注目の投稿

「反インフレ経済勉強会」開講のお知らせ

インフレは税の一種です。しかも普通の税よりも悪質な税です。ところが、この事実はよく理解されていません。それどころか、多少のインフレはむしろ良いことだという嘘が、現在主流の国家主義的な、誤った経済学(ケインズ経済学)や、そこから派生した極端な説 (MMT=現代貨幣理論など) によっ...

2026-05-16

軍需契約、納税者に負担

Lockheed's new Pentagon deal makes a bad bargain worse | Responsible Statecraft [LINK]

【海外記事より】米国の政治学者ジョセフ・ソリス=ミューレン氏は、国防大手ロッキード・マーティン社と国防総省の間で交わされた新たな契約形態について、納税者に多大な負担を強いる「悪質な取引」であると批判しています。同社のタイクレットCEOが投資家向けの説明会で明らかにしたこの新制度は、政府が調達計画を変更したり生産量を削減したりした場合でも、企業側に補償金が支払われるという「民間風」の仕組みです。

これまで国防総省の契約は、コストに一定の利益を上乗せする「コスト・プラス方式」が主流でした。これは戦時下などで企業が過度なリスクを負わずに迅速な増産を行えるよう導入されたものですが、実際にはコストが膨らむほど企業の利益が増えるという歪んだ構造を生んできました。今回の新しい契約モデルは、そこからさらに踏み込み、将来の需要予測が外れた際のリスクまで政府が肩代わりするものです。タイクレット氏は、議会の決定で予算が削られたとしても、企業が損失を被らないよう補償される仕組み(クロウバック条項)の存在を強調しています。

政府や軍需産業側は、この変革を「中国との競争や中東・欧州での紛争に備え、防衛産業基盤を再構築するための現実的な対応だ」と正当化するでしょう。受注が不安定では工場や人員への長期的な投資ができないという企業の主張には一理あります。しかし、通常の市場経済では、需要を読み違えた企業がその責任を負うのが当然のルールです。この仕組みを導入すれば、企業の経営判断を律する市場の自浄作用が失われ、非効率な投資やコスト意識の欠如を招くことになります。

さらに深刻なのは、企業側が「損失は国家が補填してくれる」と確信することで、さらなる兵器増産や政治的なロビー活動を加速させる「モラルハザード」が生じる点です。ロッキード社のような巨大企業が、政府の借金能力を背景に絶対的な特権を享受する現状は、もはや純粋な民間企業と国営企業の区別がつかない状態にあります。こうした契約が常態化すれば、軍需産業全体が競争から完全に隔離され、利益は企業が独占し、リスクだけを国民が背負うという不平等な構造が一段と強まることになります。

0 件のコメント: