ケイトー研究所シニアアナリスト、マリアン・テューピー
(2018年10月19日)
スマートフォンは中毒性があり、誰でも旧来の携帯電話に切り替えていいし、携帯なしで済ませてもいい。とはいえ、スマホが私たちの生活にもたらした良い変化を思い出してみよう。
Smartphones can reduce material use by a factor of 300, power use by a factor of 100, and standby energy use by a factor of 30.
— HumanProgress.org (@HumanProgress) October 11, 2022
Dematerialization can help us go on enjoying material comforts whilst being good stewards of our planet.https://t.co/WIFtVUYkFs
1987年のオリバー・ストーン監督の映画『ウォール街』では、俳優マイケル・ダグラス演じる大富豪の投資家ゴードン・ゲッコーが、ビーチを歩きながら朝日を眺め、モトローラ社のダイナタック8000X携帯電話で話している。「これが見られたらな」と、ニューヨークにいる若い弟子のバド・フォックスに言う。「光が昇ってくるぞ。こんな瞬間の海の美しさをとらえた絵は見たことがない」。1983年に発売されたダイナタックは、世界初の携帯電話機だった。重さ2ポンド、充電に10時間、通話時間30分。1984年当時、この携帯電話の価格は3995ドルだった。2018年の米ドル換算で1万277ドルだ。
1990年の時点では、携帯電話は非常に高価で、米国人の2%しか買うことができなかった。2017年には米国内だけで2億2500万台になった。世界の利用者数は2016年の21億人から2019年には約25億人に増加すると予測されている。時とともに、携帯電話はより小さく、より安価になった。また、よりパワフルで便利なものになった。今日、南アフリカにいるナイジェリア人の炭鉱労働者は、スマホアプリを使ってラゴスにいる母親にお金を送ることができる。コンゴの漁師は、悪天候の接近を知らせてもらえる。マサイ族の牛飼いは、ナイロビで牛乳の値段を知ることができる。数千年かけて蓄積された人類の知識が、スマホを通じて簡単に、瞬時に利用できる。
脱物質化(国内総生産=GDP=あたりの財・エネルギーの消費量が減少する過程)について考えてみよう。スマホは、これまで電話、カメラ、ラジオ、テレビ、目覚まし時計、新聞、写真アルバム、ボイスレコーダー、地図、コンパスなど、無数の異なる機器が必要だった機能を統合している。スマホが登場したからといって、他のデバイスがすべてなくなるわけではない。しかし、それらを使うことは少なくなってきている。
エネルギーや物資の節約につながる可能性は計り知れない。ある調査によると、スマホは物質の使用を300分の1に減らすことができる。電力は100分の1に、待機電力は30分の1に削減できる。また、天然資源の採掘や加工、製造、輸送、製品配送など、建築物の建設に関連するすべての過程で消費されるエネルギーを示す内包エネルギー使用量も、20分の1に減らすことができるという。
つまり脱物質化とは、世界人口の増加と資源の確保との間に生じる矛盾を懸念する人々にとって、歓迎すべきニュースなのだ。将来の資源の確保については意見が分かれるところだが、脱物質化によって、物質的な快適さを享受しながら、同時に地球の良き管理者にもなれるのだ。特に貧しい国の人々にとっては、環境問題が深刻化する中で、物質的な豊かさを体験する機会を得ることが重要である。
スマホは人類に多くの恩恵をもたらしてくれた。賢く使うか、不用意に使うかは、人間次第である。もちろん、それはすべての技術に共通することだ。
(次より抄訳)
The Miracle that Is the Smartphone - HumanProgress [LINK]
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