Trump's war: the kind of military misadventure that ends empires - Asia Times [LINK]
【海外記事より】歴史家プルタルコスが説いた「マイクロ・ミリタリズム」という概念は、衰退期にある帝国がかつての栄光を取り戻そうとして強引な軍事行動に打って出た結果、かえって破滅を早める現象を指します。紀元前413年のアテネによるシチリア遠征や、1578年のポルトガルによるモロッコ侵攻、さらには20世紀初頭のスペインによるリーフ戦争などは、いずれも不適切な指導者による無謀な賭けが、帝国の終焉や国力の決定的な低下を招いた歴史的実例です。1956年のスエズ危機においても、英国がエジプトのナセル大統領による運河国有化に対して軍事介入を行いましたが、国際的な非難を浴びて通貨危機を招き、大英帝国の没落を世界に印象づけることとなりました。
こうした歴史の教訓を背景に、現在の米国による対イラン政策が、帝国の衰退を加速させる新たな「軍事的な失策」となる可能性が指摘されています。トランプ大統領は2025年の再就任後、関税による中国への圧力やグリーンランド買収の試みが相次いで失敗に終わる中、イスラエルと共にイランへの大規模な空爆を開始しました。米軍は短期間でイランの軍事施設や指導部を無力化し、無条件降伏を迫りましたが、イラン側は1956年のナセル大統領と同様の戦略で応じました。すなわち、ドローン攻撃によってホルムズ海峡を事実上封鎖し、世界のエネルギー供給を遮断することで、世界経済を未曾有の危機に陥れたのです。
米国はさらなる報復としてイランのインフラ破壊や海上封鎖を警告していますが、戦略的な目標の達成には至っていません。イランのような劣勢な側は、甚大な被害を受け入れつつも安価な兵器で相手に持続不可能な打撃を与える非対称戦を展開しており、米国の圧倒的な武力も決定打にはなっていません。この紛争により、80年にわたり米国の覇権を支えてきた同盟国との関係は亀裂が深まり、国際社会からの信頼も失われつつあります。
かつての英国がスエズで露呈したように、現在の米国もまた、軍事的な戦術には長けていても、もはや意味のある戦略的目標を勝ち取ることができなくなっています。同盟が形骸化し、軍事的な威信が蒸発していく中で、米国の覇権はかつての帝国と同様に衰退の一途をたどる運命にあるのかもしれません。今回のホルムズ海峡における軍事行動が終わる頃には、米国中心の世界秩序は終焉を迎え、世界は極めて不透明な新しい秩序へと向かうことになると予測されています。
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