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2026-02-18

自給自足が国を滅ぼす

Mercantilism in America: The Trouble with Self-Sufficiency | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】ドナルド・トランプ氏の経済政策の根幹にある「重商主義」的な世界観について、その危険性を警告する論評をご紹介します。トランプ氏は長年、「中国がアメリカを食い物にしている」と主張し、関税や自国優先主義によって「自給自足」の経済を取り戻そうとしています。しかし、この記事の著者は、その前提となる考え方には重大な誤謬があると指摘しています。

第一の誤りは、貿易を「一方が得をすれば他方が損をする」というゼロサム・ゲームと捉える点です。実際には、自発的な貿易は双方に利益をもたらします。例えば、アメリカの消費者は中国製の安価な製品によって恩恵を受け、浮いたお金を他の消費や投資に回すことで新たな雇用を生んできました。また、アップルやテスラといった米企業は、中国の効率的なサプライチェーンと巨大市場を活用することで、時価総額を劇的に増大させてきました。貿易赤字という数字だけを見て「負けている」と判断するのは、実態を見誤る会計上のフィクションに過ぎません。

第二に、雇用を守るために変化を拒む姿勢です。歴史的に見れば、技術革新や貿易による「創造的破壊」こそが経済を前進させてきました。洗濯機が普及して家事代行の仕事が減っても、それによって労働力はより生産性の高い分野へ移動しました。現在、アメリカの製造業の雇用が減っているのは、貿易のせいではなく、オートメーション化による生産性向上が主因です。無理に工場を国内に戻そうとすれば、かえって非効率を招き、消費者の負担を増やすことになります。

第三に、最も危険なのが「自給自足」への執着です。分業こそが富の源泉であり、何でも自国で作ろうとすれば、国民は貧困に向かいます。例えば、バイデン政権が継承した半導体支援法(CHIPS法)では、巨額の補助金を投じて工場を誘致していますが、1人雇用するのに1000万ドル(約15億円)もの公費がつぎ込まれている計算になります。これは経済合理性を欠いた特権階級への利益供与に他なりません。

トランプ氏は、アメリカが抱える37兆ドルもの膨大な借金という現実から目を逸らし、中国を敵に仕立てることで国民の不安を煽っています。しかし、真の繁栄は自由な市場にこそあり、過去の栄光を追った重商主義的な幻想は、アメリカの未来を危うくするギャンブルであると著者は結んでいます。

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