The First Domino Has Fallen - by Jay Martin - Jay’s Letter [LINK]
【海外記事より】米国の金融アナリストであるジェイ・マーティン氏は、中東での紛争を背景とした「ドルの流動性危機」と、それに端を発する米国債市場の連鎖的な崩壊リスクについて解説しています。マーティン氏によれば、現在アラブ首長国連邦(UAE)が米国に対して緊急融資を求めていますが、これはUAEに資金がないからではなく、同国が保有する膨大な米国債を「売らざるを得ない状況」を防ぐための、米国債市場に対する救済措置だといいます。イラン戦争によるホルムズ海峡の封鎖が長期化する中で、産油国は石油輸出による収入が途絶え、手元の現金が不足しています。通常、こうした国々がドルを必要とする際、最も換金性の高い資産である米国債を売却しますが、これが市場に致命的な連鎖反応を引き起こすのです。
米国政府は税収以上の支出を賄うために常に米国債を発行していますが、世界中の国々が同時にこの債券を売りに出せば、価格は下落し、金利(利回り)は上昇します。米国債の利回りは、住宅ローンや企業債務など、あらゆる経済活動の借入コストの基準となっているため、この上昇は米国内の家計や企業の首を絞めることになります。マーティン氏は、日本やイギリスといった大口の米国債保有国も、エネルギー危機で石油を買うためのドルが急激に必要になれば、自国の経済を守るために米国債を売却せざるを得なくなると指摘します。実際にニューヨーク連銀が保管する海外中銀の米国債残高は、戦争開始以降、2012年以来の低水準まで減少しており、ドルの確保に向けた売却がすでに始まっている現状があります。
こうした状況下で、UAEが求めた「通貨スワップ」という緊急融資枠が重要な意味を持ちます。これは、米連邦準備理事会(FRB)が相手国の中央銀行に直接ドルを貸し出す仕組みです。一見すると相手国への支援に見えますが、実態はそれらの国々が米国債を市場で売却して金利を急騰させることを防ぐための、米国自体のための防衛策です。マーティン氏は、今後このスワップラインの対象国が拡大し、一時的な融資が恒久的なものへと変質していくと予測しています。貸付条件を修正し、期限を延長し、問題がないかのように振る舞う「修正・延長・ふり」という手法が繰り返されるという見方です。
今後、UAEに続いてクウェートなどの産油国も同様の要請を行う可能性が高いとマーティン氏は述べています。クウェートは政府予算の90%を石油収入に依存していますが、4月には輸出がゼロに転じました。同国が保有する660億ドル以上の米国債が市場に放出されるのを防ぐためには、米国は再びドルを貸し出すしかありません。ホルムズ海峡の閉鎖が続く限り、ドルの不足は深刻化し、米国債市場を維持するために際限なくドルを供給し続けるという危うい構図が浮き彫りになっています。UAEの動向は、これから世界市場を襲う巨大な連鎖反応の「最初のドミノ」に過ぎないというのがマーティン氏の冷静な分析です。
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