ジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン
(2022年12月20日)
ニュースサイト「トゥルースアウト」は最近、「左翼はアメリカ帝国主義に肩入れすることなく、中国のデモ隊を支援できる」と題する記事を掲載し、「中国の労働者とウイグル人は世界中の左翼と連帯を必要としている」と副題で主張した。しかし主題・副題の主張のどちらもまったく論証しようとしていない。
You're Not Actually Helping When You 'Support' Protesters In Empire-Targeted Governmentshttps://t.co/3chMeX13dV pic.twitter.com/Chym6n30c6
— Ron Paul Institute (@RonPaulInstitut) December 20, 2022
記事はニューヨーク大学のレベッカ・カール氏のコメントを載せ、「異性愛規範家父長制」や「白人権力の覇権」といった左翼的な表現を多用しているが、左翼がアメリカ帝国主義に肩入れせずに中国のデモ参加者を支援できるという主張、デモ参加者が世界中の左翼から連帯を求められているという主張を実証する試みは、一切含まれていない。
なぜなら、これらの主張にはまったく根拠がないからだ。私はこのような主張にいつも遭遇し、しばしばそれに挑戦している。英語圏の左翼で、アメリカ中央集権帝国によって政権転覆を狙われている中国やイランのような国のデモ参加者を「支持」または「連帯」することによって、何が得られるのかを論理的かつ首尾よく説明できた人は一度もいない。左翼が、帝国に狙われた政府に対するプロパガンダキャンペーンを支援することなく、プロパガンダに利用されているストーリにどうやって肩入れできるのか、誰も一度もまともな説明をすることができなかった。
それは、きちんとした説明が存在しないからだ。
私はこの件でトゥルースアウトを特別扱いするつもりはない。帝国が標的にした政府を非難するために左翼を後押しすることは、西側の左翼・左派メディアによってつねに行われている。政治雑誌「ジャコバン」は先月、イランの抗議者たちに対して「国際的な左翼は連帯を有効に表現する方法を考えなければならない」と主張する記事を掲載したし、『ショック・ドクトリン』の著者ナオミ・クライン氏も最近、中国の抗議者たちについて同じことを主張している。帝国に狙われた国で抗議活動が行われるたびに、私たちは「公式左翼」から、抗議を応援する主流派の争いに加わらなければならないと諭されるのである。
その理由はいつも不明確で不明瞭だ。それは一般に「連帯」などという左翼的な響きを持つ専門用語で表現され、左翼が当然正しいと思うべきものとして組み立てられている。しかし西側からの連帯の表明によって、帝国の標的となった政府の抗議者たちにどのような実際の具体的な利益がもたらされるのか、誰も明らかにしないままだ。また、帝国が侵略に向けた世論の合意を捏造しようとしている外国政府に対する非難を増幅させる不利益を、利益がどのように勝るのかも説明されない。
左翼はたいてい、「連帯」が何を意味するのかさえ説明しない。おそらく、それらの国に飛んでいって実地支援をするという意味ではないだろうし、そうならそう言うだろう。では、どういう意味なのだろうか。関連するハッシュタグを付けて支援をツイートすることか。ちょっぴり連帯感を感じることか。声やネットで「連帯」を表明し、連帯感を感じれば、何か良いことが起こるという主張なのだろうか。その良いこととは何なのか。具体的にどのような物質的利益がもたらされるのだろうか。左翼は決して言わない。
もし十分な注目を浴びていない問題について話しているのであれば、この議論は理解できる。例えば、パレスチナ人の権利は、何世代にもわたって無視され、盛んにプロパガンダされてきた問題である。この問題にスポットライトを当てる草の根的な取り組みによって、イスラエルのアパルトヘイト(人種隔離政策)が今後必要とする支援を継続することは難しくなった。
しかしイランや中国のような、帝国から標的にされた国における抗議行動は、英米圏のあらゆる有力メディアと政府機関からすでに最大限の報道がなされている問題だ。西側のメディアは米国が好む国の抗議行動と比べ、好まない国の抗議行動に乱暴なほど不釣り合いな報道をするからである。
このようなプロパガンダキャンペーンが存在しないかのように振舞うことはできない。もしあなたがアメリカ中央集権同盟の加盟国の一つに住んでいるのなら、支持や連帯の表明が、中南米やアジア、アフリカの誰かから発信されるのと同じ意味であるかのように装うことはできない。同じではないのだ。あなたはこれまで存在したうちで最も強力な帝国の中から発言しているのであり、その帝国の世界征服キャンペーンやその車輪に油を差すプロパガンダ活動と、つねに何らかの関係を持たざるをえないのである。
あなたはその関係に対して責任を持つ必要がある。もしあなたが米国や英国、欧州連合(EU)、オーストラリア、カナダなど帝国に属する国に住んでいるなら、帝国に狙われた国の抗議者の大義に声を貸すことは、その抗議に関する帝国のプロパガンダキャンペーンを促進することなしには、単に不可能である。無理だ。あなたがこの現実と結ぶ関係は、責任あるものか無責任なものかの二つに一つだ。
帝国の宣伝活動の一環である抗議行動をわざわざ増幅させる西側左翼が現実と結ぶ関係は、無責任なものである。西側左翼は外国の人々を実際に助けるようなことは何もしていないが、傷つけかねないことは間違いなくしている。自分に正直なら、わかっているはずだ。それでもやめようとしない。プロパガンダに毒された左派の友人や信者の前では見栄えがするからだ。
爆弾を投下する前に、ストーリーを投下する。ミサイルを発射する前に、プロパガンダキャンペーンを行う。制裁を行う前に、認識管理を行う。もしあなたがプロパガンダキャンペーンに参加することで、これらの行為を助けることを選ぶなら、実行する軍人と同じように、その結果に加担することになる。その行為の理由について、どんな左翼的な言い訳をしようが関係ない。
これはゲームじゃない。世界はあなたが「いいね!」やリツイートをもらうために、左翼的「連帯」のファッションで着飾り、もったいぶって歩くランウェイではない。もしあなたが帝国の中で生きているのなら、そのプロパガンダとの関係に責任を持つ必要がある。そうでなければ、自分自身のことをかわいらしく語る、ありふれた帝国主義者にすぎない。
「左翼はアメリカ帝国主義に肩入れすることなく、中国のデモ隊を支援できる」だって? そんなことはできない。やめてくれ。
(次を全訳)
The Ron Paul Institute for Peace and Prosperity : You're Not Actually Helping When You 'Support' Protesters In Empire-Targeted Governments [LINK]
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