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2026-04-26

国家に「存続権」はあるか?

The “Right to Exist” of States [LINK]

【海外記事より】イタリアをはじめとする多くの国々で、反ユダヤ主義の再燃に対抗するための立法措置が強化されています。しかし、2026年4月25日付の「プロパティ・アンド・フリーダム・ジャーナル」に掲載されたアレッサンドロ・フシッロ氏の論文は、こうした動きに潜む法的な矛盾を指摘しています。特にイタリアで提出された法案は、刑法を改正し、ホロコーストの否定だけでなく「イスラエル国家の存続する権利」を否定することも処罰の対象に含めようとしています。もしこの法案が成立すれば、イタリアは特定の国家の存続権を刑事罰によって保護する世界で1番目の国となります。しかし、法学的な視点から見れば、そもそも国家に「存続する権利」など存在するのかという根本的な問いが浮上します。

歴史を遡れば、古代ローマ法において国家は法人格を持たない「公共の利益」の総体でした。現代のような、国家を1つの人格として捉え、権利の主体とする考え方は、中世の教会法における「キリストの神秘体」という概念が世俗化したものです。つまり、国家の法人格は論理的な必然ではなく、歴史的なフィクションに過ぎません。フシッロ氏は、国家は暴力と強制に基づいた組織であり、その本質は「制度化された強盗」に近いと述べています。マッツィーニが提唱した「国民国家」の概念は、特定の民族が国家を持つ権利を主張しましたが、これは同時に、先住民の追放や他者の権利侵害を伴うことが少なくありません。

イスラエル国家の設立も例外ではなく、パレスチナにおける土地の接収や、継続的な武力衝突を背景としています。イスラエルは憲法上の規定により、都市部を除いて私有財産を認めておらず、その土地の多くは国家が所有し、ユダヤ人にのみ貸与されています。フシッロ氏は、特定の国家に特権的な存続権を認めることは、普遍的な法の原理である「不侵害の原則」に反すると批判しています。また、現政権の一部が「大イスラエル」構想を掲げ、領土拡張の野心を隠さない現状では、既存の国境すら確定していない組織に対して、法的にその存続を保証することは極めて困難です。

結論として、国家は人間のような自己意識を持つ存在ではなく、生存権を類推適用することはできません。むしろ、国家の存続を疑う自由は、自己防衛の権利の一部であると著者は主張します。特定の国家の存続権を聖域化し、批判を刑罰で封じ込めることは、言論の自由を損なうだけでなく、法理学的な根拠を欠いた危うい試みであると言わざるを得ません。国家というフィクションに対して、人間と同等の権利を付与することの是非を、私たちは冷静に見極める必要があります。

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