次より抜粋。
Michael de Sapio, Fascism and Communism Were Two Peas in a Pod
(ファシズムと共産主義は同じさやの豆)
俗説(popular wisdom)では、ファシズムと共産主義は正反対のものとされる。実際には、2つのイデオロギーはとても似ている。だから生き残るために、互いに正反対だとみずからを定義しなければならなかった。少なくともどちらも社会主義を源泉とする。
ムッソリーニもヒトラーも、伝統的宗教心と道徳への敵愾心を育てた。「科学による救済(salvation by science)」(ナチスの人種差別的な優生学運動)を促し、国家による健康・環境政策(ナチスの標語「栄養は私的な問題ではない!」)を推し進めた。
これらの要素はすべて、20世紀初頭の「科学的」進歩主義から育った。ナチスの民族イデオロギーでさえ、その根本においては、フランス革命にさかのぼる「人民の意志(Will of the People)」なる観念を崇める、世俗的な宗教代用品であった。
ヒトラーとムッソリーニはソ連のスターリンと同じく革命家であり、決して保守主義者でも伝統主義者でもなかった。彼らのイデオロギーの淵源は19世紀後半の前衛的実証主義、進歩主義、プラグマティズム哲学(pragmatic philosophies)である。
フランス革命に始まり20世紀に結実した「ファシズムの時(fascist moment)」は、西洋の道徳・哲学的伝統の放棄を意味する点で「進歩的」だった。そこで具現化した哲学とは、真実の熟考から目をそむけ、ひたすら「行動」を呼びかけるものだった。
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