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2026-02-20

米上院はなぜダメになったか

The Senate and the Loss of “Mixed Government” | Mises Institute [LINK]

【海外記事紹介】アメリカ憲法修正第17条が採択されてから100年以上が経過しましたが、この「上院議員の直接選挙制」こそが、連邦制を弱体化させ、中央集権化を加速させた元凶であるという議論が再燃しています。 ミーゼス研究所のサイトに掲載された論説によれば、創設者たちが意図した「混合政府」という概念、すなわち異なる権限の源が衝突し合うことで自由を守るという仕組みが、修正第17条によって崩壊してしまったと著者は指摘します。

もともと上院は、国民の感情を反映する下院とは対照的に、各州の議会によって選出される「州という政治体の代表」として設計されました。これは、連邦政府の権力増大を州の制度的利益によって抑制するための、極めて意図的なブレーキ役でした。しかし、直接選挙制への移行により、上院議員は州政府への責任ではなく、政党指導部や多額の寄付者、あるいは全国的なメディアの関心を引くことに腐心する「第二の下院議員」へと変貌してしまいました。現在、連邦政府の命令が州の優先事項をいとも簡単に上書きしてしまうのは、上院が州の代表としての機能を失い、下院と同じ大衆民主主義という基盤に飲み込まれてしまったからに他なりません。

しかし、単に修正第17条を廃止して1913年以前の仕組みに戻すだけでは不十分だと著者は説きます。かつての上院選出プロセスには、議会の行き詰まりや汚職といった欠陥が存在したからです。そこで本記事では、上院を「各州政府の評議会」として再定義する新たな憲法修正案を提唱しています。その内容は、各州から3名の上院議員を州議会が選出し、さらに州議会の3分の2の賛成で解任権を認めるというものです。また、弾劾裁判を除き、各州は個々の議員ではなく「州全体で1票」を投じる仕組みに改めるべきだとしています。

この改革案は、上院を個人の政治家が集まる場から、州政府という組織の意思が交差する場へと引き戻すことを目的としています。これにより、司法人事の過度な政治化を防ぎ、連邦政府による権力の肥大化を制度的に抑止することが可能になります。憲法共和国を維持するためには、単なる選挙以上のもの、すなわち権力を分散させ、異なる政治的源泉から権威を引き出す「抑制と均衡」の仕組みが不可欠です。アメリカは今、連邦制の形骸化を放置するか、それとも上院の本来の機能を再構築するかの選択を迫られています。

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