Structure, Loyalty, and Power: Understanding China’s Party-State Under Xi Jinping | The Libertarian Institute [LINK]
【海外記事紹介】2026年に入り、中国人民解放軍の最高幹部である張又侠氏と劉振立氏に対する調査が発表されました。これは2023年から続く大規模な粛清の集大成とも言える動きで、習近平国家主席に近いとされた人物までもが対象となっています。公式には腐敗防止を目的としていますが、実態は軍のトップ層を習氏への絶対的な忠誠心を持つ者だけで固めるという、毛沢東時代以降では前例のない規模の権力掌握が進んでいます。習氏は「軍の最高責任者は主席一人である」という体制を強化しており、今や軍の意思決定機関である中央軍事委員会は、事実上習氏個人の手の中に完全に収まった形です。
この背景を理解するには、中国という国家の特殊な構造を知る必要があります。中国は単なる独裁国家ではなく、共産党が国家のあらゆるレバーを握る「党国体制」です。軍は国家の軍隊ではなく党の武装部門であり、政府機関よりも党組織が常に上位に置かれています。習政権下では、1980年代に進められた「党と政府の分離」という改革の流れが完全に逆転しました。現在では大学、メディア、国有企業、さらには民間企業や外資系企業にまで党の委員会が入り込み、実質的なガバナンスを支配しています。主要な人事権を党の組織部が握る「ノメンクラトゥーラ」システムにより、忠誠心こそが出世の絶対条件となっているのです。
こうした極端な中央集権化は、迅速な政策執行や規律の維持という面では強みとなりますが、同時に大きな危うさも孕んでいます。地方政府は北京からの査察を恐れて過度な忖度やリスク回避に走り、軍においても戦場での能力より政治的な忠誠が優先されることで、実際の戦闘能力が損なわれる懸念が生じています。忠誠を誓うだけのイエスマンで周囲を固めれば、不都合な情報がトップに届かなくなる「情報のボトルネック」が発生し、台湾情勢などの危機に際して誤った判断を下すリスクが高まります。
習氏は、2027年の党大会に向けてさらに権力構造を垂直に整えていくでしょう。しかし、歴史を振り返れば、官僚が直言を避け、皇帝が孤立した時代の中国帝国は、しばしば政策の誤算を繰り返してきました。現在の中国のシステムは、習氏個人の支配力を極限まで高めることで強固な一貫性を保っていますが、その硬直性が将来の危機において柔軟な適応を妨げる毒となる可能性も否定できません。党が銃を握り、国家が党の意志を執行するこの巨大な「個人化されたシステム」が、真のストレスにさらされた時にどう機能するのか。世界は今、その真価を注視しています。
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