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2026-04-23

米中レアアース戦争

Forget Iran, China is Next - Energy & Capital [LINK]

【海外記事より】2010年、日本は尖閣諸島付近で中国漁船の船長を拘束しましたが、それに対する中国の返答は、日本へのレアアース輸出を全面的に停止するというものでした。この「レアアースの武器化」により、日本のメーカーは生産ラインの停滞と価格高騰に直面し、供給網の多角化を余儀なくされました。この記事は、かつて日本が経験したこの危機が、今やアメリカにとっても現実の脅威となっていると警鐘を鳴らしています。中国は現在、世界のレアアース採掘の70%、加工・精製においては最大90%を支配しており、特にF-35戦闘機や電気自動車の高性能磁石に不可欠なジスプロシウムやテルビウムの分離に関しては、事実上100%の独占状態にあります。

2025年、中国はアメリカによる関税措置への報復として、主要な重要鉱物7種の輸出を制限しました。これによりアメリカの自動車メーカーや国防関連企業が資源確保に苦慮し、供給網の脆弱性が露呈しました。これを受けてトランプ政権は、二度と同じ事態を繰り返さないよう「プロジェクト・ヴォルト(Project Vault)」を2026年2月に始動させました。これは120億ドルを投じた民間向けの戦略的鉱物備蓄計画であり、レアアースだけでなく、リチウムやウラン、銅、コバルトなど50種類以上の重要鉱物を網羅しています。この備蓄は単なる在庫確保に留まらず、国内生産を経済的に成立させるための需要保証としての役割も担っています。

さらに、アメリカ政府は「冷戦時代の戦略」を彷彿とさせる強力な産業政策を展開しています。従来の補助金制度を超えて、鉱業企業への直接的な出資に乗り出しました。2025年7月には、米国内で唯一稼働しているレアアース鉱山を運営するMPマテリアルズ社に対し、国防総省が4億ドルを投じて15%の株式を取得しました。また、テキサス州で精製施設を建設中のUSAレアアース社に対しても、商務省が10%の出資を行っています。政府が株主となることで、取締役会の監視権や重要決定への拒絶権を持ち、国家戦略に基づいた企業運営を直接支える体制を構築しています。

こうした動きを支えるのが、採掘許可プロセスの劇的な迅速化です。アメリカでは通常7年から10年かかっていた鉱山の認可期間を、大統領令によって週単位にまで短縮する試みが始まっています。アリゾナ州のレゾリューション・カッパー・プロジェクトなどはその象徴であり、長年の規制の停滞を打破して承認が進められました。著者は、中国が30年かけて築き上げた独占体制を、アメリカがわずか5年で再構築しようとしている現在の状況を「国家安全保障上の緊急事態」と位置づけています。次の危機は漁船ではなく、台湾を巡って起こる可能性が高く、その際にレアアースは21世紀の石油に匹敵する戦略物資になると予測されています。

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