【海外動画より】社会思想や経済理論における自由主義、すなわちリバタリアニズムのあり方をめぐる議論についてご紹介します。オーストリア学派の経済学者であり社会哲学者でもあるハンス=ヘルマン・ホッペ氏は、「プロパティ・アンド・フリーダム・ソサエティ」のカンファレンスにおいて、リバタリアニズムの理論を現実の社会描写に適用する際の視点について講演を行いました。ホッペ氏は、純粋な理論としてのリバタリアニズムが私有財産権の尊重と紛争の回避を基本原則としていることを確認した上で、それを現実の人間社会に当てはめるためには、人々が持つ自然な多様性や格差を直視する「右派リバタリアニズム」の立場が不可欠であると主張しています。
ホッペ氏の分析によると、社会認識における「右派」と「左派」の根本的な違いは、人間の不平等や多様性をどのように捉えるかという点にあります。右派は、人間の身体的・精神的な能力、才能、動機などの違いを自然な事実として受け入れ、その結果として生じる経済的・社会的な格差も正常なものとみなします。これに対して左派は、人間は本質的に平等であるという前提に立ち、観察されるあらゆる格差を環境の不備や単なる運の不条理によるものと説明し、国家権力などを用いてそれを是正しようと試みます。ホッペ氏は、左派が掲げる平等主義のイデオロギーは現実から著しく乖離しているだけでなく、支配エリートが社会を全体主義的に統制するための格好の知的隠れみのとして機能していると指摘しています。
特に議論の対象となっているのが、リバタリアンを自称しながら左派的な価値観を推進する「左派リバタリアン」の存在です。彼らは私有財産権を基盤としながらも、人種や性別による差別への反対や、無制限の自由移民政策を積極的に擁護しています。しかしホッペ氏は、私有財産の本質とは排他性であり、誰を自分の所有地に受け入れ、誰を拒むかという選択、すなわち「差別」を論理的に内包していると論じます。左派リバタリアンが個人の財産権の侵害という明確な立証を抜きにして、特定の集団の権利や「市民権」という曖昧な概念を持ち出すことは、結果として国家が「分断して統治せよ」という方針のもとで伝統的な家族制度や社会秩序を解体し、権力を拡大することに手を貸す結果になっていると警告しています。
また、移民政策に関しても厳しい現実的な視点が示されました。すべての土地が私有地である理想的な世界においては、移民はすべて所有者の招待に基づくものとなり、問題は発生しません。しかし、税金によって維持されている現在の公有地や公共サービスが存在する実世界において、令状なしの無制限な移民を受け入れることは、国内の福祉制度の崩壊を招くだけでなく、文化的・社会的な摩擦から内戦や暴動を引き起こし、最終的にはより強力な国家権力を求める声を強めることになると主張されています。ホッペ氏は、リバタリアニズムの思想体系が歴史的に西欧の伝統的な生活様式やブルジョア的な文化の中で発展してきた事実を重視し、自由で繁栄した社会を維持するためには、国家による暴力を拒絶しつつも、高度な資本蓄積を可能にしてきた社会秩序や文化的な基盤を尊重し防衛する姿勢が必要であると結論づけています。
PFP128 | Hans-Hermann Hoppe - Realistic Libertarianism as Right-Libertarianism (PFS 2014) - YouTube
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