Wall Street and Sound Money [LINK]
【海外記事より】健全な貨幣制度、すなわち金本位制のような「強い通貨」への回帰は、一般の預金者や労働者、中小企業に価格の安定をもたらす一方で、ウォール街(金融資本)という強力な反対勢力に直面しています。この記事の著者は、現代の金融業界がいかに法定通貨(不換紙幣)による「操作可能な通貨制度」から恩恵を受けているかを鋭く分析しています。現在の金融機関が享受している巨大な権力と利益は、通貨発行の裁量が中央銀行に委ねられているという構造的な背景の上に成り立っているというのです。
金融機関が不健全な貨幣から得る最大の利益は、限りない信用拡大にあります。金本位制のもとでは、融資の規模は実際の貯蓄量という物理的な制約を受けますが、現代の制度では中央銀行の政策次第で、貯蓄の裏付けがないままに融資を拡大し、それを証券化してさらに利益を膨らませることが可能です。また、中央銀行が人為的に低金利を維持することで、ウォール街は安価な資金調達を行い、巨額のレバレッジをかけた投資で利ざやを稼ぐことができます。もし硬貨の現物に裏打ちされた制度になれば、金利は政策意図ではなく市場の需給やリスクを反映して上昇し、過剰な投機は抑え込まれることになります。
さらに、金融機関の無謀なリスクテイクを支えているのが「政府による救済」という暗黙の了解です。中央銀行が「最後の貸し手」として控えていることで、彼らは利益を私物化し、損失を社会化する(公的資金で埋め合わせる)という歪んだ構造の中で活動しています。「大きすぎて潰せない」という盾は、通貨を無から生み出せる現制度があってこそ成立するものであり、通貨供給量に上限がある金本位制では、国家による救済能力も厳しく制限されることになります。また、政府の巨額の赤字財政を支える国債の引き受けや販売も、ウォール街にとっては極めて収益性の高いビジネスとなっており、これも通貨の弾力性に依存しています。
新しく作られた資金が、まず銀行や金融システムを通じて経済に流入することで、彼らが物価上昇の前に資産を取得できる「カンティロン効果」も、金融界が現在の制度に執着する大きな理由です。著者は、法定通貨制度は決して中立なインフラではなく、レバレッジと複雑性、そして国家との癒着を特徴とする特定の金融モデルを存続させるための条件であると結論づけています。したがって、真に健全な貨幣制度を求める動きに対して、ウォール街が自ら協力することは期待できず、むしろ激しく抵抗し続けるだろうと述べています。
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