Tucker, A Half-Century of Household Income [LINK]
【海外記事より】アメリカの家庭における豊かさの実態について、エポックタイムズ紙でジェフリー・タッカー氏が鋭い分析を行っています。タッカー氏は、過去50年間のデータを遡り、現代の家庭がいかに「共働きの罠」に陥っているかを明らかにしました。一見すると、世帯年収の数字は数十年前に比べて上昇し、私たちはポケットに高性能な端末を忍ばせ、音声で照明を操るような便利な生活を手に入れたように見えます。しかし、その表面的な豊かさの裏側で、医療費は支払えないほど高騰し、住宅購入は夢のまた夢となり、実質的な収入は伸び悩んでいます。
タッカー氏は、経済学者が個人の所得や世帯年収の数字だけを見て、その収入を得るために費やされた「労働時間」を考慮していない点を批判しています。1950年代、アメリカの母親の約80%は家庭にいて、父親一人の収入だけで中流階級の生活を送ることが十分に可能でした。当時のテレビ番組が描いたような、庭付きの家と二台の車、そして家族の平穏な週末という光景は、一人の稼ぎ手によって支えられていたのです。しかし、1970年代のインフレを境に状況は一変しました。生活水準を維持するために母親たちが労働市場へ出始め、1985年には60%、現在では65%もの家庭が二馬力で家計を支えるようになっています。
この75年間の変化を冷静に分析すると、驚くべき事実が浮かび上がります。世帯に二つ目の収入源を加えたことは、労働負担が100%増加したことを意味しますが、それによって得られた物質的な収入の増加はわずか20%程度に過ぎません。これを家庭単位の「実質的な時給」に換算すると、過去数十年で40%から50%も下落している計算になります。つまり、現代の家庭はかつてよりも多くの時間働いているにもかかわらず、労働の対価としては劇的に貧しくなっているのです。かつて母親が無償で行っていた家事や育児を、現在は夜間や週末に詰め込むか、あるいは託児所や代行サービスに高い費用を払って外注せざるを得ず、それがさらなる出費を生むという悪循環に陥っています。
こうした傾向は、家族の形成にも深刻な影響を及ぼしています。かつて結婚がもたらしていた経済的な安定という恩恵は失われ、子供を育てることは純粋な経済的負担へと変わりました。その結果、出生率は低下し、若者たちは結婚を先延ばしにするようになっています。特に現在のZ世代は、祖父母の世代が当たり前に手に入れていた「普通で幸せな生活」を送ることが極めて困難な状況に直面しています。タッカー氏は、政府だけがインフレや納税者の増加によって恩恵を受ける一方で、家庭が失った「心の平和」や「家族の絆」という価値を再考すべきだと訴えています。私たちが進歩と呼んできたものは、実は生活水準の衰退そのものだったのかもしれません。
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