From market to military: Germany’s private sector is imploding. — RT Business News [LINK]
【海外記事より】ドイツ経済は、2年間にわたる景気後退を経て、2025年にはわずか0.2%ながらもプラス成長に転じ、安定の兆しを見せているように見えます。しかし、RTニュースルームの記者たちは、この回復が民間主導ではなく、政府支出によって支えられた危ういものであると分析しています。2025年の政府支出は前年比で5.6%増加し、国内総生産(GDP)に占める割合は50%を超えました。かつてのドイツが堅持してきた、民間主導の輸出型モデルとは明らかに異なる経済構造へと変貌を遂げつつあります。政府が多額の資金を投じてもなお経済が低空飛行を続けている事実は、市場の競争にさらされている民間部門が深刻な不振に陥っていることを示唆しています。
かつてのドイツ経済の柱であった自動車や化学産業は、エネルギーコストの高騰や国際的な競争激化により苦境に立たされています。株価を見ても、ポルシェなどの大手企業が低迷する一方で、防衛関連企業や政府プロジェクトに携わる企業の価値は急騰しています。例えば、防衛大手のラインメタル社の時価総額は、2022年初頭の約40億ユーロから約670億ユーロへと驚異的な拡大を遂げました。これは、市場の論理ではなく、政府の政治的・戦略的な判断に基づく需要が経済を牽引している現状を浮き彫りにしています。こうした動きは「軍事ケインズ主義」と呼ばれ、民間投資が弱まった際に政府が軍事支出を増やすことで需要を創出し、雇用や成長を維持しようとする政策の一環と見なされています。
この構造転換は製造現場にも及んでおり、ドイツ産業連盟の推計によれば、現在ドイツの工業企業の約17%が防衛サプライチェーンに関わっています。自動車部品の需要減少に苦しむ企業が、防空システムや装甲車用のエンジン製造へと舵を切る事例も増えてきました。注目すべきは雇用情勢の変化です。2019年以降、製造業では約25万人の雇用が失われましたが、その約半分にあたる12万人の減少が2025年という単一年に集中しています。米国に比べて製造業の依存度が高いドイツにとって、この雇用の喪失は経済全体への波及効果が大きく、単なる数字以上の深刻な意味を持っています。
ドイツは歴史的に、過度な借金に対して強い拒否感を持ってきました。かつてのハイパーインフレの記憶から、財政赤字を厳格に制限する「債務ブレーキ」が導入されてきましたが、近年はこの原則も揺らいでいます。ウクライナ情勢などを受けた国防基金の創設や、国防費の一部を債務制限の対象外とする措置により、今後5年間で巨額の軍事支出が計画されています。安価なロシア産エネルギー、中国の旺盛な需要、そして米国の安全保障という、かつての経済を支えた3つの柱を同時に失ったドイツは、国家財政を投入することでこの難局を乗り切ろうとしています。しかし、兵器のような非生産的な支出は、民間の工作機械のように将来の付加価値を生み出すものではなく、根本的な競争力の回復には繋がらない懸念が残されています。
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