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2026-05-09

自死する帝国

America’s Suicide Pact - The Chris Hedges Report [LINK]

【海外記事より】アメリカの衰退はドナルド・トランプ氏の登場によって始まったのではなく、それ以前から進行していた「帝国の自死」の最終章に過ぎません。作家でありジャーナリストのクリス・ヘッジズ氏は、歴史家アーノルド・トインビーの「文明は他殺ではなく自殺によって滅びる」という言葉を引用し、現在のアメリカが内側からの腐敗によって崩壊の危機にあると分析しています。この「自死への行進」は、レーガンやクリントン政権下で支配階級が自らの利益のために国家を食い物にし始めた時から始まりました。民主主義の柱であった選挙、司法の牽制、自由な報道といった制度は、億万長者階級の意向に従う不道徳な者たちによって空洞化され、今や国民を抑圧するための道具に成り下がっています。

ヘッジズ氏は、共和党と民主党の両エリートたちが、労働組合を破壊し、誠実なジャーナリストを排除し、富裕層に有利な税制を築き上げてきたと批判しています。かつてのような製造業による富の創出は失われ、代わって株価操作や国民への過酷な借金漬けが利益の源泉となりました。一方で社会福祉は削られ、警察は軍事化され、世界最大の刑務所システムが構築されました。こうした中で膨れ上がった軍需産業は、納税者の血税を吸い上げる巨大な寄生体となっています。最近のイランを巡る情勢も、帝国の覇権を弱体化させながら一部の層を潤す、虚しい戦争の連鎖の一環に過ぎません。トランプ氏は、こうした腐敗をリベラルな外装なしに、より剥き出しの形で表現している存在なのです。

支配階級の道徳的退廃を象徴するのが、故ジェフリー・エプスタイン氏を巡るスキャンダルです。そこにはトランプ氏だけでなく、ビル・クリントン元大統領、ビル・ゲイツ氏、元CIA長官といった政財界の有力者が名を連ねていました。彼らはテレビの中では対立しているように見えても、実際には「物事を決定する階級」としての地位を維持することを最優先する、同じチームのメンバーです。彼らは自分たちのネットワークを守るためには原則を捨て、住宅危機や薬物乱用、不平等といった国民の苦しみに対して共感を持つことがありません。この特権階級にとって、国民の声が届かない閉鎖的な「メリット・アリストクラシー(能力主義的貴族制)」こそが世界の仕組みとなっているのです。

もはや既存のシステムが自浄作用を発揮することはありません。民主党は選挙対策に巨額の資金を投じながらも、国民の支持を失い、企業の操り人形のような存在に成り果てました。帝国の力が衰えるにつれ、国民は不都合な事実から目を背け、空想の世界や「アメリカ例外主義」という神話に逃避しています。社会は失敗の原因を移民やマイノリティ、知識人といった身近な標的に転嫁し、共感や理解を育む文化や芸術は、残酷な超軍事主義へと置き換えられています。トランプ氏という存在は、決して突然変異ではありません。それは、末期の病に侵されたアメリカという国家が、死の間際に見せている偽らざる素顔そのものなのです。

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