金が買われる理由として、経済ニュースではいくつかの要因をあげる。米国の利下げ、米中貿易摩擦の激化、米軍によるイラン革命防衛隊の司令官殺害をきっかけとした中東情勢の緊迫などだ。
けれども、これらの一見バラバラな出来事がなぜ金価格の上昇につながるのか、よくわからない人もいるのではないだろうか。じつは、ニュースでは説明を省いてしまう場合が多いが、金が買われる背景には、共通する根本原因がある。それは「インフレへの恐れ」である。
インフレはお金の価値が下がり、デフレはお金の価値が高まること
私たちは普段、中央銀行が作った紙幣(お札)をお金として使っている。紙幣はその名のとおり、紙でできているので軽く、持ち運びに便利というメリットがある。もちろんデメリットもある。それは、お金としての価値が減る危険にさらされる点だ。
私たちは日頃、物の価値を測るモノサシとしてお金を使っている。1万円のゲームソフト、10万円のスーツといった具合だ。だから、お金そのものの価値と言われると、それが増えたか減ったかをどうやって測るのか、ピンとこないかもしれない。
物の価値をお金で測るのと逆に、お金の価値は物で測る。ネットショッピングで、あるお菓子の10個セットが今日1000円で、1年後に2倍の2000円に値上がりしたとすると、そのお菓子で測ったお金の価値は半分に減ったことを意味する。同じ1000円で半分の5個しか買えないからだ。逆に、同じお菓子セットが半分の500円に値下がりしたとすると、そのお菓子で測ったお金の価値は2倍に増えたことを意味する。同じ1000円で2倍の20個買えるからだ。
ただし、物の値段は特殊な理由で上下することも少なくない。お菓子が値上がりしたのは芸能人に紹介されて人気になったからかもしれないし、値下がりしたのは健康に害があると報道されたからかもしれない。




