Cut the fuel, cut the future - by No1 [LINK]
【海外記事より】国際エネルギー機関(IEA)が先月、世界原油市場の歴史において最大規模となる事態を記録しました。この記事の執筆者であるアナリストの指摘によると、原油価格(ブレント原油)は3月に65%も急騰しています。第2四半期の世界の石油生産量は6.6%減少する見通しであり、これは新型コロナウイルスによるロックダウン以来の大きな減少幅です。ホルムズ海峡のタンカー通行数は1日あたり約70隻から15隻未満へと激減し、アメリカの戦略石油備蓄(SPR)からは過去最大となる週8600万バレルが放出されました。経済学の教科書では「経済が成長するからエネルギー消費が増える」と教えられますが、実際は逆です。安価なエネルギーが生産性を生み、それが経済を成長させます。エネルギーを引き抜けば、生産性も国内総生産(GDP)も連動して転落するのです。
歴史を振り返ると、紀元前後の古代世界にも蒸気タービンや複雑な歯車式の計算機を作る技術や知性は存在していました。しかし、当時は安価な奴隷の労働力があったため、機械に投資して産業革命を起こす動機がありませんでした。17世紀の英国で産業革命が起きたのは、森林が枯渇して深刻な燃料問題に直面したからです。幸いにも足元に安価な石炭があり、それを活用するために技術が結集しました。エネルギーの密度が上がることで、鉄鋼、化学、電気、コンピューターなどの文明の進歩が可能になったのです。
しかし現在、西部諸国はエネルギーの密度の梯子を自ら下りようとしています。ドイツは2023年に原子力発電所をすべて閉鎖し、最も汚い褐炭の採掘へと逆戻りしました。米国も原発の閉鎖や、エネルギー密度の低い太陽光への転換を進めています。一方で中国は、2025年4月にトリウム溶融塩炉への燃料補給を停止することなく成功させ、原発の建設を急ピッチで進めています。中国のクリーン発電量は米国の3倍に達し、世界のエネルギー勢力図は塗り替えられつつあります。
現在、イランがホルムズ海峡の封鎖を宣言したことで、世界の海上原油貿易の約25%が滞っています。タンカーの保険が適用されなくなったため通行は事実上不可能となり、航路を喜望峰経由に変更せざるを得ず、配送に数週間の遅れが出ています。IEAは過去最大の緊急備蓄放出を要請しました。市場はこれを単なる原油価格の問題として捉えていますが、本質は「生産性」の問題です。世界のエネルギー予算の5%が失われれば、経済は単に減速するだけでなく機能不全に陥ります。1973年の石油ショック時にも同様の供給減少が起き、その後10年間にわたるスタグフレーションや国際政治経済の再編を招きました。革新には燃料が必要です。エネルギーという予算を削ることは、すなわち未来を削ることに他なりません。
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