Call for Papers: Special Issue of the JLS: “Whither Libertarianism?” [LINK]
【海外記事より】米国の法学者であるステファン・キンセラ氏のウェブサイトに掲載された記事をご紹介します。この記事では、学術誌「ジャーナル・オブ・リバタリアン・スタディーズ」が、「リバタリアニズムはどこへ向かうのか」と題した特集号に向けて論文を募集していることが伝えられています。今回の特集では、個人の自由や私有財産を重視するリバタリアニズムの思想的根幹である「不可侵原則」の解釈や適用について、改めて学術的な検証を行うことが目指されています。
背景には、近年のリバタリアン陣営内部における様々な見解の対立があります。思想の対象を純粋な暴力の否定に限定すべきか、それともより広い文化的価値観を含めるべきかという論争に加え、移民問題に対する国境開放論と財産権重視論の相違、あるいはアルゼンチンのミレイ政権の政策評価や感染症対策を巡る対応など、現実の社会課題をめぐって議論が分かれています。特集号のゲストエディターを務めるペール・バイランド氏は、新旧のリバタリアンに対し、この思想が直面する強みや弱み、そして将来の展望についての議論を求めています。
これに対してキンセラ氏は、自身の見解として、リバタリアニズムは妥協のない原則的な無政府主義の立場を維持すべきだと主張しています。同氏は、オーストリア学派経済学の理論やマレー・ロスバード、ハンス=ヘルマン・ホッペの政治理論に立脚する必要性を説いています。その上で、特許や著作権といった知的財産権の否定や、国家所有の財産を単純に誰のものでもない財産として扱うことへの反対、そして現実の法から乖離した極端な思考実験を避けることなど、法理論や契約理論を厳格に見直すことの重要性を指摘しています。
このように記事では、現代社会の複雑な課題や政治的変化に直面する中で、リバタリアニズムという政治哲学が自らの原点に立ち返り、その整合性と今後の方向性を問い直す試みが進められている状況が紹介されています。
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