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インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

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2020-08-08

金高騰が鳴らす警鐘 通貨への信認取り戻せ


  • 金価格高騰の根底にあるのは現在の通貨制度への不信感
  • 金本位制のもとでは政府による通貨価値の低下に歯止め
  • 経済を繁栄させるには通貨に対する信認を取り戻す必要

金価格が高騰している。指標となるニューヨーク金先物は1日に一時、1トロイオンス1800ドルを突破し、2011年11月以来約8年8カ月ぶりの高値水準を付けた。国内でも最大手の田中貴金属工業が公表する金地金の小売価格は1グラム6826円(税込み)と過去最高を更新した。

メディアでは金高騰の理由として、世界各地で新型コロナウイルスの感染者が再び増加し、再開したばかりの経済活動が再び規制されるとの懸念が強まったことで、安全資産といわれる金を買う動きが加速したと解説している。

金はインフレから財産を守る


それも一つの要因ではある。けれども、金高騰の背景にはもっと根深い理由がある。

そもそも金はなぜ、安全資産といわれるのだろうか。「安全」が元本割れしないという意味だとすると、金はそれには当てはまらない。金の価格は変動し、元本を割る場合もあるからだ。


金が安全資産と呼ばれるのは、昔から財産を守る手段として頼られてきたからだ。それにはいくつか理由がある。世界のどこでも価値のある貴金属として通用すること。持ち運びでき、かさばらないこと。そして特に重要なのは、インフレに強いことだ。

インフレになると、財産として蓄えたおカネの価値が失われてしまう。金であれば、インフレで物価全体が上昇すれば、それにつれて金の値段も上がる可能性が大きいから、その分、財産の価値が目減りしなくて済む。

もしインフレが起こる心配が小さいのであれば、財産の防衛手段としてわざわざ金を買う必要はないだろう。けれども現実には、世界の政府・中央銀行はデフレ脱却の旗印の下、インフレを起こそうと躍起だ。

それに加えて、コロナ対策の影響で痛んだ経済を立て直すとして、巨額の財政支出に乗り出している。財源は実質、中央銀行によるおカネの大量発行に頼るから、おカネの価値が薄まるのは必至だ。

そうだとすれば、人々がおカネの価値の目減りを少しでも防ごうと、金の購入に殺到するのもうなずける。つまり金高騰の根底にあるのは、政府がおカネの発行権を独占し、その価値を自ら薄めていく、今の通貨制度に対する不信感なのだ。

政府の通貨運営に対する不信感が頂点に達すると、政府の発行するおカネではなく、金を正式な通貨として使う制度が人々に支持されるようになる。かつて、その制度は実際に存在した。金本位制だ。

2020-08-01

ハイパーインフレより怖いもの


  • ハイパーインフレよりも長期の小幅なマイルドインフレが怖い
  • 年2%のインフレで、お金の価値は約36年間で半分に
  • MMTによる大量資金供給はバブルとその崩壊で弱者を苦しめる恐れ

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各国政府が大規模な経済対策に乗り出したのをきっかけに「ハイパーインフレは起きるか」という議論をよく目にするようになった。

ハイパーインフレとは物価水準が月ごとに1.5倍となり、それが数年続くような事態を指す。歴史上の例としては、第1次世界大戦後のドイツ、2009年にピークに達したジンバブエなどがよく知られ、最近ではベネズエラも一時は年率268万%というハイパーインフレに見舞われた。


コロナを受けた経済対策に充てるため政府が国債を大量発行し、それを事実上引き受ける形で中央銀行が巨額の資金を供給すれば、世の中にお金がじゃぶじゃぶに広がり、お金に対する信頼が失われる恐れもある。最悪のケースとして、ハイパーインフレに対する関心が高まっているようだ。

ハイパーインフレは確かに怖い。こつこつ蓄えたお金の価値があっという間になくなってしまう。第一次世界大戦後のドイツで、紙くず同然となった札束を積み上げて遊ぶ子供の写真は衝撃的だ。

2020-07-23

デフレって本当に良くないの?


  • 製品価格が下がっても販売数量が増えれば売り上げは減らない
  • 経済が急成長した19世紀後半の英米はデフレだった
  • デフレ対策の金融緩和は副作用が大きく見直し必要

総務省が19日発表した5月の全国消費者物価指数(2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.6と前年同月比0.2%下落した。3年4カ月ぶりに下落した4月に続き、下落は2カ月連続だ。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に原油安が進行し、ガソリンや電気代などエネルギー関連の値下がりが続いている。

素朴な庶民感覚からすると、ガソリンや電気に限らず、物価が下がるのはうれしい。ところがそれは間違いだと、政府や中央銀行の偉い人たちは言う。デフレだからだ。


多くのモノやサービスの価格が下がり続けることをデフレと呼ぶ。日本政府は2001年3月、日本経済が「緩やかなデフレ」状態であると認めた。それから19年間、日銀はさまざまな手法で大幅な金融緩和を行い、対策を講じてきたが、デフレからの明確な脱却はできていない。日本に続き、米欧でもデフレへの懸念から金融緩和に舵を切ってきた。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、デフレが悪化するのではと心配する声も聞かれる。けれども、ここであえて考えてみたい。デフレが経済にとって悪いというのは本当だろうか。

2020-07-16

大恐慌に学ぶ金融相場の危うさ 株価が上がるホントの理由


  • 株式相場を長期で押し上げる要因は社会全体のおカネの量
  • おカネの量が増える限りバブルでも株高続くが、危うさも
  • 大恐慌前夜に米FRBが金融引き締めに転じ株暴落の引き金

株式相場の動きが目まぐるしい。米国では新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてダウ工業株30種平均が今年2月初めから3月下旬にかけて急落した後、6月上旬まで急ピッチで回復した。しかし、6月11日に前日比1861ドル安と史上4番目に大きい下げ幅となるなど、荒れ模様となっている。日本の日経平均株価もほぼ同様の動きだ。

世界銀行が6月8日に公表した予測によると、コロナの収束が遅れれば、世界の域内総生産(GDP)は2020年に最悪の場合で8%縮小し、第2次世界大戦後で最悪の景気後退になる恐れがあるという。それにもかかわらず株価が急回復しているのは、経済の実力から乖離(かいり)したバブルではないかとの見方も出ている。

株価を押し上げる真の要因とは


これを機会に、そもそも株価が上がる理由は何なのか、あらためて考えてみよう。

一般に信じられている見方は、こうだ。経済が成長すると、企業の利益が増え、それによって株式の価値が高まり、株価の上昇につながる。逆に経済が衰退すると、企業の利益が減り、それによって株式の価値が低下し、株価の下落につながる——。


この見方は表面的には間違っていない。けれども実際には、株価を動かす真の要因を見落としている。

株式に限らず、さまざまなモノの値段を長期にわたって押し上げる要因は一つしかない。社会全体に出回るおカネの量だ。

かりに株式市場にA、Bという2社だけが上場しているとしよう。Aという会社の株を売り、Bという会社の株を買えば、Bの株価は上がっても、Aの株価は下がるから、株式相場全体では変動しない。株式相場全体が上昇するためには、株式市場に流れ込むお金の総量が増えなければならない。

社会全体のおカネの量が増えなくても、短期では銀行預金や不動産などから株式市場におカネが流れ込み、株価を押し上げるケースもある。株式市場から銀行預金や不動産などにおカネが流出し、株価が下がるケースもある。

だから長期にわたって株式相場が上昇するためには、社会全体のおカネの量が増えなければならない。逆に言えば、おカネの量さえ増えていれば、実体経済が停滞していても、株式相場は上昇し続けることができる。これが、いわゆる「金融相場」だ。

2020-07-09

正しい政策を見極める、ただ一つの言葉

  • 政策が社会全体に適切かを見極めるカギは政策の「コスト」
  • 都市封鎖で感染拡大が抑制できてもそれだけでは成功と言えず
  • 政策の正しさはリターンとコストを含む全体で判断

政府が打ち出す各種の政策は、金融市場での投資判断にも大きな影響を及ぼす。ある政策が社会全体にとって適切かどうか、どうやって見極めればいいのだろうか。

現在、世界で新型コロナウイルス感染対策の副作用が噴き出している。経済活動に厳しい制限を課してきたイタリアでは、5月から制限を段階的に緩和しているが、観光業や飲食業など幅広い業種で依然、厳しい状況が続く。不安を抱えた国民の抗議活動が起きている。


米国では5月25日にミネアポリス市で起きた白人警官による黒人暴行死事件をきっかけに、全米で抗議デモが広がり、放火や略奪を含む暴動に発展した。その背景にはコロナ対策による経済活動制限が引き起こした大量の失業がある。5日発表された5月の失業率は13.3%と前月(14.7%)から改善したものの、戦後最悪水準の失業率が続く。

2020-07-02

経済支援、補助金より減税で


  • 事業主や従業員への財政支援は長い目では本当の支援にならず
  • 店舗家賃補助や雇用維持策は経済の創造的破壊を妨げ転職機会を減らす
  • 痛みを和らげるには手元に届きにくい補助金より減税の活用を

財政で大盤振る舞いをすれば経済は良くなると、政府は主張し、それを多くの人が支持する。毎度おなじみの光景だ。

政府は5月27日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応する今年度の第2次補正予算案を閣議決定した。一般会計の追加の歳出は総額31兆9114億円と、補正予算としては過去最大の規模だ。事業規模は第1次補正予算と合わせて200兆円を超える。



安倍晋三首相は同日、首相官邸で開いた政府・与党政策懇談会で「GDP(国内総生産)の4割に上る世界最大の対策によって100年に1度の危機から日本経済を守り抜いていく」と強調した。

第2次補正予算案の柱の一つは、緊急事態宣言による休業要請で打撃を受けた事業主や従業員への追加支援策だ。けれども残念ながら、政府の財政による支援は長い目で見ると、本当の支援にならない。むしろ助けるはずの相手を苦しめる恐れさえある。

2020-06-26

経済再生、政府頼みの脱却カギ


  • 新型コロナウイルスは世界経済悪化の原因ではなく、きっかけにすぎない
  • 経済回復へのリスクは長期の財政・金融政策がもたらした過剰債務
  • 政府に頼らず、規制のない市場で活躍する企業がコロナ後の経済再生の主役に

政府は25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が最後まで続いていた東京など首都圏1都3県と北海道について、解除を決定した。感染拡大が収束したか予断を許さないものの、今後は打撃を受けた経済の回復が焦点になる。経済再生のために、何が必要だろうか。


経済への打撃は深刻だ。国際通貨基金(IMF)は4月、今年の世界経済成長率がマイナス3.0%となり、1930年代の大恐慌以降で最悪の景気後退になるとの見通しを発表。さらに5月12日、同基金のゲオルギエバ専務理事は、コロナのパンデミック(世界的大流行)が各国経済に想像以上の打撃を及ぼしていることから、世界経済見通しをさらに下方修正する公算が極めて大きいと表明した。

しかし、忘れてならないのは世界経済の悪化がコロナ拡大の前から進行していた事実だ。パンデミックは経済悪化の直接の原因ではなく、それを加速したきっかけにすぎない。

2020-06-19

国家資本主義なんか怖くない


  • 中国の急成長などを背景に「国家資本主義」に警戒感
  • 強力に見える国家資本主義には政府の経済支配ゆえのもろさ
  • 本当にたくましいのは価格メカニズムを持つ自由な資本主義


中国流の「国家資本主義」に世界経済が席巻されてしまうのではーー。ここ数年、自由な資本主義陣営とされる日米欧で、警戒する声が増えている。おびえる声、と言ったほうがいいかもしれない。

■国家が産業に積極介入


国家資本主義とは、国家が産業に積極的に介入する経済体制をいう。個人の自由を前提とし、政府が経済活動への介入を控える本来の資本主義とは大きく性格が異なる。

国家資本主義が注目を集めた背景には近年、中国が急速な経済成長を遂げ、国内総生産(GDP)で世界一の米国に迫ってきたことがある。


あらゆる産業でデータ分析が重要になる人工知能(AI)の時代には、国民を統制・監視するためにプライバシー情報を含む大量のデータを収集している中国が優位に立つとの見方もある。

今回の新型コロナウイルス感染拡大では、中国の強権的な対応に驚きながらも称賛する声が聞かれた。中国政府は震源地となった湖北省武漢市を即座に封鎖し、国民の移動を厳しく制限。感染者数を一時、抑え込んだ。

経済成長や公衆衛生という目的を達成するうえで、個人や企業の自由を尊重する本来の資本主義は、政府が強力なリーダーシップを発揮する国家資本主義に太刀打ちできないのだろうか。

心配しなくていい。国家資本主義は強靭(きょうじん)に見えても、内部にもろさを抱える。本当の意味でたくましいのは、本来の自由な資本主義だ。

国家資本主義の強みである政府の強力なリーダシップは、同時に弱点でもある。ある問題に関する政府の判断と対応が正しければ良い結果につながるけれども、逆に間違っていた場合、悪い結果をもたらす。

政府が正しい場合も間違った場合も、その影響は国全体に及ぶ。政府による経済支配の程度が強いほど、失敗した場合のダメージも大きい。

しかも、政府が間違う可能性は小さくない。その理由は「情報」にある。政府が経済を思うように運営するには、政府の下に必要な経済情報を集めなければならない。ところがここで政府は、深刻なジレンマに直面する。

2020-06-12

見えざる手、非常時こそ真価


  • 民間企業はコロナ危機克服に役立つ商品・サービスを提供
  • 「見えざる手」という市場経済の力は非常時こそ真価を発揮
  • 政府に重要なのは市場経済の働きを妨げない大胆な規制緩和

新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の株式相場が急落する中、逆に上昇する銘柄群が注目された。感染拡大に伴うさまざまなニーズに応えることで業績拡大が見込まれる、新型コロナ関連銘柄だ。

代表例はヘルスケア。米ギリアド・サイエンシズは「レムデシビル」、日本の富士フイルムホールディングスは「アビガン」の治療効果が期待されている。医療関連では、遠隔医療サービスを提供する米テラドック・ヘルス、LINEと共同出資し医師への健康相談サービスを行う日本のエムスリーの株価も上がった。


在宅勤務を支援する企業や、巣ごもり消費の恩恵を受ける企業への注目度も高い。米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは、ビデオ会議サービス「Zoom(ズーム)」の利用者が急増している。任天堂はゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」が世界的なヒットとなった。ビデオチャットサービスを手がけるリンクバルは、オンライン飲み会の需要が増えているという。

これ以外にも関連銘柄は多い。勝手な憶測で買われたものもあるかもしれないが、基本は業績拡大の見通しが裏付けとなっている。

2020-05-28

マスクが語るグローバル経済の底力


  • マスク生産の背景にグローバル経済の巨大なネットワーク
  • 政府の命令なしに多数の人々が動き商品を作りあげる不思議
  • グローバル経済は国籍・文化の異なる人々による協力を可能に


最近、資本主義への風当たりが強い。富の格差を拡大させる、自然環境を破壊する、拝金主義がはびこる――などなど、さんざんだ。

そのうえ、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、また批判の種が増えてしまった。グローバル資本主義のせいで、ウイルスが世界中にあっという間に広がってしまったという。

たしかに、グローバル経済のもとでは人やモノが国境を越えて自由に移動し、それにつれて感染症も広がりやすくなるのは事実だ。その一方で、グローバル経済は人々に恩恵を与え、命を救いもする。しかも、とても不思議なやり方で。

■マスクの背後に広がる巨大なネットワーク


たとえば、ここに1枚のマスクがある。コロナ危機以来、手に入りにくくなった家庭用マスクだ。たいていの人は、この小さなマスクの背後に巨大なグローバル経済のネットワークが広がることを知らないか、忘れている。

よくある使い捨てマスクの場合、原料は原油だ。原油は中東やロシアなどの産油国から輸出され、タンカーやパイプラインによって、日本や中国の石油化学工場まで運ばれる。加熱してナフサという油を取り出し、そこからプロピレンという素材を得て、プラスチックの一種であるポリプロピレンを製造する。


ポリプロピレンは別の工場に運ばれ、不織布という布に加工。いよいよマスク工場に材料として納品される。1枚のマスクを作るのに必要な不織布は、通気性のいい表用、肌触りのいい裏用、その間で飛沫をカットするフィルター用の3種類だ。

不織布からマスク本体を作り、鼻の形に合わせて曲げることのできるプラスチック製のノーズフィッターを組み合わせる。さらに耳ひもを取り付け、完成だ。

ここまででも、すでに相当な数の人たちがマスクの製造に携わっていることがわかるだろう。けれども、それだけではない。