注目の投稿

「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-03-30

肥料不足と食料危機

Global Food Supply at Risk: The Silent Collapse Triggered by Fertilizer Shortages [LINK]

【海外記事より】現代の世界的な食料供給システムは、一見強固に見えますが、実は「肥料」という極めて脆弱な基盤の上に成り立っています。世界の食料生産の約50%が化学肥料に依存しており、その供給が滞れば、スーパーの棚の豊かさや価格の安定はまたたく間に崩壊してしまいます。2026年、中東での紛争激化はこの脆弱性を浮き彫りにしました。世界の尿素輸出の約50%が通過するホルムズ海峡が物流のボトルネックとなり、タンカーの通航量が激減したことで、尿素価格は紛争前と比較して47%以上も急騰しています。

肥料危機の深刻さは、エネルギー価格との密接な連動にあります。窒素肥料の製造には天然ガスが不可欠ですが、その価格高騰に加え、中国やロシアといった主要輸出国による輸出制限が追い打ちをかけています。農家は、高価な肥料を減らして収穫量の減少を受け入れるか、肥料をあまり必要としない作物へ転換するか、最悪の場合は耕作を断念するという過酷な選択を迫られています。肥料コストは農業生産費の最大25%を占めるまでになっており、2026年には1エーカーあたり166ドルを超えるケースも報告されています。

この問題の影響は農場に留まらず、社会全体に波及します。肥料不足による食料価格の上昇により、世界で新たに最大4,500万人が深刻な飢餓に直面すると予測されています。特に輸入依存度の高い発展途上国への打撃は深刻で、小麦や米、トウモロコシといった主要作物の供給不足が懸念されています。また、各国政府が国内市場を守るために輸出禁止措置を講じることで、すでに緊張状態にあるサプライチェーンがさらに断片化するという悪循環も起きています。

肥料危機が最も恐ろしいのは、その影響が時間差で現れる「遅効性の災厄」である点です。肥料の使用量が減れば、数年かけて土壌の肥沃度が低下し、構造的な収穫量の減少を招きます。長期的には、世界の食料システムが地域ブロックごとに分断され、慢性的な飢餓や政治的不安定、移民圧力の増大につながる恐れがあります。現在、世界の食料備蓄はかろうじて安定を保っていますが、専門家はこれが一時的な見せかけに過ぎないと警告しています。物流ルートの混乱が3ヶ月以上続けば、世界の食料供給システムは修復不可能な段階にまで崩壊しかねないという極めて危険な状況にあります。

露財政、原油高で恩恵

$100 Oil Is Solving Russia's Budget Problem | OilPrice.com [LINK]

【海外記事より】中東での紛争に伴う原油価格の高騰が、ロシアの財政状況に予期せぬ恩恵をもたらしています。イランとの戦争やホルムズ海峡の実質的な封鎖を背景に、原油価格が1バレルあたり100ドルまで急騰したことで、ロシアの今月の石油収入は過去4年間で最高水準に達しました。これにより、当初計画されていた予算削減が見送られるだけでなく、ウクライナでの軍事支出をさらに増強する可能性も浮上しています。

わずか1ヶ月前まで、ロシアは石油・ガス収入の激減に直面していました。主要な買い手であったインドがスポット市場から撤退し、ロシア産原油の割引率も拡大していたため、政府は経済見通しの下方修正や、予備基金への積立基準の引き下げを検討していたほどです。しかし、中東情勢の悪化が世界のエネルギー市場に史上最大の混乱をもたらした結果、状況は一変しました。米国がロシア産原油の購入を事実上黙認する姿勢に転じたこともあり、ロシアの主力油種であるウラル原油の価格は約2倍の100ドル前後まで上昇し、インドからの需要も再び急増しています。

この収入増を受け、ロシア当局は2026年の経済成長予測の下方修正案を撤回しました。タンカーの追跡データによれば、3月の石油収入はウクライナ侵攻直後の2022年以来の極めて高い水準を記録しています。ウクライナによるバルト海沿岸の主要港へのドローン攻撃が続き、輸出能力が一部阻害されているものの、価格高騰による利益がそれを補って余りある状態です。中東での戦争という外的要因が、図らずもロシアの財政難を解消し、軍事経済を支える皮肉な構図となっています。

消える「財務官」の署名

Exclusive: Trump's signature to appear on US currency, Treasury says, ending 165-year tradition | Reuters [LINK]

【海外記事より】米国財務省は、アメリカ建国250周年を記念して、発行される紙幣にドナルド・トランプ大統領の署名を記載すると発表しました。現職大統領の署名が紙幣に刻まれるのは合衆国史上初めての出来事となります。一方で、1861年の連邦紙幣発行開始以来、165年間にわたって途切れることなく続いてきた「アメリカ合衆国財務官(Treasurer)」の署名記載は、今回の変更に伴い廃止されることになりました。

財務省の声明によれば、トランプ大統領とスコット・ベセント財務長官の署名が入った新しい100ドル札の印刷は2026年6月に開始され、その後数ヶ月かけて他の額面の紙幣も順次切り替わる予定です。現在、政府印刷局ではバイデン前政権時代のイエレン財務長官とマレルバ財務官の署名が入った紙幣が引き続き製造されていますが、マレルバ氏がその伝統を引き継ぐ最後の財務官となります。

今回の措置は、政府機関やプログラム、戦艦などに大統領の名を冠そうとするトランプ政権の一連の取り組みの一環とみられています。すでにトランプ氏の肖像をデザインした記念金貨の発行も承認されていますが、流通用の硬貨については「存命中の人物を描くことを禁じる法律」が壁となり、今回は紙幣への署名という形に落ち着きました。なお、連邦準備銀行券の印刷に関する法律では、偽造防止のためにデザインを変更する広範な裁量が財務省に与えられており、今回の変更もその権限に基づくものです。

ベセント財務長官は、第2期トランプ政権下での強い経済成長とドルの覇権を背景に、建国250周年の節目に大統領の名を刻むことは「歴史的な成果を称える最も強力な方法であり、極めて適切である」と述べています。紙幣の全体的なデザイン自体に大きな変更はなく、「イン・ゴッド・ウィ・トラスト(我ら神を信ず)」の文言や、故人の肖像を用いるといった法的要件も維持されますが、財務官の署名が消え、大統領の署名に置き換わるという点は、米国の通貨制度における歴史的な転換点となります。 

中南米の軍事化

A Retreat to the Western Hemisphere? | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】米国のアジアや中東での影響力が相対的に低下する中、トランプ政権は「バックヤード(裏庭)」とみなすラテンアメリカへの関与を、一世代で最も攻撃的な軍事化という形で強めています。これは「モンロー主義のトランプ補完計画」とも呼ばれ、西半球を戦略的優先地帯と位置づけ、麻薬カルテルの制圧と中国の影響力排除を軍事力によって進める枠組みです。その象徴的な出来事が、2026年1月に実行されたベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束作戦です。約150機の航空機を動員したこの作戦により、マドゥロ氏はニューヨークへ移送され、麻薬テロ共謀の罪で起訴されました。トランプ大統領は、ベネズエラの膨大な石油資源の管理が主要な動機であると公に認めています。

こうした動きは、国家元首の拘束に留まりません。2025年9月以降、米南方軍はカリブ海や東太平洋で、麻薬密売の疑いがある船舶に対して系統的な致命的攻撃を開始しました。2026年2月までに44回以上の攻撃が行われ、少なくとも151人が死亡しています。法的根拠のない超法規的殺害であるとの批判が専門家から上がっていますが、軍事的な足跡は急速に拡大しています。プエルトリコでは2004年に閉鎖された海軍基地が再稼働し、F-35B戦闘機が配備されました。また、パナマでは運河の奪還を視野に入れた軍事トレーニングが再開され、エクアドルでも現地の治安部隊と米軍による共同作戦が新段階に入っています。

この戦略の中核をなすのが、2026年3月に発足した「米州反カルテル連合(別名:米州の盾)」です。これは、参加国がカルテルに関する情報を共有し、軍事力を行使して麻薬テロ組織を解体することを目的としています。アルゼンチンのミレイ大統領やエルサルバドルのブケレ大統領など17カ国が参加していますが、メキシコ、ブラジル、コロンビアといった地域の主要経済国は、トランプ政権との思想的な不一致から除外されました。特にメキシコのシェインバウム大統領は、自国領土内での米軍の作戦を拒否する姿勢を鮮明にしています。

批評家たちは、こうした軍事化の道は人権侵害を招くだけでなく、パートナーとしての信頼を損なうと警告しています。本来のモンロー主義の精神に基づけば、他国の介入を防ぎつつ経済的な自由を認める温和な覇権を追求することも可能ですが、現在のトランプ政権は、他地域での劣勢を挽回するかのように、西半球での支配を強める道を選んだと分析されています。隣国をパートナーではなく「臣民」として扱うこの姿勢が、将来的に米国自身の安全保障に対する反発を招く懸念が指摘されています。

露、財政赤字補填へ金売却

bne IntelliNews - Russia sells gold bars for the first time in 25 years to fund budget deficit [LINK]

【海外記事より】ロシア政府は、拡大する財政赤字を補填するため、約25年ぶりとなる中央銀行保有の現物金の売却を開始しました。規制当局のデータによると、2022年から2025年にかけての金および外貨の売却額は15兆ルーブル(約1,500億ドル)に達し、2026年に入ってからも最初の2ヶ月間だけでさらに3.5兆ルーブルが売却されています。具体的には、1月に30万オンス、2月に20万オンスの金が市場に放出されました。これは、帳簿上の操作ではなく現物の金地金を直接売却するという、ロシアの予備費管理における大きな方針転換を意味しています。

この売却により、ロシアの金保有量は過去4年間で最低の水準となる7,430万オンスまで減少しました。背景にあるのは、長期化する軍事支出に伴う極めて強い財政圧力です。2025年末の財政赤字は対GDP比で2.6%に達し、当初予測の0.5%を大幅に上回りました。さらに、昨年度後半の原油価格の下落や制裁の強化により、国家収入に占める石油・ガス税の割合は戦前の約半分である20%まで低下しています。政府は付加価値税の増税や国内債券の発行、国民福祉基金の取り崩しなど、複数の手段を組み合わせて赤字を埋めようとしていますが、現物金の売却に踏み切ったことは、流動性の高い予備資源が直接的に削られ始めている現状を物語っています。

一方で、金価格が1オンスあたり5,000ドルを超える水準まで急騰したことで、保有資産の評価額が大幅に上昇している側面もあります。ロシアの国際準備高は2月末時点で8,090億ドルを超えており、そのうち金準備の価値は3,840億ドルに達しています。ロシアは世界第5位の金保有国であり、長年かけてドルの依存度を下げる戦略を進めてきました。また、対外債務がGDPの14%と主要国の中で突出して低いことも、制裁への耐性を支える要因となっています。しかし、紛争が4年目に入る中で現物金の取り崩しが始まったことは、ロシアの財政状況に生じている歪みが一段と深刻化していることを示唆しています。

実物資産の時代

The Hard Asset Revolution Has Begun — And Most Investors Are Going to Miss It – GAINS, PAINS & CAPITAL [LINK]

【海外記事より】現在の金融システムは急速に変容しており、投資の定石が大きく塗り替えられようとしています。イランでの紛争によって浮き彫りになったのは、経済において最も重要な要素はテクノロジーや戦略ではなく、「ハードアセット(実物資産)」であるという事実です。特に石油は、単なる自動車の燃料にとどまらず、プラスチック、合成繊維、肥料、薬品から化粧品に至るまで、現代社会のあらゆる製品の基礎原料となっています。原油価格が高止まりすれば、輸送や製造コストを通じて経済全体が浸食されることになります。

また、近年のAI革命を支えているのも、実は膨大な実物資産やコモディティです。データセンターや次世代のインフラを機能させるためには、銅、シリコン、銀、金、リチウム、希少土類といった鉱物資源に加え、天然ガスやウランなどのエネルギー資源が不可欠です。つまり、技術革新の成否はこれらの物理的な素材の確保にかかっていると言っても過言ではありません。金融市場もこの現実に気づき始めており、これまで市場を牽引してきた主要なハイテク銘柄が苦戦する一方で、コモディティ関連の指標は力強い動きを見せています。

実際に市場のデータを見ると、AI関連の代表的な銘柄よりも、金鉱株などの実物資産に関連するセクターの方が、過去2年間で高いパフォーマンスを記録しているケースが見受けられます。賢明な投資家たちは、すでに従来の金融資産から、今後さらなる成長が期待される実物資産や貴金属へと資金を移動させ始めています。2025年には一部の貴金属採掘関連のポジションが極めて高い上昇率を記録しましたが、こうした傾向は2026年も継続する可能性があると予測されています。インフレの嵐の中で資産を守り、利益を上げるためには、この実物資産へのシフトを理解することが不可欠です。

グローバル経済、イラン戦争で変容

The war on Iran is transforming the global economy: Economist Michael Hudson explains how - Geopolitical Economy Report [LINK]

【海外記事より】米・イスラエルとイランの衝突は、単なる地域紛争に留まらず、世界の地政学秩序と経済構造を根本から変容させています。経済学者のマイケル・ハドソン氏は、今回の事態を「歴史上最大のオイルショック」と位置づけています。1973年や1979年の危機の規模を上回り、特に中東へのエネルギー依存度が高い日本を含むアジア諸国に深刻な影響を及ぼしています。日本はすでに過去最大規模の備蓄放出を余儀なくされ、国際エネルギー機関の加盟国も合計で4億バレルの放出に合意しましたが、これらは一時的なしのぎに過ぎません。イランとの戦争が続く限り、エネルギー市場の混乱と価格の高騰は避けられない見通しです。

ハドソン氏は、この戦争の本質を「石油を通じた世界支配の権益を巡る争い」であると指摘します。過去半世紀、米国は石油取引をドル建てで行う「ペトロダラー」体制を基盤に、他国へのエネルギー供給をコントロールすることで外交的な主導権を握ってきました。しかし、イランが世界の石油輸送の要所であるホルムズ海峡を封鎖し、通過の条件としてドルではなく中国の「人民元」による決済を要求し始めたことで、このドルの独占体制が根底から揺らいでいます。イラン側は、これまで米国が他国を従わせるための「チョークポイント(戦略的要衝)」として利用してきた石油の支配権を奪い返し、逆に米国やその同盟国に対して制裁を科す力を手に入れようとしています。

また、石油や天然ガスの供給不足は、単なるガソリン価格の上昇に留まりません。肥料や化学製品の原料も絶たれるため、世界的な食料危機や農業の収益悪化を招きます。ハドソン氏は、ロシア産ガスを失い産業が衰退したドイツの例を挙げ、同様の現象が日本や韓国、フィリピンなど米国の同盟国でも起きると警告しています。特に半導体製造に必要なヘリウムや電力の不足は、ハイテク産業にも打撃を与えます。結果として、各国では軍事費の増大と社会支出の削減という政治的対立が激化し、米国の同盟関係そのものが揺らぐ可能性があります。この戦争は、米国による一極支配が続くのか、それとも各国が自国独自の主権を回復する独立した経済圏へと移行するのかを決める、国際経済の重大な分岐点となっているのです。

深刻な失敗、覇権の終焉

Escalating from Suez to Waterloo: Trump’s Three-Card-Monte Takes on the Chess Grandmasters [LINK]

【海外記事より】エコノミストのサイファディーン・アモウズ氏が発表した分析によれば、イスラエルとアメリカによる対イラン戦争は、当初の予想に反して4週目を迎え、アメリカ側に深刻な戦略的失敗をもたらしています。アモウズ氏は、この戦争が20世紀型の超大国が、21世紀型の安価な新技術を駆使する中等国家に敗北する歴史的な転換点になる可能性を指摘しています。

アメリカ側の当初の目標であったイランの無条件降伏や政権交代、核・ミサイル計画の阻止は、現時点でほとんど達成されていません。一方でイランは、1機あたり約7000ドルという低コストのドローンや高精度な極超音速ミサイルを運用し、アメリカの防空システムを枯渇させつつ、ホルムズ海峡の事実上の支配権を確立しています。

イランは現在、海峡を通過する石油1バレルにつき1ドルの通行料を課しており、世界のエネルギー市場に対して強力な影響力を行使しています。さらに、イランによる攻撃は中東におけるアメリカの軍事拠点を機能不全に陥らせ、空母すらもミサイルの脅威から遠ざけられています。

トランプ政権は、エネルギー価格の高騰や米国債の利回り上昇を恐れ、戦争中にもかかわらずイランやロシアへの制裁を一部解除するという異例の対応を余儀なくされました。アモウズ氏は、トランプ氏が直面している選択肢を、イギリス帝国の衰退を決定づけた1956年のスエズ危機になぞらえた敗北の受け入れか、あるいはナポレオンが完全に没落したワーテルローのような壊滅的な敗北を招くさらなる軍事拡大かの二択であると論じています。

もしアメリカが地上軍の派遣などで戦火を拡大すれば、米ドルの基軸通貨としての地位の喪失や、膨大な債務による国家財政の破綻、さらには世界規模のハイパーインフレを招く危険性があると警鐘を鳴らしています。

記事の結論として、アメリカがイスラエルの戦略に引きずられ続ける限り、イランを崩壊させて泥沼化させるか、あるいは自国の経済を破壊するかのどちらか、あるいはその両方の悲劇的な結末に向かう可能性が高いとアモウズ氏は分析しています。このように、本記事は現行の軍事戦略がアメリカの覇権そのものを終わらせる瀬戸際にあることを冷静に提示しています。

ミレイ氏称賛の知的不誠実

On Intellectual Integrity and What a Difference one Crook can Make [LINK]

【海外記事より】ハンス・ヘルマン・ホッペ氏は3月29日付の論考において、自由主義運動における知的誠実さと、特定の人物への評価を巡る矛盾について批判を展開しています。この議論の背景には、経済学者のウォルター・ブロック氏がイスラエルを優先するシオニズム的な立場を表明したことで、ミーゼス研究所やロン・ポール研究所などの複数の自由主義団体から上級フェローの職を解かれた経緯があります。

スペインの経済学者であるヘスス・ウエルタ・デ・ソト氏は当初、ブロック氏の解任につながったホッペ氏の批判記事に同意し、その論理を非の打ちどころがないと称賛していました。しかし、ブロック氏と本質的に同じ見解を共有し、自らを「世界で最も偉大なシオニストの大統領」と称するハビエル・ミレイ氏に対して、デ・ソト氏は正反対の態度を取っています。

ホッペ氏によれば、デ・ソト氏は現在、ミレイ氏を「史上最高の無政府資本主義の代弁者」として熱烈に称えています。ブロック氏が優れたオーストリア学派の経済学者であるのに対し、ミレイ氏はせいぜい素人同然の見習いレベルに過ぎないとホッペ氏は指摘します。それにもかかわらず、世界最大のシオニストを称賛したデ・ソト氏がミーゼス研究所から解任されることはなく、むしろ同研究所はデ・ソト氏を歓迎しました。

一部からは、デ・ソト氏はミレイ氏の演説について数言触れただけだという擁護の声もありますが、ホッペ氏はそれこそが問題であると論じています。つまり、ミレイ氏がいかに自由主義とはかけ離れた行動をとっているかという、誰もが知るべき事実を語らなかったこと自体が不誠実であるという指摘です。また、ミレイ氏がオーストリア学派の普及に誰よりも貢献したという主張についても、過去のロン・ポール氏の活動と比較すれば、戦争を助長するネオコン的な姿勢を持つミレイ氏を称賛することは不適切であると結んでいます。

ネオコンの新たな首領

A New “Godfather” of Neoconservatism for the Twenty-First Century [LINK]

【海外記事より】トム・ディロレンゾ氏は、2026年3月29日付の論考において、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領を、21世紀における新保守主義、いわゆるネオコンの新たな「ゴッドファーザー」であると論じています。かつてネオコンの創始者として知られたアーヴィング・クリストル氏は、1980年代のレーガン政権下で政治的な影響力を強め、その後のアメリカの外交政策を主導しました。

クリストル氏によれば、初期のネオコンはかつての共産主義者、特にトロツキストであり、社会主義の失敗を受けてその衝動を抑えたものの、帝国主義的な外交政策や国家至上主義、シオニズム、そして古典的自由主義への敵対姿勢は維持し続けました。クリストル氏は生前、レーガン政権の減税や規制緩和といった自由主義的な経済政策を支持していましたが、その真の目的は、侵略的で帝国主義的な外交政策を維持するための税収を確保することにありました。同氏は、その外交政策の主目的を「アメリカではなく、イスラエルを守ること」であると明言していたと、この記事は指摘しています。

クリストル氏が2009年に亡くなってから、ネオコンは長らく指導者を欠いていましたが、ディロレンゾ氏はそこにミレイ氏が登場したと述べています。ミレイ氏はレーガン氏やトランプ氏を偶像視し、自由主義的な経済政策を称揚する演説を繰り返していますが、その実態はクリストル氏と同じくシオニストであり、帝国主義的な外交政策を掲げる人物であると分析されています。同氏はガザ地区での軍事行動やイランへの爆撃、北大西洋条約機構、いわゆるNATOのあらゆる行動を支持しており、アルゼンチン国内でも国家による監視体制を導入しました。

この記事は、戦争こそが国家を肥大化させ、個人の自由を破壊するものであるという見解を示しています。戦争が終わっても、政府が有事の際に獲得した緊急権力をすべて返上することはありません。そのため、ミレイ氏がどれほど無政府資本主義や経済的自由を口にしたとしても、その好戦的でネオコン的な姿勢は、自由主義的な側面を上書きしてしまうものであると批判的に紹介されています。ラテンアメリカで自由主義を学び始めた人々が、ネオコン的な終わりのない戦争を支持することこそが自由主義の本質であると誤解してしまうことを、この記事は懸念しています。

2026-03-29

イランが核自爆ベスト?

Vance Tries To Justify Continued Iran War by Suggesting Iran Could Make a Nuclear Suicide Vest - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】JDバンス副大統領は木曜日、現在継続されているアメリカとイスラエルによる対イラン戦争を正当化するため、イランが核爆弾を自爆ベストに転用する可能性があるという主張を展開しました。しかし、この主張は現実的な根拠に基づいたものではありません。ヴァンス副大統領は閣議の中で、イランとの紛争に関するアメリカの軍事的および外交的な選択肢について議論する際にこの発言を行いました。彼は、イランによる核兵器の製造を阻止するためにこの戦争が必要であると描き続けていますが、2025年6月の紛争以前にも、また今年2月28日に開始された現在の戦争においても、テヘランの現政権が核爆弾の製造を決定したという証拠は存在しません。

閣議においてバンス副大統領は、1年余り前に大統領が就任した際にはなかった能力、つまりイランが核兵器を保有しないよう、あらゆる手段を行使できる能力が現在の我々にはあると述べました。さらに、アメリカ国民に対して、自分たちが検討している選択肢は何のためのものなのかを知ってもらうことが重要であると強調し、それはイランに核兵器をけっして持たせないための選択肢であると付け加えました。その説明の中で、混雑したスーパーマーケットに自爆ベストを着用して現れ、数人を殺害する悲劇を引き起こす人物の例を引き合いに出しました。そして、もしそのベストに装着されているものが数人ではなく、何万人もの人々を殺害できるものだったらどうなるかと問いかけました。

しかし、実際のところ核爆弾を人間が着用できるベストのサイズにまで小型化することは不可能です。もしバンス副大統領が核物質を用いた、いわゆる汚い爆弾を念頭に置いていたとしても、その規模の兵器で数万人もの死傷者を出すことは考えられません。加えて、近年の地域における自爆テロの圧倒的多数はスンニ派の過激派によるものであり、イランやその同盟者であるシーア派勢力によるものではないという事実もあります。アメリカとイスラエルが戦争を開始する前から、ヴァンス副大統領は政権内でもこの紛争がイランの核開発阻止を目的としたものであると主張する中心的な人物となっていました。これは、2025年6月の空爆によってイランの核プログラムは壊滅したとするトランプ大統領のこれまでの主張とは矛盾する内容です。以上が、バンス副大統領による発言と、その背景にある矛盾を報じる記事の概要です。

レバノンで記者3人殺害

Three Lebanese Journalists Killed in Israeli Attack on Their Marked Press Vehicle - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】レバノン南部ジェジンの町近郊で、イスラエル軍が報道用であることを明示した車両を繰り返し直接攻撃し、3人の記者が死亡、数人が負傷しました。この攻撃中、イスラエル軍は車両に向けて4発のミサイルを発射したとされています。亡くなったのは、アル・マヤディーンのファティマ・フトゥニ記者、アル・マナール・テレビのアリ・シュアイブ記者、そしてカメラマンとして同行していたファティマ記者の兄弟であるモハメド氏の3人です。現場には救急隊がすぐに駆けつけましたが、救急車もイスラエル軍による攻撃を受け、救急隊員1人の死亡が確認されました。

明確に表示された報道陣がイスラエル軍の直接攻撃を受けるのは、今回が初めてではありません。先週もロシア・トゥデイの取材班が攻撃され、英国人記者とカメラマンが負傷しています。イスラエル軍は今回の攻撃を認め、標的はシュアイブ記者であったと主張しました。軍の説明によれば、彼は記者のふりをしてイスラエル軍の部隊の場所を暴露していたと非難されています。これに対し、アル・マナール・テレビは、シュアイブ記者が数十年にわたり特派員を務めてきた同局で最も著名な記者の1人であると説明しています。

レバノンのジョゼフ・アウン大統領は、ジャーナリストは戦争中であっても国際的な保護を受けるべき存在であり、今回の攻撃は国際法および人道法に違反する明白な犯罪であると非難しました。フトゥニ記者は、ここ数週間でイスラエルによって殺害された6人目のアル・マヤディーンの記者となります。レバノン保健省の報告によると、今月初めにイスラエルによる最新のレバノン侵攻が始まって以来、死者は1142人、負傷者は3300人以上に達しています。

この記事の著者はアンチウォー・ドットコムのシニアエディターであるジェイソン・ディッツ氏で、20年にわたる外交政策の研究経験を持ち、多くの主要メディアに寄稿している人物です。以上が、レバノンでの報道陣殺害に関する記事の内容です。

ウクライナ向け武器を中東転用へ

‘We Do That All the Time’: Trump Open to Taking US Weapons for Ukraine and Sending Them to the Middle East | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領は、NATOがウクライナ向けに購入した武器を回収し、対イラン戦争が進む中東へと転用することに前向きな姿勢を示しました。木曜日に開かれた閣議の中で、トランプ大統領は、ウクライナに送られる予定だった武器が別の目的地へ振り向けられたというワシントン・ポスト紙の報道について質問を受けました。これに対し大統領は、アメリカはそうした措置を頻繁に行っていると説明しました。私たちは常にそのような対応を取っており、多くの弾薬を保有しているため、一方から取ったものを他方に使用することがあると述べています。また、現在アメリカはウクライナに対して軍事援助を直接提供しているわけではなく、アメリカ製の武器をNATO加盟国に販売し、それらの国々がウクライナへ移送しているという現状を付け加えました。

ワシントン・ポスト紙が政府当局者の話として伝えたところによれば、国防省はNATOがウクライナのために購入する予定だったミサイル迎撃機を回収し、中東へ転用することを検討しているとのことです。ただし、情報筋によれば、現時点では最終的な決定には至っていないとされています。トランプ大統領はさらに、対イラン戦争に対するドイツの対応を批判しました。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、ドイツはこの紛争には参加しないと表明しており、ピストリウス国防相も、これは自分たちの戦争ではないと断言しています。

トランプ大統領はこれらの発言を聞いたとした上で、ウクライナも自分たちの戦争ではないと応じました。現在、トランプ大統領は同盟諸国に対し、イランにホルムズ海峡を再開させるための連合を組むよう圧力をかけています。テヘラン政府は、2月28日にアメリカとイスラエルによる奇襲攻撃が行われたことを受け、ペルシャ湾の出口を封鎖しています。しかし、ヨーロッパの指導者たちは、この地域への軍派遣を拒否しています。こうした状況の中で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカの対ドローンシステムを支援するため、200人のドローン専門家を中東に派遣したことを明らかにしました。以上が、トランプ大統領によるウクライナ向け兵器の中東転用への意欲と、それを取り巻く国際情勢に関する記事の概要です。

今回の動きは、アメリカの軍事リソースの優先順位がウクライナから中東へとシフトしている可能性を示唆するものです。トランプ大統領は、同盟国であるドイツなどが対イラン情勢への関与を避ける姿勢を強めていることに対し、ウクライナへの関与を対比させる形で不満を示しており、今後のNATO諸国との関係や、中東およびウクライナ双方の紛争の行方に大きな影響を与える可能性があります。

米軍部隊3500人超が中東到着

Over 3,500 More US Troops Arrive in Middle East as Iran War Continues to Escalate - News From Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】アメリカ政府はイランへの地上軍投入の可能性を否定し続けていますが、中東地域には大規模な米地上部隊の到着が相次いでいます。アメリカ中央軍の報告によりますと、土曜日には新たに3,500人を超える兵士が現地に到着しました。その大部分は強襲揚陸艦トリポリに乗船していた海兵隊員で、第31海兵遠征部隊から2,200人から2,500人ほどが担当区域に配属されたと見られています。さらに、キャンプ・ペンドルトン所属の海兵遠征部隊を乗せた強襲揚陸艦ボクサーを中心とする部隊も、およそ1週間後には現地へ到着する予定です。これらは過去数十年で最大規模の軍備増強であり、すでに展開している約5万人の米兵を補完する形となります。イランとの戦争が激化する中で、こうした動きは地域一帯の軍事的混乱と世界的な経済不安を招いています。

この紛争は、2月28日にアメリカとイスラエルが「壮絶な怒り作戦」と銘打って開始したもので、アヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイラン政府高官の暗殺を機に、イラン側による大規模な報復攻撃が地域内の米軍やイスラエルの標的に対して行われてきました。アメリカ当局は1ヶ月近くにわたり、戦争は終結の兆しを見せていると主張し続けてきましたが、実際には紛争のペースは加速しています。次々と海兵隊が派遣される現状は、政府が最終的に地上戦を計画しているのではないかという憶測を呼んでいます。しかし、今回の攻撃の目的や最終的な目標が不透明なままであり、十分な計画がないままエスカレートしているとの懸念から、地上戦への発展は国民の強い反発を買う可能性が高いと考えられています。

さらに情勢を複雑にしているのが、イエメンのフーシ派による参戦表明です。これまではイラン沿岸のホルムズ海峡が注目の的でしたが、今後はアラビア半島の重要な経済航路であるバブ・エル・マンデブ海峡を通行する船舶も脅威にさらされることになります。先週末、アメリカとイスラエルによる攻撃はイランのフーゼスターン州に集中し、現地の鉄鋼会社が甚大な被害を受けて操業の一部停止を余儀なくされるなど、戦火は重要インフラにも及んでいます。このように、平和への道筋が見えないまま軍事的な緊張が一段と高まっており、情勢は極めて予断を許さない状況が続いています。

イラン攻撃、米経済に影

Iran War Will Cost the US 10,000 Joes Per Month, Push Inflation Over 4% | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領によるイラン攻撃の決定が、今後のアメリカ経済に重大な影響を及ぼすと予測されています。経済協力開発機構、OECDが発表した最新の見通しによりますと、アメリカのインフレ率は今年の12月には4%を超えるとされています。中東で展開されている予測困難な紛争と、それに伴うエネルギー価格の急騰が、コストの押し上げと需要の減退を招くという分析です。これにより、好調なテクノロジー関連の投資や生産、実効関税率の低下、そして2025年から引き継がれた経済の勢いといった好材料が相殺されてしまう形になります。ホワイトハウスは石油価格の急騰を抑えるために、イランやロシア、ベネズエラに対する制裁の解除、ジョーンズ法の適用停止、戦略石油備蓄の放出など、複数の対策を講じてきました。しかし、こうした努力にもかかわらず、北海ブレント原油の価格は木曜日に7%上昇し、1バレルあたり109ドルに達しました。

この紛争はアメリカ国内にとどまらず、世界的なインフレを引き起こす原因にもなっています。G20は加盟国全体で平均4%のインフレを予測しています。また、アメリカの労働市場への影響も深刻です。ゴールドマン・サックスの試算によりますと、石油価格の急騰を背景に、年末まで毎月1万人もの雇用が失われる見込みです。紛争が早期に終結しない場合、経済的な影響はさらに深刻化すると警鐘が鳴らされています。ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ピエルフランチェスコ・メイ氏は、紛争がすぐに終わればブレント原油は12月までに1バレル80ドルまで下がると述べる一方で、もし紛争が拡大すれば、価格は160ドルまで跳ね上がる可能性があると指摘しています。

国際エネルギー機関のファティ・ビロル事務局長も、世界はイランとの戦争に起因する大規模なエネルギー危機に直面していると述べています。ビロル氏は、現在のエネルギー不足は1970年代の危機や、2022年のロシアによるウクライナ侵攻の影響を合わせたものよりも深刻であると論じています。二つの石油危機と一つのガス危機が同時に起きたような状態であり、世界経済は極めて大きな脅威にさらされていると危機感を示しました。国防省は地上侵攻を含むさらなる拡大案をトランプ大統領に提示していると報じられていますが、イラン側も侵攻があれば地域全体での攻撃を激化させ、バブ・エル・マンデブ海峡を封鎖すると表明しており、情勢は非常に不透明です。

独裁台湾を支えた米国

When the US Supported a Brutal Chinese Conquest of Taiwan - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】今日、台湾は独裁的な隣国に包囲された輝かしい民主主義の象徴として語られますが、歴史学者スルマーン・ワシフ・ハーン教授の新著は、その背後にある暗く複雑な真実を浮き彫りにしています。著者は、アメリカがかつて台湾の自己決定を支える守護者ではなく、むしろ過酷な独裁体制による台湾制圧の主要なスポンサーであったという衝撃的な歴史を掘り起こしています。

歴史を遡れば、台湾が古来から中国の一部であったという主張は単純化されすぎています。清朝が1683年に台湾を併合したのは、神聖な領土保全のためではなく、外国勢力の拠点になることを恐れた安全保障上の理由からでした。その後、19世紀の中国が列強に蹂躙された「屈辱の世紀」において、アメリカもまた英国の帝国主義に便乗して不平等条約を強い、中国の民衆蜂起を武力で鎮圧する側に回りました。1895年に日本が台湾を割譲させた後、台湾は「模範植民地」として近代化を経験しましたが、それは台湾人が二級市民として扱われる過酷な統治でもありました。

第二次世界大戦後、アメリカは最大の過ちを犯します。台湾の人々の意志を無視し、カイロ会談での約束通り、台湾を蒋介石率いる国民党政権に引き渡したのです。1945年に米軍の船で上陸した国民党軍は、解放軍ではなく征服軍として振る舞い、1947年の「228事件」では数千人のエリートや市民を虐殺しました。その後の「白色テロ」により、台湾は数十年に及ぶ戒厳令下の監視国家となりました。皮肉なことに、現代の台湾独立運動の源流は、北京の共産党に対してではなく、アメリカが支えた蒋介石の独裁統治に対する抵抗から生まれたものでした。

1950年代、アメリカは台湾を「不沈空母」と見なし、核兵器の使用を辞さない強硬姿勢で共産党に対抗しました。この時期、アメリカは台湾を拠点に大陸を攻撃しようとする蒋介石を保護し、地域を核戦争の淵に何度も立たせました。しかし1970年代に入ると、ニクソンやキッシンジャーは現実的な外交判断から、台湾が中国の一部であるという北京の主張を認める「一つの中国」政策を構築し、ようやく核戦争の脅威から遠ざかることができたのです。

その後、台湾の人々は自らの力で民主化を勝ち取りましたが、21世紀に入り、再び平和が崩れ始めています。ハーン教授は、トランプ前政権からバイデン政権に至るまで、アメリカが「一つの中国」政策を交渉の道具として扱い、台湾を中国封じ込めの武器として利用している現状を厳しく批判しています。ペロシ氏の訪台のようなパフォーマンスは、台湾の安全を高めるどころか、中国の軍事的エスカレーションを招いただけでした。著者は、かつて外交的な曖昧さと妥協が40年間の平和を守ってきたことを指摘し、現在の「抑止」一辺倒の政策が、台湾を解放するのではなく灰の山に変えてしまう危険性を警告しています。歴史に学ぶべき真の責任とは、次の戦争に備えることではなく、それを防ぐための地道な外交努力に立ち返ることなのです。

欧米、テロ組織を正当化

How the West Is Quietly Legitimizing Anti-Iran Terrorists - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】かつてロナルド・レーガン大統領は「テロリズムは弱く邪悪な男たちが好む武器だ」と述べました。しかし、アメリカとその同盟国は、自国の利益に合致する場合には、テロリストと見なされる組織を支援してきた歴史があります。ソ連のアフガン侵攻時にウサマ・ビンラディンを「反ソの戦士」と称賛したように、現在、対イラン戦争の勃発に伴い、欧米諸国は再びテロ組織を正当化しようとしています。

焦点となっているのは、イラン南西部の油田地帯フーゼスターン州の独立を目指すアラブ系武装組織「アフワズ」の動向です。2026年3月初旬、これらの武装勢力は革命防衛隊の基地を襲撃して武器を奪い、イラン政府に対する武装蜂起を宣言しました。これらの組織の中には、過去に軍事パレードを襲撃して多数の死傷者を出したテロ行為に関与しているものも含まれています。しかし、驚くべきことに、これらの過激派組織は現在、欧米で公然と活動を広げています。

2026年3月7日、ロンドンで「アフワズ・ファースト」というスローガンのもと、複数の武装組織が参加する会議が開催されました。この会議には欧州数カ国の政治指導者や国家的人物が出席したと伝えられています。さらにその数日前には、米連邦議会内でもイランの次なるステップを議論する会合が開かれ、アフワズの代表団が参加しました。ここには米政府の政策立案者や国会議員、外交専門家らが同席していたと報告されています。

これらの動きを時系列で見ると、米議会での会合の翌日にイラン国内で基地襲撃が起き、その後にロンドン会議、そして武装蜂起の宣言と続いています。これは単なる偶然ではなく、欧米による支援の拡大を示唆している可能性があります。シリア内戦において、かつてのアルカイダ系指導者が欧米と手を結ぶことでテロリスト指定を解除されたように、アフワズの武装勢力もまた、メディアや人権団体を装ったフロント組織を通じて、自らの正当性を欧米に売り込もうとしています。

欧米政府がイランに対抗するためにテロリストとの連携を深めるならば、それはかつてレーガン大統領が警告した「弱く邪悪な存在」に自らが成り下がることを意味します。政治的な利便性のためにテロ組織を「自由の戦士」へと書き換える行為は、国際社会に深刻な倫理的問いを突きつけています。

中間選挙、焦点の両議員

Two Primary Elections for the Soul of 'America First' | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】「アメリカ・ファースト」というスローガンは今、その真意を問われる大きな分かれ道に立っています。単なる政治的な宣伝文句なのか、それとも債務の抑制や不要な戦争の回避、憲法に基づく議会の権威回復を目指す真の哲学なのかが、2026年の中間選挙に向けた共和党の2つの予備選挙を通じて試されようとしています。

一方の主役は、ケンタッキー州選出のトーマス・マッシー下院議員です。彼は、議会が政府の支出や行政を監視するという本来の役割を果たすべきだと考え、共和党内でも独立した独自の行動をとる人物として知られています。保守的な団体からも経済的自由の擁護者として高く評価されていますが、トランプ前大統領が支持する大規模な支出法案に反対したことや、機密性の高い情報の開示を求めたことで、党主流派やトランプ氏本人からの激しい反発を招いています。マッシー氏の予備選挙には、イスラエル支援を優先する外部団体から500万ドル以上の巨額資金が投じられ、彼の落選を狙ったネガティブキャンペーンが展開されています。これは、外国への資金援助に慎重な姿勢を示す議員を、ドナー層が排除しようとする構図を浮き彫りにしています。

対照的なのが、サウスカロライナ州のリンゼー・グラム上院議員です。彼は党の主流派や外交政策の既得権益層と密接に連携しており、2000万ドル近い圧倒的な資金力を背景に5期目を目指しています。グラム氏はイランへの強硬姿勢を隠さず、自国の有権者の息子や娘を中東へ送るよう公然と求めるなど、他国への軍事介入を優先する立場を鮮明にしています。記事によれば、彼の視線は地元有権者よりも、多額の献金を行う親イスラエル団体などの外部に向けられており、同盟国への無条件の支持を愛国心の尺度としているかのようです。

この記事は、マッシー氏が生き残り、グラム氏が敗れるようなことがあれば、それは共和党の有権者が独立性や憲法による抑制、海外介入への懐疑心を依然として持っている証拠になると述べています。逆にマッシー氏が敗れ、グラム氏が勝てば、「アメリカ・ファースト」という言葉は権力を抑制する理念ではなく、単なる権力維持のための道具に成り下がったことを意味します。有権者は、自制を選ぶのか、それとも際限のない介入と膨張を選ぶのか。この記事の著者は、この2つの選挙の結果が、政党としての魂を維持できるかどうかの決定的な審判になると警鐘を鳴らしています。

搾取される市民

The Stealing of America: You’re Not a Citizen—You’re a Revenue Stream for the Power Elite - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】アメリカの現状は、もはや市民を保護する政府ではなく、特権階級が利益を得るためのビジネスモデルへと変貌を遂げていると著者は指摘しています。物価の高騰や監視の強化、自由の制限は偶然ではなく、市民の財布や時間、権利を搾取し、終わりのない戦争や肥大化した政府機関、利潤追求型の警察活動の資金源にするよう設計されているというのです。この記事によれば、現在のトランプ政権が進める経済計画は、一般市民を犠牲にして寡頭政治を潤すものに他なりません。

具体的な例として、大統領の週末のゴルフ旅行に年間数千万ドル、累計で1億4100万ドルもの税金が投じられている一方で、政府機関は解体され、数万人の連邦職員が職を追われています。また、イランとの戦争に関連して、開始からわずか12日間で160億ドル以上が費やされ、さらに2000億ドルの追加国防予算が計上されました。その一方で、国防総省は予算を使い切るために、1ヶ月で2200万ドルもの高額な食材を購入したり、空軍参謀総長の自宅用に10万ドル近いグランドピアノを購入したりしています。さらに、アーリントン国立墓地の隣に1億ドルをかけて「トランプの凱旋門」を建設し、大統領の誕生日を祝うイベントに6000万ドルを投じるなど、市民が招待されることのない贅沢な施設や行事に巨額の税金が浪費されています。

国民が生活費の増大に苦しむ中で、政権に近い人々は贅沢な食事を楽しみ、側近は国民に対して「レバーのような安い肉を食べればいい」と示唆しています。政府支出を削減するという主張の裏で、実際には関税やインフレが一般市民を苦しめ、政府職員の解雇も結局は失業手当という形で納税者の負担となっています。著者は、税金や罰金、手数料、関税、資産没収といったあらゆる名目で政府が市民から資金を吸い上げる行為を「窃盗」と呼び、富める者がさらに富み、中産階級や貧困層が搾取される逆転した社会構造を批判しています。

監視カメラや軍事化された警察、ドローンなどの法執行システムも、安全のためではなく利益のために存在していると記事は説いています。これらは数兆ドル規模のエコシステムであり、テロや治安維持を口実に、納税者の資金を政府機関経由で企業へと流し込む仕組みです。政府は医療や教育、住宅には予算がないと主張しながら、戦争には無限の資金を見出します。結論として、市民はもはや主権者ではなく、単なる収益源やデータの一部として扱われており、自らの自由を侵食する仕組みのために自ら代償を払わされているのです。

多極世界の極になるのは?

Who Gets a Seat at the Multipolar Table? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】世界政治における一極集中の時代は終わり、新たな多極化の時代がすでに到来しています。かつてはアメリカが唯一の支配者として君臨し、他国は従属的な立場か敵対者かのどちらかでしたが、その階層構造は今や崩れつつあります。この記事は、多極化した世界という新しい「食卓」において、単に招待されるのではなく、自らの力で席を勝ち取るのは誰かという問題を提起しています。

現在の秩序において、すでに席を確保しているのはアメリカ、中国、ロシアの3か国です。これらは核兵器、経済規模、世界的な影響力を備えており、当然の帰結として「極」と見なされます。しかし、真の多極化には、外部の許可を得ずに自らの周辺地域を形成できる地域的な中心勢力が必要です。記事が注目するのはイランです。イランは経済規模や人口だけでなく、打撃を吸収して反撃する回復力や、超大国に対してもエスカレーションを政治的に持続不可能にさせる意志を示しています。ホルムズ海峡の閉鎖によるエネルギーショックの誘発などは、まさに「極」としての振る舞いであり、中東における地域大国としての地位を実力で示しました。

一方で、経済力や技術力がありながら「極」になれない国々もあります。日本はその代表例として挙げられています。日本は経済の巨人であり米国の重要な同盟国ですが、憲法上の制約や米国への追従から、自律性を欠いた保護領の域を出ていないと指摘されています。サウジアラビアなどのアラブ諸国も同様で、莫大な富を持ちながらも、いざとなれば米国製の防衛システムが機能せず、自律的なアーキテクトにはなれていません。

欧州についても厳しい評価が下されています。EUは経済や文化の面では先導的ですが、軍事的には米国に依存し、団結した意志を欠いています。フランスやドイツ、イギリスも、それぞれ国内事情や資源不足により、単独で極として行動する能力がありません。トルコは全方位外交を展開していますが、その不安定さから信頼を得られず、周辺的な存在に留まっています。ブラジルやインドネシアは、自国周辺への外部介入を阻止するまでの強制力を持っていません。インドは経済や軍事で成長しており、多極化の重要な要素ではありますが、指導力を発揮することには依然として慎重であり、現在はキャスティングボートを握る準メンバーのような立場にあります。

結局、新しい秩序において「極」となる条件は、打撃に耐える力、影響力の及ぶ範囲、そして自律のために代償を払う意志の3点に集約されます。席は与えられるものではなく、実力で行使し、奪い取るものです。世界はこの限られた椅子に誰が座るのかを注視しています。

2026-03-28

UAE、地獄への道?

The Iran-U.S.-UAE-Pakistan Riddle - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】現在、中東では世界の運営システムを書き換えるような地殻変動が起きています。最新の記事によれば、トランプ政権下の米国はイランに対して「最終的な打撃」を与えるべく、大規模な空爆と並行して地上侵攻のシナリオを検討しています。戦略的要衝であるホルムズ海峡のラルク島などを占拠する計画が浮上していますが、イラン側も無数の対艦ミサイルやドローンを崖や洞窟に配備して強固な防衛網を敷いており、侵攻は極めて困難なものになると予想されます。

この緊迫した状況下で、アラブ首長国連邦(UAE)の動向が注目されています。UAEはイランとの停戦の可能性を否定し、米国に対してイランの脅威を解体するよう促すなど、事実上の参戦状態にあります。背景には、UAEによる1.4兆ドルという巨額の対米投資の約束があり、米国との同盟を維持せざるを得ない事情があります。これに対しイラン側は、ドバイやアブダビの発電所、海水淡水化施設、原子力発電所など、UAEの国家存立に関わる5つの重要インフラを攻撃目標として特定しました。もしUAEに駐留する米軍がイラン攻撃を開始すれば、UAE全土で停電や断水が起き、データセンターが停止する「地獄への道」が待っていると警告しています。

また、パキスタンを通じた間接交渉も試みられましたが、トランプ氏の側近であるクシュナー氏らが提示した条件は実質的な降伏文書であり、イラン側はこれを拒絶しました。パキスタン軍部とトランプ政権の密接な関係も不信感を強める要因となっています。さらに、サウジアラビアやカタールなどが米国のイラン体制転換工作を資金面で支援しているとの情報もあり、湾岸協力会議(GCC)諸国の足並みの乱れと、将来的な国家存続の危機が現実味を帯びています。

経済面では、イランがホルムズ海峡の通行料や石油取引の決済に「ペトロ人民元」を制度化したことが決定的な意味を持ちます。すでに石油収益の80%が人民元で決済されており、これにより米国による制裁や国際銀行間通信協会(SWIFT)を完全に回避する仕組みが整いました。UAEが旧来のシステムに固執する一方で、イランは中国との連携を強め、ドルの支配を脱した新しいグローバル・オペレーティング・システムへの移行を加速させています。

金銀高騰という警告

Mind the Real Money – Why Gold and Silver Are Soaring - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】元米予算管理局長のデビッド・ストックマン氏は、金と銀の価格が高騰している現状について、アメリカの経済政策に対する「不信任投票」であると鋭く分析しています。現在、金価格は1オンス5000ドルを超え、トランプ氏が2025年1月に大統領に就任した際の2700ドルから約2倍に跳ね上がりました。銀も一時100ドルを突破し、1年前の31ドルから約4倍という驚異的な上昇を見せています。一方で、米国の連邦債務残高は39兆ドルを超え、数週間以内には40兆ドルに達する勢いです。これらは、政府による野放図な支出、借金、そして通貨増刷が加速していることへの市場の警告に他なりません。

ストックマン氏は、現在の状況を1970年代後半のインフレ期と比較しています。当時はポール・ボルカー氏という強力な連邦準備理事会(FRB)議長が通貨増刷を停止し、ドルの価値を回復させることでインフレを鎮静化させました。しかし現在、トランプ政権にはボルカー氏のような人物はおらず、むしろ大統領自身が低金利とドル安を執拗に求めています。ストックマン氏によれば、トランプ氏は自由市場を理解しておらず、ドル高を外国の陰謀と決めつける傾向があります。その結果、ドルの為替レートは過去1年で決定的に誤った方向へ進んでいます。

さらに深刻なのは、ベセント財務長官がニューヨーク連邦準備銀行に対し、ドル・円相場のレートチェックを命じたことです。これは通貨介入の前兆であり、低迷する円を救うために自国通貨であるドルを犠牲にしようとする動きです。その背景には、円を支えることで、膨れ上がる米国の赤字を穴埋めするための国債を日本に買い続けてもらおうという、ストックマン氏が「愚かな理論」と呼ぶ思惑があります。日本は公的債務と中央銀行による増刷が世界で最も極端に進んだ国の一つですが、トランプ政権はそこへの依存を強めようとしています。

金や銀がパラボリックな上昇を見せているのは、こうした「経済のカウボーイ」たちによる介入主義や統計主義が限界に達しつつあることを示唆しています。投資家が歴史的な「本物の通貨」である貴金属へ逃避しているのは、ワシントンが引き起こしている経済の地殻変動に対する防衛策なのです。黄金時代の到来を謳う政権の主張とは裏腹に、現実はドルの崩壊と深刻なスタグフレーションの足音が近づいていると、ストックマン氏は警鐘を鳴らしています。

米イスラエル、侵略の罪

Trump Goes Amalek on Iran: Israelization of The US Military; Gazafication of Iran & Lebanon - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】作家のイラナ・マーサー氏は、ドナルド・トランプ大統領下での米軍の「イスラエル化」と、イランおよびレバノンに対する過激な軍事攻勢を痛烈に批判する論考を発表しました。記事によれば、トランプ政権は親イスラエル派の資産家や助言者を政権中枢に配し、国際法や主権を無視した「侵略の罪」を重ねています。これは単なる国家間の対立ではなく、個人の権利や道徳を破壊する「蓄積された悪」であると著者は断じています。特に、イスラエルがガザで行ってきた破壊の手法をイランやレバノンにも適用しようとする「ガザ化」の動きが顕著であり、米軍はその火力を提供することでこの動きを全面的に支援している現状があります。

トランプ氏の側近たちは、イランが核兵器を保有しているという嘘をメディアに流布し、かつてのイラク戦争前夜のような世論操作を行っていると指摘されています。しかし実態は、核を持たず何世紀も戦争を仕掛けていないイランに対し、未申告の核保有国であるイスラエルと米国が攻撃を加えるという不条理な構図です。現在、米国とイスラエルの共同作戦によってイランの都市や民間インフラが攻撃されており、白リン弾の使用や主要な石油施設への空爆により、現地の環境や市民の生活は壊滅的な打撃を受けています。国連難民高等弁務官事務所の報告によれば、すでに320万人のイラン人が家を追われ、数千の住宅が破壊されました。

イラン保健省のデータでは、2月後半からの攻撃で少なくとも1937人が殺害され、1万8000人以上が負傷していますが、この数字は刻一刻と増加しています。また、レバノンでも100万人以上が避難を余儀なくされ、国家としての限界点に達しつつあります。イスラエルは隣国に対して深刻な生存の脅威を与えており、西側のエリート層が戦術核兵器の使用の可能性を軽々しく論じている現状は、道徳的に極めて退廃していると著者は批判します。

イスラエルの真の狙いは、イランを主権国家として機能不全に陥らせ、定期的に空爆を繰り返すことができる状態にすることにあります。6000年から8000年の歴史を持つ文明国家であるイランに対し、略奪を哲学とする勢力が破壊を試みているのです。国際社会がこの組織的な犯罪に対して沈黙し、軍事的な予測ゲームに興じていることに対し、著者は強い憤りとともに、この文明破壊の試みが失敗に終わることを願うと結んでいます。

金下落が買い場の理由

Gold Pullback Sparks Debate as War Narrative Dominates Markets [LINK]

【海外記事より】2026年3月のマネーメタルズ・ポッドキャストにて、貴金属アナリストのジェフ・クラーク氏が昨今の金価格の下落と市場の動向について語りました。金価格は1月の高値から1000ドル以上値下がりしていますが、多くの市場関係者は、原油価格の上昇やインフレ懸念、そして米連邦準備理事会(FRB)が高金利を維持するとの観測がその要因だと見ています。しかし、クラーク氏はこうした見方に異を唱えます。地政学的な緊張が長期化し、経済成長を阻害する事態になれば、たとえ高インフレ下であってもFRBは利下げに転じる可能性があるからです。過去の2008年の金融危機やパンデミックの際にも、FRBは引き締めより緩和を選んできた歴史があります。現在の状況から金利上昇が不可避であると断定するのは、あまりに単純すぎると彼は指摘しています。

また、インフレへの懸念が広がる中で金が売られているという矛盾についても議論されました。本来、金はインフレヘッジとして機能しますが、現在は短期的なニュースに市場が過剰反応し、投げ売りが起きている側面があります。クラーク氏は、金鉱業セクターの収益性が依然として極めて高い点にも注目しています。業界平均の総維持コストが1オンス当たり1500ドル程度であるのに対し、金価格は平均4500ドルを超えており、利益率は66%に達します。これは利益率の高いアップルなどの企業さえも大きく上回る数字ですが、鉱山株の価格にはまだその収益性が十分に反映されていません。

金や鉱山株が株式市場に対してまだ本格的なブレイクアウトを果たしていない点も重要です。金価格は2000ドル台から4300ドル以上に上昇しましたが、ナスダックなどの指数と比較すると、相対的な価値はコロナ禍の時期と同水準に留まっています。これが大きく転換するには、株式市場の持続的な弱気相場が必要ですが、現時点では機関投資家の資金は依然として株式に留まっており、本格的な資金移動は起きていません。短期的な下落はレバレッジをかけたポジションの解消によって増幅されますが、これは強気相場の中での一時的な調整に過ぎません。

クラーク氏は、戦争などのニュースが市場を支配していますが、本質的な原動力は通貨価値の下落や解消されない債務問題であると述べています。現在の価格下落は投資家にとって絶好の買い場であり、資産の5%以下しか金を保有していない人々にとっては、ポジションを築く稀な機会となります。投資には規律が必要であり、荒波に備える船乗りのように、短期的な変動に動揺せず、長期的なファンダメンタルズに目を向けるべきです。債務の増大や通貨の希釈化という、以前から存在した金の上昇要因は今も何ら変わっていないというのが、この記事の結論です。

金かビットコインか

Schiff vs. Moss: Gold is the Superior Reserve Currency | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】経済論客として知られるピーター・シフ氏とマーク・モス氏による討論が行われました。シフ氏はその中で、金が優れた準備資産である理由と、ビットコインに対する懐疑的な見解を詳しく述べています。シフ氏によれば、現在、各国の中央銀行はドルの保有を減らし、密かに金へのシフトを進めています。その背景には、米国政府が通貨発行に頼らずに債務を返済できる能力への不信感、つまりドルに対する信頼の低下があります。金価格はかつて2000ドルから5000ドルまで上昇し、現在は4400ドル付近で推移していますが、これは中央銀行がドルの購買力喪失を警戒し、実物資産である金へ資金を移動させている証左だといいます。

シフ氏は、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを先送りしたり、わずかな利上げを行ったりしたとしても、金にとっては必ずしもマイナスではないと主張します。なぜなら、2026年にはインフレが激化し、実質金利が崩壊すると予測されるためです。通貨の最も重要な特性は、交換手段や計算単位としてだけでなく、それ自体に独立した用途を持つ商品であることです。金はこの条件を満たしていますが、ビットコインには固有の価値がなく、単なる投機的な収集品に過ぎないと彼は指摘します。

興味深いことに、シフ氏はテクノロジーの進化が金の通貨としての価値をさらに高めると述べています。ブロックチェーンやインターネットを活用して金をトークン化すれば、分割や持ち運びが容易になり、現代においてこれまで以上に優れた通貨として機能するようになるからです。一方で、ビットコインは法定通貨と同様に本質的な価値を持たず、その価格は利用者の信念や自信のみに基づいています。工業用や装飾用としての実需に裏打ちされた金とは異なり、ビットコインには価格はあっても価値はないというのが彼の持論です。

また、シフ氏はビットコインを「デジタル・ゴールド」と呼ぶことに強く反対しています。金とビットコインの間には共通点がなく、むしろ価格変動は逆相関になることさえあるため、ビットコインは金とは正反対の性質を持つ資産だといいます。ハンバーガーの画像が本物の食べ物ではないのと同様に、ビットコインも金にはなり得ません。現在の仮想通貨需要は、将来より高い価格で誰かに売却して富を得ようとするコレクターたちの心理によって支えられているに過ぎないと、シフ氏は冷静に分析しています。

時代遅れの地政学戦略

Think Again: Blaming Israel Is Too Easy - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】イスラエルのガザやレバノンでの行動を理由に、同国を非難することは容易ですが、より困難で精査すべき課題は、その背後にあるアメリカの深刻な戦略的停滞です。著者のジェフリー・ロバートソン氏は、この停滞は単なる政治的な問題ではなく、知的な問題であると指摘しています。それは、マハンの海上権力論からキッシンジャーの勢力均衡、ブレジンスキーの「大いなるチェス盤」としてのユーラシア観に至るまで、欧米の戦略家たちが受け継いできた伝統に根ざしています。これらの伝統に共通するのは、海洋国家であるアメリカは、ユーラシア大陸において支配的な勢力が統合されることを阻止しなければならないという仮定です。この枠組みはかつて一貫性を持っていましたが、現代においては時代遅れになっています。

歴史的にユーラシアの支配権は、大陸帝国がその経済力や軍事力に応じて争ってきました。近代の海洋戦略は、これら大陸システムのいずれかが永続的な支配を達成するのを防ぐための、外部からの均衡ロジックとして誕生しました。その結果、ユーラシアの周辺部が決定的な舞台となりました。この視点に立てば、世界は一連の圧力点として映ります。朝鮮半島、ウクライナ、中東、中央アジアなどは、孤立した危機ではなく、海洋国家の力が大陸内部に押し寄せている構造的な断層線です。特にイランは、エネルギー回廊や貿易ルートが交差する決定的な中間国家であり、海洋勢力による封じ込めの対象となっています。

ウクライナや韓国、そしてイランで見られる不安定さは、それらの国々の問題というよりも、台頭する大陸の覇権国と、衰退する海洋の調整役が衝突している摩擦点としての症状です。アメリカの相対的な衰退により、この海上均衡戦略を維持できなくなったとき、何が起こるかを考える必要があります。大陸の力が相対的に強まれば、周辺部は介入と断片化の場から安定へと向かい始めます。大陸勢力は一貫性と接続性を求めるため、貿易ルートの統合や境界の正常化が進み、危機よりも調和へと傾く傾向があるからです。

イスラエルはかつて英国の海上権力の絶頂期に誕生しましたが、現在はユーラシア周辺の戦略的拠点で海上支配を維持しようとするアメリカの最後の試みに協力しています。しかし、これはもはや有効な戦略ではなく、維持条件を失った古い教義の継続に過ぎません。イランを巡る混乱をイスラエルの策略のせいにするのは簡単ですが、海洋戦略という時代遅れの枠組みに固執し、他国を道具として利用してきたアメリカ自身の責任を直視することこそが重要であると、著者は結んでいます。

戦地へ、イスラエルのために

Join The US Military - Kill And Die For Israel [LINK]

【海外記事より】アメリカ軍の兵士たちが、自国の安全保障とは無関係な外国の利益のために、不当な戦争に投入されているという批判的な視点の記事をご紹介します。トランプ大統領による対イラン政権交代戦争への加担は、これまでに少なくとも13名のアメリカ兵の命を奪い、200名以上の負傷者を出しました。記事の著者ブライアン・マクリンチー氏は、元陸軍将校の立場から、兵士たちは憲法に違反した侵略戦争の犠牲者であり、大統領や統合参謀本部による裏切りの被害者であると述べています。

今回の軍事作戦「壮絶な怒り」は、過去の多くの戦争と同様、誤った前提に基づいて開始されました。アメリカとイスラエルは、イランが核兵器を開発していると主張していますが、アメリカの情報機関は2007年以降、イランが核開発を停止しているとの評価を維持しており、2025年3月にもその結論を再確認しています。また、2015年の核合意から先に離脱したのはアメリカ側であり、イランは合意を遵守していました。記事は、イランが核拡散防止条約(NPT)に加盟し検査を受け入れてきた一方で、イスラエルはNPTへの加盟を拒否し、約200発の核弾頭を保有していると指摘しています。この状況は、米国内法に照らせば、イスラエルへの援助自体が違法となる状況であると述べています。

戦略的な視点から見ると、この戦争の本質は核問題やテロ対策ではなく、周辺諸国を弱体化させ、分裂させることで中東での支配権を確立しようとするイスラエルの長期的な計画の延長線上にあります。イランは、イスラエルの覇権に対抗する勢力を支援してきましたが、アメリカやイスラエルによるイラン攻撃では、初日に弾道ミサイルで破壊された学校の女子児童150名を含む、多くの無辜の民間人が犠牲になっています。

さらに、この戦争の影響は中東地域に留まらず、世界的な大惨事を引き起こすリスクを孕んでいます。ホルムズ海峡の封鎖により、石油やガスの供給不足と価格高騰が起きており、アジア諸国ではすでに燃料の配給制や経済活動の制限が始まっています。また、肥料成分の供給停止による食料価格の上昇や、医薬品供給の停滞も懸念されています。記事は、アメリカ兵が憲法を守るという誓いとは裏腹に、議会の承認なき不当な戦争の歯車として利用され、自国の安全を損なう結果を招いていると警鐘を鳴らしています。

ペトロ人民元の誕生

New World Busy Being Born While Old One Is Busy Dying - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】トランプ政権がイランに提示した15項目の和平案は、事実上の「降伏勧告」であり、すでに破綻していると言わざるを得ません。この案はイラン国内でのウラン濃縮の完全停止や核施設の解体、ミサイル開発の制限などを一方的に要求する一方で、見返りは制裁再発動の脅威をなくすという曖昧なものに留まっています。これに対し、イランはペルシャ湾からの米軍基地撤去や全制裁の解除、さらには戦争被害の賠償を求めるという厳しい条件で対抗しており、両者の溝は埋まるどころか、エスカレーションの歯車が回り続けています。

こうした激しい対立の裏で、世界経済の枠組みを根底から覆すような変化が起きています。イランは制裁下にもかかわらず、石油生産量を日量150万バレルまで増やし、その大半を中国へ高値で販売しています。決済は米ドルを介さない代替手段で行われており、実質的に制裁は無効化されています。さらに衝撃的なのは、世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡に、イランの革命防衛隊が独自の「通行料徴収所」を設置したことです。現在、この海峡を通過するタンカーは、1隻につき200万ドルの通行料を、米ドルではなく人民元や暗号資産で支払うよう求められています。

この「ホルムズ海峡の民営化」とも言える仕組みは、単なる資金稼ぎではありません。米国と関わりのない国や、中国、インド、ロシアといった「友好国」には通行を認め、日本や韓国のような国には依然として許可を出さないという選別が行われています。ここで人民元による決済、いわゆる「ペトロ人民元」が定着したことは、長年続いた米ドル支配の決済システムに対する強力な代替手段が、戦火の中で誕生したことを意味します。各国のタンカーが支払う通行料は、米ドルの覇権や国際決済ネットワークのSWIFTを一度にバイパスするものであり、脱ドル化の動きをかつてないスピードで加速させています。

この戦いは、ロシア、イラン、中国の3カ国による強力な戦略的パートナーシップをより強固にしました。ロシアはエネルギーを供給し、中国はそれを人民元で買い、その人民元は上海の市場で現物の金に交換されるという、「エネルギーと金を結ぶ決済網」が完成しつつあります。一方で、カタールをはじめとする湾岸諸国はエネルギーインフラに甚大な被害を受けており、世界経済の崩壊を防ぐために米ドル市場から多額の資金を引き揚げる可能性も指摘されています。多極化する新しい世界の秩序は、会議室での話し合いではなく、今まさにこの戦場での攻防を通じて、現実のものとして形作られようとしています。

強まる地上戦シナリオ

Boots on the Ground as Israel Sabotages Trump’s 15 Point Peace Plan - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領が提示した15項目の和平案をイスラエルが事実上拒絶し、イランへの地上軍派遣という最悪のシナリオが現実味を帯びている状況について、カート・ニモ氏の報告をまとめます。米軍元高官の中には、イランのハーグ島を制圧すべきだという強硬論を唱える者もいますが、専門家はこれに警鐘を鳴らしています。イランは無人機やミサイルによる反撃を辞さない構えであり、地上戦に踏み切れば数千人のアメリカ兵が犠牲になり、紛争は何年も泥沼化する恐れがあるからです。しかし、トランプ大統領はすでに2,200人規模の海兵隊遠征部隊を西アジアへ派遣することを決定しました。

トランプ大統領は、イランの核開発解体や代理勢力への支援停止、ホルムズ海峡の再開などを盛り込んだ15項目の和平案を提示しましたが、イラン側はこれを即座に拒絶しました。イランは逆の提案として、ペルシャ湾からの米軍基地撤去や制裁解除、ホルムズ海峡における自国の権限承認などを要求しています。イラン当局は、自国の条件が満たされるまでイスラエルや米軍基地への攻撃を継続すると宣言しており、もしアメリカが地上軍を投入すれば、アラブ首長国連邦やバーレーンの沿岸部に侵攻し、紅海のバブ・エル・マンデブ海峡にも新たな戦線を拡大すると警告しています。

事態をさらに複雑にしているのが、イスラエルのネタニヤフ首相の動きです。ネタニヤフ首相は、アメリカが妥協点を見出してイラン攻撃を止めてしまうことを恐れ、逆に攻撃を加速させるよう自国軍に命じました。イスラエルの真の狙いは、単なる核開発の阻止にとどまらず、1996年の政策文書「クリーン・ブレイク」に記されているような、イランを含む周辺諸国の不安定化と崩壊にあると著者は指摘します。かつてウェズリー・クラーク元将軍が証言した「5年で7カ国を壊滅させる」という米政権内の旧計画において、イランはその最終的な標的とされてきました。

現在、トランプ大統領が戦争を終結させるための出口を必死に探っている一方で、ネタニヤフ首相とアメリカ国内のイスラエル支持勢力がその動きを妨害している構図が浮き彫りになっています。イスラエル軍は和平案が提出された直後にもイランの重要拠点への攻撃を強化しており、同時にレバノンでの緩衝地帯拡大、事実上の併合も進めています。アメリカがイランとの全面的な地上戦に引きずり込まれるリスクは、かつてないほど高まっています。

トルコが金売却

Turkey Sells 60 Tonnes of Gold to Backstop Lira [LINK]

【海外記事より】イラン戦争の開始以降、金価格に下落圧力がかかっている理由の一つとして、トルコが自国通貨リラの買い支えを目的に計60トンの金を売却およびスワップ取引に投じた動きが報じられています。戦争の影響でエネルギー価格が急騰し、市場が混乱する中で、投資家は株式や債券を売却して現金、特に米ドルへと資金を移動させています。こうしたドル高の進行に対し、一部の中央銀行は自国通貨を安定させ、高騰する石油代金を支払うための資金を確保するため、保有資産の売却を余儀なくされているのが現状です。

トルコ共和国中央銀行は、これまで23ヶ月連続で金の保有量を増やし続けてきた、世界でも有数の買い手でした。しかし、ブルームバーグの分析によれば、2026年3月のわずか2週間ほどで約80億ドル相当の金準備を取り崩しました。その手法は、現物の一部を直接売却するだけでなく、大半をスワップ協定の担保として活用するものです。これは金を担保に米ドルを安く借り入れる手法であり、中央銀行が緊急時の資金調達として用いる一般的な手段です。戦争によるエネルギー価格の上昇は、石油取引に不可欠な米ドルへの需要を高め、リラへの下落圧力を強めています。トルコ当局は金を外貨に替え、その外貨でリラを買い戻すことで、リラ相場の下落を食い止めようとしています。

専門家は、今回の戦争によって他国の中央銀行も同様に金準備を取り崩す可能性があると指摘しています。興味深いのは、トルコがこれまで米ドルへの依存を減らす「脱ドル化」のために金を蓄積してきたという点です。ドルの制裁リスクを避けるために金を買ってきた国が、皮肉にも緊急事態においてドルを借りるための担保としてその金を使わなければならないという現実は、依然として米ドルが国際貿易を支配していることを物語っています。

しかし、著者はこの「脱ドル化」の中断はあくまで一時的なものだと分析しています。今回のような「ドル建ての緊急事態」を避けたいという動機が、長期的には各国の中央銀行をさらに金保有へと向かわせる可能性があるからです。現に、インドによる非ドル建ての石油取引が増加するなど、ペトロダラーの枠組みを回避する動きも見られます。今回のトルコの行動は、金がいざという時の最終的な守り神であり、世界中の誰もが欲しがる唯一無二の資産であることを改めて証明したと言えるでしょう。

2026-03-27

「非愛国保守」というレッテル

‘Unpatriotic Conservatives’ Redux - The American Conservative [LINK]

【海外記事より】イランとの戦争が影を落とす中、言論界では「知的不誠実」の最たる形態が再燃しています。それは、戦争に反対する保守派を「反愛国主義者」と決めつける手法です。

約4分の1世紀前、イラク戦争の開始時にデビッド・フラム氏が「非愛国的な保守派」と題した記事を発表し、戦争に異を唱える保守派を激しく攻撃しました。現在では、イラク戦争が虚偽の口実に基づいた過ちであり、膨大な犠牲者と混乱を生んだことは共通認識となっています。当時、命懸けで警告を発した人々は正しかったことが証明されました。しかしフラム氏は、彼らの反対理由を緻密な分析によるものではなく、単なる「国への憎しみ」や「ネオコンへの個人感情」にすり替え、彼らを保守の枠組みから排除しようとしました。

驚くべきことに、この歴史の屑籠に捨てられるべき論法を、現代のインフルエンサーであるベン・シャピーロ氏らが再び持ち出しています。シャピーロ氏は、イラン戦争に反対する人々を「米国を陥れようとする臆病者で嘘つき、米国を蔑む者たちの連合」と表現しています。さらに、反対派が左派と同じ主張をしているとして「蹄鉄形右翼」と呼び、彼らを「真の保守ではない」と攻撃しています。これはフラム氏がかつて使った、反対派を「左派やイスラム主義者と同盟を組んでいる」と中傷した手法の焼き直しに過ぎません。

しかし、歴史的に見れば、外国への不干渉主義こそが米国の深い保守主義の伝統です。建国の父たちが残した共和国を守り、米国が世界を支配する帝国へと変貌して自らの精神を失うことを防ごうとした政治家たちの系譜こそが、真の保守といえます。シャピーロ氏やマーク・レビン氏といった主戦派は、保守というラベルを自称しながらも、実際には米国の歴史的伝統から完全に切り離されています。

かつてのイラク戦争とは異なり、現在のイラン戦争を支持する米国民はわずか27%に過ぎません。当時、反対派は少数派として「変わり者」扱いできましたが、今や国民の大多数が戦争に疑問を抱いています。これほど多くの国民を「米国を蔑んでいる」と切り捨てる論理には無理があります。レビン氏にいたっては、不干渉を説くタッカー・カールソン氏やスティーブ・バノン氏を「敵を助けている」と罵倒していますが、こうした攻撃は、自らの主張の正当性を議論で示せないがゆえの個人攻撃に他ならないと記事は批判しています。

偽りのキリスト教

Pete Hegseth’s Christianity Is Not the Christianity of the Bible - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】米国のピート・ヘグセス国防長官が掲げる「キリスト教」は、聖書が教える本来の信仰とはかけ離れた異端的なものであると、チャック・ボールドウィン牧師が厳しく批判しています。ヘグセス氏は自らを中世の十字軍になぞらえ、イスラム教徒を「異教徒」として殲滅することを神から授かった使命であるかのように語っています。彼は「殺せ、殺せ、殺せ」という言葉を使い、国際法や憲法、さらには交戦規定までもが不要であると主張しています。

その危うい思想は、すでに凄惨な結果を招いています。イランとの戦争が始まった初日、ヘグセス氏の指揮下で、6歳から12歳の罪のない女子児童170人が犠牲となる小学校への空爆が行われました。これは1968年のベトナム戦争におけるソンミ村虐殺事件以来、米軍による最悪の民間人虐殺とされています。軍首脳部は、民間人の犠牲を抑えるための監視部門を削減しないよう事前に警告していましたが、ヘグセス氏は「交戦規定は愚かだ」として、200人いた担当職員を40人未満に減らし、作戦の適法性を助言する法務官も解雇しました。当局はこの空爆を「誤爆」としていますが、標的となった学校がイラン革命防衛隊の将校の子女が通う場所であることを米軍は以前から把握しており、意図的な攻撃であった疑いも指摘されています。

ヘグセス氏のような「キリスト教ナショナリスト」や「キリスト教再建主義者」は、新約聖書におけるキリストの愛や許しの教えを拒絶し、旧約時代の殲滅戦を現代に再現しようとしているとボールドウィン氏は述べています。聖書は「平和をつくる者は幸いである」と説き、武器ではなく精神的な戦いを求めていますが、ヘグセス氏は詩編の言葉を引用して自身の好戦性を正当化しています。しかし、その排他的な狂信主義は、世界中の人々を米国から離反させ、罪のない人々の血を流す結果しか生んでいません。

著者は、ヘグセス氏は戦犯として裁かれるべきであり、これ以上の民間人の犠牲や、米国を破滅的な世界戦争に引きずり込むリスクを避けるためにも、直ちに解任されるべきであると強く訴えています。彼のような狂信的な思想が国防の枢枢にあることは、キリスト教の教えに対する背信であるだけでなく、人類の生存に対する深刻な脅威となっているのです。

不安定な世界の投資戦略

Actionable Ways to Profit, Protect Your Wealth, and Expand Your Freedom in an Unstable World - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】投資家のダグ・ケイシー氏は、現在の世界を17世紀の魔女裁判や1930年代の集団心理状態になぞらえ、極めて不安定で理性を欠いた時代であると分析しています。英国では発言内容を理由に1万人以上が訴追され、欧米では「ウォーク主義」という集団催眠が蔓延し、中東では交渉中の不意打ちから無謀な戦争が始まるなど、既存の秩序が崩壊しつつあると指摘します。このような狂気から身を守るためには、非合理的な人々や不安定な場所から物理的に距離を置くことが重要であり、大都市を避け、法定通貨や債券への露出を制限すべきだと提言しています。

投資戦略についてケイシー氏は、これまでの「金と石油株」という単純な図式から一歩踏み込んだ視点を示しています。金価格は一時5500ドルから4400ドル付近まで調整しましたが、これは「大恐慌」と「第三次世界大戦」が懸念される文脈では通常の変動に過ぎず、強気相場は終わっていません。特に主要な産金株は、株価収益率が8倍から20倍程度とS&P500平均より大幅に割安であり、一般の投資家が注目していない今こそ、資源採掘ビジネスやエネルギー株に妙味があるとしています。また、AI関連などのテクノロジー株はバブルの状態にあると警告し、過度なハイテク依存への注意を促しています。

さらに同氏は、食料価格の高騰を見据えた具体的な商品投資にも言及しました。トウモロコシのETF(CORN)や、肥料価格の影響を強く受ける米などが、他の金融資産に比べて歴史的な安値にあると述べています。現在の環境では、単に貯蓄するだけでは通貨価値の下落によって資産が目減りするため、政府の行動による市場の歪みを予測して利益を得る「投機家」にならざるを得ないのが実情です。ただし、投機はギャンブルとは異なり、徹底した調査に基づくべきものであると強調しています。

最後に、最大の政治的リスクへの備えとして、海外に拠点を確保することを勧めています。歴史上、ロシアや中国、ドイツなどで起きた悲劇はどこでも起こり得るものであり、政府を「友」ではなく「乳牛から搾り取る存在」と見なす冷徹なマインドセットが必要だとしています。不安定な世界で生き残るためには、コモディティ(商品)を長期保有し、国家による資産没収や監視から逃れるための「選択肢」を増やしておくことが、個人の自由を守る鍵になると締めくくっています。

プラチナ系に需要上積み

Slowdown in Electric Vehicle Transition Boosts Platinum Group Metal Optimism [LINK]

【海外記事より】電気自動車(EV)への移行ペースが鈍化していることを受け、白金族金属(PGM)市場に楽観的な見方が広がっています。プラチナやパラジウムは、ガソリン車やディーゼル車の排ガス浄化装置である触媒コンバーターに不可欠な素材です。自動車産業はプラチナ需要の40%から50%、パラジウム需要に至っては80%から90%を占めており、業界全体でPGMの約60%を消費しています。先週ヨハネスブルグで開催された業界会議では、昨年の危機的なコスト削減ムードから一転し、慎重ながらも前向きな姿勢が目立ちました。その背景にあるのが、当初の予想を上回るハイブリッド車(HV)の普及です。

数年前までの予測では、内燃機関車からバッテリー式EV(BEV)への急速な転換が進むと考えられていました。しかし実際には、EVへの移行は想定より緩やかに進んでおり、一方でハイブリッド車の生産が拡大しています。ハイブリッド車は従来のガソリン車と同等、あるいは走行条件によってはそれ以上のPGMを必要とします。かつてハイブリッド車は一時的な「橋渡し」の技術と見なされていましたが、最新のデータでは、今年のハイブリッド車の世界生産台数は前年比12%増の2630万台に達し、自動車生産において持続的な貢献を果たすことが示唆されています。

この変化には、各国の政策転換も大きく影響しています。米国では排出ガス基準の緩和やEV購入補助金の打ち切りにより、電動化のスピードが落ちており、これが内燃機関やハイブリッド車のシェア維持につながっています。世界最大の自動車生産国である中国でも、EVの成長が落ち着きを見せる中でハイブリッド車がシェアを伸ばし、生産の27%を占める見通しです。また、欧州でもドイツなどでEV補助金が廃止されたほか、2035年の排出ガス規制が見直され、内燃機関車の完全廃止から二酸化炭素削減目標への変更が検討されるなど、ハイブリッド車の生産を後押しする動きが出ています。

こうした動力移行予測の下方修正により、2026年には約78万オンスのPGM需要が上積みされると試算されています。昨年の貴金属相場の上昇局面で、プラチナは92%、パラジウムは65%の価格上昇を記録しましたが、ガソリン車時代の終焉という「暗雲」が業界を覆っていました。しかし、電動化への道筋が地域ごとに多様化し、複雑な市場環境が続く中で、触媒を必要とする車両のシェアが予想以上に維持されるという見通しが、PGM市場に新たな活力を与えています。

株高は有能の証し?

Now that the Dow has Dropped, Can AG Pam Bondi Answer Questions? - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】米国議会の公聴会において、政府高官が質問をはぐらかす光景は珍しくありませんが、パム・ボンディ司法長官が2026年2月11日に行った振る舞いは、その回避を新たな次元へと押し進めるものでした。司法省の監視を目的とした下院司法委員会の公聴会に出席したボンディ氏は、当局の業務に関する質問に答える代わりに、トランプ大統領がもたらした「経済的奇跡」を称賛すべきだと主張しました。その根拠として彼女が強調したのが、ダウ平均株価が5万ドルの大台を突破したという事実です。彼女は「4年でも不可能と言われたことを、大統領はわずか1年で成し遂げた」と誇らしげに語りました。

しかし、株価は一人の指導者の行動だけで決まるものではなく、株高が必ずしも経済の健全性を意味するわけでもありません。事実、過去の歴史を振り返れば、株価の史上最高値更新は大きな経済後退への転換点となることが多く、その後の暴落で数年前の水準まで逆戻りすることも珍しくありません。トランプ政権の2期目最初の12か月間において、主要株価指数が上昇したことは確かですが、これは決して異例なことではありません。過去25年間、歴代大統領の就任1年目に株価が下落したことはなく、今回の指数の上昇率は、オバマ氏の2期やトランプ氏の1期目、バイデン氏の任期における1年目の実績を下回っています。このように比較してみると、ボンディ氏が実績として強調した内容は、むしろ過去と比べて見劣りするものだったと言えます。

ボンディ氏がダウ5万ドルを誇ったのは、わずか1週間足らずの短期間の出来事でした。彼女が公聴会で証言した直後から、市場は下落に転じています。3月20日には、ダウ平均株価は4万5577ドル台で取引を終え、2月の最高値から9%以上の下落を記録しました。さらに投資家のピーター・シフ氏が指摘するように、ダウが5万ドルを超えていた時点でさえ、金価格で換算した株価は就任時より40%も下落していました。インフレの影響を考慮すれば、トランプ政権下の名目上の利益はすでに消失しつつあります。株価が下落した今、ボンディ氏は再び議会に戻り、今度こそ逃げずに質問に答えるべきですが、彼女はまた別の言い訳を用意して回避を続けるのかもしれません。

石油取引でドル回避

India Increasingly Using Dollar Alternatives for Oil Purchases [LINK]

【海外記事より】インドが石油取引において米ドルを回避する動きを強めています。現在、中東での戦争によって世界の原油供給が圧迫される中、米国はインドに対し、制裁下にあるロシア産石油の購入を認める免除措置を与えてきました。しかし、この免除が2026年4月11日に期限を迎えることを受け、ロシアの精製業者はより持続可能な決済手段を模索しています。関係筋によれば、インドの顧客がルピーを海外口座に預け、それを人民元やUAEディルハムに換算して決済する仕組みが広がっています。取引銀行の判断により、シンガポールドルや香港ドルが使われるケースもあり、インドは免除開始以来、すでに6000万バレルのロシア産石油をこの方法で購入したと報じられています。

こうした動きは、長年続いてきた「ペトロダラー」体制に新たな亀裂を生じさせています。ドイツ銀行は、現在の紛争がドル支配を侵食し、「ペトロ人民元」の始まりを加速させる触媒になり得ると警告しました。ペトロダラーとは、1970年代にサウジアラビアが石油取引をドルで行うことに合意したことで確立された、ドルを基軸通貨とする仕組みのことです。世界中の国々が石油を買うためにドルを必要とすることで、ドルに対する一定の需要が保証され、それが米国の巨額の赤字財政や国債発行を支えてきました。しかし、脱ドルの動きが進めば、この「捕獲された市場」が失われることになります。

脱ドルの加速は、米国経済に深刻な影響を及ぼす可能性があります。現在、世界各国はドルの「武器化」や米国の財政的な無責任さ、そして39兆ドルを超える膨大な債務への懸念から、ドルへの依存を減らそうとしています。もし世界が貿易にドルを必要としなくなれば、ドルの需要は急落し、価値の暴落を招きます。また、米国債の金利が急騰すれば、すでに国防費やメディケア(高齢者向け医療保険)の予算を上回るほど膨れ上がっている利払い費がさらに増大し、政府の財政運営は立ち行かなくなります。石油取引における通貨の多様化は、単なる決済手段の変更にとどまらず、ドルの基軸通貨としての地位と米国経済の根幹を揺るがす事態となっているのです。

米国という国際連続殺人犯

How the US Became an International Serial Killer - Antiwar.com [LINK]

【海外記事より】米国が数十年にわたり、秘密裏の暗殺計画から「標的型殺害」を公然たる政策として採用するに至った経緯と、その危険性についてメデア・ベンジャミン氏らが指摘しています。2026年3月17日と18日、米国とイスラエルはイランの最高国家安全保障委員会事務局長アリ・ラリジャニ氏を含む高官3名を空爆で殺害しました。この攻撃ではアパートも破壊され、100人以上の市民が犠牲になっています。ラリジャニ氏は数学や哲学の博士号を持ち、欧米との交渉でも現実的な役割を果たしてきた人物でした。彼のような穏健な交渉相手を殺害したことは、米国側に和平の意思がないこと、あるいは戦争を継続させるために意図的に「出口」を塞いだ可能性を示唆しています。

この記事は、こうした暗殺が米国の法律や国際法に明確に違反していると強調しています。米大統領令12333号は政府関係者による暗殺への関与を禁じており、ハーグ条約やジュネーブ条約もこれを認めていません。しかし、9.11以降、米国はこれらの制約を回避してきました。ラムズフェルド元国防長官による「マンハント(人間狩り)」の提唱や、イスラエルによる暗殺部隊の訓練を経て、標的型殺害は常態化しました。オバマ政権下でのドローン攻撃の急増は、この傾向をさらに加速させ、現在では抑制の言葉すら消え、殺傷能力を公然と誇示するまでになっています。

こうした一連の行動は、米国が自ら維持を主張する国際法秩序を根底から壊すものです。イランは長年、経済制裁や脅威に対して自制を保ちながら防衛力を蓄えてきましたが、ついにその対抗手段を講じる段階に至りました。コロンビアのペトロ大統領が警告するように、国際社会がこうした米国の戦争を阻止できなければ、人類は野蛮な時代へと逆戻りすることになります。米国は、不法な暴力の道を突き進むのか、それとも国連憲章が求める外交と平和的共存を受け入れるのかという、生存に関わる重大な選択を迫られていると筆者らは結んでいます。

金、長期では強気維持

A “Gold Bear” in a Bull Market? Setting the Stage [LINK]

【海外記事より】貴金属投資の分析で知られるマイク・マハレイ氏は、最新のポッドキャスト番組で、短期的には金(ゴールド)に対して弱気な見通しに転じたという意外な告白をしました。これは金に対する信念を変えたわけではなく、現在の市場の現実を客観的に認識した結果です。現在、市場を動かしているのはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)ではなく、一時的な心理状態やセンチメントであると同氏は指摘しています。長期的な強気シナリオは維持しつつも、足元では恐怖心や流動性への圧力、中央銀行の政策に対する期待が価格形成を左右しているのが現状です。

金価格は最近、地政学的緊張を背景に1オンスあたり5,400ドルを超えて急騰しましたが、その後4,000ドル前後を試すほど急激な調整に見舞われました。マハレイ氏はこの下落を、金固有の問題ではなく、市場全体の「すべてを売る」という動きの一環であると分析しています。イラン紛争などの戦争に関連した不確実性に反応し、投資家は株式や債券も手放して現金へと逃避しており、米ドルの独歩高が続いています。このような局面では、金の安全資産としての役割が一時的に抑えられてしまいますが、これは2008年の金融危機や2020年のパンデミック時にも見られた典型的なパターンです。

現在、金の下落を招いている主な要因は、原油価格の上昇に伴うインフレ懸念と、それに対抗するための米連邦準備理事会(FRB)による高金利の維持、あるいは追加利上げへの期待です。利息を生まない金にとって高金利は逆風となるため、本来なら金に追い風となるはずのインフレ懸念が、逆に価格を押し下げるという逆説的な状況が生じています。マハレイ氏は、市場がインフレそのものではなく、FRBの次の一手に過剰に反応していると批判しています。また、民間信用市場での流動性不足により、投資家が証拠金維持のために最も換金性の高い金を手放さざるを得ない状況も、下落に拍車をかけています。

しかし、マハレイ氏は長期的な視点では依然として圧倒的に強気です。米国の債務は39兆ドルを超え、戦時下の政府支出拡大がドルの安定性を損ない続けています。FRBはいずれインフレ対策か経済支援かの選択を迫られ、最終的には利下げや通貨安を招く経済支援を優先すると同氏は予測しています。欧米市場が弱気に傾く一方で、アジアの投資家は現物資産としての金を蓄え続けており、物理的な需要は依然として強固です。現在の価格下落はあくまで戦術的な調整であり、債務拡大や通貨価値の低下といった構造的な要因は変わっていないため、長期的な投資家にとってはむしろ好機となり得ると締めくくっています。

戦争の扇動者たち

Today’s Handmaidens of War - The American Conservative [LINK]

【海外記事より】2026年2月28日に開始された米国とイスラエルによる対イラン戦争を巡り、かつてのイラク戦争時と同様、泥沼化する事態を正当化しようとする「戦争の扇動者たち」の存在が浮き彫りになっています。軍事戦略や地政学の専門家が、制御不能なエスカレーションの連鎖に警鐘を鳴らす一方で、政治・軍事工作に深く関わる勢力は、メディアを通じてこの惨状を合理化するためのメッセージを発信し続けています。彼らの顔ぶれは、保守系メディアやSNSで活動するイデオロギーの信奉者から、国防産業と密接なつながりを持つ国家安全保障の専門家まで多岐にわたります。

保守層の間で不協和音が生じている中、リンゼイ・グラハム上院議員やベン・シャピーロ氏といった強硬派は、異論を唱える者を「裏切り者」や「反米」と呼び、一層激しい口調で戦争を支持しています。マーク・レヴィン氏は、かつてのルーズベルト大統領の言葉を引用し、反戦の声を敵に利益を与える行為だと非難しました。また、一部の学者は、トランプ大統領の戦略を「高度な軍事的知略」であると称賛し、たとえ地域的な紛争が拡大しても、それはイランを追い詰めるための勇敢な外交的手段であると主張しています。

さらに、ハドソン研究所のようなシンクタンクの専門家は、イランの兵器製造能力はすでに破壊されており、現状は米国にとって順調であるとの楽観論を展開しています。しかし実際には、イランのミサイル攻撃によって湾岸地域の石油・ガス施設が打撃を受け、世界的な景気後退のリスクが高まっているのが現実です。こうしたシンクタンクの多くは、国防関連企業から多額の資金提供を受けていることが指摘されています。

メディアに頻繁に登場する退役将軍たちの分析にも注意が必要です。例えば、ジャック・キーン元大将は、イラク戦争以来メディアで戦争を支持し続けていますが、彼は軍事技術関連の投資に携わり、大手国防企業の取締役も務めています。同様に、イスラエルによる暗殺や政権交代を支持する元海軍中将も、ロッキード・マーティン社や防衛テック企業の重役を歴任しています。彼らにとって、戦争が長期化することは経済的な利益に直結しており、その分析は現実から乖離していることが少なくありません。こうした扇動者たちは、忍耐強く待ちさえすれば新しい地域秩序が生まれると説きますが、それはかつての失敗を繰り返す無責任な主張に過ぎないと記事は結んでいます。

真の脅威はインフレ

Peter Schiff: War Spending is a Bigger Threat than Iran | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】ピーター・シフ氏は自身のポッドキャスト番組で、現在の米国政府による戦争支出の急増と、それに対する市場の反応について見解を述べました。シフ氏は、米国人にとっての真の脅威はイランのような外国勢力ではなく、国内で積み上がる債務とインフレであると警告しています。番組の中で同氏は、政府が戦争費用をどのように賄うのかという問いに対して、当局者が回答を避けていることを批判しました。増税や歳出削減を行わないのであれば、残された選択肢はさらなる借金しかありません。すでに年間数兆ドルの借入を行っている中で、さらに数千億ドルを上乗せすることは経済にとってシステム的な脅威になると指摘し、最大の敵は首都ワシントンにいると主張しています。

また、シフ氏は現政権の政治的な発信に対しても強い不信感を示しています。トランプ政権の閣僚や当局者の発言を鵜呑みにすべきではなく、メディアや市場もそれらを慎重に見極める必要があると述べています。同氏によれば、大統領の発言は価格を動かすための市場操作の一種である可能性があり、事実に基づいているとは限らないからです。特に、中東での戦争が長引けば連邦準備理事会による利下げが遠のくという見方が市場にはありますが、シフ氏はこれを否定しています。FRBが金利を据え置いている間もインフレは悪化し続けるため、名目金利が変わらなくても実質金利は下がり続けます。金利がつかない資産である金にとって重要なのはこの実質金利であり、現在の無謀な財政環境において金は有効なヘッジ手段になると強調しました。

最後に、シフ氏は現政権の姿勢に潜む皮肉を指摘しました。かつてトランプ氏は、当時のオバマ大統領が自身の失政や経済の弱さから目をそらすためにイランと戦争を始めるだろうと繰り返し批判していました。しかし現在、トランプ氏自身が戦争を始めることで、物価上昇などの経済的問題を戦争のせいにする口実を得ようとしているのではないかと分析しています。かつて他者の手法として批判していた「経済の弱さを隠すための気晴らしとしての戦争」を、自ら実行している可能性があるという見方を示しました。同氏は、こうした政治的な動きに惑わされることなく、健全な通貨と金による資産防衛の重要性を改めて説いています。

2026-03-26

戦争と道徳

War and Morality - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】アンドリュー・ナポリターノ元判事は、トランプ大統領が現在進めているイランとの戦争について、道徳的、憲法的、そして法律的な観点から「不当である」と厳しく断じています。ナポリターノ氏は、戦争とは国家による組織的かつ無差別な殺戮であり、本来、政府は自衛のために必要不可欠な事実を公に示す重い責任を負うべきだと説いています。しかし、今回の対イラン戦争において、政権側はアメリカに対する「差し迫った脅威」を何ら証明できていません。

憲法上の手続きにおいても、宣戦布告の権限は議会にのみ帰属しますが、トランプ氏は議会の承認を経ずに独断で軍事行動を開始しました。これは、建国の父ジェームズ・マディソンが危惧した「戦争を宣言する権限と遂行する権限の一致」を招き、大統領を独裁的な「君主」に変貌させる行為であると批判しています。さらに、イランが核兵器を保有していない一方で、攻撃側であるアメリカとイスラエルが核を保有している現状を指摘し、単なる兵器の保有を侵攻の道徳的根拠にすることはできないと述べています。

また、トランプ氏が当初イラン国民に対し「君たちの政府を乗っ取る手助けをする」と発言したことは、これが防衛ではなく「侵略戦争」であることを自ら露呈した形となっています。政権内部からも、対テロ担当高官が「イランは差し迫った脅威ではない」と明言して辞任するなど、作戦の正当性に疑問を投げかける動きが出ています。ナポリターノ氏は、本来自由を守るべき法が、自ら個人の権利を侵害し、不当な暴力を正当化することは「不道徳」の極みであるとし、議会がその職務を果たさない限り、この悲劇的な過ちは止まらないだろうと警告しています。

戦争の代償、将来世代の肩に

Trump’s War on Iran Could Cost Trillions [LINK]

【海外記事より】トランプ政権が進めるイランとの軍事作戦「壮絶な怒り作戦」について、政府が発表している経費の見積もりは氷山の一角にすぎず、実際には数兆ドル規模の巨額な負担が将来世代にのしかかる可能性があると、専門家や内部関係者が警告しています。国防総省は開戦後1週間の戦費を約113億ドルと発表しましたが、匿名を条件に語った政府関係者や予算監視団体によると、実際には1日あたり10億ドルから20億ドル(1秒あたり最大約23,000ドル)が消費されており、数ヶ月以内に2,500億ドルに達する見通しです。

さらに深刻なのは、目先の戦闘費用よりも、数十年先まで続く長期的な隠れたコストです。ハーバード大学のリンダ・ビルムズ教授は、かつてのイラク戦争が当初の予想を遥かに超えて最終的に8兆ドル規模に膨れ上がった例を引き合いに出し、今回のイラン戦も同様の道を辿ると指摘しています。これには、戦債の利息支払いだけでなく、有害物質や燃え盛る石油施設からの煙にさらされた退役軍人への長期的な医療・障害給付が含まれます。中東に展開する約5万人の米軍兵士のうち、少なくとも3分の1が将来的に給付を申請すると予測されており、これだけで約6,000億ドルの追加費用が見込まれます。

経済面では、すでに38兆ドルに達しているアメリカの公債がさらに膨れ上がることが懸念されています。過去の戦争とは異なり、現在は金利が高水準にあるため、借金で戦費を賄うことによる利息負担は極めて重くなっています。民主党議員からは、戦略や出口戦略が不透明なまま、国民の税金が「底なし沼」のような紛争に投じられていることへの批判が噴出しています。

トランプ氏はSNS上で「無条件降伏以外に道はない」と強硬姿勢を示す一方で、「開戦1時間ですでに勝利した」とも主張しており、支離滅裂なメッセージが混乱に拍車をかけています。ある政府高官は、「この戦争の本当の代償はホワイトハウスからも国防総省からも語られることはないが、私たちの子供の、そのまた子供の世代まで支払い続けることになるだろう」と、その深刻さを吐露しています。

傲慢の果てに

Trump's American Tragedy | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】現在、アメリカ政治の舞台は、あたかも「狂った王」が主役を演じるギリシャ悲劇のような様相を呈しています。ブラッド・ピアース氏は、一度は歴史的な復活を遂げ、大統領の座に返り咲いたドナルド・トランプ氏が、いまや自身の過信と高齢ゆえの混乱によって、深刻な末路を辿りつつあると指摘しています。かつては傲慢ながらも既存の支配層を打破するヒーローとして支持を集めたトランプ氏ですが、第2期政権の最終章とも言える現在、その行動は常軌を逸し、現実との接点を失いつつあるようです。

今年初め、トランプ氏はベネズエラのマドゥロ大統領を拘束するという強硬策に出ました。この作戦が国内で一定の支持を得たことで彼の慢心は加速し、十分な戦略的検討もないままイランへの攻撃に踏み切りました。しかし、この軍事行動は戦略的な大失敗に終わっています。トランプ氏は「4日間で終わる」と踏んでいたようですが、実際には交渉相手を失い、かつての歴代大統領が恐れたホルムズ海峡の封鎖という事態を招いています。さらに、イランによる周辺同盟国への攻撃に驚きを見せたり、不都合な戦況の映像をすべて「AIによる捏造だ」と主張したりするなど、その言動は支離滅裂さを増しています。

トランプ氏の変容は外交面だけにとどまりません。彼は自身の政治運動である「MAGA(アメリカを再び偉大に)」を「私自身のことだ」と断じ、側近への絶対的な忠誠を強要しています。80歳という高齢もあり、彼が発信するメッセージは、まるで激しい怒りに駆られた認知症患者のブログのようだと揶揄されるほどです。世界を破壊しうる核兵器のボタンを握る人物が、いまやイデオロギーに染まった「イエスマン」だけに囲まれ、孤独に暴走を続けています。

さらに彼は、イラン情勢が泥沼化する一方で、次は隣国キューバを「自由にするか、あるいは奪い取る」と宣言し、自分は何でも望むことができると豪語しています。文学的な悲劇の構造に照らせば、こうした「傲慢(ヒュブリス)」の果てに何が待ち受けているかは明白です。私たちは今、かつてないほど現実離れし、脳卒中を起こしかねないほど興奮状態にある指導者による、アメリカの悲劇の最終幕を目撃しているのかもしれません。

トランプ氏の暴走、民主主義の限界

Politics Incentivizes Trump Away From Peace | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】現在、アメリカ国内ではイランとの軍事衝突に対する世論の反発が強まっていますが、政治学者のジョセフ・ソリス・マレン氏は、トランプ政権には和平へと向かうインセンティブがほとんど働いていないと分析しています。最新の世論調査では、アメリカ国民の過半数がこの紛争に反対しており、軍事行動を支持する層は30%前後にとどまっています。しかし、政権の意思決定において広範な一般世論は、エリート層の利害や強固な支持基盤ほど重視されません。

トランプ氏を支持する共和党員の間では、この戦争への支持率が85%という圧倒的な数字を記録しており、その過半数は地上軍の投入さえ容認しています。一方で、対立する民主党員がほぼ一貫して反対に回っている事実は、皮肉にも政権にとって「敵が反対しているから自分たちは正しい」という政策の正当化を強める要因となっています。中間層である無党派層も今回の戦争には批判的ですが、現代の極端に二極化した政治構造の中では、彼らの声は決定的な制約にはなっていません。

こうした状況を変化させ得る唯一の現実的な要因は、経済的影響、特に原油価格の高騰です。1バレル100ドルを超える水準が続けば、輸送コストや製品価格の上昇を招き、家計を圧迫します。歴史的にはこうした経済的苦境が政権の脆弱性につながった例もありますが、現状では支持層がこの苦痛を「国家安全保障のための代償」や「外部勢力の責任」として受け入れる可能性も高いと見られています。また、イランによる報復攻撃の懸念についても、それが現実となれば逆にさらなる軍事拡大を求める声が強まるという、過去の歴史的な教訓があります。

結局のところ、トランプ政権がイスラエルへの揺るぎない支持を背景に開始したこの紛争に対し、民主的なチェック機能や世論の圧力は限定的です。著者によれば、和平への最も現実的な希望は、戦争が膠着状態に陥りイランが屈服しない場合に、トランプ氏が自ら「勝利」を宣言して撤退し、中間選挙への悪影響を最小限に抑えようと判断することに委ねられているのが現状です。

ロスバード生誕100年、ホッペによる序文

Introduction: Rothbard at 100: A Tribute and Assessment - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】2026年3月2日は、20世紀を代表する社会理論家マレー・ロスバードの生誕100周年にあたります。これを記念して、ハンス・ヘルマン・ホッペ氏は、ロスバードの多大な功績と、彼が公的に正当な評価を受けてこなかった背景を考察する記事を寄稿しました。ロスバードは経済学においてルートヴィヒ・フォン・ミーゼスに次ぐ地位を築いただけでなく、政治哲学、歴史学、社会学など多岐にわたる分野で傑出した業績を残しました。彼は人類の歴史を「権力と市場」「略奪と生産」の絶え間ない闘争として体系化しましたが、その急進的な思想ゆえに、既存の知識人層からは疎外されてきました。

ロスバードが公的な評価を得られなかった最大の理由は、彼が私有財産と自発的な契約に基づく「右派無政府主義」を提唱し、国家による暴力の独占を真っ向から否定したことにあります。国家がなければ、公的資金による教育システムや中央銀行、軍産複合体も存在し得ません。そのため、これらの組織に雇用を依存する知識人や経済学者、あるいは軍事産業に関わる人々にとって、彼の思想は受け入れがたいものでした。さらにホッペ氏は、ロスバードがアメリカの主流メディアや学界で強い影響力を持つ層から「好ましくない人物」と見なされた要因として、彼のユダヤ教およびイスラエルに対する批判的な視点を挙げています。

ロスバードは、イスラエルが先住民の追放や殺害という暴力的な征服によって成立した国家であり、非ユダヤ人を差別するアパルトヘイト体制を敷いていると批判しました。また、アメリカの外交政策が「ネオコン」と呼ばれる勢力の影響下でイスラエルの利益に奉仕し、中東を火薬庫に変えていると警告しました。こうした姿勢は、強力なロビー団体から「反ユダヤ主義」というレッテルを貼られる原因となりました。

最後にホッペ氏は、アルゼンチンのミレイ大統領がロスバードを信奉していると公言している現状に懸念を示しています。ミレイ氏は中央銀行の廃止などの公約を果たしておらず、さらにトランプ氏やネタニヤフ氏、ゼレンスキー氏といった、ロスバードが「怪物のような存在」と忌み嫌ったであろう国家主義的な指導者たちと親密な関係を築いています。ホッペ氏は、こうした政治家たちとリバタリアニズムが結びつけられることは、真のリバタリアン思想の評判を著しく損なう恐れがあると結論づけています。

ミーゼス研究所よ、どこへ行く?

Mises Institute: Quo Vadis? [LINK]

【海外記事より】経済学者ハンス・ヘルマン・ホッペ氏が、40年以上にわたり深く関わってきた「ミーゼス研究所」の内部崩壊と変質を告発する衝撃的な手記を公開しました。2026年3月25日付のこの記事で、ホッペ氏は、同研究所がかつての知的誠実さを失い、不透明な権力構造と自己保身に走る「利権団体」へと成り下がっている現状を淡々と、しかし厳しく批判しています。

事の発端は、2025年後半に起きたトム・ディロレンゾ所長とカレン・デ・コスター最高財務責任者(CFO)の解任劇です。ホッペ氏の分析によれば、この混乱の根源は組織の構造的欠陥にあります。本来、所長の部下であるはずのジョー・サレルノ学術副所長が、同時に理事会の終身メンバーという強力な権限を持っており、実質的に所長を支配・排除できる「二重権力」状態にあったのです。ホッペ氏と共同執筆者のギド・ヒュルスマン教授は、この是正を求める覚書を理事会に提出しましたが、完全に無視されました。

さらに深刻なのは、創設者ルー・ロックウェル氏の健康悪化に乗じた組織の私物化です。ホッペ氏は、ロックウェル氏がすでに実質的な管理能力を失っており、外部への発信も他人が代筆している疑いが強いと指摘しています。ホッペ氏らがマレー・ロスバード生誕100周年を記念して独自に出版した記念論文集に対し、研究所側は一切の言及を拒否し、寄付を募るメールを出すのみという不誠実な対応に終始しました。さらに、ホッペ氏の寄稿記事を「経済学的な内容が少ない」という虚偽の理由で却下するなど、言論封殺とも取れる動きを見せています。

ホッペ氏が最も憤っているのは、ロスバードの平和主義の理念に対する裏切りです。現在の実権を握るサレルノ氏らは、アルゼンチンのミレイ大統領を熱狂的に支持するヘスス・ウエルタ・デ・ソト氏を記念講演に招きました。しかしミレイ氏は、ロスバードを引用しつつも、実際には好戦的でシオニズムを支持する「偽のリバタリアン」であるとホッペ氏は断じています。このような人物を称揚することは、反戦を掲げたロスバードやかつてのロックウェルの遺産に対する公然たる裏切りであると厳しく糾弾しています。

ホッペ氏は、7000万ドル(約100億円)を超える巨額の基金を持つミーゼス研究所が、もはや理念を追求する場ではなく、無知な寄付者から資金を集め続けるだけの組織に退化したと見ています。この告発の目的は、組織の改革ではなく、恩師ロスバードの知的遺産を嘘と腐敗から守り、真実を明らかにすることにあると述べています。

安易な勝利宣言

We Did Win, Didn't We? | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領がケンタッキー州での集会にて、わずか13秒の間に5回も「我々は勝った」と宣言したことに対し、評論家チャールズ・ゴイエット氏が歴史的な教訓を交えて鋭い疑問を呈しています。かつてジョージ・W・ブッシュ大統領がイラク侵攻開始からわずか6週間後に、空母の甲板で「任務完了」を掲げて勝利を演出したものの、実際にはその後9年近くも戦争が続いた例を引き合いに出し、大統領の安易な勝利宣言がいかに危ういものであるかを指摘しています。

歴史を振り返れば、ナポレオンのロシア遠征や日本の真珠湾攻撃など、敗北を予想して戦争を始める者は一人もいません。かつてのベトナム戦争でも、アメリカは圧倒的な制空権や枯葉剤、最新のコンピュータ技術を駆使して戦いましたが、結果として1975年にサイゴンの大使館屋上からヘリコプターで撤退するという屈辱的な結末を迎えました。ゴイエット氏はマイク・タイソン氏の言葉を引用し、「誰にでも計画はある。口を殴られるまでは」と、戦争の予測不可能性を強調しています。

特に注目すべきは、2002年に行われた大規模な軍事演習「ミレニアム・チャレンジ」の事例です。この演習では、最新技術と中央集権的な情報網を持つ「ブルー・チーム」に対し、退役海兵隊将軍ポール・ヴァン・ライパー氏率いる「レッド・チーム」が、バイクの伝令や灯火信号、さらには礼拝の呼びかけにメッセージを紛れ込ませるなどの非対称な戦術を駆使しました。結果、ハイテクを誇るブルー・チームの艦隊は、爆薬を積んだ小型スピードボートなどの奇襲によって壊滅的な打撃を受けました。しかし、ペンタゴンは演習を一時中断し、沈没したはずの艦船を復活させ、レッド・チームの戦術を禁止するなどの「ルール変更」を行って、ブルー・チームが勝つようにシナリオを書き換えたのです。ヴァン・ライパー氏はこの捏造に抗議して辞任しました。

ゴイエット氏は、現代のイラン情勢においても、ルビオ国務長官やヘグセス国防長官といった政権内の「主戦論者」たちが、こうした非対称戦争の教訓を無視しているのではないかと危惧しています。コンピューターが「勝利」を告げる一方で、実際の泥沼の戦場では敗北が迫っていたベトナム戦争の二の舞を演じようとしているというわけです。かつてロン・ポール氏がイラク戦争の終結について「歩いて入ったのだから、歩いて出ればいい」と説いたように、ゴイエット氏は大統領に対し、単に勝利を叫ぶのではなく、一刻も早く兵を帰還させるべきだと結んでいます。

サバイバルに適した土地は?

The Day Everything Stopped: The Only Places Left in America Where You Could Survive [LINK]

【海外記事より】社会の崩壊が現実のものとなったとき、どこで生き残るべきか。この記事では、アメリカを対象に、単なる娯楽や空想ではない、極めて冷徹で実用的な生存戦略と具体的な候補地を提示しています。多くの人が「人里離れた山奥」といった漠然としたイメージを持ちがちですが、真のサバイバルには、人間行動、環境の持続性、コミュニティという3つの層を同時に分析する必要があります。

まず第一の壁は「人間によるリスク」です。崩壊の初期段階で最も危険なのは自然環境の変化ではなく、パニックに陥った人々の行動です。人口密度が1平方マイルあたり40人以下であること、主要都市から80キロ以上離れていること、そして高速道路から距離を置き「アクセスの不便さ」が保護壁となる場所を選ぶ必要があります。また、軍事基地や原子力発電所からも160キロ以上の距離を保つことが推奨されています。

第二の壁は「環境的な持続性」です。隔離されていても、水や食料を自給できなければ意味がありません。季節に左右されない安定した水源、農業に適した「ローム層」の土壌、年間50センチ以上の降水量、そして少なくとも25%の森林被覆率があるかどうかが、長期的な生存の分かれ目となります。

そして第三の壁が、意外にも見落とされがちな「コミュニティの質」です。一人の力で数年を生き抜くのは不可能です。医療、機械修理、農業などの実用的なスキルを持つ人々が適度に分散し、教育水準が高く、互いに協力し合える文化が根付いている地域こそが、真にレジリエンス(回復力)が高いと言えます。

これらの厳しい条件をアメリカ全土に当てはめて絞り込んだ結果、最終的に残ったのは、ミネソタ州のハバード郡とコロラド州のヒンズデール郡の2箇所です。ハバード郡は豊かな水資源と農耕に適した環境を備えていますが、厳しい冬への備えが不可欠です。一方、ヒンズデール郡は圧倒的な隔離性と低い人口密度を誇りますが、地形の厳しさゆえの不便さを受け入れる必要があります。

なお生成AIを使って日本国内について同様の条件でシミュレーションしたところ、「サバイバル候補地」として北海道十勝周辺、岩手県遠野・閉伊(へい)周辺、島根県石見地方の3地域がピックアップされました。

これらの地域は、現代の経済合理性では「不便」とされますが、社会崩壊シナリオにおいては、その不便さこそが最大の「防御」となるといいます。

止まらない紛争激化

The Infernal Escalation Machine - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】西アジアで続く深刻な対立が、世界最大のガス田の一部であるサウスパルスやナタンズ核施設への攻撃を経て、出口のない「地獄の連鎖」へと突入しています。この記事の著者ぺペ・エスコバール氏は、次々とレッドラインが越えられていく現状を極めて深刻に捉えています。イスラエル南部への報復に対し、テヘランやイスファハンへの激しい攻撃が続き、イランのエネルギー大臣は、水や電力といった国民の生存に関わるインフラが甚大な被害を受けたことを認めました。こうした中、アメリカの指導者は、月曜夜までにホルムズ海峡を再開放しなければ、イラン最大の発電所を皮切りに次々と破壊するという48時間の最後通牒を突きつけました。これに対しイラン側は、発電所が攻撃されれば海峡を完全に封鎖し、ペルシャ湾全域のエネルギー施設を正当な攻撃対象として、修復不可能なまでに破壊すると宣言しています。

市場ではゴールドマン・サックスによる原油価格の見通しすら過去のものとなり、1バレル200ドルに達する可能性が現実味を帯びています。イラン側は降伏を拒否し、30日以内の米軍基地撤退や500億ドルの賠償金、ホルムズ海峡の新たな法的枠組みなどを含む5つの条件を提示しました。一方でアメリカ側は、イランの核計画解体やミサイル制限を求めており、両者の溝は埋まっていません。著者は、もしアメリカがこのまま突き進めば、石油決済システムであるペトロダラーの崩壊や、膨大な債務を抱える自国経済の破綻を招くと警告しています。さらに、イラン側は米国債の保有者も攻撃対象になり得ると示唆しており、湾岸諸国に対して米国債の売却を促すような、いわば「金融の核兵器」とも呼べる圧力をかけています。

緊迫した状況の中、アメリカ側は突如として、イラン側と「建設的な対話があった」として、攻撃を5日間延期すると発表しました。しかし、イラン外務省はこの対話の事実を否定しており、実際にはオマーンを介した水面下の交渉で、攻撃が世界経済を壊滅させるという警告を受けたアメリカ側が混乱し、一時的な回避策をとった可能性が高いと著者は分析しています。米国の債券や株式市場がすでにパニック状態に陥る中で出されたこの延期措置ですが、破滅的なエスカレーションの機械が止まったわけではありません。この記事は、世界的なエネルギー供給や金融市場、サプライチェーンの全てが暗い深淵に飲み込まれかねない危うい均衡状態にあることを強調し、5日後の動向を注視すべきだと結んでいます。 

シンガポールで金購入熱

Singapore Dealers Upping Inventory as Gold Demand Remains Strong [LINK]

【海外記事より】シンガポールにおける金の需要が非常に力強く推移しており、現地のディーラーや貴金属店が在庫を大幅に増やして対応している様子を、マイク・マハリー氏が報告しています。イランとの紛争が長引く中で、金の価格には大きな下落圧力がかかっていますが、シンガポールの市場関係者は需要の高止まりを確信し、備えを固めています。現地の報道によれば、地金商や宝飾店、質屋において貴金属の購入が急増しており、金地金やコイン、宝飾品などが地元の買い手によって次々と購入されています。こうした動きは、金市場に対する弱気な見方が決して世界共通ではないことを示しています。最近の価格変動を分析すると、アジアの取引時間帯には価格がわずかに上昇し、北米市場がオープンする時間帯に大幅な売り浴びせが発生するという傾向が見て取れます。北米のETFからは金が流出している一方で、アジアの金関連ファンドは資産を増やし続けているという対照的な状況も報告されています。

シンガポールのインディゴ・プレシャス・メタルのマネージング・ディレクター、デビッド・ミッチェル氏は、年初からの需要が100%増加したと述べています。過去1年間、売り手よりも買い手が多い状態が続いてきましたが、大幅な価格変動を受けて利益確定の売り手も市場に現れ始めています。ミッチェル氏は、スイスや英国、香港の精錬所における製造能力や物流の逼迫を考慮し、100グラムの金地金や1オンスコインの備蓄を増やして対応する計画です。また、シルバー・ブリオンの創設者であるグレゴール・グレガーセン氏も、2026年の最初の2ヶ月間に需要が集中し、今年3月までの1年間の金販売額が前年比で4.5倍近くに達したと報告しています。同社は保管能力を5倍の2500トンに引き上げるため、チャンギ・サウスの施設に22個の保管庫を増設する予定です。

需要の背景には、投資家層の広がりもあります。質大手のバリュー・マックスの代表であるイェ・リー・チン氏は、特にパンプ・スイス製の金地金の需要が昨年から着実に伸びていると指摘しています。顧客層は多様化しており、インフレへの備えや資産の分散を目的として物理的な貴金属を求める若年層や中年層が増えています。SKジュエリー・グループやマネーマックス・フィナンシャル・サービスなどの現場でも、古い宝飾品を売却する動きがある一方で、依然として買い手が売り手を上回る状況が続いています。特に最近は、ペンダントやイヤリングといった小さな宝飾品の取引も活発で、消費者が高価格帯に対応しながら金を持ち続けようとする姿勢が伺えます。シンガポールの30歳の若手投資家は、世界経済の不確実性が高まる中で、政府の政策に依存する法定通貨の信頼性に疑問を持ち、2022年から金地金の購入を始めたと語っています。地政学的リスクや金利見通しが複雑に絡み合う中で、アジアにおける現物資産としての金の存在感は、かつてないほど高まっているようです。

2026-03-25

シンクタンクと不透明マネー

Weapons makers, foreign states lavish $32 million on US think tanks | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事より】アメリカの有力なシンクタンクが、兵器メーカーや外国政府から多額の資金提供を受け、その寄付者の利益にかなう政策や兵器の導入を後押ししている実態が明らかになりました。2024年のデータによると、主要なシンクタンクは外国政府から2,500万ドル以上、国防総省の契約業者(軍需企業)から700万ドル以上の寄付を受け取っています。これは公開されている情報に基づく控えめな見積もりであり、実際には約40%の機関が寄付者を一切公表していません。

記事が指摘する具体的な例として、戦略国際問題研究所(CSIS)が挙げられています。CSISはトランプ政権が提唱するミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」を、平和を維持するための「 機を逸したほど待ち望まれた」ツールとして積極的に宣伝しています。しかし、CSISはノースロップ・グラマンやロッキード・マーティンといった、この構想が実現すれば巨額の契約を得る立場にある軍需企業から、それぞれ年間25万ドル以上の寄付を受けています。こうした資金関係と提言内容の整合性について、主流メディアで追及されることはほとんどありません。

また、外国政府からの資金流入も顕著です。アラブ首長国連邦(UAE)は2019年以降、ワシントンのシンクタンクに総額2,000万ドルを投じています。過去には、あるシンクタンクがドローン輸出に関する報告書を作成する際、UAEの大使に対して「ご意向に沿っていますか」と確認のメールを送り、最終的にUAE側の主張を反映させた内容で公開した事例も報告されています。

さらに深刻なのは、こうした「ダークマネー(不透明な資金)」の蔓延です。北米のシンクタンクで資金源を公開しているのはわずか35%にとどまり、アジアやアフリカの機関に比べても透明性が著しく低いのが現状です。多くの機関が不透明なまま政策立案者に助言を行い、メディアに登場して世論を形成しています。こうした背景から、アメリカ国民のシンクタンクに対する信頼は著しく低下しています。

一部のシンクタンクは透明性を確保し、外部からの影響を否定していますが、全体としては依然として「誰が資金を出し、何のために使われ、どこに一線を画しているのか」が不透明なままです。記事は、シンクタンクが自発的に透明性を高めないのであれば、議会が法整備によって情報公開を義務付けるべきであると提言しています。

トランプ王の狂気

The Madness of King Trump - The American Conservative [LINK]

【海外記事より】米外交専門誌フォーリン・アフェアーズは、トランプ大統領が進める外交政策を「戦争と略奪の政策」と呼び、アメリカを攻撃も脅迫もしていない遠く離れた国イランに対し、法を無視して全面戦争を仕掛けたと批判しています。かつてトランプ氏は「アメリカ・ファースト」を掲げ、外交のない対外政策を非難していましたが、現在の彼は、建国の父たちが恐れた「無謀な専制君主」のように振る舞っていると指摘されています。

記事によれば、この軍事行動ですでに多くの子どもを含む1,200人以上の民間人が犠牲になっていますが、トランプ氏はイランの無条件降伏を要求し、地上軍の投入すら否定していません。彼は自らの権力に限界があるか問われた際、「自分の道徳心と心だけが自分を止められる」と答え、自らを国家そのものと同一視する「太陽王」のような姿勢を見せています。また、自身の利益や他国の指導者の意向に沿って、米軍を他国への破壊や資源の略奪のために利用しているとも述べられています。

イランとの対立についても、イラン側はかつて核開発の制限に合意し、さらに多くの譲歩を申し出ていたにもかかわらず、トランプ氏がそれを個人的な感情から破棄し、戦争へと突き進んだ経緯が綴られています。この強硬な姿勢は、皮肉にもイラン国内の強硬派を正当化させ、「核兵器こそが生き残る唯一の道だ」と思わせる結果を招いています。さらに、ベネズエラでの資源管理を巡る強引な手法や、デンマークやメキシコといった同盟国に対する威圧的な態度は、自由で民主的な移行を妨げ、独裁政権を定着させる結果となっていると警鐘を鳴らしています。

結局のところ、トランプ氏の政策は、相互協力の利益を無視し、力と金だけを判断基準とする「重商主義」や「帝国主義」への回帰であると記事は結論づけています。憲法が定めた大統領権限の制限を逸脱し、議会の宣戦布告権を形骸化させている彼の行動は、世界の平和に対する脅威であるだけでなく、最終的にはアメリカ国民自身にとって最も危険な存在になるだろうと結んでいます。

強姦の正当化

Just Call It 'Rape' | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】性的強制としての強姦は、いかなる理由があろうとも不道徳な行為です。個人の権利と人間の尊厳を重んじる者にとって、性的暴力や強制は忌むべきものですが、歴史を振り返れば、強姦が処罰や拷問、政治的・思想的武器として利用されてきた事実は少なくありません。そして現在、イスラエル政府とその軍は、強姦を容認するだけでなく、それを支持するという例を世界に示しています。

イスラエルのテレビ番組で放送され、世界中に拡散された流出映像には、パレスチナ人男性がイスラエル兵士によって激しく暴行される様子が映し出されていました。この映像を流出させた元軍法会議の検察官は逮捕されましたが、暴行に加わった兵士たちの当初の逮捕は、イスラエル国内で強姦を支持する広範な抗議デモを引き起こしました。政治家たちも兵士への支持を表明し、加害者の一人はテレビ番組で称賛されました。結果として、イスラエル国防軍の兵士5人はあらゆる罪を免除され、英雄として扱われています。

こうした状況は、近隣諸国と多方面で戦争を続け、ジェノサイドを継続している政府と社会を象徴しています。2024年7月、イスラエルのクネセト(国会)議員であるハノフ・ミルウィツキー氏は、尋問において身体への執拗な暴行は正当なのかと問われ、相手がハマスの精鋭部隊であれば、彼に対して行うことはすべて正当であると答えました。被害者のパレスチナ人男性は、腸の破裂や肺への刺傷、肋骨の骨折など深刻な外傷を負い、手術を余儀なくされました。この映像は裏付けが取られており、目撃者の証言も記録されています。これは敵対勢力による捏造ではなく、制服を着た男たちが、その権力を背景に別の人間に対して行った凄惨な事実です。

強姦は権力の行使であると言われますが、今回の事例では思想的な側面が強く反映されています。イスラエル国内や海外の同盟国の間では、正義の追求を放棄することによって、この行為が実質的に正当化されています。かつては道徳的価値や名誉という建前があり、残虐行為を働く者は例外的な存在と見なされてきました。しかし、政府が都市を爆撃し、人々に飢えを強いる現代の戦争においては、こうした暴行さえも些末なこととして片付けられてしまうのでしょうか。このような行為に及んだ男たちを崇拝するいかなる政府や個人も、恥を知るべきであると著者は締めくくっています。 

米国防産業の衰退

Iran War Has Exposed America’s Strained Military Industrial Base | The Libertarian Institute [LINK]

【海外記事より】アメリカ政府は中央銀行の印刷機を回すことで、無から数兆ドルを魔法のように生み出すことができます。しかし、現代の戦争が予想を上回る速さで消費していくミサイルや迎撃弾、精密誘導兵器を、魔法で即座に作り出すことはできません。現在の中東での紛争は、アメリカの国防産業基盤が、政治家たちの帝国主義的な野心を支えきれないほど衰退し、空洞化しているという事実を浮き彫りにしました。

「壮絶な怒り作戦」では、戦闘開始からわずか100時間で約37億ドル、1日あたり9億ドル近い戦費が費やされました。6日目までにその額は113億ドルに達し、その大半は予算外の弾薬補充に充てられました。しかし、これは単なる帳簿上の問題ではありません。どれほど赤字支出を増やしても克服できない物理的な現実です。兵器工場の生産能力は、軍の需要に対してあまりに微々たるものなのです。国防次官補のマイケル・ダフィー氏は、過去30年間で産業基盤が統合・萎縮し、熟練した人材が離れ、過剰な規制がスタートアップや民間資本を排除してきたことを認めています。

冷戦後の統合により、主要な契約企業は数十社から数社の巨大企業へと集約されました。サプライヤーの多様性は失われ、企業は政府の既存注文を満たすだけの最低限の生産能力しか維持しなくなりました。シンクタンクの報告書によれば、台湾海峡での紛争が起きれば、長距離精密誘導弾などの一部の弾薬は1週間足らずで底をつく可能性があると数年前から警告されていました。イランとの戦争はこの理論的な警告を現実の危機へと変えました。例えば、迎撃ミサイルの在庫はわずか12日間の戦闘で全体の4分の1が消費されましたが、その年間の生産能力はわずか96発に過ぎません。

この紛争の力学は、アメリカの戦略がいかに不合理であるかを露呈しています。イランは2万ドルから5万ドル程度の安価なドローンを投入し、アメリカ側に1発数百万ドルの迎撃ミサイルを消費させています。マルコ・ルビオ国務長官も、イランのミサイル生産能力に対してアメリカの迎撃弾の月間生産数は数発にとどまると指摘しています。マーク・ケリー上院議員は、これが単なる数学的な問題となり、他地域への供給に影響を及ぼすと警鐘を鳴らしました。

金融化された帝国は、物理的な現実に直面して立ち往生しています。安価な消費財と企業の利益を追求して産業基盤を中国などの競合国にアウトソーシングし、国内の工場が閉鎖されるのをウォール街が歓迎してきた結果です。アメリカはあまりに多くの敵を作り、あまりに多くの戦域を抱えながら、国力の基盤である産業を枯渇させてしまいました。この戦争は、本来他で必要とされる資源を浪費し、一般のアメリカ人の安全や繁栄とは無関係な利益のために、多大な犠牲を払い続けているのです。

個人・国民・国家

Individualism in Rothbard’s Natural Rights Libertarianism | Mises Institute [LINK]

【海外記事より】リベラルな視点において、個人主義はしばしばナショナリズムと対立し、グローバリズムを支持するものと捉えられています。ニューヨーク・タイムズ紙などは、個人主義を「個人の権利や福祉に焦点を当てることで、集団間の境界を低くし、部外者への寛容さを促す普遍的な視点」と定義しています。彼らによれば、個人主義とは自律や自己表現を重んじることであり、皮肉にもそれが共通の人間性への幅広い理解、すなわち利他主義や寛盛さにつながるというのです。

しかし、マレー・ロスバード氏が提唱する個人主義の概念は、こうしたリベラルな解釈とは一線を画しています。彼は、ジョン・ロックの思想の流れを汲む「自己所有権」と「財産権」に基づいた自然法的な個人主義を擁護しました。ロスバード氏にとっての個人主義とは、人間や世界の性質に由来する「自然権」に根ざしたものです。彼は、行動し、感じ、選択し、動く主体としての「個人」を社会の最小単位と見なし、国家のような強制的な組織とは明確に区別しました。

ロスバード氏の政治哲学において重要なのは、それが個人の単なる主観的な意見ではなく、客観的かつ普遍的に正しい原理に基づいた「道徳科学」であるという点です。ハンス・ヘルマン・ホッペ氏が解説するように、ロスバード氏は経済学と政治哲学を「財産権」という共通の基盤の上に再構築しました。ここでは、ある行為を行う「権利」があることと、その権利をどのように行使するのが「道徳的か」という個人的な判断は厳密に区別されます。例えば、分離独立する権利を哲学的に守ることと、実際に特定の状況で分離を勧める政治運動は別物なのです。

また、ロスバード氏は人間が意識と自由意志を持ち、自ら選択を行う存在であることを自明の理としています。そのため、人間を歴史の必然性や社会構造に動かされる自動人形のように扱う「科学主義」を否定しました。科学主義は個人の意志を否定し、社会を一つの有機体のように扱いますが、ロスバード氏に言わせれば、価値を採用し選択できるのは個人だけであり、集団という実体なきものに意志を認めることはできません。

この文脈において、ロスバード氏は「国家(ステート)」と「国民(ネイション)」を鋭く描き分けています。国家が官僚や政治家による強制的な装置であるのに対し、国民とは文化、伝統、言語、宗教などが織りなす自発的なネットワークを指します。個人主義を貫くことは、必ずしも自分のルーツや伝統を否定することではありません。むしろ、個人の同意に基づいた自発的な結びつきとしての「国民」を重視し、その国や土地を愛する真の愛国者であるからこそ、そこを支配する強制的な「国家」に反対することができるのだと結論づけています。

無謀な経済戦争

As the Wheels Come off the Iran Conflict, it Compels the Decision: ‘Where do we Stand?’ - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】欧米の強力な戦略兵器とも言える宣伝工作は、米軍がイランに対して迅速かつ圧倒的な勝利を収めていると繰り返し主張してきました。イスラエルの情報当局も、テヘランの政権内部で混乱が生じ、指揮系統が崩壊しつつあるという報告をメディアに流しています。トランプ大統領は、米国の軍事力がイランの国家構造や軍事能力を完全に粉砕できると確信し、大規模な爆撃を断行しました。しかし、この記事の著者である元外交官のアラスター・クルック氏は、こうした楽観的な見方に疑問を呈しています。

米国やイスラエルのメディアは、イランの指導部への打撃を決定的なものとして称賛していますが、過去20年から40年にわたり非対称戦争の準備を進めてきたイランの実態が十分に考慮されていません。イランは軍事インフラの多くを地底深くの「地下都市」に埋設しており、指導部が攻撃されても即座に対応できる分散型の指揮体系を構築しています。米国側が民間人の犠牲を伴う破壊によって民衆の蜂起を期待したのに対し、イランは長期的な消耗戦を視野に入れています。

トランプ氏は、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性を軽視していましたが、現実にイランは世界の石油の約20%が通過するこの要衝を管理下に置きつつあります。すでにインドや中国などの諸国は、イラン側が運用する新たな通航審査システムを通じて直接交渉を始めています。さらに、イスラエルがイランのエネルギー施設を攻撃したことで、事態は深刻な経済戦争へと発展しました。現在、焦点となっているのは、世界のエネルギー取引が今後も米ドルで行われるのかという点です。パキスタンが貨物を人民元で購入したことで通航を認められた事例もあり、イランは地域における米ドルの支配を終わらせようとしています。

米国内でも、トランプ氏を支持してきた知識人たちから、なぜ彼が「新たな外国での戦争はしない」という公約に反してこのような過ちを犯したのかという困惑の声が上がっています。一部の評論家は、トランプ氏自身が事態を制御しているのではなく、1960年代から続く米国の「目に見えない権力構造」が、国民の利益に反して戦争へと突き動かしているのではないかと指摘しています。湾岸諸国や欧州、そして米国市民も、この無謀な経済戦争の結果として、自らがどこに立つべきかという決断を迫られています。

シオニスト大統領、自由の英雄に

The most Zionist president in the world is now the greatest Austro-libertarian hero of all time [LINK]

【海外記事より】米シンクタンク、ミーゼス研究所の演壇において、世界で最もシオニスト的だと自認する大統領(ミレイ・アルゼンチン大統領)が、オーストリア学派の原則やアナルコ・キャピタリズム(無政府資本主義)の思想を広めるために、かつてないほどの貢献をした人物であるとの発言がなされました。この記事を執筆したフェルナンド・キオッカ氏は、ミレイ氏の宣伝担当者(ヘスス・ウエルタ・デ・ソト教授)を講演に招いたことがもたらした結果について、厳しい視点から論じています。その発言があった当日、特定の勢力を支持するアカウントは、ミーゼス研究所の承認を得た形となったこの言葉を即座に利用しました。そして、仮想通貨詐欺に関わっているとされるミレイ氏こそが、史上最高のオーストリア学派的リバタリアンであるという主張を再確認する動きを見せました。

ミレイ氏本人も自身のXアカウントを用いて、ミーゼス研究所の拍手喝采の中で、自分が史上最高のリバタリアン・ヒーローとして認められたことを誇示しています。しかし、筆者はこの状況を極めて冷ややかに分析しています。ミレイ氏がアナルコ・キャピタリズムという用語を一般大衆に知らしめたことは事実ですが、それによってこの思想が、特定の政治属性と結びついてしまったことを問題視しています。具体的には、シオニストであり、新保守主義(ネオコン)的な戦争支持者であり、さらには通貨インフレを容認し、薬物対策や言論統制を行う政府のイメージと、アナルコ・キャピタリズムが同義のものとして世間に定着してしまったと批判しています。

さらに記事は、ミレイ氏の経済学に対する理解についても疑問を投げかけています。彼は戦争犯罪に関わるとされる政治家たちと親交を持ち、特定の軍事行動を支持していますが、その政治思想以上に経済的な理解が乏しいと指摘されています。ミレイ氏は新古典派経済学者であり、かつて連邦準備理事会(FRB)の議長を務めたベン・バーナンキ氏が世界を救ったと考えている点に、その矛盾が表れているといいます。筆者は、ミレイ氏のような人物がリバタリアンの代表として称賛される現状を、ミーゼス研究所の歴史における暗い一日であると結論づけています。本来の自由主義の理念が変質し、特定の政治的文脈に利用されている現状への強い懸念が、この記事の核心となっています。

金急落の背景と今後

Gold Tanking During a Crisis? We've Seen This Pattern Before [LINK]

【海外記事より】ここ2週間ほど、金価格が大幅な調整局面を迎えていることに戸惑いを感じている人は少なくありません。現在のような紛争下では、安全資産としての需要が高まり、価格が上昇するのが一般的だと思われがちだからです。しかし、筆者のマイク・マハリー氏は、現在の金市場の動きは決して異常なものではなく、2008年の金融危機やパンデミックの初期段階でも見られた、歴史的なパターンに沿ったものだと分析しています。

1980年代以降の歴史を振り返ると、戦争そのものが金価格の長期的なトレンドを決定づける要因になることは稀です。開戦直後こそ安全資産として買われますが、紛争が長引くにつれて、市場の関心は金融政策へと移っていきます。今回のイラン情勢でも同様の動きが見られました。開戦当初は1オンス5,400ドルまで急騰したものの、インフレ懸念や高金利の長期化予測が強まると、金価格はすぐに下落に転じました。

ワールド・ゴールド・カウンシルによれば、現在の価格抑制要因として、インフレへの警戒感、実質利回りの上昇、そして2026年に向けた利上げ観測などが挙げられています。原油価格のショックに対応するため、FRBが以前の予想よりも長く、高い金利を維持せざるを得ないとの見方が、投資家から金への期待を奪い、世界的な金ETFからの資金流出を招いているのです。

しかし、マハリー氏は、市場が巨大な「債務のブラックホール」や脆弱な経済の実態を軽視していると指摘します。原油ショックは物価を押し上げるだけでなく、借金まみれのバブル経済を崩壊させる引き金にもなり得ます。その場合、FRBは引き締めではなく、むしろ金融緩和へと舵を切らざるを得なくなります。米政府の莫大な債務負担を考えれば、FRBが金利を上げ続ける余地は限られているからです。

また、危機初期に金が売られるのは、流動性の問題も関係しています。あらゆる資産が売られる局面では、投資家が証拠金維持のために、換金性の高い金を売却して現金を確保しようとするからです。2008年の危機でも、金は一時的に32%下落しましたが、その数年後には153%以上も急騰しました。現在は、私募債市場などの信用市場にも深刻な亀裂が見え始めています。マハリー氏は、短期的にはボラティリティが高い状況が続くと予想しつつも、長期的には金に対して強気な見通しを崩していません。

トークン化ゴールドの未来

Peter Schiff: Tokenization Gold Can Remonetize Gold | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】経済評論家のピーター・シフ氏が、金価格の動向や仮想通貨、そして最新の国際情勢を踏まえ、通貨の未来について現実的な提言を行いました。シフ氏は、ビットコインなどの仮想通貨が既存の通貨に代わる存在になることには懐疑的ですが、一方で「トークン化された金」が、健全な貨幣を再び実用的なものにする大きな可能性を秘めていると述べています。

シフ氏によれば、金をトークン化することで、かつてビットコインが約束しながら実現できなかった「日常的な取引媒体」としての機能を、金が果たせるようになるといいます。トークン化は、政府の介入を受けることなく、金の携帯性や代替性を大幅に向上させます。これにより、人々が不換紙幣から離れ、金を交換手段や計数単位として再び利用する、つまり「金の再貨幣化」が進む可能性があると指摘しています。

こうした見解の背景には、過去の経済危機を正確に予測してきたシフ氏の経験があります。彼はかつての住宅バブルにおいて、低金利や政府保証、そして不適切な融資審査がもたらすリスクをいち早く見抜いていました。現在の経済も同様の危うい土台の上に立っていると考えており、長年にわたってドルに対して弱気な姿勢、つまり金に対して強気なポジションを維持してきました。

実際に、シフ氏が金を購入し始めた当初は1オンス300ドルを下回っていましたが、現在は直近の調整を経ても4,500ドルを超えています。これはドルの価値が大幅に失われたことを意味しています。彼は、アメリカの消費者がすでに借金に頼った生活の限界に達しており、家計だけでなく政府の債務も、貸し手がこれ以上融資を維持できない臨界点に近づいていると警告しています。

最後にシフ氏は、仮想通貨の支持者に対しても現実的なアドバイスを送っています。たとえビットコインの将来を信じているとしても、資産のすべてを投じるのではなく、利益を確定して金などの実物資産に分散投資すべきだと主張しています。万が一の暴落に備え、購買力を守るためのヘッジ手段を持つことが、真の富を維持するために不可欠であると説き、インタビューを締めくくっています。

利上げ見送りのツケ

Schiff w/ La Roche: The Fed Should’ve Hiked | SchiffGold [LINK]

【海外記事より】米連邦準備理事会、いわゆるFRBが直近の連邦公開市場委員会において、少なくとも次のサイクルまで政策金利を据え置くと発表したことを受け、経済評論家のピーター・シフ氏が今後の経済の見通しについて見解を述べました。シフ氏は、FRBが利上げを行わなかったことによる不作為の結果として、さらなるインフレの進行やドルの減価、そして人々が真の富とみなす対象の再評価が起こると警鐘を鳴らしています。

まずシフ氏が深刻な問題として挙げたのは、爆発的に増加を続けるアメリカの国家債務です。ドナルド・トランプ氏が大統領に就任してからの14ヶ月間で、債務は2.8兆ドル増加しました。現在の推移を考慮すると、トランプ氏の任期終了までに債務総額は50兆ドルに達する可能性があると彼は指摘します。今後3年間でさらに11兆ドルの負債が積み上がると予測される背景には、景気後退の懸念があります。もし公式な景気後退に陥れば、政府の税収が減少する一方で支出が増大し、債務の膨張に拍車がかかるためです。

シフ氏は、FRBが非常に困難な状況に追い込まれていると分析しています。インフレを抑制するために金融引き締めを行い、金利を十分に引き上げれば、債務を抱えた経済は完全に崩壊し、2008年の金融危機を遥かに上回る惨事となりかねません。一方で、現在の緩和的な政策を維持し続ければ、インフレは激化する一方となります。シフ氏は、今後インフレ率が2桁、あるいは3桁に達する可能性さえ否定していません。政治的な観点から、FRBが経済的な痛みを伴う正しい選択をすることは難しいと考えているからです。

その結果、次の危機は2008年のような形ではなく、米ドルへの信任失墜やソブリン債務危機、そして猛烈なインフレを伴う新しい形の危機になると予想しています。また、シフ氏は資産価値を測る基準として、株式と金の比率に注目しています。1999年にはニューヨークダウの価値は金40オンス以上に相当しましたが、現在は10オンスを下回っています。名目上の株価は上昇していても、実質的な価値は75%も低下しているのです。こうした傾向は今後も加速し、金が購買力を維持するための手段になると説いています。

最後にシフ氏は、こうした危機がアメリカ国民に政府の給付金の幻想を捨てさせ、自由市場の原則に立ち返るきっかけになることへの期待を語り、議論を締めくくっています。

2026-03-24

MAGA、分裂の危機

Yes, MAGA’s Fracturing Over Iran - The American Conservative [LINK]

【海外記事より】現在、トランプ大統領が率いる「MAGA(アメリカを再び偉大に)」運動が、イランとの戦争を巡って深刻な分裂の危機に直面しています。かつて2016年の選挙において、トランプ氏はイラク戦争などの「終わりのない戦争」を激しく批判し、不必要な介入を避ける平和の使者として支持を集めました。しかし、今や大統領は自ら「MAGAとはイランの核武装を阻止することだ」と定義を塗り替え、強硬な主戦論へと舵を切っています。この急変に対し、初期からの支持者や独立系の有権者の間で、公約違反であるという「裏切り」の感情が急速に広がっています。

ホワイトハウス側は、依然として支持者の85%がイラン攻撃を支持しているという世論調査を盾に、団結を強調しています。しかし、その内実を詳しく見れば、無党派層や独立系有権者の支持率は20%から30%台と極めて低く、トランプ氏に一票を投じた有権者の約4分の1が今回の開戦に反対しているというデータもあります。かつてトランプ氏を支持したジョー・ローガン氏のような影響力のあるポッドキャスターも、「反戦を掲げて当選したはずなのに、なぜ戦っているのか理解できない」と公然と批判を始めており、若年層や労働者層の熱量が目に見えて冷え込んでいます。

さらに深刻なのは、戦争による経済的二次被害です。ホルムズ海峡の封鎖に伴うエネルギー価格の高騰は、トランプ支持の原動力であったインフレ対策への期待を根底から覆し、世界的な不況を招く恐れがあります。これに対し、政権内では異論を唱えるメディアのライセンス剥奪を示唆したり、批判的な保守派人士を「裏切り者」としてリストアップしたりするなど、強権的な言論弾圧の動きも出始めています。かつての支持層が敵に回る中、この戦争が泥沼化すれば、MAGA運動そのものが存続の危機に立たされるだけでなく、次回の選挙において共和党全体に壊滅的な打撃を与える可能性があると分析されています。

イスラエル・ロビーの責任

The Israel Lobby Bears a Special Responsibility for Donald Trump's Iran War [LINK]

【海外記事より】現在進行中のイランとの戦争が、当初の楽観的な予測とは裏腹に、泥沼の展開を見せている現状について報告します。ハーバード大学の国際政治学者スティーブン・ウォルト教授は、今回の事態を「中東における新たな大失敗」と呼び、誰がこの破滅的な状況に責任を負うべきかを冷静に分析しています。まず明確にすべき点として、この戦争を引き起こした最終的な責任は、開戦を自ら決断したドナルド・トランプ大統領と、その脇を固める経験不足な側近たちにあります。また、米国の全面的な軍事支援なしには地域の覇権を握ることができない、イスラエルのネタニヤフ首相も直接的な責任を負っています。

しかし、大統領の決断の背景には、周囲を取り巻く「イスラエル・ロビー」の存在が色濃く反映されていると教授は指摘します。ここで言うロビーとは、特定の宗教や民族を指すものではなく、イスラエルへの無条件の軍事・外交支援を維持しようとする政治的勢力の集合体を意味します。トランプ政権の中枢には、マルコ・ルビオ国務長官をはじめ、イスラエル支持派から多額の献金を受けてきた人物や、ネタニヤフ首相の選挙に関わったアドバイザーが多数配置されています。さらに、多額の政治献金を行う有力な支援者たちが、大統領の政策決定に強い影響を与えてきた経緯も無視することはできません。

また、この戦争は決して突発的に起きたわけではなく、長年にわたる対立の積み重ねの結果として生じたものです。一部の有力なロビー団体は、過去にイランとの関係改善の機会が訪れるたびにそれを阻み、2015年に結ばれた核合意をトランプ氏に破棄させるよう執拗に働きかけてきました。もしこの歴史的な合意が維持されていれば、現在の核開発への懸念や戦争の口実は大幅に軽減されていたはずだと教授は述べています。米国がイスラエルとの関係をより客観的で「正常なもの」へと修正し、特定のロビー団体の過度な影響力を抑えない限り、今後も米国はコストのかかる紛争に繰り返し巻き込まれ、国際的な信頼を失い続けるだろうと警告しています。

報復攻撃を警告

Trump: Open Hormuz Strait or Face Bombed Power Plants - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】トランプ大統領は、自身のSNSである「トゥルース・ソーシャル」を通じ、イランに対して新たな警告を発しました。ホルムズ海峡の封鎖を48時間以内に解除しなければ、イラン国内の発電所を攻撃対象にすると宣言したのです。米国には過去のイラク戦争などでインフラを破壊した実績がありますが、イラン側はこれに屈しない構えを見せています。イランの司令部は、自国の燃料やエネルギー施設が攻撃された場合、その報復として地域内の米軍および関係国のエネルギー、IT、そして海水淡水化施設をすべて標的にすると警告しました。

この地域において、海水淡水化はクウェートの飲料水の約90%、サウジアラビアの約70%を支えており、合計で約1億人の生活基盤となっています。トランプ大統領は記者団に対し、イラン側を強く非難する一方で、淡水化施設への攻撃計画については明言を避けています。しかし、もし大統領がこの脅しを実行に移せば、イランはイスラエルや近隣諸国のインフラに向けて、迎撃が困難な弾道ミサイルを発射するとみられています。その結果、中東全域で停電と水不足が発生し、世界経済や社会に前例のない規模の壊滅的な打撃を与える恐れがあります。

米国内では、議会の宣誓なしに進められるこの戦争に対し、世論の反発や専門家からの懸念の声も上がっています。国防省の幹部らも、このような無謀な行動は歴史的な大惨事を招くと警告していますが、大統領の強硬な姿勢に変化は見られません。一方で、米軍の核攻撃部隊が拠点を置くルイジアナ州の空軍基地周辺では、正体不明のドローンによる監視活動が報告されており、基地がロックダウンされるなど緊張が高まっています。48時間の期限が迫る中、事態はイスラエルや周辺国を巻き込んだ、予測不能な段階へと進もうとしています。

トランプ氏の迷走

Donald Trump and the Downfall of the American Empire?, by Ron Unz - The Unz Review [LINK]

【海外記事より】トランプ政権によるイランへの軍事攻撃が開始されてから3週間が経過しました。当初、トランプ大統領はイスラエルと共に電撃的な空爆を行い、数日で完全勝利を収めると確信していましたが、事態は予測に反する展開を見せています。イランは即座にホルムズ海峡を封鎖して対抗し、世界の石油供給の要を断たれたことで、原油価格は1バレル100ドルを突破しました。この事態に危機感を抱いたトランプ政権は、かつて自ら課した経済制裁を事実上撤回し、未販売のイラン産原油の購入を他国に促すという、戦時下では極めて異例の措置を発表しました。これによりイランには150億ドルの予期せぬ収入がもたらされる見通しで、皮肉にも敵対国の戦費を自ら支援する形となっています。

軍事面でも、トランプ政権の誤算が続いています。開戦直後の奇襲でイランの最高指導者らを暗殺したものの、イラン側は屈服せず、米軍基地の戦略レーダーを破壊するなど激しい報復に出ました。米海軍はホルムズ海峡の封鎖解除を試みようとしていますが、イランが長年築き上げた無人機やミサイル網を前に、国防総省の顧問らは、艦隊を派遣すれば壊滅的な被害を受けると警告しています。過去の軍事演習でも、イランとの衝突は米側に甚大な損害をもたらすことが示されており、現在のイランは当時より遥かに強力な兵器を保有しています。

一方でイランは、海峡を通過する船舶に対し、米国やイスラエルとの外交関係を断絶した国の船には自由な通行を認めるという戦略をとり、地域での支配力を強めています。サウジアラビアなどの周辺国も、これ以上のエネルギー施設への攻撃が続けば世界経済が崩壊しかねないと危惧しています。専門家の中には、このまま封鎖が長引けば、米国は中東からの完全撤退や経済制裁の終結といった、イラン側の要求を呑まざるを得なくなると分析する者もいます。トランプ大統領は、海峡が開放されなければイランのインフラを壊滅させると警告を強めていますが、その姿勢は迷走しており、米国が戦略的な敗北に向かっている可能性が指摘されています。この戦争は、米国の覇権と世界経済の行方を左右する重大な局面を迎えています。

司令官暗殺の独善

Remembering Qassim Soleimani, Revolutionary Guards General Whose 2020 Murder Joe Kent Praises - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】2020年1月、イラン革命防衛隊の精鋭部隊であるコッズ部隊を率いたカセム・ソレイマニ司令官が、バグダッド国際空港においてアメリカ軍のドローン攻撃により殺害されました。この出来事について、国家対テロセンターの局長を辞任したジョセフ・ケント氏は、第1次トランプ政権の功績として高く評価しています。ケント氏は、トランプ氏が現代のどの政権よりも軍事力の行使を的確に理解し、泥沼の戦争に引き込まれることなく、ソレイマニ司令官の殺害や過激派組織イスラム国の打倒を断行したと称賛しました。

しかし、この記事の著者であるイラナ・マーサー氏は、こうした「悪を排除した」という主張の背景にあるアメリカの独善的な論理に鋭い疑問を投げかけています。アメリカの政界やメディアでは、党派を超えて「ソレイマニは死に値する人物だった」という見解が一般化していますが、著者はこれが主権国家の軍高官に対する国際法を無視した暗殺であると指摘します。ソレイマニ司令官はイランという国家の制服組の将校であり、アメリカの特殊作戦軍司令官に相当する立場でした。もし他国がアメリカの司令官をテロリストと見なし、アメリカ近海で殺害したならば、アメリカ人はそれを明白な戦争行為と見なすはずです。

さらに著者は、アメリカの特殊部隊が世界約149カ国、つまり地球上の国家の約75%に展開し、秘密作戦を遂行している現状に触れています。対照的にイランの活動は中東という地域的な枠内に留まっています。中東の現地住民からは、地球の裏側から来たアメリカがなぜ自国の近隣地域に干渉し、司令官を殺害する権利があるのかという切実な問いが上がっています。また、暗殺の正当化に使われた「差し迫った脅威」という情報についても、複数の上院議員から不十分で屈辱的な説明であると批判されており、過去のサウジアラビア系過激派による被害者数と比較しても、イランを唯一の巨悪とする論理には矛盾があると述べています。

著者は、アメリカ政府が自らを世界の裁判官や執行官として位置づけ、他国の要人の生死を独断で決める権利があると思い込むことの危うさを強調しています。このような「良い者が悪い者を倒す」という単純化された外交方針は、複雑な中東の情勢やキリスト教徒の保護に寄与していた側面を無視し、際限のない国家間の対立を招く可能性があると警鐘を鳴らしています。事実に基づかない事前の抑制論理による攻撃を認めれば、アメリカの軍事行動は際限なく拡大してしまうと結論づけています。

戦争が侵す個人の自由

War Abroad and Authoritarianism at Home - The Ron Paul Institute for Peace & Prosperity [LINK]

【海外記事より】戦争が国家の権限拡大と個人の自由にいかなる影響を及ぼすかについて、リバタリアン(自由主義者)として知られる元アメリカ下院議員のロン・ポール氏による記事をご紹介します。ランドルフ・ボーンの「戦争は国家の健康法である」という言葉が示す通り、戦争は政府が増税や規制、支出を拡大する格好の口実となります。例えば、第二次世界大戦の戦費調達のために導入された所得税の源泉徴収制度のように、戦時の緊急措置が終戦後も長く定着してしまう例は少なくありません。

歴史を振り返れば、戦争は常に市民の自由の侵害を伴ってきました。南北戦争当時の人身保護令状の停止や新聞社の閉鎖、第一次世界大戦当時の政府批判を禁じた治安維持法、そして第二次世界大戦における日系アメリカ人の強制収容などがその典型です。ポール氏は、現在進行中のイランとの戦争においても、これらと同様の事態が起こりつつあると警鐘を鳴らしています。

具体的には、表現の自由への弾圧が懸念されています。トランプ大統領やヘグセス国防長官がメディアの報道姿勢を批判したことを受け、連邦通信委員会(FCC)のカー委員長は、放送局が「公共の利益」に反する場合、放送免許を取り消す権限があると言及しました。これは政権に批判的な報道を行う放送局への明らかな脅しであり、憲法修正第1条が保障する表現の自由に対する重大な侵害であるとポール氏は指摘しています。さらに、イスラエルへの批判が反ユダヤ主義的なヘイトスピーチとして禁止される可能性についても言及されています。

兵力の問題も深刻です。中東への米軍派遣が拡大し、ホルムズ海峡の安全確保などの任務が長期化する中で、徴兵制の復活が現実味を帯びています。ホワイトハウスの報道官は徴兵制の可能性を否定しておらず、2026年度の国防権限法では、18歳の男性を自動的に選抜徴兵対象として登録する仕組みが整えられました。徴兵制は、個人の権利を政府の気まぐれで取り消し可能な「贈り物」とみなす思想に基づくものです。

ポール氏は、正当な安全保障上の必要性がない戦争への反対こそが、自由を尊ぶ人々にとっての最優先事項であるべきだと結んでいます。

イラン戦争、長期でインフレ要因に

The Iran War Brings More Inflation and New Strength to the Yuan | Mises Institute [LINK]

【海外記事より】現在も続くイランでの紛争は、通貨と金融のあり方に二つの逆説的な現象をもたらしています。本日は、この戦争がインフレや通貨の勢力図に与える影響について分析した記事をご紹介します。

第一の逆説は、消費者物価の急騰が懸念される一方で、短期的には「貨幣的なデフレ(ディスインフレ)」の局面が訪れる可能性が高いという点です。現在の不透明な情勢下で、米ドルは米経済の回復力や金融引き締めへの期待から強含んでいます。また、中国の人民元も、米国の制裁を回避してイランとの取引を支える通貨としての役割を強めており、国際的なプレゼンスを高めています。戦争前のアメリカは、現代史において最も長く途切れることのない貨幣的インフレの状態にありましたが、意図的かどうかにかかわらず、現在のディスインフレの兆しは、蓄積された「金融の不健全さ」を一時的に和らげる助けになるかもしれません。

しかし、これは決してインフレの終焉を意味するものではありません。これが第二の逆説に関連します。エネルギー供給のショックが収まれば、米連邦準備理事会(FRB)は物価下落を好機と捉え、再び貨幣的インフレを加速させることはほぼ確実です。現在の市場では、インフレ目標の超過を抑えるために政策金利の先行きが引き上げられていますが、かつての「健全な通貨制度」とは異なり、現代の不換紙幣制度では金利水準だけで金融状況を正確に判断することは困難です。

さらに、この戦争は「チャイナ・ショック」の側面も浮き彫りにしました。中国は石油購入や投資、弾道ミサイル計画への関与を通じてイランを支え、制裁を回避するために人民元を活用しています。また、今後の世界では、AI(人工知能)の普及による供給力の向上や、エネルギー過剰供給への転換が、物価を押し下げる要因として働く可能性があります。皮肉なことに、中央銀行はこの「見かけ上の物価の落ち着き」を隠れ蓑にして、さらなる金融緩和や利下げを正当化し、貨幣的なインフレを追求し続けることができるのです。

結局のところ、FRBは物価が戦争前の水準に戻るような金融環境を作ることはせず、インフレ率が低下したという「成功」を主張するにとどまるでしょう。短期的にはディスインフレの休息期間が訪れるかもしれませんが、その裏側で貨幣の過剰供給が続き、いずれは消費や投資の拡大が供給を上回る事態を招く恐れがあります。私たちは、一時的な物価の動きに惑わされず、通貨価値の長期的かつ構造的な変化を注視する必要があります。

中国、銀現物の買い盛ん

China Is Gobbling Up Physical Silver [LINK]

【海外記事より】マイク・マハレイ氏による、中国が物理的なシルバーを大量に買い上げている現状についての記事をご紹介します。現在、ペーパー資産としてのシルバー価格が乱高下する一方で、中国では現物のシルバーを確保する動きが加速しています。統計によれば、2026年の最初の2ヶ月間で中国が輸入したシルバーは計790トンに達し、2月単月だけでも470トンが国内に流入しました。

こうした旺盛な需要を背景に、中国国内の価格は国際的な指標を大きく上回る水準で推移しています。その結果、すでに低水準だった取引所の在庫はさらに削られ、海外から金属を吸い上げるような状況が続いています。2026年の世界的なシルバー市場は、投資需要の底堅さから6年連続の構造的な供給不足に陥ると予測されています。シルバー・インスティチュートの暫定データによれば、昨年の需要は供給を約9500万オンス上回り、直近5年間の累積不足額は8億オンスを超えました。これは、世界全体の年間鉱山生産量に匹敵する規模です。

中国における需要の背景には二つの側面があります。一つは、高騰する金に代わる投資先としてシルバーバーを買い求める投資家の動きです。もう一つは、4月に予定されている輸出還付金の期限切れを前に、太陽光パネルメーカーが金属の確保を急いでいる点です。世界のシルバー年間供給量の約20%を消費する太陽光パネル産業は中国に集中しており、その製造現場は極めて活発です。

香港では、大手銀行が取引する大型シルバーバーに1オンスあたり最大8ドルのプレミアムがつくなど、異例の状態が続いています。ニューヨークやロンドン、アジアの各取引所間でシルバーを移動させることで、一時的に需給の逼迫を和らげることは可能ですが、それは根本的な解決にはなりません。主要な取引所の目に見える在庫は、依然として長期平均を大幅に下回るか、減少を続けています。

著者は、投資需要が再び本格化し、資金がETF(上場投資信託)に戻り始めたときに何が起こるのかと問いかけています。小売投資家は価格の下落時に買うよりも、上昇トレンドに追随する傾向があるため、再び価格が急騰すれば、さらなる品不足を招く可能性があると警鐘を鳴らして記事を締めくくっています。

金、短期で厳しい局面

I've Turned Into a Gold Bear -- For Now [LINK]

【海外記事より】金市場の現状と今後の展望について、マイク・マハレイ氏による分析をご紹介します。マハレイ氏は、現在の金市場に対して、短期的には弱気な見方に転じていると述べています。先週、金は激しく売られ、1オンスあたり5000ドルを割り込み、一時4300ドルを下回る場面もありました。これは1983年以来の最悪な週を記録する動きとなっています。

こうした売りの背景には、イランでの戦争を巡る不透明感から、投資家が株式や債券を売却し、現金を手元に置こうとする動きがあります。特に金の下落を招いている主な要因は、インフレへの懸念と、連邦準備理事会(FRB)が金利をより長く高く維持するという見方です。一般的に、利息を生まない資産である金にとって、高金利は逆風とみなされます。皮肉なことに、金はインフレヘッジの手段であるはずですが、ここ10年ほどは実際のインフレ率よりも、それに対する金融政策の予測が金価格を大きく左右するようになっています。

しかし、マハレイ氏は、過去2年間にわたって金価格を押し上げてきた根本的な要因が消えたわけではないと強調しています。現在の市場の認識とは裏腹に、FRBが金利をさらに引き上げたり、長期間据え置いたりすることはないと同氏は予測しています。むしろ、現在の戦争が借金まみれのバブル経済を崩壊させる引き金となり、中央銀行は過去の経済危機時と同様に、利下げや量的緩和に踏み切らざるを得なくなると見ています。

それは、経済が失速する中で物価が上昇する「スタグフレーション」という事態を意味します。膨大な債務のブラックホールや過去の過剰投資が解消されていない中で、FRBはいずれ「インフレの抑制」か「緩和による経済の下支え」かの二択を迫られ、最終的には後者を選ぶだろうと著者は推測しています。他のアナリストも、現在の中央銀行の強硬な姿勢は神話に過ぎず、いずれ新たな量的緩和が必要になると同意しています。

結論として、マハレイ氏は短期的には金価格にとって厳しい時期が続く可能性があるものの、これは一時的な現象であると考えています。5000ドルを下回る現在の価格は、むしろ絶好の買い機会であるという見解です。政府の巨額の赤字や、経済危機の救済のために通貨が大量に発行される未来を見据えれば、米ドルのような法定通貨を持ち続けるよりも、金を保有し続けることの妥当性を説いています。

中国、銀在庫が急減

China & Silver | SilverSeek [LINK]

【海外記事より】世界的なシルバー市場において中国がどのような動きを見せているかについて、ある海外記事の内容をご紹介します。この記事によれば、現在、上海黄金交易所と上海先物取引所におけるシルバーの在庫は、2015年の第3四半期以来の低水準にまで落ち込んでいます。これは、市場に在庫がほとんど存在しないに等しい状況であることを示唆しています。

特筆すべきは、中国のシルバー輸出入に関する最新のデータです。2026年1月と2月の統計を確認すると、2月だけで約450.6トンのシルバーを輸入した一方で、輸出は約291.8トンにとどまりました。中国が輸出量よりも輸入量を多く記録したのは、2024年半ば以来のことです。これまでの10年間の推移を振り返ると、中国は2020年の第3四半期からシルバーの純輸出国となっており、その傾向は昨年9月にピークを迎えました。しかし、それ以降のデータを見ると、これまでの流れが反転する兆しが見て取れます。

中国当局は今年、多くの企業に対してシルバーの輸出ライセンスを付与していますが、記事の著者は、こうしたライセンスは状況次第で制限されたり、取り消されたりする可能性があると以前から指摘しています。上海の取引所における在庫の急速な減少に加え、コメックスやiシェアーズ・シルバー・トラスト、さらにはその他の投資信託や上場投資信託においても、シルバー在庫の減少が数ヶ月にわたって続いています。

また、コメックスの保管庫全体の在庫状況についても触れられています。約1年前から、ほぼすべての保管庫で在庫が急激に減少しているのです。ある専門家の分析によれば、特定の金融機関が公表している在庫の一部は、実際には信託財産として保持されているものであり、自由に動かせる実質的な在庫は公表値よりも大幅に少ない可能性があるとの見解も示されています。

業界の有力者からは、物理的なシルバーに対する需要は極めて旺盛であるという声が上がっています。シルバー市場は現在、構造的な供給不足の6年目に入っています。今回の中国に関するデータは、供給不足を裏付ける新たな兆候の一つと言えるでしょう。これらを踏まえると、100ドル未満にとどまる現在のシルバー価格が将来も続くかどうかは、疑問が残ると記事は結んでいます。