The Nominalistic Principle and Fiat Money: Law as a Crutch for the Monetary Swindle [LINK]
【海外記事より】弁護士のアレッサンドロ・フジッロ氏は、現代の法定通貨制度が「名目主義」という法原則を支えとして、いかに国民の財産を実質的に搾取しているかを批判的に論じています。民法における名目主義とは、例えば「1,000ドルを支払う」という契約において、たとえ支払い時までに通貨の価値(購買力)が激減していたとしても、債務者は額面通りの1,000ドルを支払えば義務を果たしたとみなす原則です。フジッロ氏は、この法的枠組みが、国家がインフレを通じて実質的な債務を逃れる「ステルス・デフォルト(隠れた債務不履行)」を正当化していると指摘しています。
この原則の根底には、「通貨とは国家の命令によって生まれるものである」という「表券主義(チャータリズム)」の思想があります。19世紀から20世紀にかけて、ナップやケインズらによって体系化されたこの理論は、現代の「現代貨幣理論(MMT)」にも引き継がれています。ケインズは、国家には通貨の定義を書き換える権利がある、いわば「辞書を編集し直す権利」があると考えました。しかしフジッロ氏は、この国家の独占的権限こそが、契約の当事者間の公平性を損ない、債権者から債務者(特に巨額の借金を抱える国家自身)への系統的な富の移転を引き起こしていると述べています。
フジッロ氏はリバタリアン(自由至上主義)の立場から、「契約の権利移転説」を提唱しています。これによれば、契約の本質は単なる約束ではなく、具体的な「稀少な資源」に対する所有権の移転です。もし通貨が国家によって恣意的に操作され、その実質的な価値が希釈されるなら、移転されるべき所有権の中身は空洞化してしまいます。国家は契約の保証人でありながら、同時にその中身を操作する「利益相反」の状態にあります。この構造的な矛盾により、現代の金銭契約は、実質的に第三者(国家)が後から内容を変更できる不完全なものになっているのです。
さらに、この批判は銀行制度における「部分準備」にも向けられています。銀行が預かっている以上の通貨を貸し出す行為は、一つの資源に対して二つの相容れない所有権を創出する「詐欺的な権利移転」であると著者は断じます。金やビットコインのような、物理的または数学的に供給量が限定され、第三者によって「辞書を書き換えられる」ことのない通貨こそが、契約の誠実さを取り戻す鍵となります。フジッロ氏は、操作不可能な通貨の存在こそが、契約の真の価値を守り、個人の自由と財産を国家の恣意的な侵害から守るための不可欠な条件であると結論づけています。
0 件のコメント:
コメントを投稿