The Tea Party Stumbled So That MAGA Could Fall | The Libertarian Institute [LINK]
【海外記事紹介】アメリカの政治史において、既存の権力構造に挑む草の根の抗議運動が、いかにして既存の体制に取り込まれ、あるいは自らの矛盾によって崩壊していくかという歴史的な教訓が、2026年現在の視点から語られています。歴史家のAlan Mosley氏は、今世紀初頭の二大運動である「ティーパーティー(茶会運動)」と「MAGA(Make America Great Again)」を比較し、両者がいかにして支持者の期待を裏切る結果となったかを鋭く分析しています。
ティーパーティー運動の真の出発点は、2007年のロン・ポール氏の大統領選挙活動にありました。健全な通貨、憲法による政府権限の制限、そして海外での戦争への反対というリバタリアン的な理念が若者の支持を集めたのです。しかし、2010年頃には共和党の既成勢力や大口献金者がこの勢力を自派に取り込み、スローガンだけを利用するようになりました。結果として、政府支出の削減や憲法遵守という本来の要求は骨抜きにされ、運動は静かに党の機構の中に消えていきました。
その空白を埋める形で登場したのがドナルド・トランプ氏によるMAGA運動です。彼は「終わりのない戦争」の終結や不法移民の強制送還、財政赤字の解消を公約に掲げ、既存政治に不満を持つ層を熱狂させました。しかし、政権運営の実態は公約とはかけ離れたものでした。パンデミック時に批判の対象となった官僚への責任追及は行われず、移民の送還数も公約の規模には及びませんでした。さらに、財政赤字は任期中に約7.8兆ドルも膨れ上がり、第2期に入ってからも14ヶ月で2兆ドル以上増加するという、かつてのティーパーティーが最も忌み嫌った「大きな政府」そのものの姿を露呈しています。
決定的な決裂は外交政策で起こりました。戦争を終わらせるという「アメリカ・ファースト」の理念を掲げながら、イランとの軍事衝突に踏み切ったことは、支持者にとって最大の裏切りとなりました。トランプ氏という個人に強く依存したMAGA運動は、彼自身の決断によってその正当性を失い、今や実体のないブランドへと変質しています。著者は、かつてティーパーティーが既成勢力に吸収されて「つまずいた」経験があったからこそ、現在のMAGAの劇的な「転落」がより鮮明に浮き彫りになったと締めくくっています。
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