Manufacturing An Enemy And Losing Your Friends | The Libertarian Institute [LINK]
【海外記事より】イランとの戦争は避けられないものでも、必要なものでもありませんでした。2026年3月の時点で、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、イランが核爆弾を製造している証拠は見当たらないと述べていました。また、アメリカのタルシ・ギャバード国家情報長官も上院の委員会において、軍事作戦「ミッドナイト・ハマー」の開始以降、イランが濃縮能力を再建しようとする動きはないと証言しています。国防情報局の報告書でも、イランが大陸間弾道ミサイルを開発する可能性に触れてはいるものの、それはあくまで将来的な仮定の話に過ぎませんでした。交渉の過程でイラン側は、核兵器保有への道を完全に遮断するための多くの選択肢を提示していたのです。しかし、アメリカ政府は一方的に攻撃という選択をしました。これは、同盟国を従属国とみなす覇権的な振る舞いと言わざるを得ません。NATO諸国やEUの友人たちとの協議は行われず、湾岸諸国やイスラム圏のパートナーからの猛烈な反対も無視されました。この決定により、アメリカとNATO、そして湾岸諸国との関係は、回復困難なほどに深く傷ついてしまいました。
NATO条約第5条では、加盟国への武力攻撃を全加盟国への攻撃とみなし、共同で対抗することが定められています。しかし、アメリカはイランから攻撃を受けたわけではなく、この条約を適用する法的根拠はありません。それにもかかわらず、ドナルド・トランプ大統領はSNSなどで、NATOがアメリカを支援しないことを激しく非難しました。NATOを「紙の虎」と呼び、参戦を拒む同盟国を「卑怯者」と罵り、この恩知らずな行為を忘れないと脅迫めいた発言を繰り返しています。一方、欧州の指導者たちは冷静かつ毅然とした態度を保っています。NATOのルッテ事務総長は、この紛争に引き込まれる計画は一切ないと明言し、ドイツのメルツ首相も、NATOは介入のための組織ではなく防御のための同盟であると強調しました。さらに、ドイツのシュタインマイヤー大統領やフランスのマクロン大統領らは、アメリカによるイランへの攻撃を「国際法違反」であると明確に指摘し、承認できないとの立場を表明しています。アメリカの命令に従うかどうかの境界線において、明確な決裂が生じているのです。
この関係の変化は、湾岸諸国やイスラム世界との間でも同様に起きています。イランは近年、近隣諸国との関係改善に努めてきましたが、今回の事態はその努力を台無しにするものでした。イランのペゼシュキアン大統領は、近隣諸国への攻撃を停止する意向を示しましたが、トランプ大統領はこれを「降伏」と決めつけ、さらなる破壊と死を警告して紛争鎮静化の道を閉ざしました。一方で、アメリカは湾岸諸国の基地や領空を軍事作戦に利用し続けており、その過程で近隣諸国に被害が出る事態も発生しています。これに対し、湾岸諸国はアメリカが自分たちの警告を無視し、一方的に戦争に巻き込みながら守ってくれないことに強い憤りを感じています。かつてはアメリカの安全保障の傘を信頼していましたが、今や米軍基地の存在は安全の源ではなく、むしろリスクそのものと見なされるようになりました。
アメリカと湾岸諸国の安保関係が完全に終わることはないにせよ、もはや以前と同じ姿には戻らないでしょう。サウジアラビアがパキスタンと安保同盟を結び、トルコやエジプトを中心にイスラム圏独自の安全保障の枠組みを求める声が強まっているのは、その現れです。トランプ大統領による今回の「遠征」はいずれ終わりますが、湾岸諸国とイランは今後も数千年にわたって隣人として共に生きていかなければなりません。カタール外務省の報道官が述べたように、地域の人々はこの地で共存する方法を見つけ出す必要があります。今回の戦争はイランに打撃を与え、国際法や核不拡散の体制を損なうだけでなく、アメリカが長年築いてきたNATOや湾岸諸国との重要な信頼関係をも根底から揺るがす結果となったのです。
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