2022-12-03

NYタイムズ、新たなお気に入りネオナチ軍

FAIR
(2022年11月30日)

ニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナで新たなネオナチ民兵を見つけた。ブラツボ大隊は「同紙が最近の2つの河川作戦を報道できるよう、取材を認めた」。この作戦は「夜の川で、ロシア人を待ち伏せ」という見出しの記事でクライマックスに達した。

米国が支援した2014年のマイダンクーデター以来、既成のメディアは、ウクライナ民族主義分派の多くを導く極右イデオロギーについて、最小限に抑えて報じるか、完全に無視している。

FAIRを含む反戦メディアは、この動きを繰り返し強調してきた。なかでも、かつてファシスト民兵として西側メディアに広く認識されていたアゾフ大隊を、今や民主的ウクライナの主権を勇敢に守る改革された極右集団として大衆に売り込もうとする、企業メディアによる擁護の動きが目立つ。

ロシアが2月に侵攻を開始して以来、アゾフの政治志向はしだいに目立たなくなっていたが、今やまったく議論されなくなった。

「キリスト教タリバン」


タイムズ紙が記者を送り込んだ、あまり知られていないブラツボ大隊は、いくつかの極右潮流によって動かされているが、そのどれもが記事では言及されていない。

ブラツボは2004年、ドミトロ・コルチンスキーによって政治団体として設立された。コルチンスキーは以前、極右の「ウクライナ国民議会・ウクライナ人民自衛軍(UNA-UNSO)」を率いていた人物だ。

コルチンスキーは現在ブラツボ傘下の民兵組織で戦っており、ホロコースト否定論者で、1932〜33年のウクライナ飢饉をユダヤ人のせいにし、「12万人のユダヤ人がナチス国防軍で戦った」という嘘を吹聴している。また、ブラツボを「キリスト教タリバン」とみなすと述べている。

1980年代、タイムズ紙は、アフガニスタンの宗教過激派であるムジャヒディン(米国の訓練と武器提供を受けていた)をソ連の拡張主義に対する英雄的な防波堤として描いた。それがどのような結果を招いたか、私たちは皆知っている。

タイムズ紙はプロパガンダキャンペーンの延長で、ブラツボ大隊のネオナチと神政政治について読者に伝えるのを怠った。ロシアを弱体化させるという米国の政策立案者が公言した目的を推進するために活動している限り、ブラツボが誰の死を望んでいるかなど、気にする必要はないというわけだ。

現代の十字軍


この記事の筆者であるカルロッタ・ガルは、ブラツボのロシアとの戦いを、擬似的な宗教的用語で説明した。実際、タイムズ紙が部隊の指導的イデオロギーをほのめかした唯一の例は、部隊のキリスト教への献身を神話化する形であった。

ブラツボ部隊が作戦に出発する際、「彼らは一緒に祈りを唱え、狭いゴム製のディンギー(小船)に荷物を積んで出発し、暗闇の中で肩をすくめて黙っていた」とガルは書いている。大隊長オレクシー・セレディウクの妻もこの部隊で戦っており、「ロシア軍との接近戦を生き延びたことで、ほとんど神話的な名声を得た」とガルは絶賛している。

民兵が集まって祈る姿を写した写真も掲載した。「ブラツボ大隊の特殊部隊メンバーは夜間作戦に出る前に一緒に祈った」というキャプションは、「キリスト教のタリバン」というより、敬虔な兵士の観念を呼び起こす。

タイムズ紙はまた、ブラツボ十字軍の高邁な目的について、セレディウクの「我々は皆、チェチェンやクレムリンやウラル山脈まで行くことを夢見ている」というつぶやきを引用し、その声を伝えている。ナチスの人種イデオローグは、ウラル山脈をヨーロッパ文化とアジア人の大群を隔てる天然の障壁とみなし、その到達を長い間夢見てきた。

バルバロッサ作戦を計画していたヒトラーは、ウラル山脈をドイツ国防軍の東方進出の範囲とした。1943年、〔ナチス親衛隊=SS=のトップ〕ヒムラーは、欧州ロシアからアジア系「未開人」を排除し、数億人の白人欧州人が入植できるようにするというナチスの計画に言及し、「我々は突進し、ウラル山脈まで少しずつ前進する」と宣言している。

「13世紀の考え方」


一方、この記事に登場するブラツボ大隊のメンバーは、セレディウクとビタリー・チョルニーの二人だけである。チョルニー(タイムズ紙は大隊の情報収集部長と認定)は引用されているが、その発言は部隊の戦闘戦略に関する記述に限られている。セレディウクの発言も同様に、記録された内容は乏しい。

それよりもはるかに示唆に富むのは、「ウクライナの前線における『キリスト教タリバン』の十字軍」と題するアルジャジーラの記事で、セレディウクとチョルニーの両名が幅広く引用されている。アルジャジーラは、セレディウクは「キリスト教タリバンのレッテルを楽しんでいる」と報じた。アゾフ大隊を去るというセレディウクの決断に関連し、この記事は次のように続けた。

セレディウクはネオナチとのつながりのためにアゾフを去ったのではない、しかし極右思想は彼を悩ませていない。彼が苛立つのは、宗教的信念に熱心でない戦士と一緒にいることだ。

チョルニーは、ブラツボの思想的基盤を説明するために、中世の激しく反ユダヤ的な十字軍を引き合いに出している。

敵(闇の勢力)は、あらゆる武器を持ち、数も多く、資金もある。しかし我々の兵士は、欧州の伝統と13世紀のキリスト教の考え方を伝えるものである。

タイムズ紙の高揚した物語を読み解くには、ある程度の補足的な調査や分析が必要だ。しかし、グーグルで「ブラツボ大隊」を検索するという最も基本的な調査でさえ、タイムズ紙が記者を送り込んだ部隊の極右的背景を明らかにする。

検索結果の7番目は、2022年6月のウエストポイント(米陸軍士官学校)のテロ対策センターの研究で、「もう一つのそのような極右組織は、ベラルーシ、デンマーク、アイルランド、カナダのメンバーを含む、いわゆる同胞(ブラツボ)『大隊』である」と報告されている。

9番目の検索結果は、ワシントン・フリー・ビーコンの記事で、極右のカナダ人ボランティアがテレグラムで、「キエフのネオナチ『ブラツボ』大隊で戦っている」と言っているのを引用したものである。

ナチス親衛隊の記念品


ジャーナリストが自分の主張を実際に実践している世界では、新聞社の誰かが、この記事の中の二つの写真に写っているナチスの記章にきっと気づいただろう。しかし現実の世界では、タイムズ紙はズーム機能の使い方を忘れてしまったか(前月の中国共産党大会の報道ではこの機能を大いに利用した)、あるいは単にこの醜くて都合の悪い発見を報道したくなかったかである。

ブラツボ大隊の祈りの輪の写真には、「トーテンコップ」と呼ばれる紋章をつけた兵士が写っている。トーテンコップとはドイツ語で「死の頭」を意味し、ヒトラーの対ソ殲滅戦に参加し、ナチスドイツが何百万人ものユダヤ人男女や子供を死刑にした強制収容所の警備にあたるSS部隊、「親衛隊髑髏部隊」が記章として使用していたものである。

トーテンコップは、ソ連の捕虜、政治亡命者、労働組合員、障害者、同性愛者、ロマ人(ジプシー)など、何百万人もの人々の殺害にも関与していた。

9月、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、数人の兵士と一緒に写った写真をソーシャルメディアに投稿し、その後静かに削除した。そのうちの一人は、ブラツボの祈祷会の写真で見られたのと同じトーテンコップのワッペンをつけていた。この製品はアマゾンやイーベイで簡単に手に入れることができる。

タイムズ紙の記事の後半には、少し違うタイプの記章をつけた兵士の写真がもう一枚掲載されている。この写真では、室内の光に照らされ、画像の中央からトーテンコップが顔を出しており、見落とすことはないだろう。アマゾンの商品説明には、「この豪華なレプリカは、あなたを第二次世界大戦に連れ戻します」と書かれている。

もしタイムズ紙が、ブラツボに派遣したカメラマンが撮影した2枚の写真からトーテンコップを見落としただけなら、間違いなくジャーナリズムの失敗と言える。

もう一つの可能性は、SSの記念品を身につけた兵士をタイムズ紙は認識しており、その問題についてコメントすることなく、とにかく画像を掲載することに決めたというものだ。

(次を全訳)
ACTION ALERT: NYT Has Found New Neo-Nazi Troops to Lionize in Ukraine - FAIR [LINK]

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