2022-12-07

ロシアに関する嘘、信じ続ける米国人

元米中央情報局(CIA)分析官、レイ・マクガバン
(2022年12月5日)

5年前の今日、米議会は宣誓した当事者本人の証言により、民主党全国委員会(DNC)がバーニー・サンダース(民主党大統領候補としてヒラリー・クリントンの競争相手)に対し不利な手段を講じたことを示す同委員会のメールを、ロシア(あるいは他の誰か)がハッキングした技術的な証拠がないことを知った。

このサイトに初めて訪れた読者が、信じられないと叫ぶのが聞こえてきそうだ。「そんなはずはない。ロシアがトランプを勝たせるためにメールをハッキングしたと、ワシントンの政府関係者やメディアは断言した。そして、オバマ大統領(当時)はそれに対応して35人のロシア人外交官を追い出したのではなかったか。ハッキングで起訴された12人のロシア諜報員はどうなのだ。米政府関係者やメディアは勘違いしていたのか」

いや、勘違いではない。嘘をついていた。

「しかし...しかし、ロバート・モラー特別検察官は、トランプとロシアの共謀に関する22カ月の捜査を始めてわずか6カ月で、ロシアのハッキングの具体的証拠がないことを知っていたということなのか」

その男に宣誓させる


2017年12月5日、サイバーセキュリティ企業クラウドストライクの代表であるショーン・ヘンリーは、下院情報委員会で証言し、2016年7月にウィキリークスが公開した民主党全国委のメールをロシアがハッキングしたという技術的証拠はなかったと述べた。クラウドストライク社は、「ロシアのハッキング」を調査するために、民主党全国委とクリントン陣営に(米連邦捜査局=FBI=の了解を得て)雇われていた。

ショーン・ヘンリーは、ロバート・モラー元FBI長官(2001〜2012年)の子飼いで、クラウドストライクに行く前はFBIサイバー犯罪捜査班の班長を務めていた。この重大な事実を、ヘンリーがかつての恩師である特別検察官(モラー)に知らせなかった可能性はあるのだろうか。

なぜ読者は、あの証言から5年も経ってから、今になってこのことを知ったのだろうか。答えは簡単だ。下院情報委員会のアダム・シフ委員長(民主党、カリフォルニア州)は、2017年12月5日から公開を余儀なくされた2020年5月7日まで、ヘンリーの非機密証言を秘密にできたのである。シフは秘密を守る役目を企業メディアの友人たちに引き継ぎ、メディアは今、シフでさえもできなかったほど長い間、ショーン・ヘンリーの証言を封じている。

つまりヘンリーの証言から5年経った今も、企業メディアは視聴者・聴取者に何も知らせないままなのである。私たちVIPS(正気を求める元情報員)が企業メディアから追放されていなければ、「ハッキング」デマに関心を持つ人々は、2016年12月12日(ショーン・ヘンリーが宣誓して真実を語る1年前)の私たちの覚書「ハッキング疑惑は根拠がない」を読み、事実を知ることができたはずだ。ヘンリーの告白は、私たちにとって何ら驚くべきことではなかった。

しかし、たとえばニューヨーク・タイムズ紙は、太鼓を叩き続けている。〔同紙コラムニストの〕チャーリー・サベージは先週、ジュリアン・アサンジに関する記事の中で、次のような文章を慎重に挿入した(ニューヨーク・タイムズ自身が埋め込んだものを見逃してはならない)。

彼(アサンジ)の公共イメージは、ウィキリークスが2016年の大統領選挙でドナルド・トランプを勝たせる秘密作戦の一環として、ロシア政府によってハッキングされた民主党のメールを公開してから大きく変化した。

これがサベージとニューヨーク・タイムズの言葉だ。言葉が通じないピエロは必ずいる。しかしサベージはピエロではない。サベージは今もあるべきシナリオを知っており、それに忠実である(つまり、自分の仕事にも忠実である)。

ショーン・ヘンリーの証言を封じた理由は、次のようなものだったとみられる。「ロシアのハッキング」に関する真実は、ロシアゲートの核心を揺るがし、自分たち企業メディアが悪のプーチンとトランプの「親密」な関係について語ってきたことを根底から覆すことになる。さらに悪いことに、真実が明らかになれば、MICIMATT(軍・企業・議会・情報機関・メディア・学会・シンクタンク複合体)が兵器の製造・販売を「正当化」するために必要な、恐るべき「敵」というイメージを否定することになりかねない。それに、米国人はおそらく真実を扱うことができない。知らなければ、傷つくこともない。

米国人が知らないこと


ユーモア作家のウィル・ロジャースは正しいことを言っている。

「問題は、人々が事実を知っていることじゃない。事実じゃないことを知っている、それが問題だ。」

米国人が「知っている」のは、プーチン大統領が悪であり、ロシアをウクライナで食い止めなければならないということだ。これは6年にわたる教化・洗脳の成果である。もちろんプーチンらもそれに気づいている。欧米の人々がプロパガンダの台で鍛えられ、戦争拡大を目指しているように見えることだろう。これは非常に危険なことだ。人々が知らないことは、人々を実際に傷つけ、別の誤った戦争に導くことができる。その戦争は最近の他の間違った冒険よりもはるかに悪いものだろう。

ジョー・バイデン大統領に助言している新米たちが、ロシアがウクライナで軍事的優位に立っていることを認めようとしないなら、今後数カ月のうちに戦争は拡大する恐れが強くなる。そして情報機関トップによる最近の楽観的な予測にもかかわらず、ウクライナと北大西洋条約機構(NATO)は、ロシアよりも先に弾薬を使い果たす可能性がはるかに高い。

(次を全訳)
Americans Dumbed Down on Russia - Antiwar.com Original [LINK]

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