2022-03-12

戦争党という勝者

米国はウクライナ紛争に首を突っ込み、欧州に軍を急派している。ロシアに制裁を課し、国際経済は停滞。民主党は共和党とぐるになり、軍事予算をさらに膨張させる構えだ。これらはすべて、米外交政策を牛耳り、世界を支配する資格があると主張する超党派の「戦争党」のせいだ。(ダグ・バンドウ)

2006年に米国が下した、ウクライナをNATOに引き込むという決断は、ロシアに存亡の危機をもたらした。2021年12月までにウクライナは事実上NATOの一員となり、一線を越えてしまった。国際関係学者ミアシャイマーは「今日起きていることの第一の責任は西側にある」と述べる。(ロジャー・ハリス)

核戦争だけが脅威ではない。ウクライナには国内4カ所に15基の原子炉があり、チェルノブイリ原発事故跡地にも停止した原子炉がある。メルトダウンや爆発を避けるには複雑な系統の完璧な運用が欠かせない。砲撃でチェルノブイリや福島を上回る原子力災害を誘発する恐れがある。(エイミー・グッドマン、デニス・モイニハン)

戦争報道を難しくするのは、政府の全力でのプロパガンダだ。大昔からある。四千年前のエジプト王の記念碑は勝利を捏造・誇張し、敵に関し無礼な嘘を言う象形文字で一杯だ。現代の記者は公式見解を疑ったり、怪しげな主張の証拠を求めたりすると、愛国心に欠けると非難される。(パトリック・コックバーン)

英アマチュアオーケストラ、カーディフ・フィルは「現時点では不適切」として、ロシアの作曲家チャイコフスキーの作品の演奏を中止した。的外れなことだ。彼はロシアのナショナリズムを排し、ロシアと欧州の芸術を結ぶ数少ない架け橋になった。彼はまた、ウクライナを愛した。(ビリー・ビニオン)

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