【海外動画より】米・イラン関係の現状とエネルギー市場への影響について、国際政治経済の分析で知られるアレキサンダー・メルクーリス氏が解説を行っています。動画では、パキスタンの仲介による米国とイランのやり取りが続いているものの、実質的な進展がない現状が語られています。パキスタンの役割は、両国間のメッセージを伝達する連絡役に留まっており、本格的な和平交渉の場が設けられているわけではありません。現在、停戦を30日から60日間延長し、今後の本格的な交渉に向けた環境を整えるための「覚書」が提示されていますが、ドナルド・トランプ米大統領の署名が得られず、停戦合意への動きは足踏みを続けています。
トランプ大統領が署名を渋る背景には、イラン側に対する最大限の譲歩の要求があります。米国は、イランが保有するウラン濃縮ストックパイルのすべてを米国側に引き渡すよう求めていますが、イラン側はこうした要求を拒否しており、自国の核濃縮に関する議論は将来の本格交渉の中でしか扱わない姿勢を崩していません。さらに米国側が制裁解除を確約しないため、交渉の目的自体が形骸化していると指摘されています。こうした膠着状態の中、ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態が続いており、世界のエネルギー業界からは、今年の6月から7月にかけてが深刻な供給不足に陥る分岐点、すなわち「ティッピング・ポイント」になるのではないかとの懸念が示されています。
現在、原油価格は1バレルあたり100ドル前後で推移していますが、市場ではこれまで予測されていた150ドル規模の急騰には至っていません。メルクーリス氏の分析によると、価格がこの水準で維持されている要因の一つには、世界各地の戦略備蓄からの継続的な放出があります。しかしこれに加えて、米当局が民間の金融機関と連携し、先物市場を通じて長期的な原油価格を人為的に低く抑える市場介入を行っている可能性が推測されています。こうした帳簿外の操作は一定期間は機能するものの、備蓄が底を突く夏以降には現実の供給不足が顕在化し、価格の rationing、すなわち価格上昇による需要調整が避けられなくなると論じられています。
米国側やイスラエルのネタニヤフ首相には、制裁の継続や軍事的な圧力を強めることでイランの体制が数週間から数ヶ月で崩壊するという楽観的な見方、いわばイランを「トランプの家」のように脆弱な存在とみなす過小評価があると分析されています。しかし、かつて欧州諸国がロシア経済に対して下した予測が外れたのと同様に、イランの回復力や同盟国からの支援を軽視した誤算である可能性が示されています。イラン側には米海軍を直接地域から排除する軍事力はありませんが、ホルムズ海峡の封鎖を通じたエネルギー市場への圧力という強大な対抗手段を維持しており、夏に向けて世界の経済や金融市場におけるストレスが本格的に高まる危険性が示唆されています。
US-Iran Deal or NO DEAL. July Energy Tipping Point - YouTube
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