次より抜粋。
Robert Higgs, Does National Defense Require the State?
(国防に政府は必要か)
無政府状態(anarchy)に対し、よくこんな異論が聞かれる。「ある国が政府を廃止しても、他の国々が追随するとは限らない。だから他国の政府は政府のない国を自由に乗っ取るだろう。政府がなければ外敵から自らを守る有効な手段もないからだ」
無政府状態に対するこの異論は、少なくとも2つの重要な考え(critical ideas)を前提としている。第1に、国民を守るにはそれを支配する政府が必要だということ。 第2に、もしある政府に他の国を乗っ取る力があれば、そうするだろうということだ。
第1に、中央政府が防衛の手段として役立たずなことは、歴史上の多数の例から明らかだろう。広範囲に散らばる独立したゲリラ集団(guerrilla groups)のような、分散型の防衛手段が外敵の侵略を防ぐうえで有効に思われる。
第2に、弱い政府しかない多くの小国(small countries)が現代でも存続している以上、有効な国防のない国は存続できないという考えは疑問である。
ブラジルにはウルグアイを征服する手段が間違いなくあるが、していない。 独仏にはベルギーを征服する手段があるが、していない。他の多くの国々も同様だ。政府はさまざまな理由から、やりそうな征服(possible conquests)を控えるのだ。
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