Against Rallonomics - Instituto Rothbard Brasil [LINK]
【海外記事より】ミーゼス研究所に掲載されたオスカル・グラウ氏の記事をご紹介します。アルゼンチンのミレイ政権による財政改革と通貨安定策について、経済学者フアン・ラモン・ラロ氏の理論、いわゆる「ラロノミクス」に対する批判を展開した論考です。ラロ氏は、中央銀行を民間企業のように捉え、通貨をその負債とみなす見解を持っています。中央銀行の資産と政府の支払い能力を強化し、財政黒字によって負債を処理すれば通貨は安定するという理屈から、ミレイ政権の改革を評価しています。
しかし著者のグラウ氏は、この前提そのものに異を唱えます。不換紙幣は一般的な交換媒介物であり、誰かに対する請求権を持つ負債や金融資産ではありません。中央銀行の貸借対照表における負債という位置づけは形式的な会計上の慣行にすぎず、保有者がその裏付け資産を法的に要求できるわけではないと論じています。中央銀行は一般企業とは異なり、通貨発行の独占権や法定通貨制度、徴税権といった国家の特権に依存して存在している機関である点が指摘されています。
記事では、インフレの要因についても異なる見解が示されています。物価上昇の背景にあるのは中央銀行の資産不足ではなく、通貨そのものへの需要の減少です。外貨準備などの資産を増やすためであっても、新たに通貨を発行すれば通貨価値の下落圧力が生じます。ミレイ政権下では財政黒字が達成された一方で、マネタリーベースは政権発足時から2倍以上に急増しており、為替介入やドル買いなどの中央銀行による介入体制が続いていることが問題視されています。
著者は、政府が財政黒字を積み上げて債務を返済し続ける姿勢は、結果として金融エリートの利益を保護することにつながると主張します。通貨の安定を本質的に実現するためには、中央銀行のバランスシート調整に頼るのではなく、国家による通貨独占や債務構造そのものに切り込む必要があると結論付けています。
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