TGIF: Immigration vs. Settler Colonialism | The Libertarian Institute [LINK]
【海外記事紹介】リバタリアニズム(自由至上主義)の旗手として知られるマレー・ロスバードが、晩年に「自由な移民」に反対する姿勢を見せたことは、支持者の間で長年議論の的となってきました。シェルドン・リッチマン氏による本論評は、ロスバードが1994年の論文で展開した「移民制限」の根拠がいかに歴史的・論理的に誤っていたかを鋭く検証しています。
ロスバードは、ソ連崩壊時に「エストニアやラトビアにロシア人が押し寄せ、現地の文化や言語を破壊しようとした」ことを目撃し、考えを変えたと述べています。しかし、リッチマン氏はこれに対し「歴史の取り違え」を指摘します。実際にバルト諸国へロシア人が大量流入したのは、ソ連による占領期(1944年~1990年)の出来事であり、ソ連崩壊後にはむしろロシア人は流出していました。また、この流入は個人の自由な意思による「移民」ではなく、ソ連当局が意図的に進めた「植民地主義的入植(Settler Colonialism)」でした。つまり、占領下で行われた国家ぐるみの人口操作を、自由な国境移動と混同して議論の土台に据えたロスバードの論理は、根本から崩れているというわけです。
さらにリッチマン氏は、現代の移民制限派がよく用いる「福祉国家の維持」という言い訳も一蹴します。移民が福祉を食いつぶすという懸念に対し、統計データによれば、移民が支払う税金と彼らが民間部門で生み出す経済的価値を考慮すると、財政への影響はほぼ中立、あるいはプラスに働いています。さらに、「福祉国家という政府の失敗を解決するために、個人の移動の自由を奪う(さらなる政府の介入を招く)」という考え方は、経済学者ミーゼスが批判した「介入主義の連鎖」そのものであると批判しています。
リッチマン氏が強調するのは、経済的な動機による移民は、受け入れ先の雇用や家賃といった市場原理によって自然に調整されるため、パニックを煽るような「大群の押し寄せ」は現実には起こり得ないということです。リバタリアンであれば、想像上の危機を理由に国家権力を強化するのではなく、たとえ困難が伴っても「移動の自由」という基本原則を貫くべきである。ロスバードへの敬意を払いつつも、自由を守るためには彼の過ちを正視しなければならない——。リッチマン氏の論考は、自由至上主義の真価を問う熱いメッセージとなっています。
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