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2026-02-21

奴隷制の「国有化」

Antebellum Federal Protections of Slavery | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ南北戦争前の歴史を振り返る際、奴隷制は南部諸州のみの問題と考えられがちですが、実態はより複雑でした。最新の研究が指摘するのは、実はアメリカ連邦政府こそが、数十年にわたり政策を通じて奴隷制を強力に保護・維持してきたという逆説的な事実です。

歴史家ポール・ジョンソン氏によれば、南北戦争直前の時点で、奴隷制は連邦政府という枠組みの中にいた方が、そこから離脱するよりもはるかに安全でした。当時の連邦議会では南部民主党が多数派を握っており、憲法改正による奴隷制廃止は事実上不可能だったからです。連邦政府による保護の象徴が「逃亡奴隷法」でした。この法律は、自由州(北部)に逃げ込んだ奴隷を元の所有者に返還することを連邦政府が義務付けるものでした。これにより、奴隷制の維持コストは南部だけでなく全米に「社会化」され、北部諸州もその片棒を担がされていたのです。驚くべきことに、当時の急進的な奴隷制廃止論者たちは、この不当な連邦法を無効化するために、むしろ「自由州こそが連邦から離脱すべきだ」と主張していたほどです。

さらに、1857年のドレッド・スコット判決は、黒人には市民権がなく、連邦政府には領土内での奴隷制を禁止する権限がないと断じ、奴隷制を事実上「国有化」して憲法で保護する立場を強めました。また、リンカーン大統領自身も、就任当初は奴隷制が存在する州への不干渉を約束しており、連邦政府が州の奴隷制に永久に介入しないことを明記した「コーウィン修正条項」を憲法に追加することにさえ同意していました。

自由市場の観点から見れば、奴隷制は極めて非効率でコストのかかる労働システムです。しかし、それが長年生き延びたのは、連邦政府が市場競争の原理からこの制度を隔離し、一部の所有者の利益を保護するために社会全体にコストを転嫁する政策を維持したからに他なりません。南北戦争という極限状態こそが、皮肉にも連邦政府による堅固な法的保護を打ち破り、奴隷解放を実現する唯一の機会となったのです。

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