How Milei Saved Argentina’s Central Bank, by Oscar Grau - The Unz Review [LINK]
【海外記事紹介】アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、就任前「中央銀行を爆破して廃止する」という過激な公約を掲げ、世界中の自由主義者を熱狂させました。彼は中央銀行による通貨発行を「人類史上最大の盗み」と断じ、アルゼンチン・ペソを「ゴミ以下の価値しかない」と批判して、米ドルへの完全移行を約束していたのです。しかし、政権発足から1年以上が経過した現在、ミレイ氏は公約を果たすどころか、むしろ中央銀行を「救済」し、その存続を確実にしているというのが、この記事の鋭い指摘です。
アルゼンチン国民は長年のハイパーインフレにより、すでに実質的な経済活動をドルで行っており、ペソへの信頼は皆無です。本来、ミレイ氏が主張していたようにペソに価値がないのであれば、中央銀行を即座に閉鎖しても経済的な混乱は限定的だったはずです。むしろ、通貨発行を即座に停止し、通貨市場への介入をやめることで、残されたペソの希少価値が上がり、国民の信頼を回復させる道もありました。しかし、ミレイ政権が実際に選択したのは、中央銀行の負債を政府の借金に付け替え、銀行セクターの利益を守るという、極めて「官僚的」な手法でした。
驚くべきことに、ミレイ政権下でのマネタリーベース(通貨供給の基礎)は、2025年半ばまでに就任時の4倍にまで膨れ上がっています。これは、彼が批判していた前政権の4年間分に匹敵するペースです。ミレイ氏は「ペソの不足をドルで補う」という理論を掲げましたが、実際には中央銀行を通じて大量のペソを刷り続け、輸出業者から強制的にドルを買い叩くことで、外貨準備を積み増しています。これは、自由な市場競争とは真逆の、国家による強力な市場介入に他なりません。
結局のところ、中央銀行の幹部に旧知の銀行家を据えたミレイ氏は、銀行家たちが抱えていた焦げ付きかねない債権を政府が保証することで、金融エリートたちを救ったのです。中央銀行は今や、ミレイ氏にとって廃止すべき悪ではなく、政権を維持し、特定の利権を守るための「不可欠な資産」へと変貌してしまいました。自由の闘士としての仮面の下で、彼は皮肉にもアルゼンチン史上最も通貨を膨張させた大統領の一人として、中央銀行の寿命を延ばし続けているのです。
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