The Risk of Hyperinflation - The Great O'Neill [LINK]
【海外記事より】金融アナリストの「グレート・オニール」氏は、欧米諸国で常態化しているインフレが、一歩間違えればハイパーインフレという破滅的な事態を招くリスクについて警告しています。多くの政府は通貨の購買力を毎年2%ずつ計画的に低下させる「穏やかなインフレ」を目指していますが、長期的にはその影響は甚大です。例えば2000年の100ドルは、現在では約52ドルの価値しかなく、ビッグマック指数で見れば、かつて44個買えたものが今では16個しか買えない計算になります。こうした購買力の低下が制御不能に陥ったとき、99%以上の価値が失われるハイパーインフレが発生します。
ハイパーインフレは、常に政府の手によって引き起こされる現象であると著者は指摘します。通貨は政府と共生関係にあり、政治や経済システムが崩壊すれば、信用市場を規制し紙幣を増刷する主体である政府によって通貨も崩壊するからです。歴史的に見れば、イギリスはハイパーインフレを経験したことがない極めて稀な例ですが、それが今後も続く保証はありません。ある国がハイパーインフレの犠牲になるかどうかを判断する基準は、深刻な危機に直面した際、政府が「正しい行動」をとるか「誤った道」を選ぶかにかかっています。
その具体例として、第一次世界大戦後のドイツとイギリスの対照的な対応が挙げられます。ドイツのワイマール共和国は、戦債と国民の期待の板挟みになり、金本位制を維持できずに紙幣を増刷し続けました。その結果、1923年には貯蓄や年金が完全に無価値となり、中産階級は家財を売って食料を購うほど窮乏し、社会秩序が崩壊しました。一方でイギリスは、同時期に金利を7%まで引き上げるという痛みを伴う緊縮策を断行しました。失業率は20%近くに達しましたが、インフレを抑え込み、通貨の価値を守ることに成功したのです。
現代の欧米諸国のリーダーたちが、再び同様の危機に直面した際、かつてのイギリスのような苦渋の決断を下せるかは極めて疑わしいと著者は見ています。現代の政治において「健全な通貨」という概念はもはや顧みられず、2020年のコロナ禍では米国で50%、英欧でも25%もマネーサプライが増加しました。選挙民が経済的な痛みを即座に和らげることを政府に求める現代の政治構造では、金利を二桁に引き上げるような処置は政治的自殺行為に等しいからです。もし私たちが通貨の価値を守るための厳しい引き締めを拒み続けるのであれば、ハイパーインフレのリスクはかつてないほど高まっていると言わざるを得ません。
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