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2026-05-12

電力危機の救世主

The Biggest Winner in AI’s Power Crisis (Not NVIDIA!) - Energy & Capital [LINK]

【海外記事より】米国のエネルギー投資専門家であるキース・コール氏は、急速に普及する人工知能(AI)が必要とする膨大な電力を支える真の主役として、次世代の地熱発電に注目しています。AIのデータセンターは24時間365日、休むことなく稼働するため、天候に左右される太陽光や風力ではなく、常に安定して供給される「ベースロード電源」を必要とします。これまで地熱発電は火山の近くなど特定の地域に限られていましたが、技術革新によって「どこでも掘削できる」段階に入っています。英国コーンウォール州では最近、国内最深となる約5,275メートルの掘削により、火山のない場所でも190℃の熱源に到達し、約1万世帯分の電力を安定供給できることが証明されました。

このブレイクスルーを支えているのが、「強化地熱システム(EGS)」と呼ばれる技術です。これは、米国で過去10年以上にわたってシェールガス革命を成功させた水平掘削や水圧破砕の技術を応用したものです。つまり、石油・ガス業界が磨き上げてきた高度な掘削技術が、今や地球上のどこでも地熱エネルギーを取り出すための鍵となっています。米エネルギー省は最近、ペンシルベニア州の既存の天然ガス井を地熱井に転換するプロジェクトに補助金を拠出しました。これが成功すれば、火山地帯から遠く離れた米国東部全域で地熱利用が可能になります。2050年までに地熱が米国の総電力の12%を占めるとの予測もあり、地熱発電はついに「ニッチな再生可能エネルギー」から脱却しようとしています。

巨大IT企業(ビッグテック)も、この炭素排出ゼロで24時間稼働する電力源に熱視線を送っています。Googleはすでにネバダ州のデータセンター向けに大規模なEGS契約を締結し、Metaもこれに続いて米東部でのプロジェクトに着手しました。建設に10年以上かかる原子力発電や、排出量問題がつきまとう天然ガスに対し、EGSは既存の石油・ガス業界のサプライチェーンを活用できるため、より迅速な展開が可能です。実際に、掘削速度は従来の2倍以上に向上しており、かつてのシェール開発並みのスピード感でプロジェクトが進んでいます。また、この技術は環境派からも伝統的なエネルギー産業派からも支持される、現代では稀有な「超党派」で推進可能な分野でもあります。

コール氏は、投資の観点から非常に興味深い指摘をしています。世間の注目は、地熱開発のフロントランナーであるフェルボ・エナジーのような新興企業に集まりがちですが、本当に注目すべきは「舞台裏」にいる企業だという点です。つまり、水平掘削リグや耐熱ドリル、地下のモニタリングシステムを提供し、シェールブームを通じて技術を完成させてきた石油・ガスサービス企業です。市場はまだこれらの企業を単なる「旧来の化石燃料関連」として評価していますが、彼らこそがEGSを商業化の域に押し上げる不可欠な技術を持っています。AIブームが引き起こす電力危機の救世主は、意外にも地中深くに眠る熱を解き放つ、伝統的な掘削技術の担い手たちなのかもしれません。

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