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2026-06-11

自然秩序とその破壊

【海外動画より】社会における平和と繁栄を維持するために、本当に必要なものは何でしょうか。無政府資本主義の代表的な理論家であり、元ネバダ大学ラスベガス校教授のハンス=ヘルマン・ホッペ教授は、ある講演の中で、人間社会の平和の基礎は一貫した「私的財産権」の確立にあると指摘しています。教授によれば、人間が衝突する根本的な原因は、肉体や空間、物といった物理的な手段が有限であるという点にあります。同じ物を複数の人が同時に異なる目的で使おうとすれば、必ず物理的な衝突、つまり紛争が起こります。この紛争を未然に防ぎ、解決するための唯一の論理的な解決策が、すべての希少な資源が特定の個人や組織に私有され、その所有関係が明確であること、すなわち私的財産権の尊重であると説きます。

こうした私的財産が正当に成立するためには、言葉や宣言ではなく、時間と空間の中で最初に行われた具体的な占有行動、つまり「根源的獲得」が必要であると教授は主張します。最初に未所有の資源に手を加えた人は、誰とも衝突することなくそれを所有できるためです。そして、その後のすべての正当な財産権は、当事者間の合意に基づく自発的な交換の連鎖によって引き継がれていきます。このようにして成り立つ秩序を、教授は人間の平和的な相互作用という目的のためにあらかじめ発見された「自然法」あるいは「自然秩序」と呼びます。これに対し、国家などが後から作り出す実定法や規制は、自然法を歪め、平和ではなくむしろ新たな対立を生み出す原因になっていると批判します。

ホッペ教授は、現代社会がこの自然秩序から大きく逸脱してしまった最大の原因を、暴力の独占体である「国家」の存在にあると分析しています。学校や大学では、国家という独占的な暴力装置がなければ社会は万人の万人に対する闘争状態になると教えられますが、教授はこれを、特定の目的のために広められた大きな嘘であると一蹴します。紛争解決の鉄則は「当事者が自ら裁判官になってはならない」という第三者審判の原則ですが、地域における最終決定権を独占する国家は、自らが関わる紛争において自ら裁く存在になってしまいます。その結果、国家は自らに都合の良い法律を作り出す「立法」という手段を使い、人々の財産や自由な活動、さらには言葉や思想にまで微細な規制を課して肥大化していくと指摘します。

教授によれば、西欧諸国をはじめとする現代の民主主義国家では、国家権力の肥大化に対して有効な抵抗がほとんど起きていません。多くの批判は特定の政治家や官僚の無能さ、あるいは個別の不祥事に向けられ、単に「人を入れ替えれば良くなる」というナイーブな発想にとどまっているからです。ホッペ教授は、社会の行進、つまり全体主義化への歩みを止め、自然秩序を取り戻すためには、国家という制度そのものが正当性を欠いた組織であると認識される必要があると論じます。そして、知識人やジャーナリストの20%、さらに一般大衆の20%が国家の本質を理解し、その傲慢さや無能さを直視して不服従の姿勢を示すとき、初めて国家はその正当性を失い、より小さな地域社会へと解体されていくだろうと締めくくっています。

PFP288 | Hans-Hermann Hoppe: “About Natural Order and its Destruction” (PFS 2024) - YouTube

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