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2026-05-10

帝国を選んだ代償

When America Chose Empire - LewRockwell [LINK]

【海外記事より】経済・技術ライターのジョージ・スミス氏は、アメリカが本来持っていた反帝国主義の伝統を捨て、帝国への道を選んだ歴史的転換点について考察しています。1901年、フィリピンのサマール島バランギガで起きた出来事は、その象徴です。米軍の占領下で虐待を受けた地元住民が反撃し、米兵74人が死亡したことに対し、ジェイコブ・スミス将軍は「10歳以上の者は全員殺せ」「荒野にせよ」と命じ、村々を焼き払い民間人を虐殺しました。驚くべきことに、将軍は軍法会議にかけられたものの、罪状は殺人ではなく「軍の規律を乱した」という程度のもので、退職処分で済まされました。当時の米国にとって、異民族への残虐行為は、野蛮人に対する一種の「エチケット違反」程度にしか捉えられていなかったのです。

これは、ワシントンやジェファーソンといった建国の父たちが掲げた、外国との紛争を避けるというビジョンからの完全な逸脱でした。ジョン・クインシー・アダムズがかつて述べたように、初期の入植者たちは先住民から土地を買い取り、合意と自発的な結びつきによって社会を形成したはずでした。そこには征服や奴隷化といった「暴力の沼」は存在しませんでした。しかし、1898年の米西戦争がすべてを変えました。フィリピン、グアム、プエルトリコを手に入れた米国は、作家のマーク・トウェインが風刺したように、「文明化」という名目のもと、他国の独立を助けるふりをしてその土地を奪う「欧州流の帝国主義」に手を染めたのです。

社会学者のウィリアム・グラハム・サムナーは、当時こう警告していました。軍事衝突でスペインに勝ったとしても、帝国主義という「思想」においてスペインに征服されてしまえば、米国もまた破産した衰退国家への道を辿ることになると。この転換を体現したのがセオドア・ルーズベルトです。彼は海軍力を背景に「大きな棍棒(大言壮語せずに武力を備える)」を振りかざし、国家の偉大さを誇示することを称揚しました。かつて南北戦争で南部の独立を力でねじ伏せた経験が、合衆国を「自由な連合体」から、離脱を許さず他者を制圧する「不可分な一国家」へと変容させていたのです。

ルーズベルトが説いた、絶え間ない労働と闘争、そして勝利を求める「激しい生の教義」は、国民にとっては高揚感を与えるものでした。しかし、政府にとってはそれは「終わりのない戦争」を意味しました。積極的な介入主義を追求し続けた結果、現在のアメリカは巨額の債務に喘ぎ、地球上の全生命を消し去るほどの武力を備えた好戦的な国家となってしまいました。自由の擁護者として始まった国家が、帝国への道を選択した代償は、現代の地政学的な混迷と危機の中に深く刻まれているのです。

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