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2026-02-21

英経済、失速の理由

Why Britain’s Economy Is Sputtering | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】一見すると、イギリスとアメリカの経済構造は似ているように見えます。どちらも製造業からサービス業、金融、知識労働へと移行した先進国だからです。しかし、その内実を詳しく分析すると、イギリス経済が停滞し、アメリカが成長を続ける根本的な理由が見えてきます。結論から言えば、アメリカのサービス業は知性や戦略、プラットフォームを売る「高生産性」なものであるのに対し、イギリスのそれは介護や小売、配送といった労働集約的で、規模の拡大が難しい「低生産性」な部門に偏っているのです。

アメリカでは、金融が単なる資産管理にとどまらず、イノベーションを引き起こすための「リスクを取る装置」として機能しています。一方で、イギリスの金融は既存資産の管理や規制への対応に終始しがちです。その差は、労働者の賃金にも明確に現れています。仮にイギリスの生産性がアメリカ並みに向上すれば、平均的な労働者の年収は約4000ポンド、日本円にして約80万円も増える計算になります。イギリスには世界屈指の大学や研究機関があり、人口あたりの論文数は世界トップクラスで、政府による研究開発支援もGDP比で見ればアメリカの倍以上の気前の良さです。しかし、その優れた科学的知見が、国内でビジネスとして結実していません。

この「商業化の失敗」の背景には、リスクマネーの不足があります。アメリカではベンチャーキャピタルの資金の約7割を年金基金が供給していますが、イギリスではわずか10パーセントにすぎません。かつてイギリスの年金基金は資産の半分を国内株に投資していましたが、現在は5パーセント以下にまで激減しています。その結果、イギリスで生まれた画期的な技術は、より深い資本市場とリスクを許容する土壌を求めてアメリカへ流出し、他国で製品化されてしまうという「技術の漏洩」が起きているのです。

結局のところ、この差は社会の選択の結果でもあります。アメリカが激しい競争と格差を容認して「ダイナミックな成長」を優先する一方で、イギリスは「社会の安定と雇用の維持」を優先してきました。しかし、その代償として、イギリス経済は活力を失い、世界をリードする高付加価値なサービスを生み出せなくなっています。イギリスが再び輝きを取り戻すには、科学的な強みを経済的なダイナミズムに変換するための、金融構造とリスクに対する社会的な意識改革が不可欠だと言えるでしょう。

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