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2026-04-13

イラン、第4の極へ

Opinion | The War Is Turning Iran Into a Major World Power - The New York Times [LINK]

【海外記事より】これまで世界のパワーバランスは、アメリカ、中国、ロシアの3極を中心に動いていると考えられてきました。しかし、シカゴ大学のロバート・ペイプ教授は、世界秩序を劇的に塗り替える「第4の極」として、イランが急速に台頭していると指摘しています。イランの力は経済規模や軍備の総量ではなく、世界経済の急所であるホルムズ海峡を実質的に支配しているという事実に由来します。

現在、世界の石油と液化天然ガスの約5分の1がこの海峡を通過していますが、アメリカとイスラエルによる対イラン軍事作戦をきっかけに、イランは海峡の「選択的封鎖」を敢行しました。海峡を物理的に完全に閉鎖しなくとも、数日おきに貨物船を攻撃し、保険会社が戦争リスクを理由に保険引受を停止、あるいは保険料を跳ね上げる状況を作るだけで、海上交通量は9割以上減少します。現代経済においてエネルギーは、単に存在すれば良いわけではなく、予測可能なリスクと規模で「時間通り」に届く必要があります。この信頼性が崩れた今、エネルギーアクセスは市場取引ではなく、複雑な戦略的課題へと変質しました。

この状況は、アメリカにとって極めて不利な非対称性を生んでいます。アメリカが全輸送船をドローンやミサイルから守るには膨大な軍事資源を24時間投入し続けなければなりませんが、イランは時折攻撃を仕掛けるだけで供給の信頼性を破壊できるからです。フランスのマクロン大統領が「武力による海峡開放は非現実的だ」と述べたように、イランの合意なしには石油の安定供給が保証されない現実を世界が認め始めています。これにより、湾岸諸国や日本、韓国、インドといったエネルギー依存度の高い国々は、自国の輸出入の安定を握るイランに対して妥協や配慮を迫られることになります。

さらに深刻なのは、イラン、ロシア、中国の利害が一致し始めている点です。ロシアはエネルギー価格の高騰を歓迎し、中国はイランとの連携を強めることで資源の確保を優先します。仮にこれら3国が緩やかな「エネルギー・カルテル」を形成し、世界の石油供給の約30%をコントロールする事態になれば、欧米の権威は失墜し、世界秩序は不可逆的に変化します。アメリカは、海峡の支配権を取り戻すために出口の見えない長期戦に挑むか、あるいはイランを新たな世界の中心勢力として受け入れるかという、極めて困難な選択を迫られていると、著者は警鐘を鳴らしています。

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