Liberty Without Strings - LewRockwell [LINK]
【海外記事紹介】アメリカ合衆国建国の父の一人、ジェームズ・マディソンは「自由は暴力や戦争といった破滅的な激変よりも、漸進的な一歩ずつの積み重ねによって失われることが多い」と言い残しました。元判事のアンドリュー・ナポリターノ氏はこの言葉を引用し、現在アメリカで起きている憲法上の権利の侵害に強い懸念を表明しています。事端となったのは、第5巡回区控訴裁判所による最近の判決です。同裁判所は、不法移民問題が深刻であり憲法の規定に従うのは時間がかかりすぎるとして、法執行機関が「憲法の角を削る(簡略化する)」ことを認めてしまいました。
アメリカ憲法修正第4条は、政府による不当な捜索や押収から個人のプライバシーを守るため、非常に厳格な手続きを定めています。政府が誰かを逮捕したり家宅捜索したりする場合、犯罪の相当な根拠を裁判官に提示し、対象を特定した「令状」を取得しなければなりません。これは、個人の権利が政府から与えられたものではなく、人間であることに由来する「譲渡不可能な自然権」であるという信念に基づいています。しかし、今回の判決はこの歴史的な原則を投げ捨て、移民税関捜査局(ICE)の職員が、裁判官の審査を経ることなく身内同士で発行した「行政令状」のみで、大規模な一斉摘発を行うことを容認してしまったのです。
さらに深刻なのは、この権力の濫用が移民のみならず、アメリカ市民にも及んでいる点です。ICEは、自らを批判したり公道で活動を撮影したりした市民の通信記録を、通信事業者に対して行政令状で要求していることが判明しました。言論や集会の自由は修正第1条で絶対的に守られている権利ですが、政府は司法令状をバイパスすることで、市民の正当な活動を萎縮させています。裁判官が署名しないような根拠のない要求を、民間企業を介して間接的に行う手法は、憲法が禁じている行為を裏口から実行しているに等しいものです。
こうした変化は、一見すると特定の社会問題への効率的な対処に見えるかもしれません。しかし、これこそがマディソンの警告した「自由が少しずつ削り取られるプロセス」そのものです。政府が国民の自由を保護するという本来の任務を忘れ、効率の名の下に憲法という盾を無効化すれば、それはもはや自由社会ではなく「隷属」への道となります。憲法への忠誠を欠いた公権力による、目立たない形での権利の侵害こそが、私たちの自由にとって最大の脅威なのです。
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