ライター、テッド・スナイダー
(2022年12月8日)
12月1日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、バイデン政権となって初の米政府訪問のため、ワシントンに赴いた。華やかな演出、贈り物、握手、友愛と連帯を示すお世辞の後、マクロン大統領は集まった報道陣に向き合った。
How the Mainstream Media Misses the Money Quote
— Antiwar.com (@Antiwarcom) December 10, 2022
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「我々は、ウクライナ人が受け入れられないような妥協は決して促さない」。ニューヨーク・タイムズ紙のヘレン・クーパーは「これこそマネー・クォート(発言の肝)だ」と言った。
しかしそれは残念ながら発言の肝ではなかった。数日後、マクロンは米国の聴衆の前でバイデンと肩を並べるのではなく、フランスの聴衆を前に一人で立ったときに、肝となる発言をした。仏テレビ局TF1のインタビューで、ワシントン訪問中に撮影されたが、帰国時に放映された。「我々が備えなければならないのは、何を準備しなければならないか、同盟国と加盟国をどう守るか、ロシアが交渉のテーブルに戻る日をどう保証するかだ」と述べた。そしてマクロンはその意味を次のように明らかにした。「我々が対処しなければならない本質的な点の一つは、プーチン大統領がつねに言っているように、北大西洋条約機構(NATO)が間近に迫り、ロシアを脅かす恐れのある兵器が配備されるという恐怖だ」
発言の肝は、連帯の表示にもかかわらず、米国の指導者と忠実な欧州の反対派指導者の間に深い谷があったということだ。その谷は非常に深く、戦争の原因と解決策をめぐる意見の相違も含まれていた。バイデンもマクロンも「ロシアのウクライナに対する違法な侵略戦争を強く非難する」。しかしバイデンにとっては、そもそもあの戦争は完全にいわれのないものであり、最終的には、和解はそれを反映し、米国の核となる価値を守るものでなければならない。マクロンにとっては、戦争は違法だったが、ロシアにはNATOが押しつけてきた正当な安全保障上の懸念があり、和解はそれをも反映したものでなければならない。
マクロンはバイデンとの記者会見で、その決定的な分裂をほのめかした。その際もマクロンは「我々は平和を築きたいし、持続可能な平和とはウクライナの主権と領土の完全な尊重を意味する」と述べた。しかしその後、ロシアの懸念を真剣に受け止める新しい欧州安全保障構造に含まれることを求めるロシアの要求をほのめかしながら、「しかし同時に(それは)長期的に持続可能な平和を確保するための新しいアーキテクチャー(基本構造)を意味する」と付け加えた。しかし、それは発言の肝にはならなかった。
主流メディアのいう発言の肝は、欧州連合(EU)の最も強力な二つの加盟国の一つであるフランスが、戦争の交渉による解決は、国境に迫ったNATOや国境近くの兵器に関するロシアの安全保障上の懸念に対処するものだと主張していることを見逃している。
9月16日、上海協力サミットで、インドのモディ首相はロシアのプーチン大統領と会談を行った。モディ首相は「今は戦争の時代ではないことはわかっている。とくに電話での会話では、何度もこのことを話してきた。民主主義、外交、対話は、我々が解決策を見つけるための重要なツールだ。将来平和を実現するために必要なことであり、我々はこのことについて話し合うことができると確信している。あなたの視点をよりよく理解する機会を歓迎する」というのが発言の肝とされた。
しかし、その引用は部分的なものだった。モディの次の言葉が省略されているのだ。「ロシアとインドの関係は大幅に改善された。私たちは、この関係が非常に重要であると考えている。我々は友人であり、何十年もの間、つねに肩を並べ合ってきた。全世界がロシアとインドの関係の本質を知っているし、世界は深い友情、とくに私たちを結ぶ個人的な友好関係も知っている。...この地域、我々の国民、市民の幸福のために、我々は今日、特に上海協力サミットの枠組みの中で、再び努力を重ねている。...二国間関係については本日も議論するが、我々の関係が将来にわたって改善・強化されることを意味し、それは世界全体にとっても有益である」
これが発言の肝だ。インドは、米国が主導するロシアへの制裁と孤立に協力していたわけではない。ロシアとの関係を改善し、強化していた。
同じ上海協力サミットで、主流メディアは中国の習近平国家主席について発言の肝をひねり出した。プーチンは、中国がウクライナの「危機」について「疑問と懸念」を抱いていることを認めざるをえなかったという。
米国務省のネッド・プライス報道官は「プーチン大統領がそれをこれほど率直に認めるとは、いささか不思議なことだ」と述べた。
重要なのは、習近平が、中国は「ロシアと協力して、互いの核心的利益に関わる問題について強力な相互支援を行い、貿易、農業、連結性、その他の分野における実際的な協力を深める」と付け加えたことだ。中国にとっての核心的利益とは、米国とNATOの台湾での挑発行為や、米国が1972年から1982年にかけて中国と交渉した3つの共同コミュニケに対する違反行為などである。ロシアにとっての核心的利益とは、NATOが最も敏感な国境を侵犯していることや、冷戦終結時にNATOの東方拡大について交わされた約束に違反していることである。
マクロンと同様、習近平がロシアの中核的利益への強い支持を盛り込んだのは、戦争の解決にロシアの安全保障上の懸念が含まれることを主張したものである。中国の疑問や懸念は発言の肝として引用されたが、重要な問題に関する中国のロシア支持や、米中の立場に溝があることは引用されなかった。
(次より抄訳)
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