The Precious Paper Problem: The Divergence in Western Bullion Markets [LINK]
【海外記事より】金(ゴールド)の価格がこの2年で約2倍に急騰し、銀(シルバー)もそれを上回る上昇を見せています。しかし、地政学アナリストのアルマン・シドゥ氏によれば、欧米の貴金属市場で付けられている価格は、現物の実態から深刻に乖離し始めているといいます。ロンドンやニューヨークなどの西側市場が、現物の裏付けが不透明な「紙の上の請求権」に依存する一方で、上海などの東側市場は現物の受け渡しを大前提としており、この二つのシステムの歪みが世界の金融秩序を揺るがしています。
ロンドン貴金属市場協会(LBMA)などの西側市場は、顧客が銀行に金を預けても、特定の金塊の所有権を持たず、銀行の帳簿上の債権として処理される「未割当勘定」が主流です。これは銀行が現物以上の請求権を発行できる信用モデルであり、現物の引き出し要求が集中すれば、システムは容易に破綻します。対照的に、上海黄金交易所(SGE)などの東側市場では、取引前に現物を預託し、取引の90%以上で実際に金塊が受け渡される、資産モデルを採用しています。この哲学的な違いが、西側の「紙の価格」と東側の「現物の価格」の間に無視できない乖離を生んでいます。
この乖離は地政学的なリスクも浮き彫りにしています。2022年に欧米諸国がロシアの中央銀行資産を凍結したことで、ドルの信頼性は揺らぎました。さらに、西側の市場が「預かっているはずの金」を実際に引き渡せないのではないかという疑念が広まったことで、ドイツやインド、東欧諸国などは、ロンドンなどに預けていた金の現物を本国へ回収する動きを加速させています。中央銀行や富裕層は、もはや欧米の指標価格を信用せず、シンガポールやドバイといった現物の保管が法的に保証される市場へと資産を移しています。
シドゥ氏は、この問題を解決するために、顧客の金を銀行の資産として転用することを禁じ、米国の金準備の全容を物理的に調査する「2025年金準備透明化法」の成立が必要だと提言しています。今後、西側の紙の価格と東側の現物価格の差はさらに拡大し、西側メディアがそれを「市場の変動」と呼ぶ一方で、東側の買い手は「割安な現物」として蓄蔵を続けるでしょう。金という最古の資産において、所有権という基本原則を軽視し続けた欧米市場のツケが、通貨の信頼性そのものを損なおうとしています。
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