No, We Cannot “Afford” This War with Iran Either | Mises Institute [LINK]
【海外記事紹介】この記事は、トランプ政権によるイランへの軍事介入について、経済的な観点から「アメリカにはこの戦争を賄う余裕などない」と強く警鐘を鳴らしています。
まず筆者は、野党・民主党の対応を批判的に分析しています。中道派の民主党議員の多くは、本心ではイスラエル支持やイラン封じ込めという戦略に賛成しているため、政権への攻撃材料を「手続きの不備」や「財政的な不整合」に絞らざるを得なくなっています。特に、国内の社会福祉予算には「財政赤字」を理由に反対する共和党が、戦争が始まると即座に数十億ドルを投じるという「ダブルスタンダード」を民主党は突いています。
しかし、記事が真に問題視しているのは、民主党が主張するような「戦争に金が出せるなら福祉にも出せるはずだ」という論理の危うさです。筆者は、政府が通貨を発行して支払う「能力」があることと、その支出を経済的に「負担できる(アフォードできる)」ことは全く別問題であると説いています。
現在、アメリカの公的債務は40兆ドルに迫り、2026年度の財政赤字もすでに1兆ドルを超えています。そこへ、開始わずか6日間で113億ドルを費やし、今後も一日あたり10億から20億ドルを要するとされるイラン戦争が加われば、もはや財政は持続不可能な域に達します。政府が紙幣を増刷して戦費を賄えば、それは「インフレ」という形で国民の生活を直撃します。すでにアメリカ国民が直面している「生活費危機」の正体は、こうした過剰な通貨供給によるインフレなのです。
さらに、この戦争には固有の経済リスクが伴います。イラン側は、米・イスラエルによる攻撃のコストを最大化させるため、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖に動いています。これにより、石油だけでなく天然ガスや肥料、半導体製造に不可欠なヘリウムなどの供給が滞り、世界的な物価高騰と深刻な供給不足を招く恐れがあります。
最後に、アメリカ経済そのものの脆弱性についても言及されています。長年の低金利政策と過剰な信用拡大によって、現在の経済構造は「誤った投資」の上に成り立つ砂上の楼閣と化しています。19年前の住宅バブル崩壊や6年前のパンデミックによるロックダウンと同様に、今回のイラン戦争が、積み上がった経済の歪みを一気に崩壊させる「景気後退の引き金」になる危険性は極めて高いと、この記事は結論づけています。