、南の東南アジアへも触手を伸ばしています。「新陸海新通道(ILSTC)」と呼ばれるルートは、重慶を拠点にシンガポールやベトナム、ラオスを繋ぎ、今や中国の地方州とASEAN諸国の貿易の約4割を支えるまでになりました。さらに驚くべきは、そのネットワークが太平洋を越え、南米ペルーのチャンカイ港にまで直行便として繋がったことです。これにより、南米との輸送時間は15日間短縮され、コストも大幅に削減されました。重慶は今や、単なる内陸都市ではなく、鉄道、道路、水路を統合した「世界の貨物首都」へと変貌を遂げています。

紅海での紛争など、地政学的な動乱が海運を脅かすたびに、安定した重慶発の鉄道ルートは世界中の企業から「救世主」として選ばれています。ポルシェやアウディといった世界的メーカーが重慶に拠点を構えるのは、この圧倒的な接続性があるからです。西側諸国がロシアを迂回しようとする試みの中、重慶はカザフスタンやトルコを経由する「中央回廊」をも柔軟に使い分け、ユーラシアの物流を支配し続けています。重慶は、変わりゆく世界情勢の中で、中国が世界と繋がるための最も戦略的な「結節点」であり続けているのです。

生活費危機の犯人

The Affordability Crisis and the UniParty’s Inflation Shell Game - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの家計を直撃している「物価高騰」の正体と、それを利用する政治の不誠実な実態について、評論家のデビッド・ストックマン氏が痛烈な分析を行っています。2026年に入り、トランプ政権の2期目が始まって1年が経過しましたが、多くの家庭に届く電気料金の請求書は、前年比で6.7%も上昇しています。これはパンデミック以降続く異常な高騰の延長線上にあり、有権者が期待した「物価の沈静化」が、いかに現実とかけ離れているかを物語っています。

ストックマン氏は、政治家たちが展開する「インフレ率は鈍化している」という主張が、いかに一般市民の感覚と乖離しているかを指摘します。例えば、アメリカの食卓に欠かせない牛挽肉の価格は、この1年で約19%も上昇し、パンデミック前と比較すると実になんと72%も跳ね上がっています。鶏肉や乳製品も同様で、一時的な価格の上下はあっても、数年前の安価な水準に戻る兆しは全くありません。トランプ大統領は「バイデン前大統領の失政」を声高に責めますが、データの推移を見れば、物価高の責任は民主・共和両党がほぼ半分ずつ分け合っているのが実情です。

さらに深刻なのは、卵の価格急騰に見られるような、場当たり的な政策の連鎖です。大規模な養鶏場での鳥インフルエンザ対策として行われた1億羽以上の殺処分と、それに対する巨額の補償金は、結果として価格を以前の3倍にまで押し上げました。これは特定の政治家の責任というより、両党が癒着する農業ロビーの構造的な問題だと氏は喝破します。結局のところ、インフレの本質的な原因は、中央銀行であるFRBが過去数年間にわたって、膨大な借金を賄うために無尽蔵に紙幣を刷り続けてきたことにあります。

現在、アメリカが直面している「生活費危機」は、決して一時的な不運ではなく、金融・財政政策の失敗が積み重なった結果です。にもかかわらず、トランプ氏はインフレ抑制に動くFRBを批判し、再び緩和的な政策を求めています。ストックマン氏は、もしこのまま無責任な通貨供給が続けば、ドルの価値は10年以内に4割近く下落し、家計の困窮はさらに加速すると警告しています。政治的なスローガンで現実を覆い隠す「インフレのすり替え」に、もはや国民は騙されるべきではないという、厳しい提言が込められています。

中国でゴールドラッシュ

China’s gold rush: why families are doubling down on precious metals | South China Morning Post [LINK]

【海外記事紹介】春節を目前に控えた中国で、今、空前のゴールドラッシュが起きています。景気の先行き不透明感が増す中、中国の多くの家庭にとって、金は単なる装飾品ではなく、不安定な経済を生き抜くための「安全保障」としての存在感を強めています。特に今年の春節は、金の価格が高騰しているにもかかわらず、贈り物や投資目的での購入が急増しています。

国際的な金価格は、今年1月後半には1オンスあたり5,600ドルという歴史的な高値を記録し、現在は5,000ドル前後で推移しています。中国国内の小売価格も、昨年2月頃と比較して2倍近い水準まで跳ね上がりました。この価格高騰を受けて、広東省東莞市などの製造拠点では、純金よりも手頃な「銀に金メッキを施した宝飾品」が、帰省する出稼ぎ労働者たちの間で爆発的な人気を呼んでいます。故郷の親戚や恋人への贈り物として、現金よりも価値が目減りしにくい金関連の品を選ぶ人が増えているためです。

一方、大都市の中間層の間では、金はさらに切実な投資対象となっています。北京に住むある翻訳家は、中東情勢の悪化といった地政学リスクのニュースを耳にするたび、資産を守るために金関連の金融商品へ資金を投じていると語ります。不動産市場や株式市場の低迷が続く中、高い収益は望めずとも、金こそが「最も安全な賭け」であるという認識が定着しているのです。こうした過熱ぶりを受け、当局もリスク管理の強化に乗り出しており、銀行では投資商品の購入条件を厳格化するなどの措置が取られています。

しかし、この価格高騰は庶民の生活、特に農村部での結婚文化に重い影を落としています。中国の伝統的な結婚では、指輪やネックレス、ブレスレットの「三つの金」を贈ることが不可欠な通過儀礼とされています。現在、このセットを揃えるには少なくとも5万元、日本円で100万円を大きく超える費用が必要となり、一般の労働者家庭にとっては数年分の貯蓄を費やすほどの重い負担となっています。広州でタクシー運転手として働く女性は、まだ15歳の息子の将来のために、今から毎年5グラムずつ金を買い溜める計画を立てているといいます。先行きの見えない時代だからこそ、中国の人々は家族の未来を守るために、必死に黄金を追い求めているのです。

「幽霊雇用」のからくり

Peter Schiff: Jobs Vanished, No Surprise | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家ピーター・シフ氏が、自身のポッドキャストで、米国の雇用統計の信憑性と、その背後に隠された経済の深刻な病理について鋭い分析を行いました。シフ氏がまず糾弾したのは、政府が発表した衝撃的な雇用データの下方修正です。驚くべきことに、2019年まで遡って計250万件もの雇用が「最初から存在しなかった」として抹消されました。シフ氏は、政府が何年もかけて「雇用は創出された」と嘘の報告を積み上げてきた事実を指摘し、労働市場が公式発表よりもはるかに脆弱であったことを強調しています。

なぜこのような「幽霊雇用」がデータに紛れ込むのでしょうか。シフ氏は、米労働統計局が採用している「出生死亡モデル」という手法に欠陥があると断じています。これは「毎月一定数の企業が新たに誕生し、人を雇っているはずだ」という単なる仮定に基づいて数字を上乗せする仕組みです。実際には企業が生まれていなくても、政府は「生まれているはずだ」という前提で存在しない雇用をカウントし続け、市場を誤認させてきたというのです。

また、関税政策などによる海外からの投資促進という政治的な物語についても、シフ氏は真っ向から否定しています。実際には資金は米国から流出しており、世界は着実に「脱ドル化」のプロセスを進めています。米国が世界の貿易において重要性を失い、ドルの価値が大幅に下落することで、米国の国際的な影響力も失われていくという厳しい見通しを示しました。

シフ氏は、現代の政策立案者が忘れてしまった経済の基本原則についても改めて言及しています。豊かさとは、政府が作り出す「需要」から生まれるのではなく、消費を抑えた「貯蓄」と、それを元手にした「投資」による「供給(生産)」から生まれるものです。貧困を解決する唯一の方法は、人々が手に入れられる「モノ」を実際に作り出すことであり、紙幣を刷って需要を煽ることではないと説いています。

最後に、仮想通貨についても自身の見解を述べています。シフ氏は、実体のないビットコインを「何も価値がないものを愚か者に売る投機」と切り捨て、今後は「金をトークン化したデジタル資産」が主流になると予測しています。金の裏付けがあるトークンは、金そのものに価値があるため、一攫千金は狙えませんが、価値の保存手段としてビットコインに取って代わる優れた製品になると締めくくりました。

政府は通貨に手を出すな

Schiff on Reality Check: Get the Government Out of Money | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家ピーター・シフ氏が、金融番組「リアリティ・チェック」に出演し、金や銀の価格下落を投資家が歓迎すべき理由と、政府による通貨管理の危険性について熱弁をるいました。シフ氏は、足元の貴金属価格の軟調さを「失敗」ではなく「絶好の機会」と捉えています。この下落は、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨、あるいは過剰に買われていたハイテク株やAI関連株の暴落に伴う「追い証」を解消するための強制的な売却に巻き込まれた結果であり、金そのものの価値が損なわれたわけではないと分析しています。

シフ氏の予測によれば、爆発的に増え続ける米国の債務を賄うために、政府が無からドルを刷り続ける限り、金の価格は中長期的にさらなる高値を目指すことになります。現在のドルの発行ペースを考えれば、金価格が1オンス5,000ドルから2万ドルへと急騰する事態も、そう遠くない未来に起こり得ると警鐘を鳴らしました。彼はこうした自身の確信の根拠として、アラン・グリーンスパン氏以降、歴代のFRB議長たちが繰り返してきた失政を挙げています。安易な金融緩和によってバブルを膨らませ、崩壊の種をまき続けてきた中央銀行の歩みこそが、インフレを加速させ、経済を破綻へと向かわせているというのです。

現在の資産価格はファンダメンタルズから完全に乖離しており、私たちは一つのバブルから次のバブルへと渡り歩いているに過ぎません。シフ氏に言わせれば、2008年のリーマンショックさえも、今後訪れる巨大な経済崩壊の前触れに過ぎないのです。世界中でドルの信頼が失われ、ドルからの脱出が加速しているのは、現政権の政治的選択がその動きを後押ししているからであり、賢明な国際社会はすでにドルの先行きを見限っていると指摘しています。

最後に、シフ氏はリバタリアンとしての核心的な主張を展開しました。「通貨の管理を政府から引き離し、民間セクターに委ねるべきだ」という提言です。政府が税金として資金を集めるのではなく、魔法のように無から通貨を捏造できる現状が諸悪の根源であると説いています。そして、もし民間が自由に通貨を選べるようになれば、選ばれるのはビットコインのようなデジタル資産ではなく、歴史的な裏付けを持つ金や銀になるだろうと締めくくりました。政府の干渉を排除した「誠実な通貨」の再構築こそが、私たちが直面する危機の本質的な解決策なのです。

不可解な雇用統計

The Government Job Eraser Strikes Again! [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの雇用統計が、実は見かけほど堅調ではない可能性が浮上しています。今回の記事が指摘するのは、米連邦準備理事会(FRB)が政策決定の根拠としている雇用データが、後から大幅に下方修正される「職消しゴム」とも呼ぶべき実態です。今年1月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBは利下げの見送りを決定しました。パウエル議長はその理由として、雇用市場が「安定」しており、経済活動が力強く拡大していることを挙げました。しかし、その根拠となった労働統計局のデータには大きな疑問符が付きます。1月の雇用報告では、市場予想の7万件を大きく上回る13万件の雇用増が発表され、メディアはこの「ポジティブ・サプライズ」を大々的に報じました。ところが、この記事の著者が注目すべきだと警鐘を鳴らすのは、華やかな見出しの裏に隠された「改定値」の存在です。

驚くべきことに、1月の良好な数字が発表される一方で、前月12月の数字は下方修正され、さらに年末の統計モデルの見直しによって、これまでに積み上げられてきた雇用のうち、実に40万3000件分が「抹消」されました。この修正を加味すると、2025年を通じてのアメリカ経済の月平均雇用創出数は、わずか1万5000件にとどまっていたことになります。毎月の速報値だけを見ている一般の日本人からすれば、アメリカの労働市場が絶好調であるかのような印象を受けますが、現実はそれとは大きくかけ離れているのです。しかも、こうした下方修正は今回に限ったことではなく、労働統計局の常套手段となっています。2024年3月から2025年6月の間だけでも、当初発表されていた雇用のうち約91万件が後から消し去られていました。2023年に至っては、12カ月のうち10カ月で下方修正が行われるという異常な事態でした。

統計の性質上、修正が入ること自体は避けられませんが、不可解なのは、なぜその修正のほとんどが「雇用の減少」方向ばかりに働くのかという点です。2003年以降、年間確定値が速報値を下回った回数は、上回った回数の2倍に達しています。これは、政府機関が時の政権や経済を良く見せようと意図的に数字を操作しているのではないかという疑念を抱かせます。最も深刻な問題は、中央銀行のトップたちが、この信頼性に欠けるデータをもとに金利という世界経済を左右する重要な決断を下していることです。足元の数字が砂上の楼閣であるならば、それに基づいた政策判断が経済を誤った方向へ導くリスクを、冷静に見極める必要があります。

関税増でも膨らむ財政赤字

Trump Administration Still Running Budget Deficits Despite Surge in Tariff Revenue [LINK]

【海外記事紹介】トランプ政権下のアメリカでは、関税収入が急増しているにもかかわらず、連邦政府の財政赤字が解消されないどころか、膨らみ続ける支出によってさらなる債務の深みに沈み込んでいる実態があります。マイク・マハリー氏による最新の報告によれば、1月の連邦財政は946億ドルあまりの赤字を記録しました。これは前年同月比で26パーセント減少してはいるものの、依然として巨額の赤字を垂れ流している状態に変わりはありません。赤字幅が縮小した背景には、政府収入の力強い伸びがあります。特に、トランプ大統領が掲げる関税政策の影響は顕著です。しかし、一部の専門家が主張する「関税収入だけで所得税を廃止できる」といった見通しは、数字を見る限り現実味のない幻想に過ぎません。なぜなら、アメリカ政府には根深い「支出癖」という問題があるからです。

トランプ政権は1月だけで6545億ドルもの巨額支出を行いました。これは前年比で2パーセントの増加です。環境保護局や教育省の予算削減、あるいは政府効率化省(DOGE)による無駄の指摘など、支出削減に向けた動きが喧伝されてはいますが、全体像を見れば支出の軌道は依然として上向きです。2025会計年度の支出総額は7兆ドルを超え、1日あたりに換算すると192億ドルもの税金が使われている計算になります。「歴史的減税と支出削減」を謳った法律も、実際には支出の「増加ペース」を抑えるだけで、絶対的な支出額を減らすものにはなっていません。結局のところ、政治の世界では支出削減を口にするのは容易でも、実行に移すことは極めて困難であることを今回のデータは物語っています。さらに深刻なのは、利払い費の増大です。米連邦債務は38兆7000億ドルという天文学的な数字に達しており、1月だけで718億ドルもの利息が支払われました。2026会計年度の最初の4カ月間で支払われた利息は、国防費やメディケアの予算を上回り、社会保障費に次ぐ第2の支出項目となっています。

かつての低金利時代に発行された国債が次々と満期を迎え、より高い金利の国債に借り換えられているため、利払いの負担は今後も増え続ける一方です。財政赤字を関税で埋め合わせようとする試みは、加速する支出と利払いの暴走を前にして、その効果を打ち消されています。

五輪メダル、資産価値が飛躍

Just How Much Are Those Olympic Medals Worth? [LINK]

【海外記事紹介】現在開催中のミラノ・コルティナ冬季五輪で、アスリートたちが夢見る「金メダル」の驚きの実態と、その経済的価値に迫るレポートをご紹介します。表彰台の頂点で輝く金メダルですが、実はその中身のほとんどが「銀」であることは意外に知られていません。今大会の金メダルは、500グラムのスターリングシルバー(銀92.5%の合金)で作られており、その表面をわずか6グラムの24金でコーティングしたものです。つまり、物理的な実体としては「銀メダル」に薄い金の膜を張ったものと言えます。

しかし、注目すべきはその「価値」の激変です。近年の貴金属価格の高騰により、今大会のメダルは、わずか2年前のパリ五輪当時と比較して、資産価値が劇的に跳ね上がっています。現在の銀相場(1オンス約78ドル)で計算すると、メダルに含まれる銀だけの価値で約1,160ドルに達します。パリ五輪時の銀メダルの価値が約535ドルだったことを考えると、銀の部分だけでも2倍以上の値打ちがあることになります。さらに、6グラムの金(1オンス5,000ドル換算で約965ドル)を加えると、金メダル1個の時価は約2,125ドル、日本円にして約32万円相当にものぼります。

もしこのメダルを純金で製作したとしたら、その価値は8万3,300ドル(約1,250万円)を超えてしまいます。五輪史上、純金のメダルが授与されたのは1904年のセントルイス五輪と1908年のロンドン五輪のわずか2回のみで、当時はメダル自体が非常に小さく、金価格も1オンス20ドル足らずという時代でした。現代の巨大なメダルを純金で作ることが現実的でないのは、この価格差が理由です。ちなみに、銅と亜鉛の合金である銅メダルの価値は、わずか4ドル(約600円)程度。著者は冗談交じりに「3位にはならないことだ」と付け加えています。

華やかなスポーツの祭典の裏側で、メダルの価値がこれほどまでに上昇している事実は、金や銀がいかに優れた「価値の保存手段」であるかを如実に物語っています。インフレが続く世界において、アスリートが手にするのは、単なる名誉の証以上の重みを持った「真の資産」であると言えるでしょう。

2026-02-14

飢餓を武器にした外交

When Did Starvation Become an Acceptable Tool of Foreign Policy? - Antiwar.com [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの外交政策において、いつから「飢餓」が正当な手段として扱われるようになったのでしょうか。かつてリチャード・ニクソン大統領は、チリの経済に「悲鳴を上げさせろ」とCIAに命じました。しかし、経済とは抽象的な概念ではなく、その実態は飢えに苦しむ人々です。現代において「制裁」や「経済封鎖」という言葉は、飢餓を利用した脅迫の言い換えに過ぎません。アイゼンハワー大統領はキューバに対し「彼らが飢えればカストロを追い出すだろう」と語り、半世紀以上が経過した現在、ポンペオ前国務長官もイランに対し「国民に食事をさせたいなら米国の要求に従え」と同趣旨の発言をしています。トランプ政権下でも、この残酷な政策は「最大限の圧力」として継続・強化されています。

現在、キューバでは燃料不足により電力供給が滞り、経済の生命線である観光業も崩壊寸前です。トランプ大統領はキューバへの石油輸入を完全に遮断する大統領令に署名し、石油を送る国には関税を課すと脅しています。これは外交ではなく、意図的に飢餓を引き起こそうとする「経済戦争」です。国連事務総長も、石油不足がキューバの深刻な人道危機を招き、社会崩壊につながると強い懸念を表明しています。権力者の暗殺やクーデターが失敗し続けた結果、米国は四半世紀にわたり失敗し続けてきた「国民を飢えさせて政権を転覆させる」という、非人道的で違法な手段をさらに激化させているのです。

イランに対しても同様の論理が働いています。米国の制裁はイランの通貨を暴落させ、中間層を激減させ、国民の生活を破壊しました。米財務省のベッセント長官は、イランの銀行が破綻し、インフレが爆発して人々が街頭に繰り出したことを「経済外交の成果」であり「良いニュース」だと公言しています。しかし、イラン政府が国民の求める経済改革を行おうにも、米国の制裁がある限りそれは不可能です。米国はイランが防衛力を放棄し、政権が交代するまで制裁を解かない構えです。

こうした一方的な制裁による死者数は、武力衝突による犠牲者に匹敵するという研究結果も出ています。外交の場から対話が消え、飢餓を武器にして他国の政権を屈服させようとする米国の姿勢は、果たして現代の国際社会で許容されるべきものなのでしょうか。私たちは、特定の政権への善悪の判断とは別に、一般市民を標的にした「飢餓の輸出」という政策の倫理性について、今一度深く考える必要があります。

大新聞の終焉

The Turmoil at the Washington Post Does Not “Threaten” Democracy | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの名門紙ワシントン・ポストで大規模な人員削減が進んでおり、一部の知識人からは「民主主義の危機だ」という悲鳴が上がっています。しかし、本当にそうでしょうか。かつてニクソン政権を追い詰めたウォーターゲート事件の栄光を知る人々は、ジェフ・ベゾス氏による買収後の同紙の変容を嘆き、「政府を監視するジャーナリズムが失われれば、国民は情報の島を失い、政府は狼と化す」と警告しています。しかし、現在の主流メディアが本当に民主主義の守護者として機能しているのか、冷静に問い直す必要があります。

歴史を振り返れば、アメリカのジャーナリズムはトーマス・ジェファーソンが掲げた理想から遠ざかり、長らく国家権力を補完する道具として機能してきました。主流メディアは、自分たちがエリート層を保護し、リベラルな統治体制を維持するための広報機関と化していることに気づいていません。例えば、トランプ前政権下で同紙が熱心に報じた「ロシア疑惑」は、後に根拠の薄いものだったことが判明しました。また、新型コロナウイルスのパンデミックの際には、自由を制限するロックダウンやマスク着用義務を熱狂的に支持し、今では有力な説となっている「研究所流出説」を「デマ」として一蹴し、情報の多様性を自ら闇に葬ったのです。

かつての「社会の不正を暴く記者」たちの物語も、多分にフィクションが含まれています。教科書に載るような有名な暴露記事の多くが、実は事実に反する誇張や虚偽であったことが後の調査で明らかになっています。主流メディアの記者たちは、政府当局者と親密な関係を築き、互いに便宜を図り合うことで特権的な地位を守ってきました。しかし、インターネットの普及がこの癒着構造を破壊しました。かつてのデューク大学ラクロス部員による暴行疑惑事件では、主流メディアが一斉に「有罪」の合唱を繰り返す中で、事実に基づき異議を唱え、最終的に無実を証明したのは、組織に属さない独立した記者たちでした。

ワシントン・ポストの衰退は、民主主義の終焉ではなく、特権的なエリートによる情報独占の終わりを意味しています。莫大な負債を抱えながら国民に犠牲を強いる政府を、主流メディアの記者が喝采して支える時代は終わるべきなのです。ニュースルームで育てられた「職人」がいなくなっても、インターネットを通じて事実を追求する独立したジャーナリストたちが、既存メディアよりもはるかに優れた仕事で政府の不正を暴いていくでしょう。私たちは、巨大新聞社の終焉を恐れる必要はないのです。

米国のスタグフレーション

Schiff w/ Horowitz: Gold Is Being Targeted | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家ピーター・シフ氏が、ダニエル・ホロウィッツ氏のインタビューに応じ、現在の経済政策や市場動向に対する痛烈な批判を展開しました。シフ氏は今、金や銀といった貴金属の価格を抑制しようとする「組織的な攻撃」が行われていると主張しています。驚くべきことに、彼はトランプ政権までもがその動きに関与している可能性を示唆しました。当局は、金属価格の急騰が米ドルや債券市場に及ぼす悪影響をますます懸念しているといいます。さらに、連邦準備理事会(FRB)の新たな理事たちが政権の意向に従う「操り人形」として行動する可能性があり、FRBの独立性が形骸化しつつあることに対し、深い懸念を表明しました。

シフ氏は、景気後退とインフレが同時に進行する「スタグフレーション」のメカニズムについても詳しく解説しています。多くの人は不況下では物価が下がると考えがちですが、実際には経済が弱体化して生産性が落ちれば、供給が減ることで物価はむしろ上昇します。現在の米国が直面している「生活コストの危機」の本質は、民主・共和両党が責任をなすりつけ合っているような単純な話ではなく、通貨価値の減退、つまりドル安によって国民の稼ぎや貯蓄の購買力が失われていることにあると断じています。

また、トランプ政権が推進する関税政策についても、シフ氏は厳しい目を向けています。関税は一部の国内生産者を保護するかもしれませんが、輸入部品のコストを押し上げることで、結果としてアメリカの製造業全体の競争力を削いでしまう「諸刃の剣」であると警告しました。例えば鉄鋼関税は、国内の鉄鋼メーカーには有利に働いても、より高価な材料を買わされる自動車メーカーなどの需要を減らし、経済全体に悪影響を及ぼすというわけです。

最後に、ビットコインを中心とする仮想通貨業界についても、シフ氏の持論は揺らぎません。彼は仮想通貨に実質的な価値はほとんどなく、現在の市場価値は過大評価されていると一蹴しました。最近の政府によるビットコインへの歩み寄りは、ビットコイン推進派から多額の資金提供を受けたことによる政治的な動機に基づくものであり、決して本質的な理念によるものではないと批判しています。

制御不能の米政府債務

Schiff w/ Livera: Debt is the Bubble, Bitcoin Isn’t the Answer | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家ピーター・シフ氏が、ビットコイン支持者として知られるステファン・リベラ氏のインタビューに応じ、アメリカ経済の構造的な欠陥とビットコインの限界について語りました。シフ氏が最も懸念しているのは、制御不能に陥った膨大な連邦政府の債務です。彼は、どの政党が政権を握ってもこの債務の増大は止まらず、アメリカは借金を返済するどころか、その利払いすら満足にできない状況にあると指摘しています。さらに、トランプ大統領が住宅価格の上昇を望む発言をしていることにも触れ、本来は高すぎて手が出せない「住宅バブル」の状態にあるにもかかわらず、政治的なインセンティブがさらなるバブルを助長していると批判しました。

連邦準備理事会(FRB)の人事についても、シフ氏は鋭い見解を示しています。トランプ大統領がパウエル議長を「ハト派ではない」と批判し、新たな議長を指名しようとする動きは、より大幅な利下げやバランスシートの拡大、つまり、より規律の緩い金融政策を求めている証拠だというのです。一方で、シフ氏は新しい技術そのものを否定しているわけではありません。人工知能(AI)については、労働力を節約しビジネスの効率を高める「人類の進歩」としての計り知れない可能性を認めています。知能の向上が生産性を飛躍させ、本来なら百年かかる発明を一年で成し遂げるような未来も描き出していますが、それはあくまで「健全な通貨」によって市場の歪みが抑えられていることが前提です。

仮想通貨については、相変わらず厳しい姿勢を崩していません。シフ氏によれば、近年のビットコインの上昇は、ウォール街が「カジノの胴元」のように手数料を稼ぐために熱狂を煽った結果に過ぎず、投資家の資産が失われても彼らは気にしないのだと断言しています。また、マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー氏による巨額のビットコイン投資についても、平均購入価格に対して現在の価格はわずかな含み益がある程度に過ぎず、もし大量の売却を試みれば市場は暴落し、多額の損失を被るだろうと予測しています。「ビットコイン以外の資産を買っていれば、もっと良い財務状態だったはずだ」と切り捨てました。

企業は金保有を

Schiff on Wolf Financial: Corporations Should Be Buying Gold | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】著名な経済論評家であるピーター・シフ氏が、金融メディア「ウルフ・フィナンシャル」のインタビューに応じ、米ドルに対する信頼の失墜と、企業が資産防衛のために金(ゴールド)を保有すべき理由について語りました。シフ氏は長年、現在の不換紙幣制度の危うさを指摘してきましたが、今回の発言では特に、中央銀行の動向と企業の財務戦略における「真の安全資産」の重要性を強調しています。まずシフ氏が注目しているのは、世界各国の中央銀行がドルの保有を減らし、金へとシフトしているという明確な動きです。これは、中央銀行が米ドルの価値維持や米政府の財政再建能力に対して、もはや信頼を失っている証拠であると彼は分析しています。中央銀行が金を買い続けている事実は、ドルの代替資産として金が再認識されていることを示しており、これが世界経済のゲームチェンジャーになると警鐘を鳴らしました。

一方で、金に関連する市場セクターは、本来の価値に対して依然として過小評価されているとシフ氏は見ています。市場参加者の多くが「現在の価格は維持できない」と保守的な見方をしているため、次の四半期決算などで予想を上回る数字が出れば、ウォール街もようやく再評価に動くのではないかと述べています。また、企業の財務戦略についても厳しい見解を示しました。特に、ビットコインを大量に購入しているマイクロストラテジー社の事例を挙げ、その投資結果がいかに悲惨であるかを論じています。同社は過去5年間で巨額の資金をビットコインに投じてきましたが、その価値は購入額を大きく下回っており、ピーク時からは大幅に下落しています。シフ氏によれば、ビットコインへの投資は資産の保全ではなく、単なるカジノでのギャンブルに等しい行為です。

シフ氏は、多額の現金を保有する企業の財務担当者に対し、インフレによって購買力が減退するドルをそのまま持ち続けるのではなく、価値の保存手段として優れた金に分散投資すべきだと助言しています。現金が目減りしていく中で、配当や自社株買い、あるいは金での保有を選択することが、賢明な財務管理であると説いています。最後に、政治的な言動が国際関係や経済戦略を混乱させるリスクについても触れ、地政学的な不安定さが世界に懸念を与えている現状を指摘しました。日本にとっても、ドルの価値変動や新たな資産防衛のあり方は避けて通れない課題です。

金鉱株に投資チャンス

A Generational Opportunity in Miners - The Daily Reckoning [LINK]

【海外記事紹介】資源投資のスペシャリストであるマット・バディアリ氏が、現在の金鉱株市場に訪れている「一世一代の投資機会」について、非常に鋭い分析を行っています。今週、金鉱株市場ではヘッジファンドや目先の利益を追うトレーダーによる投げ売りが起きましたが、バディアリ氏はこれを「一時的な揺さぶり」に過ぎないと一蹴しています。むしろ、これから数年の間に起きる特別な変化を見逃すべきではないと、投資家たちに強い確信を持って呼びかけています。

現在、金や銀の価格は過去一年間で劇的に上昇していますが、その驚異的な上昇が鉱山会社の収益に反映され始めたのは、実は今まさに始まったばかりなのです。バディアリ氏は、鉱山セクターには今後、未曾有のキャッシュフローの津波が押し寄せると予測しています。その予兆は、大手鉱山会社の決算報告に明確に現れています。例えば、シルバーコープ社の最新の決算によれば、銀の販売価格は前年同期比で80パーセント、金は58パーセントも上昇しました。さらに、大手のアグニコ・イーグル社にいたっては、販売価格の上昇によって純利益が前年の5億ドルから15億ドルへと、わずか一年で3倍近くにまで膨れ上がっています。

それにもかかわらず、驚くべきことに、こうした好決算はまだ株価に全く反映されていません。アグニコ・イーグル社の株価は、市場全体の金鉱株指数と同じ動きにとどまっており、突出した利益成長が無視されている状態です。バディアリ氏は、ここに巨大な投資のチャンスがあると考えています。鉱山会社は、生産コストを増やすことなく販売価格だけが上昇しているため、増えた売上の大部分がそのまま利益として積み上がります。現在の価格水準が維持されるだけで、業界全体で過去最高益が次々と更新されることになるでしょう。

さらに、今後の展開としてバディアリ氏は、潤沢な資金を手にした大手企業による買収劇が始まると見ています。鉱山は工場とは違い、資源の量には限りがあるため、大手は次の採掘現場を確保するために、有望な開発プロジェクトを持つ中小型の企業を買い叩き始めます。現在は、保有する資産の価値に対して株価が極端に割安な企業が市場に溢れており、これら「開発段階の企業」の価値が爆発する瞬間が近づいています。私たちは今、金そのものへの投資から、その恩恵を最大限に受ける金鉱株へと、投資のステージが移り変わる歴史的な転換点に立っているのかもしれません。

中国の少女、金投資で成功

China ‘genius’ girl, 10, began buying gold 3 years ago to avoid parents spending her lucky money | South China Morning Post [LINK]

【海外記事紹介】中国・河北省に住む10歳の少女が、お年玉(紅包)を使って3年前から金(ゴールド)を買い続け、その「先見の明」が大きな話題を呼んでいます。彼女が投資を始めたのは2023年。その理由は「両親にお年玉を使われてしまうのが怖かったから」という、子供らしい切実なものでした。現金よりも金の方が価値を保存しやすいと考えた彼女は、毎年受け取る約4,000元(約8万円)のお年玉をコツコツと金に変えていきました。

彼女の投資成果は驚異的です。2023年の買い始めの価格は1グラムあたり約460元(約1万円)でしたが、2026年2月現在、中国国内の金価格は1グラムあたり1,100元(約2万3,000円)を突破。わずか3年で価値が2倍以上に膨れ上がった計算になります。現在、彼女の手元には約30グラムの金があり、時価総額は33,000元(約70万円)に達しています。母親は「娘は私より優れた投資家だ。もっと早く娘の真似をしていればよかった」と苦笑交じりに語っています。

専門家は、2026年に入ってからの金価格急騰の背景として、以下の要因を挙げています:

地政学的リスクの増大:特に米国の政策を巡る不確実性。
関税の脅威:ドナルド・トランプ氏による関税引き上げ示唆。
中央銀行の買い増し:各国の中央銀行が安全資産として金を蓄積。

SNS上では、この少女を「天才投資家」「タイムトラベラー」と称賛する声が相次いでおり、「将来の成功した実業家の姿が見える」といったコメントで溢れています。2026年1月30日には、次期FRB議長人事を巡る観測から金価格が一時的に急落し、多くの投資家がパニックに陥る場面もありましたが、この少女は動じることなく「今後も買い続ける」と宣言しています。

10歳の少女が示した「長期投資と現物資産」の重要性は、不安定な経済状況にある大人たちにとっても大きな教訓となりそうです。

ロシア、ドル決済網に復帰?

Russia memo sees return to dollar system in pitch made for Trump [LINK]

【海外記事紹介】ロシアのプーチン政権が、トランプ政権に対し、米ドル決済網への復帰を含む大規模な経済協力を提案していることが、内部文書から明らかになりました。ウクライナ戦争の終結を見据えたこの提案は、これまでのロシアによる「脱ドル化」方針を180度転換させる衝撃的な内容です。ブルームバーグが報じたこの内部メモには、ロシアと米国の経済的利益が一致し得る7つの重要項目が記されています。その中核をなすのが「ドル決済システムへの回帰」であり、エネルギー取引に再びドルを用いることで、ロシア経済の安定化を図るとともに、ドルの基軸通貨としての地位を改めて認める姿勢を示しています。

この提案には、トランプ氏の好む「エネルギー主導」の戦略が色濃く反映されています。具体的には、天然ガスやオフショア油田、リチウムやニッケルといった重要資源への共同投資、さらには原子力発電やAI分野での協力が盛り込まれました。特に注目すべきは、気候変動対策を優先する欧州や中国の「クリーンエネルギー」に対抗し、米国とロシアが手を組んで化石燃料の価値を再定義しようという呼びかけです。また、戦争によって撤退を余儀なくされた米国企業がロシア市場へ復帰する際の優遇措置や、過去の損失を補填するような共同事業の枠組みも提示されています。

ロシアにとってドル経済圏への復帰は、米国の金融支配を再び受け入れることを意味しますが、同時に通貨の乱高下を抑え、バランスの取れた外貨市場を再構築できるという現実的な利点があります。一方、米国側にとっては、中露の緊密な関係にくさびを打ち込み、ロシアを再び西側の経済ルールに引き戻す絶好の機会となり得ます。ウクライナのゼレンスキー大統領も、米露間でこうした巨額の二国間合意、通称「ドミトリエフ・パッケージ」が議論されていることに警戒感を強めています。

ただし、ロシアが軍事転換を進める上で不可欠な供給源となっている中国との関係を、プーチン氏が簡単に断ち切るとは考えにくいという専門家の指摘もあります。この提案が、欧州や中国を揺さぶるための高度な外交戦術なのか、それとも実利を取るための真剣な交渉案なのか、今後の動向が注目されます。

2026-02-13

人民元高が映す脱ドル

China lets yuan rise to strongest level in years as de-dollarisation trend grows | South China Morning Post [LINK]

【海外記事紹介】中国人民元と米ドルの動向に関する最新の動きをお伝えします。中国の中央銀行である中国人民銀行は先日、ドルの対元基準値を1ドル=6.9438元に設定しました。これは2023年半ば以来、約33カ月ぶりの元高水準となります。現在、世界経済の裏側では「脱ドル化」の動きが加速しており、米ドル資産から離れた投資家が中国の通貨である人民元へと資金を振り向ける動きが強まっています。背景にあるのは、アメリカのトランプ政権による政策の不透明さや、連邦準備理事会、いわゆるFRBの独立性に対する根強い懸念です。投資家の間では、アメリカの膨大な債務の持続可能性を疑問視する声が上がっており、これが米ドルへの信頼を揺るがす大きな要因となっています。

著名な投資家であるレイ・ダリオ氏は、現在の米国は国家の興亡サイクルの終盤、つまり崩壊前夜の段階にあると警鐘を鳴らしました。同氏は、今後アメリカが債務危機に直面し、FRBが財政赤字を穴埋めするために通貨を増刷せざるを得なくなれば、ドルの価値はさらに損なわれるだろうと予測しています。こうした中、投資家は金や新興国市場へ資産を分散させており、欧州最大の資産運用会社アムンディも、今後一年でドル資産への露出を減らし、欧州や新興国市場へシフトする方針を明らかにしました。さらに、トランプ大統領が次期FRB議長候補としてケビン・ウォーシュ氏を指名したことで、中央銀行の独立性が損なわれるのではないかという疑念が世界中で一段と強まっています。

中信証券のアナリストは、今回の人民元高は過去の局面とは本質的に異なると指摘しています。中国企業の海外収益拡大に伴う元買い需要に加え、実物資産に裏打ちされた通貨への需要が高まっていることが背景にあります。世界的な「米ドル不信」という構造的な変化は、単なるFRBのトップ交代や一時的な期待感で覆されるものではありません。長らく基軸通貨として君臨してきた米ドルの支配力が揺らぎ、人民元がその代替候補の一つとして存在感を高めている現在の状況は、日本にとっても無視できない歴史的な転換点と言えるでしょう。私たちは今、通貨のパワーバランスが大きく書き換えられる、新しい時代の入り口に立っているのかもしれません。 

政治家がロボットを嫌う理由

Why Politicians Hate Productivity (and Robots) | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】自動化技術の進歩により、かつては何時間もかかった重労働が数分で完了する時代が到来しています。例えばピックル・ロボット社が開発した物流用ロボットアームは、トラックの荷降ろしという身体的負担の大きい作業を正確にこなします。本来、技術革新は人間を過酷な肉体労働から解放し、浮いた時間を知識の習得や新たな創造に充てることを可能にするはずです。しかし、政治家たちはこうしたロボットや生産性の向上を歓迎しません。なぜなら、ロボットは個人所得税を払わず、官僚やその取り巻きを潤す社会保障基金にも貢献しないからです。それどころか、複雑な税制や規制といった官僚機構の存在理由そのものを、効率化が脅かしてしまうからに他なりません。

国際労働機関(ILO)のデータによれば、ラテンアメリカの労働者はヨーロッパの労働者に比べて生産性が3倍も低いとされています。興味深いことに、これはラテンアメリカの人々が怠慢だからではありません。統計を見ると、コロンビアでは年間平均2,298時間、メキシコでも2,226時間働いているのに対し、フランスは1,867時間、ドイツは1,778時間となっています。つまり、貧しい地域ほど長時間働かされているのが実態なのです。この低生産性の背景には、官僚による不必要な介入があります。「国民産業の保護」という口実で安価で優れた技術の導入を阻み、複雑な規制で人々の時間を奪うことで、国家は国民を官僚に従属する奴隷のような状態に留めているのです。

歴史を振り返れば、技術革新が失業を招くという懸念は常に否定されてきました。1830年代のイギリスでは、脱穀機の導入に反対する農民たちが暴動を起こしましたが、当時人口の60パーセントを占めていた農業従事者は現在わずか3パーセントに減少し、代わって自動車や航空、電子機器といった新産業で多くの雇用が生まれました。実際、韓国やドイツ、日本といったロボット密度が高い国ほど失業率は低い水準にあります。最低賃金法のような強制的な法律が、皮肉にも最も助けを必要とする人々の就業を妨げている一方で、技術革新と資本投資こそが真の意味で賃金を押し上げ、生活を豊かにします。政治家が作り出す停滞を脱し、自由な市場と技術を受け入れることこそが、真の繁栄への道なのです。

住宅価格テコ入れの愚策

Homeownership “Wealth” Is a Fallacy | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの住宅市場が、またしても政府による稚拙な介入の標的になろうとしています。最近、ホワイトハウスで行われたやり取りの中で、トランプ大統領は住宅価格を下落させたくないという本音を漏らしました。その理由は、住宅価値が特に高齢世代の資産において大きな割合を占めているからだというものです。大統領は、持ち家のある人々を「裕福な状態」に留めておくために価格を維持し、一生懸命働かなかった誰かが家を買えるようにするために住宅価値を破壊することはないと明言しました。しかし、この記事の著者は、こうした政府の考え方は自由市場の文脈から大きく外れた社会主義的なスキームの延長線上にあり、住宅価格の高騰という根本的な問題の解決には程遠いと厳しく批判しています。

現在、政権内部で検討されている施策の一つに、政府系金融機関のファニーメイとフレディマックに2,000億ドル規模の住宅ローン担保証券を買い取らせ、市場に流動性を注入して金利を引き下げるという案があります。しかし、これら機関にはそれほどの現金はなく、結局は通貨の増刷や政府債務の拡大を招くことになり、インフレを助長する恐れがあります。また、金利をわずかに下げるために国債利回りを上昇させ、国の債務問題を悪化させるという、極めてリスクの高い手法だと言わざるを得ません。他にも、住宅購入のために年金口座から罰金なしで資金を引き出すことを認める案や、住宅ローンの持ち運びを可能にする案、さらには50年という超長期ローンの導入など、一見魅力的ですが市場の論理を無視した小手先の策が次々と浮上しています。

これらの誤った政策の根底には、「住宅は金融投資である」という根本的な勘違いがあります。本来、住宅は日々の生活の中で利用される「消費財」であり、維持費や固定資産税、保険料といった多額のコストがかかるものです。住宅価格が上がったとしても、別の家に住み替える際にはその家の価格も同様に上がっているため、実際には売買手数料などのコスト分だけマイナスになります。住宅を投資対象と見なす高齢者層の支持を得るために、政府が通貨価値を下げて資産インフレを助長する政策をとれば、そのツケを払わされるのは若者や将来世代です。住宅を富の象徴とする幻想を捨てない限り、アメリカの住宅問題に光が差すことはないでしょう。

ソ連化する欧州

The European Union Now Resembles the Soviet Union | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】2026年に入り、欧州連合(EU)の変質を揶揄する「EUSSR(欧州ソビエト連邦)」という言葉が単なるネット上のミーム(ネタ)を超えた現実味を帯び始めています。この記事は、現在のEUが歩んでいる中央集権化、官僚統治、そして言論統制の強化が、かつてのソビエト連邦(USSR)が末期に抱えていた病理と驚くほど一致していると指摘しています。

記事によれば、この類似性は偶然ではありません。2004年に公開された機密文書は、かつてのソ連指導部と西欧の社会主義指導者たちが、国家の枠組みを超えた「集団主義的な欧州国家」の創設を水面下で議論していたことを示唆しています。現在のEUが直面している「民主主義の欠如」や「蔓延する汚職」、そして「肥大化した官僚機構」は、まさに当時の計画が形を変えて実現した姿だというのです。特に、選挙で選ばれていない3万人以上の官僚が実権を握る欧州委員会は、ソ連の閣僚会議や中央委員会に相当し、欧州議会はそれらの決定に「ゴム印」を押すだけの形式的な存在になりつつあると批判されています。

また、経済面でも深刻な共通点が見られます。EUは「ネットゼロ」などのイデオロギーを優先し、科学的根拠やコストを無視したエネルギー政策を強行していますが、これはかつてのソ連がイデオロギーのために経済的現実を無視した姿と重なります。軍事費も急増しており、2020年に2,342億ユーロだった防衛支出は、2025年には3,810億ユーロ(約60兆円)に達すると予測されています。これは、経済が停滞する中で軍事費だけが膨らみ、国民生活を圧迫したソ連崩壊直前の構図そのものです。

「誰もがシステムが失敗していることを知っているが、代替案が想像できず、機能しているふりをするしかない」――末期のソ連を描写したこの言葉が、今や欧州の現状を最もよく表しているのかもしれません。自由が徐々に侵食されていることに多くの欧州市民が気づいた時には、もはや手遅れである可能性がある、と記事は警告を鳴らしています。

高まる核暴発の恐れ

People Are Not Upset Enough About the End of New START | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】2026年2月5日、米国とロシアの間で結ばれていた最後の核軍備管理条約「新START(新戦略兵器削減条約)」が、ついに期限切れを迎えました。ミーゼス研究所のコナー・オキーフ氏はこの事態を重く受け止め、世間の無関心さに警鐘を鳴らしています。なぜなら、1969年以来続いてきた「核の制限」という枠組みが完全に消滅し、世界は50年以上ぶりに、超大国の核軍備が無制限に拡大し得る「法の空白地帯」へと足を踏み入れたからです。

トランプ政権がこの条約の延長を見送った最大の理由は、「中国が含まれていない」という点にあります。しかし、オキーフ氏は、ロシアとの既存の枠組みを維持しながら中国と新たな交渉を行うことも可能だったはずだと指摘します。今回の失効により、最も懸念されるのは「検証プログラム」の喪失です。これまでの条約は、互いの核施設への立ち入り検査や詳細なデータ交換を義務付けてきましたが、これがなくなることで、相手の意図を誤認するリスクが飛躍的に高まります。過去には「渡り鳥の群れ」や「月の出」を敵のミサイル攻撃と誤認した例が何度もありましたが、検証と透明性があったからこそ、かろうじて核の引き金は引かれずに済んできました。

さらに、この条約失効の背後には、米国内の「ICBMロビー(大陸間弾道ミサイル利権)」の影も見え隠れします。老朽化したミサイルを巨額の予算で更新する「センチネル計画」などの軍事ビジネスが、平和的な軍備管理よりも優先されているという冷徹な批判です。ロシア側は1年間の暫定的な制限維持を提案し、米露間で非公式な合意の動きもあると報じられていますが、それはあくまで法的な拘束力のない「紳士協定」に過ぎません。

「核戦争への不安は過去のもの」という世間の空気とは裏腹に、実際には極超音速ミサイルの登場で意思決定の時間は削られ、かつての冷戦期よりもむしろ暴発のリスクは高まっていると著者は訴えます。新STARTの終焉は、私たちが当たり前だと思っていた「核の抑制」という安全網が、音を立てて崩れ去った瞬間なのかもしれません。

ビルマと呼び続ける理由

Myanmar Will Always be Burma to the US Congress - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ議会が他国の呼称を頑なに旧名のまま呼び続ける背景には、単なる慣習を超えた、極めて政治的な意図が隠されています。先日、米下院は「ビルマ法」を全会一致で可決しました。この法案は、東南アジアのミャンマーに対する継続的な経済制裁や敵対的な行動を促進することを目的としたものですが、注目すべきはその名称です。1989年に国名が「ミャンマー」に変更されてから35年以上が経過した今も、米政府は公式文書で執拗に「ビルマ」という呼称を使い続けています。

著者のアダム・ディック氏は、この言語的な固執を「相手政府の正当性を否定するための、米政府による周到な心理戦」であると断罪しています。米政府にとって、現在のミャンマー政府が定めた国名を受け入れることは、その統治を認めることと同義だからです。かつて人気コメディドラマ『サインフェルド』で、風変わりなキャラクターが「世間はミャンマーと呼ぶが、私にとっては永遠にビルマだ」とうそぶく場面がありましたが、現実の外交政策においてこの「言い換え」は笑い事ではありません。

こうした言葉の操作は、アメリカが他国への介入を正当化する際の常套手段です。例えば最近のベネズエラ情勢においても、米政府はニコラス・マドゥロ氏を「大統領」ではなく、一貫して「麻薬王」や「テロリスト」と呼び続けました。そうすることで、一国の元首を拉致・拘束するという主権侵害を、「犯罪者を法の裁きにかける正当な行為」であるかのように世論に印象づけたのです。

一方で、アメリカにとって都合の良い指導者に対しては、正反対の対応が取られます。例えばウクライナのゼレンスキー大統領は、任期が切れて久しく、選挙も行われていない状況にありますが、米政府は彼を「自由と民主主義の象徴」として称え、巨額の支援を続けています。著者は、アメリカの外交介入には常にこうした「言語の歪曲」が伴っており、自分たちのルールに従わない国に対しては言葉の定義そのものを書き換えて攻撃の足場を作る、という冷徹な帝国主義的論理を批判しています。ミャンマーを「ビルマ」と呼び続ける行為は、その歪んだ正義感の象徴に他なりません。

「秘密の起訴状」で圧力

US holds secret indictment of Delcy Rodriguez, top opposition journo claims - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】ベネズエラ情勢が緊迫の度を高める中、トランプ政権が同国のデルシー・ロドリゲス暫定大統領に対し、「秘密の起訴状」を武器に政治的な圧力をかけているという驚くべき内幕が明らかになりました。アメリカ政府から資金提供を受けている調査報道機関の編集長が、ウェブセミナーで語った内容によれば、アメリカはロドリゲス氏がアメリカの意向に背いた瞬間に公開できるよう、彼女に対する起訴準備を水面下で進めているというのです。

ベネズエラでは今年1月、米軍の襲撃によってマドゥロ前大統領が拘束されるという前代未聞の事態が起きました。その後を引き継いだのがロドリゲス氏ですが、トランプ大統領は彼女を指導者として認めつつも、「正しいことをしなければ、マドゥロ以上の代償を払うことになる」と公然と脅迫しています。実際、彼女は就任後、かつてのチャベス政権による社会主義的な石油改革を撤回し、国有石油会社の運営をアメリカ側の要求に沿う形へと修正し始めています。

アメリカがこうした「秘密の起訴状」を使って他国の要人を操るのは、今回が初めてではありません。過去にはウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏に対しても同様の手法が取られました。アメリカ政府に近い関係者によれば、こうした司法の武器化は、巨大な軍事力という「最大の棍棒」と並んで、相手を思い通りに動かすための強力な手段として機能しています。皮肉なことに、ロドリゲス氏個人に関する深刻な汚職の証拠は、彼女を追及する側のジャーナリストでさえ「見当たらない」と認めていますが、それでもアメリカ側は石油公社内部の不透明な取引などを精査し、彼女を追い詰めるための「ネタ」を必死に探している状況です。

国家の尊厳を守るべき立場にありながら、大国の司法の罠に絡め取られ、綱渡りの政権運営を強いられるロドリゲス氏。彼女の父はかつて親米政権下で拷問死しており、家族の悲劇的な歴史を背負いながら、今またアメリカの巨大な圧力に翻弄されています。中南米の資源大国を巡る、司法と諜報が一体となった露骨な権力闘争の構図が、ここに浮き彫りとなっています。

共犯者が次々明るみに

Massie Exposes Les Wexner As Epstein Co-Conspirator, Opening Door To Criminal Charges Against Kash Patel - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ政権を揺るがす「エプスタイン文書」の隠蔽疑惑について、トランプ政権と議会の間で激しい火花が散っています。ケンタッキー州選出のトーマス・マッシー下院議員らが推進した「エプスタイン文書透明化法」により、これまで黒塗りにされていた重要文書の未修正版が議会に開示されました。その結果、政府がこれまで「存在しない」と否定してきた共犯者の存在が次々と明らかになり、政権の正当性を根本から揺るがす事態に発展しています。

今回の開示で最も衝撃を与えたのは、著名な億万長者レス・ウェクスナー氏が、2019年の時点でFBIによって正式に「共犯者」と認定されていた事実が発覚したことです。これは、トランプ政権の司法省やFBIが「エプスタインが他人に女性を斡旋していた事実はない」としてきたこれまでの説明を完全に覆すものです。特に、FBI長官のカシュ・パテル氏が議会で「エプスタイン以外の関与を示す信頼できる情報はない」と証言していたことから、マッシー議員はパテル氏が偽証罪に問われる可能性があると鋭く追及しています。

さらに文書からは、アラブ首長国連邦の有力実業家スルタン・アフメド・ビン・スライエム氏が、エプスタインに宛てて「拷問ビデオが気に入った」という凄惨な内容のメールを送っていたことも判明しました。司法省はこの人物の名前も「プライバシー保護」を理由に黒塗りにし、実態を隠そうとしていました。マッシー議員は、こうした政府による組織的な隠蔽が「透明化法」に違反する違法なものであると断罪しています。

トランプ大統領に近い立場をとってきたローレン・ボーバート議員らも、開示された文書の凄惨な内容に憤りをあらわにしており、政権内からも「共犯者を守るために嘘をついているのではないか」という疑念が噴出しています。かつてトランプ大統領が、友人たちが巻き込まれるのを恐れて文書の公開を止めるよう有力議員に働きかけていたという証言もあり、今回の暴露は政権の存続に関わる重大な局面を迎えています。

1万2000ドルまで値上がりも

This is the analyst who has gold bugs thinking $12,000 is not only possible but the correct price - MarketWatch [LINK]

【海外記事紹介】金(ゴールド)が1オンス1万2000ドルという、現在の水準からは想像もつかないような価格まで上昇する——。そんな大胆な予測を立てる専門家が、いま米国の投資家の間で大きな注目を集めています。ミルミカン・キャピタルの創設者、ダニエル・オリバー氏です。彼は現在の金市場を、単なる一時的な値上がりではなく、米ドルに対する信頼の失墜を背景とした「巨大な強気相場の初期段階」にあると分析しています。

オリバー氏は、金の上昇を3つのフェーズで説明しています。第1フェーズは2022年、米国がロシアの外貨準備を凍結したことで、世界中の投資家がドルの「兵器化」に気づき始めたときから始まりました。そして今まさに始まろうとしている第2フェーズは、次期FRB議長候補のケビン・ウォーシュ氏が、金利を上げたい一方で利払いの急増に耐えられず、結局は資金を市場に供給せざるを得なくなるという「マネープリント(紙幣乱発)の罠」に陥る局面です。

さらに恐ろしいのは第3フェーズです。金利が上がれば政府の借金返済(利払い)が増え、それが赤字を拡大させ、さらに金利を押し上げるという「国債の死のスパイラル」が発生するというのです。オリバー氏は、歴史的に市場は中央銀行に対し、バランスシートの3分の1から半分を金で保有することを強いてきたと指摘します。この理論を現在の米国のバランスシートに当てはめると、金の適正価格は8,395ドルから12,595ドルという驚くべき数字になります。

現在の金相場が5,000ドル台をうかがう展開の中で、多くのプロの投資家はまだ金や金鉱株を十分に保有していません。しかし、オリバー氏は「通貨制度が最終的に崩壊するか、その前に危機が訪れるかは避けられない選択だ」と断言します。パニックが起きれば、金の価格はさらに跳ね上がる可能性もあります。米ドルの覇権が揺らぐ中で、究極の安全資産である金の「本当の価格」が今、問い直されているのです。

2026-02-12

「ルールに基づく国際秩序」の幻

Trump Didn’t Destroy the ‘Rules-Based International Order’ - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ大統領が、第二次世界大戦後に築かれた「ルールに基づく国際秩序」を破壊しているという批判が世界中で渦巻いています。しかし、ある英文記事は、この告発には根本的な誤りがあると指摘しています。なぜなら、そもそもそんな高潔な秩序など最初から存在せず、実態は常に「偽善に満ちた茶番」に過ぎなかったからです。トランプ大統領の強引な手法は、確かに19世紀的な帝国主義を彷彿とさせますが、彼は単に、これまでの指導者たちが美辞麗句で隠してきたアメリカの本音を、隠さなくなっただけだというのです。

これまでの国際秩序には、常に二重基準が存在していました。アメリカとその同盟国は、国際法や倫理を無視して好きなように振る舞う一方で、敵対する国々に対しては、崇高な規範を盾に容赦ない制裁や圧力を加えてきました。この記事の著者は、冷戦後に行われた数々の軍事介入をその証拠として挙げます。1999年のコソボ紛争では、国連加盟国であるセルビアを爆撃し、その領土を切り離しました。また、2003年のイラク侵攻では、存在しない大量破壊兵器を口実に主権国家を破壊しました。これらはいずれも、アメリカが守ると称してきた「ルール」を自ら踏みにじる行為でした。

リビアやシリアでの介入も同様です。人権や民主主義を守るという大義名分を掲げながら、実際には一方的な政権交代を強行し、その結果、各地に凄まじい混乱とテロ、そして膨大な難民流出を招きました。こうした介入の結果、かつての帝国主義的な支配が、国連やEUといった「多国籍な帝国主義」に置き換わっただけに過ぎないと著者は鋭く分析しています。

結局のところ、トランプ大統領が「ルールに基づく秩序」を壊しているという主張は、自国の利益のためにシステムを私物化してきた欧米のエリート層による、自己正当化のための嘆きに過ぎません。彼らにとっての秩序とは、自分たちがルールを書き換え、他者を支配するための便利な道具だったのです。トランプ氏は確かに権威主義的な傾向を持つかもしれませんが、存在もしない「公正なシステム」を破壊したという罪を着せるのはお門違いです。世界は今、長年続いてきた偽善のメッキが剥がれ落ち、剥き出しの力関係が支配する真実の姿に直面していると言えるでしょう。

豪のイスラエル接近

Herzog Down Under | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】現在、イスラエルのアイザック・ヘルツォグ大統領がオーストラリアを訪問していますが、この動きが現地で激しい議論と波紋を広げています。かつてパレスチナ国家を承認したこともあるオーストラリア政府ですが、今回の招待は事実上の「方針転換」であり、イスラエルの植民地主義やガザでの行為を黙認、あるいは支持する姿勢への回帰であると、著者のキム・ロビンソン氏は厳しく指摘しています。

この記事が特に問題視しているのは、この訪問に合わせてオーストラリア国内で進められている言論統制の動きです。政府は、ボンダイビーチで起きたユダヤ人コミュニティーを狙ったとみられる銃撃事件をきっかけに、銃規制やメディア検閲、さらには新たな「ヘイトスピーチ法」の導入を急いでいます。しかし、その実態は、イスラエルのガザでの行動を「ジェノサイド(集団殺害)」と呼ぶことを犯罪化しかねない一方で、パレスチナ人の抹殺を叫ぶような言動は野放しにされるという、極めて不均衡なものだと著者は憤ります。実際にヘルツォグ大統領の来訪に抗議した人々は、警察による暴力的な鎮圧や逮捕に直面しており、表現の自由という民主主義の根幹が揺らいでいます。

また、オーストラリアがこれほどまでにイスラエルに対して「特別扱い」をする背景には、複雑な国際政治と利権の構造があります。オーストラリアはアメリカを中心とする情報共有ネットワーク「ファイブ・アイズ」の一員であり、戦略的な軍事・諜報拠点としての役割を担っています。そのため、アメリカの最も重要な同盟国であるイスラエルとの親密な関係を維持することは、政権にとって不可欠な条件となっているのです。国内には強力な親イスラエル・ロビー団体が存在し、政治資金やメディアを通じて政府の意思決定に深く介入しています。

著者は、かつて独立独歩の外交を目指したゴフ・ホイットラム元首相が、イスラエルによる不当なロビー活動や「政治的恐喝」を告発した歴史を振り返りつつ、現在の政治指導者たちが自らの利益や保身のために、国際法や人道的な原則を投げ捨てている現状を嘆いています。たとえ国際社会や人権団体がジェノサイドの警告を発し、子どもを含む多くの犠牲者が出ていようとも、オーストラリア政府は「帝国の忠実な僕」として、イスラエルの免責を支え続けるだろうという冷徹な分析です。

戦争を煽る情報提供者

Zionists Underwrite 'Native Informants' to Fuel America's Wars | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの外交政策の裏側で、特定の利益集団がいかにして他国への介入を正当化しているか。マット・ウルフソン氏による告発記事をご紹介します。2026年1月、ドナルド・トランプ政権がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束した際、その法的根拠の一つとなったのは、同国の野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏からの「要請」があったという情報でした。ウルフソン氏は、これが単なる一例ではなく、数十年にわたる根深い構造の一部であると主張しています。

その構造の鍵となるのが、パレスチナ出身の知識人エドワード・サイードが提唱した「ネイティブ・インフォーマント(現地の情報提供者)」という概念です。これは、母国を離れて欧米の学術界やメディアで地位を確立した非欧米の知識人が、帝国の権力者が「聞きたがっていること」を現地の専門知識として提供し、侵略や政権交代の道筋をつくる役割を指します。かつてイラク戦争の際に、「解放されればイラクの街は歓喜に包まれる」と予測してブッシュ政権を後押ししたレバノン系アメリカ人のフアード・アジャミ氏がその典型です。

筆者によれば、こうした「情報提供者」たちの背後には、イスラエルの国益を最優先するシオニストの強力なネットワークが存在しています。マチャド氏だけでなく、イラン、ナイジェリア、キューバなどの亡命者や知識人が、シオニスト資本のメディアやシンクタンクを通じて登用され、トランプ政権の外交政策に多大な影響を与えています。彼らは「自由」や「人権」という普遍的な言葉を使いながら、実際には当該国の主権を無視し、イスラエルにとって有利な地域秩序を構築するためにアメリカの軍事力や資源を利用しているというのです。

かつてアジャミ氏が予測を外し、イラクが泥沼化した教訓は生かされていません。現在、CBSニュースの編集長バリ・ワイス氏が率いるメディアなどを通じて、新たな「現地のスター」たちが次々と紹介され、イランの分割案や他国への介入が公然と議論されています。ウルフソン氏は、これら「情報提供者」たちの個人的な野心とシオニストの戦略が結びつくことで、アメリカ市民の利益とは無関係な場所で戦火が広がり、結果として世界をより危険な場所にしていると厳しく批判しています。

株暴落は悪ではない

Of Two Minds - A Market Crash and Recession Are Bullish, Not Bearish [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの経済界では今、極めて深刻な誤解が蔓延していると、ある記事が鋭い警鐘を鳴らしています。私たちは通常、株価の暴落や景気後退を「悪」と捉えがちですが、筆者はこれこそが資本主義を健全に保つための「強気」なプロセスであると主張しています。現在の市場に漂っている「経済や市場は常に右肩上がりであるべきだ」という考え方は、資本主義の本質から最も遠い「集団的な幻覚」に過ぎないというのです。本来、本物の資本主義とは、過剰な債務やレバレッジ、そして行き過ぎた投機を定期的に一掃することで、自己修正と適応を繰り返すシステムです。もしこの自浄作用をシステムから取り除いてしまえば、資本主義そのものが崩壊してしまいます。

記事では、市場が常に上昇し続けるという物語を支えるために、いくつかの正当化がなされていると指摘します。例えば、成長セクターを渡り歩けば成長は持続できるという説や、経済がもはや暴落に耐えられないから何としても阻止すべきだという意見、さらには中央銀行が流動性を操作すれば下落を完全に回避できるという過信です。しかし、これらはどれも破綻しています。強欲や熱狂といった人間の心理が引き起こす行き過ぎた投機は、必ずどこかでリセットされなければなりません。

この状況を理解するために、筆者は「森林火災」という非常に分かりやすい比喩を用いています。森にたまった枯れ木を定期的な小規模の火災が焼き払うことで、新しい命が芽吹く空間が生まれます。これが自然の摂理です。しかし、もし当局がこの「健康的な火災」を無理に抑え込んでしまったらどうなるでしょうか。森には負債や投機という名の「枯れ木」が危険なほど積み上がり、やがて火がついたときには、森全体を焼き尽くすような取り返しのつかない大火災へと発展してしまうのです。今の私たちは、まさにこの壊滅的な結末に向かっています。

市場が80パーセントも暴落し、数年かけてリセットされることは、損失を被る人々にとっては悲劇に見舞われた弱気相場に見えるでしょう。しかし、長期的で広い視点に立てば、システムの崩壊を防ぎ、経済を再び有機的に再生させるための極めて前向きなプロセスなのです。当局がさらなる刺激策を講じて、歪んだシステムを維持しようとすることは、資本主義を守ることではなく、むしろ破滅を早める行為に他なりません。

金をどこに保管するか?

Your Gold Is Only as Good as Where You Store It - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】資産防衛の手段として金(ゴールド)を保有する場合、多くの人が見落としがちな鉄則があります。それは「金そのものを持つことと同じくらい、どこに保管するかが重要である」という点です。現物の金塊を目の前にすると、その不変の価値に安心しがちですが、海外の投資専門家は、保管場所の選択を誤れば、政府や銀行による「資産没収」のリスクにさらされると警告しています。

現在、欧米諸国をはじめとする多くの国々は膨大な債務を抱え、実質的に破綻状態にあります。こうした国々の政府が窮地に陥ったとき、歴史が証明するように、彼らはなりふり構わず国民の資産を狙ってきます。増税や通貨発行による価値の希釈、そして資本規制。かつては安全と思われていた銀行の貸金庫でさえ、今や「ベイルイン」、つまり銀行救済のために預金や資産が強制的に削られる法律が整備されている地域では、決して安全な避難所ではありません。また、ETFなど証券化された金も、実際には現物以上の「紙の約束」が乱発されている疑いがあり、いざという時に手元に現物が残らないリスクを孕んでいます。

こうした背景から、真に賢明な投資家たちは、銀行システムから完全に切り離された「オフショア(国外)」の独立した保管施設へと金を移し始めています。特定の国の規制や政治的混乱から資産を物理的に遠ざける「資産の国際化」が、現代のサバイバルには不可欠なのです。著者は、金塊を保管する場所として、政府や銀行のコントロールが及びにくい司法管轄区を選ぶべきだと説いています。

では、具体的にどこが最適なのでしょうか。著者が推奨するのは、伝統的なスイスに加え、より現代的で顧客保護に積極的なシンガポール、そしてケイマン諸島の3拠点です。これらの地域は、米欧などの巨大な権力を持つ政府からの不当な圧力に対し、独自性を保ちながら投資家の権利を守ってきた実績があります。そして最も重要な戦略は、これらの中から一つを選ぶのではなく、三つの拠点に「分散」して保管することです。これにより、万が一どこか一箇所で予期せぬ法改正や紛争が起きても、全財産を失う事態を避けられます。自分の資産を自分自身でコントロールし続けるためには、特定の国家に依存しない知恵が求められているのです。

捏造された抗議デモ

Who’s Funding the Protest Movement? Who’s Behind it? It’s Called 'Manufactured Dissent' - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】世界各地で巻き起こる大規模な抗議デモや「草の根」の社会運動。これらが実は、打倒の対象であるはずの大企業や富裕層の財団によって裏で資金提供され、コントロールされているとしたらどうでしょうか。カナダの経済学者ミシェル・チョスドフスキー教授は、この現象を「製造された異議」と呼び、その危険性を鋭く指摘しています。

教授は、2011年の「ウォール街を占拠せよ」運動や、近年の人種差別反対運動などの事例を挙げ、これらがいかに「金融エリート」の手のひらの上で転がされているかを分析しています。驚くべきことに、ウォール街の強欲を批判する運動の背後には、ジョージ・ソロス氏の財団やフォード財団といった、グローバル資本主義の象徴とも言える組織からの巨額の資金が流れています。教授は「帝国(エリート層)に立ち向かう運動を組織しながら、その経費を帝国に支払ってもらうことなど不可能だ」と断じ、資金を受け取った時点で、運動はエリート層の利益を脅かさない「限定的な異議申し立て」に変質してしまうと警告しています。

また、教授はこうした運動が、しばしばアメリカなどの外部勢力による政権転覆(カラー革命)の道具として利用されている側面にも言及しています。例えばエジプトやチュニジアの「アラブの春」では、現地の運動指導者たちが米政府系の財団から支援を受け、特定のロゴやスローガンを使うよう訓練されていました。その結果、独裁者は倒れても、国際通貨基金(IMF)などが主導する新自由主義的な経済構造は温存され、国民の生活はむしろ悪化するという皮肉な結末を招いています。リビアの事例についても、メディアが報道しないNATOによる爆発的な破壊活動や、実はアフリカで最高水準だった当時の生活水準が壊滅した事実を指摘し、抗議運動が戦争や国家破壊を正当化する「隠れ蓑」にされていると批判しています。

真に社会を変えるためには、単に路上で声を上げるだけでなく、職場や大学、地域社会に根ざした強力な組織構造を持つことが不可欠だと教授は説きます。大企業は極めて緻密に組織化されていますが、彼らはあくまで少数派です。もし「99%」の民衆が現状を変えたいのであれば、エリート層の寄付金に頼るのではなく、自前のプログラムと指導力を持ち、現在の歪んだ経済システムの正当性そのものを問わなければなりません。チョスドフスキー教授の見解は、私たちがニュースで目にする「正義のデモ」の裏側にある冷徹な権力構造を直視し、自発的で独立した市民運動の重要性を再認識させるものです。

国民団結より地方分権を

Calls for “Unity” Help the Federal Government Seize More Power | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカでは現在、連邦政府が地方の権限を吸い上げ、中央集権化を推し進める動きが加速しています。海外の専門家が指摘するところによれば、国家というものは常に権力の集約を望む性質があり、アメリカでも連邦政府が州独自の政策に介入し、教育や医療、交通といった市民生活の細部にまで連邦機関の影がちらつくようになっています。本来、各州が自治権を持つのがアメリカの伝統的な姿でしたが、今や連邦政府の補助金が、州の政策を中央の意向に従わせるための強力な「手綱」として機能しているのが現状です。

この記事の著者が特に警鐘を鳴らしているのは、「国民の団結」や「統一性」という言葉が、中央政府の権力拡大の免罪符として使われている点です。具体的には「州から州への移動が自由である以上、一つの州の緩い規制は他州に悪影響を及ぼす」という論理が多用されています。例えば、銃規制や麻薬対策、そして移民政策において、一部の州が独自の寛容な方針をとれば、そこから人や物が全米に流れ込むため、結局は連邦政府が一律の基準で管理すべきだという理屈です。このように「州境が開放されているからこそ、政策も統一されなければならない」という主張が、中央集権を正当化する強力な武器となっていると著者は分析しています。

興味深いことに、著者はこの構図を歴史的な「逃亡奴隷法」の事例に重ね合わせています。かつて奴隷主たちが、自分たちの利益を守るために連邦政府の力を借りて全国一律の強制執行を求めたように、現代の政治家たちも、自分たちの理念を全米に押し付けるために中央の権力を利用しようとしているというのです。もし他州のやり方が気に入らないのであれば、本来は「州境を閉ざす」「連邦から離脱する」といった選択肢も議論されるべきですが、多くのアメリカ人は「国家は不可分な一つの単位である」という教育を受けているため、結局は中央政府による一括管理こそが唯一の解決策だと思い込まされていると指摘しています。

今日、アメリカ国内の文化的・思想的な分断はかつてないほど深まっています。著者は、こうした分断が進む今こそ、各地の自決権を尊重し、互いに干渉しない「地方分権」に立ち返るべきだと説いています。

公共サービスは資金不足か?

Are Government Services Underfunded? | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】スペインで発生した悲惨な列車事故をきっかけに、公共サービスの「資金不足」という言葉が議論の的となっています。犠牲者への哀悼の意を表しつつ、私たちは冷静に、政府が提供するサービスのあり方を経済学の視点から見つめ直す必要があります。多くの場合、公共サービスの質が低下すると、関係者は口を揃えて「予算が足りない」と主張しますが、問題の本質は金額の多寡ではなく、公共部門という仕組みそのものに潜んでいます。

まず、資金調達の本質を考えてみましょう。民間市場では、起業家が自らの責任で資金や労働力を確保し、消費者の需要を予測してサービスを提供します。消費者がその価値を認め、支払った対価が費用を上回れば「利益」が生まれ、価値が創造されたことが証明されます。しかし、公共部門は全く異なります。その資金は税金や借金、あるいは通貨発行によるインフレという形で、民間から強制的に徴収されたものです。そこには利益も損失もなく、サービスと収入が切り離されているため、資源が効率的に使われているかを確認する手段がありません。

自由市場において、物の価値を決めるのは個々の消費者の主観的な評価です。起業家は、「価格」という信号を頼りに、人々にとってより価値のあるものを生み出そうと努力します。対照的に、政府が運営する事業には、自発的な取引に基づく「真の価格」が存在しません。価格という情報がなければ、資源を合理的に配分することは不可能です。公共サービスを利用するのは「消費者」ではなく、単なる「利用者」に過ぎず、官僚が勝手に決めた予算の中で運営されるため、その事業が価値を生んでいるのか、それとも資源を破壊しているのかを判断する術がないのです。

公共サービスで常に「資金不足」が叫ばれる理由は、まさにこの計算不能な状況にあります。効率性が測定できないため、無駄が積み重なり、それを補うためにさらなる資源の投入が要求されるのです。また、利益追求の動機がないため、現場には改善のインセンティブが働かず、政治的に決まる賃金体系の中では、より少ない労働で多くの資源を要求することが合理的になってしまいます。

公共サービスは、民間市場に比べて常に高コストで低品質になりがちです。真の解決策は予算を増やすことではなく、公共の独占を縮小し、自由な民間企業による競争と、価格を通じた合理的な資源配分を取り戻すことにあります。

国家に「存在する権利」はない

Is Spite of What Zionists Say, It's a Good Thing to Criticize Governments | Mises Institute [LINK

【海外記事紹介】アメリカ国内で現在、信教の自由を巡る公聴会でのやり取りが大きな波紋を呼んでいます。発端は、親イスラエル派の活動家やラビたちが「反シオニズムは反ユダヤ主義である」と断定したことです。彼らの主張によれば、イスラエルという国家の存在を認めなかったり、その政策を批判したりすることは、それ自体がユダヤ人への差別にあたるとされています。具体的には、イスラエル国家を「非正当化」し、「悪魔化」し、さらには他国とは異なる「二重基準」で批判してはならないというのです。しかし、この記事の著者は、こうした言論の封じ込めは表現の自由に対する重大な脅威であると警鐘を鳴らしています。

著者は、いかなる国家にも「存在する権利」などというものは国際法上も自然法上も存在しないと指摘します。国連のアルバネーゼ特別報告者が述べているように、イタリアやフランスといった国々は現実に「存在」していますが、それ自体に法的な「存在する権利」があるわけではありません。権利を持つのはあくまで「人間(人民)」であり、国家という組織ではありません。国家は人間が作り出した便宜上の組織に過ぎず、歴史の中で絶えず形成され、解体されてきました。例えば、フランス共和国は1958年に成立した比較的新しい組織です。国家と、そこに住む民族や人々を混同してはなりません。したがって、イスラエル国家を批判したり、その正当性を問うたりすることは、他国と同様に認められるべき正当な政治的議論なのです。

現在、シオニストたちはイスラエルへの批判を「ヘイトスピーチ」や「デマ」と決めつけ、アメリカ憲法修正第1条が保障する表現の自由を制限しようとしています。しかし、特定の外国政府に対する批判を禁止することは、民主主義の根幹を揺るがす極めて危険な動きです。いかなる国家も神によって作られたものではなく、特権的な免責を享受すべきではありません。私たちは、国家という組織を神聖視する罠に陥ることなく、自由な批判の権利を守り抜く必要があります。もし特定の政府への批判を「差別」として封じ込めることを許せば、それは検閲の復活を招き、私たちの知る自由な社会は終焉を迎えることになるでしょう。

欧州にロシア回帰の兆し

Anchorage was the Receipt: Europe is Paying the Price... and Knows it. - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】ロシアのラブロフ外務大臣が放った「アンカレッジで、我々はアメリカの提案を受け入れた」という言葉。これが、米欧関係の欺瞞と、欧州が直面している冷酷な代償を象徴する「領収書」となっている現状を解説した論評をご紹介します。

2025年のアンカレッジ会談で、アメリカは関係改善の「提案」をテーブルに乗せましたが、実際にはその裏で米海軍を動かし、制裁執行の名の下に公海上でロシアの石油タンカーを追跡・拿捕し続けてきました。ラブロフ外相は、アメリカの言葉が単なる「パフォーマンス」であり、実際には制裁と海洋封鎖という「強制執行マシン」が止まることなく動き続けている矛盾を突きつけました。

この「制裁のブーメラン」を最も悲劇的な形で受けているのが欧州です。ロシア産ガスのシェアを45%から13%へ、石油を27%から3%以下へと強引に削減した結果、調整ではなく「切断手術」に近いダメージを負いました。欧州の経済的支柱であるドイツは、エネルギー価格の高騰により製造業が収縮し続けています。政府は自らの政策が招いたコストを補助金で補填するという、末期的な緊急避難措置を余儀なくされています。また、ロシアへの依存を脱したと言いつつ、実際にはより高価で不安定なアメリカのLNG(液化天然ガス)へと依存先を付け替えただけに過ぎません。

しかし、変化の兆しが現れています。権威ある外交誌フォーリン・ポリシーが、「欧州はプーチンへの回帰を準備している」という、かつては禁句だった見出しを掲げました。フランスやイタリアなどの主要国は、アメリカ抜きでロシアと直接交渉を行う必要性を悟り、凍結されていた対話チャンネルを密かに再開し始めています。これは思想の変化ではなく、「ロシアは崩壊しなかった」という冷徹な算術に基づく現実への適応です。

ロシア側はこの状況を冷静に読んでいます。ユーラシア統合を深め、独自の経済圏を構築したロシアは、欧州が自滅的な拒絶を続けて限界に達するのを待てる立場にあります。

欧州にとっての「ロシア回帰」とは、和解や悔い改めではなく、「ロシア抜きでは欧州の産業文明は存続できない」という地理的・物理的な現実の受け入れを意味します。スローガンや道徳劇の時代は終わり、欧州はアメリカの属国としてではなく、自らの生存をかけた主体的な外交へと舵を切らざるを得ない局面に立たされています。

金価格予想、6000ドルに引き上げ

Canadian Bank Ups 2026 Gold Forecast to $6,000 [LINK]

【海外記事紹介】カナダの有力銀行であるCIBC(カナダ・インペリアル商業銀行)が、最近の市場の調整局面にもかかわらず、2026年の金価格予想を1オンス6,000ドル、銀を100ドルへと大幅に上方修正したというニュースをご紹介します。これは、昨年10月時点の金4,500ドルという予想を塗り替える極めて強気な見通しです。

CIBCのアナリストがこれほどまでの高値を予測する背景には、止まらない「通貨(ドル)の減価」と、深刻化する地政学的リスクがあります。多くの投資家や中央銀行が、不透明な米国債から離れ、静かに金への資産配分を増やしていると指摘しています。また、トランプ大統領が次期FRB(連邦準備理事会)議長に指名したケビン・ウォーシュ氏についても、市場の「タカ派(利上げ派)」という評価を否定し、実際には「タカの皮を被ったハト(利下げ派)」になると分析しています。なぜなら、膨大な債務を抱える米国経済は、高金利環境にはもはや耐えられない「債務のブラックホール」に陥っているからです。

この記事のポイントを整理すると以下の通りです。

まず、強気な価格ターゲット。2026年の金価格は平均6,000ドル、2027年には6,500ドルに達すると予測。銀も2027年には120ドルまで上昇する見込みです。次に、ドルの信認低下。中央銀行が米国債の保有を減らし、通貨の切り下げに備える「不換紙幣(法定通貨)からの逃避」が加速します。そして、FRBのジレンマ。新議長候補のウォーシュ氏がどれほど厳格な姿勢を見せようとも、政府の借金と支出を支えるためには、最終的にFRBは利下げと資金供給(量的緩和)を選択せざるを得ないとみています。

主流派の金融機関であるCIBCが、法定通貨システムの構造的な欠陥をここまで率直に指摘するのは異例のことです。最近、金や銀が一時的に売られた局面もありましたが、CIBCはこれを「一時的なノイズ」と切り捨て、長期的な上昇トレンドは揺るぎないと結論付けています。

金需要、技術・産業向け堅調

Demand for Gold in Tech and Industry Was Steady in 2025 [LINK]

【海外記事紹介】「金は穴から掘り出されて別の穴に埋め直されるだけの、使い道のない石ころだ」という批判を耳にすることがありますが、それは大きな誤解です。2025年の金需要に関する最新データによれば、技術・産業分野での金需要は年間約223トンに達し、私たちの文明を支える不可欠な素材としての地位を改めて示しました。特に注目すべきは、急速に進化するAI(人工知能)分野です。金は銀と違って腐食せず、極めて高い導電性と加工性を持つため、AIを支える高速演算装置や接続素材において、代替不可能な役割を果たしています。

AIブームは、電子機器セクター全体に大きな変化をもたらしました。AI関連の製造需要が優先されたことで、一部の電子部品では価格高騰や供給不足といった「クラウドアウト(追い出し)」現象が発生しました。一方で、東アジア市場、特に日本を含むAIサプライチェーンが強固な地域では、電子機器向けの金需要は非常に堅調でした。また、次世代技術として期待される低軌道衛星通信の基板や、電気自動車(EV)、さらにはウェアラブル端末のセンサー技術など、最先端の「化合物半導体」分野でも金の採用が加速しています。これらは、従来の消費財市場の変動に左右されない、新しい技術主導の成長フェーズに入ったことを意味しています。

金の有用性はハイテク産業に留まりません。医療分野では、その安定性と光学特性を活かし、マラリアやHIVなどの迅速診断テストの核心部分に金ナノ粒子が使用されています。さらに研究段階では、金とチタンのナノワイヤーを用いて失明したマウスの視力を部分的に回復させるという驚くべき実験も行われており、命を救うための貴金属としての価値も高まっています。もちろん、宝飾品としての根強い人気も健在で、昨年の世界全体の金需要は史上初めて5,000トンを超える歴史的な記録を樹立しました。

投資家ウォーレン・バフェット氏はかつて金の有用性を否定しましたが、実際には金はその希少性と物理的特性ゆえに、世界で最も「役に立つ」金属の一つです。価格が高騰しているため、企業は使用量を抑える研究を続けていますが、それでも金が選ばれ続けるのは、それに代わる素材が存在しないからです。金は単なる資産としての「お金」であるだけでなく、私たちの未来のテクノロジーを動かす「万能の素材」なのです。

歴史小説と歴史の境界

The Challenge of Distinguishing History from Fiction | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】歴史小説と歴史的事実の境界線がいかに曖昧であり、私たちが抱く「心地よい物語」が、いかに真実を覆い隠してしまうかという問題について解説した論評をご紹介します。歴史小説の作家は、読者の興味を引くためにプロットを創作し、架空の対話やキャラクターを織り交ぜる自由を持っています。私たちがそこから歴史を学び、人間性を知ることは素晴らしいエンターテインメントですが、問題は、本来事実を伝えるべき歴史家が、虚構の物語を「正史」として提示し始めたときに起こります。

その最たる例が、アメリカのリンカーン大統領を巡る言説です。多くのアメリカ人は、リンカーンを奴隷解放のために戦った聖人君子のような英雄として仰いでいます。しかし、トーマス・ディロレンゾの著書『リアル・リンカーン』が指摘するように、教育現場で教えられている標準的な物語は、驚くほど事実と乖離しています。リンカーンが南北戦争を開始した最大の目的は、奴隷制度の廃止ではなく、あくまでも南部の分離独立を阻止し「連邦を維持すること」にありました。

実際、1862年の書簡でリンカーンは「奴隷を一人も解放せずに連邦を救えるならそうする」と明言しています。さらに、有名な「奴隷解放宣言」も、実際には北部(連邦側)に残った奴隷州の奴隷たちは解放せず、自身の権力が及ばない敵地(南部連合)の奴隷のみを「解放」すると宣言したに過ぎませんでした。これらは歴史的事実ですが、多くの人々はこの不都合な真実よりも、「善意に満ちた解放者」という物語を信じたがります。

経済学者ミーゼスは、優れたフィクションには「人間ならこう行動するだろう」という普遍的な人間理解があるため、事実と混同されやすいと分析しています。現代人は「奴隷制度は悪である」という価値観を共有しているため、過去の偉大な指導者も自分たちと同じ正義感に基づき、歴史の「正しい側」に立っていたはずだという期待を抱きます。歴史家がその期待に応える物語を提供するとき、事実は二の次になってしまうのです。

ミーゼスは、歴史の概念とは「かつての現実との一致」であり、自分たちを良く見せるための物語作りではないと説いています。私たちは、歴史を学ぶ際にそれが「事実」に基づいているのか、それとも「自分の願望を投影した物語」に過ぎないのかを冷静に見極める必要があります。

不確実なマネーの末路

Uncertain Money and Uncertain Times | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】かつて米連邦準備理事会(FRB)のボルカー議長が毎朝、ドルの価値を測る尺度として「今日の金価格」を気にしていた時代とは一変し、現職のパウエル議長が「貴金属の価格高騰はマクロ経済的には大したメッセージではない」と一蹴したとする、現代の通貨と資産の不確実性を巡る論評をご紹介します。会見でパウエル氏は、金・銀価格の歴史的な上昇はFRBの信頼性の欠如を意味するものではないと強気な姿勢を見せましたが、現実世界では「通貨の信頼性」を巡る動きがより生々しい形で表れています。

記事は、歴史的なエピソードとして、1978年に歌手のベット・ミドラーがコンサートツアーのギャラを金地金(インゴット)で要求したという、芸能界初の事例を引き合いに出しています。当時は1オンス100ドル台から800ドル台へ金が暴騰した時代でした。そして2026年現在、世界経済フォーラム(ダボス会議)に集まるエリートたちの裏側でも、エスコートの対価として、これまでのビットコインに代わり金の延べ棒や、なんと「DRAM(半導体メモリ)のスティック」が喜んで受け取られているという驚くべき噂が流れています。これは、デジタル資産(ゴールド2.0)と呼ばれたビットコインの魅力が薄れ、再び物理的な価値を持つものへと信頼が回帰している兆候かもしれません。

一方で、この「現物資産への逃避」も一筋縄ではいきません。金・銀市場ではわずか一日で数兆ドル規模の富が消失するという歴史的な暴落が発生しました。これはトランプ大統領によるタカ派のケビン・ウォーシュ次期FRB議長指名や、中国市場での過剰な投機マネーの引き揚げが引き金となったと分析されています。世界最大の金卸売市場である中国・深圳の「水貝(シュイベイ)」金市場では、買い取り価格と販売価格に巨大な開きが生じ、消費者の信頼はどん底に落ちています。

投資家の関心は、価格変動の激しい暗号資産から、ポリマーケットのような「予測市場」へと急速にシフトしており、バイナンスのような既存の取引所は利用者を半減させています。記事は、こうした現象を「不確実な時代の不確実なマネー」の末路として描いています。 

隠蔽は終わらない

It's Still a Coverup | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】エプスタイン事件の全容解明を目指し、2025年に超党派で成立した「エプスタイン・ファイル透明性法」ですが、その実態は「依然として隠蔽が続いている」と言わざるを得ない悲惨な状況にあります。この記事は、司法省が法律で定められた期限や公開義務を平然と無視し、権力者たちを守るための盾として機能している現状を、具体的かつ痛烈に告発しています。

この法律は、共和党のトマス・マッシー議員と民主党のロー・カーナ議員が主導し、政府高官を含むすべての関係者の実名や飛行記録、捜査資料を黒塗りなしで公開することを命じたものでした。しかし、司法省は当初の期限を大幅に過ぎてから、ようやく全資料の半分にも満たない一部を公開したに過ぎません。しかも、司法省のウェブサイトからトランプ大統領とエプスタインが写った写真を含む重要ファイルが説明なく削除されたり、議会への原本提供を拒否したりと、その対応は不誠実極まりないものでした。さらに、カシュ・パテルFBI長官は議会証言で「エプスタイン以外に加担者はいない」という、公開された資料の証拠とも矛盾する主張を堂々と行っています。

記事が最も深刻視しているのは、この「不処罰の構造」がアメリカの政治システムに深く根を張っている点です。過去を振り返れば、ビル・クリントン元大統領の偽証や、情報機関の幹部たちが議会で「嘘」をついても処罰されずに昇進してきた歴史があります。ヒラリー・クリントン氏のメール問題でも、当局は「違反の証拠はあるが起訴はしない」という特別扱いを選びました。今回のエプスタイン事件もまた、エリート層が互いを守り合う「超党派の隠蔽工作」の系譜に連なるものです。司法省の現職幹部たちは、かつてエプスタインに有利な司法取引を与えた組織そのものであり、自らの非行を暴くような調査を行うはずがありません。

結局のところ、検察官は政治的な上司に顔を伺い、議員は寄付者の名がリストに載るのを恐れ、諜報機関は自らの不正が露呈するのを防ごうとします。法律が誠実な運用を前提としていても、独立した執行メカニズムがなければ、権力者は秘密を選ぶという「経済的な合理性」に従うだけです。記事は、この現実を直視し、国家が自浄作用を持つという幻想を捨てるべきだと訴えます。

エリート免責の構造

Epstein and the Structure of Impunity | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】エプスタイン事件に関する機密文書の公開を巡り、現在アメリカでは「司法の不処罰」という深刻な構造的問題が浮き彫りになっています。この記事の著者は、世間の関心が個人のスキャンダルや名声の失墜にばかり向いている現状を危惧し、真の問題は「法律が権力者にとって不都合になったとき、政府機関がいかに容易にそれを無視できるか」という統治の仕組みにあると指摘しています。

2025年11月、米議会は「エプスタイン・ファイル透明性法」を成立させました。これは司法省に対し、30日以内にすべての記録を公開するよう命じた極めて明確な法律です。名誉毀損や政治的理由での黒塗り(非公開)を禁じるなど、これまでの曖昧さを排除した設計になっていました。しかし、司法省は期限を過ぎても一部の記録しか公開せず、広範な黒塗りを継続したまま、一度公開した文書を削除することまでありました。法的な義務があるにもかかわらず、不履行に対する罰則がないため、当局は「都合の良い範囲でのみ公開する」という対応を選択したのです。

著者は、これが単なる官僚的な遅延ではなく、米国のエリート層が享受している「免責」の構造そのものだと主張します。エリートたちの信頼性は道徳的な高潔さによって保たれているのではなく、情報操作や法的特権、恣意的な法執行といった「制度的な緩衝材」によって守られてきました。今回、司法省が法律を軽視して自己保護に走ったことで、こうした保護メカニズムが図らずも可視化されてしまったのです。信頼の失墜は、不快な事実が明らかになったからではなく、法律という絶対的な命令が「コストなしで無視できる」ことが証明されたために起きています。

行政機関を監視するはずの議会の対抗手段も、現実には形骸化しています。不服従に対する刑事告発を処理するのは司法省自身であり、民事訴訟は特権の壁に阻まれて遅々として進みません。その結果、行政側は「適当に時間を稼ぎ、部分的に公開して体裁を整える」ことが合理的な戦略だと学習してしまいました。この記事は、この構造を正さない限り、どんなに立派な透明性法を作っても、それは単なる象徴的なジェスチャーに終わり、権力の暴走を止めることはできないと鋭く批判しています。真の問題は個人の不道徳ではなく、チェック・アンド・バランスが機能しなくなったシステムの機能不全にあるのです。

「麻薬との戦い」の偽善

Uncle Sam, Drug Traffickers, and Their Friendship | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ政府が掲げる「麻薬との戦い」の裏側で、歴代政権がいかに地政学的な利害を優先し、麻薬密売に関与する独裁者や指導者たちと「密月関係」を築いてきたか。その驚くべき偽善の実態を暴く論評をご紹介します。物語は2024年、ホンジュラスの前大統領フアン・オルランド・エルナンデス氏が、数百トンのコカインを米国に密輸した罪で禁錮45年の実刑判決を受けたことから始まります。彼は米国から多額の麻薬対策支援を受けながら、裏では「国家公認の麻薬密売」を行っていました。しかし、2025年12月、トランプ大統領はこの有罪判決を受けた密売人を「政治的迫害の犠牲者」として恩赦を与え、釈放したのです。

こうしたパターンは、数十年前から繰り返されてきました。パナマの独裁者マヌエル・ノリエガは、CIAなどの米情報機関の貴重な資産として、ゲリラ情報の提供や暗殺計画に協力していました。米国は彼が麻薬密売で巨万の富を築いていることを把握していましたが、ニカラグアのサンディニスタ政権打倒という戦略目標を優先し、彼の犯罪を黙認していました。彼が起訴されたのは、戦略的な価値がなくなった後のことでした。ペルーでも、CIAから年間100万ドルの支援を受けていた情報機関トップのモンテシノス氏が、裏では麻薬王から賄賂を受け取り、保護料を徴収していました。

さらに衝撃的なのは、コロンビアの元大統領アルバロ・ウリベ氏のケースです。彼はワシントンの最も忠実な同盟者として巨額の支援を受けましたが、米機密文書によれば、大統領就任前からメデジン・カルテルのパブロ・エスコバルと親交があり、「有力な麻薬密売人」のリストに名を連ねていました。そして現在、最も露骨な事例として挙げられているのが、エクアドルのダニエル・ノボア大統領です。2025年に発覚した調査報道によれば、彼の家族が経営するバナナ輸出会社から、過去数年間にわたり合計700キロ以上のコカインが発見されていました。警察の報告書は「大統領一家の会社」であることを理由に隠蔽されました。

このように、米国は表向きには「麻薬撲滅」を叫び、軍事支援を行っていますが、そのパートナーたちが麻薬密売そのものを主導している現実を意図的に無視し続けています。マルコ・ルビオ国務長官はノボア大統領との「強固なパートナーシップ」を称賛し、一家の密売疑惑には一切触れていません。

2026-02-11

テック依存の落とし穴

One Glitch Away From Chaos (It’s scary how fragile the human existence is) – Preppgroup [LINK]

【海外記事紹介】月曜日の朝、アラームが鳴らず、スマートスピーカーは沈黙し、銀行アプリも開かない。そんな光景から始まるこの記事は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)で発生した大規模なシステム障害を切り口に、私たちの日常生活がいかに危うい基盤の上に成り立っているかを鋭く告発しています。世界中のクラウド市場の約3割を支配するアマゾンの一拠点でのトラブルが、SNSや動画サイトだけでなく、航空機のチェックイン、銀行決済、さらには自宅のスマートロックや防犯カメラまでを麻痺させました。著者は、これを単なる「一時的な不具合」ではなく、テクノロジーに依存しすぎた現代社会への深刻な警告であると捉えています。

現在、インターネットのインフラの約7割を、アマゾン、グーグル、マイクロソフトのわずか3社が支配しています。私たちは「クラウド」という言葉を、データがどこか魔法のような安全な場所に保管されているかのように捉えがちですが、実態は「他人の倉庫にあるコンピュータ」に過ぎません。その倉庫が闇に包まれれば、私たちの生活も同時に停止します。支払いやドアの解錠といった日常の基本的な動作までもが、一企業のミス一つで左右される現状は、進歩という名の「依存」に他なりません。著者は、デジタル化が進むほど、私たちは「所有」を失い、企業の「許可」を得て生活している状態に陥っていると指摘します。

さらに恐ろしいのは、これが「事故」ではなく「意図的」に引き起こされる可能性です。中央銀行デジタル通貨(CBDC)などが導入され、完全なキャッシュレス社会になった時、システムを遮断されることは、社会的な死を意味します。著者は、今回のような障害を、将来起こりうる組織的なサイバー攻撃や管理社会による強制停止の「リハーサル」だと警告しています。デジタルという「鎖」が断ち切られたとき、社会はパニックと混乱に陥るでしょう。

こうした危機を前に、著者は「インターネットが存在しないかのように備える」ことを提唱しています。手元に現金を残し、オフラインでも動く機器を使い、重要な情報は紙に印刷して保管すること。そして、システムが機能しなくなったときでも助け合える地域のネットワークを築くこと。利便性の裏側に潜む脆弱性を直視し、システムが「一時的」ではなく「永久」に停止する前に、自立した生活基盤を整えるべきだというメッセージは、デジタル化を急ぐ私たち日本人にこそ重く響くはずです。

大企業はヒーローか悪党か

Big Business: Hero, Villain, Or Both? | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事紹介】この記事の著者は、「大企業はヒーローか、それとも悪党か」という問いに対し、自由主義経済の歴史的な議論を引き合いに出しながら、多角的な視点を紹介しています。

まず紹介されるのは、20世紀の思想家アイン・ランドの視点です。彼女は1961年に、アメリカの驚異的な工業発展を支えた実業家たちを「アメリカで最も迫害されている少数派」と呼びました。人類史上かつてない生産性を発揮し、人々の生活を豊かにした英雄であるにもかかわらず、知的階級や官僚からは「強欲な搾取者」としてスケープゴートにされているという主張です。彼女の目には、大企業は消費者への貢献の結果として成功したにもかかわらず、不当に疎まれる悲劇のヒーローとして映っていました。

一方で、経済学者のマレー・ロスバードやミルトン・フリードマンは、これとは対照的な「悪党」としての側面を指摘します。ロスバードは、大企業こそが国家と結託して自由経済を破壊してきた主犯であると論じました。彼らの多くは、政府に働きかけて補助金や独占権、有利な規制といった特権を引き出し、競合他社を排除することで、一般市民の犠牲の上に利益を得ようとする「重商主義者」だというのです。フリードマンもまた、「多くの実業家は自由市場の敵である」と述べ、市場が本来持つ抑制機能を政府を利用して回避しようとする大企業の性質を批判しました。

著者は、これら二つの視点は決して相容れないものではないと結論づけています。アイン・ランドが説いた「自由な市場で価値を生み出し、成功を収める企業」としての理想像は称賛に値します。一方で、ロスバードらが批判した「政治と癒着して不当な特権をむさぼる実業家」の実態には、軽蔑の目を向けるべきです。現代の私たちに求められるのは、大企業を盲目的に敵視したり崇拝したりすることではありません。相手が「利益を上げること自体が邪悪だ」と言うならランドの論理で起業家を擁護し、相手が「企業と政府の癒着」を嘆くならフリードマンの論理で自由市場による解決を説く。状況に応じて、ビジネスの「正の側面」と「負の側面」を冷静に見極めるバランス感覚が必要なのです。

世界経済フォーラムとエプスタイン氏

The WEF Is Being 'Epsteined' - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】世界経済フォーラム(WEF)の現職CEO、ボルゲ・ブレンデ氏が、故ジェフリー・エプスタインとの深い関わりを指摘され、組織が「崩壊」の危機に瀕しているという驚くべきニュースをお伝えします。米司法省が先日、エプスタインに関連する約350万ページに及ぶ膨大な記録を公開したことで、事態は急展開を迎えました。その記録には、WEFのリーダーであるブレンデ氏の名前が頻繁に登場し、彼がこれまで主張してきた「エプスタインとは一度夕食を共にしただけ」という釈明が事実と異なることを裏付ける証拠が示されています。

実際には、ブレンデ氏とエプスタインの間で2018年から2019年にかけて少なくとも27通のメッセージが交わされ、エプスタインの自宅で3回の個別夕食会が行われていたことが判明しました。これを受け、WEF理事会はブレンデ氏に対する外部機関による独立調査を開始。内部では、前会長のクラウス・シュワブ氏がスキャンダルによって事実上の更迭に追い込まれたのに続き、現トップも不名誉な形で去ることになるのではないかとの懸念が広がっています。

この記事の著者は、WEFの背後で実権を握っているのは、世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOであると指摘します。ブラックロックはWEFの最大の資金源であり、軍需、金融、ハイテク、製薬といった主要産業を牛耳る存在です。著者の推測によれば、フィンク氏はWEFのイメージを刷新するために、エプスタインとの汚点を持つブレンデ氏を排除しようと、自身が影響力を持つメディアを通じてこの情報を意図的に流した可能性があるというのです。

さらに深刻なのは、エプスタインの背後にいたのがイスラエルのモサドなどの諜報機関であり、彼らが世界の指導者や富豪たちを性的なスキャンダルで「恐喝」し、支配下に置いてきたという構図です。各国の王室や大統領、首相までもがこの「エプスタイン・ゲーム」に加担していたとすれば、このスキャンダルの連鎖は、現在の世界秩序そのものをドミノ倒しのように崩壊させる破壊力を持っています。

著者は、この混沌はエリート層による支配構造が終わりを迎える予兆であると述べ、私たち市民が良心と共感に基づいた新たな文明を築くチャンスであると呼びかけています。

レガシーメディアの崩壊

Washington Post Axes One‑third of Staff as Legacy Media Collapse Continues - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカを代表する名門紙「ワシントン・ポスト」が、全従業員の3割にあたる約300名の記者を解雇するという衝撃的なニュースが入ってきました。これは単なる一企業のリストラではなく、かつて世論を支配した「レガシーメディア」の崩壊が決定的な段階に入ったことを象徴しています。同紙のマット・マレー編集局長は、長年にわたる巨額の赤字と、読者のニーズに応えられていない現状を認めました。特に注目すべきは、同紙が特定の政治的思想に偏りすぎ、一部の読者層に向けてしか記事を書いてこなかったことが経営悪化の要因であると示唆した点です。

ワシントン・ポストは現在、深刻なジレンマに直面しています。オーナーである億万長者のジェフ・ベゾス氏は、中立性を高めることで購読者を広げようと画策し、大統領選での特定候補への支持表明を中止させました。しかし、この方針転換は長年のリベラルな支持層を怒らせて数万人の解約を招く一方で、保守層からの信頼を勝ち取るまでには至っていません。世論調査によれば、新聞やテレビなどの既成メディアを信頼しているアメリカ人はわずか28%と過去最低を記録しています。特に若年層のメディア離れは顕著で、情報の主役はSNSや個人ポッドキャストへと完全に移り変わりました。かつて情報の「門番」だったメディアの権力は、情報の民主化によって崩壊したのです。

記事の著者はさらに踏み込み、ワシントン・ポストを「統治階級の広報機関」であると厳しく批判しています。1950年代から続くCIAのメディア操作計画「プロジェクト・モッキンバード」を引き合いに出し、同紙を含む主要メディアの幹部たちが、外交問題評議会(CFR)のようなエリート組織のメンバーとして、政府と一体となって世論を形成してきた歴史を指摘します。記者たちは単に政策を報じるだけでなく、支配階級の一員として政策そのものを作ってきたというのです。

レガシーメディアの衰退は、情報の透明性や自由を重んじる人々にとっては歓迎すべき事態かもしれません。しかし、著者は「ディープステート(闇の政府)」がこのまま黙って権力を手放すことはないと警告しています。彼らはSNSへの検閲圧力を強め、インフルエンサーを雇い、ボットを使って偽の世論を捏造するなど、新たな戦場での情報戦を仕掛けてくるでしょう。メディアの形が変わっても、真実を巡る戦いはむしろ激しさを増しているようです。

破壊と復興のマッチポンプ

Trump’s Keynesian Plan for Ukraine | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカのトランプ政権がウクライナの復興に向けて打ち出した「繁栄計画」の実態について、鋭い批判を展開する記事をご紹介します。現在、ウクライナとアメリカは、ダボス会議において約10年で8000億ドル、日本円にして約120兆円という巨額の資金を投じて国を再建する「繁栄協定」の署名を計画しています。ウクライナのゼレンスキー大統領は、この計画が経済を回復させ、雇用を創出し、ウクライナに活気を取り戻すと強調しています。しかし、この記事の著者は、この計画をトランプ大統領による「ケインズ主義的」な手法であり、政財界が癒着した「縁故資本主義」の典型であると厳しく断じています。

なぜケインズ主義的なのか。それは、穴を掘って埋めるような無意味な公共事業が富を生むと説く、経済学者ケインズの理論をなぞっているからです。著者は、アメリカ政府がNATOを通じてロシアを刺激し、戦争を引き起こしてウクライナを破壊しておきながら、今度は多額の税金を使って復興させようとするのは、壊れた窓を修理して経済が潤うと錯覚するようなものだと指摘します。もしゼレンスキー氏が本当に経済や雇用を心配していたのであれば、そもそもNATOの傀儡となって戦争を始めるべきではありませんでした。戦争がなければ、若者たちの命やインフラ、人的資本が失われることはなく、復興のための巨額資金も不要だったはずです。一度失われた数百万人の命は、どんな復興計画でも取り戻すことはできません。

さらに記事が問題視しているのは、世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク氏が「繁栄アドバイザー」としてトランプ氏のチームに加わったことです。ブラックロックは、ロッキード・マーティンやボーイングといった名だたる防衛産業の主要株主であり、武器を売って利益を得る一方で、破壊された国を直してさらに儲けようとしています。これはまさに、特定の企業が政府と結託して国民の税金を吸い上げる構造です。戦争で武器を売り、復興で投資機会を得る。これこそが、自ら溝を掘って自ら埋めるという「死の商人」によるマッチポンプの構図だと著者は非難しています。就任時にすべての戦争を終わらせ、ワシントンの腐敗を一掃すると約束したトランプ氏ですが、現実は既得権益の「泥沼」に飲み込まれ、新たな利権構造を作り上げているのではないかという、厳しい警告を含んだ内容です。

借金まみれのクリスマス

Americans Borrowed A Lot to Pay for Christmas 2025 [LINK]

【海外記事紹介】2025年のクリスマス、多くのアメリカ人がクレジットカードという「魔法のカード」を使って祝宴をあげましたが、その後の家計には厳しい現実が突きつけられています。連邦準備理事会(FRB)の最新のデータによると、12月の消費者信用残高は予想外に急増し、前月比240億ドル増(年率5.7%増)を記録しました。これは2025年全体の平均伸び率の2倍以上に相当します。米国民が抱える消費者債務(カード、学生・自動車ローン等)はついに5.11兆ドルに達し、住宅ローンを含めた家計債務全体では18.59兆ドルという過去最高額を更新しています。

この「クリスマス・ラッシュ」は、実は不吉な予兆かもしれません。2025年後半、インフレと貯蓄の枯渇により消費者の借り入れ意欲は大幅に減退していましたが、12月だけは「最後の一振り」のようにクレジットカード(リボルビング債務)の利用が跳ね上がりました。マイク・マハリー氏は、これを「健康的な消費」ではなく、限界に近い家計が無理をして捻出した「借金まみれの祝祭」であると分析しています。実際、年収下位80%の世帯では消費が停滞し、一部の富裕層が消費全体を牽引する「K字型」の格差が鮮明になっています。

家計をさらに追い詰めているのが、高止まりする金利です。FRBによる利下げ期待とは裏腹に、クレジットカードの平均年利は19.61%と極めて高く、一部では30%近いケースも見られます。その結果、延滞率も悪化の一途をたどっています。

クレジットカードは、信用スコアが高い層(プライム層)でさえ、支払い遅延が前年比で47%も増加しています。学生ローンは、支払い猶予期間が終了した影響で、深刻な延滞(90日以上)への移行率が2000年の統計開始以来、最速のペースで急上昇しています。

リーガルシールド社の「消費者ストレス指数」は、コロナ・パンデミック初期の2020年3月以来の最高水準を記録しており、破産に関する相談も急増しています。マハリー氏は、パンデミック時の蓄えを使い果たし、カードの限度額まで使い切ったアメリカ人にとって、今回のクリスマス商戦は「最後のガス欠前の加速」だったのではないかと警鐘を鳴らしています。

政府は金取引に介入するな

South Dakota Lawmakers Vote To Kill Government “Transactional Gold” Boondoggle [LINK]

【海外記事紹介】米国サウスダコタ州議会において、州政府が主導する「取引型ゴールド(決済用金)」の導入法案が否決されたというニュースをお伝えします。この法案は、州政府が公認の貴金属保管庫を設置、あるいは特定の民間業者を指名し、金や銀を用いた電子決済システムを構築・運営するというものでした。一見すると、インフレ対策や通貨の多様化を求める健全な貨幣運動の一環のようにも見えますが、サウスダコタ州の銀行協会や商工会議所、そして健全な貨幣制度を推進する有力団体「健全な貨幣防衛連盟」までもが、この法案を「官民癒着による無駄な事業」として激しく批判し、反対票を投じる結果となりました。

反対派が懸念したのは、すでに民間市場で自由に行われている金・銀の売買や貯蔵、決済サービスに州政府が不必要に介入し、特定の業者を「お墨付き」にすることで自由競争を阻害する点です。法案を後押ししていたのは、政府の権威を背景に集客を狙う決済アプリ業者などの特定ベンダーであり、彼らは「州公認の業者を使わなければ金が没収される」といった、消費者の不安を煽る不適切なマーケティングを行っていたとも指摘されています。また、この法案が通れば、町中の小さなコインショップまでが銀行並みの厳格なライセンス登録を義務付けられ、膨大な事務負担と規制にさらされるリスクがありました。議員たちは、「国民は政府に自分の金(ゴールド)を管理されることを望んでいない」という、草の根の声に耳を傾けたのです。

サウスダコタ州は、もともと貴金属への課税や規制が少ないことで「健全な貨幣指標」において全米4位という高い評価を得ています。今回の否決は、政府が新たな仕組みを「作る」ことよりも、既存の規制を取り払い、自由な取引を維持することこそが真の健全な貨幣政策であるという判断を下したことを意味します。健全な貨幣防衛連盟のJP・コルテス執行理事は、州がすべきなのは決済ビジネスへの介入ではなく、中央銀行と同様に「州の予備費として金を保有し、財政の健全性を高めることだ」と提言しています。

ドイツが米国から金を取り戻す日

Germany Wants Its Gold Back (Again) - The Daily Reckoning [LINK]

【海外記事紹介】ドイツが誇る3350トンという世界第2位の金準備を巡り、米国に預けている分を「今すぐ本国へ戻すべきだ」という議論が再燃している状況をお伝えします。現在、ドイツはその保有量の約37%、時価にして約1700億ドル相当(2026年時点の金価格高騰下ではさらに高額)をニューヨーク連邦準備銀行の地下金庫に保管しています。この体制は、冷戦期にソ連の戦車部隊が西ドイツへ侵攻するリスクに備えた「安全保障上の避難」として始まりました。しかし、トランプ政権の再来による大西洋両岸関係の変化や、グリーンランド買収提案に代表される予測不能な外交姿勢を背景に、ドイツ国内では「もはや米国は信頼できる保管先ではない」との危機感が主流の議論に浮上しています。

かつて、ドイツ連邦銀行の監査官がニューヨークの金庫を視察しようとした際、入り口の控え室までしか入れなかったり、報告書の重要部分が黒塗りにされたりといった不透明な対応が、疑惑を深める要因となってきました。これに対し、元連邦銀行調査部長のエマニュエル・メンシュ氏ら有力な経済学者は、戦略的自立のために金の帰還を提言しています。さらに、欧州議会議員のマルクス・ファーバー氏のように、ドイツの当局者が自ら金塊を数え、詳細に記録する「実地監査」を定期的に行うよう求める声も強まっています。一方で、連邦銀行のヨアヒム・ナーゲル総裁は「連銀は信頼できるパートナーだ」として静観の構えを見せていますが、与党内からも「金準備が地政学的な人質にされるべきではない」との主張が出ており、足元は揺らいでいます。

米国側でもトランプ大統領やイーロン・マスク氏が政府効率化の一環として、長年行われていないフォートノックス等の金準備の全面監査を示唆しており、これが「実は金はもう存在しないのではないか」という長年の疑惑を刺激する形となっています。もし監査や返還要求の結果、実際に金塊が不足しているような事態が判明すれば、それは今世紀最大の金融スキャンダルとなり、ドルへの信頼を根底から破壊しかねません。貿易摩擦や同盟関係の亀裂が深まる中、ドイツが「自分の財布を自分の手元に置く」という極めて当たり前の要求を突きつける日は、そう遠くないかもしれません。それは、戦後の信頼に基づいた国際金融秩序が「新しい現実」へ移行する決定的な瞬間となるでしょう。

米財政、新たな危険水域に

US Government Adds $481B in Debt in 3 months | SchiffGold [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの財政状況が、もはや「持続不可能」という言葉すら生ぬるいほどの、壊滅的な「列車事故」に向かっているという警告記事をご紹介します。2026年に入り、米政府の債務問題は新たな危険水域に突入しました。2025年1月に債務上限に達して以降、一時的に借り入れが制限されていましたが、制限解除後のわずか7カ月間で約2兆2800億ドルもの巨額資金が市場から吸い上げられました。現在、年間2兆ドル以上のペースで借金が増え続けることが「新しい常識」となっており、このままでは4年ごとに10兆ドルの負債が積み上がっていく計算です。

さらに深刻なのは、借金の「質」の悪化です。債務の平均満期は5.8年まで短縮しており、これは政府がより頻繁に借金を借り換え(ロールオーバー)しなければならないことを意味します。特に2026年には、前年より6000億ドルも多い債務の借り換えが控えており、市場の消化能力が追いつかなくなるリスクを孕んでいます。そして、ついに恐れていた事態が現実となりました。政府が支払う利息負担だけで、年間1兆ドルという途方もない大台を突破したのです。これはもはや、2021年頃まで語られていた「負担可能な債務」という概念を完全に置き去りにし、国家財政から現金が激しく流出し続けている異常事態です。

市場では、トランプ大統領に指名された次期FRB(連邦準備理事会)議長のケビン・ウォーシュ氏の手腕に注目が集まっています。彼は短期金利を引き下げる一方で、FRBの保有資産を圧縮して長期金利への抑制を外す「イールドカーブの急勾配化」を容認する姿勢を見せています。しかし、債務が中長期の国債に集中している現状では、この政策は将来の利息支払いをさらに膨らませる「諸刃の剣」となります。

この記事は、現在の財政状況を「数十年間にわたって時を刻んできた時限爆弾がついに爆発した」と表現しています。金や銀の価格高騰は、この財政破綻への不安心理を如実に反映しています。最終的に、FRBは再び長期国債を買い支える量的緩和(QE)に手を染めざるを得なくなり、それが米ドルの信頼をさらに失墜させるという、出口のない悪循環が予見されています。米国債を世界で最も保有する私たち日本人にとっても、対岸の火事では済まされない、極めて切迫した報告と言えるでしょう。

アメリカファーストの死

The death of 'America First' | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事紹介】トランプ大統領が掲げた「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」というスローガンが、今やタカ派の介入主義者たちによって完全に書き換えられ、形骸化してしまったという衝撃的な論考をご紹介します。2016年当時、トランプ氏のこの言葉は、ブッシュ政権以来の泥沼の戦争に疲弊した有権者に対し、「不必要な海外介入を控える」という平和への約束として響きました。かつての共和党主流派であるネオコン(新保守主義者)たちの好戦的な姿勢とは一線を画し、米国の国益を最優先して深入りを避ける「自制の外交」を期待させるものだったのです。しかし、この記事の著者は、現在のトランプ政権周辺で起きている現実は、その当初の理念とは真逆の方向へ進んでいると告発しています。

かつてトランプ氏を批判していたタカ派の政治家たちが、今では「アメリカ・ファースト」という看板を掲げながら、かつて以上の介入主義を正当化しています。マルコ・ルビオ国務長官は、ベネズエラでの政権交代やイランへの軍事的威圧、さらにはグリーンランドの買収提案までもが「米国第一」だと主張しています。バンス副大統領もイランへの爆撃の可能性を示唆し、ヘグセス国防長官はイランの核施設への攻撃を「力による平和であり、米国第一の体現だ」と称賛しました。著者は、こうした言説を「言葉の乗っ取り」であると断じています。本来、自国の若者の血を流さないためのスローガンだったはずが、今や特定の国への攻撃や他国の内政干渉を正当化するための便利な「ステッカー」に成り下がってしまったというわけです。

さらに深刻なのは、トランプ氏本人の変節です。かつて彼を支持したマジョリー・テイラー・グリーンやトーマス・マッシー、ランド・ポールといった反介入主義的な政治家たちは遠ざけられ、代わりに好戦的なリンゼイ・グラハム議員らがトランプ氏の側近として返り咲いています。トランプ氏は「この言葉を作ったのは自分であり、その定義を決めるのも自分だ」と豪語していますが、その実態はかつてのネオコン的な外交政策への回帰に他なりません。著者は、もはや「アメリカ・ファースト」という言葉は中身を失い、死に体だと嘆きます。かつて多くの人々が期待した「終わりのない戦争の終結」という夢は、権力者たちの手によって無残にも打ち砕かれ、再び米国は世界各地での紛争へと足を踏み入れようとしているのです。

教育の主権を家庭に取り戻せ

Republicans Save the Department of Education - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの著名な自由主義政治家、ロン・ポール氏は、トランプ大統領と共和党が教育省の廃止という公約を事実上放棄した現状を、鋭い論調で批判しています。トランプ大統領は2024年の選挙戦中、1979年の設立以来、巨額の予算を投じながら学力低下を招いてきた教育省を閉鎖すると公言していました。2025年3月には省の廃止を求める大統領令に署名し、リンダ・マクマホン教育長官のもと、初等・中等教育プログラムを労働省へ移管するなどの解体作業に着手したかのように見えました。しかし、ポール氏によれば、先日トランプ大統領が署名した2026会計年度の歳出法案は、教育省を「救済」する内容となっているのです。共和党が多数派を占める上下両院で可決されたこの法案には、教育省に対して法定責任を果たすための人員維持を義務付け、他省庁への資金移管を禁止する条項が含まれています。

さらに驚くべきことに、この法案は教育省の予算を増額しています。ポール氏は、連邦債務が年間数兆ドル単位で膨れ上がる中で、憲法上の根拠を欠く閣僚部門の予算を増やすことは、極めて誤った判断だと断じています。もし教育省の完全な廃止が政治的に困難であるなら、少なくとも予算を削減すべきでしたが、現実には逆の方向に進んでいるというわけです。ポール氏は、教育省を本当に廃止するためには、不適切な教育システムに巨額の血税を投じることに憤る国民が、教育の管理権を州や地方、そして親の手へと取り戻すよう、議員たちに絶え間ない圧力をかけ続ける必要があると説いています。

こうした中央集権的な動きに対し、ポール氏は希望の光として、親が子供の教育をコントロールできる「教育貯蓄口座」や、私立学校、ホームスクーリングといった代替案の人気が高まっていることを挙げています。法案には私立学校の授業料やホームスクーリング費用に対する税額控除も盛り込まれており、これが既存の公教育に代わる選択肢を後押ししています。ポール氏は自身のオンライン・カリキュラムを例に、批判的思考力や企業家精神を育む教育の重要性を強調し、自由主義の理念に基づいた真の教育こそが、政治的なしつけに代わるべきだと主張しています。単なる行政機構の組み換えではなく、教育の主権を家庭に取り戻すことこそが、アメリカが直面する教育危機の唯一の解決策であるという、厳しい現実認識に基づいた提言となっています。

バブル景気から逃れられない理由

In Support of the Austrian Business Cycle Theory | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】今回は「オーストリア学派」の経済循環理論をめぐる、現代的な議論について紹介します。この理論は、中央銀行がインフレ的な信用拡大を通じて金利を人為的に引き下げると、本来なら不採算であるはずの事業に資金が流れ、資源の誤配置が起きると主張します。これが経済の「ブーム」を生みますが、やがて消費者の実情に合わないことが露呈し、中央銀行が引き締めに転じると、反動として「バスト(崩壊)」が訪れます。つまり、中央銀行の金融緩和こそが景気循環の罠を仕掛けているという考え方です。しかし、これには批判もあります。批判者は、経営者が経験から学習する存在であるなら、中央銀行の罠に何度もかかると考えるのは不自然だと主張します。賢明な経営者なら、中央銀行が後で金利を上げることを予測し、目先の低金利に惑わされず行動することで、景気循環そのものを無力化できるはずだというのです。

これに対し、この記事の著者は反論を展開しています。景気循環の本質は単なる金利の上下ではなく、通貨供給量の変化が引き起こす「無から有を交換する」という実体経済への実害にあるからです。中央銀行が貨幣を増やすと、その新しい資金を手にした人々へと、富を生み出す人々から資源が強制的に移転されます。このプロセスが始まってしまうと、経営者がどれほど将来を予測していても、景気循環の波を止めることはできません。また、通貨供給の変化が経済に影響を及ぼすまでのタイムラグは一定ではなく、予測は極めて困難です。さらに重要なのは、個々の経営者の立場です。例えば、建設業者が「この住宅需要は金融緩和による一時的なものだ」と見抜いていても、現実に目の前に需要がある以上、それに応えなければ即座に市場から脱落してしまいます。経営者には、その波に乗るか、ビジネスを辞めるかという選択肢しかありません。

結局のところ、中央銀行が緩和的な姿勢をとった時点で、経済の実害はすでに始まっており、人々の期待や予測によってその帰結を回避することは不可能なのです。この記事は、個人の賢明な判断だけでは防げない構造的な問題が中央銀行制度には内包されていることを、改めて浮き彫りにしています。著者が強調するように、景気循環という破壊的なサイクルの責任は、学習しない経営者にあるのではなく、そもそもその罠を仕掛け続けている中央銀行の側にこそあると言えるのです。

国民を分断する政府の戦略

Stop Fighting Your Neighbor: The Mechanics of State Power and How to Opt Out | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの論壇から、国家権力がどのようにして国民を分断し、自らの支配を正当化しているのかを鋭く分析した論考をご紹介します。私たちは危機のたびに政治や文化の対立によって敵味方に分かれ、隣人と争わされますが、著者はこれこそが権力の思うツボだと指摘します。国民が互いに争うことで注意が逸らされている間に、官僚機構は拡大し、監視や統制の仕組みが静かに強化されていくのです。国家というシステムは、その支配を維持するために、わざと内部に敵を作り出し、国民を「保護」に依存させ続ける必要があるという冷徹な視点が示されています。

この記事の著者は、人為的な危機の構築についても言及しています。インフレによって通貨の価値を下げ、複雑な規制で自由な経済活動を妨げることで、人々は将来に不安を感じ、確実性を約束してくれる「派閥」へと逃げ込みます。私たちが旗印やスローガンを掲げて隣人と罵り合っている隙に、中央銀行は預金を削り取り、利権団体は独占を固めています。著者は、こうした状況を「寄生虫」に例えています。宿主である国民を生かさず殺さず、流血に気づかないほど混乱させて搾取し続けるのが、生産性を持たないシステムの生存戦略だというわけです。

文明の基礎は、互いの自己所有権を認め合い、双方が利益を得る「自発的な交換」にあります。しかし、国家が育む「永久的な戦争心理」は、この相互尊重を破壊します。隣人は交換のパートナーではなく、打ち負かすべき敵へと変貌させられます。著者は、この分断こそが政治権力を制限できる唯一の力である「自由な結びつき」を奪う手段だと警告します。インフレを止められず、まともなサービスを提供できなくなった権力は、もはや恐怖と強制、そして絶え間ない「緊急事態」の演出でしか自らを維持できなくなっています。

では、私たちはどうすべきでしょうか。著者は、国家の仕組みを奪い取ろうとしたり、既存の政治勢力のどちらかを選んだりする「ゲーム」から降りることを提案しています。国家の許可を必要としない経済関係を築き、政府の通貨に頼らない取引や、独自の信頼ネットワークを構築する「カウンター・エコノミクス」の実践です。ビットコインでの決済や、握手で成立する信頼に基づいた取引、あるいは官僚を通さない相互扶助こそが、新しい世界への一票になると説いています。

2026-02-10

対イラン、米の理不尽な要求

Scott Horton Debunks Iran War Propaganda - The American Conservative [LINK]

【海外記事紹介】アメリカとイランの間で緊張が極限まで高まる中、対外干渉に反対するリバタリアンの論客、スコット・ホートン氏が、イラン核問題を巡る根深いプロパガンダの嘘を暴いています。2026年2月、トランプ政権はイランに対し、核開発の完全停止に加え、イスラエルに届くミサイルの全廃、さらには「代理勢力」への支援停止という、およそ受け入れ不可能な最後通牒を突きつけました。ホートン氏は、これこそが歴史上繰り返されてきた「拒絶させるための提案」であり、戦争を正当化するための口実作りに過ぎないと指摘します。

振り返れば、イランは1968年から核不拡散条約(NPT)の加盟国であり、国際原子力機関(IAEA)の厳格な査察を長年受け入れてきました。アメリカのタカ派は「イランの濃縮活動そのものが宣戦布告に等しい」と煽りますが、実際には核兵器開発の証拠は見つかっていません。かつて話題になった「秘密の核兵器計画」を示す証拠物件も、実際にはイスラエルによる捏造であったことが、後にIAEAやCIAによって確認されています。ホートン氏によれば、イランの指導部は核兵器そのものを作るのではなく、ブラジルや日本のように、いざとなれば核武装できる技術力を持つことで抑止力を図る「潜在的核保有状態」を目指してきたのです。

2015年の核合意(JCPOA)によって、イランは自ら厳しい制限を課し、平和利用を証明しようとしました。しかしトランプ政権がこの合意を一方的に破棄し、さらには昨年6月にイランの核施設を爆撃したことで、外交による解決は風前の灯火となっています。いまアメリカが求めている「ミサイルの廃棄」は、国家の主権と防衛能力を完全に放棄せよと迫るものであり、これを呑む国はどこにもありません。ホートン氏は、アメリカがイスラエルの意向を汲むあまり、不可能な要求を積み重ねてイランを窮地に追い込み、予測不能な大戦争のリスクを冒している現状に、強い危機感を表明しています。

欧州、言論弾圧で二重基準

Across the West, speaking for Palestine is now a crime | The Electronic Intifada [LINK]

【海外記事紹介】いま、欧米諸国で「パレスチナ支持」を訴えることが、事実上の犯罪として扱われ、言論の自由が危機に瀕しています。この記事の著者であるジャーナリストのアリ・アブニマ氏は、パレスチナでの出来事を告発するために訪れたスイスで、警察によって突如拘束され、国外追放処分を受けました。後に裁判所はこの拘束を憲法違反と認めましたが、アブニマ氏は、これが欧米全体で広がる「イスラエルの犯罪を告発する声を封じ込める組織的なキャンペーン」の一部であると警鐘を鳴らしています。

アメリカでは、コロンビア大学の抗議デモに関連して拘束されたパレスチナ人女性、レカ・コルディア氏の事例が衝撃を与えています。彼女は手続き上の不備を突かれ、劣悪な環境の施設に長期拘束されています。裁判所が釈放を命じても、当局は法の抜け穴を利用して拘束を続けており、司法すら機能不全に陥っています。また、パレスチナ擁護派の外国人学生や教職員を標的にした一斉検挙や強制送還も行われており、連邦裁判所からは「言論弾圧のための憲法違反の共謀」であるとの厳しい批判も出ています。

弾圧はヨーロッパでも深刻です。フランスでは、イスラエル軍兵士を「大量虐殺者」と呼んだ女性が懲役刑を言い渡されました。ドイツではパレスチナ連帯のデモが暴力的に抑制され、イギリスではジェノサイド反対のプラカードを掲げただけで逮捕される一方で、虐殺を支持するプラカードは容認されるという、二重基準が常態化しています。さらに、親イスラエル派の億万長者によるTikTokの買収など、SNS上の検閲体制も強化されつつあります。

民主主義や言論の自由を至高の価値と謳う欧米諸国が、特定の国家を擁護するために自らの理念を犠牲にし、反対の声を上げる市民を犯罪者として追い詰めている――。この記事は、私たちが信じている「自由な社会」が、いかに容易に全体主義的な監視社会へと変貌しうるかという冷酷な現実を、具体的な被害者の声とともに突きつけています。

銃の権利、共和党の裏切り

Trump’s Assault on Our Right to Keep and Bear Arms - LewRockwell [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの保守層を長年支えてきた「銃の権利」という大原則が、いまトランプ政権下で揺らいでいます。2026年2月、ワシントンD.C.の連邦検察官が「銃を市内に持ち込む者は、他州の免許があろうと逮捕する」と断言したことに端を発し、トランプ大統領本人もこれに同調する構えを見せました。事の起こりは先月、ミネアポリスの抗議デモで、合法的に銃を携行していたアレックス・プレッティ氏が連邦入国税関捜査局(ICE)の捜査官に射殺された事件です。トランプ氏は「銃を、しかも予備の弾倉まで持っていたのは良くないことだ」と被害者を非難し、さらにはFBI長官も「デモに銃を持ち込むことは許されない」と公言しました。

これは、これまでの共和党の立場からすれば驚くべき「変節」です。銃所有の自由を訴える団体や一部の共和党議員からは、「政府の暴政に立ち向かうための憲法修正第2条を、左派系のデモ参加者が行使した途端に見捨てるのか」という激しい怒りの声が上がっています。民主党議員からも「オバマが銃を奪いに来ると騒いでいた連中が、実はトランプ政権に銃を奪われようとしている」と皮肉られる始末です。トランプ政権のこうした姿勢は、単なる気まぐれではなく、国家の本質を突いていると言えるでしょう。20世紀の思想家マレー・ロスバードが説いたように、国家とは暴力の使用を独占しようとする組織であり、たとえ憲法に制限があろうとも、権力者は常にその制限を突破して支配を強めようとするものです。

アメリカ革命の火種となったのは、イギリス軍が植民地人の銃を没収しようとしたことでした。建国の父たちが憲法に銃の権利を刻んだのは、武装した市民こそが自由を守る最後の砦だと信じていたからです。しかし現在の政権は、法執行機関による「市民への処刑」を正当化するために、合法的な銃携行すら犯罪視しようとしています。歴史学者の視点で見れば、これはイデオロギーの問題ではなく、国家権力による個人の権利への侵害に他なりません。私たちは、政治的な立場にかかわらず、この「武装する権利」への攻撃に対して警戒を強める必要があります。

歴史は算術ではない

History Is Not a Mathematical Calculation | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】歴史とは、単なる数学的な計算や科学実験のようなものではなく、常に新しい発見に満ちた壮大な人間ドラマである――。歴史家クライド・ウィルソンのこの言葉は、私たちが過去をどう捉えるべきかについて、非常に重要な示唆を与えてくれます。昨今のアカデミズムでは、歴史を数値化しようとする動きが目立ちます。例えば、アメリカ南北戦争の原因を探るために、当時の宣言書に含まれる「奴隷制」という単語の出現回数を数え、その割合を円グラフにするような手法です。しかし、こうした「科学主義」的なアプローチは、歴史の真実を見誤らせる恐れがあります。特定の言葉が何度使われたかというデータだけでは、当時の人々が何を重んじ、どのような動機で行動したのかという、事件の背後にある「意味」を説明することはできないからです。

経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスは、歴史を理解するためには、個々の人間が何を望み、どのような価値観を持って決断を下したのかを探る「サイモロジー(心理学的歴史理解)」が不可欠だと説きました。歴史とは事実の羅列ではなく、人間の経験そのものです。単に事実を並べるだけでは、意図的に特定の事実だけを抜き出し、誤った物語を捏造することも容易になってしまいます。歴史を学ぶ真の目的は、誰が正しかったかを裁くことではなく、「何が、なぜ起きたのか」を解明することにあります。そのためには、数値を追うのではなく、当時の指導者や市民が遺した日記、手紙、あるいは地域に伝わる記憶に耳を傾ける必要があります。

例えば、かつての南部社会には「富裕な農場主」と「貧しい白人」しかいなかったという説が一般的でしたが、歴史家のフランク・オウスリーは、実際にはそのどちらにも属さない独立自営農民が多数派であったことを、当時の生活の実感や記憶を辿ることで明らかにしました。統計データや紋切り型の階級闘争論だけでは、こうした歴史の「手触り」や「質感」は消し去られてしまいます。大学の権威が認めた論文だけでなく、当事者たちの物語を幅広く参照して初めて、私たちは過去の過ちから真に学ぶことができるのです。歴史をイデオロギー的なスローガンとしてではなく、人間理解のための「物語」として捉え直す姿勢が、今こそ求められています。

ブラジル、偽りの市場経済

Brazil’s Social Function Trap: When Property Becomes Conditional, Markets Become Political | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】ブラジルは、民主主義と市場経済を兼ね備えた国として知られています。しかし、そこで暮らす人々の実感は少し異なります。所有権という、市場経済の根幹をなす権利が、実は非常に不安定な状態にあるからです。経済の自由を重視する視点から書かれた今回の記事は、ブラジルにおける「所有権の罠」について鋭く分析しています。

ブラジル憲法は所有権を保障していますが、同時に「所有権は社会的機能を果たさなければならない」という条件を付けています。一見すると、社会貢献を促す耳ざわりの良い言葉のようですが、ここが落とし穴です。「平和的に取得したから自分のものだ」という理屈ではなく、「国家が社会的に有益だと認める限りにおいて、あなたの所有を認める」という論理にすり替わってしまうのです。この「社会的機能」の定義は時の政府や政治状況によっていくらでも伸縮するため、私有財産は常に、政治的な介入というリスクにさらされることになります。

例えば、都市開発や公共事業の名目で行われる「収用」が挙げられます。所有者が拒否しても、国家は「公共の利益」を掲げて強制的に進めることができます。争点は「収用できるか」ではなく「いくら支払われるか」という手続き上の問題に矮小化され、長年築いてきた商売のネットワークや地域の信頼といった、金銭に換算しにくい価値は無視されがちです。

経済とは、数百万の人々が自由な選択と拒否を繰り返す中で成り立つプロセスです。国家が「公共の利益」を理由に個人の計画を上書きしてしまうと、市場が本来持っている「何が本当に必要か」を発見する機能が失われます。結果として、人々は長期的な投資を避け、手っ取り早い利益だけを追い求めるようになります。

記事の著者は、ブラジルの現状を「偽装された社会主義」とまで呼んでいます。看板は私有財産を認める資本主義ですが、中身は国家がコントロールする体制です。大きな企業はロビー活動で身を守れますが、小さな商店や個人はリスクを直接背負わされます。

結局、ブラジルの経済停滞は、才能の欠如ではなくインセンティブの欠如によるものです。所有権が国家に対する明確な境界線として機能しない限り、真の繁栄は訪れません。ブラジルに必要なのは、新たな公約ではなく、所有権を「正当化の不要な絶対的権利」として回復させることだと、この記事は締めくくっています。

ディープステートと裏社会

Why the Deep State will always need the Underworld as an outsourcing partner. – Preppgroup [LINK]

【海外記事紹介】アメリカの政治評論家、ミラン・アダムス氏による論評は、私たちの社会の裏側に潜む「ディープステート(影の政府)」と「裏社会」の切っても切れない共生関係について、極めて刺激的な視点を提示しています。

物語の始まりは1982年、ロンドンの橋の下で遺体となって発見された「神の銀行家」ことロベルト・カルヴィ氏の事件です。彼はバチカン銀行とマフィア、そして「P2」と呼ばれる秘密結社の架け橋となっていましたが、最後は儀式的な手法で殺害されました。著者は、映画『ゴッドファーザー PART III』のクライマックスにもなったこの事件を単なる過去の惨劇ではなく、現実の世界がどのように動いているかを示す「予告」だったと指摘します。

私たちは通常、政府とマフィアは対立するものだと考えがちです。しかし、著者はこれらを「鏡合わせの存在」であると論じています。マフィアの組織構造は、責任の所在を曖昧にする現代の企業階層そのものであり、一方、諜報機関もまた、公にできない工作――例えば政変の資金調達や暗殺など――を遂行するために、裏社会の力を必要としてきました。これを著者は「ディープステートのアウトソーシング(外部委託)」と呼んでいます。

歴史を振り返れば、第二次世界大戦中の「オペレーション・アンダーワールド」で、米海軍が港湾の治安維持のためにマフィアのボスと手を組んだ例や、冷戦期にCIAがカストロ暗殺のためにギャングを雇った例など、官民の境界線が消滅した瞬間は多々あります。著者に言わせれば、表の権力が「清廉潔白」であるためには、汚れ仕事を引き受ける裏のパートナーが不可欠なのです。

現代において、この関係はさらに進化しています。かつてのような派手なギャングは姿を消しましたが、それは彼らが滅びたからではなく、デジタル化し、企業化したからです。巨大銀行による麻薬カルテルの資金洗浄や、暗号資産を利用した追跡不能な送金、さらにはエプスタイン事件に象徴されるような、権力者を操るための情報工作へと変貌を遂げました。

私たちが生きる現代社会は、表向きの法治国家としての顔の裏に、高度にシステム化された裏社会との共生関係を抱え込んでいる。この記事は、そのような戦慄すべき構造を浮き彫りにしています。