Reparations Are a Welfare Scheme and Would Have No Effect on Racial Wealth Gaps | Mises Institute [LINK]
アメリカで今も議論が絶えない「人種間の賠償金」問題について、その本質を考えてみましょう。この議論の源流は1960年代にあり、奴隷制やその後の人種差別政策によって黒人層が被った経済的損失を、富の移転によって補おうとするものです。かつては「40エーカーの土地と2頭のラバ」という具体的な補償が求められましたが、現代ではさらに巨大な規模の要求へと膨れ上がっています。
作家のタナハシ・コーツらが指摘するように、黒人家庭が長年、不当な土地没収や住宅ローンの差別、いわゆる「レッドライニング」に苦しんできたのは歴史的事実です。ある調査では、過去にテロや法的策略によって奪われた黒人所有の土地は約2万4000エーカーに達し、その価値は数千万ドルに及ぶと報告されています。こうした構造的な不利益が、現在の人種間の資産格差の一因となっていることは否定できません。
しかし、解決策として提示されている現代の賠償金案には、経済的に不可能なものが目立ちます。例えば、対象者一人につき500万ドルを支払うといった案や、総額14兆ドルの支払いを求める法案があります。14兆ドルという数字は、2025年のアメリカのGDP(国内総生産)の約半分に迫る規模であり、現実的な財源は存在しません。
実際の資産格差を見てみると、ブルッキングス研究所のデータでは、2019年から2022年の間に、白人世帯の資産中央値は黒人世帯よりも24万120ドル多くなっています。パンデミックを経て、この格差はむしろ拡大しました。賠償金推進派はこの溝を埋める必要があると主張しますが、その提案の中身は「福祉政策の拡大」に過ぎないのが現状です。奨学金の免除、家賃補助、医療費支援など、その形態は既存の生活保護や福祉サービスと見分けがつきません。
本来、自由主義の観点からすれば、解放時に耕していた土地の所有権を元奴隷に渡すといった「真の資産形成」こそが正義でした。しかし現在の案は、税金や政府の借金、あるいは通貨の増刷に頼る一時的な給付に終始しています。これまでの歴史が証明しているように、福祉への依存を強めるだけの施策では、世代を超えた富を築くことはできません。一時的な現金給付はすぐに消費に回って消えてしまい、結果として政府への依存度を高める「マイナス・サム」の結果を招く恐れがあります。真の格差解消には、単なる福祉の拡大ではない、より本質的な経済的自立の視点が必要なのです。
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