Voter ID is Common Sense, But it Won’t Fix Anything | Mises Institute [LINK]
【海外記事紹介】アメリカでは現在、連邦選挙における写真付き身分証明書(有権者ID)の提示を義務付ける「SAVE America Act」を巡り、激しい政治論争が巻き起こっています。本記事は、この有権者ID問題がいかに「常識的」な提案であるかを解説しつつ、同時にそれがアメリカが抱える真の病理を解決するには到底及ばない理由を鋭く分析しています。
有権者IDの導入に賛成する論理は明快です。公正な選挙を維持するために、投票者が本人であることを公的なIDで確認するのは、他の事務手続きと同様に当然の措置といえます。世論調査でも民主党支持者の7割以上を含む圧倒的多数の国民がこの措置を支持しています。反対派は「広範な不正の証拠がない」ことや「IDを持たない数百万人が投票できなくなる」ことを理由に挙げますが、著者はこれらを現状維持のための「口実」に過ぎないと切り捨てます。不正は「広範」である必要はなく、接戦区を狙い撃ちすれば十分であり、またIDを持てない人々がいるのなら、選挙制度を緩めるのではなくIDを取得しやすくすることこそが政治の役割だからです。
しかし、著者が真に警告しているのは、このID論争そのものが「目くらまし」であるという点です。共和党も民主党も、有権者の関心をこうした「党派的な対立」に釘付けにすることで、国民が本当に注視すべき問題から目を逸らさせているというのです。
過去20年間、オバマ、トランプ、バイデンといった歴代大統領は、いずれも「現状(ステータス・クオ)を打破する変革」を掲げて当選しました。しかし、蓋を開けてみれば、どの政権も結局は「縁故主義、インフレ、軍事介入」という既存の利権構造を温存してきました。真の権力は、テレビに映る政治家ではなく、顔の見えない官僚機構や政財界のエリート層(エスタブリッシュメント)にあり、彼らは自分たちの権力を脅かさない範囲でのみ、二大政党に激しい喧嘩をさせているのです。
有権者が「自分たちの党が勝てば世の中が良くなる」と一喜一憂している間、エリート層は着々と国民の富を吸い上げ、権力を拡大し続けています。著者は、有権者IDのような個別の政策で国が良くなることはないと断言します。真の変革が始まるのは、保守・リベラルの双方が「自分たちは選挙で勝っているつもりでも、実はどちらもエリート層に負け続けている」という現実に気づいた時だけなのです。
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