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2026-03-14

自由を守る地方分権

Only Power Can Check Power: Why We Need Decentralization | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】政治理論における古くからの難問は「誰が監視者を監視するのか」という点です。国内外の脅威から国民を守るために、国家に武力の独占を認めた瞬間、その強大な権力が濫用された際にどう抑え込むかという問題が浮上します。アメリカ建国期の連邦派は、憲法による統治や選挙、議会という仕組みが権力濫用の防壁になると約束しました。しかし歴史が示す通り、その目論見は外れました。今日の連邦政府の権限は18世紀の人々の想像を絶するほど肥大化し、州政府は単なる行政単位へと格下げされています。

なぜ憲法は権力の抑制に失敗したのでしょうか。最大の理由は、連邦政府をチェックできる「独立した権力」が存在しないことにあります。政府が自らの権力濫用を調査するのは、警察が自分たちの不正を身内で調べるようなものです。独立革命を経験した当時のアメリカ人たちは、紙に書かれた法律だけでは不十分であることを知っていました。彼らは「権力をチェックできるのは、事実上の力(パワー)だけである」という冷徹な真理を理解していたのです。

これに対し、中央集権に反対したアンチ・フェデラリスト(反連邦派)たちは、州が自衛のための武力を保持し続けることを重視しました。パトリック・ヘンリーは、民衆が武器を奪われ、中央に常備軍が置かれれば、暴政を罰することなど不可能だと喝破しました。中央政府が全ての軍事力と徴税権を握れば、抵抗は狂気の沙汰となります。彼らにとっての解決策は、中央の常備軍に反対し、地方(州)が中央の侵食に対抗できる実力を維持することでした。

同様の懸念は、フランス革命後の自由主義者たちの間でも共有されました。トクヴィルやベンジャミン・コンスタンといった思想家は、革命政府が旧体制下で進んでいた中央集権化を引き継ぎ、地方の自律性を粉砕したことを批判しました。彼らは「分権化」を掲げ、地方への愛着や宗教といった地方固有の利害こそが、中央権力に対する抵抗の種になると説きました。急進的なバスティアに至っては、常備軍を廃止し、武装した市民がそれに代わるべきだとまで主張しています。

個人の自由と国家の権力は、一方が勝てば一方が退くというゼロサムの関係にあります。内部的な「抑制と均衡」という甘い言葉に惑わされず、国家による武力の独占を疑い、地方や個人の側に実効性のある対抗力を保持すること。このリアリズムこそが、中央集権の怪物から自由を守るための唯一の道であると、歴史の教訓は語っています。

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